JP2022075581A - 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法 - Google Patents

閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】グラウト充填状態を効率よく、かつ精度よく非破壊検査できる非破壊検査装置、及び非破壊検査方法を提供することを目的とする。【解決手段】発信探触子及び受信探触子を備えた非破壊検査装置10であって、シース反射P波起生時刻tpを取得する第1の収録手段と、受信波スペクトルF(f)を取得する第2の収録手段と、分析用1次かぶり厚dsの組合せを取得する第1の分析手段と、分析用時系列GA(t)を取得する第2の分析手段と、単一点計測、または多点計測における分析用1次かぶり厚dsが同一の場合、計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第1の処理手段と、分析用1次かぶり厚dsが異なる場合、分析用1次かぶり厚ds|大のグラウト充填状態を判定する第2の処理手段と、第2の処理手段での判定に引き続いて、分析用1次かぶり厚ds|小のグラウト充填状態を判定する第3の処理手段とを備えたことを特徴とする。【選択図】図22

Description

この発明は、PC橋梁などのコンクリート構造物に埋設されるシース管内のグラウト充填状態を、広帯域超音波を用いる閾値分析に基づいて非破壊検査する非破壊検査装置、及び非破壊検査方法に関する。
道路や鉄道における橋梁などの主桁、側壁、あるいは床版などには、ポストテンション工法で製造されたプレストレストコンクリート構造物(図49を参照)が用いられている。
このプレストレストコンクリート構造物は、打設したコンクリートの硬化後、予めコンクリート内に配設されたシース管内のPC鋼材を緊張させて、コンクリートに定着させることで、コンクリート内に残留圧縮応力を発生させている。
これにより、プレストレストコンクリート構造物は、鉄筋コンクリート構造物に比べて、引張荷重に対する耐久性に優れ、かつ軽量となるため、長径間化された大規模建造物の構築を可能にしている。
ところで、このようなプレストレストコンクリート構造物では、緊張させたPC鋼材の防錆のために、セメントミルクなどのグラウト材をシース管内に充填している。このため、プレストレストコンクリート構造物では、グラウト充填状態を確認する必要があった。
特に、グラウト充填状態が未充填、または充填不足の場合、多年度経過すると、シース管内に侵入した雨水などによってPC鋼材が腐食、破断して、所望される耐久性を確保できなくなるおそれがあった。例えば、日本国内及び海外のPC橋梁で、落橋というあってはならない幾つかの重大事故が実際に生じている。
そこで、プレストレストコンクリート構造物に埋設されたシース管のグラウト充填状態を非破壊検査する非破壊検査装置、及び非破壊検査方法が提案、実用化されている(特許文献1、及び特許文献2参照)。
昨今では、PC橋梁が新設される場合、特許文献1に基づいて開発された非破壊検査装置を用いて、シース管内のグラウト充填状態をコンクリート面から非破壊検査している。
さらにまた、既設PC橋梁では、特許文献1、及び特許文献2に記載の方法を改良発展させたWUTソフトウェアを用いた非破壊検査装置でグラウト充填状態の非破壊検査が行われている。
ところで、このWUTソフトウェアを用いた非破壊検査では、発信探触子と受信探触子との中心間距離が110から200mmの場合を反射P波計測分析と呼び、発信探触子と受信探触子との中心間距離が375mm以上の場合を反射S波計測分析と呼んでいる。
しかしながら、WUTソフトウェアを用いた非破壊検査では、様々な問題点があることが確認されている。
例えば、反射P波計測分析の場合、次のような4つの問題点が確認されている。
一つ目の問題点として、シースかぶり厚、及びコンクリート縦波音速の計測精度によって、グラウト充填状態の分析精度が左右されるばかりでなく、「未充填」を「完全充填」、または「完全充填」を「未充填」と誤分析する事象が生ずることが稀ではない。
二つ目の問題点として、シースかぶり厚が浅い場合、シース反射P波の起生時刻前方に、大きな振幅のコンクリート表面S波、及び直接波が生じ、シース反射P波の起生時刻後方に、2段目シース、版厚、及び版厚底部コーナーからの反射波が生じることで、グラウト充填状態の分析精度が低下するばかりでなく、「完全充填」を「未充填」と誤分析する事象が稀ではない。
三つ目の問題点として、計測点が、偶然、グラウトの未充填部分とグラウト充填部分との境界直上に位置することで、グラウト充填状態の分析精度が低下するばかりでなく、「未充填」を「完全充填」と誤分析することが稀ではない。
四つ目の問題点として、シースかぶり厚が、シース管の長手方向で大きく変化する場合があり、これに起因して、グラウト充填状態が「未充填」であっても、「完全充填」と誤分析することが稀ではない。
また、反射S波計測分析の場合、次のような5つの問題点が確認されている。
一つ目の問題点として、シースかぶり厚、及びコンクリート縦波音速の計測精度によって、グラウト充填状態の分析精度が左右される。
二つ目の問題点として、シース反射S波の分析で用いる分析用切り出し波の起生時刻前方に表面S波が生じ、かつ分析用切り出し波の起生時刻後方に2段目シース、版厚、及び版厚底部コーナーからの反射波が生じることで、グラウト充填状態の分析精度が低下し「完全充填」を「未充填」と誤分析する事象が稀ではない。
三つ目の問題点として、計測点が、偶然、グラウトの未充填部分とグラウト充填部分との境界直上に位置することで、グラウト充填状態の分析精度が低下するばかりでなく、「未充填」を「完全充填」と誤分析することが稀ではない。
四つ目の問題点として、シースかぶり厚が、シース管の長手方向で大きく変化する場合があり、これに起因して、多点計測波の加算処理を用いる従来の分析ではグラウト充填状態が「未充填」であっても、「完全充填」と誤分析する。
五つ目の問題点として、コンクリートの場合、P波とS波との音速比が0.62程度になるため、シース反射S波の起生時刻帯域は、シース反射P波に比べて時刻後方へ移動する。これにより、2段目シース、版厚、及び版厚底部コーナーからの反射波がシース反射S波の上に混入することで、グラウト充填状態の分析精度が低下して、グラウト充填状態が「完全充填」であっても、「未充填」または「充填不足」と誤判定することが度々である。
上述した様々な問題点に対処するために、WUTソフトウェアを用いた非破壊検査では、計測日数の数倍の日数をかけた上述の問題点に対処する分析オペレータによる分析処理で、分析結果を取得しているが、分析オペレータのだれもがグラウト充填状態を確実に正解に導くことが出来ない事象が多々生じている。
このため、WUTソフトウェアを用いた非破壊検査では、グラウト充填状態の分析の高効率化、及び高精度化が求められている。
そこで出願人は、閾値処理と名付ける処理方法により、分析で用いるスペクトル及び時系列を作成し、これを用いて上記多数の問題点を解決するグラウト充填状態の非破壊検査装置、及び非破壊検査方法を創り上げている。
特許第4640771号公報 特許第5814582号公報
本発明は、上述の問題に鑑み、グラウト充填状態を効率よく、かつ精度よく非破壊検査できるシース反射P波を用いた非破壊検査装置、及びシース反射P波を用いた非破壊検査方法を提供することを目的とする。
超音波を発信する発信探触子、及び超音波を受信する受信探触子からなる一対の探触子と、少なくとも各種情報を表示する表示部を有して計測対象シースのグラウト充填状態を分析判定する解析機器とを備えた非破壊検査装置、及びこれを用いた非破壊検査方法であって、オペレータの操作によるコンクリート縦波音速、2段目シースのかぶり厚、版厚、及び版厚底部コーナーの路程長の入力を受け付ける入力受付手段と、計測対象シースの断面中心からコンクリート表面への垂線と前記コンクリート表面との交点をとおる前記計測対象シースの長手方向に沿った前記コンクリート表面の仮想線分上において、測点i=1~nwを順に計測する多点計測の場合、測点i=1でのシースかぶり厚と測点i=nwでのシースかぶり厚との平均値を、あるいは測点i=1となる単一点計測の場合、測点i=1でのシースかぶり厚を、レーダ計測かぶり厚ds|RCとして取得して、下式のdsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換えてシース反射P波起生時刻t=tRCを取得する第1の収録手段と、
Figure 2022075581000002
前記発信探触子から前記計測対象シースに向かって、所定時刻間隔で超音波を連続発信し、発信のたびに前記受信探触子で得た収録波を加算平均して測点i毎の受信波G(t)|i=1~nwを取得し、該受信波G(t)|i=1~nwをFFT変換して対応する受信波スペクトルF(f)|i=1~nwを取得する第2の収録手段と、振動数0.0から(f-Δf)の間が「0.0」、振動数(f-Δf)からfの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fから(f+Δf)の間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数(f+Δf)以上で「0.0」となる関数をF3フィルタ関数として、該F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを低振動数または高振動数側へ徐々に移動させるオペレータの操作を受け付ける操作受付手段と、Δtをオペレータによって設定される値とし、時刻0.0から(tRC-Δt)の間が「0.0」、時刻(tRC-Δt)で「0.0」となり時刻tRCで「1.0」となるsin形状増加関数、時刻tRCで「1.0」となり時刻(tRC+Δt)で「0.0」となるsin形状減少関数、時刻(tRC+Δt)以降で「0.0」となる関数を時刻フィルタ関数TGC4(t)として、前記操作受付手段でオペレータの操作を受け付けるたびに、前記中心振動数fとする前記F3(f)フィルタ関数を前記受信波スペクトルF(f)|i=1~nwに乗じて得たスペクトルをFFT逆変換して得る時系列波に対して、該時系列波のいずれかの測点iの起生時刻を中心時刻とする前記時刻フィルタ関数TGC4(t)を乗じて、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)i=1~nwを取得するとともに、下式のdsを分析用1次かぶり厚ds(1)に、下式のtを前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)に置き換えて、分析用1次かぶり厚ds(1)を取得し、
Figure 2022075581000003
さらに、測点i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が全ての測点iで同一、または測点i=nw=1の単一点計測の場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び前記分析用1次かぶり厚ds(1)をそれぞれtp(1)、及びds(1)とするとともに、開始測点nAをi=1、終了測点nBをi=nwとし、測点i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が測点iごとに異なる場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)i=1~nwを2つに区分し、それぞれの平均値をtp(1)、及びtp(1)とし、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を上式に適用して得た分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用1次かぶり厚ds(1)とし、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を上式に適用して得た分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用1次かぶり厚ds(1)として、前記分析用1次かぶり厚ds(1)及びds(1)ごとの開始測点nA、及び終了測点nBを取得する第1の分析手段と、中心振動数fを20kHz、振動数fをオペレータによって設定される50kHz-Δf<f<50kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲のいずれかの値、振動数fを80kHzとして、振動数-10kHzからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fからfが「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数fからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fから(f+30kHz)が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数(f+30kHz)以上で「0.0」となるA(f)フィルタ関数を、i=1~nwを受信波、i=nw+1を加算平均波とする受信波スペクトルF(f)|i=1~nw+1に乗じて分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を取得し、該分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1をFFT逆変換して対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1を取得する第2の分析手段と、i=1の単一点計測の場合、またはi=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が同一の場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)とし、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)として、第3の分析手段、第4の分析手段、第5の分析手段、第6の分析手段、第7の分析手段、及び第8の分析手段による分析によって、前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第1の処理手段と、i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が異なる場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換えた前記第3の分析手段、前記第4の分析手段、前記第5の分析手段、前記第6の分析手段、前記第7の分析手段、及び前記第8の分析手段による分析によって、前記分析用1次かぶり厚ds(1)における前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第2の処理手段と、該第2の処理手段での判定に引き続いて、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換えた前記第3の分析手段、前記第4の分析手段、前記第5の分析手段、前記第6の分析手段、前記第7の分析手段、及び前記第8の分析手段による分析によって、前記分析用1次かぶり厚ds(1)における前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第3の処理手段とを備え、前記第3の分析手段は、時刻tp(1)+Δth1を基準時刻とする時刻フィルタ関数TGC1(t)、及び時刻tp(1)を基準時刻とする時刻フィルタ関数TGC2(t)を、前記分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1に乗じて分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1を取得し、該分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1をFFT変換して対応するスペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1を取得する分析手段であり、前記時刻フィルタ関数TGC1(t)は、基準時刻t=tp(1)+Δth1として、時刻t=0で「0.0」となり、基準時刻tで「1.0」となるsin形状増加線分、時刻t=基準時刻t以降が「1.0」となるTGCA(t)関数を用いて、(TGCA(t))neで算出される関数であり、前記時刻フィルタ関数TGC2(t)は、基準時刻t=tp(1)として、時刻t=0.0から時刻t=tが「1.0」、時刻t=基準時刻tで「1.0」となり、時刻t=400μ秒で「0.0」となるsin形状減少線分、時刻t=400μ秒以降が「0.0」となるTGCB(t)関数を用いて、(TGCB(t))nfで算出される関数であり、前記第4の分析手段は、前記スペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1で、iごとに前記振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値を基準値=1.0としたのち、前記振動数fよりも高振動数側の最大スペクトル値を閾値ασとする閾値処理で、分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1を取得し、該分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1に対応する分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で取得する分析手段であり、前記第5の分析手段は、台形窓関数Aを時刻t=tp(1)-Δtp1から時刻t=tp(1)+Δtp2までΔt間隔で移動させるたびに、前記分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1に台形窓関数Aを乗じて切り出した時系列に対応するスペクトルを求め、前記振動数f以下での最大スペクトル値を1.0に基準化して得たスペクトルにおいて、前記振動数f以上での最大スペクトル値を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2として、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1を作成するとともに、前記振動数f以上、及び前記振動数f以下での最大スペクトル値を時刻の推移毎に比較して大きい方の最大スペクトル値を1.0に基準化して得た時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1を作成する分析手段であり、前記台形窓関数Aは、基準時刻をtとし、前記分析用1次かぶり厚ds(1)またはds(1)あるいはds(1)に応じて設定された時間幅を示す値をtとして、時刻t=0.0からt-5の間が「0.0」、時刻t=t-5からtが「0.0」から「1.0」となるsin形状増加関数、時刻t=tからt+tが「1.0」、時刻t=t+tからt+t+5が「1.0」から「0.0」となるsin形状減少関数、時刻t=t+t+5以降が「0.0」となる関数であり、前記第6の分析手段は、計測対象シースの空隙部分とグラウト充填部分との境界測点をn1として、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、測点i=nA~n1(ただし、境界測点n1≦終了測点nB)において、時刻tp(1)-ΔtB1から時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えることを確認して前記境界測点n1が特定される特性TA、または時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、測点i=nA~n1(ただし、境界測点n1≦終了測点nB)において、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回ることを確認して前記境界測点n1が特定される特性TBのいずれであるかを特定する分析手段であり、前記第7の分析手段は、前記第6の分析手段において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル形状が特性TAと特定された場合、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBに基づいて、第1TA処理手段、及び第2TA処理手段による分析を行い、グラウト充填状態を判定する分析手段であり、前記第8の分析手段は、前記第6の分析手段において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル形状が特性TBと特定された場合、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBに基づいて、第1TB処理手段、及び第2TB処理手段による分析を行い、グラウト充填状態を判定する分析手段であり、前記第7の分析手段の前記第1TA処理手段は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えている時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに、時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で、閾値ασを超える時刻をtとし、この平均値をtとし、または単一点計測の場合、t=tとして、下式に基づいてΔtを取得するとともに、
Figure 2022075581000004
下式に基づいて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を取得し、
Figure 2022075581000005
下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
Figure 2022075581000006
前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
Figure 2022075581000007
前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
Figure 2022075581000008
前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1とSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、α σ+0.18<SPf2(2)(t)|の場合に「未充填」と自動判定し、α σ<SPf2(2)(t)|≦α σ+0.18の場合に「充填不足」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段であり、前記第7の分析手段の前記第2TA処理手段は、n1<nBの場合において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が測点i=n1+1~nBごとに、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る時、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる時刻後方で、測点i=n1+1~nBの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασを超える時刻をtとして、下式を満足させる測点iの時刻tを選定し、該時刻tの平均値を時刻平均値tとし、
Figure 2022075581000009
Figure 2022075581000010
上式を満足させる時刻tがない場合、時刻平均値t=tM1(1)として、下式でΔtを求め、
Figure 2022075581000011
分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を下式群に基づいて取得するとともに、
Figure 2022075581000012
Figure 2022075581000013
Figure 2022075581000014
下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
Figure 2022075581000015
前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
Figure 2022075581000016
前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
Figure 2022075581000017
前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いたSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBとSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、SPf2(2)(t)|≦α σの場合に「完全充填」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段であり、前記第8の分析手段の前記第1TB処理手段は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る場合、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる時刻後方で、測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασを超える時刻をt(単一点計測の場合、時刻t=t)として、下式を満足させる測点iの時刻tを選定し、該時刻tの平均値を時刻平均値tとし、
Figure 2022075581000018
Figure 2022075581000019
上式を満足させる時刻tがない場合、時刻平均値t=tM1(1)として、下式でΔtを求め、
Figure 2022075581000020
分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を下式群に基づいて取得するとともに、
Figure 2022075581000021
Figure 2022075581000022
Figure 2022075581000023
下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
Figure 2022075581000024
前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すともに、
Figure 2022075581000025
前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
Figure 2022075581000026
前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1とSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、SPf2(2)(t)|≦α σの場合に「完全充填」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段であり、前記第8の分析手段の前記第2TB処理手段は、n1<nBの場合において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=n1+1~nBごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超える時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=n1+1~nBごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で閾値ασを超える時刻をtとし、測点iごとの時刻tの平均値である時刻平均値tを求め、下式に基づいてΔtを取得するとともに、
Figure 2022075581000027
下式に基づいて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を取得し、
Figure 2022075581000028
下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
Figure 2022075581000029
前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
Figure 2022075581000030
前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
Figure 2022075581000031
前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBとSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて得る時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、α σ+0.18<SPf2(2)(t)|の場合に「未充填」と自動判定し、α σ<SPf2(2)(t)|≦α σ+0.18の場合に「充填不足」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段であることを特徴とする。
この発明によれば、非破壊検査装置、及びこれを用いた非破壊検査方法は、グラウト充填状態を効率よく、かつ精度よく非破壊検査することができる。
この発明の態様として、前記第2の分析手段は、前記A(f)フィルタ関数をA(f)nGフィルタ関数に置き換えて、測点i=1~nw+1での前記分析用スペクトルFA(f)|、及び前記分析用時系列GA(t)|を取得する手段であり、前記A(f)nGフィルタ関数は、(f+f )/2(ただし、f =80kHz)を振動数fとして、振動数f=0.0で「0.0」となり、振動数fで「1.0」となるsin形状増加関数、前記振動数fで「1.0」となり、前記振動数f×2で「0.0」となるsin形状減少関数、そして前記振動数f×2以上で「0.0」となる関数であり、前記A(f)nGフィルタ関数のnG値は、前記振動数fをオペレータの操作によって設定された40kHz-Δf<f<40kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲のいずれかの値として、前記分析用スペクトルFA(f)|が、測点iのいずれかで振動数f~振動数f =80kHzの間で最大スペクトル値となるときの値であり、前記第4の分析手段は、前記第3の分析手段で取得したスペクトルFB(f)|i=1~nw+1ごとに前記振動数f以下での最大スペクトル値を1.0に基準化し、前記振動数f以上での最大スペクトル値を前記閾値ασとする手段であり、前記第5の分析手段は、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1、及び前記時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1の代わりに、それぞれ時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(1)(f,t)nci=1~nw+1を作成する手段であり、前記第6の分析手段は、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、前記特性TAまたは前記特性TBのいずれであるかを特定し、かつ前記境界測点n1を特定する手段であり、前記第7の分析手段、及び前記第8の分析手段は、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|、及び前記時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)ncの代わりに、それぞれ時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)ncを作成し、前記時刻tでの前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|に代えて、前記時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|を求めて、グラウト充填状態を判定する手段であってもよい。
この構成によれば、非破壊検査装置、及び非破壊検査方法は、グラウト充填状態をさらに効率よく、かつ精度よく非破壊検査することができる。
本発明により、グラウト充填状態を効率よく、かつ精度よく非破壊検査できる非破壊検査装置、及び非破壊検査方法を提供することができる。
シース反射波計測の概略を説明する概略図。 シース反射波起生時刻帯域の振動数とスペクトル値との関係を説明する説明図。 残存波が混入したシース反射波の概略を説明する説明図。 空シースの振動挙動で生じる波の概略を説明する説明図。 振動挙動波の発生状況の概略を説明する説明図。 既設橋梁での測定位置の違いで生じる受信波の概略を説明する説明図。 閾値ασを用いたスペクトル波形変換処理の概略を説明する説明図。 非破壊検査装置の構成を示す構成図。 グラウト充填状態を説明する説明図。 非破壊検査装置の内部構成を示すブロック図。 コンクリートの内部を伝播する超音波の概略を示す概略図。 コンクリートの内部を伝播する超音波の概略を示す概略図。 多点計測の概略を示す概略図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 閾値分析処理の概略を説明する説明図。 反射P波自動化分析処理の動作を示すフローチャート。 第1の処理の動作を示すフローチャート。 第1の処理の動作を示すフローチャート。 桁梁、及び側壁端部の計測状況の概略を示す概略図。 反射P波自動化分析処理の概略を説明する説明図。 分析用1次かぶり厚パターンを説明する説明図。 分析例1における概略を説明する説明図。 分析例1における概略を説明する説明図。 分析例1における概略を説明する説明図。 分析例1における概略を説明する説明図。 分析例2における概略を説明する説明図。 分析例2における概略を説明する説明図。 分析例2における概略を説明する説明図。 分析例3における概略を説明する説明図。 分析例3における概略を説明する説明図。 分析例3における概略を説明する説明図。 分析例4における概略を説明する説明図。 分析例4における概略を説明する説明図。 閾値反射P波分析法の正当性の検証を説明する説明図。 閾値反射P波分析法の正当性の検証を説明する説明図。 中心間距離a/直線距離dの大小によるシース反射P波、シース反射M波、及びシース反射M波の起生状況を説明する説明図。 反射P波計測の最適探触子間隔の概略を説明する説明図。 桁、箱桁端部の反射P波計測探触子配置を説明する説明図。 (f)フィルタ関数、及びA(f)nGフィルタ関数を説明する説明図。 (f)nGフィルタ関数を用いた閾値反射P波自動化分析の概略を説明する説明図。 (f)nGフィルタ関数を用いた分析を説明する説明図。 (f)nGフィルタ関数を用いた分析を説明する説明図。 箱桁PC橋梁のグラウト充填状態探査計測位置を説明する説明図。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
<本発明で利用する物理現象>
まず、グラウト充填状態の非破壊検査における受信超音波のスペクトル特性について説明する。
超音波は、音響インピーダンスの異なる物質の界面で反射する特性がある。音響インピーダンスは、超音波が物質を伝播する際の抵抗値を表現しており、音響インピーダンスが高くなれば抵抗値が低くなり、逆に音響インピーダンスが低くなれば抵抗値が高くなる。
空気の音響インピーダンスは極めて低いため、超音波は、空洞があると、空洞でほぼ全反射し大きな振幅の反射波が発生する。一方、密実であると超音波の反射率が低いため、振幅の小さい反射波が発生する。
図1に示すように、シース管の直上のコンクリート平面に発信探触子及び受信探触子を配置するシース反射波計測において、発信探触子から超音波をコンクリート表面に入力した場合、超音波は大きく分けて3つの伝播経路をたどって受信探触子に到達する。
この受信探触子が受信する受信波は、図1(a)及び図1(b)に示すように、コンクリート内部を迂回するように伝達する直接波(DI波)と、コンクリート表面に自然発生し伝達する表面波(縦波である表面P波、及び横波である表面S波)と、シース管で反射して戻ってくるシース反射波である。これらの波は、伝播経路が異なるためその性質もそれぞれ異なる。
直接波(DI波)、及び表面波(表面P波、表面S波)は、指向性の低い低振動帯域の超音波が支配的である。一方、シース反射波は、指向性の高い高振動帯域の波が支配的である。
シース反射波が大きく卓越する振動数が複数あり、そのスペクトルにおいては、グラウト充填状態が未充填の場合で高振動数側が大きくなり、グラウト充填状態が完全充填の場合で低振動数側が大きくなっている。この現象を利用する事が、本発明の根幹の1つである。
図2(a)は、受信探触子が受信した受信波のシース反射波起生時刻帯域(図1(C)中の破線で囲われた領域)における表面P波、表面S波、及び直接波(DI波)の後方残存波のスペクトル概念図であり、合成波残存スペクトルを示している。なお、中心振動数fは、略20kHz前後である。
また、図2(b)はシース反射波起生時刻帯域におけるシース反射波のスペクトル概念図であり、大口径のシース管における高振動数(f、f)帯域スペクトルを示している。さらに、図2(b)中の実線は、グラウト充填状態が未充填の場合を示し、図2(b)中の破線はグラウト充填状態が充填状態の場合を示している。
なお、図2は、中心振動数fでの最大スペクトル値を基準値「1.0」として、振動数毎のスペクトル値を基準値「1.0」に対する相対値に置き換えて図示している。
一般的に、既設PC橋梁コンクリート(コンクリート縦波音速=4300m/秒前後)では、多くの計測例より振動数fが40kHzを超える値、振動数fが60~80kHzの値であることが確認されている。振動数f、及び振動数fは、コンクリート強度(コンクリート縦波音速)が大きくなると高振動数側へ、コンクリート強度が小さくなると低振動数側へ移動する。
シース反射P波の上に図1中の表面P波、表面S波、及び直接波(DI波)の後方残存波が混入するため、シース反射波起生時刻帯域のスペクトルは、図3(a)に示すように、位相情報を無視すれば、図2(a)と図2(b)とを加算したようなスペクトル概念図となる。
図3(a)のスペクトル概念図において、表面P波、表面S波、及び表面波(DI波)の振動数fでのスペクトル値は、計測点毎のコンクリートの性状が同一であれば、グラウト充填状態が未充填、完全充填にかかわらず略等しいと考えることができる。
図3(b)は、小口径のシース管の場合におけるシース反射P波の起生時刻帯域のスペクトル概念図を示している。
シース管の直径が小さくなると反射振幅が小さくなることにより、振動数f、及び振動数fのスペクトル値が小さくなる。このため、グラウト充填状態が未充填と完全充填とで、このスペクトル値の大小の差分も小さくなっている。
実際には、シース管以外の反射源で反射した反射波、例えば、鉄筋、微細割れ、隣接するシース管、及びコンクリート面端部からの表面反射波が、シース反射P波に混入してくる。
さらに、2段目シース、WEB厚、WEB底面コーナーからの反射波等の大きな振幅の波(以降、探査妨害波と呼ぶ)がシース反射P波の後方に混入してくる。
このため、小口径のシース管の場合、図3(b)の振動数f及び振動数fのスペクトルの大小関係のみを利用して、グラウト充填状態が未充填か完全充填かを判断することは、極めて困難となる。
ところで、出願人は、グラウト充填状態が未充填の場合、シース管に入力される入力P波または入力S波によりシース管が自励振動挙動し、この波における振動数f、及び振動数fのスペクトルが、図4(a)のようになると考えている。
小口径のシース管であっても、シース反射波の起生時刻帯域におけるスペクトル形状は、図3(b)と図4(a)を重ね合わせたものとなり、図3(a)に酷似したスペクトル比較図となる。グラウト充填状態が未充填のシース管の場合、振動数f、及び振動数fでのスペクトル値が、グラウト充填状態が完全充填のシース管に比べて大きくなってくる。
図4に示したグラウト充填状態が未充填のシース管において、シース管の振動挙動で生じる波のスペクトルは、コンクリート打設後、日の浅い日時と経年後とで、その値の大小関係が大きく異なっている。コンクリート打設直後では、シース管廻りのコンクリートとシース管とが境界で密着しており、経年でその境界が剥離し、密着状態が密接状態に変化してくると考える。さらに、実橋では、車両の走行により、常に振動挙動を呈しているため、この変化の度合が大きくなる。
このため、グラウト充填状態が未充填のシース管での振動挙動波の振動は、図5に示すように、コンクリート打設時点では小さく、経年で大きくなっていくはずである。図4に示した未充填のシース管での振動挙動のスペクトル値が大きくなるという現象は、既設PC橋梁の場合、グラウト充填状態の確認にとって都合のよい現象である。
<本発明の分析の根幹>
図6は、既設PC橋梁でのシース管の受信波スペクトルの模式図を示している。図6(a)、図6(b)、図6(c)、及び図6(d)は、シース管の直上において、シース管の長手方向に離隔した測定点での受信波のスペクトル模式図をそれぞれ示している。
図6では、振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値を基準値「1.0」として、振動数毎のスペクトル値を基準値「1.0」に対する相対値に置き換えて図示している。なお、最大スペクトル値を基準値「1.0」として、振動数または時刻ごとのスペクトル値を基準値「1.0」に対する相対値に置き換えることを、以降「基準化」と呼ぶ。
受信波スペクトルは、振動数fよりも高振動数側のスペクトル値が極めて大きい場合もあれば、小さい場合もある。本来、受信波スペクトルのスペクトル形状は、計測点毎に略同一となるはずだが、そのようになっていない。
既設PC橋梁は、築後40年から60年経過している場合も多数あり、桁、箱桁のコンクリート表面が凸凹した場合もあれば、コンクリート表面、及びコンクリート内部が極度に劣化している場合もある。
さらに、既設PC橋梁は、コンクリート表層に埋設される鉄筋の配置が不均一で、鉄筋の配置間隔が狭い場合もあれば、広い場合もある。
加えて、既設PC橋梁は、コンクリート表層に超音波の進行を遮断するひび割れ、または目視し難い亀の子状の微細なひび割れが多数存在する場合もある。
さらにまた、コンクリート表層が劣化している場合、発信探触子、及び受信探触子をコンクリート表面に配置する際、多量の超音波伝達媒質をコンクリート表面に塗布するが、短時間のうちにコンクリート内部に浸透することで、受信超音波の特性が大きく変化する。
このように、様々な理由が合わさることで、図6のような現象が生じている。この問題への対処が本発明にける分析の根幹の1つである。
そこで、スペクトル値の閾値ασを設定し、図6に示す基準化表示スペクトルにおいて、振動数fよりも高振動数側で最大スペクトル値εが閾値ασより小さい場合は、図7(a)に示すように、最大スペクトル値εを閾値ασまで増幅して得たスペクトルを、グラウト充填状態の分析に用い、最大スペクトル値εが閾値ασよりも大きい場合は、図7(b)に示すように、最大スペクトル値εを閾値ασまで減幅して得るスペクトルを、グラウト充填状態の分析に用いる閾値分析法と名付ける計測分析法を創り上げている。
<本実施形態のシース反射P波閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法>
次に、本実施形態における超音波を用いたシース反射P波非破壊検査装置、及びこの装置を用いたシース反射P波非破壊検査方法について説明する。
本実施形態の非破壊検査装置10は、ポストテンション工法で製造された図49に示すような橋梁の主桁、横桁、箱桁、及び底版などのコンクリート構造物において、コンクリート構造物の内部に埋設されたシース管2のグラウト充填状態を非破壊検査するものである。このような非破壊検査装置10について、図8から図13を用いて説明する。
なお、図8は非破壊検査装置10の構成図を示し、図9はグラウト充填状態を説明する説明図を示し、図10は非破壊検査装置10のブロック図を示し、図11及び図12はコンクリート4の内部を伝播する超音波の概略図を示し、図13は多点計測の概略図を示している。
さらに、図9(a)はグラウト充填状態が完全充填の状態におけるシース管2の断面図を示し、図9(b)はグラウト充填状態が充填不足の状態におけるシース管2の断面図を示し、図9(c)はグラウト充填状態が未充填の状態におけるシース管2の断面図を示している。
まず、検査対象物であるプレストレストコンクリート構造物1について説明する。
プレストレストコンクリート構造物1は、図8及び図9(a)に示すように、略円筒状のシース管2と、シース管2の内部に配置したPC鋼材3と、シース管2の外周面側に打設したコンクリート4とで構成している。
なお、PC鋼材3は、図9(a)に示すように、複数の鋼線3aを練り合せて形成されている。
このプレストレストコンクリート構造物1は、型枠内の所定位置にシース管2を配置したのち、型枠内にコンクリート4を打設する前、あるいは型枠内にコンクリート4を打設した後、シース管2内にPC鋼材3を挿入している。
そして、コンクリートの養生期間が経過したのち、所定張力で緊張させたPC鋼材3を内包するシース管2をコンクリート4に定着させて形成している。これにより、プレストレストコンクリート構造物1は、コンクリート4の内部に、シース管2の長手方向に沿った圧縮応力を発生させている。
さらに、シース管2の内部には、図9(a)に示すように、PC鋼材3の防錆のために、セメントミルクなどのグラウト5を充填している。このグラウト5が、図9(a)に示すように、シース管2の内部に隙間なく充填されたグラウト充填状態を完全充填とする。なお、グラウト充填状態が完全充填のシース管2を、充填シースとする。
また、グラウト充填状態の他の態様として、グラウト5が、図9(b)に示すように、シース管2の内部に十分充填されておらず、シース管2の内部に空隙部分を有するグラウト充填状態を充填不足とする。
また、グラウト5が、図9(c)に示すように、シース管2の内部に充填されていないグラウト充填状態を未充填とする。なお、グラウト充填状態が未充填のシース管2を、空シースとする。
そして、本実施形態における非破壊検査装置10は、計測対象のシース管2のグラウト充填状態を非破壊検査する装置である。
この非破壊検査装置10は、図8及び図10に示すように、プレストレストコンクリート構造物1のコンクリート上面4aに配設される面発信ユニット11、及び面受信ユニット12と、面発信ユニット11、及び面受信ユニット12が電気的に接続される解析機器13とで構成している。
面発信ユニット11は、図8に示すように、シース管2の直上に位置するコンクリート上面4aに配置されている。この面発信ユニット11は、図8に示すように、コンクリート上面4aに接する底面が、超音波を発信する発信探触子11aとして構成されている。
そして、面発信ユニット11は、解析機器13からの超音波発信信号を受付ける機能と、超音波発信信号に基づいて発信探触子11aがコンクリート上面4aからプレストレストコンクリート構造物1の内部に超音波E(図13参照)を入力する機能とを有している。
面受信ユニット12は、図8に示すように、面発信ユニット11に対して計測対象のシース管2の長手方向に離隔し、シース管2の直上に位置するコンクリート上面4aに配置されている。この面受信ユニット12は、図8に示すように、コンクリート上面4aに接する底面が、超音波を受信する受信探触子12aとして構成されている。
そして、面受信ユニット12は、プレストレストコンクリート構造物1の内部を伝播した超音波Eを入射波R(図13参照)として受信探触子12aで受信する機能と、受信した入射波Rを示す受信信号を解析機器13に送信する機能とを有している。
解析機器13は、図10に示すように、面発信ユニット11が接続される発信ユニット接続部131と、面受信ユニット12が接続される受信ユニット接続部132と、各種情報を記憶する記憶部133と、作業者の操作を受付ける操作部134と、各種情報を表示する表示部135と、これらを制御する制御部136とで構成している。
なお、解析機器13は、後述する第1の収録処理、第2の収録処理、第1の分析処理、第2の分析処理、第1の処理、第2の処理、及び第3の処理を実現する手段として構成されている。
発信ユニット接続部131は、制御部136からの指示によって、面発信ユニット11に対して超音波発信信号を出力する機能を有している。
受信ユニット接続部132は、面受信ユニット12からの受信信号を受付ける機能と、受信信号を制御部136に送信する機能とを有している。
記憶部133は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成し、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部133は、グラウト充填状態を解析する解析プログラム、作業者が入力した各種パラメーターなどを記憶している。
操作部134は、キーボードなどで構成し、作業者による入力操作を受け付ける機能を有している。
表示部135は、液晶ディスプレイなどで構成し、各種パラメーターの入力を促す入力画面や、解析結果を示す解析結果画面などの各種情報を表示する機能を有している。
制御部136は、CPU及びメモリなどで構成し、面発信ユニット11への超音波発信信号の出力に係る各種処理機能と、面受信ユニット12からの受信信号に基づいたグラウト充填状態の解析に係る各種処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
具体的には、制御部136は、3~5mm秒毎に500~700回の超音波Eを連続発信するように、面発信ユニット11の動作を制御する処理機能と、面受信ユニット12を介して連続受信した入射波Rに基づいて加算平均波を作成する処理機能とを有している。
さらに、制御部136は、この加算平均波を受信波として表示可能にする処理機能と、加算平均波を記憶部133に記憶する処理機能と、グラウト充填状態を判定する処理機能などを有している。なお、これら処理機能は、解析プログラムを実行することで実現している。
このような非破壊検査装置10は、シース反射P波を計測する場合、図11に示すように、シース管2の長手方向に沿った発信探触子11aと受信探触子12aとの中心間距離aが110mmから200mmのいずれかの値となるように配置する。
図11のシース反射P波計測によれば、シースかぶり厚dsが浅い場合、シース反射P波の上に表面P波、表面S波、及び直接波(DI波)が混入する。
さらに、コンクリート上面4aの位置によっては、表層に配置される鉄筋の間隔が密となる場合があり、鉄筋経路波、及び鉄筋反射波がシース反射P波の上に直接に混入し、シース反射P波を用いるグラウト充填状態の分析では、充填シースを空シースとする誤分析が多発する。この問題への対処のために、図12のシース反射S波計測を準備している。
中心間距離aを大きくすることで、面受信ユニット12で受信する表面P波、表面S波の振幅が減少する現象を利用し、かつシース管2のグラウト充填状態を示す情報を持つ図12(a)のシース反射S波、図12(b)の直接波(DI波)、図12(c)のシース自励振動波の混合波を用いる分析を準備し、計測分析オペレータの判断で、反射P波計測とするか、反射S波計測とするか決めている。
この判断は、RCレーダ計測で得る、または他の手段で得るシースかぶり厚dsを用いて、シースかぶり厚dsが150mm以上の場合、中心間距離aを110mm~200mmのいずれかの値とする反射P波計測とし、シースかぶり厚dsが150mmより浅い場合、中心間距離を375mmまたは500mmとする反射S波計測としている。
一方、反射P波計測分析は、図11に示す個々の受信波を用いる単一点計測と、図13(a)に示す多点計測(測点i=1~nw)のいずれかとしている。図13(a)の計測分析は、測点i=1~nwの個々の受信波に生ずる予期し得ない探査妨害波の影響を除去するために測点i=1~nwの受信波の加算平均波を分析で用いる方法も具備している。
<シースの充填状態閾値分析概要>
引き続き、反射P波計測分析を用いて閾値分析の処理の概要を説明する。
非破壊検査装置10の制御部136が行う計測対象のシース管2(以降、計測対象シースと呼ぶ)のグラウト充填状態の閾値分析処理について、閾値分析処理の概略を説明する説明図を示す図14から図21を用いて説明する。
なお、本説明で用いる計測対象シースとして、削孔で未充填(空シース)と判明している中心間距離a=200mmで計測した後述する表3に示す分析例2のシース管(シース径φ38、レーダ計測かぶり厚ds|RC=248mm、2段目シースかぶり厚d2s=481mm、版厚dw=650mm)を用いる。
図14(a)は、受信波スペクトルF(f)|、及び受信波G(t)|として、測点i=1~4での受信波と、加算平均波i=5を並べて図示している。振動数fの帯域、振動数f帯域に大きな値のスペクトルが生じている事例である。図14(a)は、図6(c)と図6(d)の中間程度のスペクトル形状と判断できる。
図2(b)中のシース反射波の振動数fでのスペクトルをグラウト充填状態の分析用スペクトルに選定して詳述する。
振動数fでのスペクトルを選定除外する理由は、予期せぬ探査妨害波のスペクトルが低振動数側に、より多く混入する危険性があるからである。
図14(a)の受信波スペクトルF(f)|i=1~5に、オペレータの操作によって設定される振動数fが50kHz-Δf<f<50kHz+Δf(Δf=5kHz)の範囲のいずれかであるA(f)フィルタ関数(図14(b)参照)を乗じて、f、fスペクトルのみを抽出して得るスペクトルを分析用スペクトルFA(f)|i=1~5とし、対応する時系列をGA(t)|i=1~5として図14(b)を求め、これをグラウト充填状態の分析で用いるスペクトル及び時系列としている。
さらに、計測対象シース以外の反射源等によって、シース反射P波前方、及び後方に生じる波の分析結果への悪影響を減らすために、分析で用いる分析用切り出し波GB(t)|i=1~5(以降、分析用切り出し波と呼ぶ)を、図15(a)のように求めている。
図15(a)中の時刻フィルタ関数TGC1(t)、及びTGC2(t)を、本閾値分析概要では、式1に示すシース反射P波の起生時刻t=tを基準にして作成している。時刻フィルタ関数TGC1(t)は、時刻t=0が「0.0」、時刻t=0からtがsin形状増加関数、時刻t=t以上が「1.0」となる関数としている。
一方、時刻フィルタ関数TGC2(t)は、時刻t=0からtが「1.0」、時刻t=tが「1.0」、時刻t=400μ秒が「0」となるsin形状減少関数としている。
Figure 2022075581000032
シース反射P波起生時刻tが既知の場合、対応するシースかぶり厚dsは、式2で計算される。
Figure 2022075581000033
ここで、0.5~0.75の範囲でオペレータが設定する値を閾値ασとし、以降の説明では閾値ασ=0.5として説明する。
図15(a)の分析用切り出し波GB(t)|i=1~5に対するスペクトル比較図は、図15(b)に示すスペクトルFB(f)|i=1~5のようになる。図15(b)を用いて、グラウト充填状態の分析用スペクトルを閾値ασ=0.5として、図15(c)のFC(f)|i=1~5を求めている。
この処理は図6のスペクトルにおいて、ασなる閾値を設定し、図6(a)、図6(b)、図6(c)、及び図6(d)のいずれのスペクトルにおいても、振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値を「1.0」とし、振動数fよりも高振動数側の最大スペクトル値を「閾値ασ=0.5」とするスペクトル形状変換処理である。図6(b)、及び図6(d)で、この処理を、それぞれ図7(a)及び図7(b)に示している。
図15(c)の閾値ασ=0.5でスペクトル形状変換が施されたスペクトルに対応する図16(a)の時系列で、RCレーダ計測かぶり厚ds|RCをdsとし、式1で得るシース反射P波起生時刻tをtRCとして、図示する台形窓関数Aを時刻t=tRC-19μ秒から時刻t=tRC+82μ秒まで、順次移動させるたび、この台形窓関数Aの前記時系列への乗算で得る振動数f帯域の最大スペクトル値SPf2の変化を、時間を横軸にして作図すると、図16(b)を得る。詳細は、後述する第5の分析処理で詳述する。
なお、表示する最大スペクトル値SPf2は、台形窓関数Aの移動毎に得るf、fスペクトルにおいて、振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値を「1.0」に基準化した時、振動数fよりも高周波数側の最大スペクトル値を意味している。以降、この図16(b)の分析結果SPf2(t)を「時刻掃引基準化スペクトル値SPf2」と呼ぶ。
なお、図16(a)、及び図16(b)で示すシースかぶり厚ds=248mmは、別途RCレーダで計測された計測対象シースの測点i=1でのかぶり厚である。
図16(b)で、時刻t(=tRC)より*=20μ秒後方の時刻で、i=4波以外の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2値が閾値ασ=0.5を超えている。この状況下で、本計測シース(削孔空)を「未充填(空)」と判定している。時刻t=t+*=tRC+*での台形窓関数Aによる切り出し波のスペクトルにおいて、振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値と、振動数fよりも高振動数側の最大スペクトル値とを比較し、大きい方のスペクトル値を「1.0」に基準化して得たSPf2(f,t)を図17(a)に示している。
図17(a)によれば、測点i=4以外で振動数f(=80kHz)近傍のスペクトル値が閾値ασ=0.5を大きく超えている。
さらに、加算平均波i=5(No.1+No.2+No.3+No.4、SP加算)の時刻掃引f,fスペクトルの起生状態を、横軸を振動数、斜軸を時刻とする図17(b)に示す。
なお、図17(b)は、計測対象シースの未充填(空)、充填不足、及び完全充填を視覚的に示すための表示であり、図16(a)の台形窓関数Aの時間的推移毎に得るスペクトルにおいて、振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値と、高振動数側の最大スペクトル値とを比較し、大きい方のスペクトル値を「1.0」に基準化して得たSPf2(f,t)nci=5(以降、時刻掃引f,fスペクトルと呼ぶ)であり、nc=2として表示している。
以降、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(f,t)は、分析結果の視認で未充填(空)、充填不足、及び完全充填の状態を、より明確に示すために、FFTスペクトルをMEM(最大エントロピー法)スペクトルに置き換えて表示している。
なお、MEMスペクトルは、数学分野では認知されているが、工学及び力学分野で一般的方法として用いられていない。しかしながら、台形窓関数Aで切り出される極端に短い時系列に対応するスペクトルなどではFFTスペクトルに比して極めて高精度となる。
ところで、既設PC橋梁では、2段目シースと計測対象シースのかぶり厚の差が100mm前後の場合もあれば、計測対象シースの版厚との差が100mm程度になることがある。
また、これ等の関係が把握されない状況下で、グラウト充填状態の探査を行う場合、グラウト充填状態の誤判定が頻発する。
例えば、分析用切り出し波の中に、振幅の大きな2段目シース及び版厚の反射P波が混入すると、図15(c)の閾値処理されたスペクトルの中に、これ等反射波の振動数fでのスペクトルが多量に混入することで、グラウト充填状態を誤判定する。
この問題に対処する1つの方法は、図15(a)に示した分析用切り出し波の時刻帯域を可能な限り狭めることである。図18(a)は、この対処を成した分析用切り出し波の作成例である。図18(a)では、計測対象シースのかぶり厚より100mm及び150mm後方に存在を仮定した2段目シースまたは版厚の反射P波の起生時刻を縦カーソルで示している。
図18(a)の分析用切り出し波に対応するNo.1~No.4の受信波、No.5の加算平均のスペクトルを、閾値ασ=0.5を用いて形状変換すると、図15(c)の代わりに、図18(b)のスペクトル比較図を得る。
図18(b)の閾値処理されたスペクトルより、図16(b)に対応する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2を求めると、図19(a)を得る。図16(b)と図19(a)とを比較すると、スペクトル値の大小の違いはあるが、その形状は略同一である。
これにより、反射P波計測によるグラウト充填状態の分析では、分析用切り出し波を図18(a)に示すような狭い時間帯域の切り出し波とすることを必須とすれば、コンクリート表面S波、浅く潜って伝達する直接波(DI波)、2段目シースまたは版厚反射波の存在によるグラウト充填状態の誤判定を自動的に排除できる。このため、以降の説明で用いる分析事例では、図18(a)に示す狭い時間帯域の切り出し波を分析で用いる時系列としている。
次に、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2を用いた「グラウト充填状態の確認方法」を説明する。
図19(a)では、式1の計測対象シースかぶり厚dsをRCレーダ計測によるレーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換え、シース反射P波起生時刻tをtRCに置き換えて算定したシース反射P波起生時刻tRCを、図16(b)と同様に縦カーソルで表示している。ただし、レーダ計測かぶり厚ds|RC、シース反射P波起生時刻t=tRCを示す縦カーソル以外に、分析用かぶり厚ds、対応する時刻t=tRC+Δtを示す縦カーソルを追加表示している(なお、dsは数式及び図中においてdsの上に“~”を付された符号を表す。以下同じ)。
図19(a)によれば、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2の時間的変化の経緯より、丸印で示す時刻がシース反射P波の起生時刻近傍と判断できる。測点i=1,2(図中のNo.1、No.2)と測点i=3,4(図中のNo.3、No.4)とで、シースかぶり厚が変化している。概略値だが、測点i=1、2での起生時刻が、レーダ計測かぶり厚ds|RCの起生時刻に比べてΔtv1(=6μ秒)後方となり、測点i=3、4での起生時刻がΔtv2(=17μ秒)後方となっている。
本例の場合、ΔtをΔtv1とΔtv2との平均値として、式1で得るシース反射P波起生時刻tを、次の式3を用いて変更する。
Figure 2022075581000034
式2でシース反射P波起生時刻tをtRC+Δtに置き換えて得た計測対象シースかぶり厚dsを、分析用かぶり厚ds=271mmとして、その位置を縦カーソルで追加表示している。
さらに、図19(a)では、シース反射M波の起生時刻tM1に関する時刻tM1RC、及び時刻tM1ds を縦カーソルで示している。
時刻tM1RCは、シースかぶり厚をレーダ計測かぶり厚ds|RCとしたときのシース反射M波の起生時刻であり、式4のシースかぶり厚dsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換えて求めるシース反射P波起生時刻tを、式5及び式6を適用してシース反射M波の起生時刻tM1を求め、これを時刻tM1RCとしている。なお、シース反射M波の起生時刻は、式6で示されている。
Figure 2022075581000035
Figure 2022075581000036
Figure 2022075581000037
時刻tM1ds はシースかぶり厚を分析用かぶり厚dsとしたときのシース反射M波の起生時刻であり、式4のシースかぶり厚dsを分析用かぶり厚dsに置き換えて求めるシース反射P波起生時刻tを式5、及び式6に適用してシース反射M波の起生時刻tM1を求め、これを時刻tM1ds としている。
図18(a)の分析用切り出し波の取得で、シース反射P波起生時刻t=tをシース反射P波起生時刻t=t+Δt=119.6+11=130.6μ秒(ds=271mm)に変更し、再分析すると、図19(a)に代わり、図19(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2を得る。
なお、図19(b)中において、No.5加算平均波は、2種類を表示している。
図19(b)中において、実線で示したNo.5SP加算は、測点i=1~4のスペクトル加算(以後、SP加算と呼ぶ)であり、対応する時系列の位相情報はWAVE加算のそれを採用している。一方、図19(b)中において、点線で示したNo.5は、WAVE加算である。
ところで、空充填判定カーソルを定義し、その時刻を次の式7で求めている。
Figure 2022075581000038
なお、時刻*値は、分析用シースかぶり厚をレーダ計測かぶり厚ds|RCとする図19(a)では時刻*=20μ秒としたが、分析用かぶり厚dsとする図19(b)では、時刻*=16μ秒としている。この値の適正なる設定値は、後述する「閾値を用いた反射P波自動化分析」で示す表2に分析用1次かぶり厚ds(1)ごとに整理している。
さらに、削孔で完全充填と判定している計測対象シースを、中心間距離a(=200mm)で計測した計測データ(シース径φ38、削孔かぶり厚ds|=165mm、2段目シースかぶり厚d2s=400mm、版厚d=550mm、コンクリート縦波音速V=4261m/秒)を用いて説明する。
本分析例は、RCレーダ計測によるレーダ計測かぶり厚ds|RCが不明のため、レーダ計測かぶり厚ds|RCを、削孔で得た削孔かぶり厚ds|と同値として採用している。そして、削孔でグラウト充填状態が完全充填と確認されている。この場合、図19(a)の代わりに、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2を図20(a)のように求めることができる。
シース反射波には、シース反射P波、シース反射M波、及びシース反射M波の3種があるため、これ等の起生時刻を式1、式5、式6を用いて計算し、シース反射P波起生時刻t、シース反射M波起生時刻tM1、及びシース反射M波起生時刻tM2を、それぞれ起生時刻t、起生時刻tM1、起生時刻tM2として、縦カーソルで示している。
さらに、式5、及び式6より、シース反射P波起生時刻tとシース反射M波起生時刻tM1との関係が、コンクリート横波音速V/コンクリート縦波音速V=0.62として、次の式8で定義されている。
Figure 2022075581000039
これら振動数f=80kHz成分のシース反射M波、及びシース反射M波の振幅は、中心間距離aの狭い反射波計測の場合、絶対量として小さい値である。加えて、図18(a)のTGC2(t)処理で、さらにその振幅が縮小されるため、極々小さい値となっている。
しかしながら、図16(a)などで示される台形窓関数Aの移動毎に得る時刻掃引基準化スペクトル値SPf2の変化を示す図20(a)では、振動数f以下での最大スペクトル値を「1.0」に基準化して表示しているため、シース反射M波、シース反射M波のスペクトル値が大きな値として表示されている。
この数値解析上の現象を利用して、RCレーダ計測でのレーダ計測かぶり厚ds|RCの誤計測、または計測位置の音速値の誤認等で生じるシース反射P波起生時刻tを修正することができる。図20(a)で正しいシース反射M波起生時刻tM1を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2の大きく立ち上がってくる時刻(図中の白丸印)前後と判断して、式4、式5、式6の関係で得た式8より、シース反射P波起生時刻tを0.76tM1に変更すれば、対応するシースかぶり厚dsを、式4を書き直して得る式9で計算できる。
Figure 2022075581000040
なお、図20(a)に記載されているΔtは、式10で計算されている。
Figure 2022075581000041
これにより、分析で用いるシースかぶり厚をレーダ計測かぶり厚ds|RC(=削孔かぶり厚ds|)からdsに変更して再分析すれば、図20(b)の分析結果を得る。
時刻tで測点i=1~4、加算平均波i=5の全ての時刻掃引基準化スペクトル値SPf2が閾値ασ=0.5を下回る状況を確認できる。このような時刻掃引基準化スペクトル値SPf2が得られた場合、「完全充填」と判断する。空充填判定カーソル時刻tは、t=tRC(本分析例では、tとする)として、式11で計算される。
Figure 2022075581000042
なお、本分析例では、時刻*を後述する表2を用いて、時刻*=14μ秒としている。
さらに、図20(b)の時刻t=t+Δt+*での時刻掃引f,fスペクトルSP(f,t)を図21(a)に示す。
測点i=1~4の全ての受信波で、時刻掃引f,fスペクトルSP(f,t)が閾値ασ=0.5を下回っていることを確認できる。SP加算で得る加算平均波i=5の横軸を振動数、斜軸を時間とする時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5を図21(b)に示す。このようなスペクトル形状を視認するとき、計測対象シースを「完全充填」と判断する。
<閾値を用いた反射P波自動化分析>
上述した「シースの充填状態閾値分析概要」に示す分析では、受信波から、図18(a)に示す極狭帯域時系列を抽出して分析に用いることで、コンクリート表面S波、コンクリート表面を浅く潜って伝播する直接波(DI波)、及び2段目シースまたは版厚からの反射波の存在によるグラウト充填状態の誤判定を排除している。
しかしながら、このような対処のみでは、誤判定を完全に排除することはできない。
反射P波自動化分析で誤判定を生じさせる問題点と対処法を下記に列挙し、これらに対処する分析の流れを、図22から図24に示している。
まず、1つ目の問題点(以下、問題点(1)とする)は、レーダ計測かぶり厚ds|RC、及びコンクリート縦波音速Vの誤設定により、グラウト充填状態を誤判定することである。図15(a)、及び図18(a)の分析用狭帯域時系列取得で用いるシース反射P波起生時刻t値は、レーダ計測かぶり厚ds|RCを用い、式1のシースかぶり厚dsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換えて算定している。レーダ計測かぶり厚ds|RCは、コンクリート誘電率の誤設定等で実値と異なる場合が多出する。
さらに、式1で用いるコンクリート縦波音速Vは、図14(a)に示す計測対象シースの直上受信波を得る場所と異なる場所(箱桁であれば、近くの隔壁等)で計測せざるを得ない。この2つの場所は、コンクリート打設日時が異なることにより、水セメント比等の打設条件の違いを否定できず、このコンクリート縦波音速Vが計測対象位置のそれと相違することが多出する。
このため、レーダ計測かぶり厚ds|RC、及びコンクリート縦波音速Vを、式1に適用して得るシース反射P波起生時刻tRCを用い、t=t(=tRC)を基準値とする図15(a)、または図18(a)の切り出し波では、その中にシース反射P波を適切に取り込めない場合もある。
多数の分析事例によれば、この問題による計測グラウト充填状態の誤判定の発生率は、50%以上になることもある。この問題への対処を、後述する図22の第1の分析処理(ステップS104)で行っている。
2つ目の問題点(以下、問題点(2)とする)は、計測対象シースかぶり厚が浅くなってくると、シース反射P波の起生時刻前方に振幅の大きなコンクリート表面S波、及び直接波(DI波)が起生し、かつシース反射P波起生時刻後方に振幅の大きい2段目シース、版厚、及び版厚底部コーナーからの反射波が起生して、グラウト充填状態の分析に悪影響を及ぼし、誤判定を呈することがある。この問題を回避するため、分析では、分析用切り出し波を図18(a)に示す極狭帯域時系列とすることを必須としている。
3つ目の問題点(以下、問題点(3)とする)は、後述の第1の分析処理(図22のステップS104)で計測対象シースの分析測点をi=nA~nB(図27、表1参照)とした時、この間のいずれかの測点が、偶然、空隙と充填部分との境界領域となることがある。この問題に対処した分析法を、境界測点i=n1を自動的に求め準備する必要がある。
後述する第6の分析処理(図23のステップS112)で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|のスペクトル形状が特性TAとなるか、特性TBとなるかを特定し、特性TAの場合、後述する第7の分析処理(図24のステップS114~S116)でグラウト充填状態を判定する。
判定結果は、nw>1の多点計測の場合、測点i=nA~nBの全てで「未充填(空)」または「充填不足」となるか、測点i=nA~n1で「未充填(空)」または「充填不足」、そして測点i=n1+1~nBで「完全充填」となる。nw=1の単一点計測の場合、測点はi=1のみとなり、「未充填」または「充填不足」となる。
特性TBの場合、後述する第8の分析処理(図24のステップS117~S119)で、グラウト充填状態を判定する。判定結果は、nw>1の多点計測の場合、測点i=nA~nBの全ての測点で「完全充填」となるか、測点i=nA~n1で「完全充填」、そして、測点i=n1+1~nB(ただし、n1<nB)で「未充填(空)」または「充填不足」となる。nw=1の単一点計測の場合、測点はi=1のみとなり、「完全充填」となる。
上述した処理の具体的分析事例を、後述する「閾値反射P波自動化分析事例」で表3に示す分析例1,2を用いて行っている。
4つ目の問題点(以下、問題点(4)とする)は、計測対象シースかぶり厚が、その長手方向で大きく変化する場合がある。この変化を考慮した計測分析を行わないと、グラウト充填状態を誤判定する。
この問題への対処に、2つの処理を準備している。1つ目の処理は、後述する自動化分析の流れにおける図22の第1の分析処理(ステップS104)で、シースかぶり厚の変化パターンを特定し、このパターン毎にシースかぶり厚を分析用1次かぶり厚ds(1)、またはds(1)及びds(1)として求め、これ等かぶり厚ごとに対応する測点iのグラウト充填状態を判定する機能である(なお、分析用1次かぶり厚ds(1)の(1)は、括弧内の数字を○で囲った囲み文字を表し、後述する図中において囲み文字で図示している。以下同じ。)。
2つ目の処理は、問題点(4)の状況下において、各測点受信波の位相情報が変化してくる。これにより、測点i=1~nw(nw=4)の全てが「未充填(空)」であっても、時系列による加算平均波(WAVE加算)は、個々の測点iのシース反射P波で位相ズレが生じ、「完全充填」または「充填不足」の様相を示すことが多出する。このため、測点i=1~nwのスペクトルの加算平均波(SP加算)を用いて、この問題に対処する分析機能を準備する必要がある。具体的分析事例を後述する「閾値反射P波自動化分析事例」で表3に示す分析例4を用い、図39(a)に示している。なお、図39(a)中のNo.5の実線はSP加算であり、No.5の破線はWAVE加算である。
次に、図22、図23、及び図24に示した解析機器13の制御部136が行う反射P波自動化分析の処理(入力受付処理、第1の収録処理、第2の収録処理、及び第1の分析処理から第8の分析処理)について図22から図27用いて説明する。
まず、解析機器13の制御部136は、オペレータの操作によって解析プログラムを実行すると、図22に示すように、入力受付処理を開始する(ステップS101)。この際、制御部136は、オペレータの入力操作を受け付けて、コンクリート縦波音速V、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び版厚底部コーナーの路程長dwcを取得して、第1の収録処理へ移行する。なお、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び版厚底部コーナーの路程長dwcが不明の場合、オペレータの入力操作によって、入力受付処理をスキップして、第1の収録処理へ移行する。
ここで、コンクリート縦波音速Vは、計測対象PC橋梁の桁梁、または内部空間の間仕切り壁等のコンクリート厚がスケールで確認できる部位での超音波計測によって得られたものである。
また、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び版厚底部コーナーの路程長dwcは、構造図面から得られた計測対象シースの計測位置での値である。
次に、第1の収録処理(図22のステップS102)について説明する。RCレーダ計測において、多点計測の時は、測点1、及び測点nwでのシースかぶり厚dsをそれぞれds|RC左、ds|RC右として計測し、レーダ計測かぶり厚ds|RC=(ds|RC左+ds|RC右)/2を算定する。
さらに、ステップS101で取得したコンクリート縦波音速Vを用いて、当該反射波の起生時刻tRCを、式1のシース反射P波起生時刻tをtRCに、シースかぶり厚dsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換えて求める。単一点計測想定時は、測点i=1でのレーダ計測かぶり厚ds|RCを収録し、多点計測時と同様にして起生時刻tRCを求める。
次に、第2の収録処理(図22のステップS103)について説明する。計測対象シース直上のコンクリート上面4a(図8参照)において、発信探触子11aと受信探触子12aとの中心間距離aを110mm~200mmとして、nw=4を多点計測測点数とする受信波群G(t)|i=1~nwを、図25(実橋梁計測の図)に示すように、図中の左側から右側へ順次、測点i(No.1、No.2、No.3、No.4)として計測している。なお、単一点計測の時はnw=1となる。
受信波は、計測対象シースに向かってコンクリート内部に超音波を5mm秒毎に500回連続発信し、超音波の発信のたびに、面受信ユニット12の受信探触子12aで得る入射波Rを加算平均して求めている。
次に、第1の分析処理(図22のステップS104)について説明する。上述したように、問題点(1)によってレーダ計測かぶり厚ds|RCが実値と異なる場合が生じて、グラウト充填状態の判定を難しくしている。このため、計測対象シースの反射P波起生時刻を正確に求める方法を確立する必要がある。
シース反射P波1次起生時刻をtp(1)とし、これを第1の分析処理で求めている。なお、tp(1)の(1)は、括弧内の数字を○で囲った囲み文字を表し、後述する図中において囲み文字で図示している。
図26(a)は、計測対象シースの1つの測点での中心間距離aを200mmとして計測した超音波受信波のスペクトルと時系列の一例である。図26(a)中の右図の受信波には、RCレーダ計測によるレーダ計測かぶり厚ds|RC=260mmと、ステップS101で取得したコンクリート縦波音速V=4260m/sとを用いて、式1のシースかぶり厚dsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに、シース反射P波起生時刻tを起生時刻tRCに置き換えて得る起生時刻tRC=125.5μ秒を縦カーソルで示している。
また、図26(a)の左図に、スペクトル切り出しのためのF3(f)フィルタ関数を点線で示している。
なお、F3(f)フィルタ関数は、振動数0.0から(f-Δf)の間が「0.0」、振動数(f-Δf)からfの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fから(f+Δf)の間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数(f+Δf)以上で「0.0」となる関数であり、その初期形状を中心振動数f=80kHz、Δf=40kHzとしている。
制御部136は、図26(a)に示したスペクトルをi=3からi=1~nwに拡張し受信波スペクトルF(f)|i=1~nwを求め、F3(f)フィルタ関数を乗じたあと、FFT逆変換で得る時系列波にシース反射P波起生時刻t=tRCを中心時刻とする時刻フィルタ関数TGC4(t)を乗じて図26(b)に示すスペクトルを拡張した受信波スペクトルF(f)|i=1~nw、及び対応する時系列波G(t)|i=1~nwを求めている。
さらに、制御部136は、F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを低振動数または高振動数側へ徐々に移動させるオペレータの操作を、操作部134を介して受け付けている。
この際、制御部136は、F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを低振動数または高振動数側へ移動させるたびに、F3(f)フィルタ関数を受信波スペクトルF(f)|に乗じたのち、FFT逆変換で時系列波G(t)|を得るとともに、この時系列波G(t)|のいずれかの測点iの起生時刻を中心時刻とする時刻フィルタ関数TGC4(t)を、FFT逆変換で得た時系列波G(t)|に乗じるごとに、時刻フィルタ関数TGC4(t)の中心時刻を起生波の起生時刻へ移動させている。
このようにして、制御部136は、時刻フィルタ関数TGC4(t)の中心時刻を、FFT逆変換で得た時系列波G(t)|のいずれかの測点iのシース反射P波の起生時刻に移動させることで、シース反射P波起生時刻tRCの近傍に生ずる時系列波の起生時刻を特定し、これを計測対象シースの分析用1次反射P波起生時刻tp(1)と定義している。
さらに、制御部136は、対応する分析用1次かぶり厚をds(1)と定義し、上述の式2のシース反射P波起生時刻tを分析用1次反射P波起生時刻tp(1)に、シースかぶり厚dsを分析用1次かぶり厚ds(1)に置き換えて測点iごとに分析用1次かぶり厚ds(1)を求めている。
なお、時刻フィルタ関数TGC4(t)は、Δtを40μ秒から60μ秒の間でオペレータによって設定される値として、時刻t=0.0から(tRC-Δt)の間が「0.0」、時刻t=(tRC-Δt)で「0.0」となり時刻t=tRCで「1.0」となるsin形状増加関数、時刻tRCで「1.0」となり時刻t=(tRC+Δt)で「0.0」となるsin形状減少関数、時刻t=(tRC+Δt)以降で「0.0」となる形状の関数である。
図26の受信波にF3(f)フィルタ関数、及び時刻フィルタ関数TGC4(t)を適用して得た図26(b)の右図には、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)が明確に示されている。なお、図26(b)の右図では、上述の時刻フィルタ関数TGC4(t)の中心時刻をtRCからtp(1)に変更して表示している。
本例は、シースかぶり厚ds(1)が225mmと深い場合である。これにより、上述の問題点(2)のコンクリート表面の表面S波、直接波(DI波)の後方残存波がシース反射P波のうえに混入する現象が除去されており、反射P波が明確に示されているが、表層に密に配された鉄筋、表層に生じた目視できない微細なひび割れ等による予期しない探査妨害波の混入などにより、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)の特定が難しいことがある。
この場合、上述したように、オペレータの操作を受け付けて、F3(f)フィルタ関数の振動数f値を徐々に高振動数または低振動数側へ移動させる経緯の中で、時刻フィルタ関数TGC4(t)の中心時刻を起生波の始点に移動させることで、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を正確に特定できる。後述の「閾値反射P波自動化分析事例」の分析例1の振動数fを82kHzとする図28(b)、分析例2の振動数fを100kHzとする図32(a)、分析例3の振動数fを96kHzとする図35(a)、分析例4の振動数fを96kHzとする図38(a)で、この状況を示す分析結果を確認できる。
図26(b)によれば、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)が、起生時刻tRC=125.5μ秒近傍で109.6μ秒となり、起生時刻tRCと分析用1次反射P波起生時刻tp(1)とで16μ秒の差が確認できる。式2での起生時刻tを分析用1次反射P波起生時刻tp(1)に置き換えて得るシースかぶり厚dsが分析用1次かぶり厚ds(1)(=225mm)となり、レーダ計測かぶり厚ds|RC(=260mm)と比べて35mmの差が生じている。
なお、コンクリート縦波音速Vが実値と異なっていれば、分析用1次かぶり厚ds(1)値も実値と異なるが、以降の分析で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いることにより、分析用1次かぶり厚ds(1)の誤認はグラウト充填状態を誤判定させる要因とはならない。
この時刻フィルタ関数TGC4(t)の乗算で得る時系列(太線)のスペクトルを、図26(b)の左図に示している。
本分析例では、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)が極めて明確に特定されているが、この特定が難しい計測例も多数ある。この場合、中心振動数f=80kHzを徐々に高振動数または低振動数方向へ移動させながら、時刻フィルタ関数TGC4(t)を時間軸前後で移動させる経緯の中で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を正確に特定できる。
さらに、上述した問題点(4)によって、各測点i(=1~4)で分析用1次かぶり厚ds(1)(分析用1次反射P波起生時刻tp(1))が変化する計測例が多数ある。この問題への対処のため、前記分析で各測点ごとに分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を求め、図27に示す如く、各測点iでの分析用1次かぶり厚ds(1)の変化状況をパターン化し、「パターン(0)」、「パターン(1)~(4)」、「パターン(1´)~(4´)」とし、パターン毎に分析用1次かぶり厚をds(1)、ds(1)、及びds(1)の3種に分け、このかぶり厚の測点毎にグラウト充填状態の分析を行っている。
例えば、図27の「パターン(0)」であれば、No.1測点からNo.4測点の全てで、分析用1次かぶり厚がds(1)となる。
また、図27の「パターン(1)」であれば、No.1測点の分析用1次かぶり厚ds(1)がds(1)となり、No.2測点、No.3測点、及びNo.4測点の分析用1次かぶり厚ds(1)、ds(1)、及びds(1)の平均値がds(1)となる。
これより以降のNo.1測点のグラウト充填状態の分析では、ds(1)を分析用1次かぶり厚とし、No.2測点、No.3測点、及びNo.4測点のグラウト充填状態の分析では、ds(1)を分析用1次かぶり厚とする。
また、図27の「パターン(2´)」であれば、No.1測点の分析用1次かぶり厚ds(1)と、No.2測点の分析用1次かぶり厚ds(1)との平均値がds(1)となり、No.3測点の分析用1次かぶり厚ds(1)とNo.4測点の分析用1次かぶり厚ds(1)との平均値がds(1)となる。
これより以降のNo.1測点、及びNo.2測点のグラウト充填状態の分析では、ds(1)を分析用1次かぶり厚とし、No.3測点、及びNo.4測点の充填状態の分析では、ds(1)を分析用1次かぶり厚としている。
また、図27の「パターン(2),(3),(4)」、及び「パターン(1´),(3´),(4´)」でも、それぞれ「パターン(1),(2´)」にならいds(1)またはds(1)を、分析用1次かぶり厚として、グラウト充填状態を分析する測点iの組み合わせを特定する。
以上を整理して、各パターンの分析用1次かぶり厚ds(1)、またはds(1)、あるいはds(1)ごとに、その開始測点nA、及び終了測点nBを、多点計測点数nw=4として、表1に示す。
Figure 2022075581000043
なお、表1において、単一点計測の場合、「パターン(0)」、かつ開始測点nA=1、終了測点nB=1とする。
また、表1において、nw値が「4」を超える場合、nw値に応じてパターン数が増加する。
表1を用いて、分析用1次かぶり厚ds(1)、またはds(1)、あるいはds(1)ごとに対応する測点iのグラウト充填状態を以降の分析で判定する。
次に、第2の分析処理(図22のステップS105)について説明する。第2の分析処理は、図14(a)に示す受信波と加算平均波との並びである受信波群G(t)|i=1~nw+1に対応する受信波スペクトルF(f)|i=1~nw+1にA(f)フィルタ関数を乗じ、図14(b)に示す分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を求め、対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で求めている。
(f)フィルタ関数は、振動数f=-10kHzからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=fからfが「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=fからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=fから(f+30kHz)が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=(f+30kHz)以上で「0.0」となる関数である。なお、中心振動数fを(f-10kHz)/2≒20kHz、振動数fをオペレータの操作によって設定される50kHz-Δf<f<50kHz+Δf(ただしΔf=5kHz)の範囲のいずれかの値、振動数fを80kHzとしている。
第2の分析処理のあと、上述した第1の分析処理で作成された表1のシースかぶり厚パターン毎にグラウト充填状態の分析を、図22のステップS106を経て移行した第1の処理、または第2の処理、及び第3処理で行っている。
より詳しくは、上述した第1の分析処理で作成されたパターンが「パターン(0)」の場合(ステップS106:No)、第1の処理へ移行し、「パターン(1)~(4)」、及び「パターン(1´)~(4´)」の場合(ステップS106:Yes)、第2の処理へ移行し、その後、第3の処理へ移行する。
第1の処理(図22のステップS107)は、上述した問題点(4)を持たない表1の「パターン(0)」の分析用1次かぶり厚ds(1)のグラウト充填状態を分析判定する。表1の「パターン(0)」の開始測点nA、及び終了測点nBを用いて、測点i=nA~nBでグラウト充填状態が同一となる計測対象シース、または問題点(3)の空隙と充填部分との境界を持つ計測対象シースに対処して分析判定を終了する。なお、第1の処理は、単一点計測(測点i=1)の分析判定にも対処する。
第2の処理(図22のステップS108)は、上述した問題点(4)を持つ表1の「パターン(1)~(4)」、及び「パターン(1´)~(4´)」の分析用1次かぶり厚ds(1)のグラウト充填状態を分析判定する。表1のパターン毎の開始測点nA、及び終了測点nBを用いて、測点i=nA~nBでグラウト充填状態が同一となる計測対象シース、または測点i=nA~nBで問題点(3)の空隙と充填部分との境界を持つ計測対象シースに対処した後、第3の処理へ移行する。なお、第2の処理は、単一点計測の分析判定には対処しない。
第3の処理(図22のステップS109)は、上述した問題点(4)を持つ表1の「パターン(1)~(4)」、及び「パターン(1´)~(4´)」の分析用1次かぶり厚ds(1)のグラウト充填状態を分析判定する。表1のパターン毎の開始測点nA、及び終了測点nBを用いて、測点i=nA~nBでグラウト充填状態が同一となる計測対象シース、または測点i=nA~nBで問題点(3)の空隙と充填部分との境界を持つ計測対象シースに対処して分析判定を終了する。なお、第3の処理は、単一点計測の分析判定には対処しない。
図22にシース反射P波閾値分析の流れを示しているが、このうち、第1の処理(図22のステップS107)を図23、及び図24に示している。
第2の処理(図22のステップS108)は、第1の処理の内容と同一である。ただし、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び後述する分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を、それぞれtp(1)、tp(2)に置き換えた処理となる。
第3の処理(図22のステップS109)は、第1の処理の内容と同一である。ただし、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び後述する分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を、それぞれtp(1)、tp(2)に置き換えた処理となる。
ここで、第1の処理について詳述する。第1の処理は、図23のステップS111に示すように、連続する第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理を、シースかぶり厚の「パターン(0)」の分析用1次かぶり厚ds(1)(分析用1次反射P波起生時刻tp(1))を用いて開始する。
まず、第3の分析処理は、上述した分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1に時刻tを基準時刻とする時刻フィルタ関数TGC1(t)、及びTGC2(t)を乗じ、図15(a)に示す分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1を求め、FFT変換で対応するスペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1を図15(b)に示すように求めている。
なお、以降の分析で用いる分析用切り出し波GB(1)(t)|、及びスペクトルFB(1)(f)|は、図15(a)の代わりに、図18(a)の極狭時間帯域の切り出し波としている。これは、上述した問題点(2)に対処するために、コンクリート表面S波と、直接波(DI波)と、2段目シース、版厚、及び版厚底部コーナーからの振幅の大きい反射波等によるグラウト充填状態の判定結果への悪影響を除去、低減するための対処である。さらに、同様の対処のために、時刻フィルタ関数TGC1(t)と時刻フィルタ関数TGC2(t)の設定を変更している。
時刻フィルタ関数TGC1(t)は、基準時刻をt=tp(1)+Δth1(Δth1=6μ秒)とし、時刻t=0.0で「0.0」となり、基準時刻tで「1.0」となるsin形状増加線分、及び時刻t=t以降が「1.0」となるTGCA(t)関数を用い、TGC1(t)=(TGCA(t))neとしている(ただし、ne=50とする)。
また、時刻フィルタ関数TGC2(t)は、基準時刻をt=tp(1)とし、時刻t=0.0からtが「1.0」、時刻t=tで「1.0」となり、時刻t=400μ秒で「0.0」となるsin形状減少線分、時刻t=400μ秒以降が「0.0」となるTGCB(t)関数を用い、TGC2(t)=(TGCB(t))nfとしている(ただし、nf=150とする)。
なお、Δth1、ne、nfは、今後の多数シースの計測分析で、後述する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1のスペクトル形状がグラウト充填状態の未充填または充填を明確に示す最適値が得られれば変更される。
また、分析用切り出し波GB(1)(t)|、及びスペクトルFB(1)(f)|は、測点i毎に、その最大値を1.0に基準化している。
次に、第4の分析処理は、上述したスペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1の分析用切り出し波ごとのスペクトルで振動数fよりも低振動数の最大スペクトル値を「1.0」と基準化した後、振動数fよりも高振動数側の最大スペクトル値を閾値ασ(=0.5)とする図15(c)に示すスペクトル形状変換処理(以降、閾値処理と呼ぶ)で、分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1を求め、FFT逆変換で分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1を求める。また、分析用1次時系列GC(1)は、測点i=1~nw+1毎に、その最大値を「1.0」に基準化して表示する。
なお、閾値ασの値は、今後の多数のシース管の分析検討で、0.5~0.75の中より、後述する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)ncのスペクトル形状がグラウト充填状態をより適切に明示する値を特定した時は、この値を閾値ασに変更する。
次に、第5の分析処理は、上述の閾値処理された分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1に台形窓関数A(図16(a)参照)を、時刻t(=tp(1)-Δtp1)から時刻t(=tp(1)+Δtp2)までΔt間隔で移動させるたびに乗じて切り出す時系列に対応するスペクトルにおいて、振動数f以下に生じる最大スペクトル値を「1.0」に基準化したとき、振動数f以上に生じる最大スペクトル値を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2として、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1(図16(b)、図20(a)参照)を作成し表示している。
また、時刻の推移毎に、振動数f以下、及び振動数f以上に生じる最大スペクトル値を比較し、大きい方のスペクトル値を「1.0」に基準化して得るスペクトルを時刻掃引f,fスペクトルとし、SPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1(図17(b)、図21(b)参照)を作成し表示している。指数であるncは、SPf2(1)(f,t)ncが空隙部分と充填部分とで明確に区分されるようにする係数であり、本実施例ではnc=2としている。
なお、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)ncは最大エントロピー法スペクトル表示(以降、MEMスペクトル表示と呼ぶ)としている。
なお、上述の台形窓関数Aの形状を、図16(a)の時刻tの場合で示せば、時刻t=0.0からt-5の間を「0.0」とし、時刻t=t-5で「0.0」となり、時刻tで「1.0」となるsin形状増加関数、時刻t=tからt+tが「1.0」、時刻t=t+tで「1.0」となり、時刻t=t+t+5で「0.0」となるsin形状減少関数、時刻t=t+t+5以降の「0.0」となる関数である。
形状設定用係数のうち、時刻tは表2で分析用1次かぶり厚ds(1)及び分析用2次かぶり厚ds(2)毎に示している。また、Δt=2μ秒としている。
さらに、Δtp1、及びΔtp2は、概略値としてΔtp1=19μ秒、Δtp2=82μ秒とし、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)ncの変化の形状を確認し易い値をオペレータが設定することを可能としている。例えば、後述する分析例(表3の分析例1)では、図29(a)及び図29(b)に示すように、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)=130.1μ秒の場合、Δtp1を11.2μ秒、Δtp2を94.4μ秒としている。
さらに、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、または版厚底部コーナーの路程長dwcの反射P波、反射M波、及び反射M波のうち、tp(1)-Δtp1からtp(1)+Δtp2の間で生ずる反射波の起生時刻td2s、tM1d2s、tM2d2s、及び起生時刻tdw、tM1dw、tM2dwを縦カーソルで表示可能としている。
これら反射波の起生時刻は、上述の式4、式5、及び式6で、2段目シース反射P波起生時刻tを反射P波の起生時刻td2sに、2段目シース反射M波の起生時刻tM1を反射M波の起生時刻tM1d2sに、2段目シース反射M波の起生時刻tM2を反射M波の起生時刻tM2d2sに置き換え、または版厚反射P波起生時刻tを反射P波の起生時刻tdwに、版厚反射M波の起生時刻tM1を反射M波の起生時刻tM1dwに、版厚反射M波の起生時刻tM2を反射M波の起生時刻tM2dwに置き換えて求めている。なお、版厚底部コーナーの路程長dwcからの反射波も同様の対処で求めている。
Figure 2022075581000044
次に、第6の分析処理(図23のステップS112)で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBの形状から特性TAが選択され、空隙部分と充填部分との境界測点をn1と特定した場合(ステップS113:1)、第7の分析処理における特性TAの処理(第1TA処理、及び第2TA処理)へ移行する。
または、第6の分析処理(図23のステップS112)で特性TBが選択され、充填部分と空隙部分との境界測点をn1と特定した場合(ステップS113:2)、第8の分析処理における特性TBの処理(第1TB処理、及び第2TB処理)へ移行する。
一般的に、グラウト充填状態の探査は、桁または側壁の端部で行うことにより、問題点(3)として上述したように、未充填または充填不足と、完全充填との境界となる事象が多発する。特性TAの処理(第1TA処理、第2TA処理)、及び特性TBの処理(第1TB処理、第2TB処理)は、この問題点(3)に対処する処理の流れである。
ここで、特性TAは、ΔtB1=6μ秒、及びΔtB2=12μ秒として、時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nAの値が、時刻tの増分毎に増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを上回る状況となる場合であり、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|の値が時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを上回っていることを測点i=nA~n1(n1≦nB)で確認でき、かつn1<nBとなるとき、測点i=n1+1~nBの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回ることを確認して、計測対象シースの「未充填または充填不足」と「完全充填」との境界測点i=n1を特定する。
一方、特性TBは、ΔtB1=6μ秒、及びΔtB2=12μ秒として、時刻tp(1)+ΔtB2で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nAが閾値ασを下回る状況となる場合であり、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|の値が時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回っていることを、測点i=nA~n1(n1≦nB)で確認でき、かつn1<nBとなるとき、測点i=n1+1~nBの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えることを確認して、計測対象シースの「完全充填」と「未充填または充填不足」との境界測点i=n1を特定する。
引き続き、第7の分析処理(図24のステップS114~ステップS116)における第1TA処理、及び第2TA処理について詳述する。
第7の分析処理における第1TA処理(図24のステップS114)は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、上述のn1を用いた測点i=nA~n1(n1≦nB)ごとに、ΔtB1=6μ秒、ΔtB2=12μ秒とする時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασ=0.5を超えている時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに、時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で、閾値ασを超える時刻をtとし、この平均値をtとし、または単一点計測の場合、t=tとして次の式12でΔtを求め、次の式13で分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を特定する。
分析用2次かぶり厚ds(2)は、式2で起生時刻tを分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に、シースかぶり厚dsを分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて求めている。
なお、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、及び分析用2次かぶり厚ds(2)は、計測対象シースにおける対象測点のグラウト充填状態を正確に自動特定するために準備している。
Figure 2022075581000045
Figure 2022075581000046
ここで、式13の係数0.33は、多数の分析事例で特定したΔtに乗ずる値である。
この後、第3の分析処理、及び第4の分析処理の再度の処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換え、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成する。
次に、第5の分析処理の再度の処理で、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に対応する分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする時刻掃引処理で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成している。
この際、制御部136は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、加算平均波は、測点i=nA~n1のGC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1は、式14で作成し直している。
Figure 2022075581000047
さらに、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、式15で、スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、位相情報をスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1のそれに変更し、この後、FFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成する。なお、FC、及びGCは、数式において、それぞれFCの上、GCの上に“~”を付された符号を表す。
Figure 2022075581000048
その後、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理に、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及び上述のSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を適用し、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて、WAVE加算とSP加算との双方で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直している。
この際、制御部136は、WAVE加算及びSP加算双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を、それぞれオペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
次に、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1と、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=nA~n1の各々での、及びSP加算i=nw+1での充填状態を、以下の処理で自動判定する。
空充判定線分α σ値、及び空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて、時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|を求め、これをSPt*として、次の式16で示すグラウト充填状態判定式に基づいて、グラウト充填状態を「未充填」、または「充填不足」と自動判定する。なお、α σ値は、数式において、αの上に“~”を付された符号を表す。この第1TA処理での自動判定結果と、上述の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1とを一緒にして表示部135に自動表示している。
Figure 2022075581000049
ここで、空充判定線分α σ値は、閾値ασ=0.5を用いてα σ=ασ+0.06としている。空充判定カーソルt=tp(2)+*の*値は、多数シースの充填状態分析例により得た平均値であり、表2で分析用1次かぶり厚ds(1)及び分析用2次かぶり厚ds(2)ごとに設定している。
第1の分析処理で得る表1のシースかぶり厚パターン毎の開始測点nA、終了測点nBを用い、n1=nBの場合(図24のステップS115:Yes)、測点i=nA~nBの全測点におけるグラウト充填状態を判定済みのため、判定結果を表示部135に表示したのち、第7の分析処理の第2TA処理をスキップして、全ての処理を終了する。なお、単一点計測の場合も第7の分析処理の第2TA処理をスキップして、全ての処理を終了する。
なお、第1の処理は、分析用1次かぶり厚ds(1)が一定値の「パターン(0)」の場合であり、測点i=nA~nBの反射P波位相情報が同一となる。
これより、第1TA処理において、SP加算及びWAVE加算のいずれの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1でもグラウト充填状態は同一の分析結果(充填不足または未充填)となる。なお、分析用1次かぶり厚ds(1)が同一値とはいいながら、若干の違いがあれば、WAVE加算では測点i=nA~n1のシース反射P波の位相が変化することにより、この波の振幅が低減する。
これより、オペレータの操作でi=nw+1をWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在有無を確認できるようにしている。
一方、n1<nBの場合(図24のステップS115:No)、測点i=n1+1~nBにおけるグラウト充填状態を判定するため、第2TA処理へ移行する。
第7の分析処理における第2TA処理(図24のステップS116)は、多点計測の場合にのみ適用し、自動的に単一点計測には適用されず、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、測点i=n1+1~nBごとに、ΔtB1=6μ秒、及びΔtB2=12μ秒として、時刻tp(1)+ΔtB2で、閾値ασ=0.5を下回るとき、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる後方で測点i=n1+1~nBの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασ=0.5を超える時刻をtとし、次の式17を満足させる測点iの時刻t値を選定する。
Figure 2022075581000050
ここでtM1(1)は、上述の式4、式5、及び式6でシース反射P波起生時刻tをtp(1)に、シース反射M波の起生時刻tM1をtM1(1)に、シース反射M波の起生時刻tM2をtM2(2)に置き換えて得るシース反射M波起生時刻tM1(1)≒(tp(1)+tp(1)/0.62)/2である。なお、係数0.62は、一般的なコンクリートの横波音速V/縦波音速Vで求めている。
これら時刻tの平均値を時刻平均値tとして、次の式18でΔtを求める。なお、式17を満足させる時刻t値がない場合、時刻平均値t=tM1(1)として、式18でΔtを求める。
Figure 2022075581000051
分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)を、次の式19で求めている。
Figure 2022075581000052
ここで、係数0.65は、多数の分析結果より得た平均値である。
分析用2次反射P波起生時刻tp(2)は、次の式20で算定される。
Figure 2022075581000053
式8の関係が分析用1次反射P波起生時刻tp(1)の増減分量と、シース反射M波起生時刻tM1(1)の増減分量Δtとの関係でも成立することにより、次の式21が成立する。
Figure 2022075581000054
分析用2次かぶり厚ds(2)は、式2のtを分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に、式2のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて求めている。
なお、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、及び分析用2次かぶり厚ds(2)は、計測対象シースの対象測点のグラウト充填状態を正確に自動特定するために準備している。
この後、第3の分析処理、及び第4の分析処理の再度の処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換え、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成する。
次に、第5の分析処理の再度の処理で、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする時刻掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成している。
この際、制御部136は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、加算平均波は、測点i=n1+1~nBのGC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1は、次の式22で作成し直している。
Figure 2022075581000055
さらに、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、次の式23でスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、位相情報をスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1のそれに変更し、この後、FFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成する。
Figure 2022075581000056
次に、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及び上述のSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて、WAVE加算とSP加算の双方で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直している。
この際、制御部136は、WAVE加算及びSP加算双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を、それぞれオペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
その後、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBと、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を自動判定する。
空充判定線分α σ値、及び空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて、時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|を求め、これをSPt*として、式16に示したグラウト充填状態判定式に基づいて、グラウト充填状態を「完全充填」と判定し、この第2TA処理での判定結果と、上述の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1とを一緒にして表示部135に自動表示して分析を終了する。
この際、第7の分析処理の第1TA処理と同様に、第2TA処理でもオペレータの操作でi=nw+1をWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在の有無を確認できるようにしている。
後述の「閾値反射P波自動化分析事例」の表3の分析例3(測点i=1~4:完全充填)の分析による測点i=1~4、及びi=5(SP加算)での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|を図36(a)に示している。
空充判定カーソルt=tp(2)+*(ただし、分析例3では分析用2次かぶり厚ds(2)=201mmより、表2で*=16)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(t)|i=1~5で完全充填と自動判定されている。
なお、分析オペレータの操作によるi=5(WAVE加算)の時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を図36(b)に示している。SP加算でも完全充填の形状を示すことになる。
引き続き、第8の分析処理(図24のステップS117~ステップS119)における第1TB処理、及び第2TB処理について詳述する。
第8の分析処理における第1TB処理(図24のステップS117)は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、上述の境界測点n1を用いた測点i=nA~n1(n1≦nB)ごとに、ΔtB1=6μ秒、ΔtB2=12μ秒として、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασ=0.5を下回るとき、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる後方の時刻で測点i=nA~n1の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασを超える時刻をt(ただし、単一点計測の場合、時刻t=t)とし、これらの平均値をtとし、閾値ασを超える時刻tがない時は第1の分析処理(図22のステップS104)で得る分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いて、上述の第7の分析処理における第2TA処理と同一の手順によりt=tM1(1)として、上述の式17、式18、式19、式20、及び式21を用いて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を特定し、式2で起生時刻tを分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に、シースかぶり厚dsを分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を求めている。
その後、第3の分析処理、及び第4の分析処理の再度の処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換え、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成する。
次に、第5の分析処理の再度の処理で、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に対する分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする時刻掃引処理で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成している。
この際、制御部136は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、加算平均波は、測点i=nA~n1のGC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1は、下記の式14で作成し直している。
Figure 2022075581000057
さらに、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、下記の式15でスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、位相情報をスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1のそれに変更し、この後、FFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成する。
Figure 2022075581000058
その後、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理に、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及び上述のSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を適用し、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて、WAVE加算とSP加算の双方で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成している。
この際、制御部136は、WAVE加算及びSP加算双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を、それぞれオペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
次に、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1と、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を判定する。空充判定線分α σ値、及び空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて、時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|を求め、これをSPtとして、式16のグラウト充填状態判定式に基づいて、グラウト充填状態を「完全充填」と自動判定し、この第1TB処理での自動判定結果と、上述の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1とを一緒にして表示部135に自動表示している。
なお、オペレータの操作でi=nw+1をWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在の有無を確認できるようにしている。
第1の分析処理で得る表1のシースかぶり厚パターン毎の開始測点nA、及び終了測点nBを用い、n1=nBの場合(図24のステップS118:Yes)、測点i=nA~nBの全測点におけるグラウト充填状態が判定済みのため、判定結果を表示部135に表示したのち、第8の分析処理の第2TB処理をスキップして、全ての処理を終了する。なお、単一点計測の場合も第8の分析処理の第2TB処理をスキップして、全ての処理を終了する。
一方、n1<nBの場合(図24のステップS118:No)、測点i=n1+1~nBにおけるグラウト充填状態を判定するため、第2TB処理へ移行する。
第8の分析処理における第2TB処理(図24のステップS119)は、多点計測の場合にのみ適用し、自動的に単一点計測には適用されず、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、測点i=n1+1~nB(nB=nw)ごとに、ΔtB1=6μ秒、ΔtB2=12μ秒とする時刻tp(1)-ΔtB1から時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασ=0.5を超えている時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=n1+1~nBごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で閾値ασを超える時刻をtとし、測点iごとの時刻tの平均値である時刻平均値tを求め、上述の式12でΔtを求め、上述の式13で分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を特定する。
対応する分析用2次かぶり厚ds(2)は、式2で起生時刻tを分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に、シースかぶり厚dsを分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて求める。
その後、第3の分析処理、及び第4の分析処理の再度の処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換え、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成する。
次に、第5の分析処理の再度の処理で、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に対する分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする時刻掃引処理で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成している。
この際、制御部136は、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、加算平均波は、測点i=n1+1~nBのGC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を、式22で作成し直している。
Figure 2022075581000059
さらに、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、式23でスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、位相情報をスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1のそれに変更し、この後、FFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成する。
Figure 2022075581000060
次に、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及び上述のSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて、WAVE加算とSP加算との双方で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直している。
この際、制御部136は、WAVE加算及びSP加算双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を、それぞれオペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
その後、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBと、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、以下の処理で自動判定する。
空充判定線分α σ値、及び空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて、時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|を求め、これをSPtとして、式16のグラウト充填状態判定式に基づいて、グラウト充填状態を「未充填」または「充填不足」と自動判定し、この第2TB処理での判定結果と、上述の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1とを一緒にして表示部135に自動表示している。
この際、第7の分析処理の第1TA処理と同様に、第8の分析処理の第2TB処理でもオペレータの操作でi=nw+1をWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での2つの時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在の有無を確認できるようにしている。
引き続き、図22のステップS106において、「パターン(0)」でない場合(ステップS106:Yes)、解析機器13が開始する第2の処理(図22のステップS108)、及び第3の処理(図22のステップS109)について詳述する。
シースかぶり厚パターンが図27に示す「パターン(1)~(4)」、「パターン(1´)~(4´)」となる場合、パターン毎に、表1の開始測点nA、及び終了測点nBを用いて、分析用1次かぶり厚ds(1)による第2の処理、及び分析用1次かぶり厚ds(1)による第3の処理を順次行う。ただし、単一点計測の場合、第1の処理で分析がなされることにより、これらの第2の処理、及び第3の処理は行われない。
まず、第2の処理(図22のステップS108)は、図23、及び図24に示した第1の処理と同一の分析の流れで、かつ、その処理内容も第1の処理と同一である。
ただし、第2の処理は、第1の処理における分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)をtp(2)に、分析用2次かぶり厚ds(2)をds(2)に、シース反射M波起生時刻tM1(1)をtM1(1)に、分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)をtM1(2)に置き換える。
また、第3の処理(図22のステップS109)は、図23、及び図24に示した第1の処理と同一の処理の流れで、かつ、その処理内容も第1の処理と同一である。
ただし、第3の処理は、第1の処理における分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)をtp(2)に、分析用2次かぶり厚ds(2)をds(2)に、シース反射M波起生時刻tM1(1)をtM1(1)に、分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)をtM1(2)に置き換える。
ところで、上述した問題点(4)が存在する場合、第1の処理、第2の処理、及び第3の処理でのWAVE加算による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1を用いてのグラウト充填状態の判定は、「未充填」を「完全充填」または「充填不足」と誤判定することが多出する。
後述する「閾値反射P波自動化分析事例」の表3に示す分析例4の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を図39(a)に示している。
図39(a)では、No.5(=No.1+No.2+No.3+No.4)SP加算による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5を実線で示し、No.5(=No.1+No.2+No.3+No.4)WAVE加算による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5を点線で示している。
図39(a)は、削孔で「未充填」と確認されている計測対象シースであり、空充判定カーソルt=tp(2)+*(ただし、表3の分析例4の分析用2次かぶり厚ds(2)=198mmより、表2で*=16)の時刻で、SP加算(実線)では、空充判定線分α σを大きく超え、未充填(正解)と判定されているが、WAVE加算(点線)では、空充判定線分α σを若干超えるだけとなっている。
同シースの図38(a)に示すシース反射波起生状況をみると、測点i=2,3,4で同一位相となっているが、測点i=1は約半波位相ズレが生じている。問題点(4)によるこの程度のシースかぶり厚の変化であっても、WAVE加算による分析では、グラウト充填状態の判定に悪影響を与えることを示している。
ここで、問題点(4)の存在を確認する方法と、その対処法を整理する。第1の処理(ステップS107)、第2の処理(ステップS108)、及び第3の処理(ステップS109)ごとの第7の分析処理の第1TA処理(ステップS114)及び第2TA処理(ステップS116)、並びに第8の分析処理の第1TB処理(ステップS117)及び第2TB処理(ステップS119)でそれぞれの分析用2次反射P波起生時刻tp(2)またはtp(2)あるいはtp(2)ごとに、計測対象シースの対応する測点群を選定し、上述の式14のWAVE加算、上述の式15のSP加算、または上述の式22のWAVE加算、上述の式23のSP加算を介して、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1をWAVE加算及びSP加算の双方で求めている。
この際、制御部136は、WAVE加算及びSP加算双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)、及び空充判定カーソルt=ts(2)+*の時刻での時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)|i=1~nw+1を、それぞれオペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
正解を得る加算波がSP加算ということより、自動化処理では、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1(SP加算)を用いて、グラウト充填状態の分析を行っている。
オペレータの操作によって、WAVE加算を用いた時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1(WAVE加算)でも、式16のグラウト充填状態判定式を用いてグラウト充填状態を分析し、双方の充填状態を図39(a)に示す如く比較し、問題点(4)の存在の有無を確認し、かつSP加算による計測対象シースのグラウト充填状態の分析結果の正当性をオペレータが確認できる。
このような分析結果の対比をオペレータの本閾値分析における分析検討能力を向上させる手段として位置付けている。なお、採用する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1がSP加算で「未充填または充填不足」であり、WAVE加算で「完全充填」となる場合は、問題点(4)の存在により「未充填または充填不足」が正解であり、SP加算及びWAVE加算の双方で「未充填」の場合は、問題点(4)の有無に関わらず「未充填」が正解であり、SP加算及びWAVE加算の双方で「充填不足」または「未充填」のいずれかの場合は、問題点(4)の有無に関わらず「充填不足」が正解であり、SP加算で「完全充填」となる場合は、問題点(4)の有無に関わらずWAVE加算でも必ず「完全充填」となる。
<閾値反射P波自動化分析事例>
図22、図23、及び図24の分析の流れに沿う閾値反射P波分析を、多数の計測済みPC橋梁シースの中より選定したシース受信波を用いて具体的に説明する。
次の表3に示す4本のシースは、上述した4つの問題点(1)から(4)のいずれか、または4つの問題点(1)から(4)の組み合わせに対処する分析例である。
Figure 2022075581000061
表3は、シース径欄が計測対象シースの直径(全てφ38)を示し、版厚欄、2段目シース欄、及びRCレーダ欄が、それぞれ分析を妨害する版厚d、2段目シースd2s、計測対象シースのレーダ計測かぶり厚ds|RCを示している。さらに、削孔欄が削孔で確認した削孔かぶり厚ds|、及びグラウト充填状態を示している。
加えて、分析用1次かぶり厚欄が、第1の分析処理(ステップS104)で得た各側点での分析用1次かぶり厚ds(1)(またはds(1)、及びds(1))を示している。さらにまた、分析用2次かぶり厚欄が、第7の分析処理、及び第8の分析処理で求めた分析用2次反射P波起生時刻tp(2)(またはtp(2)及びtp(2))に対応する各測点の分析用2次かぶり厚ds(2)(またはds(2)、及びds(2))を示している。
さらにまた、空充判定欄が、自動分析によるグラウト充填状態の判定結果、及び分析オペレータによるグラウト充填状態の判定結果を示し、白丸印が「未充填」を示し、白三角印が「充填不足」を示し、黒丸印が「完全充填」を示している。
<分析例1>
分析例1は、上述した4つの問題点(1)から(4)に対処する分析となる。なお、分析例1の計測対象シースは、表層の密なる配筋下、測点i=1と測点i=2との中間位置での削孔等によって、「完全充填」と確認されている。
分析例1では、図22の第1の収録処理(ステップS102)、及び第2の収録処理(ステップS103)を経て、測点i=1~4の受信波、及びi=5の加算平均波(No.1+No.2+No.3+No.4)のスペクトルと、時系列とを得ている。
さらに、分析例1は、別途、削孔で得た削孔かぶり厚ds|(=260mm)に対応する起生時刻t(=125.5μ秒)を、別途求めたコンクリート縦波音速Vを用いて式1で求め、t=tを基本時刻とする時刻フィルタ関数TGC4(t)を前記時系列に乗じて、図28(a)に示す時系列(図中の太線)と対応するスペクトルを得る。
第1の分析処理(図22のステップS104)において、図26(a)に示すF3(f)フィルタ関数を、図28(a)のスペクトルに乗じて得た図28(b)によれば、測点i=1で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)となり、測点i=2,3,4の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)の平均値がtp(1)となり、計測対象シースのかぶり厚の状況が、図27に示した「パターン(1)」となっている。
測点i=1の分析用1次かぶり厚ds(1)と、測点i=2,3,4の分析用1次かぶり厚ds(1)の平均値ds(1)とは、対応する分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、またはtp(1)をそれぞれ式2の起生時刻tに適用して得たds値である。
なお、分析例1では、第1の分析処理において、F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを、図28(b)の視認下でのオペレータの操作によって、f=80kHzからf=82kHzに移動させている。
次に、第2の分析処理(図22のステップS105)において、受信波(i=1~4)、及び加算平均波(i=5、WAVE加算)のスペクトル(図14(a)参照)にA(f)フィルタ関数を乗じ、図14(b)に示すような分析用スペクトルFA(f)|i=1~5、及び分析用時系列GA(t)|i=1~5を求めている。
まず、分析用1次かぶり厚ds(1)(分析用1次反射P波起生時刻tp(1))の測点i=1でのグラウト充填状態を判定する。シースかぶり厚パターンが「パターン(1)」のため(図22のステップS106:Yes)、第2の分析処理で作成した分析用時系列GA(t)|i=1~5に、第2の処理(図22のステップS108)における第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理(図23のステップS111)を順次適用し、第3の分析処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いた分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~5(図18(a)参照)を、極狭時間帯域波として求め、この波をFFT変換してスペクトルFB(1)(f)|i=1~5を求めている。
さらに、第4の分析処理でスペクトルFB(1)(f)|i=1~5を閾値処理して求めた分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~5(図18(b)参照)をFFT逆変換して分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~5を求め、第5の分析処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いて、図29(a)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~5(図中でSPf2と表示)、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~5(図示せず)を求めている。なお、図中において、図示を明確にするため「|」の付記を省略している。
表1によれば、分析例1は、「パターン(1)」であることから、分析用1次かぶり厚ds(1)の場合、nA=nB=1と目視されるため、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1を太線で表示している。
次に、第6の分析処理(図23のステップS112)で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1の形状により、特性TAが選択され、かつn1=nB=1と特定される。
時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1が、ΔtB1=6μ秒、ΔtB2=12μ秒とする時刻tp(1)-ΔtB1から順次増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えていると確認できるため、この選択がなされ、第7の分析処理の第1TA処理(図24のステップS114)へ移行する。
図29(a)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、nA=1、n1=nB=1)により、時刻平均値t=tとなり、式12、及び式13の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)をtp(2)に置き換えて、Δt、及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を求めている。
その後、第3の分析処理、及び第4の分析処理の再度の処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換え、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~5の代わりに、分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~5を作成し、次に第5の分析処理の再度の処理で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~5を作成したのち、表示部135に表示している。
ところで、加算平均波i=5は、式14、及び式15を用いたWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=5、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=5の双方となる。このため、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aの掃引処理に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=5、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=5を適用し、WAVE加算とSP加算との双方で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5を作成し直したのち、表示部135に表示している。
分析例1は、偶然、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)≒分析用1次反射P波起生時刻tp(1)となっており、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|と時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|とが略同一の形状となることにより、図29(a)を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5として、測点i=1またはi=5のSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|を用いて、測点i=1のグラウト充填状態を判定している。なお、nA=nB=1ということにより、SP加算とWAVE加算による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|は同一となり、同一の分析結果となる。
上述の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1,5(=SPt)によれば、空充判定カーソルt=tp(2)+*(ただし、表3の分析例1の分析用2次かぶり厚ds(2)=275mmより、表2から*=18)の時刻で空充判定線分α σ=0.56を超えており、式16に示すグラウト充填状態判定式でα σ<SPti=1,5<α σ+0.18となるため、「充填不足」と自動判定し、第1TA処理を終了する。なお、図29(a)中において、図示を明確にするため、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、ds(1)、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、及びds(2)は、「|」の付記を省略している。
図29(a)は、白四角印で示す縦カーソルで、2段目シース反射P波起生時刻td2sを示している。測点i=2~4における2段目シース反射P波(図中の細実線)が、2段目シース反射P波起生時刻td2s近傍から生じていることを確認できる。
なお、分析用1次かぶり厚ds(1)(=270mm)、及び分析用2次かぶり厚ds(2)(=275mm)は、それぞれ式2のtを分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及びtp(2)に置き換えて求めている。
また、図29(b)に測点i=1の充填不足を示す時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を図示している。
第7の分析処理の第1TA処理を終了すると、n1=nB(=1)のため(図24のステップS115:Yes)、解析機器13は、第7の分析処理の第2TA処理をスキップするとともに、第2の処理を終了して、分析用1次かぶり厚ds(1)となる測点の分析を行う第3の処理(図22のステップS109)へ移行する。
これより、分析用1次かぶり厚ds(1)の測点i=2,3,4のグラウト充填状態の分析となる。第3の処理において、上述の第2の分析処理で作成した分析用時系列GA(t)|i=1~5を、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理に順次適用し、第3の分析処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いた分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~5を求め、対応するスペクトルFB(1)(f)|i=1~5を求める。
さらに、第4の分析処理で上述のスペクトルFB(1)(f)|i=1~5を閾値処理して分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~5と、対応する分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~5を求め、第5の分析処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いた台形窓関数Aによる時刻掃引処理で図30(a)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~5(図示せず)を求めている。
次に、第3の処理における第6の分析処理で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=2~4の形状により、特性TBが選択される。
表1によれば、分析例1が「パターン(1)」のため、開始測点nA=2、及び終了測点nB=4である。時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、ΔtB1=6μ秒、ΔtB2=12μ秒として、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る測点がi=nA~n1(ただし、nA=2、n1=nB=4)と確認できるため、この選択がなされ、第8の分析処理の第1TB処理(図24のステップS117)へ移行する。
図30(a)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1によれば、測点i=2,3,4の時刻tのうち、時刻t、及び時刻tが式17を満足させることより、時刻平均値tを時刻t、及び時刻tの平均値として、式18でΔtを算定している。ここで、式17、式18、及び式19に示すシース反射M波起生時刻tM1(1)は、tM1(1)≒(tp(1)+tp(1)/0.62)/2としている。
さらに、式19で得る分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)をtM1(2)として、式20の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を、それぞれtp(1)、及びtp(2)に置き換えて、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を求めている。なお、式20の増減分量Δtは式21で計算している。
分析用2次かぶり厚ds(2)は、式2の起生時刻tを分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に、シースかぶり厚dsを分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて求めている。
図30(a)によれば、分析用1次かぶり厚ds(1)(=230mm)、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)(=111.8μ秒)、分析用2次かぶり厚ds(2)(=221mm)、及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)(=107.8μ秒)となっている。
次に、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理の再度の連続処理に適用することで、図30(b)に示す時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5を作成している。なお、第5の分析処理の再々度の処理で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5を、測点i=2,3,4のWAVE加算、及びSP加算の双方で再作成している。
さらに、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1(ただし、nA=2、n1=nB=4)を用いて、測点i=2,3,4のグラウト充填状態を自動判定している。
空充判定カーソルt=tp(2)+*(ただし、分析用2次かぶり厚ds(2)=221mmより、表2で*=18)の時刻で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=2,3,4が、空充判定線分α σ=ασ+0.06(=0.56)を大きく下回るため、式16のグラウト充填状態判定式に基づいて、自動的に測点i=2,3,4でのグラウト充填状態を「完全充填」と判定して、第8の分析処理の第1TB処理を終了する。
図31に、測点i=2,3,4のSP加算(i=5)の時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を示している。
なお、図30(a)、及び図30(b)において、図示を明確にするため、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、ds(1)、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、及びds(2)は、「|」の付記を省略している。
分析例1は、第8の分析処理の第1TB処理を終了すると、分析用2次かぶり厚ds(2)のかぶり厚の中でグラウト充填状態が変化しない、換言すれば、n1=nB(=nw=4)となるため(図24のステップS118:Yes)、解析機器13は、第8の分析処理の第2TB処理をスキップして、全ての処理を終了する。
なお、図30(a)及び図30(b)では、2段目シース反射P波起生時刻td2sが自動的に縦カーソルで表示され、2段目シース反射P波がシース反射P波の上に混入しない様子を示している。2段目シース反射P波起生時刻td2sは、上述の式4でシースかぶり厚dsを、入力受付処理(ステップS101)で入力された2段目シースのかぶり厚d2sと置き換えて求めている。後述の分析例4の図38(b)、図39(a)、及び図39(b)でも同様の対処を行っている。
<分析例2>
分析例2で用いる計測対象シースは、測点i=1の削孔でグラウト充填状態が「未充填(空)」と確認されている。この計測対象シースは、図14、図15、図16、及び図17の順に示したように、シースかぶり厚を同一値とした一連の分析で、測点i=1~4の全てでグラウト充填状態が「未充填(空)」と分析されているシースと同一のシースである。
上述の一連の分析では、レーダ計測での測点i=1のレーダ計測かぶり厚ds|RC=248mmを全測点での分析用1次かぶり厚ds(1)として採用している。しかしながら、これは、問題点(3)、及び問題点(4)に起因する誤判定である。正しくは、測点i=1,2で「未充填」、測点i=3,4で「完全充填」となるグラウト充填状態境界位置での計測である。
詳述すると、分析例2は、図22の第1の収録処理(ステップS102)、及び第2の収録処理(ステップS103)を経たのち、図22の第1の分析処理(ステップS104)の周波数分析(図26(a)、及び図26(b)参照)により、図32(a)の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)i=1~4を求め、対応する分析用1次かぶり厚ds(1)i=1~4を式2で求めている。
分析例2は、測点i=1,2の分析用1次かぶり厚をds(1)=271mm、測点=3,4の分析用1次かぶり厚をds(1)=244mmとする図27に示した「パターン(2)」となる分析例である。
なお、第1の分析処理において、F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを、オペレータの操作によって、f=80kHzからf=100kHzに順次移動させる過程の中で、分析用1次かぶり厚ds(1)(分析用1次反射P波起生時刻tp(1))、分析用1次かぶり厚ds(1)(分析用1次反射P波起生時刻tp(1))を高精度に求めている。
次に、第2の分析処理(ステップS105)において、受信波(i=1~4)、及び加算平均波(i=5)のスペクトル(図14(a)参照)に、A(f)フィルタ関数を乗じ、分析用スペクトルFA(f)|i=1~5と分析用時系列GA(t)|i=1~5(図14(b)参照)とを求めている。
まず、分析用1次かぶり厚ds(1)の測点i=1,2のグラウト充填状態を分析判定する。第2の処理(ステップS108)において、上述の第2の分析処理で作成した分析用時系列GA(t)|i=1~5に、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理を順次適用し、分析例1と同様の処理の流れで、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いて図32(b)に示す時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~5(図示省略)を求めている。
ただし、図32(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=5は、測点i=1,2の分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1,2のWAVE加算結果を用いて算定し表示している。図32(a)でi=1,2の波に位相ズレがないことより、SP加算の結果とWAVE加算の結果とが同一となる。
次に、第6の分析処理(ステップS112)で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1,2の形状により、特性TAが選択され、かつ境界測点n1=2と特定される。
分析例2は、「パターン(2)」のため、表1から開始測点nA=1、及び終了測点nB=2となる。時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~2が、ΔtB1=6μ秒、ΔtB2=12μ秒とする時刻tp(1)-ΔtB1から時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超える測点が、i=nA~n1(ただし、nA=1、n1=nB=2)と確認できるため、この選択がなされ、第7の分析処理の第1TA処理(ステップS114)へ移行する。
図32(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、n1=nB=2)で、時刻平均値t=(t+t)/2を求め、式12、及び式13の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)をtp(2)に置き換えて、Δt、及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を求めている。
次に、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理の再度の連続処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5を求め直す。分析例1と同様に、分析例2でも、偶然、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)≒分析用2次反射P波起生時刻tp(2)となり、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|と時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|とが、略同一の形状となる。
このため、第5の分析処理の再々度の処理を割愛し、図32(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|を、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|(=SPt*i=1,2)として、式16のグラウト充填状態判定式に適用し、測点i=1,2でのグラウト充填状態を「未充填(空)」と自動判定して、第1TA処理を終了する。
図33(a)に測点i=1,2の加算波の時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を表示している。
なお、測点i=1~2の加算平均処理で得た図32(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5をSP加算ではなくWAVE加算で示している。本来、SP加算による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5を用いて、以降の分析を行う手順であるが、以下の理由で、あえてオペレータの操作のもと、WAVE加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5を用いて分析を行っている。
図32(a)の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)と分析用1次反射P波起生時刻tp(1)とが同値ということにより、測点i=1,2のシース反射P波に位相ズレが生じない。これにより、WAVE加算、及びSP加算のいずれでも正答となる。
なお、図32(b)において、図示を明確にするため、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、及びds(2)は、「|」の付記を省略している。
上述の分析がn1=nB=2となるため(ステップS115:Yes)、第7の分析処理の第2TA処理をスキップするとともに、第2の処理を終了して、分析用1次かぶり厚ds(1)となる測点i=3,4を分析の対象とする第3の処理(ステップS109)へ移行する。
第3の処理において、上述の第2の分析処理で作成した分析用時系列GA(t)|i=1~5に、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理を順次適用し、分析例1と同様の処理の流れで、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いて測点i=3,4を分析の対象とした図33(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~5(図示省略)を求めている。
次に、第6の分析処理(ステップS112)で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=3,4の形状により、特性TBが選択され、かつn1=nB=4と特定される。表1によれば、分析例2は、「パターン(2)」で、第3の処理では開始測点nA=3、及び終了測点nB=4となっている。
時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、ΔtB2=12μ秒とする時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る測点として、i=nA~n1(ただし、nA=3、n1=nB=4)と確認できるため、この選択がなされ、第8の分析処理の第1TB処理(ステップS117)へ移行する。
図33(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、n1=nB)で、測点i=3,4の時刻t,及び時刻tともに式17を満足していることが確認できる。このため、時刻平均値tを時刻tと時刻tとの平均値として、式18でΔtを計算し、式19で分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)を計算している。
さらに、式20、及び式21を用いて分析用1次反射P波起生時刻tp(1)から分析用2次反射P波起生時刻tp(2)への増減分量Δt、及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を計算している。分析用2次かぶり厚ds(2)は、式2の起生時刻tを分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に、シースかぶり厚dsを分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて求めている。
図33(b)によれば、分析用1次かぶり厚ds(1)(=244mm)、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)(=118.2μ秒)、分析用2次かぶり厚ds(2)(=229mm)、及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)(=111.2μ秒)となっている。
次に、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理の再度の連続処理で、図34(a)に示すSPf2(t)|i=1~5(i=5をi=3,4のSP加算として、i=3,4,5を太実線で図示している)を作成したのち、第5の分析処理の再々度の処理で測点i=3,4のWAVE加算、及びSP加算の双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=3,4と、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5とを、式16のグラウト充填状態判定式に適用し、i=3,4,5でのグラウト充填状態を「完全充填」と自動判定して、第8の分析処理の第1TB処理を終了する。
図34(b)に、オペレータの操作によって表示部135に表示された測点i=3,4でのSP加算による時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を図示している。
なお、図33(b)、及び図34(a)において、図示を明確にするため、tp(1)、ds(1)、tp(2)、ds(2)、tM1(1)、及びtM1(2)では、「|」の付記を省略している。
第8の分析処理の第1TB処理を終了すると、分析用1次かぶり厚ds(1)となる測点i=3,4が「完全充填」と判定され、全ての測点でのグラウト充填状態が判定されているため、第8の分析処理の第2TB処理をスキップして、全ての処理を終了する。
<分析例3>
分析例3で用いる計測対象シースは、測点i=1の削孔で「完全充填」と確認されている。
図22の第1の分析処理で、オペレータの操作でレーダ計測かぶり厚ds|RCの代わりに削孔かぶり厚ds|、及び起生時刻tを指標としてF3(f)フィルタ関数による周波数分析、及び時刻フィルタ関数TGC4(t)による時系列処理(図26(a)、及び図26(b)参照)により、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)と対応する分析用1次かぶり厚ds(1)を図35(a)に示すように求めている。かぶり厚がシース長手方向で略同一の「パターン(0)」(図27参照)となっている。
なお、分析例3では、第1の分析処理において、F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを、オペレータの操作によって、f=80kHzからf=96kHzに移動させている。
分析用1次反射P波起生時刻tp(1)は97.5μ秒となり、対応する分析用1次かぶり厚ds(1)は、式2の起生時刻tを分析用1次反射P波起生時刻tp(1)に、シースかぶり厚dsを分析用1次かぶり厚ds(1)に置き換えて得た194mmとなる。削孔かぶり厚ds|が236mmのため、分析用1次かぶり厚ds(1)と削孔かぶり厚ds|とに42mmの差が生じている。計測位置と削孔位置とが異なったと判断する。もし、削孔かぶり厚ds|を用いて、以降の分析判定を行えば、「未充填(空)」と誤判定される事例である。
上述の分析例1,2と同一の第2の分析処理で、A(f)フィルタ関数を用いて、分析用スペクトルFA(f)|i=1~5、及び分析用時系列GA(t)|i=1~5を作成したのち、第1の処理において、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いた第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理を順次適用し、分析例1,2と同様の処理の流れで、図35(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~5(図示省略)を求めている。
次に、第6の分析処理で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~4の形状より、特性TBが選択され、かつn1=nB=4と特定される。
分析例3は、「パターン(0)」のため、表1から開始測点nA=1、及び終了測点nB=4となる。時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、ΔtB2=12μ秒とする時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る測点がi=nA~n1(ただし、nA=1、n1=nB=4)と確認できるため、この選択がなされ、第8の分析処理の第1TB処理へ移行する。
図35(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、n1=nB=4)でΔt算定用の時刻tのうち、時刻t、時刻t、及び時刻tが式17を満足させていることにより、時刻平均値tをこれら時刻tの平均値として、式18でΔtを算出する。
さらに、式19で分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)を計算し、式20、及び式21を用いて分析用1次反射P波起生時刻tp(1)から分析用2次反射P波起生時刻tp(2)への増減分量Δtを計算し、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)=tp(1)+Δtを求めている。
次に、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理の再度の連続処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~5を作成し、第5の分析処理の再々度の処理でWAVE加算、及びSP加算の双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5を作成し直したのち、表示部135に表示している。
図36(a)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~4(=SPt*i=1~4)と、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5(=SPt*i=5)とを、式16のグラウト充填状態判定式に適用することで、測点i=1,2,3,4、及びi=5のSP加算波でのグラウト充填状態を自動判定している。
時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5が、空充判定カーソルt=tp(2)+*(ただし、表3で分析用2次かぶり厚ds(2)=201mmより、表2から*=16)の時刻で空充判定線分α σを下回っているため、測点i=1~4のグラウト充填状態を「完全充填」と判定して、第8の分析処理の第1TB処理を終了する。
第8の分析処理の第1TB処理を終了すると、解析機器13は、nA=1、及びn1=nB(=4)となっているため、換言すれば、全測点におけるグラウト充填状態の分析判定が完了しているため、第8の分析処理の第2TB処理をスキップして、全ての処理を終了する。
なお、本分析例3で、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)ではなく、RCレーダ計測で得たレーダ計測かぶり厚ds|RCに対応するシース反射P波起生時刻tRC、または削孔かぶり厚ds|に対応するシース反射P波起生時刻tのいずれかを用いて得る、例えば時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(削)(t)|i=1~5を図37(a)に示す。RCレーダ計測で得たレーダ計測かぶり厚ds|RC、及び削孔かぶり厚ds|ともに実値と大きく異なっているため、空充判定カーソルt前後に、図36(a)の大径丸印で示す計測対象シースのシース反射M波のSPf2スペクトルが大きく生じ、「未充填(空)」と誤判定している。
図37(b)に、この誤判定の様相を示す時刻掃引f,fスペクトルSPf2(削)(f,t)nci=5(ただし、SP加算、MEMスペクトル表示、nc=2)を示す。上述の問題点(1)によって、シースかぶり厚またはコンクリート縦波音速を誤認して分析用切り出し波を求め、これを用いてグラウト充填状態を分析すると、「完全充填(充填シース)」を「未充填(空シース)」と誤判定する。
計測PC橋梁によっては、全ての計測対象シースで問題点(1)(コンクリートの誘電率、音速値の誤認)が大きく生ずることがある。これより、第1の分析処理が欠除した場合、問題点(1)によって、同一橋梁における全計測対象シースの正しい時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び正しい時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1が取得不能となり、グラウト充填状態が誤判定される計測対象シースが多出する。
<分析例4>
分析例4で用いる計測対象シースは、分析用梁モデルであり「未充填(空シース)」と確認されている。
図22の第1の分析処理で、受信波スペクトルF(f)|i=1~nwにF3(f)フィルタ関数を乗じて得る時系列波G(t)|i=1~nw(ただし、nw=4)に、レーダ計測かぶり厚ds|RCを指標とする時刻フィルタ関数TGC4(t)を乗算する処理(図26(a)、図26(b)参照)により、図38(a)の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)求め、式2で対応する分析用1次かぶり厚ds(1)を求めている。
なお、分析例4では、第1の分析処理において、F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを、オペレータの操作によって、f=80kHzからf=96kHzに移動させている。
かぶり厚がシース長手方向でほとんど変化せず、「パターン(0)」(図27参照)となっている。
測点i=1~4で略同一の分析用1次かぶり厚ds(1)=194mmであり、レーダ計測かぶり厚ds|RC=215mmとの差が21mmとなっている。
次に、上述の分析例1,2,3と同一の第2の分析処理で、A(f)フィルタ関数を用いて分析用スペクトルFA(f)|i=1~5、及び分析用時系列GA(t)|i=1~5を作成する。その後、「パターン(0)」(図27参照)ということにより、第1の処理(ステップS107)において、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理を順次適用し、第3の分析処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いた分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~5、及びスペクトルFB(1)(f)|i=1~5を求める。
さらに、第4の分析処理で閾値処理された分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~5、及び分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~5を求め、第5の分析処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を用いた台形窓関数Aの掃引処理により、図38(b)に示す時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~5(WAVE加算)、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~5(図示省略)を求めている。
次に、第6の分析処理で、図38(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~4の形状により、特性TAが選択され、n1=4と特定される。表1によれば、「パターン(0)」となるため、開始測点nA=1、及び終了測点nB=4となっている。
時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~5が、ΔtB1=6μ秒、ΔtB2=12μ秒とする時刻tp(1)-ΔtB1から時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えている測点iがi=nA~n1(ただし、n1=nB=4)と確認できるため、この選択がなされ、第7の分析処理の第1TA処理へ移行する。
図38(b)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、nA=1、n1=nB=4)で時刻t、時刻t、及び時刻tを選定し、これらの時刻平均値t=(t+t+t)/3を求めたのち、式12でΔtを求め、式13で分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を求めている。
対応する分析用2次かぶり厚ds(2)は、式2の起生時刻tを分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に、シースかぶり厚dsを分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて求めている。
次に、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理の再度の連続処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に変更し、図39(a)に示す時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)i=1~5を作成している。
ところで、加算平均波i=5は、式14、及び式15を用いてWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=5、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=5の双方となる。このため、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aの掃引処理に、上述のWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=5、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=5を適用し、WAVE加算とSP加算の双方で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5(図示省略)を作成し直したのち、表示部135に表示している。
これらの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5を用いて測点i=1~4ごとでの、及びSP加算i=5でのグラウト充填状態を自動判定している。
空充判定カーソルt=tp(2)+*(ただし、表3で分析用2次かぶり厚ds(2)=198mmより、表2で*=16)の時刻の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5が、空充判定線分α=ασ+0.06(=0.56)を大きく上回るため、式16のグラウト充填状態判定式に基づいて、自動的に測点i=1~4のグラウト充填状態を「未充填」と判定して、第7の分析処理の第1TA処理を終了する。
図39(a)に、i=5の加算平均(No.1+No.2+No.3+No.4)によるWAVE加算(図中の点線)とSP加算(図中の実線)の双方で時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5を図示している。空充判定カーソルt=tp(2)+*の時刻前後で、WAVE加算で小さく、SP加算で大きくなっている。これは、図38(a)におけるi=1のシース反射波の位相情報と、i=2,3,4のシース反射波の位相情報とが半波ズレていることにより生じる現象であり、SP加算での分析結果「未充填(空)」が正解である。
なお、図39(b)にSP加算での時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=5(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を示している。時刻後方に2段目シースの反射P波(図中の「段2P」)が生じていることが確認できる。
第7の分析処理の第1TA処理を終了すると、解析機器13は、第1TA処理において、全測点i=1~4におけるグラウト充填状態が「未充填」と判定済みのため、第2TA処理をスキップして、全ての処理を終了する。
<閾値反射P波分析法の正当性の検証>
グラウト充填状態の判明している幾つかの計測対象シースを用いて、閾値反射P波分析法を詳述した。
多数の既設PC橋梁で収録している極めて多数の計測対象シースから選定したシース反射P波計測の受信波G(t)|i=1~4を用いて、「閾値を用いた反射P波自動化分析」の正当性を、表4、及び表5に示す「完全充填」と判明している計38本の計測対象シースと、表6に示す「未充填(空)」と判明している計15本の計測対象シースとを用いて検証する。
なお、分析で用いるシース受信波は、平成17年11月から平成22年12月までの既設PC橋梁のグラウト充填探査の方法論確立研究の中で、出願人の研究業務として取得した総計853本のシース管の反射P波及び反射S波計測受信波より任意に選定している。
表4及び表5に示す計測対象シースのグラウト充填状態は、黒丸印が「完全充填」であり、桁梁想定シース埋設コンクリートモデルで設定されたグラウト充填状態、または実橋から切り取った桁梁の切断等による目視、さらにはシース直上位置からの削孔等のいずれかで確認している。
表6に示す計測対象シースのグラウト充填状態は、白丸印が「未充填(空)」であり、桁梁想定シース埋設コンクリートモデルで設定されたグラウト充填状態、または実橋から切り取った桁梁の切断等による目視、さらにはシース直上位置からの削孔等のいずれかで確認している。
Figure 2022075581000062
Figure 2022075581000063
Figure 2022075581000064
表4、表5、及び表6には、探査を妨害する反射波を生じさせる版厚d、及び2段目シースかぶり厚d2sと、コンクリート縦波音速Vと、シース径φと、RCレーダ計測かぶり厚ds|RCと、分析用1次かぶり厚ds(1)、またはds(1)及びds(1)と、分析用2次かぶり厚ds(2)、またはds(2)及びds(2)とを、分析用係数として記載している。
なお、RCレーダ計測位置は、規定では測点i=1、及びi=4の2ケ所としているが、本分析例ではi=1または4のみで計測している。
まず、表4、及び表5の桁梁想定シース埋設コンクリートモデル、切断梁の目視、または削孔で「完全充填」と判明している計測対象シースの計測分析について詳述する。なお、計測で用いた発信探触子と受信探触子の中心間距離aは全ての計測対象シースでa=200mmとしている。
「完全充填」と判明している原則として異なる既設PC橋梁での計38本の計測対象シースで、式1のシースかぶり厚dsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに、起生時刻tを分析用1次反射P波起生時刻tp(1)RCに置き換え、計測対象シースの測点近傍の厚さが既知の間仕切り壁等で計測したコンクリート縦波音速Vを適用して得た分析用1次反射P波起生時刻tp(1)RCを用いて、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)=tp(1)RCとして、第1の処理(ステップS107)で閾値分析を行った場合と、図22の第1の分析処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、またはtp(1)、あるいはtp(1)を求め、第1の処理(ステップS107)または第2の処理(ステップS108)あるいは第3の処理(ステップS109)の図23及び図24の処理の流れの中で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、またはtp(1)、あるいはtp(1)を用いて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、またはtp(2)、あるいはtp(2)を求め、これ等を用いて閾値分析を行った場合とで各計測対象シースのグラウト充填状態の分析結果がどのように異なってくるかを説明する。
図40(a)は、上述の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)RCを分析用1次反射P波起生時刻tp(1)とし、問題点(1)から問題点(4)のいずれにも対処しない時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~4より、空充判定カーソルt=tp(1)+*での基準化表示スペクトル値SPt*i=1~4を求め示している。
そして、図40(b)は、図22~図24の処理の流れの中で、問題点(1)から問題点(4)の全てに対処して分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、またはtp(2)、あるいはtp(2)として求めた時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~4より、空充判定カーソルt=tp(2)+*での基準化表示スペクトル値SPt*i=1~4を求め示している。
ただし、いくつかの計測対象シースは、他の計測対象シースとその表示が重なり合うため、図示を省略し計35本を図示している。以降、計35本の計測対象シースを用いて説明する。
また、図40(a)と図40(b)との比較を明確にするために、双方とも横軸を分析用1次かぶり厚ds(1)(≒レーダ計測かぶり厚ds|RC)、縦軸を基準化表示スペクトル値SPt*としてi=1~4ごとに表示している。なお、基準化表示スペクトル値SPt*i=1~4は、計測対象シースごとに、計測位置を左から右へ原則として110~120mm前後で、計測対象シース直上のコンクリート面の仮想線分上を順次移動する測点の値で示している。
図40(a)では、計測対象シースごとに空充判定線分α σ=0.56を上回る測点iごとの基準化表示スペクトル値SPt*を「未充填または充填不足」を示す白四角印で図示し、空充判定線分α σ=0.56を下回る基準化表示スペクトル値SPt*を「完全充填」を示す黒丸印で図示している。
ところで、分析された表4及び表5の全ての計測対象シースが削孔または他の方法で「完全充填」と確認されている。これが事実とすれば、図40(a)の基準化表示スペクトル値SPt*は、全て黒丸印で示されるはずだが、そのようになっていない。「完全充填」と設定されたシースが、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)=tRCとする分析で「完全充填」となる割合は、(14本/35本)×100=約40%であり、極めて正答率の低い分析結果群となっている。
一方、図40(b)に示すように、問題点(1)から(4)に対処して作成した分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、またはtp(2)、あるいはtp(2)を用いて得たSPf2(2)(t)|(=基準化表示スペクトル値SPt*)が削孔または他の方法で「完全充填」と設定された計35本の計測対象シースのうち、31本の計測対象シースの基準化表示スペクトル値SPt*が測点i=1~4の全てで空充判定線分α σ=0.56を下回り、「完全充填」を示す黒丸印となっている。
さらに、同一橋梁の丸数字で示した「24」、及び「25」の計測対象シース、及び他の同一橋梁の丸数字で示した「30」、及び「31」の計測対象シースで測点の一部が「未充填(図中の二重丸印)」、他の一部が「完全充填(図中の黒丸印)」と判定されている。これは、偶然、上述の問題点(3)を持つ計測対象シースの空隙と充填部分との境界位置での計測分析結果であると判断できる。
丸数字で示した「24」、及び「25」の計測対象シースは、測点i=1を「未充填」、測点i=2,3,4を「完全充填」と分析しており、丸数字で示した「30」、及び「31」の計測対象シースは、測点i=1~3を「完全充填」、測点i=4を「未充填」と分析している。
これより、35本の全計測対象シースの充填状態特定位置でのグラウト充填状態(完全充填)の分析結果が「完全充填」と分析されている。分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、またはtp(2)、あるいはtp(2)を用いた図40(b)の分析結果は、測点箇所数35×4=140の全てで正答率100%と判断する。
分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた「閾値反射P波分析法」が、シース管内部の充填状態の探査に極めて有効であること、そして誤判定の要因の1つが、分析で用いるレーダ計測かぶり厚ds|RC、及びコンクリート縦波音速Vの誤認(上述の問題点(1))であることを端的に示している。かつ、他の問題点(2)から(4)にも対処する分析で、計測対象シースのグラウト充填状態を極めて高精度に判定できることを示している。
次に、表6の削孔または他の方法で「未充填」と判明している既設PC橋梁での15本の計測対象シースの受信波で閾値分析結果がどのようになるかを説明する。
レーダ計測かぶり厚ds|RCと、測定点以外の場所(測定点周辺の間仕切り壁等)で計測したコンクリート縦波音速Vとを、式1に適用して得た起生時刻tRCを用いる閾値分析は、上述の表4、及び表5の削孔または他の方法で「完全充填」と設定されているシースの分析結果を示す図40(a)で極めて不適切と判明している。これより、問題点(1)から(4)に対処して作成した分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、またはtp(2)、あるいはtp(2)を用いた閾値分析による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|(=SPt*)を図41に示している。
計測対象シースの位置を可能な限り桁及び側壁の端部としているため、図49に示すような計測位置の選定となり、空隙と充填部分との境界位置での本数が増している。図41(図中の右側)に計測対象シースごとに分析結果から想定されるグラウト充填状態を図示している。
測点i=1~4の全てで「未充填」と分析される計測対象シースが5本(図中の右側において、丸数字で示す「3」、「6」,「9」,「10」,及び「12」)、空隙と充填部分との境界位置と判断される計測対象シースが他の10本となっている。
図41は、削孔または他の方法で「未充填」と設定された計測対象シースにおいて、測点i=1~4のいずれかが、「未充填」、または「充填不足」、または「空隙と充填部分との境界」、または「完全充填」であることを、基準化表示スペクトル値SPt*ごとに「未充填」を二重丸印で示し、「充填不足」を白三角印で示し、「完全充填」を黒丸印で示している。
全ての計測対象シースの分析で、問題点(1)、及び問題点(2)に対処しており、かつ分析用2次反射P波起生時刻tp(2)、またはtp(2)、あるいはtp(2)を用いた閾値分析で問題点(3)、及び問題点(4)に対処していることにより、測点箇所数15本×4=60測点の全てで正答率100%となっていると判断する。
なお、図41において、丸数字の「11」で示した削孔空シースは、表3の分析例2の測点1,2を「未充填(空)」、及び測点3,4を「完全充填」とするシース(図32(a)、図32(b)、図33(a)、図33(b)、図34(a)、及び図34(b)参照)である。
<反射P波計測の最適探触子間隔>
上述の反射P波計測は、探触子外径φ100mm(発信子径、及び受信子径φ78mm)で、発信探触子11aと受信探触子12aとの中心間距離aを200mmとした計測である。計測対象シースからの反射波は、シース反射P波、シース反射M波、及びシース反射M波の3種が存在する。
これらの波の振幅は、図42に示すように、反射源である計測対象シースと探触子との直線距離dと、発信探触子11aと受信探触子12aとの中心間距離aとの関係で大きく変化する。この計測対象シースのシースかぶり厚dsが浅くなるにつれて、図42に示すように、中心間距離a/直線距離dが「小」から「大」となり、受信波形状が順次変化することで、図28(b)、図32(a)、図35(a)、及び図38(a)等に示すシース反射P波の起生時刻tp(1)の特定が難しくなる。
この問題への対処は、中心間距離a=200mmを、110mm~120mm前後に変更することで可能となる。一例として、シースかぶり厚ds=115mmの計測対象シースを用いた中心間距離a=110mmでの分析用1次かぶり厚ds(1)の取得例を、第1の分析処理によりF3(f)フィルタ関数と時刻フィルタ関数TGC4(t)を用いて求め図43(a)、及び図43(b)に示している。
図43(a)は、分析用振動数帯域を中心振動数f=80kHz前後としている。中心間距離a/直線距離d=110/115≒0.95であり、図42の上段(中心間距離a/直線距離d:小)の反射波起生状況を示しており、分析用1次かぶり厚ds(1)、及び分析用1次反射P波起生時刻tp(1)値を明確に特定できる。
これにより、反射P波を用いる閾値分析法では、中心間距離aを110mm~120mm程度にすべきと判断する。
中心間距離a=200mm前後の場合、シースかぶり厚dsが150mm以下になると、反射P波分析が難しくなる。これは、上述の問題点(2)に起因するとともに、シース反射P波、シース反射M波、及びシース反射M波の起生時刻間隔が、図43(a)、及び図43(b)に示すように極めて狭くなることに起因している。
<閾値分析における反射P波計測分析の省力化>
上述した分析用2次反射P波起生時刻tp(2)及び分析用2次かぶり厚ds(2)、または分析用2次反射P波起生時刻tp(2)及び分析用2次かぶり厚ds(2)、あるいは分析用2次反射P波起生時刻tp(2)及び分析用2次かぶり厚ds(2)を用いた反射P波多点計測(i=1~4)の閾値分析結果である図40(b)、及び図41によれば、全測点におけるグラウト充填状態が正確に「完全充填」、「未充填」、または「充填不足」と判定されている。
これより、超音波計測を図44の上段に示す多点計測ではなく、下段の単一点計測に置き換えても、実用的な計測分析法となる。単一点計測での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1を用いて、図44の下段のNo.1またはNo.1´の測点でのグラウト充填状態の分析判定を、第1の処理(ステップS107)で行えばよい。
なお、No.1が桁端部側にあり、「完全充填」と判定される場合、桁中央側のNo.1´は、物理的に「完全充填」となり、計測分析判定は不要である。逆に、No.1´が桁端部側にあり、「完全充填」と判定される場合、桁中央側のNo.1での計測分析判定は不要である。
単一点計測は、多点計測に比べて、計測作業効率、及び分析作業効率が極めて大きくなるため、閾値分析で用いる主要な方法と位置付けることができる。一方、多点計測による閾値分析は、グラウト充填状態の分析判定において、問題点(1)から(4)にどのように対処しているかを分析画面の推移で確認できるため、分析オペレータの分析技術能力を向上させる手段と位置付けることもできる。
<A(f)nGフィルタ関数を用いた閾値反射P波自動化分析>
図22、図23、及び図24の閾値反射P波自動化分析の流れに沿って、A(f)nGフィルタ関数を用いて、計測対象シースのグラウト充填状態を分析判定する方法である。
上述の「閾値反射P波自動化分析」、及び「閾値反射P波自動化分析事例」では、図14(a)に示す受信波(i=1~nw)と、加算平均波(i=nw+1)とで作成される受信波スペクトルF(f)|i=1~nw+1に、A(f)フィルタ関数を乗じて得る図14(b)に示すFA(f)|i=1~nw+1を分析用スペクトルとしている。
一方、本閾値反射P波自動化分析では、第2の分析処理(ステップS105)においてA(f)フィルタ関数の代わりにA(f)nGフィルタ関数を用いて、分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1、分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1を求め、これを用いてグラウト充填状態を分析している。
ここで、A(f)フィルタ関数とA(f)nGフィルタ関数の違いを図45に示す。
図45の左図に示すA(f)フィルタ関数は、図3(a)の振動数fでのスペクトル、及び振動数fでのスペクトルのうち、振動数f=40~50kHzでのスペクトルを除去し、中心振動数f=20kHzのスペクトルと振動数f=60~80kHzのスペクトルのうち、80kHz帯域のスペクトルをより多く抽出するフィルタ関数である。このA(f)フィルタ関数を用いた第2の分析処理で抽出されたスペクトルFA(f)|i=1~nw+1を分析用スペクトルとし、これに対応する時系列GA(t)|i=1~nw+1を分析用時系列としている。
一方、A(f)nGフィルタ関数は、その形状を図45の右図に示すように別途定めた振動数fを中心振動数とするフィルタ関数である。このA(f)nGフィルタ関数を用いて第2の分析処理で抽出されるスペクトルFA(f)|i=1~nw+1を分析用スペクトルとし、これに対応する時系列GA(t)|i=1~nw+1を分析用時系列としている。
このようなA(f)nGフィルタ関数は、指数nG=1の場合、振動数f=0.0で「0.0」となり、振動数fで「1.0」となるsin形状増加関数、振動数fで「1.0」となり、振動数f×2で「0.0」となるsin形状減少関数、そして振動数f×2以上で「0.0」となる関数である。
なお、振動数fは、f=(f+f )/2(ただし、f =80kHz)と自動設定している。ただし、オペレータの操作で(f+f )/2~f の範囲のいずれかの値を設定することを可能にしている。
また、指数nGは、分析用スペクトルFA(f)|の測点iのいずれかが振動数f~f の間で最大スペクトル値となるときの値である(f は図中においてfの上に“~”を付された符号を表す)。なお、振動数fは、40kHz-Δf<f<40kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲のいずれかの値をオペレータの操作で設定している。
以下、図22、図23、及び図24の閾値反射P波自動化分析の流れに沿って、A(f)nGフィルタ関数を用いたグラウト充填状態の分析判定方法を説明する。
まず、第1の収録処理(ステップS102)、及び第2の収録処理(ステップS103)は、それぞれ上述した処理内容をそのまま用いて、計測対象シースの受信波G(t)|i=1~nwを収録する。
第1の分析処理(ステップS104)は、上述した処理内容をそのまま用いて、シースかぶり厚パターンが、「パターン(0)」、「パターン(1)~(4)」、あるいは「パターン(1´)~(4´)」のいずれであるかを特定する。
「パターン(0)」の場合、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び分析用1次かぶり厚ds(1)を求め、「パターン(1)~(4)」または「パターン(1´)~(4´)」場合、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び分析用1次かぶり厚ds(1)と、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び分析用1次かぶり厚ds(1)とを求める。加えて、シースかぶり厚のパターン毎の開始測点nA、及び終了測点nBを、Ak(f)フィルタ関数を用いる場合と同様に、上述の表1のように設定する。
次に、第2の分析処理(ステップS105)は、多点計測受信波G(t)|i=1~nwと、これらの加算平均波G(t)|i=nw+1とを一緒にした受信波群G(t)|i=1~nw+1をFFT変換して得る受信波スペクトルF(f)|i=1~nw+1に対して、A(f)フィルタ関数の代わりにA(f)nGフィルタ関数を乗じ、図46(a)に示す分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を求め、これのFFT逆変換で図46(b)の分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1を作成する(図中の太い実線はi=nw+1を示す)。
図46(b)の分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1によれば、丸印で囲われたシース反射P波起生帯域に、各測点波(細い実線)、及び加算平均波(太い実線)の双方でコンクリート上面4aを伝達する表面P波、表面S波、及び表層を浅く潜って伝達する直接波(DI波)の後方残存波の混入が低減され、シース反射P波の起生が支配的になっていることがわかる。
この現象は、本計測例がシース長手方向で計測対象シースのかぶり厚dsに変化がなく、かつds=212mmと深いことにより生じる現象である。もし、シースかぶり厚dsが浅ければ、これらの後方残存波がシース反射P波の上に混入することで、グラウト充填状態の誤判定要因となる。
このため、A(f)フィルタ関数を用いる反射P波自動化分析の場合、分析可能なシースかぶり厚dsをds≧150mmとしているが、A(f)nGフィルタ関数を用いる反射P波自動化分析では、表面P波、表面S波、直接波(DI波)の振動数f より減衰の小さい振動数f~f の波が、シース反射P波の上に混入するおそれがある。そこで、A(f)nGフィルタ関数を用いる自動化分析では、分析判定可能なシースかぶり厚dsをds≧150mmからds≧200mmへ変更することで、上述の表面P波、表面S波、直接波(DI波)がシース反射P波の上に混入する状況を排除している。
図45の左図におけるA(f)フィルタ関数の使用と同様に、右図のA(f)nGフィルタ関数の使用でも、以降の分析は、図27のシースかぶり厚のパターンが「パターン(0)」の場合(ステップS106:No)、第1の処理へ移行し、「パターン(1)~(4)」または「パターン(1´)~(4´)」の場合(ステップS106:Yes)、第2の処理、及び第3の処理へ順次移行する。
まず、第1の処理(ステップS107)における第3の分析処理から第8の分析処理(ステップS111~ステップS119)について説明する。
第3の分析処理(ステップS111)は、上述の処理内容をそのまま用いて、第1の分析処理で求めた分析用1次かぶり厚ds(1)の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)及びΔth1=6μ秒を用いて作成される時刻フィルタTGC1(t)及びTGC2(t)を、上述の分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1に乗じて、分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1、及び対応するスペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1を求める。
第4の分析処理(ステップS111)は、上述の処理内容をそのまま用い、スペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1ごとに、上述の振動数f以下のスペクトルの最大値を1.0と基準化して、上述の振動数f以上のスペクトルの最大値を0.5とする閾値処理で分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1、及び分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1を求めている。
第5の分析処理(ステップS111)は、上述の処理内容をそのまま用いて、台形窓関数Aの時刻tp(2)-Δtp1から時刻tp(2)+Δtp2への時刻掃引処理で得るA(f)フィルタ関数を用いたときの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1の代わりに、A(f)nGフィルタ関数を用いたときの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(1)(f,t)nci=1~nw+1(ただし、振動数f=20kHz、f~f 帯域の振動数f=40~50kHz、振動数f=60~80kHz、nc=2)を求めている。
次に、第6の分析処理(ステップS112)は、上述の処理内容をそのまま用いて、表1で定義される開始測点nA、終了測点nBを用いて得る時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=nA~nBの形状特性が特性TAと特定され、かつ境界測点n1を特定した後(ステップS113:1)、第7の分析処理の第1TA処理、及び第2TA処理へ順次移行する。
または、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=nA~nBの形状特性が特性TBと特定され、かつ境界測点n1を特定した後(ステップS113:2)、第8の分析処理の第1TB処理、及び第2TB処理へ順次移行する。
引き続き、第7の分析処理での第1TA処理、及び第2TA処理を説明する。これは、多点計測と単一点計測の双方に対する処理である。
(第1TA処理)
第7の分析処理における第1TA処理(ステップS114)は、上述した処理内容をそのまま用いて、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を特定し、第3の分析処理の再度の処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1、及び対応するスペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1を作成している。
次に、第1TA処理は、第4の分析処理による再度の閾値処理でA(f)nGフィルタ関数での振動数fを用いて、分析用2次スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1を作成し、これに対応する分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を求めている。
さらに、第1TA処理は、第5の分析処理の再度の処理で分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=1~nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、第1TA処理で作成する加算平均波は、測定i=nA~nBではなく、測点i=nA~n1の分析用2次時系列GC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を、上述の式14及び上述の式15に基づいて算出されるWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1の2つに置き換えて、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aの掃引処理で、WAVE加算、及びSP加算の双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び双方の時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成し直したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135にそれぞれ表示可能としている。
次に、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nA~n1と、上述のSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、式16のグラウト充填状態判定式に空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて得る時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|(=SPt*i=nA~n1,nw+1)を適用して自動判定した後、第1TA処理での判定結果と、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1(SP加算)とを一緒にして、表示部135に自動表示している。
なお、オペレータの操作でi=nw+1のWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び2つの時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在の有無を確認できるようにしている。
そして、第1の分析処理で得た表1のシースかぶり厚パターンの開始測点nA、及び終了測点nBを用いて、n1=nBの場合は(ステップS115:Yes)、測点i=nA~nBの全ての測点でのグラウト充填状態が判定済みのため、第7の分析処理の第2TA処理をスキップして、全ての処理を終了する。なお、単一点計測の場合も全ての処理を終了する。
一方、n1<nBの場合は(ステップS115:No)、測点i=n1+1~nBでのグラウト充填状態を判定するため、第2TA処理へ移行する。
(第2TA処理)
第7の分析処理における第2TA処理(ステップS116)は、上述の処理内容をそのまま用いて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を特定し、第3の分析処理の再度の処理で、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1、及び対応するスペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1を作成している。
次に、第2TA処理は、第4の分析処理による再度の閾値処理で、A(f)nGフィルタ関数での振動数fを用いて分析用2次スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1を作成し、これに対応する分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を求めている。
さらに、第2TA処理は、第5の分析処理の再度の処理で、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=1~nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、第2TA処理で作成する加算平均波は、測定i=nA~nBではなく、測点i=n1+1~nBの分析用2次時系列GC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を、上述の式22及び上述の式23に基づいて算出されるWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1の2つに置き換えて、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aの掃引処理で、WAVE加算及びSP加算の双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び双方の時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成し直したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135にそれぞれ表示可能としている。
次に、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=n1+1~nBとSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、式16のグラウト充填状態判定式に空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて得る時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|(=SPt*i=n1+1~nB,nw+1)を適用して自動判定したのち、第2TA処理での判定結果と、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1(SP加算)とを一緒にして表示部135に自動表示して第7の分析処理を終了する。
なお、オペレータの操作でi=nw+1のWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び2つの時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在の有無を確認できるようにしている。
次に、第8の分析処理での第1TB処理、及び第2TB処理を説明する。
(第1TB処理)
第8の分析処理における第1TB処理(ステップS117)は、上述の処理内容をそのまま用いて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を特定し、第3の分析処理の再度の処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1、及び対応するスペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1を作成している。
次に、第1TB処理は、第4の分析処理による再度の閾値処理で、A(f)nGフィルタ関数での振動数fを用いて、分析用2次スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1を作成し、これに対応する分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を求めている。
さらに、第1TB処理は、第5の分析処理の再度の処理で分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=1~nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、第1TB処理で作成する加算平均波は、測定i=nA~nBではなく、測点i=nA~n1の分析用2次時系列GC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を、上述の式14及び上述の式15に基づいて算出されるWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1の2つに置き換えて、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aの掃引処理で、WAVE加算及びSP加算の双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び双方の時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成し直したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135にそれぞれ表示可能としている。
次に、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nA~n1と、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、式16のグラウト充填状態判定式に空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて得る時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|(=SPt*i=nA~n1,nw+1)を適用して自動判定した後、第1TB処理での判定結果と、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1(SP加算)とを一緒にして表示部135に自動表示している。
なお、オペレータの操作でi=nw+1のWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び2つの時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在の有無を確認できるようにしている。
そして、第1の分析処理で得た表1のシースかぶり厚パターンの開始測点nA、及び終了測点nBを用いて、n1=nBの場合は(ステップS118:Yes)、nA~nBの全ての測点でのグラウト充填状態が判定済みのため、第8の分析処理の第2TB処理をスキップして、全ての処理を終了する。なお単一点計測の場合も全ての処理を終了する。
一方、n1<nBの場合は(ステップS118:No)、測点i=n1+1~nBでのグラウト充填状態を判定するため、第2TB処理へ移行する。
(第2TB処理)
第8の分析処理における第2TB処理(ステップS119)は、上述の処理内容をそのまま用いて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を特定し、第3の分析処理の再度の処理で分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1、及びスペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1を作成している。
次に、第2TB処理は、第4の分析処理による再度の閾値処理で、A(f)nGフィルタ関数での振動数fを用いて、分析用2次スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1を作成し、これに対応する分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を求めている。
さらに、第2TB処理は、第5の分析処理の再度の処理で、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いて時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135に表示可能としている。
ところで、第2TB処理で作成する加算平均波は、測点i=nA~nBではなく、測点i=n1+1~nBの分析用2次時系列GC(2)(t)|を用いて作成する必要がある。
そこで、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を、上述の式22及び上述の式23に基づいて算出されるWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1、及びSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1の2つに置き換えて、第5の分析処理の再々度の台形窓関数Aの掃引処理で、WAVE加算、及びSP加算の双方の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び双方の時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を作成し直したのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135にそれぞれ表示可能としている。
次に、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=n1+1~nBと、SP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nw+1とを用いて、測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、式16のグラウト充填状態判定式に空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて得る時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|(=SPt*i=n1+1~nB,nw+1)を適用して自動判定したのち、第2TB処理での判定結果と、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1(SP加算)とを一緒にして表示部135に自動表示して第8の分析処理を終了する。
なお、オペレータの操作でi=nw+1のWAVE加算とSP加算との双方とする2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び2つの時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を比較表示可能とし、上述の問題点(4)の存在の有無を確認できるようにしている。
次に、第2の処理、及び第3の処理について説明する。
シースかぶり厚パターンが、図27に示す「パターン(1)~(4)」、「パターン(1´)~(4´)」となる場合(ステップS106:Yes)、上述の表1の対応パターンの開始測点nA及び終了測点nBを用いて、分析用1次かぶり厚ds(1)による第2の処理(ステップS108)、及び分析用1次かぶり厚ds(1)による第3の処理(ステップS109)をこの順番で行う。
ただし、単一点計測の場合、第1の処理で分析がなされることにより、第2の処理、及び第3の処理は行われない。
第2の処理(ステップS108)における分析の流れ、及び処理内容は、上述の第1の処理(ステップS107)と同一である。ただし、第2の処理における第3の分析処理から第8の分析処理は、第1の処理における第3の分析処理から第8の分析処理(ステップS111~ステップS119)の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換え、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)をtp(2)に、分析用2次かぶり厚ds(2)をds(2)に、シース反射M波起生時刻tM1(1)をtM1(1)に、分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)をtM1(2)に置き換える。
第3の処理(ステップS109)における分析の流れ、及び処理内容は、上述の第1の処理(ステップS107)と同一である。ただし、第3の処理における第3の分析処理から第8の分析処理は、第1の処理における第3の分析処理から第8の分析処理(ステップS111~ステップS119)の分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換え、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)をtp(2)に、分析用2次かぶり厚ds(2)をds(2)に、シース反射M波起生時刻tM1(1)をtM1(1)に、分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)をtM1(2)に置き換える。
(f)nGフィルタ関数を用いた閾値分析での問題点(4)の存在を確認する方法と、その対処法を整理する。第1の処理(ステップS107)、第2の処理(ステップS108)、及び第3の処理(ステップS109)ごとの第7の分析処理の第1TA処理(ステップS114)及び第2TA処理(ステップS116)、並びに第8の分析処理の第1TB処理(ステップS117)及び第2TB処理(ステップS119)でそれぞれの分析用2次反射P波起生時刻tp(2)またはtp(2)あるいはtp(2)ごとに、計測対象シースの対応する測点群を選定し、上述の式14のWAVE加算、上述の式15のSP加算、または上述の式22のWAVE加算、上述の式23のSP加算を介して、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を、WAVE加算及びSP加算の双方で求めたのち、オペレータの操作を受け付けて表示部135にそれぞれ表示可能としている。
正解を得る加算波がSP加算ということより、i=nw+1の自動化処理では、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nw+1(SP加算)を用いて、グラウト充填状態の分析結果を表示している。
オペレータの操作で、WAVE加算を用いた時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nw+1(WAVE加算)でも、グラウト充填状態を表示し、双方の充填状態を比較し、問題点(4)の存在の有無を確認し、かつSP加算による計測対象シースのグラウト充填状態の分析結果の正当性をオペレータが確認できる。
このような分析結果の対比をオペレータの本閾値分析における分析検討能力を向上させる手段として位置付けている。
以下、nw=4とする多点計測で、測点i=1~nwの全てが「未充填」の状態にある計測対象シースのA(f)nGフィルタ関数を用いた閾値分析の流れを、図47(a)、図47(b)、及び図48の順に示す。
表3の4つの計測対象シースの分析例で、A(f)フィルタ関数を用いた場合の処理の流れを多面的に示しているが、A(f)nGフィルタ関数を用いた場合の分析も同一の処理の流れとなる。
本A(f)nGフィルタ関数を用いた閾値分析の流れを、第1の分析処理でシース埋設状態がシースかぶり厚に変化がなく、「パターン(0)」、開始測点nA=1、終了測点nB=4、及び分析用1次反射P波起生時刻tp(1)=125μ秒(分析用1次かぶり厚ds(1)=255mm)と特定されているシースでの加算平均波G(t)|i=nw+1(ただし、中心間距離a=200mm、nw=4)のみを用いて詳述する。
まず、図47(a)について説明する。
図中の丸数字の「1」で示した細線は、第2の分析処理で自動設定されている振動数f=(f+f )/2を用いた指数nG=2とするA(f)nGフィルタ関数を、中心間距離a=200mmとする計測対象シース直上計測での受信波スペクトルF(f)|i=1~nw+1に乗じて得た分析用スペクトルFA(f)|i=nw+1に対応する分析用時系列GA(t)|i=nw+1である。
また、図中の丸数字の「2」で示した太線は、第1の処理における第3の分析処理で得た分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1に対応するスペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1にA(f)nGフィルタ関数を用いた第4の分析処理の閾値処理で、40kHz-Δf<f<40kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲でオペレータが選定した振動数fを用いて取得したFC(1)(f)|i=1~nw+1に対応する分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1のGC(1)(t)|i=nw+1である。
なお、第3の分析処理では、分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1の取得で、上述の時刻フィルタ関数TGC1(t)、及び時刻フィルタ関数TGC2(t)を用いるのを基本としているが、本分析例では、コンクリート打設直後ということもあり、シース反射波の振幅が大きくなり、かつシースかぶり厚ds(1)が255mm(分析用1次反射P波起生時刻tp(1)=125μ秒)と深いことにより、コンクリート表面S波、直接波(DI波)の後方残存波の振幅がシース反射P波の振幅に比べて小さくなり、時刻フィルタ関数TGC1(t)、及び時刻フィルタ関数TGC2(t)の代わりに図示する時刻フィルタ関数TGC4(t)を用いても、グラウト充填分析結果に悪影響を及ぼさない。
これにより、本分析例では、図中の丸数字の「4」で示した時刻t=tp(1)=125μ秒とする時刻フィルタ関数TGC4(t)を用いている。なお、図中の丸数字の「3」は、版厚反射P波起生時刻を示している。
図47(b)は、第5の分析処理で、上述の分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1に台形窓関数Aを時刻t(=tp(1)-Δtp1)から時刻t(=tp(1)+Δtp2)まで掃引する状況を、i=nw+1のみで示している。この経緯の中で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(1)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を求めている。
次に、第6の分析処理で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=1~nwの形状特性が図38(a)及び図38(b)のようになり、特性TA、かつn1=nB=4と特定されることより(ステップS113:1)、第7の分析処理へ移行し、第1TA処理で分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を求めた後、第3の分析処理、第4の分析処理、第5の分析処理の再度の処理で、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1をi=nA~n1として、WAVE加算及びSP加算の双方で作成し、それぞれWAVE加算及びSP加算の2つの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1と、2つの時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1とを求めている。
詳細な図示を省略するが、本分析例は、偶然、分析用2次反射P波起生時刻tp(2)≒分析用1次反射P波起生時刻tp(1)となることにより、時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw≒時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=1~nwとし、時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=1~nw≒時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(1)(f,t)nci=1~nwとして、測点i=nA~nB(1~nw)の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nwと、SP加算i=nw+1の時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=nw+1とを、空充判定カーソルt=tp(2)+*として式16のグラウト充填状態判定式に適用し、全ての測点で「未充填」と判定し処理を終了している。
図48は、SP加算による時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nci=nw+1(ただし、MEMスペクトル表示、nc=2)を示したものである。振動数f~f のスペクトルが大きく起生し、計測対象シースが「未充填」であることを示す時刻掃引f,(f~f)スペクトルとなっており、削孔結果である「未充填」と合致している。
なお、時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)ncは、全分析時刻tの中で最大スペクトル値を「1.0」に基準化して、nc=2として表示している。
ところで、図48では、シース反射P波の「未充填」を示す振動数f~f のスペクトルの起生が比較的、長時間継続している。一方、上述のA(f)フィルタ関数を用いて抽出した事例の1つである図33(a)の「未充填」を示す振動数f=80kHzのスペクトルを用いた時刻の推移では、その継続時間が短い。
これは、図48が、振動数f~f のうち、減衰の少ない低振動数側の振動数が支配的な掃引スペクトルであり、図33(a)が、減衰の大きい振動数f=80kHzでのスペクトルが支配的な掃引スペクトルであることにより生じる現象である。
以上のような動作を実現する反射P波閾値分析法に基づいた非破壊検査装置10、及びこれを用いた非破壊検査方法は、グラウト充填状態を効率よく、かつ精度よく非破壊検査することができる。
また、上述した一連の第1の分析処理、第2の分析処理、第3の分析処理、第4の分析処理、及び第5の分析処理のソフトウェア機能を個々に用意し、これ等の分析機能による分析結果を、オペレータが第6の分析処理に適用した後、第7の分析処理及び第8の分析処理での第3の分析処理、第4の分析処理、第5の分析処理を再度、そして、第5の分析処理を再々度適用するオペレータによる半自動化処理でグラウト充填状態を判定する方法でも、精度よく非破壊検査することが出来る。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の入力受付手段及び操作受付手段は、実施形態の操作部134に対応し、
以下同様に、
コンクリート表面は、コンクリート上面4aに対応し、
計測対象シースは、シース管2に対応し、
第1の収録手段、第2の収録手段、第1の分析手段、第2の分析手段、第3の分析手段、第4の分析手段、第5の分析手段、第6の分析手段、第7の分析手段、第8の分析手段、第1の処理手段、第2の処理手段、及び第3の処理手段は、制御部136に対応し、
入力受付工程は、ステップS101に対応し、
第1の収録工程は、ステップS102に対応し、
第2の収録工程は、ステップS103に対応し、
操作受付工程、及び第1の分析工程は、ステップS104に対応し、
第2の分析工程は、ステップS105に対応し、
第1の処理工程は、ステップS107に対応し、
第2の処理工程は、ステップS108に対応し、
第3の処理工程は、ステップS109に対応し、
第3の分析工程、第4の分析工程、及び第5の分析工程は、ステップS111に対応し、
第6の分析工程は、ステップS112に対応し、
第7の分析工程は、ステップS114~ステップS116に対応し、
第8の分析工程は、ステップS117~ステップS119に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
2…シース管
4a…コンクリート上面
10…非破壊検査装置
11a…発信探触子
12a…受信探触子
13…解析機器
134…操作部
135…表示部
136…制御部
多数の分析事例によれば、この問題による計測グラウト充填状態の誤判定の発生率は、50%以上になることもある。この問題への対処をなす必要がある

Claims (4)

  1. 超音波を発信する発信探触子、及び超音波を受信する受信探触子からなる一対の探触子と、少なくとも各種情報を表示する表示部を有して計測対象シースのグラウト充填状態を分析判定する解析機器とを備えた非破壊検査装置であって、
    オペレータの操作によるコンクリート縦波音速、2段目シースのかぶり厚、版厚、及び版厚底部コーナーの路程長の入力を受け付ける入力受付手段と、
    計測対象シースの断面中心からコンクリート表面への垂線と前記コンクリート表面との交点をとおる前記計測対象シースの長手方向に沿った前記コンクリート表面の仮想線分上において、測点i=1~nwを順に計測する多点計測の場合、測点i=1でのシースかぶり厚と測点i=nwでのシースかぶり厚との平均値を、あるいは測点i=1となる単一点計測の場合、測点i=1でのシースかぶり厚を、レーダ計測かぶり厚ds|RCとして取得して、下式のdsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換えてシース反射P波起生時刻t=tRCを取得する第1の収録手段と、
    Figure 2022075581000065
    前記発信探触子から前記計測対象シースに向かって、所定時刻間隔で超音波を連続発信し、発信のたびに前記受信探触子で得た収録波を加算平均して測点i毎の受信波G(t)|i=1~nwを取得し、該受信波G(t)|i=1~nwをFFT変換して対応する受信波スペクトルF(f)|i=1~nwを取得する第2の収録手段と、
    振動数0.0から(f-Δf)の間が「0.0」、振動数(f-Δf)からfの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fから(f+Δf)の間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数(f+Δf)以上で「0.0」となる関数をF3フィルタ関数として、
    該F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを低振動数または高振動数側へ徐々に移動させるオペレータの操作を受け付ける操作受付手段と、
    Δtをオペレータによって設定される値とし、時刻0.0から(tRC-Δt)の間が「0.0」、時刻(tRC-Δt)で「0.0」となり時刻tRCで「1.0」となるsin形状増加関数、時刻tRCで「1.0」となり時刻(tRC+Δt)で「0.0」となるsin形状減少関数、時刻(tRC+Δt)以降で「0.0」となる関数を時刻フィルタ関数TGC4(t)として、前記操作受付手段でオペレータの操作を受け付けるたびに、前記中心振動数fとする前記F3(f)フィルタ関数を前記受信波スペクトルF(f)|i=1~nwに乗じて得たスペクトルをFFT逆変換して得る時系列波に対して、該時系列波のいずれかの測点iの起生時刻を中心時刻とする前記時刻フィルタ関数TGC4(t)を乗じて、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)i=1~nwを取得するとともに、下式のdsを分析用1次かぶり厚ds(1)に、下式のtを前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)に置き換えて、分析用1次かぶり厚ds(1)を取得し、
    Figure 2022075581000066
    さらに、測点i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が全ての測点iで同一、または測点i=nw=1の単一点計測の場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び前記分析用1次かぶり厚ds(1)をそれぞれtp(1)、及びds(1)とするとともに、開始測点nAをi=1、終了測点nBをi=nwとし、測点i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が測点iごとに異なる場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)i=1~nwを2つに区分し、それぞれの平均値をtp(1)、及びtp(1)とし、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を上式に適用して得た分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用1次かぶり厚ds(1)とし、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を上式に適用して得た分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用1次かぶり厚ds(1)として、前記分析用1次かぶり厚ds(1)及びds(1)ごとの開始測点nA、及び終了測点nBを取得する第1の分析手段と、
    中心振動数fを20kHz、振動数fをオペレータによって設定される50kHz-Δf<f<50kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲のいずれかの値、振動数fを80kHzとして、振動数-10kHzからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fからfが「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数fからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fから(f+30kHz)が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数(f+30kHz)以上で「0.0」となるA(f)フィルタ関数を、i=1~nwを受信波、i=nw+1を加算平均波とする受信波スペクトルF(f)|i=1~nw+1に乗じて分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を取得し、該分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1をFFT逆変換して対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1を取得する第2の分析手段と、
    i=1の単一点計測の場合、またはi=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が同一の場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)とし、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)として、第3の分析手段、第4の分析手段、第5の分析手段、第6の分析手段、第7の分析手段、及び第8の分析手段による分析によって、前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第1の処理手段と、
    i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が異なる場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換えた前記第3の分析手段、前記第4の分析手段、前記第5の分析手段、前記第6の分析手段、前記第7の分析手段、及び前記第8の分析手段による分析によって、前記分析用1次かぶり厚ds(1)における前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第2の処理手段と、
    該第2の処理手段での判定に引き続いて、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換えた前記第3の分析手段、前記第4の分析手段、前記第5の分析手段、前記第6の分析手段、前記第7の分析手段、及び前記第8の分析手段による分析によって、前記分析用1次かぶり厚ds(1)における前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第3の処理手段とを備え、
    前記第3の分析手段は、
    時刻tp(1)+Δth1を基準時刻とする時刻フィルタ関数TGC1(t)、及び時刻tp(1)を基準時刻とする時刻フィルタ関数TGC2(t)を、前記分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1に乗じて分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1を取得し、該分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1をFFT変換して対応するスペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1を取得する分析手段であり、
    前記時刻フィルタ関数TGC1(t)は、
    基準時刻t=tp(1)+Δth1として、時刻t=0で「0.0」となり、基準時刻tで「1.0」となるsin形状増加線分、時刻t=基準時刻t以降が「1.0」となるTGCA(t)関数を用いて、(TGCA(t))neで算出される関数であり、
    前記時刻フィルタ関数TGC2(t)は、
    基準時刻t=tp(1)として、時刻t=0.0から時刻t=tが「1.0」、時刻t=基準時刻tで「1.0」となり、時刻t=400μ秒で「0.0」となるsin形状減少線分、時刻t=400μ秒以降が「0.0」となるTGCB(t)関数を用いて、(TGCB(t))nfで算出される関数であり、
    前記第4の分析手段は、
    前記スペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1で、iごとに前記振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値を基準値=1.0としたのち、前記振動数fよりも高振動数側の最大スペクトル値を閾値ασとする閾値処理で、分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1を取得し、該分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1に対応する分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で取得する分析手段であり、
    前記第5の分析手段は、
    台形窓関数Aを時刻t=tp(1)-Δtp1から時刻t=tp(1)+Δtp2までΔt間隔で移動させるたびに、前記分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1に台形窓関数Aを乗じて切り出した時系列に対応するスペクトルを求め、前記振動数f以下での最大スペクトル値を1.0に基準化して得たスペクトルにおいて、前記振動数f以上での最大スペクトル値を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2として、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1を作成するとともに、前記振動数f以上、及び前記振動数f以下での最大スペクトル値を時刻の推移毎に比較して大きい方の最大スペクトル値を1.0に基準化して得た時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1を作成する分析手段であり、
    前記台形窓関数Aは、
    基準時刻をtとし、前記分析用1次かぶり厚ds(1)またはds(1)あるいはds(1)に応じて設定された時間幅を示す値をtとして、時刻t=0.0からt-5の間が「0.0」、時刻t=t-5からtが「0.0」から「1.0」となるsin形状増加関数、時刻t=tからt+tが「1.0」、時刻t=t+tからt+t+5が「1.0」から「0.0」となるsin形状減少関数、時刻t=t+t+5以降が「0.0」となる関数であり、
    前記第6の分析手段は、
    計測対象シースの空隙部分とグラウト充填部分との境界測点をn1として、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、測点i=nA~n1(ただし、境界測点n1≦終了測点nB)において、時刻tp(1)-ΔtB1から時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えることを確認して前記境界測点n1が特定される特性TA、または時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、測点i=nA~n1(ただし、境界測点n1≦終了測点nB)において、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回ることを確認して前記境界測点n1が特定される特性TBのいずれであるかを特定する分析手段であり、
    前記第7の分析手段は、
    前記第6の分析手段において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル形状が特性TAと特定された場合、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBに基づいて、第1TA処理手段、及び第2TA処理手段による分析を行い、グラウト充填状態を判定する分析手段であり、
    前記第8の分析手段は、
    前記第6の分析手段において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル形状が特性TBと特定された場合、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBに基づいて、第1TB処理手段、及び第2TB処理手段による分析を行い、グラウト充填状態を判定する分析手段であり、
    前記第7の分析手段の前記第1TA処理手段は、
    時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えている時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに、時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で、閾値ασを超える時刻をtとし、この平均値をtとし、または単一点計測の場合、t=tとして、下式に基づいてΔtを取得するとともに、
    Figure 2022075581000067
    下式に基づいて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を取得し、
    Figure 2022075581000068
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000069
    前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
    Figure 2022075581000070
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000071
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1とSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、α σ+0.18<SPf2(2)(t)|の場合に「未充填」と自動判定し、α σ<SPf2(2)(t)|≦α σ+0.18の場合に「充填不足」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段であり、
    前記第7の分析手段の前記第2TA処理手段は、
    n1<nBの場合において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が測点i=n1+1~nBごとに、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る時、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる時刻後方で、測点i=n1+1~nBの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασを超える時刻をtとして、下式を満足させる測点iの時刻tを選定し、該時刻tの平均値を時刻平均値tとし、
    Figure 2022075581000072
    Figure 2022075581000073
    上式を満足させる時刻tがない場合、時刻平均値t=tM1(1)として、下式でΔtを求め、
    Figure 2022075581000074
    分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を下式群に基づいて取得するとともに、
    Figure 2022075581000075
    Figure 2022075581000076
    Figure 2022075581000077
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000078
    前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
    Figure 2022075581000079
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000080
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いたSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBとSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、SPf2(2)(t)|≦α σの場合に「完全充填」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段であり、
    前記第8の分析手段の前記第1TB処理手段は、
    時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る場合、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる時刻後方で、測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασを超える時刻をt(単一点計測の場合、時刻t=t)として、下式を満足させる測点iの時刻tを選定し、該時刻tの平均値を時刻平均値tとし、
    Figure 2022075581000081
    Figure 2022075581000082
    上式を満足させる時刻tがない場合、時刻平均値t=tM1(1)として、下式でΔtを求め、
    Figure 2022075581000083
    分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を下式群に基づいて取得するとともに、
    Figure 2022075581000084
    Figure 2022075581000085
    Figure 2022075581000086
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000087
    前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すともに、
    Figure 2022075581000088
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000089
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1とSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、SPf2(2)(t)|≦α σの場合に「完全充填」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段であり、
    前記第8の分析手段の前記第2TB処理手段は、
    n1<nBの場合において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=n1+1~nBごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超える時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=n1+1~nBごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で閾値ασを超える時刻をtとし、測点iごとの時刻tの平均値である時刻平均値tを求め、下式に基づいてΔtを取得するとともに、
    Figure 2022075581000090
    下式に基づいて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を取得し、
    Figure 2022075581000091
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000092
    前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析手段、及び前記第4の分析手段による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析手段による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
    Figure 2022075581000093
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000094
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析手段による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBとSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて得る時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、α σ+0.18<SPf2(2)(t)|の場合に「未充填」と自動判定し、α σ<SPf2(2)(t)|≦α σ+0.18の場合に「充填不足」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理手段である
    非破壊検査装置。
  2. 前記第2の分析手段は、
    前記A(f)フィルタ関数をA(f)nGフィルタ関数に置き換えて、測点i=1~nw+1での前記分析用スペクトルFA(f)|、及び前記分析用時系列GA(t)|を取得する手段であり、
    前記A(f)nGフィルタ関数は、
    (f+f )/2(ただし、f =80kHz)を振動数fとして、振動数f=0.0で「0.0」となり、振動数fで「1.0」となるsin形状増加関数、前記振動数fで「1.0」となり、前記振動数f×2で「0.0」となるsin形状減少関数、そして前記振動数f×2以上で「0.0」となる関数であり、
    前記A(f)nGフィルタ関数のnG値は、
    前記振動数fをオペレータの操作によって設定された40kHz-Δf<f<40kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲のいずれかの値として、前記分析用スペクトルFA(f)|が、測点iのいずれかで振動数f~振動数f =80kHzの間で最大スペクトル値となるときの値であり、
    前記第4の分析手段は、
    前記第3の分析手段で取得したスペクトルFB(f)|i=1~nw+1ごとに前記振動数f以下での最大スペクトル値を1.0に基準化し、前記振動数f以上での最大スペクトル値を前記閾値ασとする手段であり、
    前記第5の分析手段は、
    前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1、及び前記時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1の代わりに、それぞれ時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(1)(f,t)nci=1~nw+1を作成する手段であり、
    前記第6の分析手段は、
    前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、前記特性TAまたは前記特性TBのいずれであるかを特定し、かつ前記境界測点n1を特定する手段であり、
    前記第7の分析手段、及び前記第8の分析手段は、
    前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|、及び前記時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)ncの代わりに、それぞれ時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)ncを作成し、前記時刻tでの前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|に代えて、前記時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|を求めて、グラウト充填状態を判定する手段である
    請求項1に記載の非破壊検査装置。
  3. 超音波を発信する発信探触子、及び超音波を受信する受信探触子からなる一対の探触子と、少なくとも各種情報を表示する表示部を有して計測対象シースのグラウト充填状態を分析判定する解析機器とを備えた装置を用いた非破壊検査方法であって、
    前記解析機器は、
    オペレータの操作によるコンクリート縦波音速、2段目シースのかぶり厚、版厚、及び版厚底部コーナーの路程長の入力を受け付ける入力受付工程と、
    計測対象シースの断面中心からコンクリート表面への垂線と前記コンクリート表面との交点をとおる前記計測対象シースの長手方向に沿った前記コンクリート表面の仮想線分上において、測点i=1~nwを順に計測する多点計測の場合、測点i=1でのシースかぶり厚と測点i=nwでのシースかぶり厚との平均値を、あるいは測点i=1となる単一点計測の場合、測点i=1でのシースかぶり厚を、レーダ計測かぶり厚ds|RCとして取得して、下式のdsをレーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換えてシース反射P波起生時刻t=tRCを取得する第1の収録工程と、
    Figure 2022075581000095
    前記発信探触子から前記計測対象シースに向かって、所定時刻間隔で超音波を連続発信し、発信のたびに前記受信探触子で得た収録波を加算平均して測点i毎の受信波G(t)|i=1~nwを取得し、該受信波G(t)|i=1~nwをFFT変換して対応する受信波スペクトルF(f)|i=1~nwを取得する第2の収録工程と、
    振動数0.0から(f-Δf)の間が「0.0」、振動数(f-Δf)からfの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fから(f+Δf)の間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数(f+Δf)以上で「0.0」となる関数をF3フィルタ関数として、該F3(f)フィルタ関数の中心振動数fを低振動数または高振動数側へ徐々に移動させるオペレータの操作を受け付ける操作受付工程と、
    Δtをオペレータによって設定される値とし、時刻0.0から(tRC-Δt)の間が「0.0」、時刻(tRC-Δt)で「0.0」となり時刻tRCで「1.0」となるsin形状増加関数、時刻tRCで「1.0」となり時刻(tRC+Δt)で「0.0」となるsin形状減少関数、時刻(tRC+Δt)以降で「0.0」となる関数を時刻フィルタ関数TGC4(t)として、前記操作受付工程でオペレータの操作を受け付けるたびに、前記中心振動数fとする前記F3(f)フィルタ関数を前記受信波スペクトルF(f)|i=1~nwに乗じて得たスペクトルをFFT逆変換して得る時系列波に対して、該時系列波のいずれかの測点iの起生時刻を中心時刻とする前記時刻フィルタ関数TGC4(t)を乗じて、分析用1次反射P波起生時刻tp(1)i=1~nwを取得するとともに、下式のdsを分析用1次かぶり厚ds(1)に、下式のtを前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)に置き換えて、分析用1次かぶり厚ds(1)を取得し、
    Figure 2022075581000096
    さらに、測点i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が全ての測点iで同一、または測点i=nw=1の単一点計測の場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)、及び前記分析用1次かぶり厚ds(1)をそれぞれtp(1)、及びds(1)とするとともに、開始測点nAをi=1、終了測点nBをi=nwとし、測点i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が測点iごとに異なる場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)i=1~nwを2つに区分し、それぞれの平均値をtp(1)、及びtp(1)とし、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を上式に適用して得た分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用1次かぶり厚ds(1)とし、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を上式に適用して得た分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用1次かぶり厚ds(1)として、前記分析用1次かぶり厚ds(1)及びds(1)ごとの開始測点nA、及び終了測点nBを取得する第1の分析工程と、
    中心振動数fを20kHz、振動数fをオペレータによって設定される50kHz-Δf<f<50kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲のいずれかの値、振動数fを80kHzとして、振動数-10kHzからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fからfが「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数fからfが「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数fから(f+30kHz)が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数(f+30kHz)以上で「0.0」となるA(f)フィルタ関数を、i=1~nwを受信波、i=nw+1を加算平均波とする受信波スペクトルF(f)|i=1~nw+1に乗じて分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を取得し、該分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1をFFT逆変換して対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1を取得する第2の分析工程と、
    i=1の単一点計測の場合、またはi=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が同一の場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)とし、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)として、第3の分析工程、第4の分析工程、第5の分析工程、第6の分析工程、第7の分析工程、及び第8の分析工程による分析によって、前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第1の処理工程と、
    i=1~nwの多点計測における前記分析用1次かぶり厚ds(1)が異なる場合、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換えた前記第3の分析工程、前記第4の分析工程、前記第5の分析工程、前記第6の分析工程、前記第7の分析工程、及び前記第8の分析工程による分析によって、前記分析用1次かぶり厚ds(1)における前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第2の処理工程と、
    該第2の処理工程での判定に引き続いて、前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)をtp(1)に、前記分析用1次かぶり厚ds(1)をds(1)に置き換えた前記第3の分析工程、前記第4の分析工程、前記第5の分析工程、前記第6の分析工程、前記第7の分析工程、及び前記第8の分析工程による分析によって、前記分析用1次かぶり厚ds(1)における前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第3の処理工程とを備え、
    前記第3の分析工程は、
    時刻tp(1)+Δth1を基準時刻とする時刻フィルタ関数TGC1(t)、及び時刻tp(1)を基準時刻とする時刻フィルタ関数TGC2(t)を、前記分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1に乗じて分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1を取得し、該分析用切り出し波GB(1)(t)|i=1~nw+1をFFT変換して対応するスペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1を取得する分析工程であり、
    前記時刻フィルタ関数TGC1(t)は、
    基準時刻t=tp(1)+Δth1として、時刻t=0で「0.0」となり、基準時刻tで「1.0」となるsin形状増加線分、時刻t=基準時刻t以降が「1.0」となるTGCA(t)関数を用いて、(TGCA(t))neで算出される関数であり、
    前記時刻フィルタ関数TGC2(t)は、
    基準時刻t=tp(1)として、時刻t=0.0から時刻t=tが「1.0」、時刻t=基準時刻tで「1.0」となり、時刻t=400μ秒で「0.0」となるsin形状減少線分、時刻t=400μ秒以降が「0.0」となるTGCB(t)関数を用いて、(TGCB(t))nfで算出される関数であり、
    前記第4の分析工程は、
    前記スペクトルFB(1)(f)|i=1~nw+1で、iごとに前記振動数fよりも低振動数側の最大スペクトル値を基準値=1.0としたのち、前記振動数fよりも高振動数側の最大スペクトル値を閾値ασとする閾値処理で、分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1を取得し、該分析用1次スペクトルFC(1)(f)|i=1~nw+1に対応する分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で取得する分析工程であり、
    前記第5の分析工程は、
    台形窓関数Aを時刻t=tp(1)-Δtp1から時刻t=tp(1)+Δtp2までΔt間隔で移動させるたびに、前記分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1に台形窓関数Aを乗じて切り出した時系列に対応するスペクトルを求め、前記振動数f以下での最大スペクトル値を1.0に基準化して得たスペクトルにおいて、前記振動数f以上での最大スペクトル値を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2として、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1を作成するとともに、前記振動数f以上、及び前記振動数f以下での最大スペクトル値を時刻の推移毎に比較して大きい方の最大スペクトル値を1.0に基準化して得た時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1を作成する分析工程であり、
    前記台形窓関数Aは、
    基準時刻をtとし、前記分析用1次かぶり厚ds(1)またはds(1)あるいはds(1)に応じて設定された時間幅を示す値をtとして、時刻t=0.0からt-5の間が「0.0」、時刻t=t-5からtが「0.0」から「1.0」となるsin形状増加関数、時刻t=tからt+tが「1.0」、時刻t=t+tからt+t+5が「1.0」から「0.0」となるsin形状減少関数、時刻t=t+t+5以降が「0.0」となる関数であり、
    前記第6の分析工程は、
    計測対象シースの空隙部分とグラウト充填部分との境界測点をn1として、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、測点i=nA~n1(ただし、境界測点n1≦終了測点nB)において、時刻tp(1)-ΔtB1から時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えることを確認して前記境界測点n1が特定される特性TA、または時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、測点i=nA~n1(ただし、境界測点n1≦終了測点nB)において、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回ることを確認して前記境界測点n1が特定される特性TBのいずれであるかを特定する分析工程であり、
    前記第7の分析工程は、
    前記第6の分析工程において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル形状が特性TAと特定された場合、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBに基づいて、第1TA処理工程、及び第2TA処理工程による分析を行い、グラウト充填状態を判定する分析工程であり、
    前記第8の分析工程は、
    前記第6の分析工程において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル形状が特性TBと特定された場合、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~nBに基づいて、第1TB処理工程、及び第2TB処理工程による分析を行い、グラウト充填状態を判定する分析工程であり、
    前記第7の分析工程の前記第1TA処理工程は、
    時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が、測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超えている時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに、時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で、閾値ασを超える時刻をtとし、この平均値をtとし、または単一点計測の場合、t=tとして、下式に基づいてΔtを取得するとともに、
    Figure 2022075581000097
    下式に基づいて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を取得し、
    Figure 2022075581000098
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000099
    前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析工程による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
    Figure 2022075581000100
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000101
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析工程による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1とSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、α σ+0.18<SPf2(2)(t)|の場合に「未充填」と自動判定し、α σ<SPf2(2)(t)|≦α σ+0.18の場合に「充填不足」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理工程であり、
    前記第7の分析工程の前記第2TA処理工程は、
    n1<nBの場合において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が測点i=n1+1~nBごとに、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る時、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる時刻後方で、測点i=n1+1~nBの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασを超える時刻をtとして、下式を満足させる測点iの時刻tを選定し、該時刻tの平均値を時刻平均値tとし、
    Figure 2022075581000102
    Figure 2022075581000103
    上式を満足させる時刻tがない場合、時刻平均値t=tM1(1)として、下式でΔtを求め、
    Figure 2022075581000104
    分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を下式群に基づいて取得するとともに、
    Figure 2022075581000105
    Figure 2022075581000106
    Figure 2022075581000107
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000108
    前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析工程による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
    Figure 2022075581000109
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000110
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析工程による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いたSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBとSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、SPf2(2)(t)|≦α σの場合に「完全充填」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理工程であり、
    前記第8の分析工程の前記第1TB処理工程は、
    時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとに、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを下回る場合、時刻tp(1)+ΔtB2のさらなる時刻後方で、測点i=nA~n1(ただし、n1≦nB)ごとの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|が閾値ασを超える時刻をt(単一点計測の場合、時刻t=t)として、下式を満足させる測点iの時刻tを選定し、該時刻tの平均値を時刻平均値tとし、
    Figure 2022075581000111
    Figure 2022075581000112
    上式を満足させる時刻tがない場合、時刻平均値t=tM1(1)として、下式でΔtを求め、
    Figure 2022075581000113
    分析用2次シース反射M波起生時刻tM1(2)及び分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を下式群に基づいて取得するとともに、
    Figure 2022075581000114
    Figure 2022075581000115
    Figure 2022075581000116
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000117
    前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析工程による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すともに、
    Figure 2022075581000118
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000119
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、前記スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析工程による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nA~n1とSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=nA~n1各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて取得した時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、SPf2(2)(t)|≦α σの場合に「完全充填」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理工程であり、
    前記第8の分析工程の前記第2TB処理工程は、
    n1<nBの場合において、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=n1+1~nBごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2の間で増加傾向にあり、時刻tp(1)+ΔtB2で閾値ασを超える時、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=n1+1~nBごとに時刻tp(1)-ΔtB1と時刻tp(1)+ΔtB2との間で閾値ασを超える時刻をtとし、測点iごとの時刻tの平均値である時刻平均値tを求め、下式に基づいてΔtを取得するとともに、
    Figure 2022075581000120
    下式に基づいて分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を取得し、
    Figure 2022075581000121
    下式のdsを分析用2次かぶり厚ds(2)に、下式のtを前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、分析用2次かぶり厚ds(2)を取得し、
    Figure 2022075581000122
    前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程における前記分析用1次反射P波起生時刻tp(1)を分析用2次反射P波起生時刻tp(2)に置き換えて、前記第3の分析工程、及び前記第4の分析工程による再度の分析によって、分析用1次時系列GC(1)(t)|i=1~nw+1の代わりに分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を作成し、さらに、前記第5の分析工程による再度の分析で前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に分析用2次反射P波起生時刻tp(2)を用いた前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を適用し、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=1~nw+1を作成し、次に、WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1を下式で作成し直すとともに、
    Figure 2022075581000123
    前記WAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1のFFT変換でスペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を求め、さらに下式に基づいてスペクトルFC (2)(f)|i=nw+1を作成し、
    Figure 2022075581000124
    前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1の位相情報を、スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1の位相情報に変更したのち、前記スペクトルFC (2)(f)|i=nw+1のFFT逆変換でSP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1を作成し、再々度の前記第5の分析工程による前記台形窓関数Aのtp(2)-Δtp1を始点時刻tとし、tp(2)+Δtp2を終点時刻tとする掃引処理を前記SP加算平均波GC (2)(t)|i=nw+1に適用し、前記分析用2次反射P波起生時刻tp(2)とするSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)nci=nw+1を作成し直したのち、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=n1+1~nBとSP加算の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=nw+1とを用いて測点i=n1+1~nB各々での、及びSP加算i=nw+1でのグラウト充填状態を、空充判定線分α σ(=ασ+0.06)値、及び前記分析用2次かぶり厚ds(2)に応じて設定された時刻を*値とする空充判定カーソルt=tp(2)+*を用いて得る時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|が、α σ+0.18<SPf2(2)(t)|の場合に「未充填」と自動判定し、α σ<SPf2(2)(t)|≦α σ+0.18の場合に「充填不足」と自動判定し、該判定結果及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を表示部に表示する処理工程である
    非破壊検査方法。
  4. 前記第2の分析工程は、
    前記A(f)フィルタ関数をA(f)nGフィルタ関数に置き換えて、測点i=1~nw+1での前記分析用スペクトルFA(f)|、及び前記分析用時系列GA(t)|を取得する工程であり、
    前記A(f)nGフィルタ関数は、
    (f+f )/2(ただし、f =80kHz)を振動数fとして、振動数f=0.0で「0.0」となり、振動数fで「1.0」となるsin形状増加関数、前記振動数fで「1.0」となり、前記振動数f×2で「0.0」となるsin形状減少関数、そして前記振動数f×2以上で「0.0」となる関数であり、
    前記A(f)nGフィルタ関数のnG値は、
    前記振動数fをオペレータの操作によって設定された40kHz-Δf<f<40kHz+Δf(ただし、Δf=5kHz)の範囲のいずれかの値として、前記分析用スペクトルFA(f)|が、測点iのいずれかで振動数f~振動数f =80kHzの間で最大スペクトル値となるときの値であり、
    前記第4の分析工程は、
    前記第3の分析工程で取得したスペクトルFB(f)|i=1~nw+1ごとに前記振動数f以下での最大スペクトル値を1.0に基準化し、前記振動数f以上での最大スペクトル値を前記閾値ασとする工程であり、
    前記第5の分析工程は、
    前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(1)(t)|i=1~nw+1、及び前記時刻掃引f,fスペクトルSPf2(1)(f,t)nci=1~nw+1の代わりに、それぞれ時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(1)(f,t)nci=1~nw+1を作成する工程であり、
    前記第6の分析工程は、
    前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(1)(t)|i=nA~nBのスペクトル値が、前記特性TAまたは前記特性TBのいずれであるかを特定し、かつ前記境界測点n1を特定する工程であり、
    前記第7の分析工程、及び前記第8の分析工程は、
    前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|、及び前記時刻掃引f,fスペクトルSPf2(2)(f,t)ncの代わりに、それぞれ時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|、及び時刻掃引f,(f~f)スペクトルSPf1,2(2)(f,t)ncを作成し、前記時刻tでの前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|に代えて、前記時刻tでの時刻掃引基準化スペクトル値SPf1,2(2)(t)|を求めて、グラウト充填状態を判定する工程である
    請求項3に記載の非破壊検査方法。
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