JP2005331404A - 鉄筋コンクリート構造物診断装置および鉄筋コンクリート構造物診断方法 - Google Patents

鉄筋コンクリート構造物診断装置および鉄筋コンクリート構造物診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 鉄筋の近くに発生したクラック等の異常を的確に判断することができる鉄筋コンクリート構造物診断装置を提供する
【解決手段】 内部に鉄筋Iが埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物Cに対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得した健全時データを格納する健全時データ格納手段と、健全時データ格納手段に格納された健全時データと、受波手段によって得られた反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、健全性診断手段は、健全性データにおける各反射波の特徴点の時系列における変化と、受波手段によって得られた反射波の特徴点の時系列における変化とを比較することによって健全性を診断する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断装置および鉄筋コンクリート構造物診断方法に関するものである。
近年、橋脚や橋梁など多くの鉄筋コンクリート構造物に対し、老朽化よるクラックなどの事故がしばしば見受けられる。これらに対する診断法としては、これまで熟練者がハンマーで衝撃を与え、そのときの反力や音などにより異常を診断する方法がよく採られていた。しかし、この手法は、信頼性が低い上に、主観的なものであり、肉体的負荷が大きい。
更に、近年では、熟練者の数が急激に減少している。一方で、建造物を長寿命化する観点から診断対象の数が急増するという背景もある。したがって、非熟練者でも高精度な診断が行える診断装置の開発が望まれている。
この観点から、打音に代わる診断手法として、赤外線法、X線法、超音波法、電磁波レーダ法などの検査法の開発が種々試みられてきた。しかし、赤外線法ではクラック前方とクラック周囲との温度差により診断を行うため、日照がない箇所では、クラック検出が困難であった。
これを克服するために、ハロゲンランプで壁面を暖めるという方法も考えられるが、検査に時間がかかるだけでなく、表面から十数mmまでの深さのクラックしか検出できないという欠点がある。
また、X線法は取り扱いが煩わしく、有資格者しか使用できない上に、リスクが伴い高コストである。更に、片側からしか診断できないものには適用できない。
また、超音波法は、取り扱いが比較的容易であるものの、本質的にポイント検査であるため、検査に時間がかかるという欠点がある。
これらの方法に対し、作業時間を短縮して稼働率を上げる方法として、電磁波レーダ法がよく知られている。
これは、送受波器を取り付けたローラ付きの電磁波レーダをコンクリート壁面上で転がし壁面上を速やかに走査できるからである。しかしながら、これまでの電磁波レーダ法では、受信波の時空間的な強度に関わる濃淡画像を目視でみることにより非破壊検査を行っていたため、専門家といえども、良好な検査がなされていなかった。
そこで本発明者らは、先に、高速・高精度なトンネル非破壊検査を念頭に、コンクリート構造物に対し、受信信号が時系列信号として得られる電磁波レーダを用い、これにコンクリート内電磁波伝播モデルを適用することにより、高速・高信頼度・高精度なコンクリート非破壊検査手法を開発した(下記特許文献1参照)。
特開2003−207463号
しかしながら、上記手法はトンネルなどコンクリート構造物に対するものであり、鉄筋を含む鉄筋コンクリート構造物に適用しようとすると、クラック等に比べ鉄筋からの反射波の方が強く、クラック等の非破壊検査が困難となる。
また、鉄筋コンクリート構造物では、コンクリート材補強のため、コンクリートの表面近くにメッシュ状の鉄筋が埋め込まれており、そのため雨水等の水分がコンクリート中へ浸入すると、鉄筋がアルカリ性骨材反応を引き起こしてしまう。すると、鉄筋が錆び、膨張し、鉄筋から表面に向けてクラックが成長する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、鉄筋の近くに発生したクラック等の異常を的確に判断することができる鉄筋コンクリート構造物診断装置および鉄筋コンクリート構造物診断方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置及および鉄筋コンクリート構造物診断方法は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる鉄筋コンクリート構造物診断装置は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得した健全時データを格納する健全時データ格納手段と、該健全時データ格納手段に格納された健全時データと、前記受波手段によって得られた前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、前記健全性診断手段は、前記健全性データにおける各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記受波手段によって得られた前記反射波の特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする。
時系列信号としての反射波そのものを用いると、コンクリート材やこれに含まれる骨材に起因する反射波の乱れに左右されてロバスト性が低下するおそれがある。本発明では、反射波の特徴点の時系列変化を、健全時と比較することした。これにより、信頼性が高くかつ簡便に鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断することができる。
特徴点の時系列変化の比較としては、例えば、反射波の山(極大値)と谷(極小値)との間の時間間隔を時系列的に抽出し、健全時における時系列変化との類似度をみることによって診断する。
なお、「特徴点」としては、反射波の極大値や極小値に限らず、受波信号を特徴付ける他の点であっても良い。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、該受波手段によって得られた前記反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記各反射波の特徴点の時系列における変化の極値前後の対称性によって前記健全性を診断することを特徴とする。
鉄筋がアルカリ性骨材反応を引き起こしてクラックが発生している場合、クラックは、通常、鉄筋を中心として両側に鉄筋コンクリート構造物の表面へ向かって拡がっていく。このように生じるクラックは、一般的に、鉄筋を中心として対称に形成されることはない。本発明は、この点に着目して、受波手段によって得られた各反射波の特徴点の時系列変化における極値前後の対称性を用いることとした。
電磁波を鉄筋に対して移動しつつ照射させた場合、クラックが発生していれば、各位置における反射波の特徴点の時系列変化は、一般的に、鉄筋の位置に対応する極値をはさんで非対称となる。ここで、各反射波の特徴点の時系列変化が鉄筋の位置で極値を示す理由は、この位置で鉄筋からの反射波が最も早く受波手段に到達し、これが反射波の特徴点の時系列変化に大きな変化をもたらすからである。例えば、反射波の特徴点としてピークを選んだ場合、受波手段が鉄筋の位置に来ると、鉄筋からの反射波によるピークが現れる時間が最も短くなり、これが極値(極小値)として観測される。
また、鉄筋の錆びがかなり進行していれば、その錆び方も一般的には非対称なので、その場合もクラックの有無に拘わらず、各反射波の特徴点の時系列変化は極値前後で非対称になる。したがって、各反射波の時系列変化の極値前後の対称性をみることにより、鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断できる。
また、本発明によれば、鉄筋コンクリート構造物の健全な部分のデータを予め得ておく必要がないので、より簡便に診断を行うことができる。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、該受波手段によって得られた前記反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記各反射波の特徴点の時系列における変化の連続性によって前記健全性を診断することを特徴とする。
クラックは鉄筋を中心として非対称に発生するのが一般的であるが、鉄筋を中心としてほぼ対称に発生することもあり得る。このような場合、各反射波の特徴点における時系列変化は、鉄筋の位置を示す極値を挟んでほぼ対称になるため、上記発明のように対称性を評価するだけでは不十分である。
そこで、本発明では、各反射波の特徴点の時系列変化の連続性によって診断することとした。なぜなら、健全な鉄筋コンクリート構造物に対しては、隣り合う各反射波の特徴点の変動はゆるやかで連続的なものであるが、異常域ではクラックからの反射波が各位置において一定ではないため、隣り合う反射波の特徴点の変動は激しく、一般的に不連続的になるからである。
また、本発明によれば、鉄筋コンクリート構造物の健全な部分のデータを予め得ておく必要がないので、より簡便に診断を行うことができる。
なお、各反射波の特徴点の時系列変化における極値前後の対称性を用いる上記発明と組み合わせて用いることとしても良い。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号を格納する健全時予測受波信号格納手段と、該健全時予測受波信号格納手段に格納された前記予測受波信号と、前記受波手段によって得られた前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記予測受波信号における特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする。
予測受波信号を予め得ておくことにより、診断現場にて健全時データを取得する必要がない。したがって、診断現場にて簡易に診断を行うことができる。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号を格納する健全時予測受波信号格納手段と、該健全時予測受波信号格納手段に格納された前記予測受波信号と、前記受波手段によって得られた前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた前記鉄筋からの反射波との一次結合によって表され、前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記反射波と、前記予測受波信号とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする。
予測受波信号は、鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、この鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた鉄筋からの反射波との一次結合によって表されているので、鉄筋からの反射波にクラックからの反射波が加わった場合の信号を識別することができる。これにより、反射波が大きい鉄筋がコンクリート内に含まれている鉄筋コンクリート構造物の診断を高精度に行うことができる。
また、反射波の特徴点を用いずに診断することができるので、反射波に特徴点を見出しにくい場合に有効である。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置は、前記鉄筋コンクリート構造物には、複数層の鉄筋が埋め込まれており、前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた複数層の鉄筋からのそれぞれの反射波との一次結合によって表されていることを特徴とする。
鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた複数層の鉄筋からのそれぞれの反射波の一次結合を用いて予測受波信号を表すこととしたので、鉄筋コンクリート構造物内に複数層の鉄筋が設けられていても、鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断することができる。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断方法は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、照射された前記非定常電磁波の反射波を時系列的に受波し、健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得した健全時データと、受波した前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、前記健全性データにおける各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記受波手段によって得られた前記反射波の特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断方法は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、この反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、前記各反射波の特徴点の時系列における変化の極値前後の対称性によって前記健全性を診断することを特徴とする。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断方法は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、この反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、前記各反射波の特徴点の時系列における変化の連続性によって前記健全性を診断することを特徴とする。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断方法は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号と、受波した前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、前記各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記予測受波信号における特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断方法は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号と、受波した前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた前記鉄筋からの反射波との一次結合によって表され、受波した前記反射波と、前記予測受波信号とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする。
また、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断方法は、前記鉄筋コンクリート構造物には、複数層の鉄筋が埋め込まれており、前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた複数層の鉄筋からのそれぞれの反射波との一次結合によって表されていることを特徴とする。
本発明によれば、鉄筋の近くに発生したクラック等の異常を的確に判断することができる鉄筋コンクリート構造物診断装置および鉄筋コンクリート構造物診断方法を提供することができる。
以下に、本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置および鉄筋コンクリート構造物診断方法にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係る鉄筋コンクリート構造物診断装置(以下、単に「診断装置」という。)1が示されている。
診断装置1は、鉄筋コンクリート構造物C上に載置されており、この鉄筋コンクリート構造物C上を走行する。鉄筋コンクリート構造物C内には、鉄筋Iが埋め込まれている。
診断装置1には、電磁波を送信する送波器(電磁波照射手段)と、反射波を取得する受波器(受波手段)とが設けられている。
電磁波としては、数百MHz〜数GHz程度の周波数が用いられる。送波器から発振される電磁波は、一定出力の定常波ではなく、時間に対して出力が変化する非定常波が用いられる。非定常波としては、例えば、サイン(sin)状に出力変動する半周期分のパルス波が用いられる。
受波器によって受信した信号は、診断装置1の各位置に対して時系列的に取得された測定時データとして取り込まれ、記憶手段に格納される。
この記憶手段には、さらに、鉄筋コンクリート構造物にクラック等の異常が発生していないとき(健全なとき)の反射波の健全時データが、診断装置1の各位置に対して時系列的に格納されている。
また、診断装置1には、健全時データと測定時データとを比較して、鉄筋コンクリート構造物Cの健全性を診断する健全性診断手段が設けられている。
健全性診断手段は、記憶手段に格納された健全性データの極大値(特徴点)および極小値(特徴点)と、受波器によって得られた測定時データの極大値(特徴点)および極小値(特徴点)とを比較することによって、鉄筋コンクリート構造物Cの健全性を診断する。
鉄筋コンクリート構造物では、強度を上げるため、コンクリート表面近くに、メッシュ状の配筋が行われている(図2参照)。
例えば、図2の矢印Aあるいは矢印Bのように、診断装置1を両隣の鉄筋Iとは平行に、かつ他の直交する鉄筋Iに対して直交して横切るようにコンクリート表面を走査させる。このとき、直角に横切る鉄筋の断面方向のコンクリート内部のクラックBの状況が図1に示されている。鉄筋Iがアルカリ性骨材反応を引き起こしているのであれば、通常、クラックBは、図1のように鉄筋を中心として左右から表面に向かって拡がっていく。
診断装置1が鉄筋コンクリート構造物Cの健全域を通過する場合、受信波は、コンクリート表面からの反射波と、鉄筋Iからの反射波の和で表される。
一方、クラックBが生じている場合、受信波は、コンクリート表面、鉄筋及びクラックの3つからの反射波を加えたもので表わされる。よって、鉄筋の仕様(つまり、鉄筋の径および深度)がほぼ同一の部分では、健全域の電磁波受波信号を予め得ておけば、これとの類似度をみることにより診断装置1が走査した部分において、鉄筋コンクリート構造物Cの異常診断が行えることになる。
以下に、具体的な診断手法について説明する。
検査域に対して、図1に示すように、鉄筋Iを直角に横切るように診断装置1を走査させ、反射波として2L個の受波信号(健全時データ)r(kΔT)(j=1、2、…、2L;k=1、2、…、N)を各位置に対応して時系列的に得たとする。ここで、2Lは測定ポイント(各位置)の数を、Nは各測定ポイントで得られる受波信号のサンプル数を表す。なお、ΔTはサンプリング周期である。
また、同様に、検査域の鉄筋コンクリートの異常域に対して得た受波信号(測定時データ)をr (kΔT)(j=1、2、…、2L;k=1、2、…、N)とする。
これらの2つの受波信号波形を比較することにより、検査域の異常の有無の診断を行うことができる。本実施形態では、取り扱いを簡単にするため、及びその差異の状況をディスプレイにて人の視覚に訴えやすくするため、受波信号(反射波)に現れる山(極大値)や谷(極小値)のピーク位置の時系列変化を用いて類似度評価を行う。
図3には、受波信号の一例が示されている。同図(a)は、健全域における健全時データを示している。同図(b)は、第4実施形態において説明するが、クラックが形成されている部分を走査した際に得られる測定時データから同図(a)の信号を差し引いたものである。
ピークの位置は、同図(a)に示されているように、山Mおよび谷Vを順次抽出することによって得る。
具体的には、診断装置1の各位置における受波信号r(kΔT)(j=1、2、…、2L;k=1、2、…、N)に現れるピークの間隔をτj、p(j=1、2、…、2L;p=1、2、…、M)、健全域の受波信号のピークの間隔をτ0 j、pとし、これらを次のようにそれぞれマトリクス表示する。
Figure 2005331404
ここで、Mは採用するピーク数である。また、最初のピークの位置に関しては、その前のピークの位置が無いので、送信時刻(t=0)からみたピーク間隔という意味で、そのピーク位置そのものを採用する。
このとき、これら2つのマトリクスより特徴づけられる健全時データと測定時データの2つのピークパターン(反射波の特徴点の時系列変化)の類似度について、次の評価関数で評価する。
Figure 2005331404
ここで、||・||はノルムの意味であり、ここでは通常のものを採用する。つまり
Figure 2005331404
(3)式で定義した評価指数Pは、2つのピークパターンR0とRの差異を健全域の大きさで規格化したものであり、この値が小さければ小さいほど、健全時データのピークパターンと測定時データのピークパターンとの類似度が高いことになる。
次に、本実施形態にかかる実験結果について説明する。
実験に用いた電磁波レーダ(診断装置1)は日本無線(株)製NJJ-85Aのレーダであり、5mm間隔ごとに電磁波の送受信を行うようになっている。
検査対象とする鉄筋コンクリート構造物Cの配筋状態を図4に示す。ここで、H1、H2は水平鉄筋、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8は垂直鉄筋を表す。垂直鉄筋、水平鉄筋の直径は、それぞれ、32mm、16mmである。
水平鉄筋H1、H2の間隔は300mm、垂直鉄筋の間隔は、同図に示すように、V1、V2間は125mm、V2、V3間は120mm、V3、V4間は120mm、V4、V5間は115mm、V5、V6間は52mm、V6、V7間は153mm、V7、V8間は155mmである。また、これら鉄筋の深度は正確ではないが、ほぼ25mm前後であった。
まず、電磁波レーダを、図4に示した走査ライン(a)〜(g)に沿って走査させる。つまり、垂直鉄筋間の中央を通り、かつ、対向する水平鉄筋の真上を直角に横切るように走査させた。これは、電磁波レーダの走査方向と同一方向の垂直鉄筋からの反射波の影響は十分小さいものと考えられるが、更にこの反射波の影響を小さくするためである。
図4に示した(a)〜(g)の各走査ラインが水平鉄筋H1、H2と交差する付近のピークパターンに関する類似度を示す(3)式を評価してみる。但し、使用するデータは、各鉄筋の前後60mmずつの計120mmにわたる区間のピークパターンを採用することにした。また、ピーク数Mとしては5を採用した。これは、ピーク数を数多くすれば伝播時間の大きいピークほどピークの振幅が小さく外乱に影響されやすいからである。また、正常域のピークパターンとしては、専門家によるコンクリート表面性状及び打音による診断により、走査ライン(a)が水平鉄筋H1、H2と交差する箇所のピークパターンを採用した。参考のために、走査ライン(a)が水平鉄筋H1、H2と交差する部分及びその途中のピークパターンを図5に示す。
このときの各走査ラインが水平鉄筋H1、H2と交差する箇所の異常診断結果をまとめたものを次表に示す。
なお次表で、(N)と表記しているところは、評価指数のしきい値をεp=250×10-3としたとき、評価指数Pがεpよりも小さく正常と判定したところを、また(A)はPがεpよりも大きく異常と判定した箇所を表す。
Figure 2005331404
上表より、走査ライン(a)とH1、H2との直交部分および走査ライン(b)とH2の直交部分よりなる3箇所を除き、全て異常と診断されている。
参考のため、走査ライン(b)、(g)に対するピークパターンを図6及び図7に示す。走査ライン(a)と水平鉄筋Hの直交部分および走査ライン(b)と水平鉄筋Hの直交部分のピークパターンがともに、走査ライン(a)と水平鉄筋Hの直交部分(基準にとった箇所)のピークパターンと類似しているのに対し、走査ライン(b)と水平鉄筋H1の直交部分および走査ライン(g)と水平鉄筋H,Hの直交部分のピークパターンが大いに乱れ、基準のピークパターンと大きく異なっていることがわかる。
上記診断結果の信頼性を確認するために、実際にハンマーで診断箇所を剥ったところ、本実施形態によって異常と診断された箇所は全て異常と判定された。つまり、これらの箇所には全てクラックが入っていることがわかった。また、正常と判定された3箇所は、鉄筋が若干錆びてはいたが、特に錆が進んでいるわけではなく、かつ近くには明白なクラックは認められなかった。以上のことから、提案手法の有効性が確認された。
なお、しきい値については、上表から分かるように、正常域と異常域の評価指数の値が大幅に異なっており、しきい値設定に際してそれほどの経験を要しないものと考えられる。また、仮に、しきい値の設定が少し狂っていても、評価指数の値により当該ポイントでの異常レベルの情報が得られるため、特に大きな問題にはならない。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に比べて、健全時データを用いずに診断を行う点で異なる。その他の構成については同様なので、その説明を省略する。
第1実施形態では、健全時データを予め取得しておく必要がある。しかし、実際の現場では、健全時データを取得しにくい、あるいは特定しにくい場合もある。そこで、本実施形態では、このような場合にも対処できるようにするため、測定時データのみから異常診断を行う診断法を提案する。
そこで、本実施形態では、受波器によって得られた測定時データのピーク(特徴点)に関する時系列変化の極値前後の対称性によって健全性を診断する。
鉄筋がアルカリ性骨材反応を引き起こしている場合、クラックBは、通常、図1のように、鉄筋Iを中心として左右から表面に向かって拡がっていく。このときのクラックBは、鉄筋Iから見て一般的には対称でない。
そのため、電磁波レーダを鉄筋に対して直角に横切るように走査させた場合、もしクラックBが発生していれば、ピークパターンは一般的に鉄筋Iの位置をはさんで非対称となる。もちろん、鉄筋の錆びがかなり進行していれば、その錆び方も一般的には非対称なので、その場合はクラックBの有無に拘わらず、ピークパターンは非対称になる。よって、鉄筋Iをはさんで受波信号が非対称であれば、鉄筋Iが強度に錆びているか、あるいは鉄筋Iの錆びによりクラックBが発生しているかであり、いずれにしろ鉄筋コンクリート構造物Cの異常を判断できる。
図1のように、診断装置1を鉄筋Iに対して直角に横切って走査させ、鉄筋Iの位置を中心として前後L個ずつの受波信号波形r(kΔT)(j=1、2、…、2L;k=1、2、…、N)を得たとする。このときr(kΔT)(j=1、2、…、L;k=1、2、…、N)とr(kΔT)(j=2L、2L−1、…、L+1;k=1、2、…、N)の対称性をみる。
本実施形態では、取り扱いを簡単にするため、第1実施形態と同様に、ピーク間隔の対称性を評価する。つまり、τj、p(j=1、2、…、L;p=1、2、…、M)とτj、p(j=2L、2L−1、…、L+1;p=1、2、…、M)を用いて対称性を評価する。いま、(1)、(2)式と同様に、次のようなマトリクスT、Tを定義する。
Figure 2005331404
これらのマトリクスより特徴づけられる鉄筋Iの前後の2つのピークパターンの対称性を次の評価関数で評価する。
Figure 2005331404
ここで、||・||はノルムの意味であり、ここでは前章と同様、次式を採用する。
Figure 2005331404
ただし、i=2L+1−jである。(7)式で定義した評価指数Sは、2つのピークパターンT、Tの差異を、それらの大きさの平均値で規格化したものであり、この値が小さければ小さいほど、鉄筋の前後のピークパターンの対称性が高いことになる。
次に、本実施形態にかかる実験結果について説明する。
実験に用いた装置および鉄筋コンクリート構造物は第1実施形態と同様であるので省略する。
まず、図4に示した(a)〜(g)の各走査ラインが水平鉄筋H1、H2と交差する付近の対称性を、鉄筋の前後60mmずつの区間の受波信号に対して評価関数(7)式に基づき計算すると、次表のようになる。
対称性を表す評価指数Sのしきい値をεs=100×10−3としたとき、Sがこれより小さく正常と判定したところを(N)、またこれより大きく異常と判定した箇所を(A)で表す。
Figure 2005331404
上表より、第1実施形態の類似度による方法と同じく、走査ライン(a)と水平鉄筋H,Hとの直交部分、および走査ライン(b)と水平鉄筋Hの直交部分のみが正常、他は異常と判定されている。
上記診断結果の信頼性を確認するために、実際にハンマーで診断箇所を剥ったところ、本実施形態によって異常と診断された箇所は全て異常と判定された。つまり、これらの箇所には全てクラックが入っていることがわかった。また、正常と判定された3箇所は、鉄筋が若干錆びてはいたが、特に錆が進んでいるわけではなく、かつ近くには明白なクラックは認められなかった。以上のことから、提案手法の有効性が確認された。
なお、しきい値については、上表から分かるように、正常域と異常域の評価指数の値が大幅に異なっており、しきい値設定に際してそれほどの経験を要しないものと考えられる。また、仮に、しきい値の設定が少し狂っていても、評価指数の値により当該ポイントでの異常レベルの情報が得られるため、特に大きな問題にはならない。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態と同様に、健全時データを用いずに診断を行う。第2実施形態は、ピークパターンの対称性を用いることとしたが、本実施形態は、ピークパターンの連続性を用いる点で異なる。
第2実施形態では、クラックBが鉄筋Iを中心として非対称に発生するとの前提で診断を行うこととした。しかし、稀にではあるが、クラックBが鉄筋から見てほぼ対称に発生していることもあり得る。このような場合、受波信号は鉄筋Iの位置を挟んでほぼ対称になるため、対称性を評価するだけでは、異常にもかかわらず健全であると誤判定してしまうことがある。
そこで、本実施形態では、これを防ぐため、受波信号の連続性にも着目することにした。つまり、健全域では隣り合う測定ポイント間の受波信号波形の変動はゆるやかで連続的なものであるが、異常域ではクラックからの反射波が診断装置1の走査に伴い一定ではないため、隣り合う測定ポイントでの受波信号波形の変動は激しく、一般的に不連続的になるからである。
受波信号の連続性を見るため、上記ピーク間隔τj、p(j=1、2、…、2L;p=1、2、…、M)を用いる。つまり、ピーク位置の不連続性をみるため、各ピーク間隔の時系列信号τj、p(j=1、2、…、2L;p=1、2、…、M)をローパスフィルタに通し、まず低周波数成分を求める。次に、上記ピーク間隔からこの低周波数成分を差し引き、高周波成分を求めると、ピークパターンが不連続であれば、このときの高周波成分が大きく現れるので、この高周波成分の実効値を連続性評価に使用できる。
なお、ここではローパスフィルタとして、測定ポイントを中心に前後2個ずつ計5点のピーク間隔値の移動平均を考えた。つまり、τj、p(j=1、2、…、2L;p=1、2、…、M)に対して、次のような5点移動平均
Figure 2005331404
を行い、これを各ピーク間隔値から差し引いたものの実効値、つまり
Figure 2005331404
を求める。次に、これらを各ピーク間隔に対して和をとった
Figure 2005331404
を考える。そして、この値が小さいほど、ピークパターンの連続性が高いとし、鉄筋コンクリート構造物Cが健全であると判断する。
次に、本実施形態にかかる実験結果について説明する。
実験に用いた装置および鉄筋コンクリート構造物は第1実施形態と同様であるので省略する。
図4に示した(a)〜(g)の各走査ラインが水平鉄筋H1、H2と交差する付近の連続性を、鉄筋の前後60mmずつの区間の受波信号に対して評価関数(11)式に基づき計算すると次表のようになる。
なお、次表で、評価指数Cのしきい値をεC=100×10−2としたとき、評価指数Cがこれより小さく正常と判定したところを(N)、またこれより大きく異常と判定した箇所を(A)で表す。
Figure 2005331404
本実施形態でも、第1および第2実施形態と同様に、走査ライン(a)と水平鉄筋H,Hとの直交部分、および走査ライン(b)と水平鉄筋Hの直交部分のみが正常、他は異常と判定されている。
上記診断結果の信頼性を確認するために、実際にハンマーで診断箇所を剥ったところ、本実施形態によって異常と診断された箇所は全て異常と判定された。つまり、これらの箇所には全てクラックが入っていることがわかった。また、正常と判定された3箇所は、鉄筋が若干錆びてはいたが、特に錆が進んでいるわけではなく、かつ近くには明白なクラックは認められなかった。以上のことから、提案手法の有効性が確認された。
このように、連続性による診断手法は、第2実施形態の対称性による診断手法と同程度に有効なものであることがわかる。したがって、対称性評価指数(第2実施形態参照)および連続性評価指数をそれぞれ単独に使用しても良いが、これら二つの手法を併用することにより、さらに信頼度を上げるようにしても良い。
なお、しきい値については、上表から分かるように、正常域と異常域の評価指数の値が大幅に異なっており、しきい値設定に際してそれほどの経験を要しないものと考えられる。また、仮に、しきい値の設定が少し狂っていても、評価指数の値により当該ポイントでの異常レベルの情報が得られるため、特に大きな問題にはならない。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態は、健全時データを用いた第1実施形態に比べて、予測受波信号を用いる点で異なる。その他の構成については同様なので、その説明を省略する。
本実施形態では、予測受波信号を予め求めておき、受波器によって得られた測定時データのピーク(特徴点)と、このピークに対応する予測受波信号におけるピークとを比較することによって、鉄筋コンクリート構造物Cの健全性を診断する。
本実施形態で用いる予測受波信号は、鉄筋コンクリート構造物Cが健全時に、理論的に予測しうる受波信号を意味する。この予測受波信号の求め方について以下に説明する。
図8に示した健全な鉄筋コンクリート構造物Cを考える。このとき、送波器から送信された電磁波は、まず鉄筋コンクリート構造物Cの表面で反射され、その反射波が受波器に受信される。なお、一部の電磁波はコンクリート表面を透過し、この透過した電磁波は鉄筋コンクリート構造部C内部の電磁波伝播経路に最も近い鉄筋Iの表面で反射され、この反射波も鉄筋コンクリート構造物Cの表面を透過して再び受波器に受信される。
よって、健全な鉄筋コンクリート構造物Cでは、表面および鉄筋Iからの反射波が、それぞれ往復伝播時間T,Tの後に受波器に受信される。よって、送信時刻をゼロとすれば、受波信号は次のようにモデル化できる。
Figure 2005331404
ここに、T,Tはそれぞれ鉄筋コンクリート表面及び鉄筋からの反射波を表す。
いま、電磁波レーダと鉄筋との水平距離、鉄筋の深さ、鉄筋の半径を、図8に示すように、それぞれx,d,aとすれば、送波器が鉄筋コンクリート構造物Cの表面に近接していると考えれば、電磁波レーダから鉄筋までの電磁波往復伝播時間Tは次のようになる。
Figure 2005331404
ここで、εはコンクリートの比誘電率、cは光速(30×10km/s)である。なお、本実施形態では、鉄筋Iからの多重反射波が仮にあったとしても、伝播に際し反射、透過による減衰だけでなく、コンクリート中での減衰のため、反射波としてほとんど無視でき、モデル化においては(1)式のように第1反射波のみを考えている。
以上のようにして、受波信号のモデル化ができたが、受波器に受信される反射波r(t),r’(t)は、適当な供試体を用いることにより予め求められる。なお、鉄筋Iからの反射波形r’(t)は、その形状はほとんど変化しないものの、その大きさは鉄筋の深さだけでなく、送波器の指向特性のため、(送波器からみた)鉄筋の方位角θによっても変わる。よって、(1)式の健全な受波信号のモデル化においては、ここでは、実験で得た鉄筋からの基本反射波形r(t)を一次結合として用いて、次式を考える。
Figure 2005331404
ここで、θは送波器からみた鉄筋の方位角を、またf(θ)は送波器の指向特性を表す(図8参照)。なお、r(t)を予め求めたときの鉄筋の深度と診断対象の鉄筋の深度は一般に異なるので、この補償を行うため、ここではcを調節パラメータとして導入している。この方式を採用することにより、各測定ポイントで得られる受波信号全体を効果的に異常診断に使用できることになる。
診断装置1を鉄筋Iに対して直角に走査させ、鉄筋Iの位置を中心とした前後L個ずつの受波信号波形r(kΔT)(j=1、2、…、2L;k=1、2、…、N)を得たとする。なお、2Lは測定ポイント(各位置)の数を、Nは各測定ポイントでの受波信号のサンプル数を表している。このとき、各測定ポイントでの受波信号に現れる極大値、極小値の位置、つまり受波信号に現れる山や谷のピーク位置をr(kj,iΔT)(j=1、2、…、M;j=1、2、…、2L)と表す。但し、Mは採用するピーク数を、またkj,iΔTはj番目の測定ポイントでの受波信号r(kΔT)に対する最初からi番目のピークの到達時刻を表す(△Tはサンプリング周期)。
本実施形態で提案する方式は、この最初のM個のピークで構成されるピークパターン(各反射波の特徴点の時系列変化)に、(14)式の信号伝播モデルに基づく予測受波信号波形によるピークパターンが一致するように、未知パラメータd,c,aを最適化するわけである。後の展開の容易さのため、これらをそれぞれマトリクスR,R’と表記すれば、
Figure 2005331404
上述したように、クラックが発生していなければ、R’がRに合致するようにパラメータd,c,aを最適化すれば、当然、RはR’で高精度に表せる。もしクラックが発生し、あるいは(クラックが発生していなくても)鉄筋の錆が大きく進行していれば、RはR’で表すことができない。すなわち、コンクリート構造物Cが健全でないと判断できる。このマッチング度を評価する指数として、ここでは次の評価指数を採用する。
Figure 2005331404
ここで、||・||はノルムの意味であり、ここでは次式を考える。
Figure 2005331404
以上のように、本実施形態では、(17)式の評価指数を最小化するパラメータd,c,aを求めれば、このときの最適予測ピークパターンとそれの実パターン(測定時データ)との類似度が求まり、当該ポイントでの異常診断が可能となる。また、dやaが既知であれば最適化変数はcのみとなり簡単になるが、dやaの値が未知であれば、本手法により鉄筋Iの深度dや鉄筋半径aもわかることになる。
次に、本実施形態にかかる実験結果について説明する。
実験に用いた装置および鉄筋コンクリート構造物は第1実施形態と同様であるので省略する。
診断に用いたピークパターンのピークの個数であるが、送波時刻から最初の5個に限定した。もちろん受波信号波形のピークは数多くあるので、ピークを増やすことも可能であるが、後のピークほど、振幅が小さくなり雑音などの影響を受けやすくなるので(つまり信頼度が損なわれるので)、ここではM=5とした。
まず、健全域の走査ライン(a)(図4参照)において診断装置1を500mmだけ垂直方向に走査させたときの鉄筋H前後のピークパターンを図9に示す。但し、鉄筋Hの前後50mm即ち計100mmにわたる受波信号のピークパターンを示している。同図には、この実際のピークパターンだけでなく、信号伝播モデル(14)式に基づき最適予測したピークパターン(予測受波信号)も示す。なお、送波器の指向特性を表すf(θ)は、実験により、ここではf(θ)=(cos(θ))(但しn=3.4)を使用することにした。更に、r(t)としては、水平鉄筋、垂直鉄筋からの影響が一番小さいメッシュ状配筋の中央部分での受波信号を、またr(t)としては、鉄筋の真上の受波信号波形から上記のr(t)を差し引いたものを用いた。例えば、r(t)及びr(t)は、それぞれ、図3の(a)及び(b)のようになる。
図9から、走査ライン(a)が水平鉄筋Hと交わる付近のピークパターンは、いずれも予測モデルによるピークパターンとほぼ一致することが確認できる。このことから、これらのポイントは健全の可能性が高いと判断できる。現に、専門家による表面性状の診断により、健全と判定されている。
次に、走査ライン(g)について、同様に水平鉄筋H,Hとの交差付近のピークパターンを図10及び図11に示す。同図より、実際のピークパターンは最適予測ピ−クパターンと大きく異なり、それゆえ、このポイントは異常の可能性が高いと判断できる。これら3つのケースに対する評価指数(パターンマッチング度)はそれぞれ4.3、19.6、23.0となり、評価指数の上でも1番目は健全、後ろ2つは異常と判定される可能性が高い。
以上、代表的な3つの場合について本実施形態の有効性を示したが、次にこれら全ての走査ラインについて、本実施形態の方式に基づき実際のピークパターンに最近接するピークパターンを作成したときのピークパターンの類似度及びこのときの最適パラメータd,c をまとめて示したのが次表である。なお、異常判定のしきい値ρは、ここではρ=8.0×10−2とした。次表で、Nと表記しているところは、評価指数ρがしきい値より小さく健全と判定したところを、またAと表記したところは、評価指数がしきい値より大きく異常と判定した箇所を表している。また、鉄筋の半径a=8は事前にわかっていたので、ここでは最適化パラメータから除外した。なおdは、設計図より事前に25mm前後とわかっていたので、少し余裕を持たせて22mm以上31mm以下の範囲で探索することにした。
Figure 2005331404
上表より、走査ライン(a)とH1、H2との直交部分および走査ライン(b)とH2の直交部分よりなる3箇所を除き、全て異常と診断されている。
また、走査ライン(c),(d),(e)が水平鉄筋Hと直交する部分の異常レベルは他の部分に比べて低いということもわかる。
上記診断結果の信頼性を確認するために、実際にハンマーで診断箇所を剥ったところ、本実施形態によって異常と診断された箇所は全て異常と判定された。つまり、これらの箇所には全てクラックが入っていることがわかった。また、正常と判定された3箇所は、鉄筋が若干錆びてはいたが、特に錆が進んでいるわけではなく、かつ近くには明白なクラックは認められなかった。
以上のことから、しきい値を経験に基づき適切に定めれば、本実施形態により高精度な異常診断が可能となる。なお、しきい値については、上表から分かるように、正常域と異常域の評価指数の値が大幅に異なっており、しきい値設定に際してそれほどの経験を要しないものと考えられる。また、仮に、しきい値の設定が少し狂っていても、評価指数の値により当該ポイントでの異常レベルの情報が得られるため、特に大きな問題にはならない。
また、健全と判定された箇所の鉄筋の深度は、25〜27mmの範囲のものが多く、鉄筋の深度も比較的高精度に計測されていることがわかる。したがって、本実施形態による方式は特に健全な鉄筋コンクリートに対しては、鉄筋の深度(専門語でいうところの「かぶり」)を測るのにも利用できることがわかる。
さらに、本実施形態の利点としては、鉄筋の錆が進展していたり、あるいはその帰結としてクラックが入ったりしている場合は、反射波の大きさを表す係数cが特に大きくなる傾向が強く、cの値も異常診断に利用することもできる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
本実施形態では、ピークパターンの差異について検討したが、時系列信号としての受波信号の形状をそのまま比較しても良い。つまり、時系列的な受波信号と最適化した予測受波信号とのパターンマッチング角θの大きさにより診断を行う。θ<ε(しきい値)であれば健全と判断し、θ>εであれば以上と判断する。反射波の形状を用いるので、特徴点が見出しにくい反射波に対しては特に有效である。
具体的には、マッチング角θ
Figure 2005331404
を最小にするパラメータa,d,cを求め、このとき得られた最小のマッチング角θをしきい値εと比較する。なお、r(kΔT)及びr'(kΔT)は、それぞれ、j番目の測定ポイントにおける受波信号および(14)式による予測信号である。
また、
Figure 2005331404
である。
また、本実施形態では、鉄筋Iが一層のみ配置されている鉄筋コンクリート構造物Cを用いたが、2層あるいはそれ以上の層の鉄筋コンクリート構造物Cの診断にも用いることができる。さらに、鉄筋コンクリート構造物Cが健全である場合には、上述のように、鉄筋の深度dを計測することもできる。具体的には、2層の場合、下式のように右辺第3項を加えた形式の予測受波信号モデルとすればよい。
Figure 2005331404
なお、上記各実施形態において、診断装置1を鉄筋に対して直角に横切るように走査させた場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、診断装置1を鉄筋に対して斜めに横切るように走査させても、同様に良好な診断結果が得られる。
本発明の鉄筋コンクリート構造物診断装置を示した側面図である。 鉄筋コンクリート構造物の内部に埋め込まれた鉄筋を示す平面図である。 受波信号の一例であり、(a)は、鉄筋コンクリート構造物が健全な場合の受波信号を示しており、(b)は、クラックが形成されている部分を走査した際に得られる受波信号から(a)の信号を差し引いた信号である。 実験に用いた鉄筋の構成を示した平面図である。 第1実施形態において、図4の走査ライン(a)を走査したときに得られるピークパターンを示した図である。 第1実施形態において、図4の走査ライン(b)を走査したときに得られるピークパターンを示した図である。 第1実施形態において、図4の走査ライン(g)を走査したときに得られるピークパターンを示した図である。 第4実施形態に用いる各パラメータを示した側面図である。 第4実施形態において、図4の走査ライン(a)を走査したときに得られるピークパターンおよび予測受波信号を示した図である。 第4実施形態において、図4の走査ライン(g)を走査したときに、Hとの交差部分で得られるピークパターンおよび予測受波信号を示した図である。 第4実施形態において、図4の走査ライン(g)を走査したときに、Hとの交差部分で得られるピークパターンおよび予測受波信号を示した図である。
符号の説明
1 鉄筋コンクリート構造物診断装置
C 鉄筋コンクリート構造物
I 鉄筋

Claims (12)

  1. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、
    健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得した健全時データを格納する健全時データ格納手段と、
    該健全時データ格納手段に格納された健全時データと、前記受波手段によって得られた前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、
    前記健全性診断手段は、前記健全性データにおける各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記受波手段によって得られた前記反射波の特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断装置。
  2. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、
    該受波手段によって得られた前記反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、
    前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記各反射波の特徴点の時系列における変化の極値前後の対称性によって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断装置。
  3. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、
    該受波手段によって得られた前記反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、
    前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記各反射波の特徴点の時系列における変化の連続性によって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断装置。
  4. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、
    健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号を格納する健全時予測受波信号格納手段と、
    該健全時予測受波信号格納手段に格納された前記予測受波信号と、前記受波手段によって得られた前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、
    前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記予測受波信号における特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断装置。
  5. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射する電磁波照射手段と、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得する受波手段と、
    健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号を格納する健全時予測受波信号格納手段と、
    該健全時予測受波信号格納手段に格納された前記予測受波信号と、前記受波手段によって得られた前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する健全性診断手段と、を備えた鉄筋コンクリート構造物診断装置において、
    前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた前記鉄筋からの反射波との一次結合によって表され、
    前記健全性診断手段は、前記受波手段によって得られた前記反射波と、前記予測受波信号とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断装置。
  6. 前記鉄筋コンクリート構造物には、複数層の鉄筋が埋め込まれており、
    前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた複数層の鉄筋からのそれぞれの反射波との一次結合によって表されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の鉄筋コンクリート構造物診断装置。
  7. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、
    照射された前記非定常電磁波の反射波を時系列的に受波し、
    健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に取得した健全時データと、受波した前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、
    前記健全性データにおける各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記受波手段によって得られた前記反射波の特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断方法。
  8. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、
    この反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、
    前記各反射波の特徴点の時系列における変化の極値前後の対称性によって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断方法。
  9. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、
    この反射波に基づいて、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、
    前記各反射波の特徴点の時系列における変化の連続性によって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断方法。
  10. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、
    健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号と、受波した前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、
    前記各反射波の特徴点の時系列における変化と、前記予測受波信号における特徴点の時系列における変化とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断方法。
  11. 内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物に対して移動しつつ非定常電磁波を照射し、
    照射された前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に受波し、
    健全とされた鉄筋コンクリート構造物に対する前記非定常電磁波の各位置における反射波を時系列的に予測した予測受波信号と、受波した前記反射波とを比較して、前記鉄筋コンクリート構造物の健全性を診断する鉄筋コンクリート構造物診断方法において、
    前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた前記鉄筋からの反射波との一次結合によって表され、
    受波した前記反射波と、前記予測受波信号とを比較することによって前記健全性を診断することを特徴とする鉄筋コンクリート構造物診断方法。
  12. 前記鉄筋コンクリート構造物には、複数層の鉄筋が埋め込まれており、
    前記予測受波信号は、前記鉄筋コンクリート構造物のコンクリート表面からの反射波と、該鉄筋コンクリート構造物内に埋め込まれた複数層の鉄筋からのそれぞれの反射波との一次結合によって表されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の鉄筋コンクリート構造物診断方法。
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