JP2008232852A - 電磁波レーダによる鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋径の非破壊計測装置及び非破壊計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄筋コンクリート構造物中の異形鉄筋の径を簡便に計測する非破壊計測方式を提供すること。
【解決手段】送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダを異形鉄筋に沿って鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すステップと、前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納するステップと、前記格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析するステップと、前記周波数分析による最大ピーク位置に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求めるステップと、前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断するステップと、を備える。
【選択図】 図3
【解決手段】送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダを異形鉄筋に沿って鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すステップと、前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納するステップと、前記格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析するステップと、前記周波数分析による最大ピーク位置に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求めるステップと、前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断するステップと、を備える。
【選択図】 図3
Description
本発明は、内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋径の非破壊計測装置及び非破壊計測方法に関する。
近年、耐震偽装問題等の社会問題が発生する等からも、鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋の存在の有無のみならず、鉄筋径の計測にも関心が高まっている。
しかしながら、鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋径の計測は極めて困難であり、これまで有用な方式は開発されていない。
しかしながら、鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋径の計測は極めて困難であり、これまで有用な方式は開発されていない。
特許文献1には、送信アンテナと受信アンテナとを備え、媒体表面に沿って送信アンテナと受信アンテナを移動させつつ、送信アンテナから媒体に向けて電磁波を発信し、媒体中の不可視物体から得られる反射波を受信アンテナによって受信し、これを画面上に表示する装置を用い、主鉄筋に沿ってアンテナを走行させ、反射波の三日月形の第1、第2、第3の画像を求め、第2の画像の頂点と第3の画像の頂点から半波長時間t1を求め、バンド状の画像の上辺と第2の画像の頂点からの時間t2を求め、時間t2―t1から推定する鉄筋径の電磁波往復伝播時間Tを求め、媒体中の比誘電率から求められる電磁波伝播速度をVとするとき、V×T/2から鉄筋の直径を推定する鉄筋径の推定方法が開示されている。
特許文献2には、本発明者により開発された、電磁波レーダの物理的特性と電磁波の媒質界面における反射及び屈折を含めた伝播特性に基づく予測受信信号波形と電磁波レーダによって測定した実際の受信信号とのパターンマッチングによって、コンクリート内の鉄筋の位置及び鉄筋の形状を求める計測方法が開示されている。
特開平5−323026号公報
特願2006−132996号
本発明の目的は、鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋は、(1)異形鉄筋といって、鉄筋がコンクリート内に固定されやすいように鉄筋に沿って周期的に節が設けられていること、及び(2)この節の間隔が鉄筋の径によって定まっていることに着目し、鉄筋の径を簡便に計測する非破壊計測方式を提供することである。
これらの目的を達成するため本発明は次のように構成する。
請求項1に係る発明は、鉄筋コンクリート構造物中に配設された異形鉄筋の鉄筋径の非破壊計測方法であって、送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダを前記異形鉄筋に沿って前記鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すステップと、前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納するステップと、前記格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析するステップと、前記周波数分析による最大ピーク値に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求めるステップと、前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断するステップと、を備えることを特徴とする鉄筋径の非破壊計測方法である。
また、請求項2に係る発明は、前記周波数分析は、最尤法により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法である。
また、請求項3に係る発明は、前記周波数分析は、高速フーリエ変換により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法である。
また、請求項4に係る発明は、前記周波数分析は、最大エントロピー法により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法である。
さらに、請求項5に係る発明は、鉄筋コンクリート構造物中に配設された異形鉄筋の鉄筋径の非破壊計測装置であって、前記鉄筋径の非破壊計測装置は、送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダと、前記電磁波レーダを前記異形鉄筋に沿って前記鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すことにより、前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析する分析手段と、前記周波数分析による最大ピーク値に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求める制御手段と、前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする鉄筋径の非破壊計測装置である。
また、請求項6に係る発明は、前記周波数分析は、最尤法により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置である。
また、請求項7に係る発明は、前記周波数分析は、高速フーリエ変換により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置である。
さらに、請求項8に係る発明は、前記周波数分析は、最大エントロピー法により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置である。
請求項1に係る発明は、鉄筋コンクリート構造物中に配設された異形鉄筋の鉄筋径の非破壊計測方法であって、送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダを前記異形鉄筋に沿って前記鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すステップと、前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納するステップと、前記格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析するステップと、前記周波数分析による最大ピーク値に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求めるステップと、前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断するステップと、を備えることを特徴とする鉄筋径の非破壊計測方法である。
また、請求項2に係る発明は、前記周波数分析は、最尤法により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法である。
また、請求項3に係る発明は、前記周波数分析は、高速フーリエ変換により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法である。
また、請求項4に係る発明は、前記周波数分析は、最大エントロピー法により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法である。
さらに、請求項5に係る発明は、鉄筋コンクリート構造物中に配設された異形鉄筋の鉄筋径の非破壊計測装置であって、前記鉄筋径の非破壊計測装置は、送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダと、前記電磁波レーダを前記異形鉄筋に沿って前記鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すことにより、前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納する格納手段と、前記格納手段に格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析する分析手段と、前記周波数分析による最大ピーク値に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求める制御手段と、前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする鉄筋径の非破壊計測装置である。
また、請求項6に係る発明は、前記周波数分析は、最尤法により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置である。
また、請求項7に係る発明は、前記周波数分析は、高速フーリエ変換により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置である。
さらに、請求項8に係る発明は、前記周波数分析は、最大エントロピー法により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置である。
内部に鉄筋が埋め込まれた鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋径を非破壊検査により、簡便に確度よく、計測、判断することができる。
鉄筋コンクリートとは、引張りに弱いコンクリートを補強するために鉄筋を配したコンクリートである。鉄筋には引張りが作用しても引き抜けないように、通常、図1、図2のように周期的に節のある異形鉄筋と呼ばれる鉄筋が用いられる。
この異形鉄筋は、鉄筋の径に応じて、節の間隔および高さが異なっており、表1に示すような規格がある(JIS―G3112−75)。
表1によると、節の間隔に対しては、各径に対し少し自由度があり、節間隔がとるべき最大値が定められている。例えば、径が12.7mmの鉄筋に対しては節間隔の平均値の最大値は8.9mmであり、間隔平均値は、強度上の観点からはこれより小さいものは幾らでも小さくて良いが、コストの観点からはこの径よりも1規格低い異形鉄筋である径が9.53mmの異形鉄筋の平均間隔の最大値6.7mmより大きくするのが合理的であり、実際このように製造されていると考えられる。
そこで、図1に示すように、電磁波レーダをコンクリート中の鉄筋に沿ってコンクリート表面を走査させる。
電磁波レーダの送信アンテナから電磁波を発射すると、一部はまずコンクリート表面で反射され、受信アンテナに受信される(図1の経路AFE)。残りの電磁波は表面を通過し、コンクリート内部の鉄筋に到達し、ここで反射される。この時の反射波がコンクリート表面を再び透過して、受信アンテナに受信される(図1の経路ABCDE)。
いま、図1において、電磁波の鉄筋における反射ポイントが節間の主軸部分にある場合と、節部分にある場合の経路をみると、節の部分で反射される場合の方が主軸部分で反射される場合よりも伝播経路が短いため、電磁波の往復伝播時間が短くなる。
本発明は、この事実を利用して節と節との平均間隔を計測し、表1に示されるような鉄筋の径と節間隔の相関関係より径を割り出すものである。
図3に示すように、鉄筋に沿ってレーダを走らせ、あるピッチごとに電磁波の送受信を繰り返すと、節がある間隔ごとに設けられているため鉄筋からの電磁波伝播時間が周期的に変化する。この伝播時間の時系列データを格納手段に格納すると共に、格納された伝播時間の時系列データを分析手段により周波数分析することにより、節の平均間隔が求められる。この周波数分析には、例えば、よく知られたFFT(高速フーリエ変換)やMEM(最大エントロピー法)等が利用できる。また、節が周期的に配置されていることを利用した物理モデルを利用した最尤法も考えられる。
以下、この最尤法について説明する。
いま、往復伝播時間の時系列データの平均値を求め、各伝播時間よりこの平均値を差し引く。これによりプラス・マイナスに値が振れる周期的な時系列信号が得られる。なお、このとき差し引いた時系列信号のバイアスは完全にはゼロにならないため、この時系列信号は連続時間では次のようのモデル化される。
ここで、z0=a0
,z1=a1sin(ωx+ψ)である。また、ω=2πfで、fは節の繰り返し周波数である。つまり、節の平均間隔がLであればf=1/Lで与えられる。
いま、往復伝播時間の時系列データの平均値を求め、各伝播時間よりこの平均値を差し引く。これによりプラス・マイナスに値が振れる周期的な時系列信号が得られる。なお、このとき差し引いた時系列信号のバイアスは完全にはゼロにならないため、この時系列信号は連続時間では次のようのモデル化される。
,z1=a1sin(ωx+ψ)である。また、ω=2πfで、fは節の繰り返し周波数である。つまり、節の平均間隔がLであればf=1/Lで与えられる。
いま、状態ベクトル
を定義すれば、z(x)の従うダイナミックスは
となる。ここで、(2)式のドットはxについての微分を表し、Aは次式で定義される。
また、w(x)はw(x)=(w1,0,w2)Tなる遷移雑音であり、w1(x),w2(x)は平均値がゼロ、分散がσ1 2,σ2 2の互いに独立な白色ガウス雑音とする。この雑音を導入したのは、計測に際してのデータウインドウ内での時系列信号の((1)式による)モデル化誤差を補償するためである。(3)式をΔLでサンプリングすれば、次のサンプル値系表現が得られる。
なお、zk,wkはそれぞれサンプリング地点k(ΔL)における状態ベクトル及び遷移雑音である。ここに、Fは次式で定義される遷移行列である。
ここに、£−1[・]はラプラス逆変換を表わす。また、遷移雑音ベクトルwkは平均値がゼロ、共分散行列が次式で与えられる白色ガウス雑音である。
なお、
なる対角行列である。
なる対角行列である。
一方、この時系列信号{yk}はレーダ走査により得られるので、状態ベクトルzkの観測方程式として次式が与えられる。
ここで、HはH=[1,1,0]である。なお、yk及びvkはサンプリング地点k(ΔL)における観測値(上記平均値を差し引いた時系列信号)及び観測雑音を表わす。
カルマンフィルタの初期値としては、
などを用いればよい。ここにc1, c2は時系列信号の値の大きさをみて適切に与えればよい。また、ωは不明なため、P0/−1の計算に当っては、予めFFTなどで求めたωの概略値を使うなどすればよい。
などを用いればよい。ここにc1, c2は時系列信号の値の大きさをみて適切に与えればよい。また、ωは不明なため、P0/−1の計算に当っては、予めFFTなどで求めたωの概略値を使うなどすればよい。
しかしながら本計測法で求められていることは真に正確なωを求めることである。しかしながら、カルマンフィルタのF、Wはωの関数であり、しかもωは未知であるため、状態ベクトルの推定には直接カルマンフィルタを適用することができない。しかしながら、ωの候補を一旦与えれば、上記カルマンフィルタ適用することができ、そのパラメータの下での状態ベクトルの推定を行うことができる。
このとき用いたパラメータωの確からしさは、観測値系列YK−1={y1,y2,…,yK−1}の下で得た次の尤度関数により評価できる。
ここに、
はそれぞれパラメータωの下でのカルマンフィルタにより求めた状態ベクトルの予測値
及びΛkを表す。従って、結局は、(16)式をωについて最大化することにより、最適なω*を求めることができ、これにより節間隔L*(=2π/ω*)を計算することができる。
はそれぞれパラメータωの下でのカルマンフィルタにより求めた状態ベクトルの予測値
及びΛkを表す。従って、結局は、(16)式をωについて最大化することにより、最適なω*を求めることができ、これにより節間隔L*(=2π/ω*)を計算することができる。
なお、ここでは、伝播時間よりその平均値を差し引いて定義される時系列信号のモデルとして、バイアスの加わった1つの正弦波関数を考えたが、2つ以上の正弦波関数を考えることもできる。また、注意すべきことは、電磁波の発射のピッチが小さければ小さいほど、節の繰り返し形状がよく把握できるため節間隔計測に対しては望ましい。そのため、レーダのピッチが粗ければ、例えばレーダを距離ベースではなく時間ベースの電磁波発射に切り換え、かつ十分小さな電磁波発射ピッチを実現するような速度で動かすようにすればよい。
また、この最尤法のアプローチを採れば、レーダ走査を複数回行ったときに各時系列信号に対して求めた尤度関数を足し合わせ、これをωについて最大化することにより、信頼度を更に高めることもできる。
なお、鉄筋コンクリート中の異形鉄筋が錆びた場合の径計測であるが、このときも本来の異形鉄筋の形状を留めたコンクリート形状からの反射波による伝播時間情報を採取し、これを利用するようにすれば、鉄筋の本来の節間隔が計測でき、これにより鉄筋の径を計測できる。
次に、伝播時間の計測法について説明する。
鉄筋からの受波信号r(t)は、鉄筋からの反射波r0(t)にコンクリート表面からの反射波rs(t)が重なって観測される。よって、各観測点において鉄筋までの電磁波往復伝播時間を求めるには、受信信号からコンクリート表面からの反射波rs(t)を差し引くことが合理的である(なお、rs(t)は事前に求められる)。
鉄筋からの受波信号r(t)は、鉄筋からの反射波r0(t)にコンクリート表面からの反射波rs(t)が重なって観測される。よって、各観測点において鉄筋までの電磁波往復伝播時間を求めるには、受信信号からコンクリート表面からの反射波rs(t)を差し引くことが合理的である(なお、rs(t)は事前に求められる)。
この観点から、ここでは往復伝播時間の変化状況を表す簡易法の一つとして、差信号
の最大ピーク値を与える時刻の時系列を観測値として代用することを考える。そして、この時系列信号の平均値を求め、この平均値を各時系列信号から差し引いたものを、前節の{yk}とすればよい。
の最大ピーク値を与える時刻の時系列を観測値として代用することを考える。そして、この時系列信号の平均値を求め、この平均値を各時系列信号から差し引いたものを、前節の{yk}とすればよい。
いま、
(ここでΔTはサンプリング周期)が与えられたとする。このとき、事前に鉄筋からの基準となる反射波信号s(kΔT)(k=0,1,…)を得ておき、より詳細な波形情報を与えるものとして、内挿法によりs(kΔT′)(k=0,1,2,…)を作成しておく。但し、ΔT′はΔT′=ΔT/N(Nは整数)。
(ここでΔTはサンプリング周期)が与えられたとする。このとき、事前に鉄筋からの基準となる反射波信号s(kΔT)(k=0,1,…)を得ておき、より詳細な波形情報を与えるものとして、内挿法によりs(kΔT′)(k=0,1,2,…)を作成しておく。但し、ΔT′はΔT′=ΔT/N(Nは整数)。
のパターンマッチングがなされるよう{s(kΔT′)}を動かせ、これらの最適パターンマッチングが実現するときの{s(kΔT′)}の最大ピーク位置により
の最大ピーク位置を(ΔTのサンプリング時刻ではなく、ΔTのN分割点の正確さ)で求めようとするものである。従って、N=10とすれば、本来のサンプリング周期の(1/10)きざみで正確な最大ピーク位置が求まる。
の最大ピーク位置を(ΔTのサンプリング時刻ではなく、ΔTのN分割点の正確さ)で求めようとするものである。従って、N=10とすれば、本来のサンプリング周期の(1/10)きざみで正確な最大ピーク位置が求まる。
いま、径が19.1mm、深度が60mm(従って、かぶりが50.45mm)の異形鉄筋の径の計測を考えてみる。
バイアスを差し引いた往復伝播時間の時系列信号を図4に示す。日本無線(株)製NJJ−95A(中心周波数800MHz)レーダを用いて、電磁波発射は1mmピッチで計測を行った。なお、このピッチは、時間ベースで0.05sおきに電磁波を発射するレーダを鉄筋に沿ってできるだけ等速で走らせたときのデータである。
バイアスを差し引いた往復伝播時間の時系列信号を図4に示す。日本無線(株)製NJJ−95A(中心周波数800MHz)レーダを用いて、電磁波発射は1mmピッチで計測を行った。なお、このピッチは、時間ベースで0.05sおきに電磁波を発射するレーダを鉄筋に沿ってできるだけ等速で走らせたときのデータである。
この時系列信号に対して、(1)FFT、(2)MEM、(3)最尤法の各方式を用いたときの周波数解析結果を図5〜図7に示す。FFT、MEMによるスペクトルの最大ピークは、それぞれf=0.085Hz、f=0.069Hzで与えられる。節間隔L(=1/f)を逆算すると、それぞれ11.8mm、14.4mmとなる。
一方、最尤法による方法では、尤度の最大値を与える周波数f=0.085Hzとなる。なお、カルマンフィルタを用いる上で、σ1=0.06、σ2=0.1、c1=0.1、c2=0.3を用いた。これより、最尤法による節間隔LはL=1/f=11.8mmとなる。これら3つの節間隔は、FFT及び最尤法では、径が15.9mmに対する鉄筋の最大間隔11.1mmより大きく、径が19.1mmに対する鉄筋の最大間隔13.4mmよりも小さく、またMEMでは、径が15.9mmに対する鉄筋の最大間隔11.1mmより大きく、径が19.1mmに対する鉄筋の最大間隔13.4mmに極めて近く、いずれの方法でも鉄筋の径は19.1mmであることが高い確度でいえる。
Claims (8)
- 鉄筋コンクリート構造物中に配設された異形鉄筋の鉄筋径の非破壊計測方法であって、
送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダを前記異形鉄筋に沿って前記鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すステップと、
前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納するステップと、
前記格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析するステップと、
前記周波数分析による最大ピーク位置に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求めるステップと、
前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断するステップと、
を備えることを特徴とする鉄筋径の非破壊計測方法。 - 前記周波数分析は、最尤法により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法。
- 前記周波数分析は、高速フーリエ変換により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法。
- 前記周波数分析は、最大エントロピー法により行われることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋径の非破壊計測方法。
- 鉄筋コンクリート構造物中に配設された異形鉄筋の鉄筋径の非破壊計測装置であって、前記鉄筋径の非破壊計測装置は、
送信アンテナと受信アンテナとを備えた電磁波レーダと、
前記電磁波レーダを前記異形鉄筋に沿って前記鉄筋コンクリート構造物表面を走査し所定ピッチ毎に電磁波の送受信を繰り返すことにより、前記異形鉄筋から反射される電磁波の伝播時間を時系列的に格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記伝播時間の時系列データを周波数分析する分析手段と、
前記周波数分析による最大ピーク位置に基づいて前記異形鉄筋の節の平均間隔を求める制御手段と、
前記平均間隔に従って、所定の対応表に基づいて鉄筋径を判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする鉄筋径の非破壊計測装置。 - 前記周波数分析は、最尤法により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置。
- 前記周波数分析は、高速フーリエ変換により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置。
- 前記周波数分析は、最大エントロピー法により行われることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋径の非破壊計測装置。
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