JP2009244076A - 電磁波レーダを用いた媒質中の異性物の変質状態の検知方法及び検知システム - Google Patents

電磁波レーダを用いた媒質中の異性物の変質状態の検知方法及び検知システム Download PDF

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Abstract

【課題】
コンクリートを始めとする媒質中の異性物の変質部、特に異性物である金属又は鉄筋の変質部である腐蝕部の厚さの計測を可能とする。
【解決手段】
媒質の表面に対向して設けられた送信アンテナから電磁波を前記媒質に向けて発信し、信号伝播モデルに基づく予測波形と実際に得られた波形とのパターンマッチングにより、前記変質部の上面からの反射波と前記変質部の下面からの反射波の大きさ及び伝播時間の差を求めることにより前記変質部の厚さを測定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、コンクリートを始めとする媒質中の異性物の変質部、特に異性物である金属又は鉄筋の変質部である腐蝕部を電磁波レーダを用いて検知する方法、及び検知システムに関し、電磁波を照射したときに、腐蝕部の上面及び下面からの電磁波反射信号を正確に分離抽出し、これらの伝播時間の差により腐蝕厚の計測を行うものに関する。
媒質としては、コンクリートだけでなく、コンクリート以外の固体(例えば、プラスチック、セラミック、木材、石材、ガラス、土、壁材)、液体、気体が対象となり得る。なお、媒質が液体の場合、誘電率が大きく電磁波の減衰が大きければ異性物までの媒質の厚さは小さくなくてはならない。逆に誘電率が小さければ、媒質の厚さに制限はない。
また、異性物とは、その誘電率がコンクリート等の媒質のそれとは異なる物質を意味する。同様に、変質部についてもその誘電率がコンクリート等の媒質のそれとは異なるものである。
従来、電磁波信号を利用して鉄筋コンクリート構造物の鉄筋腐蝕領域の位置決定を行う方法が特許文献1に開示されている。鉄筋が腐蝕し鉄筋表面が酸化された表面に電磁波信号が当たったとき、そこから反射するエネルギーは、鉄筋の表面が酸化されていない場合より小さく、その結果、反射波の振幅が小さくなる。この事実から、鉄筋コンクリート構造物の鉄筋腐蝕領域の位置決定を行っている。
また、コンクリート構造物の表面に対向して電磁波を発信し、前記コンクリート構造物の表面からの反射波と前記コンクリート構造物の内部に存在する空洞の上面と底面からの反射波との3つの反射波から空洞の存在を探査する方法が特許文献2に開示されている。
また、超音波がコンクリート構造物の表面とクラックの間を往復する際の伝播時間によりクラックの有無の判定や位置の計測を行う超音波法がある。この超音波法は、多重反射波モデルに基づくコンクリート構造物の超音波診断では、超音波センサをコンクリート構造物の表面にいちいち接触させる必要がある。このため測定に熟練を要し、検査に時間もかかる。
特開2001−165870号公報 特許第396267号公報
従来は、コンクリート構造物中の金属又は鉄筋の腐蝕の存在の有無を知り得るだけで、腐蝕厚を知ることはできなかった。
さらに、超音波法では、クラックや空洞の上面の位置・深度は計測できても、それらの厚みは計測できない。
そこで、本発明の目的は、コンクリートを始めとする媒質の表面に電磁波を照射したときに、前記媒質中の金属又は鉄筋の腐蝕部の上面及び下面からの電磁波反射信号を正確に分離抽出し、腐蝕厚の計測を可能とする非破壊検査方法、及び非破壊検査システムを提供することである。
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。
請求項1に係る発明は、媒質の表面に対向して設けられた送信アンテナから電磁波を前記媒質に向けて送信し、前記媒質中に存在する異性物の変質部を非破壊で検知する非破壊検知方法において、前記媒質の表面からの反射波、前記変質部の上面からの反射波、及び前記変質部の下面からの反射波の3つの反射波を採用し、前記変質部の上面からの反射波として前記変質部からの基本反射波を使用し、前記変質部の下面からの反射波として前記異性物面からの基本反射波を使用することで、信号伝播モデルに基づく予測波形と実際に得られた波形とのパターンマッチングにより、前記変質部の上面からの反射波と前記変質部の下面からの反射波の大きさ及び伝播時間の差を求めることにより前記変質部の誘電率と合わせて前記変質部の厚さを測定することを特徴とする媒質中に存在する異性物の変質部の非破壊検知方法である。
また、請求項2に係る発明は、前記電磁波の送信は前記媒質の表面からリフトオフした状態で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検知方法である。
また、請求項3に係る発明は、前記媒質は固体であり、前記異性物は金属であり、前記変質部は前記金属の腐蝕部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非破壊検知方法である。
また、請求項4に係る発明は、前記固体はコンクリートであることを特徴とする請求項3に記載の非破壊検知方法。
さらに、請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の非破壊検知方法を実施するシステムであって、前記システムは、前記媒質の表面に沿って走査可能な走査手段と、前記走査手段に搭載された送信アンテナ及び受信アンテナを具備する電磁波レーダ装置と、前記受信アンテナにより受信された信号を処理する演算処理手段と、前記演算処理手段による演算結果に基づいて前記異性物の状態を判断する判断手段と、を具えることを特徴とする非破壊検知システムである。
本発明の媒質中に存在する異性物の変質部の非破壊検知方法によれば、例えばコンクリート構造物中の金属又は鉄筋の腐蝕部の腐蝕厚、コーティングされた金属面の腐蝕部の腐蝕厚を非破壊で、しかも高信頼性を有して知ることができ、腐蝕部の誘電率をも知ることができる。
コンクリート構造物等の表面に対向して設けた送信アンテナから電磁波を前記コンクリート構造物等に向けて発信し、前記コンクリート構造物等の内部の金属面から反射してくる電磁波を前記コンクリート構造物等の表面に対向して設けた受信アンテナで受波する。
即ち、コンクリート構造物等の表面に沿って走査可能な走査手段と、前記走査手段に搭載された送信アンテナ及び受信アンテナを具備する電磁波レーダ装置と、前記受信アンテナにより受信された信号を処理する演算処理手段と、前記演算処理手段による演算結果に基づいて前記コンクリート構造物等の内部の金属面の状態を判断する判断手段と、を具える非破壊検知システムとして構成される。
媒質をコンクリート構造物とした場合に、コンクリート構造物中の金属に腐蝕部が存在する場合の多重反射波の様子を図1に示す。No.1はコンクリート表面での反射波、No.2は腐蝕部上面での反射波、No.3は金属面での第1反射波、No.4は金属面での第2反射波、No.5は金属面での第3反射波である。
また、図2に媒質境界面での反射率、透過率を示す。
ここで、r12は腐蝕部上面での反射率、r23は金属面での反射率、r21は腐蝕部からコンクリートに向かう際の反射率、τ12はコンクリートから腐蝕部への透過率、τ21は腐蝕部からコンクリートへの透過率であり、εを比誘電率とすると、以下の式で表わされる。
そこで、実際に受信した受信信号と予測モデル信号とのパターンマッチングを図るために、実際に受信した受信信号をモデル化する。
コンクリート表面からの基本反射波をr(t)、金属面からの基本反射波をr(t)とすれば、腐食のない場合は、受信信号r(t)は
でモデル化できる。
ここで、基本反射波とは、誘電率の異なる2つの媒質の境界面での反射波のことを意味する。また、c,cはそれぞれ基本反射波r,rに対する大きさの係数である。そして、T、Tはそれぞれコンクリート表面及び金属表面までの電磁波往復伝播時間とする(但し、電磁波発射時刻をゼロとしている)。従って、T<Tが成り立つ。
ところが、腐蝕のある場合は、r(t)をクラックあるいは異なる媒質境界面からの基本反射波形として、
とモデル化される。ここに、T、T、Tはそれぞれコンクリート表面、腐蝕部上面及び金属表面(つまり腐蝕部下面)までの電磁波往復伝播時間である。ここに、T<T<Tであり(図1参照)、τ12、τ21及びR12、R23、R21はそれぞれ媒質境界面での透過率、反射率である(図2参照)。
また、上記(2)式には、腐蝕部下面(つまり金属面)での3つの多重反射波((2)式右辺の〔 〕を展開した際の第3、第4、第5項目)を示しているが、多重反射波の大きさは指数関数的に低下するので、3つ考えておけば十分との理由による。
さらに、上記(1)式、(2)式を意味あるものとすることからも、r(t)、r(t)、r(t)の大きさは自由でよいのではなく、最大振幅値を1にするように規格化している。
一方、腐蝕部下面での多重反射波と同様、コンクリート底面での多重反射波も存在するが、コンクリート底面での第2反射波の到達時刻がそれの第1反射波の到達時刻と大きく異なるので、腐蝕厚の情報を得るには、腐蝕部上面での第1反射波、つまりコンクリート底面からの第1反射波が出現する時間領域(データウィンドウ)での(2)式のようなモデル化を考えておけば十分である。但し、鉄筋や金属までのコンクリート厚が薄い場合のように、コンクリート底面からの第2反射波がコンクリート底面からの第1反射波に重なる場合は、コンクリート底面からの第2反射波もモデルに組み込む必要がある。
ところで、r(t)は金属面からの基本反射波であるが、金属が板状とみなせる場合か鉄筋のように棒状の場合か、対象に応じて定まる反射波形である(共に予備実験で求まる)。
さらに、r(t)、r(t)についても同様に予備実験で求めることができる。なお、r1(t)については、レーダ走査において鉄筋や金属の影響を受けない部分を前記媒質の表面において確保できるのであれば、このような箇所の前記媒質表面を走査したときの受信信号の平均波形を、前記媒質の表面からの基本反射波形として採用すると良い。しかし、対象として鉄筋コンクリートを念頭におく場合は、レーダをどのように走査させても鉄筋の影響を受け易いので、前記媒質の表面からの基本反射波形を求めるときは、鉄筋と直交交差するようレーダを走査し、このとき得られた受信信号を平均すると良い。このようにすると、平均波形には鉄筋の影響が相殺されて現われない。
なお、(2)式のモデル化においては、腐蝕厚は十分小さいと仮定できるので、この箇所での減衰は無視できるとしている。
次に、腐蝕の有無の検知、腐蝕部の比誘電率、及び腐蝕厚の計測について説明する。
腐蝕の有無の検知は以下のステップ〔1〕、〔2〕のようにして行なう。
ステップ〔1〕
を最小化するようc、c、T、Tを決定する。ここに、(・,・)と‖・‖はそれぞれHilbert空間の内積及びノルムを表わす。なお、データ収録は所定のサンプリング周期ΔTの整数倍で行われるので、(3)式の最小化に当っては、c、cは解析的に求まるものの、T、Tの最適化は数値的に行わなければならない。このとき、T、Tの最適化はまず所定のサンプリング周期ΔTで行ない、最適解T =MΔT、T =MΔTを得る。このあと引き続き、T=MΔT+n(ΔT/N)、T=MΔT+n(ΔT/N)の形(Nは例えば20、n、nは0を含む正負の整数)でT、TをMΔT、MΔTの近傍で微調整し、最終的に(3)式を正確に最小化するT (=MΔT+n (ΔT/N))、T (=MΔT+n (ΔT/N))を求める。
このとき、基本反射波形r(t)、r(t)は当初サンプリング周期ΔTの時系列で与えられているため、上の微調整を行う際、新たな時系列信号を作るための内挿法を使用することとする。
ステップ〔2〕
次に、(2)式のモデルでTをT に固定し、パターンマッチング角
を最小化するc、c、c、ε、T、Tを新たに求める。但し、T、TはT<Tの拘束条件の下で、先に求めたT のごく近傍でのみ行う。このときも、キザミ(ΔT/N)を用いた正確な最適化を行う。c、c、cについては解析解を利用するものの、数値的に求めたこのときの最適なε、T、Tをε 、T 、T とする。なお、コンクリートの比誘電率εは既知とする。未知の場合はコンクリートの標準的な比誘電率を採用すればよい。なお、水分を吸収して標準値からかけ離れた値を持つ場合は、コンクリート表面から金属面までの距離が既知であれば、これらからの反射波の伝播時間差を利用することよりコンクリートの比誘電率が計測できる。
このとき、ステップ[2]での最小マッチング角θ(ε ,T ,T ,T )とステップ[1]での最小マッチング角θ(T ,T )の間に
が成り立てば、当該ポイントの直下に腐蝕あり、もし(5)式が成立しなければ、腐蝕なしと判断する。これは、(5)式が成り立てば、金属面からの反射波の直前にコンクリート底面からの反射波が存在したことになり、コンクリートと金属面の間に空隙、つまり腐蝕が見つかったことになるからである。
次に、腐蝕厚の計測について説明する。
そして、金属が板状のものか棒状のものかによって基本反射波が異なるので、対象によって基本反射波を変える。
また、鉄筋の場合は、腐蝕厚を測るのにレーダを鉄筋に直交交差させて走査させる方がよい。
また、金属板の場合は、腐蝕部が方向性を持たない場合はレーダの走査方向は任意でよいが、溝状の腐蝕が生じる対象の場合は、電磁波が腐蝕溝に直交するようレーダを走査させる方が感度がよい。
上記の説明では、コンクリート下の金属や鉄筋をとりあえず対象としたが、このような場合と本質的には同一とみなせる他の対象にも適用可能である。
また、地中には、ガス、水道、ケーブル等の埋設管があり、これら埋設管の材質は金属管であったり、非金属管(例えば塩ビ管)であったりする。そして、金属管の場合には腐蝕が問題となり、非金属管の場合には、その変質が問題となる。
即ち、媒質はコンクリートに限定されず、どのような媒質であっても、変質部の誘電率と共に、変質厚を測ることができる。腐蝕部の場合には、その誘電率と共に、腐蝕厚を測ることができる。
なお、前記ステップ〔2〕の探索は、問題の性質上、大域的探索ではなくT のごく近傍で探索しなければならない。仮に、大域的探索を行えば、基本反射波のモデル化誤差により、最適解とは異なる解に収束する危険性がある。
また、パターンマッチングの際の評価関数として、ここでは上記(3)式を採用したが、もちろんこれが唯一のものではなく、これに準ずるものであれば何でも良い。
また、レーダを走査させる場合、レーダを検査対象面より少し持ち上げて(つまりリフトオフして)走査させる方が、電磁波は対象に、延いては腐蝕部に垂直入射しやすく、前記段落〔0025〕に示した本発明による腐蝕厚計測法では精度が上がる。
(実施の形態)
(1)実施例1(冷却用配管腐蝕供試体)
冷却用配管は鋼管の内側を15mm位の厚さのモルタルでコーティングしている。この冷却用配管の腐蝕を模擬するため、幅10mm、深さ2mm、長さ200mmの溝を鋼板に彫る。その断面を図3の上段に示す。そして、この溝にウレタン樹脂(発泡ウレタン)を埋め、その上を15mmの厚さのモルタルでコーティングする。
この腐蝕溝に電磁波を直交照射させるようにレーダを溝に平行に走査させたときの受信信号に対して本発明による計測結果を求めてみる。なおレーダは、通常の使用法(使用したレーダではレーダ底面とモルタル表面のギャップは8mm)、この状態にリフトオフをそれぞれ10mm、20mm加えたとき(つまりレーダ底面とモルタル表面のギャップをそれぞれ18mm、28mmにした2ケース)の計3ケースに対して計測を行ってみた。もちろん、各ケースに対して、モルタル表面からの基本反射波としては、予め予備実験にて求めたものを用いた。
このとき、腐蝕溝の段差のあるところは信号伝播モデルが適用できないと思われるので、この箇所を除外すると、リフトオフ量がゼロ、10mm、20mmの各ケースに対し腐蝕厚の計測誤差率の平均値を求めると、それぞれ10.4%、4.7%、2.6%となり、リフトオフがゼロの場合でも十分高精度な腐蝕厚の計測がなされること、及びリフトオフが20mmの場合には2.6%もの極めて高い精度の腐蝕厚計測がなされることがわかる。
参考のため、リフトオフが20mmの場合に対する従来のBモード濃淡画像と本発明による計測結果を図3中段、図3下段に示すが、Bモード画像では腐蝕溝の有無さえほとんど検知できないのに比べ、本発明によれば、両側の段差のあるところを除けば、腐蝕溝の厚さが非破壊的に極めて高精度に測れている様子がわかる。また、腐蝕部の比誘電率は本発明によるとほぼ2.3となった。
(2)実施例2(実際の冷却用配管腐蝕)
実際の冷却用配管は、規格の定まった配管を溶接し、その後で管内面を腐蝕から守るようモルタル等でコーティングしている。しかしながら、時間の経過と共に、海水の浸透などにより溶接箇所に腐蝕が生じやすくなる。
いま、レーダのリフトオフをゼロにしたままで、配管内面のモルタル等の表面から、ある溶接線に沿ってレーダを(腐蝕溝に電磁波を直交照射させるよう)移動したときのBモード濃淡画像を図4(a)に、また本発明による計測結果を図4(b)に示すが、最大腐蝕厚は6.9mmであった。またレーダのリフトオフを20mmにしたときの最大腐蝕厚は7.6mmであった。そして、これらの値を最大腐蝕厚として、図4(b)のようななだらかな腐蝕面が計測された。
本発明による非破壊検査直後にこの箇所を破壊検査したところ、最大腐蝕厚8.0mmが観測され、かつ図4(b)とほとんど同様ななだらかな腐蝕面が観測された。実施例1では、人工的な腐蝕溝のため急激な段差があり、そのため段差のある箇所での腐蝕厚の計測誤差が大きくなったが、現実のなだらかな腐蝕面の場合には、このような問題は生じず、腐食のエッジにおいても腐蝕厚が高精度に計測できている。
ちなみに、このときの腐蝕部の比誘電率は、測定ポイントによって変わるが、1.8〜2.2の間の値をとることがわかった。また、腐蝕厚最大の箇所の腐蝕厚の計測誤差率を求めてみると、8.0mmを仮に真値とすると、レーダのリフトオフがゼロの場合は-13.8%(=[(6.9−8.0)/8.0]×100)、レーダのリフトオフが20mmの場合は-5.0%(=[7.6−8.0]/8.0×100)である。従って、計測誤差率は奇しくも実施例1、2共にほぼ同程度となっている。
このことから、レーダを通常の形で検査対象の表面を走査するよりは、レーダに適当にリフトオフを与えて走査することが望ましいことがわかる。
(3)実施例3(鉄筋コンクリートの鉄筋腐蝕)
製作して2年の鉄筋コンクリートと建造して35年の橋脚のそれぞれの鉄筋に直交するよう、レーダをリフトオフを20mmにして走査したときのBモード濃淡画像を図5(a)、(b)に示す。上に凸の円弧状の画像が鉄筋からの反射波を画像化したものに相当するが、前者(同図(a))では、この反射波の画像がシャープであるのに対し、後者(同図(b))では、そうではない。つまり、波形が歪んでいたり、色調が薄くなったりしている。従って、従来の画像により、鉄筋の腐蝕がどれだけ進んでいるか定性的にはわかるが、定量的には不明である。
そこで、本発明による方式を適用してみると、レーダのリフトオフがゼロでは、前者と後者の腐蝕厚はそれぞれ0.09mm、1.62mm、レーダのリフトオフが10mm、20mmの場合は、いずれのリフトオフでも前者と後者の鉄筋の腐蝕厚はそれぞれ0.10mm、1.78mmと計測された。腐蝕厚の計測値はほとんど変わらないが、実施例1及び2の結果をみれば、リフトオフが10mmあるいは20mmのときの結果の方がより高精度と考えられる。また、これらの腐蝕部の比誘電率はそれぞれ7.3、2.6となり、空気中のそれ(ε=1)よりも大きいこと、かつ新しい鉄筋の方が古い鉄筋より腐蝕部の比誘電率が大きい(つまり、金属的特性が強い)ことがわかる。本橋脚の表面は実験当日乾燥していたが、湿っている場合など異なった条件下では腐蝕部の比誘電率も変化するため、比誘電率と合わせて腐蝕厚が計測できる本発明による方式は実用的価値が高い。
腐蝕部での多重反射波の様子を示す図である。 媒質境界面での反射率、透過率を説明する図である。 本発明の実施例1の模擬図、及び計測結果を示す図である。 本発明の実施例2のBモード濃淡画像、及び計測結果を示す図である。 本発明の実施例3のBモード濃淡画像を示す図である。

Claims (5)

  1. 媒質の表面に対向して設けられた送信アンテナから電磁波を前記媒質に向けて送信し、前記媒質中に存在する異性物の変質部を非破壊で検知する非破壊検知方法において、
    前記媒質の表面からの反射波、前記変質部の上面からの反射波、及び前記変質部の下面からの反射波の3つの反射波を採用し、
    前記変質部の上面からの反射波として前記変質部からの基本反射波を使用し、
    前記変質部の下面からの反射波として前記異性物面からの基本反射波を使用することで、
    信号伝播モデルに基づく予測波形と実際に得られた波形とのパターンマッチングにより、前記変質部の上面からの反射波と前記変質部の下面からの反射波の大きさ及び伝播時間の差を求めることにより前記変質部の誘電率と合わせて前記変質部の厚さを測定することを特徴とする媒質中に存在する異性物の変質部の非破壊検知方法。
  2. 前記電磁波の送信は前記媒質の表面からリフトオフした状態で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の非破壊検知方法。
  3. 前記媒質は固体であり、前記異性物は金属であり、前記変質部は前記金属の腐蝕部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非破壊検知方法。
  4. 前記固体はコンクリートであることを特徴とする請求項3に記載の非破壊検知方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の非破壊検知方法を実施するシステムであって、前記システムは、前記媒質の表面に沿って走査可能な走査手段と、前記走査手段に搭載された送信アンテナ及び受信アンテナを具備する電磁波レーダ装置と、前記受信アンテナにより受信された信号を処理する演算処理手段と、前記演算処理手段による演算結果に基づいて前記異性物の状態を判断する判断手段と、を具えることを特徴とする非破壊検知システム。
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