JP5192939B2 - 超音波探傷による欠陥高さ推定方法 - Google Patents
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そこで、例えば特許文献1(特開2007−71755号公報)には、溶接部の材料、開先条件をもとに探傷条件を設定し、超音波探傷により得られた波形データをもとに信号処理を行い、この信号処理で得られた特性値を求め、この信号処理結果を、予めこの信号処理と同一の信号に基づいて求められた欠陥検出結果と材料ノイズ信号とに区分した情報と比較して、検出信号が欠陥検出信号か材料ノイズ信号かを識別し、該識別された欠陥検出信号に基づいて欠陥位置、深さを評価する方法が開示されている。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、被検査体内部に存在する面状欠陥の欠陥高さを精度良く推定することを可能とした超音波探傷による欠陥高さ推定方法を提供することを目的とする。
予め反射面積が求められている(該反射面積が既知な)反射面を有する反射源が内部に設けられた校正用試験体を用いて超音波探傷を行って感度校正レベルを設定しておき、
前記超音波探触子から前記被検査体に超音波を送信して面状欠陥の欠陥エコーを検出した後、
前記検出した欠陥エコーに基づき、面状欠陥の欠陥長さ(L)と、欠陥検出位置のビーム路程(PL)を求め、
さらに、前記超音波探触子の構成から予め求めておいたビーム指向角(φ)と、ビーム路程(PL)とから欠陥検出位置でのビーム径(B)を求め、
前記校正用試験体の反射面積と、前記設定された感度校正レベルと、前記面状欠陥の検出位置における超音波ビーム径とを係数にもつ算出式を用いて、前記欠陥エコーから面状欠陥の欠陥高さを推定することを特徴とする。
また、端部エコー法やTOFD法などの他の欠陥高さ測定法に比べて、微小き裂での欠陥高さの評価に有効であるとともに、微弱な回折波を検出する必要がないため高ノイズ材料での欠陥高さの評価に有効である。従って、特殊な検査員技量が必要なく、エコー高さの情報から寿命評価に重要とされる欠陥高さを精度よく推定できるため、検査の信頼性が向上する。
このように、面状欠陥の欠陥長さが超音波ビーム径よりも短い時には、超音波ビーム径として前記欠陥長さを用いることにより、より高精度に欠陥高さを推定することが可能となる。尚、面状欠陥の欠陥長さが超音波ビーム径(B)以上である時は、超音波ビーム径(B)を用いるものとする。
このように、校正用試験体に設けられた反射源として平底穴若しくはスリットを用いることにより、少なくとも一部に面を有した反射源を、校正用試験体に対して簡単に形成することが可能である。
これにより、超音波ビーム径を正確に求めることができ、欠陥高さの推定精度をより一層向上させることができる。
本実施形態は、超音波探傷により被検査体内部に存在する面状欠陥を検出し、その欠陥高さを推定する方法を示す。被検査体としては、内部に面状欠陥が存在する可能性を有し、且つその面状欠陥の位置、進展方向性がある程度想定可能な部品、構造体、組立体に広く用いられ、例えば蒸気タービンの翼植込み部やテノン部、溶接部等が挙げられる。本実施形態に用いられる超音波探傷法は超音波パルス探傷法であり、一探触子法、ニ探触子法(タンデム法)、探触子をアレイ状に並べて複数配置したタンデムアレイ法の何れであってもよく、被検査体に応じて適宜選択する。また、同様に斜角探傷、垂直探傷の何れかは被検査体の形状、面状欠陥の位置や進展方向性等に基づき適宜選択する。
まず、被検査体内部の面状欠陥を、被検査体の応力を含む設計条件や過去のき裂発生事例により想定する(S1)。被検査体が溶接部の場合は、溶接条件から想定する。そして、この想定した面状欠陥の位置、進展方向性に応じた超音波探触子(プローブ)の探傷屈折角を選定する(S2)。
擬似欠陥は、少なくとも一部に面を有する反射源とし、例えば平底穴やEDM(放電加工)スリットが挙げられる。
図4(A)に、上記図2(A)に示した翼植込み溝(試験体)51にスリット8を形成した図を示し、図4(B)に、上記図2(B)に示したテノン部(試験体)52にスリット8を形成した図を示す。このとき、スリット8は前記想定される面状欠陥と同位置に形成する。図5に、図3に示した溶接部6に平底穴9、9を形成した図を示す。これも想定される面状欠陥と同位置に形成する。
前記検出した欠陥エコーに基づき、面状欠陥7の欠陥長さLと、欠陥検出位置のビーム路程PLを求める。
欠陥長さLは、周知の方法で行うことができるが、例えばJIS Z3060に規定される超音波探傷法により求められる。これは、超音波探傷により図7に示す波形グラフにおいて、エコー高さがL線を越える超音波探触子1の移動距離l1、l2を欠陥長さLとする。
前記ビーム指向角φは、超音波探触子1のプローブ径Dと、プローブ周波数fと、材料音速Cと、波長λから以下の式(1)、(2)により求められる。式(1)はゼロふく射角φ0を導出する式、式(2)は−6dB実行指向角φ0.5を導出する式である。
B=2×PL×tanφ0.5
このとき、欠陥長さLとビーム径Bとを比較し、図9に示すように、欠陥長さLがビーム径B以上(欠陥長さL≧ビーム径B)の場合は、下記式(3)、(4)により欠陥高さHを算出する。尚、図9(a)は校正用試験体の平底穴9と超音波ビーム領域2を示し、(b)は面状欠陥7と超音波ビーム領域2を示している。
このように、上記した式(4)、(6)に示されるように、面状欠陥の欠陥高さHは、校正用試験体の反射面積と、感度校正レベルAcと、面状欠陥の検出位置における超音波ビーム径Bとを係数にもつ算出式を用いて、前記欠陥エコーから面状欠陥の欠陥高さを算出することができる。
また、端部エコー法やTOFD法などの他の欠陥高さ測定法に比べて、微小き裂での欠陥高さの評価に有効であるとともに、微弱な回折波を検出する必要がないため高ノイズ材料での欠陥高さの評価に有効である。従って、特殊な検査員技量が必要なく、エコー高さの情報から寿命評価に重要とされる欠陥高さを精度よく推定できるため、検査の信頼性が向上する。
2 超音波ビーム領域
3 台座
5 被検査体
6 溶接部
7 面状欠陥
8 スリット
9 平底穴
Claims (4)
- 被検査体表面に配置された超音波探触子から被検査体内部の面状欠陥が存在する可能性ある部分に超音波を送信し、反射源から反射される反射波波形に基づいて前記被検査体内部に存在する面状欠陥の欠陥高さを推定する超音波探傷による欠陥高さ推定方法において、
予め反射面積が求められている反射面を有する反射源が内部に設けられた校正用試験体を用いて超音波探傷を行って感度校正レベルを設定しておき、
前記超音波探触子から前記被検査体に超音波を送信して面状欠陥の欠陥エコーを検出した後、
前記検出した欠陥エコーに基づき、面状欠陥の欠陥長さ(L)と、欠陥検出位置のビーム路程(PL)を求め、
さらに、前記超音波探触子の構成から予め求めておいたビーム指向角(φ)と、前記ビーム路程(PL)とから欠陥検出位置におけるビーム径(B)を求め、
前記校正用試験体の反射面積と、前記設定された感度校正レベルと、前記面状欠陥の検出位置における超音波ビーム径(B)とを係数にもつ算出式を用いて、前記欠陥エコーから面状欠陥の欠陥高さを推定することを特徴とする超音波探傷による欠陥高さ推定方法。 - 前記算出式において、前記欠陥エコーから求めた欠陥長さが前記超音波ビーム径(B)より短い時、前記超音波ビーム径として前記欠陥長さを用いることを特徴とする請求項1記載の超音波探傷による欠陥高さ推定方法。
- 前記校正用試験体に設けられた反射源は、平底穴若しくはスリットであることを特徴とする請求項1記載の超音波探傷による欠陥高さ推定方法。
- 前記超音波ビーム径(B)は、前記超音波探触子の径と前記超音波の周波数と前記被検査体の音速から得られる超音波ビーム指向角と、前記欠陥エコーから求められた欠陥検出位置における超音波ビーム路程と、から算出されることを特徴とする請求項1記載の超音波探傷による欠陥高さ推定方法。
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