JP2022075582A - 閾値分析に基づく非破壊検査装置、及び非破壊検査方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このプレストレストコンクリート構造物は、打設したコンクリートの硬化後、予めコンクリート内に配設されたシース管内のPC鋼材を緊張させて、コンクリートに定着させることで、コンクリート内に残留圧縮応力を発生させている。
さらにまた、既設PC橋梁では、特許文献1、及び特許文献2に記載の方法を改良発展させたWUTソフトウェアを用いた非破壊検査装置でグラウト充填状態の非破壊検査が行われている。
例えば、反射P波計測分析の場合、次のような4つの問題点が確認されている。
一つ目の問題点として、シースかぶり厚、及びコンクリート縦波音速の計測精度によって、グラウト充填状態の分析精度が左右されるばかりでなく、「未充填」を「完全充填」、または「完全充填」を「未充填」と誤分析する事象が生ずることが稀ではない。
四つ目の問題点として、シースかぶり厚が、シース管の長手方向で大きく変化する場合があり、これに起因して、グラウト充填状態が「未充填」であっても、「完全充填」と誤分析することが稀ではない。
一つ目の問題点として、シースかぶり厚、及びコンクリート縦波音速の計測精度によって、グラウト充填状態の分析精度が左右される。
二つ目の問題点として、シース反射S波の分析で用いる分析用切り出し波の起生時刻前方に表面S1波が生じ、かつ分析用切り出し波の起生時刻後方に2段目シース、版厚、及び版厚底部コーナーからの反射波が生じることで、グラウト充填状態の分析精度が低下し「完全充填」を「未充填」と誤分析する事象が稀ではない。
四つ目の問題点として、シースかぶり厚が、シース管の長手方向で大きく変化する場合があり、これに起因して、多点計測波の加算処理を用いる従来の分析ではグラウト充填状態が「未充填」であっても、「完全充填」と誤分析する。
このため、WUTソフトウェアを用いた非破壊検査では、グラウト充填状態の分析の迅速化、及び高精度化が求められている。
そこで出願人は、閾値処理と名付ける処理方法により、分析で用いるスペクトル及び時系列を作成し、これを用いて上記多数の問題点を解決するグラウト充填状態の非破壊検査装置、及び非破壊検査方法を創り上げている。
この発明によれば、非破壊検査装置、及びこれを用いた非破壊検査方法は、グラウト充填状態を効率よく、かつ精度よく非破壊検査することができる。
この構成によれば、非破壊検査装置、及びこれを用いた非破壊検査方法は、グラウト充填状態を精度よく非破壊検査することができる。
<本発明で利用する物理現象>
まず、グラウト充填状態の非破壊検査における受信超音波のスペクトル特性について説明する。
さらに、図2(b)中の実線は、グラウト充填状態が未充填の場合を示し、図2(b)中の破線はグラウト充填状態が充填状態の場合を示している。
なお、図2は、中心振動数f0での最大スペクトル値を基準値「1.0」として、振動数毎のスペクトル値を基準値「1.0」に対する相対値に置き換えて図示している。
図3(b)は、小口径のシース管の場合におけるシース反射S波の起生時刻帯域のスペクトル概念図を示している。
このため、小口径のシース管の場合、図3(b)の振動数f1及び振動数f2のスペクトルの大小関係のみを利用して、グラウト充填状態が未充填か完全充填かを判断することは、極めて困難となる。
図6は、既設PC橋梁でのシース管の受信波スペクトルの模式図を示している。図6(a)、図6(b)、図6(c)、及び図6(d)は、シース管の直上におけるコンクリート表面において、シース管の長手方向に離間した測定点あるいは他のシース管での受信波のスペクトル模式図をそれぞれ示している。
図6では、振動数fwよりも低振動数側の最大スペクトル値を基準値「1.0」として、振動数毎のスペクトル値を基準値「1.0」に対する相対値に置き換えて図示している。
さらには、既設PC橋梁は、コンクリート表層に埋設される鉄筋の配置が不均一で、鉄筋の配置間隔が狭い場合もあれば、広い場合もある。
加えて、既設PC橋梁は、コンクリート表層に超音波の進行を遮断するひび割れ、または目視し難い亀の子状の微細なひび割れが多数存在する場合もある。
このように、諸々の理由が合わさることで、図6のような現象が生じている。この問題への対処が本発明にける分析の根幹の1つである。
また、最大スペクトル値εが閾値ασよりも大きい場合は、図7(b)に示すように、最大スペクトル値εを閾値ασまで減幅して得るスペクトルを、グラウト充填状態の分析に用いている。
次に、本実施形態におけるシース反射S波超音波を用いた非破壊検査装置、及びこの装置を用いた非破壊検査方法について説明する。
本実施形態の非破壊検査装置10は、ポストテンション工法で製造された図52に示すような橋梁の主桁、横桁、箱桁、及び底版などのコンクリート構造物において、コンクリート構造物の内部に埋設されたシース管2のグラウト充填状態を非破壊検査するものである。このような非破壊検査装置10について、図8から図13を用いて説明する。
プレストレストコンクリート構造物1は、図8及び図9(a)に示すように、略円筒状のシース管2と、シース管2の内部に配置したPC鋼材3と、シース管2の外周面側に打設したコンクリート4とで構成している。
なお、PC鋼材3は、図9(a)に示すように、複数の鋼線3aを練り合せて形成されている。
また、グラウト5が、図9(c)に示すように、シース管2の内部に充填されていないグラウト充填状態を未充填とする。なお、グラウト充填状態が未充填のシース管2を、空シースとする。
この非破壊検査装置10は、図8及び図10に示すように、プレストレストコンクリート構造物1のコンクリート表面4aに配設される面発信ユニット11、及び面受信ユニット12と、面発信ユニット11、及び面受信ユニット12が電気的に接続される解析機器13とで構成している。
受信ユニット接続部132は、面受信ユニット12からの受信信号を受付ける機能と、受信信号を制御部136に送信する機能とを有している。
表示部135は、液晶ディスプレイなどで構成し、各種パラメーターの入力を促す入力画面や、解析結果を示す解析結果画面などの各種情報を表示する機能を有している。
さらに、コンクリート表面4aの位置によっては、表層に配置される鉄筋の間隔が密となる場合があり、鉄筋経路波、及び鉄筋反射波がシース反射P波の上に直接に混入し、充填シースを空シースとする誤分析が多発する。この問題への対処のために、図12及び図13(b)のシース反射S波計測を準備している。
閾値を用いた反射S波自動化分析は、図12に示すように、発信探触子と受信探触子との中心間距離aを500mmまたは375mmとする多点計測、または単一点計測、あるいは中心間距離aを500mmから375mmの間で順次変更する単一点計測で得る受信波を閾値処理で変換し、シースかぶり厚dsが150mm未満における計測対象シースのグラウト充填状態を探索する方法である。
まず、1つ目の問題点(以下、問題点(1)とする)として、レーダ計測による計測対象シースのかぶり厚であるレーダ計測かぶり厚ds|RC、及びコンクリート縦波音速Vpの誤った設定値により、グラウト充填状態を誤判定することである。例えば、レーダ計測かぶり厚ds|RCは、コンクリート誘電率βuの誤設定値によって、実値と異なる値となることが多い。
このため、上記のレーダ計測かぶり厚ds|RC、及び上記のコンクリート縦波音速Vpを用いてグラウト充填状態を分析判定した場合、誤判定の発生率が大きくなる。
これより、超音波計測分析に先立って予め設定されているコンクリート縦波音速Vpを用いて、次の式1でレーダ計測でのシース反射P波起生時刻tp=tp|RCを求める。
なお、F3(f)フィルタ関数、及び時刻フィルタTGC4(t)の詳細は後述する。
なお、分析用1次かぶり厚ds(1)及び分析用1次反射S波起生時刻ts(1)の下付き文字(1)は、括弧内の数字を○で囲った囲み文字を表し、後述する図中及び数式中において囲み文字で図示している。以下、同様の記載は同じとしている。
PC橋梁によっては、計測対象シースのかぶり厚と、2段目シースのかぶり厚、及び版厚などとの組み合わせが、略同一となる場合がある。この場合、中心間距離a=500mmまたは375mmのいずれかの計測分析で、シース反射S波の上に2段目シース、版厚、及び版厚底部コーナーからの反射波が混入するとき「完全充填」である計測対象シースの殆どが、「未充填」または「充填不足」となる極端な誤判定を起こすことが度々ある。
図18(b)は、2段目シースが、図18(a)の2段目シースに比べて略水平方向に位置ズレしている状態を示している。
図18(c)は、2段目シースが、図18(b)の2段目シースに比べて略水平方向に大きく位置ズレした状態を示している。さらに、図18(c)は、路程長dwcとなる版厚底部コーナーが、2段目シースよりも下方、かつ水平方向に位置ズレした位置に存在している状態を示している。
なお、図18(a),(b),(c)中において、計測対象シースからコンクリート表面へ向かう矢印が計測対象シースからの反射波を示し、2段目シースからコンクリート表面へ向かう矢印が2段目シースからの反射波を示し、版厚底部からコンクリート表面へ向かう矢印が版厚からの反射波を示し、版厚底部コーナーからコンクリート表面へ向かう矢印が版厚底部コーナーからの反射波を示している。
なお、オペレータ及び計測作業者は、複数の計測対象シースのうち、長手方向の任意の位置で削孔し易い計測対象シースを選定し、概略値のコンクリート誘電率βuを設定したRCレーダ計測器を用いて、計測対象シースのシースかぶり厚を、予め計測しているものとする。
さらに、オペレータ及び計測作業者は、RCレーダ計測の測点と略同位置において、計測対象シースのシースかぶり厚を削孔によって確認しているものとする。
図19の準備工程(ステップS101)は、上述の問題点(1)~(5)に対処するために、正確なコンクリート縦波音速Vpを求める工程である。
なお、概略値のコンクリート誘電率βuで計測したシースかぶり厚を、解析機器13に電気的に接続されたRCレーダ計測器から直接取得してもよい。
なお、修正したコンクリート誘電率βuで計測した計測対象シースのシースかぶり厚を、解析機器13に電気的に接続されたRCレーダ計測器から直接取得してもよい。
そして、超音波P波計測を開始するオペレータの操作を受付けると、制御部136は、発信探触子からコンクリート内部へ向けて超音波を発信させるとともに、発信探触子が超音波を発信するたびに、コンクリート内部を伝わった超音波を、受信探触子を介して収録し、これら時系列の加算平均波を受信波として取得する。
また、図14(a)中において、中心振動数fs=80kHz、その幅を、中心振動数fsを中心として2×Δfsとしている。さらに、Δfsは、40kHzとしている。
さらに、制御部136は、分析用1次かぶり厚ds(1)を式2に適用して、分析用1次反射S波起生時刻ts(1)を求めるとともに、分析用1次かぶり厚ds(1)を式3に適用して、分析用2次かぶり厚ds(2)を算出し、第1の入力受付工程(ステップS105)へ移行する。
さらに、制御部136は、分析用1次かぶり厚ds(1)を式2に適用して、分析用1次反射S波起生時刻ts(1)を求めるとともに、分析用1次かぶり厚ds(1)を式3に適用して、分析用2次かぶり厚ds(2)を算出し、第1の入力受付工程(ステップS105)へ移行する。
第1の入力受付工程(ステップS105)を開始すると、制御部136は、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び版厚底部コーナーの路程長dwcの入力操作を受け付け可能にする。オペレータの入力操作によって、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び路程長dwcが入力されると、制御部136は、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び路程長dwcを記憶部133に記憶して、第2の入力受付工程(ステップS106)へ移行する。
具体的には、準備工程(ステップS101)で多点計測または単一点計測が選択され、かつ第1の入力受付工程で2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び版厚底部コーナーの路程長dwcが設定されている場合、制御部136は、後述する表1の中心間距離選定表またはオペレータの技術的経験的判断に基づく中心間距離aの初期値をオペレータに入力させる。
この際、オペレータは、表1の中心間距離選定表に、計測対象シースの分析用2次かぶり厚ds(2)と、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び版厚底部コーナーの路程長dwcとを適用して得る適切な中心間距離a(500mmまたは375mmのいずれか一方)、あるいは技術的経験的判断に基づいて決定した中心間距離aを初期値として入力する。
この際、オペレータは、技術的経験的判断に基づいて決定した中心間距離aを初期値として入力する。
この際、オペレータは、500mmまたは375mmのいずれか一方を、技術的経験的判断に基づいて決定する。
なお、計測作業者は、発信探触子と受信探触子とを、オペレータから指示された中心間距離aを隔てて計測対象シース直上のコンクリート表面4aに配置する。
なお、Δth2、ne、nf値は、今後の多数の計測分析で、後述する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1のスペクトル形状がグラウト充填状態の未充填または完全充填を明確に示す最適値が得られれば変更される。
なお、α~は数式及び図中においてαの上に“~”を付された符号を表し、以下、同様の記載は同じとする。
以下、同様に、版厚反射P波起生時刻tp|dwは、式5のtpを版厚反射P波起生時刻tp|dwに、dsを版厚dwに置き換えて求めている。
さらに、シース反射M2波起生時刻tM2は、往路、及び復路ともによこ波とするシース反射M2波の起生時刻である。
その後、制御部136は、第4の分析工程を終えて、図20のステップS110に移行する。
2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び路程長dwcが未知の単一点計測でない場合(ステップS111:No)、制御部136は、表1の中心間距離選定表に基づいて、中心間距離aが適切か否かを判定する(ステップS112)。
その後、第3の収録工程に処理を戻すオペレータの操作を受けると、制御部136は、第3の収録工程(ステップS107)に処理を戻して、中心間距離aの初期値を、案内メッセージに表示した中心間距離a(表1の中心間距離選定表から抽出した中心間距離a)に設定変更する。
なお、上述したステップS110~ステップS113に至る過程は、上述した1つ目の中心間距離aの選定方法に対応する流れである。
なお、単一点計測の場合、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1を、SPt*|i=1として式10のグラウト充填状態判定式に適用して、グラウト充填状態の判定結果を取得する。
なお、幾つかの分析閣下表示例を以降に示す。
その後、制御部136は、第1の状態判定工程(ステップS113)を終えて全ての工程を終了する。
なお、上述したステップS110~ステップS115に至る過程は、上述した2つ目の中心間距離aの選定方法に対応する流れである。
その後、制御部136は、第2の状態判定工程(ステップS115)を終えて全ての工程を終了する。
未計測の中心間距離aがある場合(ステップS117:No)、制御部136は、未計測のカウント値jに対応する中心間距離aでの再計測を促す案内メッセージ、及び第3の収録工程に処理を戻すボタンを、表示部135に表示する。
オペレータの操作によって、カウント値jに対応する中心間距離aでの超音波計測が第3の収録工程(ステップS107)でなされるたびに、制御部136は、受信波G(t)|i=1を収録し、対応する分析用2次反射S波起生時刻ts(2)を求め、ステップS108、ステップS109、ステップS110、ステップS116、及びステップS117を経て、カウント値jに対応する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|jを求める。
なお、上述したステップS110~ステップS118に至る過程は、上述した3つ目の中心間距離aの選定方法に対応する流れである。
これにより、オペレータは、この状況の視認でグラウト充填状態を想定できる。
図20のステップS118において、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び路程長dwcが未知の場合、制御部136は、空充判定カーソルt*=ts(2)+*(ただし、*=16μ秒)とし、中心間距離a=500mm及び375mm双方での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|j=1,nvをSPt*|j=1,nvとして、次の式15に示すグラウト充填状態判定式に適用して、中心間距離a=500mm及び375mmごとのグラウト充填状態の分析結果を取得する。
さらに、制御部136は、オペレータの操作を受け付けて、空充判定カーソルt*=ts(2)+*の時刻での時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t*)|i=1,nvを、j=1の中心間距離aとj=nvの中心間距離aとの比較を可能にして表示部135に表示可能としている。
ここで、第3の状態判定工程における分析法(1)と分析法(2)とを併用すると、オペレータにとってより明解な判定法となる。
図20のステップS118において、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び路程長dwcが既知の場合、制御部136は、2段目シースのかぶり厚d2s、版厚dw、及び路程長dwcと、分析用2次かぶり厚ds(2)との組み合わせに対応する適切なカウント値jの中心間距離aが500mmまたは375mmかを、表1の中心間距離選定表で特定する。
さらに、制御部136は、オペレータの操作を受け付けて、空充判定カーソルt*=ts(2)+*の時刻での時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t*)|i=1,nvにおいて、j=1の中心間距離aとj=nvの中心間距離aとの比較を可能とするためにオペレータによる操作で表示部135に表示可能としている。
ここで、第3の状態判定工程における分析法(1)と分析法(3)とを併用すると、オペレータにとってより明解な判定法となる。
以上のようにグラウト充填状態を判定して、制御部136は、全ての工程を終了する。
図19及び図20の分析の流れに沿った閾値を用いた反射S波自動化分析について、多数の既設PC橋梁での計測で取得した受信波のうち、任意に選定した受信波を用いて具体的に説明する。
表3に示す5つの分析例は、上述の問題点(1)から問題点(5)のいずれか、またはこれらの組合せに対処した事例である。
なお、削孔欄、及び空充判定欄におけるグラウト充填状態の判定結果は、白丸印が「未充填(空)」を示し、黒丸印が「完全充填」を示している。
削孔によって「未充填」と確認された表3の分析例1によれば、表1の中心間距離選定表に分析用2次かぶり厚ds(2)=113mm、2段目シースのかぶり厚d2s=325mmを適用すると、適切な中心間距離aが500mmとなり、さらに分析用2次かぶり厚ds(2)=113mm、版厚dw=450mmを適用すると、中心間距離a=375mm及び500mmのいずれでもよいとなることより、図24の中心間距離a=500mmの多点計測での分析用切り出し波は、計測対象シースの反射S波の上に直接に探査妨害波(2段目シース、版厚、版厚底部コーナーからの反射波)が混入しない時系列となっている。なお、この分析例1は、上述の問題点(1)、(2)、(3)、(4)、(5)に対処している。
分析例1は、第2の入力受付工程において、表1の中心間距離選定表に基づいてオペレータが決定し、オペレータの入力操作によって入力された中心間距離aを初期値500mmとして記憶し、第3の収録工程へ移行する。
なお、Δth2を設定する理由は、表面P1波、及び表面S1波の時刻後方残存波が、シース反射S波に混入することによるグラウト充填状態の分析への悪影響を低減するためである。
分析例1は、第1の状態判定工程において、空充判定カーソルt*=ts(2)+*(ただし、*=16μ秒)として、各測点波、及びSP加算平均波での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1~nw+1をSPt*|iとして、式10のグラウト充填状態判定式に適用し、各測点波、及びSP加算平均波ともに、「未充填」の計測対象シースを「未充填」と正しく判定している。
なお、SP加算による位相情報は、WAVE加算の位相情報を採用している。
また、図28によれば、SP加算の時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=nw+1(ただし、nc=2)の形状が「未充填」の計測対象シースを「未充填」と正しく表示していることがわかる。
なお、図27(b)及び図28の時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=nw+1は、FFTスペクトルをMEM(最大エントロピー法)スペクトルに置き換えて表示している。
次に、削孔によって「完全充填」と確認された表3の分析例2について説明する。分析例2は、分析用2次かぶり厚ds(2)=138mm、2段目シースかぶり厚=320mm、及び版厚dw=500mmであるため、表1の中心間距離選定表によれば、中心間距離a=500mmでの多点計測において、探査妨害波(2段目シース、版厚、版厚底部コーナーからの反射波)がシース反射S波の上に混入しない受信波の分析事例である。
分析例2は、分析例1と同様に、準備工程、第1の収録工程、第1の入力受付工程、第2の入力受付工程、第3の収録工程、第1の分析工程、第2の分析工程を経て、第3の分析工程に移行している。
さらに、ステップS112において、表1に基づいた適切な中心間距離aが500mmであり、かつ第3の収録工程が中心間距離a=500mmで行われていると判定して、第1の状態判定工程へ移行する。
第1の状態判定工程において、i=1~nwの各測点波、及びi=nw+1のSP加算平均波での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1をSPt*|iとして、式10のグラウト充填状態判定式に適用し、各測点波、及びSP加算平均波ともに、「完全充填」の計測対象シースを「完全充填」と正しく判定する。
また、時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t*)|i=1~5を図30(b)に示している。さらに、時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=5(ただし、SP加算、nc=2)のFFTスペクトルを、MEM(最大エントロピー法)スペクトルに置き換えて図31に示している。
図31によれば、SP加算平均波i=5(=No.1+No.2+No.3+No.4)での分析判定結果が、「完全充填(正解)」となっている。
次に、削孔によって「完全充填」と確認された表3の分析例3について説明する。
上述した問題点(3)の存在により、桁または側壁端部では、図32に示すように、計測対象シースの長手方向に沿って、シース埋設位置の高低が急激に変化し、計測対象シースのグラウト充填状態が変化することが度々である。
分析例3は、多点計測において、上述した問題点(3)、(4)に対処する事例である。
この際、分析例3が分析用2次かぶり厚ds(2)=135mm、2段目シースかぶり厚d2s=320mm、及び版厚dw=600mmであるため、表1の中心間距離選定表によれば、適切な中心間距離aが500mmとなり、オペレータは、第2の入力受付工程で中心間距離aを500mmに決定して解析機器13に入力している。
その後、分析例3は、分析例1と同様に、第1の分析工程から第3の分析工程によって、閾値ασ=0.5とする分析用切り出し波のスペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1、及び対応する分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を図33(a)のように求めたのち、第4の分析工程へ移行する。
そして、ステップS112において、表1に基づいた適切な中心間距離aが500mmであり、かつ第3の収録工程が適切な中心間距離a=500mmで行われていると判定して、第1の状態判定工程へ移行する。
図33(b)によれば、空充判定カーソルt*=ts(2)+*(ただし、*=16μ秒)の時刻において、測点i=1,2での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|iが、空充判定線分α~ σ=0.56を上回っていることがわかる。
これより、時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=5(図中の太線)が、空充判定線分α~ σ=0.56を下回っており、不正解となっている。
空充判定カーソルt*=ts(2)+*(ただし、*=16μ秒)の時刻において、測定i=1と測点i=2とのWAVE加算による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=5は、空充判定線分α~ σ=0.56を下回っており、又、又、不正解となっている。
図34(b)によれば、測点i=1と測点i=2とのSP加算平均波による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5(図中の太実線)が空充判定カーソルt*の時刻で、空充判定線分α~ σを上回り、正解に変化してくる。
これにより、分析例3は、測点i=1,2においてグラウト充填状態を「未充填」、測点i=3,4においてグラウト充填状態を「完全充填」と判定している。
図36(a)によれば、測点i=1,2の分析波のSP加算結果が「未充填」を示すスペクトル形状となっており正解である。図36(b)によれば、測点=3,4の分析波におけるSP加算結果が「完全充填」を示すスペクトル形状となっており正解である。
なお、詳細な図示を省略するが、測点=3,4の分析波のWAVE加算、及びSP加算による時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=5の双方とも「完全充填」を示すスペクトル形状となり正解となる。
次に、表3の分析例4は、上述の問題点(5)に対処する多点計測の事例である。
反射S波分析で用いる分析用切り出し波のシース反射S波の中に、2段目シース、版厚、コンクリート表層端面、または版厚底部コーナーからの反射波が探査妨害波として混入すると、「完全充填」の計測対象シースを「未充填」と誤判定する。
なお、準備工程、第1の収録工程、第1の入力受付工程、第2の入力受付工程、第3の収録工程、第1の分析工程、第2の分析工程、第3の分析工程、第4の分析工程、ステップS110:No、ステップS111:No、及びステップS112は、分析例1と同様のため、分析の流れの詳細な説明を省略する。
また、図37(b)は、中心間距離a=375mmの多点計測において、第4の分析工程で得た時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i(図中のSPf2)を示している。
なお、表1の中心間距離選定表によれば、分析用2次かぶり厚ds(2)=109mmと2段目シースのかぶり厚d2s=387mmとの組合せに対応する適切な中心間距離aが375mmとなっており、分析用2次かぶり厚ds(2)=109mmと版厚dw=550mmとの組み合わせによれば、適切な中心間距離aが375mmまたは500mmのいずれでもよいとなっていることを確認願いたい。
次に、表3の分析例5について説明する。分析例5は、中心間距離=375mmでの計測でグラウト充填状態が正しく判定される分析例4に対して、中心間距離=500mmでの計測でグラウト充填状態が正しく判定される事例である。
なお、準備工程、第1の収録工程、第1の入力受付工程、第2の入力受付工程、第3の収録工程、第1の分析工程、第2の分析工程、第3の分析工程、第4の分析工程、ステップS110:No、ステップS111:No、及びステップS112は、分析例1と同様のため、その詳細な説明を省略する。
しかしながら、表1の中心間距離選定表では、分析用2次かぶり厚ds(2)=123mmと2段目シースのかぶり厚d2s=315mmとの組合せに対応する適切な中心間距離aが500mmとなっている。
まず、多点計測において、発信探触子、及び受信探触子からなる一対の探触子の配置状態を、図15(図中の上段)を用いて説明する。一対の探触子は、発信探触子を桁(側壁)中央側に配置し、受信探触子を桁(側壁)端部側に配置するようにしている。
図39は、表3の分析例4における台形窓関数Aの推移状況であり、図39(a)が中心間距離a=500mmでの多点計測を示し、図39(b)が中心間距離a=375mmでの多点計測を示している。
さらに、図40によれば、中心間距離a=500mm、及び375mmの双方で、図中で「A」と表記した台形窓関数Aの時刻帯に版厚による反射波の混入はない。
一方、中心間距離a=500mmでの計測を示す図40(a)によれば、白三角印を付した縦カーソルで示す2段目シースの反射P波が、図中で「A」と表記した台形窓関数Aの時刻帯に混入していない。
このため、表1の中心間距離選定表では、分析用2次かぶり厚ds(2)=123mmと2段目シースのかぶり厚d2s=315mmとの組み合わせに対応する適切な中心間距離aが500mmとなっている。
このため、表1の中心間距離選定表では、分析用2次かぶり厚ds(2)=123mmと版厚dw=500mmとの組合せに対応する最適な中心間距離aを500mm、または375mmのいずれでもよいとしている。
グラウト充填状態の一部が判明している表3に示す幾つかの計測対象シースを用いて、閾値反射S波分析法を詳述した。
多数の既設PC橋梁で収録している極めて多数の計測対象シースから選定したシース反射S波計測の受信波G(t)|i=1~4を用いて、問題点(1)~(5)に対処した「閾値を用いた反射S波自動化分析」の正当性を、表4及び表5に示す「完全充填」と判明している計46本の計測対象シースと、表6に示す「未充填(空)」と判明している計7本の計測対象シースとを用いて検証する。
さらに、表7及び表8で、問題点(5)への対処を説明するためのシース群を、それぞれ17本、12本示している。
さらにまた、表4及び表5の中心間距離欄が、計測の際にオペレータが決定して採用した中心間距離aと、表1の中心間距離選定表による当該中心間距離aの適否(OK,NG)を示している。
一方、中心間距離aが不適切(中心間距離欄の適否が「NG」)であれば、上述のいずれかの探査妨害波がシース反射S波の上に混入する。このため、閾値分析欄の「未充填」及び「充填不足」の多くが不正解となることから、閾値分析欄の白丸印及び白三角印に「(?)」を付記している。
いずれにしても、中心間距離aが不適切(中心間距離欄の適否が「NG」)な場合、適切な中心間距離aに変更して再計測分析を行えば、不適切な中心間距離aによる閾値分析での「未充填(?)」及び「充填不足(?)」の代わりに、正確な充填状態を「未充填(正)」、「充填不足(正)」、「完全充填(正)」として求めることができる。
なお、中心間距離aが不適切(中心間距離欄の適否が「NG」)であっても、「完全充填」と正しく判定されている幾つかの計測対象シース(図41中のバツ印参照)がある。
図43の右側に、分析で得るグラウト充填状態の変化の様相を丸数字で示す計測対象シースごとに図示している。
表6のNo.20の計測対象シースによれば、2段目シース(かぶり厚d2s=260mm)の反射M1波(M1|d2s)が、分析用2次かぶり厚ds(2)=153mmのシース反射S波に混入しており、「未充填(?)」と判定されている。このため、図44のNo.20の計測対象シースの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~5には、表1の中心間距離選定表との対比で自動的に中心間距離a=375mmでの再計測、再分析を促す案内メッセージが表示されている。
また、表8は、各々表示する計測対象シース群において、中心間距離a=375mmで計測した際の閾値分析用係数を示している。
加えて、表7、及び表8の再計測メッセージ欄が、表1の中心間距離選定表に基づいた案内メッセージとして表示される適切な中心間距離aを示している。
一方、図45の右図(中心間距離=375mmでの計測分析)によれば、表7に示した全ての計測対象シースにおいて、シース反射S波の起生時刻帯域に探査妨害波(P|d2s、M1|d2s、M1|dw等)が混入しなくなる。
本省力化分析法は、図19及び図20に示した分析の流れで、nw=1とする単一点計測で得た受信波を用いる方法である。図45及び図47に示したように、問題点(1)から問題点(4)に対処する閾値多点計測分析において、問題点(5)にも対処して、適切な中心間距離aで計測分析すると、各測点各々でのグラウト充填状態が100%の正答率で判定されることを示している。
分析例4及び分析例5で、2段目シースかぶり厚d2s、版厚dw、及び版厚底部コーナーの路程長dwcを未知と仮定すると、表1を用いた適切な中心間距離aを特定できない。
加えて、空充判定カーソルt*=ts(2)+*とする時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1~4もそれぞれ求めている。
一方、図37(b)の中心間距離a=375mmの場合、全ての測点での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1~4は、空充判定線分α~ σ=0.56を下回り、「完全充填」となっている。
なお、分析法(1)と分析法(2)とを併用することで、オペレータは、より明解にグラウト充填状態を確認できる。
なお、分析法(1)と分析法(3)とを併用することで、オペレータは、より明解にグラウト充填状態を確認できる。
上述の「閾値を用いた反射S波自動化分析」、及び「閾値反射S波自動化分析事例」では、シースかぶり厚dsが150mm以下の計測対象シースでの多点計測(nw≧2)及び単一点計測(nw=1)において、受信波(i=1~nw)、及び加算平均波(i=nw+1)で作成されたスペクトルF(f)|i=1~nw+1に、図49(a)の左図に示すAK(f)フィルタ関数を乗じて得たFA(f)|i=1~nw+1を分析用スペクトルとしている。
まず、準備工程において、シース反射S波計測が多点計測、単一点計測、あるいは中心間距離aを順次変更する単一点計測のいずれであるかを設定し、その後、上述したAK(f)フィルタ関数を用いた閾値反射S波自動化分析と同じ流れで、計測対象シースが埋設されたコンクリートのコンクリート縦波音速Vpを求める。
なお、時刻フィルタTGC1(t)、及び時刻フィルタTGC2(t)の形状は、AK(f)フィルタ関数を用いる場合と同一である。
さらに、時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1をSPf1,2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1(ただし、nc=2)として求め、これを時刻掃引f0,f1~f2スペクトルと名付けている。その後、図20のステップS110へ移行する。
ただし、AG(f)nGフィルタ関数を用いる第1の状態判定工程は、i=1~nw+1として、AK(f)フィルタ関数を用いる第1の状態判定工程の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i、及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|iを、それぞれ時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i、及び時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|jに置き換えて、さらに時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t*)|iを、それぞれ時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|i、及び時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t*)|iに置き換えて、グラウト充填状態を判定している。
ただし、AG(f)nGフィルタ関数を用いる第2の状態判定工程は、i=1として、AK(f)フィルタ関数を用いる第2の状態判定工程の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i、及び時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|iを、それぞれ時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i、及び時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|iに置き換えて、さらに時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t*)|iを、それぞれ時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|i、及び時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t*)|iに置き換えて、グラウト充填状態を判定している。
なお、第3の状態判定工程は、3つの分析法(分析法(1)、分析法(2)、及び分析法(3))が提供されているが、AK(f)フィルタ関数を用いた場合と同様にしてグラウト充填状態を判定しているため、その詳細な説明を省略する。
まず、準備工程において、コンクリート誘電率βu、及びコンクリート縦波音速Vpを取得し、コンクリート横波音速VsをVs=0.62×Vpによって算出する。
さらに、第2の入力受付工程において、オペレータによる入力操作を受け付けて、オペレータが決定した中心間距離a(ここでは、375mmとする)を記憶している。
ただし、振動数fwの値は、AK(f)フィルタ関数を用いる場合、50kHz-Δfw<fw<50kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値だが、AG(f)nGフィルタ関数を用いる場合、40kHz-Δfw<fw<40kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値としている。
第4の分析工程において、分析用切り出し波GC(2)(t)|i=1~5に台形窓関数Aの掃引処理を適用して、時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~5、及び時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|i=1~5(ただし、nc=2)を取得する。
ステップS112において、表1の中心間距離選定表に基づいて中心間距離a=375mmが適正と判断され、第1の状態判定工程に移行している。
この発明の計測対象シースは、実施形態の計測対象のシース管2に対応し、
以下同様に、
記憶手段は、記憶部133に対応し、
誘電率算出手段、再取得手段、スペクトル取得手段、起生時刻取得手段、起生時刻再取得手段、コンクリート縦波音速取得手段、第1収録手段、第2収録手段、第3収録手段、第1分析手段、第2分析手段、第3分析手段、第4分析手段、第1判定手段、第2判定手段、及び第3判定手段は、解析機器13の制御部136に対応し、
所定の中心間距離は、中心間距離=110mmに対応し、
設定手段、第1の入力受付手段、及び第2の入力受付手段は、操作部134に対応し、
設定工程、誘電率算出工程、再取得工程、スペクトル取得工程、起生時刻取得工程、起生時刻再取得工程、及びコンクリート縦波音速取得工程は、ステップS101に対応し、
第1収録手段工程は、ステップS102:Yes、及びステップS103に対応し、
第2収録工程は、ステップS102:No、及びステップS104に対応し、
第1の入力受付工程は、ステップS105に対応し、
第2の入力受付工程は、ステップS106対応し、
第3収録工程は、ステップS107に対応し、
第1分析工程は、ステップS108に対応し、
第2分析工程、第3分析工程、及び第4分析工程は、ステップS109に対応し、
第1判定工程は、ステップS110:No、ステップS111:No、ステップS112、及びステップS113に対応し、
第2判定工程は、ステップS110:No、ステップS111:Yes、ステップS114、及びステップS115に対応し、
第3判定工程は、ステップS110:Yes、ステップS116、ステップS117、及びステップS118に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
10…非破壊検査装置
11a…発信探触子
12a…受信探触子
13…解析機器
133…記憶部
134…操作部
135…表示部
136…制御部
Claims (4)
- 超音波を発信する発信探触子、及び超音波を受信する受信探触子からなる一対の探触子と、
少なくとも各種情報を表示する表示部を有して計測対象シースのグラウト充填状態を分析判定する解析機器とを備えた非破壊検査装置であって、
測点i=1~nwとする計測を多点計測とし、測点i=1とする計測を単一点計測として、
2段目シースのかぶり厚、版厚、あるいは版厚底部コーナーまでの距離である路程長と、分析用2次かぶり厚ds(2)との組み合わせに応じた発信探触子と受信探触子との中心間距離が複数登録された中心間距離選定表、及びグラウト充填の判定結果の組み合わせに対応する最適な中心間距離が登録された単一点計測判定表を記憶する記憶手段と、
多点計測、単一点計測、または中心間距離を順次変更する単一点計測のいずれかを選択するオペレータの入力設定操作を受付ける設定手段と、
計測対象シースの断面中心からコンクリート表面への垂線と前記コンクリート表面との交点をとおる前記計測対象シースの長手方向に沿った前記コンクリート表面の仮想線分上において、前記長手方向の任意の位置におけるレーダ計測で得たシースかぶり厚であるレーダ計測かぶり厚ds|RC、及び前記任意の位置における削孔で得たシースかぶり厚である削孔かぶり厚ds|削が同一になるようにコンクリート誘電率βuを算出する誘電率算出手段と、
前記コンクリート誘電率βuを用いたレーダ計測で得た前記計測対象シースのレーダ計測かぶり厚ds|RCを再取得する再取得手段と、
前記発信探触子及び前記受信探触子を所定の中心間距離で、前記計測対象シース直上の前記コンクリート表面に配置した状態において、前記発信探触子から前記計測対象シースに向かって、所定時刻間隔で超音波を連続発信するとともに、発信のたびに前記受信探触子で得た収録波を加算平均した受信波を取得し、該受信波をFFT変換して対応するスペクトルを取得するスペクトル取得手段と、
振動数f=0.0から(fs-Δfs)の間が「0.0」、振動数f=(fs-Δfs)からfsの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=fsから(fs+Δfs)の間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=(fs+Δfs)以上で「0.0」となるF3(f)フィルタ関数を、前記スペクトルに乗じて得たスペクトルに対応する時系列から、シース反射P波起生時刻tpを求める起生時刻取得手段と、
前記シース反射P波起生時刻tpを基準時刻とし、Δtkを0.0~(tp-50)の間でオペレータが指示する値として、時刻t=0.0からtp-Δtkの間が「0.0」となり、時刻t=tp-Δtkからtpの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、時刻t=tpからtp+Δtkの間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、時刻t=tp+Δtk以上の時刻が「0.0」となる時刻フィルタTGC4(t)を、前記F3(f)フィルタ関数を乗じて得た時系列に乗じるとともに、時刻フィルタTGC4(t)の基準時刻を前記F3(f)フィルタ関数を乗じて得た時系列の起生時刻に移動させるオペレータの操作を受け付けてシース反射P波起生時刻tpを再度求める起生時刻再取得手段と、
下式のdsを前記再取得手段で得た前記レーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換え、下式のtpに前記起生時刻再取得手段で得た前記シース反射P波起生時刻tpを適用して展開し、コンクリート縦波音速Vpを取得するコンクリート縦波音速取得手段と、
オペレータの操作による前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記版厚底部コーナーの路程長の入力操作を受付ける第1の入力受付手段と、
オペレータが決定した前記発信探触子と前記受信探触子との中心間距離の入力操作を受け付ける第2の入力受付手段と、
前記受信探触子に対して前記オペレータが決定した中心間距離を隔てて配置された前記発信探触子から前記計測対象シースに向かって、所定時刻間隔で超音波を連続発信し、発信のたびに前記受信探触子で得た収録波を加算平均して受信波G(t)|i=1~nwを取得するとともに、該受信波G(t)|i=1~nwをFFT変換して対応するスペクトルF(f)|i=1~nwを取得したのち、上式の分析用1次反射S波起生時刻ts(1)を分析用2次反射S波起生時刻ts(2)に、分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて、前記中心間距離での分析用2次反射S波起生時刻ts(2)を算出する第3収録手段と、
振動数fwをオペレータの操作によって設定される50kHz-Δfw<fw<50kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値とし、振動数foを((fw-10)/2)kHzとし、振動数f2を80kHzとして、振動数f=-10kHzからf0が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=f0からfwが「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=fwからf2が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=f2から(f2+30kHz)が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=(f2+30kHz)以上で「0.0」となる関数をAK(f)フィルタ関数として、多点計測(nw≧2)または単一点計測(nw=1)あるいは中心間距離を順次変更する単一点計測(nw=1)の前記受信波G(t)|i=1~nwと、これらの加算平均波G(t)|i=nw+1との並びである受信波群G(t)|i=1~nw+1に対応するスペクトルF(f)|i=1~nw+1に、前記AK(f)フィルタ関数を乗じ、分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を作成するとともに、該分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1に対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で取得する第1分析手段と、
基準時刻thをth=ts(2)+Δth2とする時刻フィルタTGC1(t)を、時刻t=0が「0.0」となり、時刻thが「1.0」となるsin形状増加線分、時刻t=th以降が「1.0」となるTGCA(t)関数を用いて、(TGCA(t))neで算出される関数とし、基準時刻thをth=ts(2)とする時刻フィルタTGC2(t)を、時刻t=0.0から時刻t=thまでが「1.0」、時刻t=thで「1.0」となり時刻t=400μ秒で「0.0」となるsin形状減少線分、時刻t=400μ秒以降で「0.0」となるTGCB(t)関数を用いて、(TGCB(t))nfで算出される関数として、前記分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1に、前記時刻フィルタTGC1(t)、及び前記時刻フィルタTGC2(t)を乗じて、分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1を取得するとともに、該分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1に対応するスペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1をFFT変換で取得する第2分析手段と、
該第2分析手段で取得した前記スペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1ごとに、振動数fwよりも低振動数側の最大スペクトル値を「1.0」とし、振動数fwよりも高振動数側の最大スペクトル値を閾値ασとする相対値に形状変換する閾値処理を適用して、スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1を取得するとともに、該スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1のFFT逆変換で分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を取得し、さらに該分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を、i=1~nw+1ごとに最大振幅を「1.0」とする相対値に形状変換する第3分析手段と、
Δts1及びΔts2を自動的またはオペレータによって設定される値として、台形窓関数Aを時刻t始=ts(2)-Δts1から時刻t終=ts(2)+Δts2までΔta間隔で移動させるたびに、前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に前記台形窓関数Aを乗じて切り出した時系列に対応するスペクトルにおいて、i=1~nw+1ごとに前記振動数fw以下での最大スペクトル値を「1.0」とする相対値に形状変換した際、前記振動数fw以上での最大スペクトル値を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1として作成するとともに、前記振動数fw以上及び前記振動数fw以下での最大スペクトル値を時刻ごとに比較して、大きい方の最大スペクトル値を「1.0」とする相対値に形状変換して時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1を作成する第4分析手段と、
前記中心間距離での多点計測または単一点計測において、前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記路程長が既知の場合、前記中心間距離選定表に基づいて第3収録手段による受信波の収録時の中心間距離が適切か否かを自動的に判定し、中心間距離が不適切であれば、前記中心間距離選定表に登録された適切な中心間距離での前記第3収録手段による収録によって受信波G(t)|i=1~nwを再度取得し、該再取得した受信波G(t)|i=1~nwに基づいた前記第1分析手段から前記第4分析手段による分析によって時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1を再取得し、前記中心間距離が適切であれば、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を用いて計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第1判定手段と、
前記中心間距離での単一点計測において、前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記路程長が未知の場合、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での計測が完了したか否かを判定し、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での計測が完了していなければ、前記第3収録手段による収録によって、未計測の中心間距離での受信波G(t)|i=1を取得したのち、該取得した受信波G(t)|i=1~nwに基づいた前記第1分析手段から前記第4分析手段による分析によって、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での受信波G(t)|i=1ごとの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1を取得し、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での計測が完了していれば、前記単一点計測判定表に基づいて選定した中心間距離での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1を用いて前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第2判定手段と、
中心間距離を順次変更する単一点計測の場合、前記中心間距離選定表及び前記単一点計測判定表に登録された中心間距離、並びに当該中心間距離の間を段階的に補間する中心間距離での単一点計測で得たカウント値j=1~nvの受信波G(t)|j=1~nvごとに時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1~nv、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|j=1~nvを取得したのち、複数の前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1~nvを用いて、前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定可能にする第3判定手段とを備え、
前記第1判定手段は、
i=1~nwの多点計測の場合、下式で求められるWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1をFFT変換して、スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を取得し、
前記第2判定手段は、
空充判定カーソルt*=ts(2)+*の時刻において、単一点計測での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1を前記単一点計測判定表の前記中心間距離ごとに算出し、該算出した時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1をSPt*|i=1として、下式で示すグラウト充填状態判定式に適用して、グラウト充填状態の判定結果を前記中心間距離ごとに取得し、
前記第3判定手段は、
前記中心間距離選定表及び前記単一点計測判定表に登録された中心間距離、並びに当該中心間距離の間を段階的に補間する中心間距離をそれぞれカウント値j=1~nvに関連付け、該カウント値j=1~nvに対応する前記中心間距離での単一点計測で得た複数の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1~nvを、オペレータによるグラウト充填状態の比較判定が可能なように前記解析機器の前記表示部に表示させ、さらに前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記版厚底部コーナーの前記路程長が未知の場合、前記カウント値j=1,nvに対応する前記中心間距離ごとの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1,nvに基づいて、空充判定カーソルt*=ts(2)+*の時刻での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|j=1,nvをSPt*|j=1,nvとして求め、該SPt*|j=1,nvを下式に示すグラウト充填状態判定式に適用して、前記カウント値j=1,nvの前記中心間距離ごとの判定結果を取得し、該取得した判定結果を前記単一点計測判定表に適用して得た適切な中心間距離に対応するカウント値jの判定結果を、計測対象シースのグラウト充填状態を示す判定結果として採用するとともに、該判定結果と対応する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|jとを前記表示部に表示し、
非破壊検査装置。 - 多点計測の場合をnw≧2、単一点計測の場合をnw=1として、
前記第1分析手段は、
前記AK(f)フィルタ関数に代えてAG(f)nGフィルタ関数を、スペクトルF(f)|i=1~nw+1に乗じて分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を作成するとともに、該分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1に対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で取得する手段であり、
前記AG(f)nGフィルタ関数は、
振動数fwをオペレータの操作によって設定される40kHz-Δfw<fw<40kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値とし、中心振動数f0を20kHz、f2 ~を80kHz、振動数fkを(fw+f2 ~)/2の前後でオペレータが設定する値として、振動数f=0.0で「0.0」となり、振動数fkで「1.0」となるsin形状増加関数、振動数fkで「1.0」となり、振動数fk×2で「0.0」となるsin形状減少関数、振動数fk×2以上で「0.0」となる関数であり、
前記指数nGは、
前記分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1のいずれかで振動数fw~f2 ~の間でのスペクトル値が最大となるときの値であり、
前記第3分析手段は、
前記閾値処理における振動数fwをオペレータの操作によって設定される40kHz-Δfw<fw<40kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値として、前記スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1、及び前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を取得する手段であり、
前記第4分析手段は、
前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1として求めるとともに、前記時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1を時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1として求める手段であり、
前記第1判定手段、前記第2判定手段、及び前記第3判定手段は、
前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|iを前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|iとして求め、前記時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|iを前記時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|iとして求めてグラウト充填状態を判定する手段であり、
前記第1判定手段は、
i=1の単一点計測の場合、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1を時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|i=1として求めてグラウト充填状態を判定し、i=1~nwの多点計測の場合、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1~nw+1を時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|i=1~nw+1として求めてグラウト充填状態を判定する手段であり、
前記第2判定手段は、
前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1を前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|i=1として求めてグラウト充填状態を判定する手段であり、
前記第3判定手段は、
適切な中心間距離に対応するカウント値j=1またはnvの前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|jを前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|jとして求め、前記時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|jを前記時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|jとして求めるとともに、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|jを前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|jとして求めてグラウト充填状態を判定する手段である
請求項1に記載の非破壊検査装置。 - 超音波を発信する発信探触子、及び超音波を受信する受信探触子からなる一対の探触子と、少なくとも各種情報を表示する表示部を有して計測対象シースのグラウト充填状態を分析判定する解析機器とを備えた装置を用いた非破壊検査方法であって、
測点i=1~nwとする計測を多点計測とし、測点i=1とする計測を単一点計測として、
2段目シースのかぶり厚、版厚、あるいは版厚底部コーナーまでの距離である路程長と、分析用2次かぶり厚ds(2)との組み合わせに応じた発信探触子と受信探触子との中心間距離が複数登録された中心間距離選定表、及びグラウト充填の判定結果の組み合わせに対応する最適な中心間距離が登録された単一点計測判定表を記憶する記憶工程と、
多点計測、単一点計測、または中心間距離を順次変更する単一点計測のいずれかを選択するオペレータの入力設定操作を受付ける設定工程と、
計測対象シースの断面中心からコンクリート表面への垂線と前記コンクリート表面との交点をとおる前記計測対象シースの長手方向に沿った前記コンクリート表面の仮想線分上において、前記長手方向の任意の位置におけるレーダ計測で得たシースかぶり厚であるレーダ計測かぶり厚ds|RC、及び前記任意の位置における削孔で得たシースかぶり厚である削孔かぶり厚ds|削が同一になるようにコンクリート誘電率βuを算出する誘電率算出工程と、
前記コンクリート誘電率βuを用いたレーダ計測で得た前記計測対象シースのレーダ計測かぶり厚ds|RCを再取得する再取得工程と、
前記発信探触子及び前記受信探触子を所定の中心間距離で、前記計測対象シース直上の前記コンクリート表面に配置した状態において、前記発信探触子から前記計測対象シースに向かって、所定時刻間隔で超音波を連続発信するとともに、発信のたびに前記受信探触子で得た収録波を加算平均した受信波を取得し、該受信波をFFT変換して対応するスペクトルを取得するスペクトル取得工程と、
振動数f=0.0から(fs-Δfs)の間が「0.0」、振動数f=(fs-Δfs)からfsの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=fsから(fs+Δfs)の間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=(fs+Δfs)以上で「0.0」となるF3(f)フィルタ関数を、前記スペクトルに乗じて得たスペクトルに対応する時系列から、シース反射P波起生時刻tpを求める起生時刻取得工程と、
前記シース反射P波起生時刻tpを基準時刻とし、Δtkを0.0~(tp-50)の間でオペレータが指示する値として、時刻t=0.0からtp-Δtkの間が「0.0」となり、時刻t=tp-Δtkからtpの間が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、時刻t=tpからtp+Δtkの間が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、時刻t=tp+Δtk以上の時刻が「0.0」となる時刻フィルタTGC4(t)を、前記F3(f)フィルタ関数を乗じて得た時系列に乗じるとともに、時刻フィルタTGC4(t)の基準時刻を前記F3(f)フィルタ関数を乗じて得た時系列の起生時刻に移動させるオペレータの操作を受け付けてシース反射P波起生時刻tpを再度求める起生時刻再取得工程と、
下式のdsを前記再取得工程で得た前記レーダ計測かぶり厚ds|RCに置き換え、下式のtpに前記起生時刻再取得工程で得た前記シース反射P波起生時刻tpを適用して展開し、コンクリート縦波音速Vpを取得するコンクリート縦波音速取得工程と、
オペレータの操作による前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記版厚底部コーナーの路程長の入力操作を受付ける第1の入力受付工程と、
オペレータが決定した前記発信探触子と前記受信探触子との中心間距離の入力操作を受け付ける第2の入力受付工程と、
前記受信探触子に対して前記オペレータが決定した中心間距離を隔てて配置された前記発信探触子から前記計測対象シースに向かって、所定時刻間隔で超音波を連続発信し、発信のたびに前記受信探触子で得た収録波を加算平均して受信波G(t)|i=1~nwを取得するとともに、該受信波G(t)|i=1~nwをFFT変換して対応するスペクトルF(f)|i=1~nwを取得したのち、上式の分析用1次反射S波起生時刻ts(1)を分析用2次反射S波起生時刻ts(2)に、分析用1次かぶり厚ds(1)を分析用2次かぶり厚ds(2)に置き換えて、前記中心間距離での分析用2次反射S波起生時刻ts(2)を算出する第3収録工程と、
振動数fwをオペレータの操作によって設定される50kHz-Δfw<fw<50kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値とし、振動数foを((fw-10)/2)kHzとし、振動数f2を80kHzとして、振動数f=-10kHzからf0が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=f0からfwが「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=fwからf2が「0.0から1.0」となるsin形状増加関数、振動数f=f2から(f2+30kHz)が「1.0から0.0」となるsin形状減少関数、振動数f=(f2+30kHz)以上で「0.0」となる関数をAK(f)フィルタ関数として、多点計測(nw≧2)または単一点計測(nw=1)あるいは中心間距離を順次変更する単一点計測(nw=1)の前記受信波G(t)|i=1~nwと、これらの加算平均波G(t)|i=nw+1との並びである受信波群G(t)|i=1~nw+1に対応するスペクトルF(f)|i=1~nw+1に、前記AK(f)フィルタ関数を乗じ、分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を作成するとともに、該分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1に対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で取得する第1分析工程と、
基準時刻thをth=ts(2)+Δth2とする時刻フィルタTGC1(t)を、時刻t=0が「0.0」となり、時刻thが「1.0」となるsin形状増加線分、時刻t=th以降が「1.0」となるTGCA(t)関数を用いて、(TGCA(t))neで算出される関数とし、基準時刻thをth=ts(2)とする時刻フィルタTGC2(t)を、時刻t=0.0から時刻t=thまでが「1.0」、時刻t=thで「1.0」となり時刻t=400μ秒で「0.0」となるsin形状減少線分、時刻t=400μ秒以降で「0.0」となるTGCB(t)関数を用いて、(TGCB(t))nfで算出される関数として、前記分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1に、前記時刻フィルタTGC1(t)、及び前記時刻フィルタTGC2(t)を乗じて、分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1を取得するとともに、該分析用切り出し波GB(2)(t)|i=1~nw+1に対応するスペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1をFFT変換で取得する第2分析工程と、
該第2分析工程で取得した前記スペクトルFB(2)(f)|i=1~nw+1ごとに、振動数fwよりも低振動数側の最大スペクトル値を「1.0」とし、振動数fwよりも高振動数側の最大スペクトル値を閾値ασとする相対値に形状変換する閾値処理を適用して、スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1を取得するとともに、該スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1のFFT逆変換で分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を取得し、さらに該分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を、i=1~nw+1ごとに最大振幅を「1.0」とする相対値に形状変換する第3分析工程と、
Δts1及びΔts2を自動的またはオペレータによって設定される値として、台形窓関数Aを時刻t始=ts(2)-Δts1から時刻t終=ts(2)+Δts2までΔta間隔で移動させるたびに、前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1に前記台形窓関数Aを乗じて切り出した時系列に対応するスペクトルにおいて、i=1~nw+1ごとに前記振動数fw以下での最大スペクトル値を「1.0」とする相対値に形状変換した際、前記振動数fw以上での最大スペクトル値を時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1として作成するとともに、前記振動数fw以上及び前記振動数fw以下での最大スペクトル値を時刻ごとに比較して、大きい方の最大スペクトル値を「1.0」とする相対値に形状変換して時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1を作成する第4分析工程と、
前記中心間距離での多点計測または単一点計測において、前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記路程長が既知の場合、前記中心間距離選定表に基づいて第3収録工程による受信波の収録時の中心間距離が適切か否かを自動的に判定し、中心間距離が不適切であれば、前記中心間距離選定表に登録された適切な中心間距離での前記第3収録工程による収録によって受信波G(t)|i=1~nwを再度取得し、該再取得した受信波G(t)|i=1~nwに基づいた前記第1分析工程から前記第4分析工程による分析によって時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1を再取得し、前記中心間距離が適切であれば、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を用いて計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第1判定工程と、
前記中心間距離での単一点計測において、前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記路程長が未知の場合、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での計測が完了したか否かを判定し、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での計測が完了していなければ、前記第3収録工程による収録によって、未計測の中心間距離での受信波G(t)|i=1を取得したのち、該取得した受信波G(t)|i=1~nwに基づいた前記第1分析工程から前記第4分析工程による分析によって、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での受信波G(t)|i=1ごとの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1を取得し、前記単一点計測判定表に基づいて選定した中心間距離での計測が完了していれば、前記単一点計測判定表に登録された全ての中心間距離での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1を用いて前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定する第2判定工程と、
中心間距離を順次変更する単一点計測の場合、前記中心間距離選定表及び前記単一点計測判定表に登録された中心間距離、並びに当該中心間距離の間を段階的に補間する中心間距離での単一点計測で得たカウント値j=1~nvの受信波G(t)|j=1~nvごとに時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1~nv、及び時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|j=1~nvを取得したのち、複数の前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1~nvを用いて、前記計測対象シースのグラウト充填状態を判定可能にする第3判定工程とを備え、
前記第1判定工程は、
i=1~nwの多点計測の場合、下式で求められるWAVE加算平均波GC(2)(t)|i=nw+1をFFT変換して、スペクトルFC(2)(f)|i=nw+1を取得し、
前記第2判定工程は、
空充判定カーソルt*=ts(2)+*の時刻において、単一点計測での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1を前記単一点計測判定表の前記中心間距離ごとに算出し、該算出した時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1をSPt*|i=1として、下式で示すグラウト充填状態判定式に適用して、グラウト充填状態の判定結果を前記中心間距離ごとに取得し、
前記第3判定工程は、
前記中心間距離選定表及び前記単一点計測判定表に登録された中心間距離、並びに当該中心間距離の間を段階的に補間する中心間距離をそれぞれカウント値j=1~nvに関連付け、該カウント値j=1~nvに対応する前記中心間距離での単一点計測で得た複数の時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1~nvを、オペレータによるグラウト充填状態の比較判定が可能なように前記解析機器の前記表示部に表示させ、さらに前記2段目シースのかぶり厚、前記版厚、及び前記版厚底部コーナーの前記路程長が未知の場合、前記カウント値j=1,nvに対応する前記中心間距離ごとの時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|j=1,nvに基づいて、空充判定カーソルt*=ts(2)+*の時刻での時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|j=1,nvをSPt*|j=1,nvとして求め、該SPt*|j=1,nvを下式に示すグラウト充填状態判定式に適用して、前記カウント値j=1,nvの前記中心間距離ごとの判定結果を取得し、該取得した判定結果を前記単一点計測判定表に適用して得た適切な中心間距離に対応するカウント値jの判定結果を、計測対象シースのグラウト充填状態を示す判定結果として採用するとともに、該判定結果と対応する時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|jとを前記表示部に表示し、
非破壊検査方法。 - 多点計測の場合をnw≧2、単一点計測の場合をnw=1として、
前記第1分析工程は、
前記AK(f)フィルタ関数に代えてAG(f)nGフィルタ関数を、スペクトルF(f)|i=1~nw+1に乗じて分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1を作成するとともに、該分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1に対応する分析用時系列GA(t)|i=1~nw+1をFFT逆変換で取得する工程であり、
前記AG(f)nGフィルタ関数は、
振動数fwをオペレータの操作によって設定される40kHz-Δfw<fw<40kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値とし、中心振動数f0を20kHz、f2 ~を80kHz、振動数fkを(fw+f2 ~)/2の前後でオペレータが設定する値として、振動数f=0.0で「0.0」となり、振動数fkで「1.0」となるsin形状増加関数、振動数fkで「1.0」となり、振動数fk×2で「0.0」となるsin形状減少関数、振動数fk×2以上で「0.0」となる関数であり、
前記指数nGは、
前記分析用スペクトルFA(f)|i=1~nw+1のいずれかで振動数fw~f2 ~の間でのスペクトル値が最大となるときの値であり、
前記第3分析工程は、
前記閾値処理における振動数fwをオペレータの操作によって設定される40kHz-Δfw<fw<40kHz+Δfw(ただし、Δfw=5kHz)の範囲のいずれかの値として、前記スペクトルFC(2)(f)|i=1~nw+1、及び前記分析用2次時系列GC(2)(t)|i=1~nw+1を取得する工程であり、
前記第4分析工程は、
前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|i=1~nw+1を時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|i=1~nw+1として求めるとともに、前記時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1を時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|i=1~nw+1として求める工程であり、
前記第1判定工程、前記第2判定工程、及び前記第3判定工程は、
前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|iを前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|iとして求め、前記時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|iを前記時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|iとして求めてグラウト充填状態を判定する工程であり、
前記第1判定工程は、
i=1の単一点計測の場合、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1を時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|i=1として求めてグラウト充填状態を判定し、i=1~nwの多点計測の場合、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1~nw+1を時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|i=1~nw+1として求めてグラウト充填状態を判定する工程であり、
前記第2判定工程は、
前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|i=1を前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|i=1として求めてグラウト充填状態を判定する工程であり、
前記第3判定工程は、
適切な中心間距離に対応するカウント値j=1またはnvの前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t)|jを前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t)|jとして求め、前記時刻掃引f0,f2スペクトルSPf2(2)(f,t)nc|jを前記時刻掃引f0,f1~f2スペクトルSPf1,2(2)(f,t)nc|jとして求めるとともに、前記時刻掃引基準化スペクトル値SPf2(2)(t*)|jを前記時刻掃引基準化f1~f2スペクトル値SPf1,2(2)(t*)|jとして求めてグラウト充填状態を判定する工程である
請求項3に記載の非破壊検査方法。
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