JP2019039709A - 埋込金物の健全性診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波による検査において診断を行えない箇所がある埋込金物に対しても、打音による検査において有意な周波数ピークが確認できない場合や架台などによる影響がある場合でも、精度高く健全性の診断を行う埋込金物の健全性診断方法を提供する。【解決手段】健全状態を模擬した埋込金物が埋め込まれたモックアップ試験体について、スタッドジベルへの打音の振動波形から振動持続時間、周波数分布を得た後、スタッドジベルの健全、不健全の判定基準を設定する判定基準設定工程と、診断対象スタッドジベルへの打音の振動波形から振動持続時間、周波数分布を得、判定基準に基づいて診断対象スタッドジベルの健全、不健全を判定するスタッドジベル健全性判定工程と、判定された診断対象スタッドジベルの健全性に基づいて、診断対象の埋込金物全体としての健全、不健全を診断する埋込金物健全性診断工程とを備えている埋込金物の健全性診断方法。【選択図】図8

Description

本発明は、コンクリートに打設された埋込金物の健全性を打音検査により診断する埋込金物の健全性診断方法に関する。
プラントの配管や構造物の固定、コンクリート製の建屋内の機器等の固定には埋込金物や後打ち金物(以下、総称して「埋込金物」ともいう)が、広く用いられている。
このような埋込金物として、一般的には、図1に示すような形状の埋込金物1が用いられている。埋込金物1は、プレート11に複数本のスタッドジベル(鋼棒)12が取り付けられており、プレート11にスタッドジベル12がスタッド溶接や隅肉溶接されて埋込金物1に成形された後、施工現場においてプレート11が露出するようにスタッドジベル12がコンクリートに埋設される。
この埋込金物を設置する際に施工不良があった場合や、経時劣化によって埋込金物に腐食や破損等が生じた場合には埋込金物の健全性が確保されない。このため、施工直後における検査や、その後の定期検査において埋込金物の健全性を診断することが、従来より行なわれている。
例えば、埋設の際にコンクリート基礎の配筋との干渉等によりスタッドジベル12に切断、曲げ、鋼棒の点溶接のような施工不良が発生する場合がある。このため、例えば、超音波測定を用いてスタッドジベル12の長さを測定し、測定結果に基づいて、施工不良があるか否かを診断(超音波検査)している。
また、埋込金物の露出部分に打撃を加えることにより生じた振動の波形をAEセンサ等の振動検知センサで取得し、取得した振動波形に高速フーリエ変換(FFT変換)を用いて周波数解析を行って周波数分布を取得した後、ピーク周波数や分布形状により示される面積などに基づいて、埋込金物の健全性を診断(打音検査)している(例えば特許文献1、2参照)。
特開2015−45637号公報 特開2016−24069号公報
しかしながら、超音波による検査の場合には、埋込金物1が供用されている状態では、プレート11に配管や構造物を固定するための支持鋼材などが溶接されていると、スタッドジベルの直上にアクセスすることができず、健全性の診断を行えない場合があるという問題があった。
一方、打音による検査の場合には、コンクリート打設直後や打設後の埋込金物に荷重負荷が無い状態では、有意な周波数ピークが現れないため、評価することができないという問題があった。また、埋込金物に荷重負荷があり、有意な周波数ピークが確認されたとしても、埋込金物に溶接されている耐震サポート、鋼板等の架台などにおける周波数特性もセンサに一緒に拾われてしまうため、この周波数特性からの周波数ピークを有意な周波数ピークと誤認して、健全である埋込金物を不健全と誤判定する恐れがあるという問題があった。
そこで、本発明は、超音波による検査において健全性の診断を行えない箇所がある埋込金物に対しても健全性の診断を行うことができ、また、打音による検査において有意な周波数ピークが確認できない場合や架台などによる影響がある場合でも、精度高く健全性の診断を行うことができる埋込金物の健全性診断方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1に記載の発明は、
プレートの一方の面に複数本のスタッドジベルが立設された埋込金物の健全性を診断する健全性診断方法であって、
健全、不健全な状態を模擬した複数の埋込金物のそれぞれが埋め込まれた各モックアップ試験体を作製し、作製された各モックアップ試験体について、施工段階毎に、各スタッドジベルに対して打音を行い、前記打音により生じた振動波形の振動持続時間を計測すると共に、前記振動波形を周波数解析して周波数分布を得た後、埋め込まれた各スタッドジベルの健全、不健全を判定する判定基準を前記振動持続時間および前記周波数分布のそれぞれについて設定する判定基準設定工程と、
診断対象スタッドジベルである診断対象の埋込金物の各スタッドジベルに対して打音を行い、前記打音により生じた振動波形の振動持続時間を計測すると共に、前記振動波形を周波数解析して周波数分布を得、前記判定基準設定ステップにおいて設定された各判定基準に基づいて、各診断対象スタッドジベルの健全、不健全を判定するスタッドジベル健全性判定工程と、
前記スタッドジベル健全性判定工程において判定された各診断対象スタッドジベルの健全性に基づいて、診断対象の埋込金物全体としての健全、不健全を診断する埋込金物健全性診断工程とを備えていることを特徴とする埋込金物の健全性診断方法である。
請求項2に記載の発明は、
前記周波数分布に基づく判定基準が、前記周波数分布から得られたピーク周波数の下限値および上限値であると共に、前記振動波形をウェーブレット解析して得られた周波数の下限値であることを特徴とする請求項1に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項3に記載の発明は、
前記振動持続時間の判定基準が、前記埋込金物への架台溶接後、および、荷重負荷後のそれぞれにおいて、設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項4に記載の発明は、
前記スタッドジベル健全性判定工程において、
前記診断対象スタッドジベルに生じた振動波形における振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された荷重負荷後の振動持続時間以上であるか否かを第1ステップとして判定し、
前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間未満である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していない可能性があると判定し、
前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間以上である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項5に記載の発明は、
前記第1ステップにおいて、前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された荷重負荷後の振動持続時間未満であり、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していない可能性があると判定した場合、
前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された架台溶接後の振動持続時間以上であるか否かを第2ステップとして判定し、
前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間以上である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定し、
前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間未満である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化しておらず、荷重負荷が発生していないと判定することを特徴とする請求項4に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項6に記載の発明は、
前記第1ステップにおいて、前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された荷重負荷後の振動持続時間以上であり、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定した場合、
前記診断対象スタッドジベルにおける周波数分布において、有意な周波数ピークがあるか否かを第3ステップとして判定することを特徴とする請求項4に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項7に記載の発明は、
前記第2ステップにおいて、前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された架台溶接後の振動持続時間以上であり、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定した場合、
前記診断対象スタッドジベルにおける周波数分布において、有意な周波数ピークがあるか否かを第4ステップとして判定することを特徴とする請求項5に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項8に記載の発明は、
前記第3ステップまたは前記第4ステップにおいて、有意な周波数ピークがあると判定した場合、
前記周波数ピークの最低値が、前記診断対象スタッドジベルの健全、不健全を判定する判定基準として設定された周波数ピーク以上であるか否かを第5ステップとして判定し、
前者の周波数ピークが、後者の周波数ピーク以上である場合、前記診断対象スタッドジベルを健全と判定し、
前者の周波数ピークが、後者の周波数ピーク未満である場合、前記診断対象スタッドジベルを不健全と判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項9に記載の発明は、
前記第3ステップまたは前記第4ステップにおいて、有意な周波数ピークがないと判定した場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化しておらず、荷重負荷が発生していないと判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項10に記載の発明は、
前記埋込金物健全性診断工程において、
前記診断対象スタッドジベルの全てが前記スタッドジベル健全性判定工程において健全と判定された場合、
あるいは、一部が前記スタッドジベル健全性判定工程において健全と判定され、他が荷重負荷が発生していないと判定された場合、
あるいは、前記診断対象スタッドジベルの全てが、前記スタッドジベル健全性判定工程において荷重負荷が発生していないと判定された場合に、
診断対象の埋込金物を継続利用上問題なしと診断することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項11に記載の発明は、
前記ピーク周波数の下限値が1600〜2000Hzの範囲において設定された周波数であり、上限値が2500〜4000Hzの範囲において設定された周波数であることを特徴とする請求項2ないし請求項10のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項12に記載の発明は、
前記ピーク周波数の下限値が1900Hz、上限値が3500Hzであることを特徴とする請求項11に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項13に記載の発明は、
前記振動持続時間の判定基準が、前記埋込金物への架台溶接後は20ミリ秒、荷重負荷後は10ミリ秒であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項14に記載の発明は、
診断対象各スタッドジベルの内、超音波検査が可能な各スタッドジベルに対して、打音による判定の前に、超音波検査により埋込金物の健全性を診断することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項15に記載の発明は、
超音波検査が不可能であったスタッドジベルにおいて打音検査を行ったとき、超音波検査が可能であったスタッドジベルにおいて表れている有意なピークと同様の周波数に評価ピークが表れていた場合、対象のスタッドジベルは健全であると判定することを特徴とする請求項14に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項16に記載の発明は、
前記スタッドジベルを打音する治具として、テストハンマを使用することを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項17に記載の発明は、
前記打音により生じた振動波形を取得するセンサとして、AEセンサを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
請求項18に記載の発明は、
前記AEセンサを打音されるスタッドジベル近傍に配置して、前記振動波形を取得することを特徴とする請求項17に記載の埋込金物の健全性診断方法である。
本発明によれば、超音波による検査において健全性の診断を行えない箇所がある埋込金物に対しても健全性の診断を行うことができ、また、打音による検査において有意な周波数ピークが確認できない場合や架台などによる影響がある場合でも、精度高く健全性の診断を行うことができる埋込金物の健全性診断方法を提供することができる。
埋込金物の一例を模式的に示す斜視図である。 モックアップ試験体の一例を模式的に示す斜視図である。 モックアップ試験体の各施工状態において得られた周波数分布を示す図である。 振動持続時間における判定基準値の設定を説明する図である。 Rタイプの埋込金物のスタッドジベルにおいて現れた評価ピーク周波数のヒストグラムである。 本発明の一実施の形態において埋込金物におけるセンサの配置を説明する図である。 タイプの異なる埋込金物におけるセンサの配置を説明する図である。 本発明の埋込金物の健全性診断の手順を示すフローである。 □鋼を溶接して中央配置した埋込金物において、センサの位置と打音位置とを変化させたときに得られる周波数分布を示す図である。 L鋼を溶接して端部に配置した埋込金物において、センサの位置と打音位置とを変化させたときに得られる周波数分布を示す図である。 超音波測定不可の箇所における打音測定の一例を説明する図である。 超音波測定不可の箇所における打音測定の他の一例を説明する図である。 超音波測定不可の箇所における打音測定のさらに他の一例を説明する図である。
[1]本発明の完成に至る経緯
本発明の実施の形態について説明する前に、本発明の完成に至る経緯について説明する。
本発明者は、前記した本発明の課題の解決方法を検討するにあたって、まず、診断にあたって超音波法のような検査箇所の制約がある方法を避けて打音検査法を採用することとした。
しかし、埋込金物の打音検査においては、同一の埋込金物内であっても、前記した通り、スタッドジベルに対する荷重負荷が無い場合には、有意な周波数ピークが現れず、評価することができないという問題があった。
そこで、本発明者は、スタッドジベルに対する荷重負荷が無い場合でも健全性の診断を行うことができる方法について鋭意検討を行った。
その結果、埋込金物は各スタッドジベルが打設されたコンクリート中に埋設された後、プレートに耐震サポート、鋼板等を架台として溶接することにより供用されるが、コンクリート打設後の荷重の負荷が無い状態では埋込金物とコンクリートは強固に拘束されているため、スタッドジベルを打音してもその振動がコンクリートに吸収されて、欠損部など不健全な箇所であっても有意な周波数ピークとして現れてこないことが分かった。
そして、このように荷重の負荷が無い場合、例え欠損部であっても、浮き上がり等の状態の変化を伴う恐れはないため、そのスタッドジベルについては継続的に利用しても差し支えないことが分かった。
そして、このような荷重の負荷の有無は、打音における振動持続時間を知ることにより、判断できることが分かった。即ち、コンクリートと埋込金物が強固に拘束されているため、上記したように、打音による振動がコンクリートに吸収されてスタッドジベルは殆ど振動せず、短時間で振動が収束される。一方、耐震サポート、鋼板等の架台が溶接された後や、スタッドジベルに対する荷重が発生した後では、振動持続時間が長くなることが分かった。このため、振動持続時間を測定することにより、スタッドジベル、ひいては埋込金物に対する荷重の発生を判断することができることが分かった。
本発明者は、次に、埋込金物に溶接されている架台などからの影響による誤判定を防止する方法について検討を行い、その結果、架台などからの影響はスタッドジベルへの打音から得られた周波数分布に現われ、さらに、架台などの振動に由来する固有振動ピークは一定の位置に現われることが分かった。このため、この架台などの振動に由来する固有振動ピークを有意な周波数ピークから除外することにより、スタッドジベルの健全性を精度高く判断することができることが分かった。
本発明は以上の知見に基づいて完成された発明である。
[2]本発明の実施の形態
以下、本発明の実施の形態について、具体的な例を交え、図面を参照しながら説明する。
<1>本実施の形態の概要
本実施の形態に係る埋込金物の健全性診断方法は、前記したように、基本的には、打音検査に基づくものであり、埋込金物における各スタッドジベルの健全、不健全を判定した後、その判定結果に基づいて、埋込金物全体としての健全、不健全を診断している。
具体的には、センサが配置された計測点の近傍を、テストハンマなどを用いて打音することにより、診断対象のスタッドジベルに振動を発生させ、センサでその振動波形を取得する。このため、超音波検査法が適用できないアクセス不可能な箇所であっても、センサの設置および打音が可能な箇所であれば、スタッドジベルの健全、不健全を判定することができる。
そして、本実施の形態においては、上記したように、打音における振動持続時間の測定によってスタッドジベルに対する荷重の発生を判断すると共に、架台などの振動に由来する固有振動ピークを有意な周波数ピークから除外して、スタッドジベルの健全、不健全を判断するため、スタッドジベル、さらには埋込金物の健全性を精度高く判断することができる。
<2>具体的な本実施の形態
以下、具体的な本実施の形態について、その手順に従って説明する。
1.判定基準設定工程
本工程においては、埋込金物に埋め込まれた各スタッドジベルの健全、不健全を判定する判定基準について設定する。
(1)モックアップ試験体の作製
まず、健全、不健全な状態を模擬した複数の埋込金物のそれぞれが埋め込まれた各モックアップ試験体を作製する。なお、モックアップ試験体に替えて、FEM解析モデルなどのPC上の解析モデルを用いてもよい。
ここで、一般的に用いられる具体的な埋込金物としては多くの種類があり、プレートのサイズ、形状およびスタッドジベルのサイズ、本数が異なっている。例えば、Pタイプの埋込金物は、250×250×16mmのプレートにφ16×120mmのジベルを4本備えており、またRタイプの埋込金物は、400×400×25mmのプレートにφ22×160mmのジベルを9本備えている。図1にRタイプの埋込金物を示す。なお、図1において、(a)はスタッドジベルに変化が生じていない状態を、(b)はスタッドジベルの一部(3本)に曲げが生じている状態を、(c)はスタッドジベルの一部(3本)に切断が生じている状態を示している。なお、後述するように、正方形タイプ以外に長方形タイプの埋込金物もあり、スタッドジベルの径、長さおよび本数が異なる埋込金物もある。
また、埋込金物が埋め込まれた後の耐震サポート、鋼板等の架台溶接についても、使用される鋼材の種類および配置に応じて多くのパターンがある。
本実施の形態においては、これらの埋込金物の種類、架台溶接の状況を考慮すると共に、種々のスタッドジベル施工パターンを想定して、表1に示す各モックアップ試験体を作製した(「−」は作製せず)。図2に、このようにして作製されたモックアップ試験体の一例を示す。
Figure 2019039709
(2)モックアップ試験体への打音
次に、作製された各モックアップ試験体に対して打音を行い、振動持続時間を計測すると共に、得られた振動波形を解析して周波数分布を得る。
具体的には、センサを各スタッドジベルの直上近傍(1〜5cm程度)に配置した後、センサの近傍(1〜5cm程度)をハンマで打撃して、発生した打音の振動波形をセンサにより取得する。なお、このとき、荷重負荷の発生に替えて、モックアップ試験体に引張荷重を付加する。
本実施の形態において、この振動波形の取得は、モックアップ試験体を作製する途中の施工段階毎に行う。具体的には、コンクリート打設前、コンクリート打設後、耐震サポート、鋼板等の架台溶接後、引張荷重付加後、さらに、引張荷重付加後にコンクリートにひびが入る程度まで衝撃を加えた後の、各施工段階で振動波形を取得し、その振動持続時間を計測すると共に、振動波形を周波数解析して周波数分布を得る。
なお、ハンマとしては、打音点検用に一般的に用いられており、重さも軽く、持ち運びに便利なテストハンマが好ましく使用されるが、プラスチックハンマ、ゴムハンマ、木ハンマ、テストハンマ以外の鉄ハンマなど、対象に振動を与えることができて振動が取得可能なハンマであれば、テストハンマに替えて使用してもよい。
また、センサとしては、打撃された支柱部の振動を高精度で取得するという観点から、AE(Acoustic Emission)センサを使用することが好ましいが、振動を取得可能な加速度計などを用いてもよく、また、打撃音をマイクロフォンで取得してもよい。
(3)打音の周波数分布に及ぼす荷重の影響
各施工状態において得られた周波数分布を図3に示す。図3において、縦軸は振動強度(×10)、横軸は周波数(Hz)であり、左側に健全位置にあるスタッドジベルにおける測定結果を、右側に欠損位置にあるスタッドジベルにおける測定結果を、振動持続時間と併せて記載している。なお、丸抜きで示した各数字は図3右外方に示す計測点の番号に対応しており、白抜き丸が健全なスタッドジベル、グレー丸印が欠損したスタッドジベルであることを示している。
図3より、コンクリート打設直後の段階では、打音しても振動しないため、健全位置、欠損位置のいずれにおいても、周波数ピークが現れていないことが分かる。そして、このように周波数ピークが現れず、荷重が付加されていない場合には、スタッドジベルが健全、不健全のいずれの状態にあっても、浮き上がり等の変化が生じないため、現状、埋込金物の継続利用には影響がないと考えることができる。
そして、架台(耐震サポート)溶接後の段階では、架台溶接による熱応力が大きいと周波数ピークが現れてくることが分かる。また、引張荷重の付加(荷重負荷)により周波数ピーク高さが大きくなることが分かる。さらに、引張荷重の付加に加えてハンマ衝撃を加えた場合には、周波数ピーク高さがさらに大きくなることが分かる。
(4)振動持続時間に関する判定基準値の設定
図3より、各施工段階において、健全位置と欠損位置とでは振動持続時間が大きく変化していることが分かり、本発明者は、この振動持続時間を指標とすることにより埋込金物の浮上りによるリスクが無いことが判定できると考えた。
図4は、この振動持続時間における判定基準値の設定を説明する図であり、総数480本のスタッドジベルについて、コンクリート打設後、耐震サポート、鋼板等の架台溶接後、荷重負荷後のおける振動持続時間ごとのヒストグラムを示している。
図4より、スタッドジベル全体の傾向として、コンクリート打設後の振動持続時間は10ミリ秒(ms)以下であり、架台溶接により振動持続時間が長くなるが、多くのものが20ミリ秒未満となっていることが分かる。そして、これにより、振動持続時間が20ミリ秒未満の場合には、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していないことが分かる。一方、荷重負荷後の段階では、欠損スタッドジベルの振動持続時間は全て10ミリ秒以上となっていることが分かる。
これらの結果より、若干の衝撃負荷によりスタッドジベルの各施工状態における振動持続時間を知ることによってスタッドジベルの健全判定が可能であることが分かり、本実施の形態においては、10ミリ秒および20ミリ秒が振動持続時間の判定基準値として好ましいことが分かる。
(5)周波数分布に関する判定基準値の設定
埋込金物に対して荷重の負荷が発生し、十分な振動持続時間がある場合、周波数分布に現われるピーク周波数によって、健全、不健全を判定することができる。
即ち、打音により取得された振動波形に高速フーリエ(絶対値FFT)解析を適用して周波数解析を行うことにより、周波数分布を得る。この周波数分布には、様々な周波数でピークが現れるが、通常は、振動強度が最大強度の20%を超え、20kカウントを超えている周波数ピークにおける周波数の前後において、健全なスタッドジベルと不健全なスタッドジベルを区別することができるため、この周波数を評価ピーク周波数(判定基準値)として採用することにより、スタッドジベルの健全、不健全を判定することができる。
判定基準値としてのピーク周波数は、下限値が1600〜2000Hzの範囲において設定された周波数であり、上限値が2500〜4000Hzの範囲において設定された周波数であることが好ましい。
図5は、上記したRタイプの埋込金物のスタッドジベルにおいて現れた評価ピーク周波数のヒストグラムであり、健全、不健全、それぞれのスタッドジベルの件数を縦軸に、周波数を横軸にして示している。
図5より、1900Hzを境として、健全なスタッドジベルは殆どがそれ以上であり、不健全なスタッドジベルは殆どがそれ以下であることが分かる。この結果より、本実施の形態においては、1900Hzが周波数分布に関する判定基準値の下限値として好ましいことが分かる。なお、本発明者は、Pタイプの埋込金物のスタッドジベルにおいても同様であり、判定基準値は同様の構造の埋込金物に適用できることを確認している。
但し、本実施の形態においては、3500Hz以上の評価ピーク周波数が得られた場合には、その周波数は、埋込金物の固有振動ピーク周波数でないと判断して、スタッドジベルの健全、不健全の判定には用いない。
このため、本実施の形態における判定基準値としては、周波数分布における評価ピークとして、1900Hz以上、3500Hz未満を採用する。
2.スタッドジベル健全性判定工程
本工程においては、上記で設定された各判定基準値に基づいて、診断対象の埋込金物に埋め込まれ、耐震サポート、鋼板等の架台溶接が施された各スタッドジベルの健全、不健全を判定する。具体的には、以下の第1ステップ〜第5ステップに従い、図8に示す判定フローに沿って判定を行う。
(1)第1ステップ
最初に、予め図面等により、埋込金物における各スタッドジベルの位置を把握しておく。
次に、センサを所定の位置に配置する。図6は、このセンサの配置を説明する図であり、全てのスタッドジベル(8本)の直上近傍(直上から1〜5cm程度の範囲)にもれなく割り当てられている場合には、図6に示すセンサ位置とする。なお、埋込金物には、図7に示すような形状のタイプもあり、このような形状の埋込金物の場合にも、やはり各スタッドジベルの直上近傍にセンサを配置する。
なお、ここで、打音検査に必要な計測点を確保できない場合には、打音による判定は不可と判断して、測定を中止する。
次に、センサ位置の近傍(1〜5cm程度)を打撃して打音を発生させ、振動波形を取得する。
次に、取得された振動波形の振動持続時間を測定すると共に、振動波形を周波数解析して周波数分布を得る。
そして、得られた振動持続時間が、上記で架台溶接後の振動持続時間の判定基準として設定された20ミリ秒以上であるか否かを判断する。
20ミリ秒未満の場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していない可能性があると判定する。
一方、20ミリ秒以上の場合には、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定する。
(2)第2ステップ
上記第1ステップにおいて、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していない可能性があると判定された場合、有意な荷重の発生がなく埋設時の状態が維持されている(浮き上がりの可能性が低いと考えることができる)か否かを判断するために、本ステップにおいては、振動持続時間が、上記で埋込金物への荷重負荷後の振動持続時間の判定基準として設定された10ミリ秒以上であるか否かを判断する。
10ミリ秒以上の場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定する。
一方、10ミリ秒未満の場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化しておらず、荷重負荷が発生していないと判定する。
(3)第3ステップ
第3ステップにおいては、第1ステップにおいて、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定した場合、診断対象スタッドジベルにおける周波数分布において、有意な周波数ピークがあるか否かを判定する。有意な周波数ピークがあると判定した場合、第5ステップに進む。一方、有意な周波数ピークがないと判定した場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化しておらず、荷重負荷が発生していないと判定する。
(4)第4ステップ
第4ステップにおいては、第2ステップにおいて、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定した場合、診断対象スタッドジベルにおける周波数分布において、有意な周波数ピークがあるか否かを判定する。
そして、有意な周波数ピークがあった場合、さらにウェーブレット解析を行って得られた周波数とウェーブレット解析における判定基準の下限値とを比較し、その関係が有意な周波数ピークと周波数分布における判定基準の下限値との関係と同じ傾向にあるか否かを判定し、第5ステップに進むか否かを判定する。
具体的には、有意な周波数ピークが周波数分布における判定基準の下限値以上で、かつ、ウェーブレット解析を行って得られた周波数がウェーブレット解析における判定基準の下限値以上の場合、あるいは、有意な周波数ピークが周波数分布における判定基準の下限値未満で、かつ、ウェーブレット解析を行って得られた周波数がウェーブレット解析における判定基準の下限値未満の場合、有意な周波数ピークがあると判定し、第5ステップに進む。一方、それ以外の場合には、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化しておらず、荷重負荷が発生していないと判定する。
(5)第5ステップ
本ステップにおいては、有意な周波数ピークの最低値が、診断対象スタッドジベルの健全、不健全を判定する判定基準として設定された1900Hz以上、3500Hz未満であるか否かを判定する。
1900Hz以上、3500Hz未満の場合、スタッドジベルは健全と判定する。
一方、この範囲を外れている場合には、スタッドジベルは不健全と判定する。
具体的には、周波数分布におけるピーク周波数の内、振動強度が最大強度の20%を超え、且つ20kカウントを超える最低の周波数ピークを評価ピークとし、評価ピークの周波数が判定基準をクリアしている、具体的には1900Hz以上である場合にはスタッドジベルを健全と判定し、一方、1900Hz未満の場合には不健全と判定する。
但し、前記したように、3500Hz以上の評価ピーク周波数は、埋込金物の固有振動ピーク周波数でないと判断することができるため、有意な周波数ピークが無いと判定する。
そして、評価ピークがシャープなピークではなく緩やかなピークの場合、具体的には裾が広がっているか、またはピークが乱立した連峰の一部となっている場合には、スタッドジベルの判定には用いず別の有意なピークを評価ピークとして採用する。
(6)架台振動の影響による誤判定
本実施の形態において、評価ピーク周波数が判定基準値1900Hz未満の場合、この周波数ピークが架台振動に由来する固有振動である場合には、健全なスタッドジベルが不健全なスタッドジベルと判定される恐れがある。
即ち、埋込金物(スタッドジベル)が健全であればその固有振動ピークは、必ず、1900Hz以上の位置に存在するが、1900Hz未満の架台振動に由来する固有振動ピークが混在していると、健全なスタッドジベルが不健全なスタッドジベルと判定される恐れがある。
図9に、□鋼を溶接して中央配置した埋込金物において、センサの位置と打音位置とを変化させたときに得られる周波数分布を示す。また、図10は、同様にして得られた周波数分布を示す。なお、各図において、四角く囲まれた周波数が、通常の定義に従って決定された評価ピークである。
図9、図10より、架台振動に由来する固有振動ピークはセンサ、打音位置が架台の場合、助長されて、架台振動に由来する固有振動ピークが評価ピークとして採用される恐れがあることが分かる。そこで、図9、図10においてグレーで囲まれた部分で得られた評価ピークは架台振動に由来する固有振動ピークとして除去して判定を行う。
(7)超音波測定不可の箇所における打音測定
前記したように、本実施の形態においては、超音波測定不可の箇所においても打音測定することにより、スタッドジベルの健全、不健全を判定することができる。
図11〜図13にその例を示す。なお、図11は、正方形(300×300)の埋込金物において、超音波(UT)測定不可の箇所でスタッドジベルが健全であることが確認された例である。そして、図12は、正方形(250×250)の埋込金物において、超音波(UT)測定不可の箇所でスタッドジベルが健全であることが確認された例である。また、図13は、長方形(500×300)の埋込金物において、超音波(UT)測定不可の箇所でスタッドジベルが健全であることが確認された例である。
図11では、UT測定が不可であった計測点5において、打音検査では、UT測定が可能であった計測点3において表れている有意なピークと同様の周波数2782Hzに評価ピークが表れており、このスタッドジベルは健全であると判定する。一方、図12では、UT測定が可能であった計測点3において表れている有意なピークと同様の周波数が計測点5において確認できず、判定基準値(1900Hz)よりも低い1575Hzに評価ピークが表れており、このスタッドジベルは不健全であると判定する。
また、図13では、UT測定が不可であった計測点2、3において、打音検査では、UT測定が可能であった計測点6において表れている有意なピークと同様の周波数2017Hz,2013Hzに評価ピークが表れており、これらのスタッドジベルは健全であると判定する。
なお、上記においては、振動持続時間は10ミリ秒(ms)以上であることを基本とし、必要に応じて追加打撃を行って再測定を実施することもできる。また、架台に近い計測点では、振動時間が長くなり架台振動に由来する固有振動ピークが現れやすい傾向があるため、その除去について注意する。
3.埋込金物健全性診断工程
本工程においては、上記したスタッドジベル健全性判定工程において判定された各スタッドジベルの健全性に基づいて、診断対象の埋込金物全体としての健全、不健全を診断する。
図8下段に、具体的な評価について示す。なお、ここでは、測定番号1、3の2つのスタッドジベルについて健全性を評価しており、その他のスタッドジベルは超音波検査などによって既に健全であることが判明しているものとする。
上記したスタッドジベル健全性判定工程において判定された各スタッドジベルの健全性判定の組み合わせによって、A〜Eの5段階評価となり、その内、BはさらにB1〜B3の3段階、CはC1、C2の2段階評価となる。なお、図8において、白抜きの丸は健全なスタッドジベル、薄グレー色の丸は荷重発生無しのスタッドジベル、濃いグレー色の丸は打音検査不可のスタッドジベル、黒色の丸は不健全なスタッドジベルを示している。
本実施の形態においては、Aは全てのスタッドジベルが健全と診断できるもの、B1は全てのスタッドジベルが健全又は荷重発生無しと診断できるもの、C1は全てのスタッドジベルが荷重発生無しと診断できるものであり、埋込金物を継続して使用しても問題ないと判断する。その他については、不健全または打音検査の測定不可のスタッドジベルが含まれると診断されることから、さらに詳しく診断を行う必要があると判断する。
以上のように、本実施の形態によれば、埋込金物の設置場所や架台の固定状態を考慮して、埋込金物の健全性を精度高く判断することができる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1 埋込金物
2 コンクリート
3 架台
11 プレート
12 スタッドジベル

Claims (18)

  1. プレートの一方の面に複数本のスタッドジベルが立設された埋込金物の健全性を診断する健全性診断方法であって、
    健全、不健全な状態を模擬した複数の埋込金物のそれぞれが埋め込まれた各モックアップ試験体を作製し、作製された各モックアップ試験体について、施工段階毎に、各スタッドジベルに対して打音を行い、前記打音により生じた振動波形の振動持続時間を計測すると共に、前記振動波形を周波数解析して周波数分布を得た後、埋め込まれた各スタッドジベルの健全、不健全を判定する判定基準を前記振動持続時間および前記周波数分布のそれぞれについて設定する判定基準設定工程と、
    診断対象スタッドジベルである診断対象の埋込金物の各スタッドジベルに対して打音を行い、前記打音により生じた振動波形の振動持続時間を計測すると共に、前記振動波形を周波数解析して周波数分布を得、前記判定基準設定ステップにおいて設定された各判定基準に基づいて、各診断対象スタッドジベルの健全、不健全を判定するスタッドジベル健全性判定工程と、
    前記スタッドジベル健全性判定工程において判定された各診断対象スタッドジベルの健全性に基づいて、診断対象の埋込金物全体としての健全、不健全を診断する埋込金物健全性診断工程とを備えていることを特徴とする埋込金物の健全性診断方法。
  2. 前記周波数分布に基づく判定基準が、前記周波数分布から得られたピーク周波数の下限値および上限値であると共に、前記振動波形をウェーブレット解析して得られた周波数の下限値であることを特徴とする請求項1に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  3. 前記振動持続時間の判定基準が、前記埋込金物への架台溶接後、および、荷重負荷後のそれぞれにおいて、設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  4. 前記スタッドジベル健全性判定工程において、
    前記診断対象スタッドジベルに生じた振動波形における振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された荷重負荷後の振動持続時間以上であるか否かを第1ステップとして判定し、
    前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間未満である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していない可能性があると判定し、
    前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間以上である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  5. 前記第1ステップにおいて、前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された荷重負荷後の振動持続時間未満であり、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していない可能性があると判定した場合、
    前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された架台溶接後の振動持続時間以上であるか否かを第2ステップとして判定し、
    前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間以上である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定し、
    前者の振動持続時間が、後者の振動持続時間未満である場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化しておらず、荷重負荷が発生していないと判定することを特徴とする請求項4に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  6. 前記第1ステップにおいて、前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された荷重負荷後の振動持続時間以上であり、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定した場合、
    前記診断対象スタッドジベルにおける周波数分布において、有意な周波数ピークがあるか否かを第3ステップとして判定することを特徴とする請求項4に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  7. 前記第2ステップにおいて、前記診断対象スタッドジベルにおける振動持続時間が、前記判定基準設定工程において判定基準として設定された架台溶接後の振動持続時間以上であり、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化していると判定した場合、
    前記診断対象スタッドジベルにおける周波数分布において、有意な周波数ピークがあるか否かを第4ステップとして判定することを特徴とする請求項5に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  8. 前記第3ステップまたは前記第4ステップにおいて、有意な周波数ピークがあると判定した場合、
    前記周波数ピークの最低値が、前記診断対象スタッドジベルの健全、不健全を判定する判定基準として設定された周波数ピーク以上であるか否かを第5ステップとして判定し、
    前者の周波数ピークが、後者の周波数ピーク以上である場合、前記診断対象スタッドジベルを健全と判定し、
    前者の周波数ピークが、後者の周波数ピーク未満である場合、前記診断対象スタッドジベルを不健全と判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  9. 前記第3ステップまたは前記第4ステップにおいて、有意な周波数ピークがないと判定した場合、埋込金物の埋め込み時から埋め込み状態が変化しておらず、荷重負荷が発生していないと判定することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  10. 前記埋込金物健全性診断工程において、
    前記診断対象スタッドジベルの全てが前記スタッドジベル健全性判定工程において健全と判定された場合、
    あるいは、一部が前記スタッドジベル健全性判定工程において健全と判定され、他が荷重負荷が発生していないと判定された場合、
    あるいは、前記診断対象スタッドジベルの全てが、前記スタッドジベル健全性判定工程において荷重負荷が発生していないと判定された場合に、
    診断対象の埋込金物を継続利用上問題なしと診断することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  11. 前記ピーク周波数の下限値が1600〜2000Hzの範囲において設定された周波数であり、上限値が2500〜4000Hzの範囲において設定された周波数であることを特徴とする請求項2ないし請求項10のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  12. 前記ピーク周波数の下限値が1900Hz、上限値が3500Hzであることを特徴とする請求項11に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  13. 前記振動持続時間の判定基準が、前記埋込金物への架台溶接後は20ミリ秒、荷重負荷後は10ミリ秒であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  14. 診断対象各スタッドジベルの内、超音波検査が可能な各スタッドジベルに対して、打音による判定の前に、超音波検査により埋込金物の健全性を診断することを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  15. 超音波検査が不可能であったスタッドジベルにおいて打音検査を行ったとき、超音波検査が可能であったスタッドジベルにおいて表れている有意なピークと同様の周波数に評価ピークが表れていた場合、対象のスタッドジベルは健全であると判定することを特徴とする請求項14に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  16. 前記スタッドジベルを打音する治具として、テストハンマを使用することを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  17. 前記打音により生じた振動波形を取得するセンサとして、AEセンサを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の埋込金物の健全性診断方法。
  18. 前記AEセンサを打音されるスタッドジベル近傍に配置して、前記振動波形を取得することを特徴とする請求項17に記載の埋込金物の健全性診断方法。
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