JP2021081212A - 構造物の診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブロック塀等の構造物に鉄筋のような補強材が入っているか否かを容易に判断でき簡便で低コストの構造物の診断方法を提供する。【解決手段】補強材が部分的に埋め込まれて構成された構造物の診断方法において、構造物1にセンサ2を配置する工程と、構造物1又は構造物1の近傍の基礎に対して振動を加えて弾性波を発生させる弾性波発生処理工程と、センサ2により検出された弾性波のアナログ信号をA/D変換して弾性波のデジタル信号とする時間軸波形処理工程と、弾性波のデジタル信号を、フーリエ変換して弾性波の周波数スペクトルを取得する周波数スペクトル処理工程と、弾性波の周波数スペクトルと予め取得した基準となる正常な弾性波の参照周波数スペクトルとを比較する波形評価処理工程と、構造物1で取得した弾性波の周波数スペクトルと、正常な弾性波の参照周波数スペクトルとを比較して、構造物の施工評価を実行する施工評価処理工程と、を有する。【選択図】図4
Description
本発明はブロック塀等の構造物の診断方法に関する。
地震によりブロック塀等が倒壊する事故が後を絶たない。最近では、2018年6月の大阪北部地震によりブロック塀が崩壊し、女子児童が死亡するという事故が起きている。擁壁等の診断に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
図22は、ブロック塀を模式的に示す斜視図である。図22(非特許文献1参照)に示すように、ブロック塀100は基礎となる根入れ102の上部に、部分的に鉄筋104を補強材として配筋し、ブロック106を積み上げた構造物であり、塀の長さに応じて控え壁108を設けている。しかしながら、この技術では劣化したブロック塀は、例えばひび割れ110等が生じ、目視検査で分かるが、基準として太さが9mm以上の鉄筋が80cm間隔以下で配筋されているか否かについては、容易には調べることができない。
小中高校や公共施設に設置され建築基準を満たさないブロック塀又は劣化したブロック塀の点検が進められているが、ブロック塀の撤去をするための簡単な診断方法がないのが実情である。
日本建築防災協会、パンフレット「地震からわが家を守ろう」、2013年1月
小中高校のブロック塀に鉄筋が入っているか否かは外観検査では分からないので、ブロック塀を撤去してフェンスに代える工事等の優先順位を容易に決められるような簡便で低コストの診断方法がないという課題がある。
本発明は、ブロック塀等の構造物に鉄筋のような補強材が正常に入っているか否か、さらには経年腐食などによる補強材の劣化が生じていないかなどを容易に判断でき、簡便で低コストの構造物の診断方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、補強材が部分的に埋め込まれて構成された構造物の診断方法において、構造物にセンサを配置する工程と、構造物又は構造物の近傍の基礎に対して振動を加えて弾性波を発生させる弾性波発生処理工程と、センサにより検出された弾性波のアナログ信号をA/D変換して弾性波のデジタル信号とする時間軸波形処理工程と、弾性波のデジタル信号を、フーリエ変換して弾性波の周波数スペクトルを取得する周波数スペクトル処理工程と、予め取得した基準となる正常な弾性波の参照周波数スペクトルに対して弾性波の周波数スペクトルを対比する波形評価処理工程と、この波形評価に基づいて構造物の施工評価を実行する施工評価処理工程と、を有することを特徴とする。
上記構成において、参照周波数スペクトルは、好ましくは、構造物と同一又は類似の構造物か若しくは該構造物のサンプル、或いは構造物のシミュレーションで取得される。
施工評価処理工程において、好ましくは、構造物で取得した弾性波の周波数スペクトルに生じるピーク数と、正常な弾性波の参照周波数スペクトルに生じるピーク数と、を比較して、構造物の施工の良否を判定する。
波形評価処理工程において、好ましくは、構造物で取得した弾性波の周波数スペクトルに生じるピーク数の抽出を、所定の周波数範囲で行うか、該周波数スペクトルの所定の振幅範囲で行ってもよい。
補強材は、好ましくは鉄筋である。センサは、加速度センサであることが好ましい。
施工評価処理工程において、好ましくは、構造物で取得した弾性波の周波数スペクトルに生じるピーク数と、正常な弾性波の参照周波数スペクトルに生じるピーク数と、を比較して、構造物の施工の良否を判定する。
波形評価処理工程において、好ましくは、構造物で取得した弾性波の周波数スペクトルに生じるピーク数の抽出を、所定の周波数範囲で行うか、該周波数スペクトルの所定の振幅範囲で行ってもよい。
補強材は、好ましくは鉄筋である。センサは、加速度センサであることが好ましい。
本発明の構造物の診断方法によれば、例えばブロック塀の上部に配設した加速度センサで検出した信号の周波数スペクトル信号T1と、予め参照部に格納されている正常に施工されたブロック塀1Aの参照データT0とを比較することにより、ブロック塀の施工正常と施工不良とを簡単且つ的確に、目視により定性的に迅速に評価することができる。なお、施工不良とは、評価の目的によって異なるが、一般に、補強材が入っていない場合のみならず、基本又は正常な施工より少ない本数である場合や、補強材の経年劣化により腐食等を生じている状態を含む概念である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は実施形態に限定されることなく発明の範囲で適宜変更することができる。特に、図面に記載した各部材の形状、寸法、位置関係などについては概念的な事項を示すに過ぎず、その適用場面に応じて変更することができる。
図1は本発明の実施形態に係る構造物の健全性を診断する構成を示し、図2は本発明に用いる診断装置10による診断方法を示すブロック図、図3は診断装置10の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、構造物1はブロック塀や内部に鉄筋等を配設したコンクリート壁や石壁等である。構造物1は、図22で説明したように、ブロック塀の場合には基礎に根入りが形成され、内部には正常な場合には所定の太さの鉄筋が所定の間隔で配設されている。以下の説明においては、構造物1をブロック塀として説明する。ブロック塀1の上部にはセンサ2が取り付けられており、塀の下部(1A)や、塀の近傍(1B)の基礎を弾性波発生手段3で打撃したときに生じる振動がセンサ2にて検出され、この検出信号が診断装置10に入力される。弾性波発生手段3としては、ハンマー等を用いることができる。簡易的には検査員が手で打撃するハンマーでもよい。さらに、ハンマーを用いた自動打撃装置を用いてもよい。
図1に示すように、構造物1はブロック塀や内部に鉄筋等を配設したコンクリート壁や石壁等である。構造物1は、図22で説明したように、ブロック塀の場合には基礎に根入りが形成され、内部には正常な場合には所定の太さの鉄筋が所定の間隔で配設されている。以下の説明においては、構造物1をブロック塀として説明する。ブロック塀1の上部にはセンサ2が取り付けられており、塀の下部(1A)や、塀の近傍(1B)の基礎を弾性波発生手段3で打撃したときに生じる振動がセンサ2にて検出され、この検出信号が診断装置10に入力される。弾性波発生手段3としては、ハンマー等を用いることができる。簡易的には検査員が手で打撃するハンマーでもよい。さらに、ハンマーを用いた自動打撃装置を用いてもよい。
センサ2としては、加速度センサやAE(Acoustic Emission)センサ等が使用できる。以下の説明においては、センサ2を加速度センサとして説明する。
図2に示すように、診断装置10は、加速度センサ2の検出信号S2が入力されるA/D変換器11と、A/D変換器11の出力信号S11が入力される時間軸波形処理部12と、時間軸波形処理部12の出力信号S12が入力される周波数スペクトル処理部13と、時間軸波形処理部12の出力信号S12と周波数スペクトル処理部13の出力信号S13とが入力される波形評価部14と、波形評価部14に参照データを提供する参照部15と、を含んで構成されている。A/D変換器11と時間軸波形処理部12との間には必要に応じて、I/O部(インターフェイス部)17が挿入されてもよい。
加速度センサ2により検出された弾性波のアナログ信号は、A/D変換器11によりA/D変換される。時間軸波形処理部12においては、該アナログ信号を、A/D変換により構造物1で取得した弾性波のデジタル信号とする時間軸波形処理を行う。時間軸波形処理部12からの出力信号S12は時間軸の加速度センサ2の出力電圧のデジタル信号である。
周波数スペクトル処理部13は、時間軸波形処理部12から出力される出力信号S12を入力し、出力信号S12をフーリエ変換して弾性波の周波数スペクトル信号、即ち出力信号S13とする。フーリエ変換は、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)、以下「FFT」と呼ぶ。)を用いることができる。出力信号S13は、波形評価部14に入力され、加速度センサ2の出力電圧の周波数スペクトル信号としてディスプレイ14aに表示される。
参照部15は、例えば正常に施工されたブロック塀1で発生した弾性波による加速度センサ2の出力電圧の周波数スペクトル信号を、正常な弾性波の参照周波数スペクトル、つまり参照データとして格納している。参照周波数スペクトルは、基準となる正常な弾性波であり、予め取得してもよい。参照周波数スペクトルは、ブロック塀のような構造物1と同一又は類似の構造物1か若しくは該構造物1のサンプルから取得してもよく、或いは構造物1のシミュレーションの何れかで取得される。類似の構造物1とは、例えば同一のブロック塀であるが、長さが異なるようなブロック塀である。この場合、長さが最も近いブロック塀を参照データとしてもよい。構造物1のサンプルとは、構造物の形状及び構造物を模して作製した見本やひな型など、構造物のモデル又はこれらの組み合わせを含む概念として定義される。構造物の形状に関したサンプルとしては寸法を縮小したサンプルでもよい。構造物を模したサンプルとしては構造物を模した他の材料や鉄筋を模した鉄製の釘、螺子及び木螺子等を用いたサンプルでもよい。シミュレーションとしては、例えば構造物1と同一又は類似の構造物1において実際に弾性波を発生させて取得した参照周波数スペクトルでもよい。また、構造物1を縮尺し、材料として木材と鉄製の木螺子で作製した構造物1のサンプルを用意して、実際に弾性波を発生させて取得した参照周波数スペクトルでもよい。参照部15には、ブロック塀1の種類に応じて複数の参照データが格納されてもよい。検査をするブロック塀1を被検査体1Aと呼ぶ。
波形評価部14は、被検査体1Aの測定をする際に、弾性波発生手段3の打撃により生じる周波数スペクトル処理部13の出力信号S13を被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1としてディスプレイ14aに表示すると共に、正常に施工されたブロック塀のような構造物1の正常な弾性波の参照周波数スペクトル(参照データ)T0を表示する。参照周波数スペクトルを、参照データT0と呼ぶ。
図3に示すように、診断装置10は、制御部41と、記憶部42と、ディスプレイ43と、入力部44と、センサ2に接続される送受信部45とを含んでいる。
診断装置10は、パーソナルコンピュータ、タブレット等の情報処理装置から構成されている。診断装置10での処理は、プログラムに制御されたパーソナルコンピュータ、タブレット等のコンピュータにより実行され、例えば磁気、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、その他の任意のコンピュータで読み取り可能な記録媒体が使用される。記録媒体に記録されたプログラムは、記録媒体を直接コンピュータに装着して当該コンピュータに読み込ませるか、ネットワークを介してコンピュータに読み込ませてもよい。
センサ2は、加速度センサ51と、加速度センサ51に接続される増幅器52と、増幅器52に接続されるA/D変換器53と、A/D変換器53に接続される通信用のI/O部54とから構成され、通信用のI/O部54の出力2aがケーブルを介して診断装置10の送受信部45に接続されている。
記憶部42は、参照データT0に関する情報42aと、被検査体1Aの周波数スペクトル信号データT1に関する情報42bとを格納している。
ディスプレイ43には、参照データT0、周波数スペクトル信号T1、後述する診断方法に用いる各ステップ等が表示される。入力部44には、必要に応じてキーボードやマウス等のポインティングデバイスが接続される。
さらに、診断装置10は、図示しない弾性波発生手段3とI/Oを介して接続されて、弾性波発生手段3の制御をしたり、弾性波発生手段3と同期して、後述する図4に示す各ステップの処理を行ってもよい。
(構造物の診断方法)
図4は、本発明の構造物の診断方法を示すフローチャートである。構造物はブロック塀1として説明する。
ブロック塀1の診断方法では、加速度センサ2の配設ST1、弾性波発生手段3による打撃処理工程ST2、時間軸波形処理工程ST3、周波数スペクトル処理工程ST4、波形比較処理工程ST5、施工評価処理工程ST6及び再診断処理工程ST7が順に実行される。
図4は、本発明の構造物の診断方法を示すフローチャートである。構造物はブロック塀1として説明する。
ブロック塀1の診断方法では、加速度センサ2の配設ST1、弾性波発生手段3による打撃処理工程ST2、時間軸波形処理工程ST3、周波数スペクトル処理工程ST4、波形比較処理工程ST5、施工評価処理工程ST6及び再診断処理工程ST7が順に実行される。
(I)加速度センサ2の配設ST1
測定者が、ブロック塀1の所定箇所に加速度センサ2を配設する。配設箇所は、例えばブロック塀1の上部とすることができる。
測定者が、ブロック塀1の所定箇所に加速度センサ2を配設する。配設箇所は、例えばブロック塀1の上部とすることができる。
(II)弾性波発生手段3による打撃処理工程ST2
構造物又は構造物の近傍の基礎に対して振動を加えて弾性波を発生させる弾性波発生処理工程である。例えば、弾性波発生手段3によりブロック塀1の所定箇所を打撃する。この打撃によりブロック塀1が振動して弾性波が発生し、ブロック塀1の上部に配設されている加速度センサ2へと伝播していく。
構造物又は構造物の近傍の基礎に対して振動を加えて弾性波を発生させる弾性波発生処理工程である。例えば、弾性波発生手段3によりブロック塀1の所定箇所を打撃する。この打撃によりブロック塀1が振動して弾性波が発生し、ブロック塀1の上部に配設されている加速度センサ2へと伝播していく。
(III)時間軸波形処理工程ST3
ブロック塀1の上部に伝播した弾性波は、ブロック塀1の上部に配設された加速度センサ2により検出される。加速度センサ2により検出されたアナログ信号S2がA/D変換器11へ送られ、時間軸波形処理部12でアナログ信号S2がA/D変換され、デジタル信号S12にされて周波数スペクトル処理部13及び波形評価部14に送出される。
ブロック塀1の上部に伝播した弾性波は、ブロック塀1の上部に配設された加速度センサ2により検出される。加速度センサ2により検出されたアナログ信号S2がA/D変換器11へ送られ、時間軸波形処理部12でアナログ信号S2がA/D変換され、デジタル信号S12にされて周波数スペクトル処理部13及び波形評価部14に送出される。
(IV)周波数スペクトル処理工程ST4
診断装置10内の周波数スペクトル処理部13において、周波数スペクトル処理工程ST4が行われる。
診断装置10内の周波数スペクトル処理部13において、周波数スペクトル処理工程ST4が行われる。
(V)波形比較処理工程ST5
波形比較処理工程ST5では、周波数スペクトル処理部13から出力される出力信号S13が入力され、被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1としてディスプレイ14aに表示される。
次に、予め参照部15に格納されている正常に施工された被検査体1Aの参照データT0をディスプレイ14aに表示する。参照データT0は、予め取得した基準となる正常な弾性波の参照周波数スペクトルで表される。ST4及びST5の処理工程により、検査者は、ディスプレイ14aに表示される被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と、参照データT0との比較を目視により行うことができる。
波形比較処理工程ST5では、周波数スペクトル処理部13から出力される出力信号S13が入力され、被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1としてディスプレイ14aに表示される。
次に、予め参照部15に格納されている正常に施工された被検査体1Aの参照データT0をディスプレイ14aに表示する。参照データT0は、予め取得した基準となる正常な弾性波の参照周波数スペクトルで表される。ST4及びST5の処理工程により、検査者は、ディスプレイ14aに表示される被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と、参照データT0との比較を目視により行うことができる。
(VI)施工評価処理工程ST6
施工評価処理工程ST6では、例えば、正常に施工された被検査体1Aの参照データの周波数スペクトル信号T0に生じる複数のピーク(例えばP1,P2,P3の三つとする)と、例えば鉄筋のない被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1で生じた一つのピークとを比較して、被検査体1Aの施工評価を実行する。例えば、被検査体1Aの施工評価としては、被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1のピークが、参照データの周波数スペクトル信号T0に生じるピークと同じ三つのピークを有している場合には施工正常(○)の判定、二つのピークを有している場合には劣化有り(△)、一つのピークしかない場合に施工不良(×)という3段階の施工評価ができる。
施工評価処理工程ST6では、例えば、正常に施工された被検査体1Aの参照データの周波数スペクトル信号T0に生じる複数のピーク(例えばP1,P2,P3の三つとする)と、例えば鉄筋のない被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1で生じた一つのピークとを比較して、被検査体1Aの施工評価を実行する。例えば、被検査体1Aの施工評価としては、被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1のピークが、参照データの周波数スペクトル信号T0に生じるピークと同じ三つのピークを有している場合には施工正常(○)の判定、二つのピークを有している場合には劣化有り(△)、一つのピークしかない場合に施工不良(×)という3段階の施工評価ができる。
(VII)再測定処理工程ST7
再測定処理工程ST7では、再診断するか否かを判断し、再診断する場合には、ST1に戻る。再診断しない場合には、診断を終了する。再測定処理工程ST7は、再診断するか否かをディスプレイ14aに表示し、キーボードやマウスのような入力デバイスで選択するようにしてもよい。又は、ディスプレイ14aを所謂タッチパネルとして指で選択するようにしてもよい。
再測定処理工程ST7では、再診断するか否かを判断し、再診断する場合には、ST1に戻る。再診断しない場合には、診断を終了する。再測定処理工程ST7は、再診断するか否かをディスプレイ14aに表示し、キーボードやマウスのような入力デバイスで選択するようにしてもよい。又は、ディスプレイ14aを所謂タッチパネルとして指で選択するようにしてもよい。
構造物の診断方法における上記の波形比較処理工程ST5及び施工評価工程ST6の具体例について説明する。
図5は、波形評価部14で表示される被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と参照データT0として正常な弾性波の参照周波数スペクトル信号との比較例を模式的に示す図である。図の横軸は周波数(kHz)であり、縦軸は電圧の振幅(任意目盛)である。図5に示すように、正常に施工された被検査体1Aの参照データT0が複数のピークP1,P2,P3を有しているのに対して、例えば鉄筋のない被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1は、ほぼP2に対応するピークしか有していないことが分かる。被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と正常に施工された被検査体1Aの参照データT0との表示は測定データの比較としてもよいし、上記のピーク信号の内最大値となるピーク信号で正規化した信号で表示してもよい。
図5は、波形評価部14で表示される被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と参照データT0として正常な弾性波の参照周波数スペクトル信号との比較例を模式的に示す図である。図の横軸は周波数(kHz)であり、縦軸は電圧の振幅(任意目盛)である。図5に示すように、正常に施工された被検査体1Aの参照データT0が複数のピークP1,P2,P3を有しているのに対して、例えば鉄筋のない被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1は、ほぼP2に対応するピークしか有していないことが分かる。被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と正常に施工された被検査体1Aの参照データT0との表示は測定データの比較としてもよいし、上記のピーク信号の内最大値となるピーク信号で正規化した信号で表示してもよい。
図6は、波形評価部14で表示される被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と、正常な弾性波の参照周波数スペクトル信号を表す参照データT0と、の比較例の変形例を模式的に示す図である。図の横軸と縦軸は図5と同じである。図6に示すように、正常に施工された被検査体1Aの参照データT0が複数の丸印を付けたピークP1,P2,P3を有しているのに対し、例えば鉄筋のない被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1は、ほぼ丸印を付けたP2に対応するピークしか有していないことが分かる。参照データT0と、鉄筋のない被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1は、取得したデータからピークを特定して所定の印や色を付けてピークとして、ディスプレイ14aに表示することができる。さらに、データから特定した所定の強度以上のピークの個数を表示してもよい。被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と正常に施工された被検査体1Aの参照データT0としての正常な弾性波の参照周波数スペクトル信号との表示は測定データの比較としてもよいし、上記のピーク信号の内最大値となるピーク信号で正規化した信号で表示してもよい。
(波形比較処理工程ST5及び施工評価処理工程ST6の変形例)
次に、上記(V)波形比較処理工程ST5及び(VI)の施工評価処理工程ST6の変形例について説明する。
波形比較処理工程ST5において、被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1のピーク数が多数生じたりして判定が困難な場合には、例えば所定の周波数以上の周波数スペクトル信号T1’を表示して、施工評価処理工程ST6を行ってもよい。また、周波数スペクトル信号の周波数範囲だけではなく、さらに周波数スペクトル信号の振幅が所定の値(閾値)以上として周波数スペクトル信号T1のピーク数の抽出をしてもよい。周波数は、後述する実施例で説明するが、例えば2kHz以上とすることができる。また、参照データT0においても、周波数スペクトル信号T0のピーク数が多かったりして判定が困難な場合には、例えば所定の周波数以上の周波数スペクトル信号やさらに周波数スペクトル信号の振幅を閾値以上とした参照データT0’を抽出して表示して、次に施工評価処理工程ST6を行ってもよい。
次に、上記(V)波形比較処理工程ST5及び(VI)の施工評価処理工程ST6の変形例について説明する。
波形比較処理工程ST5において、被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1のピーク数が多数生じたりして判定が困難な場合には、例えば所定の周波数以上の周波数スペクトル信号T1’を表示して、施工評価処理工程ST6を行ってもよい。また、周波数スペクトル信号の周波数範囲だけではなく、さらに周波数スペクトル信号の振幅が所定の値(閾値)以上として周波数スペクトル信号T1のピーク数の抽出をしてもよい。周波数は、後述する実施例で説明するが、例えば2kHz以上とすることができる。また、参照データT0においても、周波数スペクトル信号T0のピーク数が多かったりして判定が困難な場合には、例えば所定の周波数以上の周波数スペクトル信号やさらに周波数スペクトル信号の振幅を閾値以上とした参照データT0’を抽出して表示して、次に施工評価処理工程ST6を行ってもよい。
これにより、検査者は、ディスプレイ14aに表示される被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1と、参照データT0とを目視することにより、一目で被検査体1Aと参照データT0との違いや一致とを判定することができる。
本発明の構造物の診断方法によれば、例えばブロック塀1の上部に配設した加速度センサ2で検出した信号の周波数スペクトル信号T1と、予め参照部15に格納されている正常に施工されたブロック塀1の参照データT0とを比較することにより、ブロック塀1の施工不良を簡単且つ的確に目視によって定性的に迅速に評価することができる。次に、本発明の実施例をさらに詳細に説明する。
(シミュレーション)
図7〜9は、それぞれシミュレーションに用いた試験体No.1、試験体No.2、試験体No.3の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、試験体No.1は基礎を模す板(縦及び横が400mm、厚さ18mm)の上にブロック塀1を模す板(縦200mm、横300mm、厚さ18mm)を左側に1枚と右側に1枚の合計2枚設けた構造を有している。寸法は実際のブロック塀1の1/10の寸法とした。実寸のブロック塀1としては、縦2m、横3m、厚さ18cmとなる。
左側の板は正常に施工された、つまり施工評価処理工程ST6における施工正常(○)のブロック塀1を模しており、この基礎を模す板に、直径約5mmで長さが90mmの鉄製の木螺子3本により板の中央とその両側80mmの3箇所で固定した。これらの木螺子は鉄筋を模しており、実寸では長さ0.9mの鉄筋が0.8mの間隔で配設されていることになる。右側の板は鉄筋の入っていない、つまり施工評価処理工程ST6における施工不良(×)のブロック塀1を模しており、単に接着剤により基礎を模す板に固定した。左側の板と右側の板は240mmの間隔で平行になるように配設した。
図7〜9は、それぞれシミュレーションに用いた試験体No.1、試験体No.2、試験体No.3の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、試験体No.1は基礎を模す板(縦及び横が400mm、厚さ18mm)の上にブロック塀1を模す板(縦200mm、横300mm、厚さ18mm)を左側に1枚と右側に1枚の合計2枚設けた構造を有している。寸法は実際のブロック塀1の1/10の寸法とした。実寸のブロック塀1としては、縦2m、横3m、厚さ18cmとなる。
左側の板は正常に施工された、つまり施工評価処理工程ST6における施工正常(○)のブロック塀1を模しており、この基礎を模す板に、直径約5mmで長さが90mmの鉄製の木螺子3本により板の中央とその両側80mmの3箇所で固定した。これらの木螺子は鉄筋を模しており、実寸では長さ0.9mの鉄筋が0.8mの間隔で配設されていることになる。右側の板は鉄筋の入っていない、つまり施工評価処理工程ST6における施工不良(×)のブロック塀1を模しており、単に接着剤により基礎を模す板に固定した。左側の板と右側の板は240mmの間隔で平行になるように配設した。
図8に示す試験体No.2が、図7の試験体No.1と異なるのは右側の板である。右側の板は、基礎を模す板に、直径約3mmで長さが30mmの鉄製の木螺子3本により板の中央とその両側80mmの3箇所で固定した以外は試験体No.1と同じであるので他の構成の説明は省略する。施工正常(○)の試験体No.1が直径約5mmで長さが90mmの鉄製の木螺子を使用したのに対して、試験体No.2は、直径3mmで長さが30mmの鉄製の木螺子を使用し、鉄筋の腐食等により減肉し寸法が変化した、つまり、施工評価処理工程ST6における劣化有り(△)のブロック塀1を模している。
図9に示す試験体No.3が、図7の試験体No.1と異なるのは右側の板である。右側の板は、基礎を模す板に、直径約4mmで長さが65mmの鉄製の木螺子3本により板の中央とその両側80mmの3箇所で固定した以外は試験体No.1と同じであるので他の構成の説明は省略する。施工正常(○)の試験体No.1が直径約5mmで長さが90mmの鉄製の木螺子を使用したのに対して、試験体No.3は、直径約4mmで長さが65mmの鉄製の木螺子を使用し、試験体No.2よりも鉄筋の腐食等により減肉し寸法が変化する度合いが小さいが施工評価処理工程ST6における劣化有り(△)のブロック塀1を模している。
診断装置10を以下のようにして構成した。
(加速度センサ)
図10、図14及び図18に示す左側の板には富士セラミックス社製の加速度センサ2(型番:S12C、シリアル番号:2962)を配置した。この加速度センサ2を正常側センサと呼ぶ。右側の板には正常側センサと同じ富士セラミックス社製の加速度センサ2(型番:S12C、シリアル番号:2963)を配置した。この加速度センサ2を不良側センサと呼ぶ。
(加速度センサ)
図10、図14及び図18に示す左側の板には富士セラミックス社製の加速度センサ2(型番:S12C、シリアル番号:2962)を配置した。この加速度センサ2を正常側センサと呼ぶ。右側の板には正常側センサと同じ富士セラミックス社製の加速度センサ2(型番:S12C、シリアル番号:2963)を配置した。この加速度センサ2を不良側センサと呼ぶ。
(診断装置)
AD変換器11として横河計測株式会社製のデータアクイジションユニット(型番:SL1000)とその電圧測定モジュール(型番:720211)を用いた。AD変換器11のサンプリングレートは、100MS/sである。S/sは、Sample per secondつまり1秒当たりのサンプリング数を示す単位である。
AD変換器11として横河計測株式会社製のデータアクイジションユニット(型番:SL1000)とその電圧測定モジュール(型番:720211)を用いた。AD変換器11のサンプリングレートは、100MS/sである。S/sは、Sample per secondつまり1秒当たりのサンプリング数を示す単位である。
データアクイジションユニット(型番:SL1000)とその電圧測定モジュール(型番:720211)とにより取得したデータは、ソフトウェア(横河計測株式会社製のX−VIEWER)で処理し、FFTの演算をして、周波数スペクトル信号を取得した。
取得したデータは、必要に応じてパーソナルコンピュータに接続してディスプレイに表示すると共に、取得したデータの記憶やデータの印刷をした。
(実施例1)
実施例1〜3では、図10に示すように加速度センサ2を試験体の上部に配置し、弾性波発生手段3として検査員が手に持ったハンマーの打撃により試験体No.1〜No.3の診断を行った。以下の実施例においては、弾性波発生手段3は全てハンマーを用いた。図10は、実施例1〜3の加速度センサ2の配置とハンマー3の打撃を模式的に示す図である。加速度センサ2はブロック塀1を模す左右の板の外側の上部において、中央位置に配設し、ハンマー3の打撃方向Aは、左右の板の中央で基礎を模す板の厚さ方向、つまり基礎の垂直方向とした。
実施例1〜3では、図10に示すように加速度センサ2を試験体の上部に配置し、弾性波発生手段3として検査員が手に持ったハンマーの打撃により試験体No.1〜No.3の診断を行った。以下の実施例においては、弾性波発生手段3は全てハンマーを用いた。図10は、実施例1〜3の加速度センサ2の配置とハンマー3の打撃を模式的に示す図である。加速度センサ2はブロック塀1を模す左右の板の外側の上部において、中央位置に配設し、ハンマー3の打撃方向Aは、左右の板の中央で基礎を模す板の厚さ方向、つまり基礎の垂直方向とした。
図11は、実施例1において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す。図11(a)に示すように、時間軸波形には、入力、正常側センサ及び不良側センサの波形が示されている。横軸は時間軸(秒)、縦軸は電圧(V)である。入力の時間軸波形は打撃した後の0.002s(秒)以降では観測されず、正常側センサ及び不良側センサでは、伝搬する時間があるので入力よりも後の時間迄信号が観測されることが分かる。
図11(b)に示すように、周波数スペクトルには、正常側センサ及び不良側センサの波形が示されている。横軸は周波数(kHz)、縦軸は電圧(V)である。正常側センサにおいては、振幅が0.04V以上のピークが約4kHz、約7kHz、約8kHz、約10kHzの4箇所で観測されることが分かる。ここで、周波数を2kHz以上とし、振幅が0.04V以上のピークとした場合には、正常側センサのピークは3箇所となる。一方、不良側センサは右側の板に接着剤で固定されているので、振幅が0.04V以上のピークが約4kHz、約7kHz近傍にしか観測されないことが分かった。これにより、不良側センサで観測されるピークは二つであり、正常側センサで観測される四つ又は2kHz以上とした場合の三つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、振幅が最大、つまり最大振幅の周波数が約10kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅となる周波数が約7kHzに低下することが分かった。
(実施例2)
実施例2では、試験体No.2を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが30mmの木螺子で固定されている。
図12は、実施例2において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図12(b)に示すように、正常側センサにおいては、振幅が0.05V以上のピークが約4kHz、約6kHz、約10kHzの3箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.05V以上のピークが約6kHz、約8kHz近傍にしか観測されないことが分かった。これにより、不良側センサで観測されるピークは一つであり、正常側センサで観測される三つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約10kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約6kHzに低下することが分かった。
実施例2では、試験体No.2を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが30mmの木螺子で固定されている。
図12は、実施例2において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図12(b)に示すように、正常側センサにおいては、振幅が0.05V以上のピークが約4kHz、約6kHz、約10kHzの3箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.05V以上のピークが約6kHz、約8kHz近傍にしか観測されないことが分かった。これにより、不良側センサで観測されるピークは一つであり、正常側センサで観測される三つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約10kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約6kHzに低下することが分かった。
(実施例3)
実施例3では、試験体No.3を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが65mmの木螺子で固定されている。
図13は、実施例3において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図13(b)に示すように、正常側センサにおいては、振幅が0.05V以上のピークが約4kHz、約7kHz、約10kHzの3箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.05V以上のピークが約4kHz、約7kHz及び約10kHz近傍で観測されることが分かった。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約4kHzに低下することが分かった。
実施例3では、試験体No.3を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが65mmの木螺子で固定されている。
図13は、実施例3において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図13(b)に示すように、正常側センサにおいては、振幅が0.05V以上のピークが約4kHz、約7kHz、約10kHzの3箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.05V以上のピークが約4kHz、約7kHz及び約10kHz近傍で観測されることが分かった。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約4kHzに低下することが分かった。
(実施例1〜3で取得した周波数スペクトルの比較)
基礎との定着が強い試験体(各試験体No.1〜3の健全側及びNo.3の不具合側)については約4kHz、約7kHz、約10kHzの3箇所にピークが現れることが分かった。一方、基礎との定着が弱い試験体(試験体No.1及びNo.2の不良側)については約6KHz、約7kHzの2箇所のみに最大振幅のピークが現れて、基礎との定着が強い試験体の最大振幅の周波数よりも低下することが分かった。
このように、実施例1〜3で取得した周波数スペクトルの比較により、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が何れも、正常側センサ、つまり基礎との定着が強い試験体よりも低下することが分かった。実施例1〜3で取得した周波数スペクトルの比較により、各試験体No.1〜3の健全側の波形を参照すれば、基礎との定着が弱い試験体(試験体No.1及びNo.2の不良側)とは、ピークの生じ方が異なるので、ブロック塀1の施工正常(○)と、施工不良(×)と劣化有り(△)を簡単、的確、かつ目視により定性的に迅速に評価することができることが分かった。
基礎との定着が強い試験体(各試験体No.1〜3の健全側及びNo.3の不具合側)については約4kHz、約7kHz、約10kHzの3箇所にピークが現れることが分かった。一方、基礎との定着が弱い試験体(試験体No.1及びNo.2の不良側)については約6KHz、約7kHzの2箇所のみに最大振幅のピークが現れて、基礎との定着が強い試験体の最大振幅の周波数よりも低下することが分かった。
このように、実施例1〜3で取得した周波数スペクトルの比較により、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が何れも、正常側センサ、つまり基礎との定着が強い試験体よりも低下することが分かった。実施例1〜3で取得した周波数スペクトルの比較により、各試験体No.1〜3の健全側の波形を参照すれば、基礎との定着が弱い試験体(試験体No.1及びNo.2の不良側)とは、ピークの生じ方が異なるので、ブロック塀1の施工正常(○)と、施工不良(×)と劣化有り(△)を簡単、的確、かつ目視により定性的に迅速に評価することができることが分かった。
(実施例4)
実施例4〜6では、図14に示す加速度センサ2の配置及びハンマー3の打撃により試験体No.1〜No.3の診断を行った以外は、実施例1と同様に診断を行った。
図14は、実施例4〜6の加速度センサ2の配置とハンマー3の打撃を模式的に示す図である。加速度センサ2はブロック塀1を模す左右の板の外側の上部に配設し、ハンマー3の打撃方向Bは、左右の板から近い位置(20mm)で基礎を模す板の厚さ方向、つまり基礎の垂直方向とした。
実施例4〜6では、図14に示す加速度センサ2の配置及びハンマー3の打撃により試験体No.1〜No.3の診断を行った以外は、実施例1と同様に診断を行った。
図14は、実施例4〜6の加速度センサ2の配置とハンマー3の打撃を模式的に示す図である。加速度センサ2はブロック塀1を模す左右の板の外側の上部に配設し、ハンマー3の打撃方向Bは、左右の板から近い位置(20mm)で基礎を模す板の厚さ方向、つまり基礎の垂直方向とした。
図15は、実施例4において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図15(b)に示すように、正常側センサの周波数スペクトルにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.01V以上のピークが約4kHz、約6kHz、約9kHzの3箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.01V以上のピークが、約4kHzと7kHz近傍にしか観測されないことが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは二つであり、正常側センサで観測される三つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約9kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約7kHzに低下することが分かった。
図15(b)に示すように、正常側センサの周波数スペクトルにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.01V以上のピークが約4kHz、約6kHz、約9kHzの3箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.01V以上のピークが、約4kHzと7kHz近傍にしか観測されないことが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは二つであり、正常側センサで観測される三つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約9kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約7kHzに低下することが分かった。
(実施例5)
実施例5では、試験体No.2を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが30mmの木螺子で固定されている。
図16は、実施例5において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例4と同様の波形であるので説明は省略する。
図16(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.005V以上のピークが約4kHz、約6kHz、約7kHz、約8kHz、約10kHzの5箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.005V以上のピークが、約4kHz、約6kHz、約8kHz、約10kHz近傍の4箇所で観測されることが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは四つであり、正常側センサで観測される五つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約10kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約6kHzに低下することが分かった。
実施例5では、試験体No.2を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが30mmの木螺子で固定されている。
図16は、実施例5において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例4と同様の波形であるので説明は省略する。
図16(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.005V以上のピークが約4kHz、約6kHz、約7kHz、約8kHz、約10kHzの5箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.005V以上のピークが、約4kHz、約6kHz、約8kHz、約10kHz近傍の4箇所で観測されることが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは四つであり、正常側センサで観測される五つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約10kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約6kHzに低下することが分かった。
(実施例6)
実施例6では、試験体No.3を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが65mmの木螺子で固定されている。
図17は、実施例6において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図17(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.005V以上のピークが約4.5kHz、約7kHz、約7.5kHz、約10kHz、約10.5kHzの5箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.005V以上のピークが、約4kHz、約6kHz、約6.5kHz、約10kHz、約12kHz近傍の5箇所で観測されることが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは五つであり、正常側センサで観測される五つのピークと同じであることが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7.5kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約4kHzに低下することが分かった。
実施例6では、試験体No.3を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが65mmの木螺子で固定されている。
図17は、実施例6において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図17(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.005V以上のピークが約4.5kHz、約7kHz、約7.5kHz、約10kHz、約10.5kHzの5箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.005V以上のピークが、約4kHz、約6kHz、約6.5kHz、約10kHz、約12kHz近傍の5箇所で観測されることが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは五つであり、正常側センサで観測される五つのピークと同じであることが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7.5kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約4kHzに低下することが分かった。
(実施例4〜6で取得した周波数スペクトルの比較)
基礎との定着が強い試験体の試験体No.1の健全側については、約4kHz、約7kHz、約10kHzの3箇所にピークが現れることが分かった。試験体No.2及び3の健全側については、約4kHz〜約10kHzの範囲の5箇所にピークが現れることが分かった。さらに、試験体No.3の不具合側については約4kHz〜約10kHzの範囲の5箇所にピークが現れることが分かった。
一方、基礎との定着が弱い試験体No.1の不具合側の試験体については約4kHz及び約7kHzの2箇所にピークが現れ、試験体No.2の不具合側については約4kHz、約6kHz、約8kHz、約10kHz近傍の4箇所にピークが現れて、健全側に比較してピーク数が低下することが分かった。また、不具合側の試験体の最大振幅の周波数は、基礎との定着が強い試験体の最大振幅の周波数よりも低下することが分かった。
実施例4〜6においても実施例1〜3で取得した周波数スペクトルの比較と同様に、各試験体No.1〜3の健全側の波形を参照すれば、基礎との定着が弱い試験体とは、ピークの生じ方が異なるので、ブロック塀1の施工正常(○)と、施工不良(×)、劣化有り(△)を簡単、的確、かつ目視により定性的に迅速に評価することができることが分かった。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7.5kHz、約9kHz〜約10kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約4kHz、約6.5kHz、約7kHzに低下することが分かった。
基礎との定着が強い試験体の試験体No.1の健全側については、約4kHz、約7kHz、約10kHzの3箇所にピークが現れることが分かった。試験体No.2及び3の健全側については、約4kHz〜約10kHzの範囲の5箇所にピークが現れることが分かった。さらに、試験体No.3の不具合側については約4kHz〜約10kHzの範囲の5箇所にピークが現れることが分かった。
一方、基礎との定着が弱い試験体No.1の不具合側の試験体については約4kHz及び約7kHzの2箇所にピークが現れ、試験体No.2の不具合側については約4kHz、約6kHz、約8kHz、約10kHz近傍の4箇所にピークが現れて、健全側に比較してピーク数が低下することが分かった。また、不具合側の試験体の最大振幅の周波数は、基礎との定着が強い試験体の最大振幅の周波数よりも低下することが分かった。
実施例4〜6においても実施例1〜3で取得した周波数スペクトルの比較と同様に、各試験体No.1〜3の健全側の波形を参照すれば、基礎との定着が弱い試験体とは、ピークの生じ方が異なるので、ブロック塀1の施工正常(○)と、施工不良(×)、劣化有り(△)を簡単、的確、かつ目視により定性的に迅速に評価することができることが分かった。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7.5kHz、約9kHz〜約10kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約4kHz、約6.5kHz、約7kHzに低下することが分かった。
(実施例7)
実施例7〜9では、図18に示す加速度センサ2の配置及びハンマー3の打撃により試験体No.1〜No.3の診断を行った以外は、実施例1と同様に診断を行った。
図18は、実施例7〜9の加速度センサ2の配置とハンマー3の打撃を模式的に示す図である。加速度センサ2はブロック塀1を模す左右の板の外側の上部に配設し、ハンマー3の打撃方向Cは、左右の板から近い位置(20mm)で左右の板の厚さ方向、つまり基礎の平行方向とした。
実施例7〜9では、図18に示す加速度センサ2の配置及びハンマー3の打撃により試験体No.1〜No.3の診断を行った以外は、実施例1と同様に診断を行った。
図18は、実施例7〜9の加速度センサ2の配置とハンマー3の打撃を模式的に示す図である。加速度センサ2はブロック塀1を模す左右の板の外側の上部に配設し、ハンマー3の打撃方向Cは、左右の板から近い位置(20mm)で左右の板の厚さ方向、つまり基礎の平行方向とした。
図19は、実施例7において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例1と同様の波形であるので説明は省略する。
図19(b)に示すように、正常側センサの周波数スペクトルにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.02V以上のピークが約7kHz、約8.5kHz、約9.5kHz、約12.5kHzの4箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.02V以上のピークが、約4kHz、約6.5kHz、約12kHzの3箇所でしか観測されないことが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは三つであり、正常側センサで観測される四つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約6.5kHzに低下することが分かった。
図19(b)に示すように、正常側センサの周波数スペクトルにおいては、特に周波数範囲を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.02V以上のピークが約7kHz、約8.5kHz、約9.5kHz、約12.5kHzの4箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、振幅が0.02V以上のピークが、約4kHz、約6.5kHz、約12kHzの3箇所でしか観測されないことが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは三つであり、正常側センサで観測される四つのピークよりも少ないことが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約7kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約6.5kHzに低下することが分かった。
(実施例8)
実施例8では、試験体No.2を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが30mmの木螺子で固定されている。
図20は、実施例8において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例7と同様の波形であるので説明は省略する。
図20(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.01V以上のピークとした場合には、ピークが約4kHz、約7kHz、約10.5kHz、約13kHzの4箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、特に振幅を0.01V以上とした場合にはピークが約4.kHz、約6.5kHz、約7.5kHz、約10k.5Hzの4箇所で観測されることが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは四つであり、正常側センサで観測される四つのピークと同じであることが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約13kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約7.5kHzに低下することが分かった。
実施例8では、試験体No.2を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが30mmの木螺子で固定されている。
図20は、実施例8において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例7と同様の波形であるので説明は省略する。
図20(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数を2kHz以上15kHz以下とした場合には、振幅が0.01V以上のピークとした場合には、ピークが約4kHz、約7kHz、約10.5kHz、約13kHzの4箇所で観測されることが分かる。一方、不良側センサは、特に振幅を0.01V以上とした場合にはピークが約4.kHz、約6.5kHz、約7.5kHz、約10k.5Hzの4箇所で観測されることが分かった。
これにより、不良側センサで観測されるピークは四つであり、正常側センサで観測される四つのピークと同じであることが判明した。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約13kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約7.5kHzに低下することが分かった。
(実施例9)
実施例9では、試験体No.3を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが65mmの木螺子で固定されている。
図21は、実施例9において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例7と同様の波形であるので説明は省略する。
図21(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数を2kHz以上15kHz以下とし、振幅が0.05V以上のピークとした場合には、約4kHz、約7.5kHz、約10.5kHz、約13.5kHzの4箇所で観測されることが分かる。一方、不具合側センサにおいては、特に周波数を2kHz以上15kHz以下とし振幅が0.05V以上のピークとした場合には、ピークが約4kHz、約7kHz、約8.5kHz、約9.5kHz、約10.5kHz、約11kHz、約13.5kHzの7箇所で観測されることが分かった。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約13.5kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約10.5kHzに低下することが分かった。
実施例9では、試験体No.3を実施例1と同様に診断した。不良側センサは右側の板に長さが65mmの木螺子で固定されている。
図21は、実施例9において診断装置10から取得した波形を示し、(a)は時間軸波形、(b)は周波数スペクトルを示す図である。時間軸波形は、実施例7と同様の波形であるので説明は省略する。
図21(b)に示すように、正常側センサにおいては、特に周波数を2kHz以上15kHz以下とし、振幅が0.05V以上のピークとした場合には、約4kHz、約7.5kHz、約10.5kHz、約13.5kHzの4箇所で観測されることが分かる。一方、不具合側センサにおいては、特に周波数を2kHz以上15kHz以下とし振幅が0.05V以上のピークとした場合には、ピークが約4kHz、約7kHz、約8.5kHz、約9.5kHz、約10.5kHz、約11kHz、約13.5kHzの7箇所で観測されることが分かった。さらに、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約13.5kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約10.5kHzに低下することが分かった。
(実施例7〜9で取得した周波数スペクトルの比較)
基礎との定着が強い試験体(各試験体No.1〜3の健全側)については、試験体No.1が7〜12.5KHzの範囲で、試験体No.2及び3が4〜13KHzの範囲で4箇所にピークが現れることが分かった。また、No.3の不具合側の試験体については約4kHz〜約13kHzの範囲で7箇所にピークが現れることが分かった。
一方、基礎との定着が弱い試験体No.1については、4〜12.5KHzの範囲で、3箇所にピークが現われ、試験体No.1の健全側のピーク数4よりも少ないことが分かった。また、基礎との定着が弱い試験体No.2については、4〜10.5KHzの範囲で4箇所にピークが現われ、試験体No.1の健全側のピーク数4と同じであることが分かった。
さらに、基礎との定着が弱い試験体(各試験体No.1〜3の不具合側)の最大振幅となる周波数は、基礎との定着が強い試験体No.1〜3の健全側の最大振幅の周波数よりも低下することが分かった。
実施例7〜9においても実施例1〜6で取得した周波数スペクトルの比較と同様に、各試験体No.1〜3の健全側の波形を参照すれば、基礎との定着が弱い試験体とは、ピークの生じ方や最大ピ−クとなる周波数が異なるので、ブロック塀1の施工正常(○)と、施工不良(×)と劣化有り(△)とを簡単、的確、かつ目視により定性的に迅速に評価できることが分かった。例えば、ピーク数で判別し難い場合には、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約13kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約7kHz又は約10.5kHzに低下することが分かった。これにより、各試験体No.1〜3の健全側の波形と不具合側の波形との判別が、最大振幅の周波数との比較でも容易にできることが判明した。
基礎との定着が強い試験体(各試験体No.1〜3の健全側)については、試験体No.1が7〜12.5KHzの範囲で、試験体No.2及び3が4〜13KHzの範囲で4箇所にピークが現れることが分かった。また、No.3の不具合側の試験体については約4kHz〜約13kHzの範囲で7箇所にピークが現れることが分かった。
一方、基礎との定着が弱い試験体No.1については、4〜12.5KHzの範囲で、3箇所にピークが現われ、試験体No.1の健全側のピーク数4よりも少ないことが分かった。また、基礎との定着が弱い試験体No.2については、4〜10.5KHzの範囲で4箇所にピークが現われ、試験体No.1の健全側のピーク数4と同じであることが分かった。
さらに、基礎との定着が弱い試験体(各試験体No.1〜3の不具合側)の最大振幅となる周波数は、基礎との定着が強い試験体No.1〜3の健全側の最大振幅の周波数よりも低下することが分かった。
実施例7〜9においても実施例1〜6で取得した周波数スペクトルの比較と同様に、各試験体No.1〜3の健全側の波形を参照すれば、基礎との定着が弱い試験体とは、ピークの生じ方や最大ピ−クとなる周波数が異なるので、ブロック塀1の施工正常(○)と、施工不良(×)と劣化有り(△)とを簡単、的確、かつ目視により定性的に迅速に評価できることが分かった。例えば、ピーク数で判別し難い場合には、正常側センサでは、最大振幅の周波数が約13kHzであるのに対して、不良側センサで観測される最大振幅の周波数が約7kHz又は約10.5kHzに低下することが分かった。これにより、各試験体No.1〜3の健全側の波形と不具合側の波形との判別が、最大振幅の周波数との比較でも容易にできることが判明した。
実施例1〜3と実施例4〜6と実施例7〜9とで異なるのは、ハンマー3により打撃を印加する箇所であり、上記各実施例1〜9で取得した周波数スペクトルの比較は、何れも各試験体No.1〜3の健全側の波形を参照すれば、基礎との定着が弱い試験体とは、ピークの生じ方が異なることが判明した。これにより、ハンマー3により打撃を印加する箇所は、診断には大きな影響を与えないことが分かった。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
1 構造物(ブロック塀)
2 センサ(加速度センサ)
3 弾性波発生手段(ハンマー)
10 診断装置
11,53 A/D変換器
12 時間軸波形処理部
13 周波数スペクトル処理部
14 波形評価部
14a ディスプレイ
15 参照部
17 I/O部
19 データ格納部
41 制御部
42 記憶部
42a 正常な弾性波の参照周波数スペクトル(参照データT0)
42b 被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1
43 ディスプレイ
44 入力部
45 送受信部
51 加速度センサ
52 増幅器
54 通信用のI/O部
2 センサ(加速度センサ)
3 弾性波発生手段(ハンマー)
10 診断装置
11,53 A/D変換器
12 時間軸波形処理部
13 周波数スペクトル処理部
14 波形評価部
14a ディスプレイ
15 参照部
17 I/O部
19 データ格納部
41 制御部
42 記憶部
42a 正常な弾性波の参照周波数スペクトル(参照データT0)
42b 被検査体1Aの周波数スペクトル信号T1
43 ディスプレイ
44 入力部
45 送受信部
51 加速度センサ
52 増幅器
54 通信用のI/O部
Claims (7)
- 補強材が部分的に埋め込まれて構成された構造物の診断方法において、
前記構造物にセンサを配置する工程と、
前記構造物又は前記構造物の近傍の基礎に対して振動を加えて弾性波を発生させる弾性波発生処理工程と、
前記センサにより検出された弾性波のアナログ信号をA/D変換して前記弾性波のデジタル信号とする時間軸波形処理工程と、
前記弾性波のデジタル信号をフーリエ変換して前記弾性波の周波数スペクトルを取得する周波数スペクトル処理工程と、
予め取得した基準となる正常な弾性波の参照周波数スペクトルに対して前記弾性波の周波数スペクトルを対比する波形評価処理工程と、
前記波形評価に基づいて前記構造物の施工評価を実行する施工評価処理工程と、
を有する、構造物の診断方法。 - 前記参照周波数スペクトルは、前記構造物と同一又は類似の構造物か若しくは該構造物のサンプル、或いは前記構造物のシミュレーションで取得される、請求項1に記載の構造物の診断方法。
- 前記施工評価処理工程において、前記構造物の弾性波の周波数スペクトルに生じるピーク数と前記正常な弾性波の参照周波数スペクトルに生じるピーク数とを比較して、前記構造物の施工の良否を判定する、請求項1又は2に記載の構造物の診断方法。
- 前記波形評価処理工程において、前記構造物で取得した弾性波の周波数スペクトルに生じるピーク数の抽出を、所定の周波数範囲で行う、請求項1〜3の何れかに記載の構造物の診断方法。
- さらに、前記構造物で取得した弾性波の周波数スペクトルに生じるピーク数の抽出を、該周波数スペクトルの所定の振幅範囲で行う、請求項4に記載の構造物の診断方法。
- 前記補強材は鉄筋である、請求項1〜5の何れかに記載の構造物の診断方法。
- 前記センサが加速度センサである、請求項1〜6の何れかに記載の構造物の診断方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019206465A JP2021081212A (ja) | 2019-11-14 | 2019-11-14 | 構造物の診断方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005189227A (ja) * | 2003-05-13 | 2005-07-14 | Sekisui Chem Co Ltd | 埋設管の検査方法 |
JP2019056683A (ja) * | 2017-03-27 | 2019-04-11 | 株式会社アミック | コンクリート構造物の診断方法及びその診断装置 |
-
2019
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