JP2022060449A - コンクリート構造物の診断方法及びその診断装置 - Google Patents
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Abstract
Description
評価ポイント付与処理では、好ましくは、波形継続時間の評価指標、スペクトルの重心周波数の評価指標、スペクトルの標準偏差の評価指標、スペクトルのピーク数の評価指標及び施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標の一つ以上に対して、閾値を基準に評価ポイントをそれぞれ付与する。
好ましくは、判定処理では、評価分析処理を行い、評価分析処理では、データ処理結果に基づき、時間軸波形又は周波数スペクトルから、前もって既知のデータ処理結果により設定された学習結果に基づいて、標準施工又は施工不良を示す出力信号を出力する。
評価分析処理が、好ましくは、データ処理結果を入力信号とする入力層と、出力信号を出力する出力層と、入力層と出力層との間に挿入され、入力層から判別用の教師信号が入力され出力層に教師信号を出力する少なくとも一つの中間層と、を含むニューラルネットワークにより行なわれる。評価分析処理では、好ましくは、標準施工又は施工不良からなる二つの出力信号を出力する。評価分析処理では、好ましくは、標準施工、少なくとも二つ以上の施工不良、からなる三つ以上の出力信号を出力する。評価指標処理では、好ましくは、さらに、施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指数を求める。
施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標は、好ましくは、相互相関関数を構成する二つの関数の大きさにより正規化されている。
施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標は、好ましくは、施工不良の程度が大きいほど時間軸波形の形状に差異が出て相互相関関数が小さくなる事象を表現するものである。
評価ポイント付与処理では、好ましくは、波形継続時間の評価指標、施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標、スペクトルの重心周波数の評価指標、スペクトルの標準偏差の評価指標、スペクトルのピーク数の評価指標及び施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標の一つ以上に対して、閾値を基準に評価ポイントをそれぞれ付与する。
導体棒は、好ましくは、あと施工アンカーボルトを含む導電部材である。
例えば、導体棒は、あと施工アンカーボルトを含む導電部材である。
さらに、本発明の請求項4に記載のコンクリート構造物の診断方法及び請求項14に記載の診断装置の構成によれば、データ処理結果を評価分析処理で処理して施工不良の識別を行なう場合には、データ処理結果に基づいて、学習結果により閾値を設定することなく、例えば導体棒の露出部分のみにセンサを設けて、当該センサからの検出データに基づいて、導体棒の施工不良を識別することができる。その際、標準施工と施工不良を識別するための閾値を設定する必要がなく、また施工不良の種類をも識別することが可能となる。
また、本発明の請求項8に記載のコンクリート構造物の診断方法及び請求項15に記載の診断装置の構成によれば、センサにより検出した弾性波の時間軸波形に基づいて、コンクリート構造物の施工不良を評価するようにしたので、位相ずれがあっても、位相ずれの影響を大きく受けるようなことなく、相関を計算することができ、コンクリート構造物の施工不良をより正確に評価することができる。
更に、アンカーボルト10の露出部の周囲には、パルス磁場を発生させるためのコイル(例えば、リングコイル)23が配置されている。コイル23の上端は、例えば、アンカーボルト10の上端と一致するように設置されている。
この情報処理装置30は、AD変換装置26から出力される第1受信信号S26a及び第2受信信号S26bに対してデータ処理を行う時間軸波形処理部40及び周波数スペクトル処理部50と、その時間軸波形処理部40の出力側に接続された波形評価指標部60と、その周波数スペクトル処理部50の出力側に接続されたスペクトル評価指標部70と、その波形評価指標部60及びスペクトル評価指標部70の出力側に接続された評価ポイント付与部80と、を備えている。
付与部80は、入力される第1、第2、第3、第4、第5評価指標EI1~EI5の一つ
以上に対し、閾値を基準に施工不良評価用の評価ポイントをそれぞれ付与してその評価ポ
イントの合計等を表示するものである。
試験体5Aとして、トンネルの天井板を固定する接着系のあと施工アンカーボルトを想定し、直方体のコンクリート1A(例えば、横1800mm、縦900mm)に、複数本(例えば、18本)の接着系樹脂カプセル式のアンカーボルト10Aを、施工条件を異ならせて上向きに埋め込んだ。コンクリート1Aの平面において、施工条件の異なる3種類(No1,No2,No3)のアンカーボルト10Aを縦方向に配置し、横方向に6本のアンカーボルト10Aをそれぞれ配置した。各アンカーボルト10Aの配置間隔は、例えば、250mmである。横方向に配置された各6本のアンカーボルト10Aは、上方視において、270°側から90°方向に1~6の符号が付されている。
他の試験体5Bとして、トンネルのジェットファンを固定する金属系のあと施工アンカーボルトを想定し、図5の直方体のコンクリート1Aと同一寸法の直方体のコンクリート1Bに、複数本(例えば、18本)の金属系スリーブ拡張式のアンカーボルト10Bを、施工条件を異ならせて下向きに埋め込んだ。コンクリート1Bの平面において、施工条件の異なる3種類(No4,No5,No6)のアンカーボルト10Bを縦方向に配置し、横方向に6本のアンカーボルト10Bをそれぞれ配置した。各アンカーボルト10Bの配置間隔は、図5と同一である。横方向に配置された各6本のアンカーボルト10Bは、図5と同様に、270°側から90°方向に1~6の符号が付されている。なお、1~3番のアンカーボルト10Bは、引き抜き試験実施済であり、それぞれの施工で、4~6番の3本のアンカーボルト10Bを診断する。
図8(a)に示す種類No4のアンカーボルト10Bは、標準施工のものであって、図4(b)と同様に、例えば、ステンレス材(SUS材)で作られ、直径Mが24mm、長さが230mmである。アンカーボルト10Bは、直方体のコンクリート1Bに開けられた下穴2B(例えば、口径35mm、深さ155mm)内に、拡張した金属スリーブ13で定着されている。例えば、金属スリーブ13の上端は、打ち込み前は、露出部上端から55mmの位置にあり、打ち込み後は、コンクリート1Bの表面から、0.7mm~2.8mmの深さになっている。
このコンクリート建造物の診断方法では、以下の弾性波発生処理ST1、受信処理ST2、データ処理ST3、評価指標処理ST4、及び、評価ポイント付与処理ST5が順に行われる。
予め、図5及び図7の試験体5A,5Bと図1~図4の診断装置とを用意し、電磁パルス電源25をオン状態にして処理を開始する。電磁パルス電源25から電源電力が出力されてコイルユニット24へ供給される。コイルユニット24からパルス電流が出力され、このパルス電流が、アンカーボルト露出部12,15に配置されたコイル23に流れる。すると、コイル23からパルス磁場が発生し、アンカーボルト10(即ち、接着系樹脂カプセル式のアンカーボルト10A)が振動して弾性波が発生する。金属系スリーブ拡張式のアンカーボルト10Bの場合には、マグネット27から静磁場が発生しているので、この静磁場をバイアスとしてコイル23からパルス磁場が発生し、アンカーボルト10Bが振動して弾性波が発生する。発生した弾性波は、コンクリート1A,1Bの内部を通過し、アンカーボルト10A,10Bの周囲のコンクリート表面へと伝播していく。
コンクリート表面に伝播した弾性波は、コンクリート表面に配置された複数のセンサ21-1~21-4により受信される。同時に、アンカーボルト露出部12,15に配置されたセンサ22により、そのアンカーボルト露出部12,15から発生した弾性波が受信される。複数のセンサ21-1~21-4により受信されたアナログの受信信号と、センサ22により受信されたアナログの受信信号と、がAD変換装置26へ送られる。AD変換装置26では、例えば、複数のセンサ21-1~21-4から供給されるアナログの受信信号を、サンプリング周波数100MHz、データ長10msにて、デジタル信号に変換し、第1受信信号S26aを情報処理装置30へ出力すると共に、 センサ22から供給されるアナログの受信信号をデジタル信号に変換し、第2受信信号S26bを情報処理装置30へ出力する。
情報処理装置30内の時間軸波形処理部40及び周波数スペクトル処理部50において、時間軸波形処理部40による時間軸波形処理ST3aと、周波数スペクトル処理部50による周波数スペクトル処理ST3bと、からなるデータ処理ST3が行われる。
波形評価指標部60及びスペクトル評価指標部70では、以下のようにして評価指標処理ST4を行い、第1時間軸波形の波形エネルギーと第2時間軸波形の波形エネルギーとの波形エネルギー比SRの第1評価指標EI1と、第1時間軸波形及び第2時間軸波形におけるそれぞれの波頭部の最大振幅に対して例えば10%未満に減衰するまでのそれぞれの波形継続時間TCの第2評価指標EI2と、第1周波数スペクトル及び第2周波数スペクトルにおけるそれぞれのスペクトルの重心周波数SCの第3評価指標EI3と、スペクトルの標準偏差SDの第4評価指標EI4と、スペクトルのピーク数SPの第5評価指標EI5と、を求める。第1時間軸波形及び第2時間軸波形におけるそれぞれの波形継続時間TCの第2評価指標EI2は、例として波頭部の最大振幅としたが、第1時間軸波形及び/又は第2時間軸波形における波形中の最大振幅としてもよい。又、減衰するまでの波形継続時間TCは、10%未満に限らず所定の振幅に設定してもよい。
図10(a)はコンクリート表面の波形エネルギーを示す波形図、及び、図10(b)はアンカーボルト露出部12,15の波形エネルギーを示す波形図である。図10(a)、(b)の横軸は時間(ms)、縦軸は電圧(V)である。
図11(a)は標準施工の場合の波形エネルギーの大小関係を示す模式図、及び、図11(b)は施工不良の場合の波形エネルギーの大小関係を示す模式図である。
波形継続時間TCは、時間軸波形で振動初期到達時間t1から波頭部の最大振幅(MAX)に対して例えば10%未満に減衰するまでの時間t2である。そのため、施工不良によってアンカーボルト10A,10Bの拘束が緩くなり、時間軸波形の収束時間が長くなることが分かる。
(b) (a)の中から最も周波数の低いスペクトルSfminを抽出する。
(c) (b)で抽出した最も周波数の低いスペクトルSfminについて、図14(a)に示すように、F30≧5kHzの場合は、極大値±2.5kHzの範囲で、スペクトルの重心SCを式(3)で計算すると共に、スペクトルの標準偏差SDを式(4)で計算する。F30<5kHzの場合は、F30の範囲で、スペクトルの重心SCを式(3)で計算すると共に、スペクトルの標準偏差SDを式(4)で計算する。
(d) 図15に示すように、(a)で抽出したスペクトルのピーク数SPをカウントする。つまり、図15に示すグラフの傾きが正から負に変わる点をカウントする。
評価ポイント付与部80では、5つの評価指標EI1~EI5のうちの一つ以上に対して、閾値を基準に施工不良評価用の評価ポイントをそれぞれ付与する評価ポイント付与処理ST5を行う。評価ポイント付与処理ST5では、以下の(i), (ii)のようにして、複数の評価指標EI1~EI5のそれぞれに対して、閾値を基準に評価ポイントをそれぞれ付与する。
(ii) それぞれの評価指標EI1~EI5において、閾値を基準に評価ポイントを付与する。
各センサ21-1~21-4毎に求める波形エネルギー比SRの閾値は0.5以下(SR≦0.5)である。波形エネルギー比SRは、コンクリート表面のセンサ21-1~21-4とアンカーボルト露出部12,15のセンサ22との2箇所の測定データを使って算出しているため、4個のセンサ21-1~21-4について各2点としている。従って、評価ポイントは、合計8点になる。
各センサ21-1~21-4毎に求める波形継続時間TCの閾値は8(ms)以上(TC≧8(ms))、更に、センサ22で求める波形継続時間TCの閾値は3 (ms) 以上(TC≧3(ms))である。アンカーボルト10A, 10Bの評価ポイントは、コンクリート表面のセンサ21-1~21-4の合計と同じになるように4点としたので、評価ポイントの合計は8点になる。
この図18には、スペクトルの重心SC、スペクトルの標準偏差SD、及びスペクトルのピーク数SPの閾値が示されている。評価ポイント付与処理ST5の処理結果の例が、図19に示されている。
ここで、施工した金属系スリーブ拡張式のアンカーボルト10Bの短期許容荷重の計算結果は、72.4kN(キロニュートン)であった。アンカーボルトの10Bの引き抜き耐力として、上記No5が8.1~12.0kNであった。No5の引き抜き耐力は、短期許容荷重の計算結果(72.4kN)と比較すると、引き抜き耐力が著しく低い不良であることが判明した。
従って、図19に示すポイントグラフで、例えば評価ポイント10を引き抜き耐力が著しく低い不良を検出するための評価境界に設定すると、それ以上では引き抜き耐力が標準施工の60%以下になる施工不良を検出することが可能となる。この結果、引き抜き耐力の著しく低かった不良は、確実に検出できたことになる。
本実施例1のコンクリート構造物の診断方法及びその診断装置によれば、コンクリート表面で受信したセンサ21-1~21-4の受信信号と、コンクリート表面から露出しているアンカーボルト露出部12,15で受信したセンサ22の受信信号と、から複数の評価指標EI1~EI4をポイント化し、アンカーボルト10A,10Bの施工不良を評価するようにしたので、アンカーボルト10A,10Bの施工不良を簡単且つ的確且つ定量的に評価することができる。
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)~(d)のようなものがある。
(b) 5つの評価指標EI1~EI5は、その一部をポイント化してアンカーボルト10A,10Bの施工不良を評価しても良い。
(c) 図18の閾値は、適宜変更しても良く、閾値を標準施工品の値に近づければ、施工不良の程度が軽微なアンカーボルトまで、つまり安全を考慮して厳格に検出することができ、閾値を標準施工品の値から離せば、施工不良の程度が軽微なアンカーボルトを検出することなく、施工不良の程度が著しいアンカーボルトだけを検出することができる。
(d) 評価対象の導体棒は、アンカーボルト10A,10Bに限らす、鉄筋等の他の導電部材であっても良く、本発明を適用できる。
次に、コンクリート建造物の診断装置の実施例2について説明する。
図20は、実施例2に係るコンクリート建造物の診断装置を示す機能ブロック図である。図20の情報処理装置32が、図2の情報処理装置30と異なるのは、スペクトル評価指標部にさらにスペクトルの相関係数CF(E16)を評価する指標部が追加された点である。他の構成は、情報処理装置の診断装置30と同じであるので、他の構成の説明は省略する。
(1)最初に標準施工をN回行った時に取得した周波数スペクトルの平均値を求める。
周波数スペクトルは、時間軸波形処理のデータを、高速フーリエ変換したFFT波形である。
図22は、評価対象の標準施工を1~N個まで測定したときのFFT波形を示す図であり、図23は、評価対象の標準施工を1~N個まで測定したときのFFT波形の平均を示す図である。図22及び図23の縦軸は振幅、横軸は周波数(kHz)である。周波数スペクトルの平均値は、各周波数において振幅の平均値を計算して得ることができる。
図24は、新たな評価対象を標準施工したときのFFT波形と、標準施工のFFT波形の平均(x)とのFFT波形の比較を示す図である。
標準施工のFFT波形の平均(x)は、No.1、No.13、No.25の三つの評価対象から得たものである。新たな評価対象は、No.1_4(コンクリート表面0°)であった。図24に示すように、相関係数は、0.94であり、新たな評価対象のFFT波形と標準施工のFFT波形の平均(x)とは、高い相関を示すことが分かる。
図28は、本発明の実施例3におけるコンクリート建造物の診断装置を示す概略の構成図であり、同図(a)は診断装置全体の構成図、及び同図(b)は同図(a)中の波形受信部(例えば、アナログ/デジタル変換装置、以下 「AD変換装置」という。)の構成図であり、図29は、図28中の情報処理装置30の構成例を示す機能ブロック図である。
図29の情報処理装置32は、上述した第1受信信号S26a、そして第1時間軸波形S44aがないことから、第1受信信号に伴う処理、即ち波形評価指標部60における波形エネルギー比SR(E11)を求める処理が省略されていると共に、第1受信信号S26aから派生する第1周波数スペクトルS52aの信号がない点でのみ、図20の情報処理装置32とは異なる構成であり、他の構成は、図20の情報処理装置32と同じであるので、その説明を省略する。
これにより、第1センサ21-1~21-4が省略されて、第2センサ22により、ボルト頭部のみにおける弾性波を検出することによっても、あと施工アンカーボルトの施工不良を評価できることが判明した。
本発明の実施例4におけるコンクリート建造物の診断装置は、図28に示す実施例3におけるコンクリート建造物の診断装置とほぼ同様の構成である。
図34は実施例4に係るコンクリート建造物の診断装置に用いる情報処理装置34の構成を示す機能ブロック図であり、図35は図34中の情報処理装置の第一の構成例を示す概略図である。
図34の情報処理装置34は、図29に示す実施例3に係る情報処理装置32における波形評価指標部60,スペクトル評価指標部70及び評価ポイント付与部80の代わりに、判定処理部90を備えている。ここで、時間軸波形処理部40及び周波数スペクトル処理部50は、図29の情報処理装置32の場合と同様の構成である。
(ステップ1)
入力層91は、周波数スペクトル処理部50からの周波数スペクトルS52bが入力される。入力層91は、各入力信号に対応する250個の入力ユニット91aを有しており、各入力ユニットに、それぞれ個々の入力信号が入力される。
また、 w1 ki は、重み係数である。この重み係数は、後述するニューラルネットワークの機械学習の結果、つまり学習結果によって決定される。
判定処理部90は、中間層92の各中間ユニット92aに入力された中間値hiから、下記数式(8)の演算を行なって、出力信号ym(mは、1又は2)を求める。
また、 w2 km は、重み係数であり、同様に後述するニューラルネットワークの機械学習によって設定される。出力信号は、m=1又は2であるから、具体的には、出力信号は、y1,y2であり、[y1 y2]と表記する。
このようなニューラルネットワークの機械学習の結果、未知のあと施工アンカーボルトによる導体棒センサ22の受信信号に基づく周波数スペクトルS52bが入力層91に入力されると、判定処理部90は、中間信号そして出力信号を二段階で演算することにより、図37に示すように、出力信号 [y1 y2 ]を出力する。即ち、出力信号としては、標準施工の場合には [1 0]、施工不良の場合には [0 1] を出力する。このようなニューラルネットワークの学習結果に基づく出力は、判断とも呼ばれている。
従って、判定処理部90の出力層93からの出力信号 [y1 y2] をチェックすることにより、あと施工アンカーボルトの施工状況が、標準施工であるか、接着剤奥充填又は手前充填による施工不良であるかが容易に判断され、標準施工又は施工不良であるかが容易に識別できる。
図38は図35の評価分析装置における学習の際に入力層に入力される既知の標準施工時の入力データを示すグラフであり、図39は図35の評価分析装置における学習の際に入力層に入力される既知の奥充填施工時の入力データを示すグラフであり、図40は図35の評価分析装置における学習の際に入力層に入力される既知の手前充填施工時の入力データを示すグラフである。これらの学習に用いられる既知のデータは、教師データとも呼ばれている。
即ち、学習のための既知のデータとして、例えば図38(A)及び(B)に示す標準施工のアンカーボルトにおける周波数スペクトルを入力層91に入力すると共に、教師信号として、出力信号がy1=1,y2=0、つまり [1 0] が得られるように、判定処理部90は、重み係数w1 ki,w2 kmを演算し、決定する。
ここで、入力される既知のデータ数が多いほど、決定される重み係数 w1 ki , w2 kmの精度が高まる。
具体的には、接着剤の奥充填による施工不良の場合には、前述した周波数スペクトルのピーク周波数が低くなる、ピークが尖る、また接着剤の手前充填による施工不良の場合には、ピークが二つ以上になる、ピーク周波数が低くなる、ピークが尖る等を学習することになる。
そして、判定処理部90は、このような学習結果に基づいて、未知、つまり未学習のデータが入力されたとき、学習結果で得た二段階の重み係数 w1 ki , w2 km による演算を行なって、出力層93から施工状態に応じて出力信号y1及び y2[y1 y2] を出力することになる。
図41は図35の評価分析装置における識別の際に入力層に入力される未知の標準施工時の入力データを示すグラフであり、図42は図35の評価分析装置における識別の際に入力層に入力される未知の奥充填施工時の入力データを示すグラフであり、図43は図35の評価分析装置における識別の際に入力層に入力される未知の手前充填施工時の入力データを示すグラフである。
即ち、評価のための未知のデータとして、例えば図41(A)及び(B)に示す標準施工のアンカーボルトにおける周波数スペクトルと、図42(A)及び(B)と図43(A)及び(B)に示す施工不良のアンカーボルトにおける周波数スペクトルと、を入力層91に入力する。
これにより、判定処理部90は、各周波数スペクトル毎に、前述した数式(7)及び数式(8)の演算を、学習結果で得た二段階の重み係数 w1 ki , w2 km による演算を
行なって、出力信号[y1 y2]を出力する。
この場合、図41(A)及び(B)の異なる施工の周波数スペクトルでは、出力信号[1 0]が得られ、標準施工であることが分かる。
また、図42(A)及び(B)と図43(A)及び(B)の異なる施工の周波数スペクトルでは、出力信号[0 1]が得られ、施工不良であることが分かる。
このようにして、未知のデータに関して、判定処理部90の出力層93から出力される出力信号 [y1 y2] は、すべてのデータに対してあと施工アンカーボルトの施工状況について、正しい施工評価を行なうことが確認された。
図44は、図34に示した判定処理部90の変形例を示している。
図44において、判定処理部90は、出力層93が三つの出力信号 [y1 y2 y3]を出力する点でのみ、図34に示した判定処理部90とは異なる構成になっている。出力信号を三つとすることにより、判定処理部90により、標準施工、接着剤奥充填による施工不良と接着剤手前充填による施工不良の3つの施工状態を識別することができる。この場合、判定処理部90は、中間層92の各中間ユニット92aに入力された中間値hiから、下記数式(9)の演算を行なって、出力信号ymを求める(mは、1から3の整数
)。
また、接着剤奥充填による施工不良の場合には、教師信号として、y1が0、y2が1、y3が0、つまり[0 1 0]と設定される。
さらに、接着剤手前充填による施工不良の場合には、教師信号として、 y1が0、y2が0、y3が1、つまり[0 0 1]と設定される。
ここで、判定処理部90は、各周波数スペクトル毎に、前述した数式(7)及び数式(9)の演算を行い、教師信号に応じた出力信号 [y1 y2 y3]Vが出力されるように、二段階の重み係数w1 ki,w2 kmを決定する。
このようなニューラルネットワークの機械学習の結果、未知のあと施工アンカーボルトによる導体棒センサ22の受信信号に基づく周波数スペクトルS52bが入力層91に入力されると、判定処理部90は、中間信号そして出力信号を二段階で演算することにより、図44に示すように、出力信号 y1, y2, y3 つまり[y1 y2 y3]を出力する。
未知のあと施工アンカーボルトが接着剤奥充填による施工不良の場合には、出力信号は[0 1 0]となる。
さらに、未知のあと施工アンカーボルトが手前充填による施工不良の場合には、出力信号は[0 0 1]となる。
従って、判定処理部90の出力層93からの出力信号 [y1 y2 y3] をチェックすることにより、あと施工アンカーボルトの施工状況、即ち標準施工であるか、接着剤奥充填による施工不良又は接着剤手前充填の施工不良であるかが容易に判別され得る。
即ち、学習のための既知のデータとして、例えば図41(A)及び(B)に示す標準施工のアンカーボルトにおける周波数スペクトルを入力層91に入力すると共に、教師信号として、出力信号 [1 0 0] が得られるように、判定処理部90は、重み係数 w1 ki,w2 kmを演算し、決定する。
同様に、例えば図42(A)及び(B)に示す施工不良(接着剤奥充填)のアンカーボルトにおける周波数スペクトルを入力層91に入力すると共に、教師信号として、出力信号[0 1 0]が得られるように、判定処理部90は、重み係数 w1 ki , w2 km を演算し、決定する。
さらに、例えば図43(A)及び(B)に示す施工不良(接着剤手前充填)のアンカーボルトにおける周波数スペクトルを入力層91に入力すると共に、教師信号として、出力信号 [0 0 1] が得られるように、判定処理部90は、重み係数 w1 ki , w2 km を演算し、決定する。この際、標準施工、接着剤奥充填による施工不良及び接着剤手前充填による施工不良の3パターンの施工全てを同時に満たすような重み係数 w1 ki , w2 kmの組み合わせを一つだけ決定する。
これにより、判定処理部90は、これらの既知のデータつまり教師データ及び教師信号に基づいて、重み係数w1 ki,w2 kmを演算し、決定することができる。
ここで、入力される既知のデータ数が多いほど、決定される重み係数 w1 ki , w2 kmの精度が高まる。
即ち、評価のための未知のデータとして、例えば図41(A)及び(B)に示す標準施工のアンカーボルトにおける周波数スペクトルと、図42(A)及び(B)に示す接着剤奥充填による施工不良のアンカーボルトにおける周波数スペクトル、そして図43(A)及び(B)に示す接着剤手前充填による施工不良のアンカーボルトにおける周波数スペクトルと、を入力層91に入力する。
これにより、判定処理部90は、各周波数スペクトル毎に、前述した数式(7)及び数式(9)の演算を行なって、それぞれ出力信号[y1 y2 y3]を出力する。
また、図42(A)及び(B)の周波数スペクトルでは、出力信号[0 1 0]であり、この値から、接着剤奥充填による施工不良であることが分かる。
さらに、図43(A)及び(B)の周波数スペクトルでは、出力信号[0 0 1]であり、この値から、接着剤手前充填による施工不良であることが分かる。
以上のようにして、未知のデータに関して、判定処理部90の出力層93から出力される出力信号 [y1 y2 y3] は、全てのデータに対してあと施工アンカーボルトの施工状況について、正しい施工評価を行なうことが確認された。
なお、実施例2~実施例4の周波数スペクトル、例えば図38~43に示した教師データや未知の施工によるデータは、周波数が50kHz迄の範囲の周波数スペクトルとしたが、教師データの特徴がよく抽出できるような所定の周波数範囲とすればよい。例えば、周波数を20kHz迄の範囲としてもよい。
があと施工アンカーボルトの施工評価を行なうことも可能である。
この場合も、同様にして、教師データに応じて教師信号が出力されるように重み係数をニューラルネットワークの機械学習により決定することにより、判定処理部90によるあと施工アンカーボルトの施工評価が精度よく行なわれ得る。
なお、実施例1~4においては、接着系樹脂カプセル式のアンカーボルト10Aや金属系スリーブ拡張式のアンカーボルト10Bを例として示したが、他のアンカーボルトにも適用できることはいうまでもない。
図47は実施例5に係るコンクリート建造物の診断装置を示す機能ブロック図である。図47の情報処理装置36が図29の情報処理装置30と異なるのは、波形評価指標部60に、さらに時間軸波形の相互相関関数XF(E17)を評価する指標部を追加した点である。他の構成は、情報処理装置30と同じであるので、他の構成の説明は省略する。
(1)最初に標準施工をN回行った時に取得した時間軸波形の平均値を求める。
時間軸波形は、時間軸波形処理のデータである。
図49は、評価対象の標準施工を1~N個まで測定したときの時間軸波形を示し、図50は、評価対象の標準施工を1~N個まで測定したときの時間軸波形の平均を示す。図49及び図50の縦軸は振幅、横軸は時間(msec)である。時間軸波形の平均値は、各時間軸波形における同時刻の振幅の平均値を計算して得ることができる。
ここで、数式(11)は、数式(10)に対して、関数f(i)及びg(i-τ)の大きさで正規化した相互相関関数(Rnorm)を求めるものである。正規化した相互相関関数(Rnorm)は、0~1の値となる。
例えば図51及び後述する図52の(A)においては、nは時刻10msecに対応する。これに対して、τは、iに対するずれを表し、例えば10-6秒毎の値 (図51及び後述する図52の(B),(C)における横軸)である。
図51(B)に示す相互相関関数Rの絶対値の最高値は、5.40であり、新たな評価対象である標準施工の時間軸波形と標準施工の時間軸波形の平均とは高い相互相関を示すことが分かる。
また、図51(C)は、新たな評価対象を標準施工として、図51(A)に示す標準施工の時間軸波形と標準施工の時間軸波形の平均(f)との間の数式(11)による正規化相互相関関数Rnormを示しており、その絶対値の最高値は、0.84であり、新たな評価対象である標準施工の時間軸波形と標準施工の時間軸波形の平均とは高い相関を示すことが分かる。
また、図52(C)は、新たな評価対象を施工不良として、図52(A)に示す施工不良の時間軸波形と標準施工の時間軸波形の平均(f)との間の数式(11)による正規化相互相関関数Rnを示しており、その絶対値の最高値は、0.22であり、新たな評価対象である施工不良の時間軸波形と標準施工の時間軸波形の平均とは低い相互相関を示すことが分かる。
また、相互相関の評価対象となる施工不良の場合の時間軸波形と標準施工の時間軸波形の振幅の差が大きいと、相互相関関数Rが大きくなってしまい、時間軸波形が似ていると誤判断され得る可能性があるが、正規化相互相関関数Rnormの場合には、評価対象となる施工不良の場合の時間軸波形の振幅レベルの影響を受けることがなく、より正確な相関関数が得られ、施工不良の判定がより正確に行なわれ得ることとなる。
図53に示すように、例えば時間軸波形の相互相関関数XFでは、接着系樹脂カプセル式のアンカーボルト10Aにおいて、アンカーボルトの閾値は0.98以下、ポイントは4点であり、金属系スリーブ拡張式のアンカーボルト10Bにおいて、アンカーボルトの閾値は0.83以下、ポイントは4点である。図54に示す第2~第7評価指標により得られる施工不良の評価ポイントグラフは、図27と同様の結果が得られた。
これにより、実施例1~3における周波数スペクトルのFFT波形によるスペクトル評価ではなく、時間軸波形による波形評価によっても、あと施工アンカーボルトの施工不良を評価できることが判明した。
さらに、標準施工の時間軸波形の平均 (f(i)) と、評価対象時間軸波形(g(i))との相互相関関数を計算する際に、評価対象の時間軸波形の差分時刻iをτだけずらしながら計算するので、位相ずれがあったとしても、この位相ずれに大きく影響されるようなことなく、相関を確認することができ、コンクリート構造物の施工不良をより正確に評価することが可能である。
なお、実施例5においても、接着系樹脂カプセル式のアンカーボルト10Aや金属系スリーブ拡張式のアンカーボルト10Bを例として示したが、他のアンカーボルトにも適用できることはいうまでもない。
2,2A,2B:下穴
3:樹脂
4:樹脂カプセル
5A,5B:試験体
6:空気溜まり
10,10A,10B:アンカーボルト
11,14:固着部
12,15:露出部
13:金属系スリーブ
21-1~21-4:第1センサ
22:第2センサ(導体棒センサ)
23:リング
24:コイルユニット
25:電磁パルス電源
27:マグネット
30、32、34、36:情報処理装置
40:時間軸波形処理部
50:周波数スペクトル処理部
60:波形評価指標部
80:評価ポイント付与部
90:判定評価部
ST1:弾性波発生処理
ST2:受信処理
ST3:データ処理
ST3a:時間軸波形処理
ST3b:周波数スペクトル処理
ST4:評価指標処理
ST5:評価ポイント付与処理
Claims (16)
- コンクリートに導体棒が部分的に埋め込まれて構成されたコンクリート構造物の診断方法において、
前記導体棒における前記コンクリート表面から露出している露出部にコイルを配置し、
一つのセンサを、前記導体棒の周囲のコンクリート表面に配置するか又は前記導体棒の露出部に配置し、
前記コイルにパルス電流を流して前記コイルよりパルス磁場を発生させ、前記パルス磁場を前記導体棒に作用させて弾性波を発生させる弾性波発生処理と、
前記弾性波を前記センサで受信して受信信号を生成する受信処理と、
前記受信信号をフィルタ処理して時間軸波形と、前記受信信号をフーリエ変換して周波数スペクトルと、をそれぞれ求めてデータ処理結果を出力するデータ処理と、
前記データ処理結果に基づき、導体棒のコンクリートへの施工不良を判定する判定処理と、
を有し、
前記判定処理が、
前記データ処理結果に基づき、複数の評価指標を求める評価指標処理と、
前記複数の評価指標に対して、閾値を基準に施工不良評価用の評価ポイントをそれぞれ付与する評価ポイント付与処理と、
を有し、
前記評価指標処理では、
前記時間軸波形の最大振幅に対して所定の振幅に減衰するまでの波形継続時間の評価指標と、
前記周波数スペクトルにおけるスペクトルの重心周波数の評価指標と、
前記スペクトルの標準偏差の評価指標と、
前記スペクトルのピーク数の評価指標と、
施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標と、
の一つ以上を求めることを特徴とする、コンクリート構造物の診断方法。 - 前記波形継続時間の評価指標は、前記施工不良によって前記導体棒の固定が緩くなり、前記時間軸波形の収束時間が長くなる事象を表現するものであり、
前記スペクトルの重心周波数の評価指標は、前記施工不良によって前記周波数スペクトルが低周波側へシフトする事象を表現するものであり、
前記スペクトルの標準偏差の評価指標は、前記施工不良によって出現する前記周波数スペクトルの集中の度合いを表現するものであり、
前記スペクトルのピーク数の評価指標は、前記導体棒が複雑な構造をしている場合の前記施工不良によって出現する複数の周波数スペクトルを表現するものであり、
前記施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標は、前記施工不良によって出現する前記周波数スペクトルと複数の標準施工によるスペクトルを平均化したFFT波形との相関係数を表現するものである、
ことを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート構造物の診断方法。 - 前記評価ポイント付与処理では、
前記波形継続時間の評価指標、前記スペクトルの重心周波数の評価指標、前記スペクトルの標準偏差の評価指標、前記スペクトルのピーク数の評価指標及び前記施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標の一つ以上に対して、前記閾値を基準に前記評価ポイントをそれぞれ付与することを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の診断方法。 - 前記判定処理では、評価分析処理を行い、
前記評価分析処理では、前記データ処理結果に基づき、前記時間軸波形又は周波数スペクトルから、前もって既知のデータ処理結果により設定された学習結果に基づいて、標準施工又は施工不良を示す出力信号を出力することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート構造物の診断方法。 - 前記評価分析処理が、前記データ処理結果を入力信号とする入力層と、前記出力信号を出力する出力層と、前記入力層と前記出力層との間に挿入され、前記入力層から判別用の教師信号が入力され前記出力層に教師信号を出力する少なくとも一つの中間層と、を含むニューラルネットワークにより行なわれることを特徴とする、請求項4に記載のコンクリート構造物の診断方法。
- 前記評価分析処理では、標準施工又は施工不良からなる二つの出力信号を出力することを特徴とする、請求項5に記載のコンクリート構造物の診断方法。
- 前記評価分析処理では、標準施工、少なくとも二つ以上の施工不良、からなる三つ以上の出力信号を出力することを特徴とする、請求項5に記載のコンクリート構造物の診断方法。
- 前記評価指標処理では、
さらに、施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指数を求めることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート構造物の診断方法。 - 前記施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標は、前記相互相関関数を構成する二つの関数の大きさにより正規化されていることを特徴とする、請求項8に記載のコンクリート構造物の診断方法。
- 前記施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標は、前記施工不良の程度が大きいほど時間軸波形の形状に差異が出て相互相関関数が小さくなる事象を表現するものである、
ことを特徴とする、請求項8または9に記載のコンクリート構造物の診断方法。 - 前記評価ポイント付与処理では、
前記波形継続時間の評価指標、前記施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標、前記スペクトルの重心周波数の評価指標、前記スペクトルの標準偏差の評価指標、前記スペクトルのピーク数の評価指標及び前記施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標の一つ以上に対して、前記閾値を基準に前記評価ポイントをそれぞれ付与することを特徴とする、請求項9または10に記載のコンクリート構造物の診断方法。 - 前記導体棒は、あと施工アンカーボルトを含む導電部材であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載のコンクリート構造物の診断方法。
- コンクリートに導体棒が部分的に埋め込まれて構成されたコンクリート構造物の診断装置において、
前記導体棒における前記コンクリート表面から露出している露出部に配置されたコイルと、
前記導体棒の周囲のコンクリート表面に配置されるか、又は、前記導体棒の露出部に配置された一つのセンサと、
前記コイルにパルス電流を流して前記コイルよりパルス磁場を発生させ、前記パルス磁場を前記導体棒に作用させて弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
前記弾性波を前記センサで受信して受信信号を生成する波形受信部と、
前記受信信号をフィルタ処理して時間軸波形を求める時間軸波形処理部と、
前記受信信号をフーリエ変換して周波数スペクトルを求める周波数スペクトル処理部と、
前記時間軸波形処理部の処理結果に基づき、波形継続時間の評価指標を求める波形評価指標部と、
前記周波数スペクトル処理部の処理結果に基づき、スペクトルの重心周波数の評価指標、前記スペクトルの標準偏差の評価指標及び前記スペクトルのピーク数の評価指標を求めるスペクトル評価指標部と、
前記波形継続時間の評価指標、前記スペクトルの重心周波数の評価指標、前記スペクトルの標準偏差の評価指標、前記スペクトルのピーク数の評価指標及び施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標と、の一つ以上に対して、閾値を基準に施工不良評価用の評価ポイントをそれぞれ付与する評価ポイント付与部と、
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の診断装置。 - コンクリートに導体棒が部分的に埋め込まれて構成されたコンクリート構造物の診断装置において、
前記導体棒における前記コンクリート表面から露出している露出部に配置されたコイルと、
前記導体棒の周囲のコンクリート表面に配置されるか、又は、前記導体棒の露出部に配置された一つのセンサと、
前記コイルにパルス電流を流して前記コイルよりパルス磁場を発生させ、前記パルス磁場を前記導体棒に作用させて弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
前記弾性波を前記センサで受信して受信信号を生成する波形受信部と、
前記受信信号をフィルタ処理して時間軸波形、又は前記受信信号をフーリエ変換して周波数スペクトル、をそれぞれ求めるデータ処理部と、
前記データ処理部の処理結果に基づき、前記時間軸波形又は周波数スペクトルから、前もって既知のデータ処理結果により設定された学習結果に基づいて、標準施工又は施工不良を示す出力信号を出力する、評価分析部と、
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の診断装置。 - コンクリートに導体棒が部分的に埋め込まれて構成されたコンクリート構造物の診断装置において、
前記導体棒における前記コンクリート表面から露出している露出部に配置されたコイルと、
前記導体棒の周囲のコンクリート表面に配置されるか、又は、前記導体棒の露出部に配置された一つのセンサと、
前記コイルにパルス電流を流して前記コイルよりパルス磁場を発生させ、前記パルス磁場を前記導体棒に作用させて弾性波を発生させる弾性波発生手段と、
前記弾性波を前記センサで受信して受信信号を生成する波形受信部と、
前記受信信号をフィルタ処理して時間軸波形を求める時間軸波形処理部と、
前記受信信号をフーリエ変換して周波数スペクトルを求める周波数スペクトル処理部と、
前記時間軸波形処理部の処理結果に基づき、波形継続時間の評価指標と、施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標と、を求める波形評価指標部と、
前記周波数スペクトル処理部の処理結果に基づき、スペクトルの重心周波数の評価指標、前記スペクトルの標準偏差の評価指標及び前記スペクトルのピーク数の評価指標を求めるスペクトル評価指標部と、
前記波形継続時間の評価指標、前記施工不良の時間軸波形と複数の標準施工の平均時間軸波形との相互相関関数の評価指標、前記スペクトルの重心周波数の評価指標、前記スペクトルの標準偏差の評価指標、前記スペクトルのピーク数の評価指標及び施工不良のスペクトルと複数の標準施工の平均スペクトルとの相関係数の評価指標と、の一つ以上に対して、閾値を基準に施工不良評価用の評価ポイントをそれぞれ付与する評価ポイント付与部と、
を備えることを特徴とするコンクリート構造物の診断装置。 - 前記導体棒は、あと施工アンカーボルトを含む導電部材であることを特徴とする請求項13から15の何れかに記載のコンクリート構造物の診断装置。
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