JP2004028907A - 構造物健全度評価装置及びその装置を用いた構造物の健全度評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造物について微小損傷の定量評価を行う構造物健全度評価装置及びその装置を用いた構造物の健全度評価方法を提供する。
【解決手段】構造物10に圧電素子20を貼り付け、前記圧電素子20に電圧を印加することによって構造物10に高周波弾性波を発生させながら、前記圧電素子20に発生する電気インピーダンスの変化を連続的に観察することで、構造物の損傷・評価を行う構造物の健全度評価方法であって、前記電気インピーダンスの連続的観察を、ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数を用いる。
【選択図】図2
【解決手段】構造物10に圧電素子20を貼り付け、前記圧電素子20に電圧を印加することによって構造物10に高周波弾性波を発生させながら、前記圧電素子20に発生する電気インピーダンスの変化を連続的に観察することで、構造物の損傷・評価を行う構造物の健全度評価方法であって、前記電気インピーダンスの連続的観察を、ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数を用いる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋、高架橋、送電線鉄塔などの構造物、設備などの損傷の早期検知や健全性評価を行う構造物の定量的評価を行う構造物健全度評価装置及びその装置を用いた構造物の健全度評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物の損傷の種類としては鋼材のひび割れや腐食、ボルトの緩みや脱落などがある。鋼材のひび割れやボルトの緩みは塗装に隠れ分かりにくい場合があり、早期発見が難しい。さらに鋼材のひび割れは金属疲労の場合が多く、鋼橋のほかにも高速道路内の標識柱が、その基部に風や交通で起こる振動により繰り返し応力を受け、金属疲労から亀裂が生じ折損した報告もある。また、金属材料は腐食されるとその疲労強度以下で破壊が起こる。
そこで鋼材の内部応力や腐食の状態さらにボルトの状態を定常的に検査する必要がある。構造物を破壊せずに損傷を評価する方法としては超音波やX線を用いた非破壊検査と構造物のヘルスモニタリング技術(構造物健全度評価技術)がある。
非破壊検査は局所的に使用することが多く、超音波パルスの反射波を利用した超音波深傷法や、亀裂が発生する時に出る弾性波を利用したAE(AcousticEmissin)法により傷の有無と大きさを評価する。
構造物のヘルスモニタリング技術は材料中に神経やニューロンのようにセンサを埋め込み、または取り付けることで構造物に加えられたひずみや応力変化、材料中に発生した損傷等をリアルタイムで自己検知・診断する技術である。そのため、従来の超音波やX線を用いた検査方法が使用しにくい宇宙構造物やスマート構造に利用する研究がなされている。
ヘルスモニタリングに利用するセンサには光ファイバを用いたものや圧電素子を用いたものがある。
圧電素子はセンサとして機能すると同時にアクチュエータとしても機能し、材料に貼りつけるだけで使用できるため、鋼材に貼りつけ計測を行うことで損傷の評価ができるようになる。
圧電素子による計測方法の1つとしてこれをセンサかつアクチュエータとして用いたインピーダンス計測法がある。
この方法の基本原理は構造物中の損傷による物理的変化が構造物の機械的インピーダンスの変化をもたらすので、それと構造物に貼りつけた圧電素子の電気的インピーダンスの変化を記録することで評価しようとする方法である。インピーダンス計測法は高感度で微小損傷の検出に有効である一方、定量的な評価法は今だ確立されていない。
【0003】
しかし、光ファイバを用いたセンサは材料中全体に埋め込み神経のように使用するため、構造物の材料特性を損なう可能性があり、また現存する構造物には後から埋め込みことが難しい。
また、これらの手法は、検査に莫大な時間と人手,及びコストを要する、検査時に構造物或いは設備を使用停止にする必要がある、等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は構造物について微小損傷の定量評価を行う構造物健全度評価装置及びその装置を用いた構造物の健全度評価方法を提供することを目的とする。
また、本発明では鉄橋や高架橋、そして鉄塔などの初期損傷を早期発見できるヘルスモニタリング技術の確立を目指して、構造物の初期損傷を定量的に計測・評価する技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の構造物の健全度評価方法は、構造物に圧電素子を貼り付け、前記圧電素子に電圧を印加することによって構造物に高周波弾性波を発生させながら、前記圧電素子に発生する電気インピーダンスの変化を連続的に観察することで、構造物の損傷・評価を行う構造物の健全度評価方法であって、
前記電気インピーダンスの連続的観察を、ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数のいずれか又は組み合わせて用いることを特徴とする。
この場合において、前記圧電素子が構造物を構成する梁の片面又は両面に貼り付けられたものであることが好ましい。
本発明の構造物健全度評価装置は、構造物に貼り付け、電圧を印加することによって前記構造物に高周波弾性波を発生させるための圧電素子と、前記圧電素子に発生する電気インピーダンスの変化の連続的観察を、ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数のいずれか又は組み合わせて用いて前記構造物の損傷を検知する損傷検知手段とを具備してなることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わる構造物の健全度を定量的に計測・評価する構造物健全度評価装置を示す概略図である。図1に示すように、本発明では、計測・評価しようとする構造物10に圧電素子20を貼りつけ、構造物10のインピーダンスの応答特性について調べる。
一般に構造物は、質量、ばね、ダンパ系にモデル化できるため、構造物10に何らかの要因で損傷が発生すると、健全時に比べ構造物10の剛性や減衰率などが変化し、その結果構造物10の機械的インピーダンスが変化する。
本発明においては、構造物10の損傷の発生と機械的インピーダンスの変化の関係から、機械的インピーダンスの計測を行うことで構造物10の健全状態(損傷の有無)を評価しようとするものである。
【0007】
図1に示す実施の形態においては、構造物10に貼り付けてある圧電素子20のアドミタンス(電気的インピーダンスの逆数)は、構造物10ならびに圧電素子20の機械的インピーダンスを用いて表せる。
図1に示す実施の形態において、構造物10に損傷が生じなければ圧電素子20の機械的インピーダンスは一定なので、構造物10の機械的インピーダンスの変化が支配的となる。
従って、構造物10の機械的インピーダンスの値は、それに貼りつけた圧電素子20の電気的インピーダンスの計測を通して得ることができる。
本発明では、「構造物の損傷」と「機械的インピーダンス」、そして「圧電素子の電気的インピーダンス」の三者の関連を利用して、圧電素子20の電気的インピーダンスを連続的に計測することで構造物10の損傷状態を評価しようとするものである。
本実施の形態で用いる圧電素子20の物性値の一例を表1に示すが、この数値は圧電素子ごとに異なるものであるのでその都度設定する必要がある。
【0008】
【表1】
【0009】
次に、図2に本実施の形態の構造物健全度評価装置の主要部を示す。
図2に示すように、本実施の形態の構造物健全度評価装置は、構造物10に貼り付けた圧電素子20と、圧電素子20からのインピーダンス応答を解析するインピーダンスアナライザー(損傷検知手段)12と、インピーダンスアナライザー12に計測周波数範囲と掃引周波数ステップを入力するコンピュータ13とを有する。図2において、圧電素子20に交流電圧をかけると、構造物10中に縦弾性波が発生するので、この縦弾性波を圧電素子20の電気的インピーダンス応答としてインピーダンスアナライザー12で計測し、コンピュータ13に送信する。
【0010】
このような構造物健全度評価装置を用いて、図3に示すように、初めにコンピュータ13から計測周波数範囲と掃引周波数ステップをインピーダンスアナライザー12に入力して、それに対応した一定(1Vrms)の交流信号を圧電素子20に加える。
これによって構造物10に生じた定常波が圧電素子20に電位変化をもたらす。この電位変化をインピーダンスアナライザー12によってインピーダンス変化を計算し、コンピュータ13に転送データとして記録される。
なお、本実施の形態において用いるインピーダンスアナライザー12としては、圧電素子からのインピーダンス応答を解析するインピーダンスアナライザーであれば特に限定するものではないが、一例としては、ヒューレットパッカード(HEWLETT PACKARD)社製・4192Aが挙げられる。
【0011】
また、本発明においては、インピーダンス計測法を用いた場合、構造物に発生した損傷がもたらすインピーダンス応答は周波数領域によって異なることを利用する。どの周波数領域を使用するかが計測精度と評価信頼性に大きく影響するので、構造物10を用いて、周波数範囲1〜100(kHz)までの範囲で測定し、どの周波数範囲を好適に用いることができるかを調査した。その結果を図4に示す。
図4に示す結果から、周波数範囲1〜30(kHz)と、45〜90(kHz)とに、インピーダンスピーク値が比較的多くみられることが判るが、周波数が30(kHz)以下の範囲は、グラフの急激な下降を伴う領域と重なるのでピーク値の判別が困難であり、したがって、比較的グラフがフラットな範囲である周波数範囲45〜90(kHz)を用いることが好ましい。
【0012】
また、他の実施の形態として、図5に示すように、圧電素子20を構造物10の両面に貼り付け、同時駆動させることもできる。このように構造物10の両面に貼り付けることで、構造物の長手方向(縦モード)の縦弾性波のみを発生させることができ、片面に貼り付けて、縦モードの弾性波と曲げモードの弾性波を同時に発生させて測定させるよりも測定精度を上げることができる。
すなわち、曲げモード弾性波はその周波数が比較的低いため大きなパワーを持ち縦モード弾性波を飲み込んでしまうので測定精度を低下させる恐れがあるので、できるだけ除く方が好ましい。
【0013】
次に、図6に示すような実際の構造物10を構成する複数のビーム11へ圧電素子を取り付けてインピーダンスを測定した結果を図7に示す。
図7では、図6で示すビーム11の▲1▼の位置に固定した圧電素子の波形を基準として併せて表示してあるが、図6の▲1▼〜▲7▼のどの位置に圧電素子を固定してもインピーダンスピークの周波数と振幅はほとんど変化しない。
【0014】
一般にインピーダンス計測法を用いる場合、構造物に発生した損傷がもたらすインピーダンス応答は、周波数領域によって異なるため、どの周波数領域を使用するかが計測精度と評価信頼性に大きく影響する。
従って、本発明において実際の構造物の損傷を検知するには、掃引周波数領域をピークの存在が確認しやすい50〜80(kHz)の範囲の周波数域を走査することで構造物の損傷検知の効率化を図ることができる。
【0015】
次に、図8を用いて、本発明の実施の形態で用いる構造物の健全度を評価する場合のモデル構造物を説明する。
一般に、構造物に損傷を与えると、そのインピーダンスピーク値の大きさと周波数が変化する。その損傷の大きさが微小であればピークの変化も微小である。本発明では、微小な損傷の変化の一例として構造物を固定している一点のボルトの締めつけトルクが緩んだ場合を損傷として考える。
この方法は、トルクの緩みの調整はトルクレンジで行うため、締め直すことで何回も計測を行うことができるので、構造物の損傷の解析に汎用的に用いられている手法である。
しかし、このモデル構造物はビームとジョイント部をボルトとナットで固定してあるため、ボルトの締め付けトルクを一度変化させると構造物全体の特性が変化する可能性がある。そこで、計測を行う上で一定の手順が必要になる。
【0016】
まず初めに、構造物が健康な状態のインピーダンス波形を測定する。すなわち、構造物を形成するビーム同士を固定するためのボルトの締め付けトルクを2.0Nmとする。そして、図8に示すように、ボルトaの締めつけトルクを、2.0Nmから1.0Nmまで、0.25Nm刻みで緩め、そのときのボルトaの近くに設けた圧電素子20インピーダンス応答を測定した。
【0017】
その結果を図9に示す。図9の結果から、いずれの締め付けトルクでもインピーダンス変化が大きく現れる周波数域が4箇所あることが判る。
すなわち、周波数域64.0〜65.5(kHz)にあるピークA(peakAとする)、周波数域68.0〜70.0(kHz)にあるピークB(peak Bとする)、周波数域72.0〜74.5(kHz)にあるピークC(Peak Cとする)、さらに周波数域76.0〜78.5(kHz)にあるピークD(Peak Dとする)が顕著に現れていることが判る。これらの各ピークを拡大したものを図10に示す。
また、図10の拡大図より、ボルトaの締め付けトルクの減少に応じて、インピーダンス波形の各ピーク周波数のシフト及び振幅の変化が顕著に現れており、これらの各ピーク変化を用いれば、構造物の健全性の定量評価が可能と考えられる。
以下に、本発明の損傷検知手段において用いられる三つの健全度評価指数について説明する。
【0018】
<健全度評価指数(1):ピーク周波数シフト量ΔF>
健全度評価指数の第1番目として、ピーク周波数シフト量ΔFを用いる。
図10より、インピーダンス波形の変化を調べる上で最も変化が顕著にあらわれるパラメータはピーク周波数の変化である。そこで本発明においては健全度評価指数(1)として、ピーク周波数のシフト量ΔFを用いる。
一般に構造物に損傷が発生すると、損傷部への応力集中により内部を伝播する弾性波が変化するので、それによって構造物の共振周波数が変化する。そこで、構造物が健全状態である時に測定しておいた周波数応答と比較するとピークの現れる周波数がシフトする。
健全状態でのピーク周波数をfhとし、損傷後のピーク周波数をfdとすると、その差(fh−fd)をピーク周波数シフト量ΔFとする(図11参照)。
【0019】
ピーク周波数シフト量ΔFを用いて、図10の各ピークを評価した結果を図12に示す。図12に示すように、0.25Nm刻みで締め付けトルクを減少させると、ピークA〜Dのピークすべてにおいてピーク周波数シフト量ΔFが増大し、特に、構造物の健全度が危険領域に入ると考えられる締め付けトルクが1Nmを境に、ピーク波形の変化が急激に増加し、各ピーク波形について算出した周波数シフト量ΔFにも大きくばらついている。
また、ピークA〜ピークDを平均化したグラフは、トルクの減少に対しほぼ直線的に変化し、締め付けトルクが1Nmを境に急な変化がみられる。
【0020】
この結果からピーク周波数シフト量ΔFを用いることで、構造物の健全度の変化を定量的に測定することができる。
逆に、前記ピーク周波数シフト量ΔFの平均値と、締め付けトルクTの実測データから最小二乗法より締め付けトルク(損傷の程度)の推定式を求めると、
T=1.966−0.00718ΔF ・・・▲1▼ となり、ピーク周波数シフト量ΔFから構造物の損傷の程度を推定できる。▲1▼式の場合Tが構造物の損傷の程度を表す。
【0021】
<健全度評価指数(2):ピーク振幅比変化率δ>
2番目の評価指数としてピーク振幅比変化率δを用いる。ピーク振幅比変化率δは、図13に示すように、健全状態の振幅をAhとし、損傷を受けた後のピークをAdとすると、 δ=(Ah−Ad)×100/Ah と定義する。
【0022】
また、図14に、図10から算出した健全度評価指数(2)ピーク振幅比変化率δの結果を示す。図14に示すように、0.25Nm刻みで締め付けトルクを減少させていくと、ピークA〜Dのピークすべてにおいてピーク振幅比変化率δが増大し、特に、構造物の健全度が危険領域に入ると考えられる締め付けトルクが1Nmを境に、いずれのピークのピーク振幅比変化率δも急激に増加していることが判る。
【0023】
この結果からピーク振幅比変化率δを用いることで、構造物の健全度の変化を定量的に測定することができる。
逆に、前記ピーク振幅比変化率δの平均値と、締め付けトルクTの実測データから最小二乗法より締め付けトルク(損傷の程度)の推定式を求めると、
T=1.979−0.03467δ ・・・▲2▼ となり、ピーク振幅比変化率δから構造物の損傷の程度を推定できる。▲2▼式の場合Tが構造物の損傷の程度を表す。
【0024】
<健全度評価指数(3):Q値比変化率γ>
3番目の評価指数としてQ値を用いたQ値比変化率γを用いる。Q値は、ピーク波形の先端部の鋭さを表す値であり、損傷部に発生又は伝播する波動エネルギーの損失を評価する指数として線質係数である。
線質係数Q値は、一般的には、図15に示すように、ピーク波形の最大振幅とそれに対応する周波数を、それぞれAmax,f0として、ピーク最大振幅の2(−1/2)倍に対応する周波数をf1,f2とすると、
線質係数Q=f0/(f2−f1)≒1/2ζ となる。
【0025】
また、質量、ばね、ダンパ構造系においては、線質係数Qは系の減衰比ζで近似されるため、損傷部の減衰特性の評価指数として利用できる。そこで、構造物が健全状態のときのQ値をQh、損傷後のそれをQdとすると、Q値比変化率γは次のように定義できる。
Q値比変化率γ=(Qh−Qd)×100/Qh と定義する。
このQ値比変化率γは、例えば、損傷箇所での応力集中などによる波動エネルギーの損失が起こると、そのエネルギーの損失量を評価する指標として用いることができる。そこで、Q値比変化率γを用いて各ピークA〜Dを評価した結果を図16に示す。
【0026】
図16に示すように、0.25Nm刻みで締め付けトルクを減少させると、ピークA〜Dは、構造物の健全度が危険領域に入ると考えられる締め付けトルクが1Nmを境に急激に増加することが判る。この結果からQ値比変化率γを用いることで、構造物の健全度の変化を定量的に測定することができる。
逆に、前記Q値比変化率γの平均値と、締め付けトルクTの実測データから最小二乗法より締め付けトルクの推定式を求めると、
T=2.095−0.04314γ ・・・▲3▼ となり、Q値比変化率γから構造物の損傷の程度を推定できる。▲3▼式の場合Tが構造物の損傷の程度を表す。
【0027】
本発明においては、前記▲1▼〜▲3▼式で示したように、上記のピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ、Q値比変化率γを、それぞれ単独で、構造物の健全度評価指数として用いて、Tを求め構造物の健全度を推定することができるが、これらの評価指数を組み合わせて用いることもできる。
例えば、上記の▲1▼〜▲3▼式を併合して下記▲4▼式のように、損傷程度を定量的に評価することもできる。
T=α0+αfΔF+αdδ+αgγ・・・・▲4▼
ここで、係数(α0,αf,αd,αg)はそれぞれ前記健全度評価指数(1)〜(3)の平均値(ΔF,δ,γ)から求めるものである。前記の図12、図14、図16で示した例について求めた係数は下記の表2のようになるが、これらの係数は、モデルになる構造物から予めデータを求めて係数(α0,αf,αd,αg)を決定しておいて、同種類の構造物について上記▲4▼式を適用することができる。
前記▲4▼式を用いることにより、損傷と無関係の外部影響をおさえることができ損傷程度の推定を向上できる。
【0028】
【表2】
【0029】
次に、構造物モデルを用いて、上記▲4▼式の実用性を評価するグラフを図17に示す。図17において、ボルトに加えた締め付けトルク(実際の損傷の程度)を横軸として、構造物の健全度Tの推定トルク(▲4▼式を用いた計算結果T=健全度推定トルク)を縦軸として示した。
図17に示すように、実際にボルトに加えた締め付けトルクと計算結果T=健全度推定トルクとが直線上に乗っていることから、▲4▼式を用いて構造物の健全度を推定(評価)することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、構造物の健全度評価にインピーダンス応答を計測することで、鉄橋や高架橋、送電線鉄塔などの構造物における初期の微小損傷の早期発見ができる。
また、本発明で用いた構造物損傷の定量的評価指数として、「ピーク周波数シフト量ΔF」、「ピーク振幅比変化率δ」、「Q値比変化率γ」を連続的に測定し、これらの評価指数を組み合わせて用いることにより、さらに構造物の早期損傷を効率的に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる構造物の健全度を定量的に計測・評価する構造物健全度評価装置を示す概略図である。
【図2】本実施の形態の構造物健全度評価装置の主要部を示す。
【図3】本実施の形態の構造物健全度評価装置の計測概念を示す説明図である。
【図4】本実施の形態の構造物健全度評価装置を用いた計測結果を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す説明図である。
【図6】圧電素子を実際の構造物へ取り付けてインピーダンスを測定した実施例である。
【図7】図6における測定結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態で用いる構造物の健全度を評価する場合のモデル構造物を説明する概略図である。
【図9】図8における測定結果を示すグラフである。
【図10】図9の測定結果を示すグラフの拡大図である。
【図11】ピーク周波数シフト量ΔFの説明図である。
【図12】インピーダンスピーク周波数シフト量ΔFを用いて、図10の各ピークを評価した結果を示すグラフである。
【図13】ピーク振幅比変化率δの説明図である。
【図14】ピーク振幅比変化率δを用いて、図10の各ピークを評価した結果を示すグラフである。
【図15】Q値比変化率γの説明図である。
【図16】Q値比変化率γを用いて、図10の各ピークを評価した結果を示すグラフである。
【図17】締め付けトルクと推定トルクの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:構造物
11:ビーム
12:インピーダンスアナライザー(損傷検知手段)
13:コンピュータ13
20:圧電素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋、高架橋、送電線鉄塔などの構造物、設備などの損傷の早期検知や健全性評価を行う構造物の定量的評価を行う構造物健全度評価装置及びその装置を用いた構造物の健全度評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物の損傷の種類としては鋼材のひび割れや腐食、ボルトの緩みや脱落などがある。鋼材のひび割れやボルトの緩みは塗装に隠れ分かりにくい場合があり、早期発見が難しい。さらに鋼材のひび割れは金属疲労の場合が多く、鋼橋のほかにも高速道路内の標識柱が、その基部に風や交通で起こる振動により繰り返し応力を受け、金属疲労から亀裂が生じ折損した報告もある。また、金属材料は腐食されるとその疲労強度以下で破壊が起こる。
そこで鋼材の内部応力や腐食の状態さらにボルトの状態を定常的に検査する必要がある。構造物を破壊せずに損傷を評価する方法としては超音波やX線を用いた非破壊検査と構造物のヘルスモニタリング技術(構造物健全度評価技術)がある。
非破壊検査は局所的に使用することが多く、超音波パルスの反射波を利用した超音波深傷法や、亀裂が発生する時に出る弾性波を利用したAE(AcousticEmissin)法により傷の有無と大きさを評価する。
構造物のヘルスモニタリング技術は材料中に神経やニューロンのようにセンサを埋め込み、または取り付けることで構造物に加えられたひずみや応力変化、材料中に発生した損傷等をリアルタイムで自己検知・診断する技術である。そのため、従来の超音波やX線を用いた検査方法が使用しにくい宇宙構造物やスマート構造に利用する研究がなされている。
ヘルスモニタリングに利用するセンサには光ファイバを用いたものや圧電素子を用いたものがある。
圧電素子はセンサとして機能すると同時にアクチュエータとしても機能し、材料に貼りつけるだけで使用できるため、鋼材に貼りつけ計測を行うことで損傷の評価ができるようになる。
圧電素子による計測方法の1つとしてこれをセンサかつアクチュエータとして用いたインピーダンス計測法がある。
この方法の基本原理は構造物中の損傷による物理的変化が構造物の機械的インピーダンスの変化をもたらすので、それと構造物に貼りつけた圧電素子の電気的インピーダンスの変化を記録することで評価しようとする方法である。インピーダンス計測法は高感度で微小損傷の検出に有効である一方、定量的な評価法は今だ確立されていない。
【0003】
しかし、光ファイバを用いたセンサは材料中全体に埋め込み神経のように使用するため、構造物の材料特性を損なう可能性があり、また現存する構造物には後から埋め込みことが難しい。
また、これらの手法は、検査に莫大な時間と人手,及びコストを要する、検査時に構造物或いは設備を使用停止にする必要がある、等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は構造物について微小損傷の定量評価を行う構造物健全度評価装置及びその装置を用いた構造物の健全度評価方法を提供することを目的とする。
また、本発明では鉄橋や高架橋、そして鉄塔などの初期損傷を早期発見できるヘルスモニタリング技術の確立を目指して、構造物の初期損傷を定量的に計測・評価する技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の構造物の健全度評価方法は、構造物に圧電素子を貼り付け、前記圧電素子に電圧を印加することによって構造物に高周波弾性波を発生させながら、前記圧電素子に発生する電気インピーダンスの変化を連続的に観察することで、構造物の損傷・評価を行う構造物の健全度評価方法であって、
前記電気インピーダンスの連続的観察を、ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数のいずれか又は組み合わせて用いることを特徴とする。
この場合において、前記圧電素子が構造物を構成する梁の片面又は両面に貼り付けられたものであることが好ましい。
本発明の構造物健全度評価装置は、構造物に貼り付け、電圧を印加することによって前記構造物に高周波弾性波を発生させるための圧電素子と、前記圧電素子に発生する電気インピーダンスの変化の連続的観察を、ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数のいずれか又は組み合わせて用いて前記構造物の損傷を検知する損傷検知手段とを具備してなることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わる構造物の健全度を定量的に計測・評価する構造物健全度評価装置を示す概略図である。図1に示すように、本発明では、計測・評価しようとする構造物10に圧電素子20を貼りつけ、構造物10のインピーダンスの応答特性について調べる。
一般に構造物は、質量、ばね、ダンパ系にモデル化できるため、構造物10に何らかの要因で損傷が発生すると、健全時に比べ構造物10の剛性や減衰率などが変化し、その結果構造物10の機械的インピーダンスが変化する。
本発明においては、構造物10の損傷の発生と機械的インピーダンスの変化の関係から、機械的インピーダンスの計測を行うことで構造物10の健全状態(損傷の有無)を評価しようとするものである。
【0007】
図1に示す実施の形態においては、構造物10に貼り付けてある圧電素子20のアドミタンス(電気的インピーダンスの逆数)は、構造物10ならびに圧電素子20の機械的インピーダンスを用いて表せる。
図1に示す実施の形態において、構造物10に損傷が生じなければ圧電素子20の機械的インピーダンスは一定なので、構造物10の機械的インピーダンスの変化が支配的となる。
従って、構造物10の機械的インピーダンスの値は、それに貼りつけた圧電素子20の電気的インピーダンスの計測を通して得ることができる。
本発明では、「構造物の損傷」と「機械的インピーダンス」、そして「圧電素子の電気的インピーダンス」の三者の関連を利用して、圧電素子20の電気的インピーダンスを連続的に計測することで構造物10の損傷状態を評価しようとするものである。
本実施の形態で用いる圧電素子20の物性値の一例を表1に示すが、この数値は圧電素子ごとに異なるものであるのでその都度設定する必要がある。
【0008】
【表1】
【0009】
次に、図2に本実施の形態の構造物健全度評価装置の主要部を示す。
図2に示すように、本実施の形態の構造物健全度評価装置は、構造物10に貼り付けた圧電素子20と、圧電素子20からのインピーダンス応答を解析するインピーダンスアナライザー(損傷検知手段)12と、インピーダンスアナライザー12に計測周波数範囲と掃引周波数ステップを入力するコンピュータ13とを有する。図2において、圧電素子20に交流電圧をかけると、構造物10中に縦弾性波が発生するので、この縦弾性波を圧電素子20の電気的インピーダンス応答としてインピーダンスアナライザー12で計測し、コンピュータ13に送信する。
【0010】
このような構造物健全度評価装置を用いて、図3に示すように、初めにコンピュータ13から計測周波数範囲と掃引周波数ステップをインピーダンスアナライザー12に入力して、それに対応した一定(1Vrms)の交流信号を圧電素子20に加える。
これによって構造物10に生じた定常波が圧電素子20に電位変化をもたらす。この電位変化をインピーダンスアナライザー12によってインピーダンス変化を計算し、コンピュータ13に転送データとして記録される。
なお、本実施の形態において用いるインピーダンスアナライザー12としては、圧電素子からのインピーダンス応答を解析するインピーダンスアナライザーであれば特に限定するものではないが、一例としては、ヒューレットパッカード(HEWLETT PACKARD)社製・4192Aが挙げられる。
【0011】
また、本発明においては、インピーダンス計測法を用いた場合、構造物に発生した損傷がもたらすインピーダンス応答は周波数領域によって異なることを利用する。どの周波数領域を使用するかが計測精度と評価信頼性に大きく影響するので、構造物10を用いて、周波数範囲1〜100(kHz)までの範囲で測定し、どの周波数範囲を好適に用いることができるかを調査した。その結果を図4に示す。
図4に示す結果から、周波数範囲1〜30(kHz)と、45〜90(kHz)とに、インピーダンスピーク値が比較的多くみられることが判るが、周波数が30(kHz)以下の範囲は、グラフの急激な下降を伴う領域と重なるのでピーク値の判別が困難であり、したがって、比較的グラフがフラットな範囲である周波数範囲45〜90(kHz)を用いることが好ましい。
【0012】
また、他の実施の形態として、図5に示すように、圧電素子20を構造物10の両面に貼り付け、同時駆動させることもできる。このように構造物10の両面に貼り付けることで、構造物の長手方向(縦モード)の縦弾性波のみを発生させることができ、片面に貼り付けて、縦モードの弾性波と曲げモードの弾性波を同時に発生させて測定させるよりも測定精度を上げることができる。
すなわち、曲げモード弾性波はその周波数が比較的低いため大きなパワーを持ち縦モード弾性波を飲み込んでしまうので測定精度を低下させる恐れがあるので、できるだけ除く方が好ましい。
【0013】
次に、図6に示すような実際の構造物10を構成する複数のビーム11へ圧電素子を取り付けてインピーダンスを測定した結果を図7に示す。
図7では、図6で示すビーム11の▲1▼の位置に固定した圧電素子の波形を基準として併せて表示してあるが、図6の▲1▼〜▲7▼のどの位置に圧電素子を固定してもインピーダンスピークの周波数と振幅はほとんど変化しない。
【0014】
一般にインピーダンス計測法を用いる場合、構造物に発生した損傷がもたらすインピーダンス応答は、周波数領域によって異なるため、どの周波数領域を使用するかが計測精度と評価信頼性に大きく影響する。
従って、本発明において実際の構造物の損傷を検知するには、掃引周波数領域をピークの存在が確認しやすい50〜80(kHz)の範囲の周波数域を走査することで構造物の損傷検知の効率化を図ることができる。
【0015】
次に、図8を用いて、本発明の実施の形態で用いる構造物の健全度を評価する場合のモデル構造物を説明する。
一般に、構造物に損傷を与えると、そのインピーダンスピーク値の大きさと周波数が変化する。その損傷の大きさが微小であればピークの変化も微小である。本発明では、微小な損傷の変化の一例として構造物を固定している一点のボルトの締めつけトルクが緩んだ場合を損傷として考える。
この方法は、トルクの緩みの調整はトルクレンジで行うため、締め直すことで何回も計測を行うことができるので、構造物の損傷の解析に汎用的に用いられている手法である。
しかし、このモデル構造物はビームとジョイント部をボルトとナットで固定してあるため、ボルトの締め付けトルクを一度変化させると構造物全体の特性が変化する可能性がある。そこで、計測を行う上で一定の手順が必要になる。
【0016】
まず初めに、構造物が健康な状態のインピーダンス波形を測定する。すなわち、構造物を形成するビーム同士を固定するためのボルトの締め付けトルクを2.0Nmとする。そして、図8に示すように、ボルトaの締めつけトルクを、2.0Nmから1.0Nmまで、0.25Nm刻みで緩め、そのときのボルトaの近くに設けた圧電素子20インピーダンス応答を測定した。
【0017】
その結果を図9に示す。図9の結果から、いずれの締め付けトルクでもインピーダンス変化が大きく現れる周波数域が4箇所あることが判る。
すなわち、周波数域64.0〜65.5(kHz)にあるピークA(peakAとする)、周波数域68.0〜70.0(kHz)にあるピークB(peak Bとする)、周波数域72.0〜74.5(kHz)にあるピークC(Peak Cとする)、さらに周波数域76.0〜78.5(kHz)にあるピークD(Peak Dとする)が顕著に現れていることが判る。これらの各ピークを拡大したものを図10に示す。
また、図10の拡大図より、ボルトaの締め付けトルクの減少に応じて、インピーダンス波形の各ピーク周波数のシフト及び振幅の変化が顕著に現れており、これらの各ピーク変化を用いれば、構造物の健全性の定量評価が可能と考えられる。
以下に、本発明の損傷検知手段において用いられる三つの健全度評価指数について説明する。
【0018】
<健全度評価指数(1):ピーク周波数シフト量ΔF>
健全度評価指数の第1番目として、ピーク周波数シフト量ΔFを用いる。
図10より、インピーダンス波形の変化を調べる上で最も変化が顕著にあらわれるパラメータはピーク周波数の変化である。そこで本発明においては健全度評価指数(1)として、ピーク周波数のシフト量ΔFを用いる。
一般に構造物に損傷が発生すると、損傷部への応力集中により内部を伝播する弾性波が変化するので、それによって構造物の共振周波数が変化する。そこで、構造物が健全状態である時に測定しておいた周波数応答と比較するとピークの現れる周波数がシフトする。
健全状態でのピーク周波数をfhとし、損傷後のピーク周波数をfdとすると、その差(fh−fd)をピーク周波数シフト量ΔFとする(図11参照)。
【0019】
ピーク周波数シフト量ΔFを用いて、図10の各ピークを評価した結果を図12に示す。図12に示すように、0.25Nm刻みで締め付けトルクを減少させると、ピークA〜Dのピークすべてにおいてピーク周波数シフト量ΔFが増大し、特に、構造物の健全度が危険領域に入ると考えられる締め付けトルクが1Nmを境に、ピーク波形の変化が急激に増加し、各ピーク波形について算出した周波数シフト量ΔFにも大きくばらついている。
また、ピークA〜ピークDを平均化したグラフは、トルクの減少に対しほぼ直線的に変化し、締め付けトルクが1Nmを境に急な変化がみられる。
【0020】
この結果からピーク周波数シフト量ΔFを用いることで、構造物の健全度の変化を定量的に測定することができる。
逆に、前記ピーク周波数シフト量ΔFの平均値と、締め付けトルクTの実測データから最小二乗法より締め付けトルク(損傷の程度)の推定式を求めると、
T=1.966−0.00718ΔF ・・・▲1▼ となり、ピーク周波数シフト量ΔFから構造物の損傷の程度を推定できる。▲1▼式の場合Tが構造物の損傷の程度を表す。
【0021】
<健全度評価指数(2):ピーク振幅比変化率δ>
2番目の評価指数としてピーク振幅比変化率δを用いる。ピーク振幅比変化率δは、図13に示すように、健全状態の振幅をAhとし、損傷を受けた後のピークをAdとすると、 δ=(Ah−Ad)×100/Ah と定義する。
【0022】
また、図14に、図10から算出した健全度評価指数(2)ピーク振幅比変化率δの結果を示す。図14に示すように、0.25Nm刻みで締め付けトルクを減少させていくと、ピークA〜Dのピークすべてにおいてピーク振幅比変化率δが増大し、特に、構造物の健全度が危険領域に入ると考えられる締め付けトルクが1Nmを境に、いずれのピークのピーク振幅比変化率δも急激に増加していることが判る。
【0023】
この結果からピーク振幅比変化率δを用いることで、構造物の健全度の変化を定量的に測定することができる。
逆に、前記ピーク振幅比変化率δの平均値と、締め付けトルクTの実測データから最小二乗法より締め付けトルク(損傷の程度)の推定式を求めると、
T=1.979−0.03467δ ・・・▲2▼ となり、ピーク振幅比変化率δから構造物の損傷の程度を推定できる。▲2▼式の場合Tが構造物の損傷の程度を表す。
【0024】
<健全度評価指数(3):Q値比変化率γ>
3番目の評価指数としてQ値を用いたQ値比変化率γを用いる。Q値は、ピーク波形の先端部の鋭さを表す値であり、損傷部に発生又は伝播する波動エネルギーの損失を評価する指数として線質係数である。
線質係数Q値は、一般的には、図15に示すように、ピーク波形の最大振幅とそれに対応する周波数を、それぞれAmax,f0として、ピーク最大振幅の2(−1/2)倍に対応する周波数をf1,f2とすると、
線質係数Q=f0/(f2−f1)≒1/2ζ となる。
【0025】
また、質量、ばね、ダンパ構造系においては、線質係数Qは系の減衰比ζで近似されるため、損傷部の減衰特性の評価指数として利用できる。そこで、構造物が健全状態のときのQ値をQh、損傷後のそれをQdとすると、Q値比変化率γは次のように定義できる。
Q値比変化率γ=(Qh−Qd)×100/Qh と定義する。
このQ値比変化率γは、例えば、損傷箇所での応力集中などによる波動エネルギーの損失が起こると、そのエネルギーの損失量を評価する指標として用いることができる。そこで、Q値比変化率γを用いて各ピークA〜Dを評価した結果を図16に示す。
【0026】
図16に示すように、0.25Nm刻みで締め付けトルクを減少させると、ピークA〜Dは、構造物の健全度が危険領域に入ると考えられる締め付けトルクが1Nmを境に急激に増加することが判る。この結果からQ値比変化率γを用いることで、構造物の健全度の変化を定量的に測定することができる。
逆に、前記Q値比変化率γの平均値と、締め付けトルクTの実測データから最小二乗法より締め付けトルクの推定式を求めると、
T=2.095−0.04314γ ・・・▲3▼ となり、Q値比変化率γから構造物の損傷の程度を推定できる。▲3▼式の場合Tが構造物の損傷の程度を表す。
【0027】
本発明においては、前記▲1▼〜▲3▼式で示したように、上記のピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ、Q値比変化率γを、それぞれ単独で、構造物の健全度評価指数として用いて、Tを求め構造物の健全度を推定することができるが、これらの評価指数を組み合わせて用いることもできる。
例えば、上記の▲1▼〜▲3▼式を併合して下記▲4▼式のように、損傷程度を定量的に評価することもできる。
T=α0+αfΔF+αdδ+αgγ・・・・▲4▼
ここで、係数(α0,αf,αd,αg)はそれぞれ前記健全度評価指数(1)〜(3)の平均値(ΔF,δ,γ)から求めるものである。前記の図12、図14、図16で示した例について求めた係数は下記の表2のようになるが、これらの係数は、モデルになる構造物から予めデータを求めて係数(α0,αf,αd,αg)を決定しておいて、同種類の構造物について上記▲4▼式を適用することができる。
前記▲4▼式を用いることにより、損傷と無関係の外部影響をおさえることができ損傷程度の推定を向上できる。
【0028】
【表2】
【0029】
次に、構造物モデルを用いて、上記▲4▼式の実用性を評価するグラフを図17に示す。図17において、ボルトに加えた締め付けトルク(実際の損傷の程度)を横軸として、構造物の健全度Tの推定トルク(▲4▼式を用いた計算結果T=健全度推定トルク)を縦軸として示した。
図17に示すように、実際にボルトに加えた締め付けトルクと計算結果T=健全度推定トルクとが直線上に乗っていることから、▲4▼式を用いて構造物の健全度を推定(評価)することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、構造物の健全度評価にインピーダンス応答を計測することで、鉄橋や高架橋、送電線鉄塔などの構造物における初期の微小損傷の早期発見ができる。
また、本発明で用いた構造物損傷の定量的評価指数として、「ピーク周波数シフト量ΔF」、「ピーク振幅比変化率δ」、「Q値比変化率γ」を連続的に測定し、これらの評価指数を組み合わせて用いることにより、さらに構造物の早期損傷を効率的に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる構造物の健全度を定量的に計測・評価する構造物健全度評価装置を示す概略図である。
【図2】本実施の形態の構造物健全度評価装置の主要部を示す。
【図3】本実施の形態の構造物健全度評価装置の計測概念を示す説明図である。
【図4】本実施の形態の構造物健全度評価装置を用いた計測結果を示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す説明図である。
【図6】圧電素子を実際の構造物へ取り付けてインピーダンスを測定した実施例である。
【図7】図6における測定結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態で用いる構造物の健全度を評価する場合のモデル構造物を説明する概略図である。
【図9】図8における測定結果を示すグラフである。
【図10】図9の測定結果を示すグラフの拡大図である。
【図11】ピーク周波数シフト量ΔFの説明図である。
【図12】インピーダンスピーク周波数シフト量ΔFを用いて、図10の各ピークを評価した結果を示すグラフである。
【図13】ピーク振幅比変化率δの説明図である。
【図14】ピーク振幅比変化率δを用いて、図10の各ピークを評価した結果を示すグラフである。
【図15】Q値比変化率γの説明図である。
【図16】Q値比変化率γを用いて、図10の各ピークを評価した結果を示すグラフである。
【図17】締め付けトルクと推定トルクの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10:構造物
11:ビーム
12:インピーダンスアナライザー(損傷検知手段)
13:コンピュータ13
20:圧電素子
Claims (3)
- 構造物に圧電素子を貼り付け、前記圧電素子に電圧を印加することによって構造物に高周波弾性波を発生させながら、前記圧電素子に発生する電気インピーダンスの変化を連続的に観察することで、構造物の損傷・評価を行う構造物の健全度評価方法であって、
前記電気インピーダンスの連続的観察を、ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数のいずれか又は組み合わせて用いることを特徴とする構造物の健全度評価方法。 - 前記圧電素子が構造物を構成する梁の片面又は両面に貼り付けられたものである、請求項1記載の構造物の健全度評価方法。
- 構造物に貼り付け、電圧を印加することによって前記構造物に高周波弾性波を発生させるための圧電素子と、
前記圧電素子に発生する電気インピーダンスの変化の連続的観察を、
ピーク周波数シフト量ΔF、ピーク振幅比変化率δ,及びQ値比変化率γの損傷評価指数のいずれか又は組み合わせて用いて前記構造物の損傷を検知する損傷検知手段とを具備してなることを特徴とする構造物健全度評価装置。
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