JP2005147286A - ニードル軸受及び遊星歯車機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】
保持器の強度を確保しつつ製造容易性を向上させたニードル軸受及び遊星歯車機構を提供する。
【解決手段】
交差部12sの曲率半径Rが大きくなりすぎると、ポケット部の打ち抜き時にバリが発生しやすくなるため、R/Da<0.2であることが好ましい。一方、交差部12sの曲率半径Rが小さくなりすぎると、強度確保が図れないので、0.01<R/Daであることが好ましい。
【選択図】 図6
保持器の強度を確保しつつ製造容易性を向上させたニードル軸受及び遊星歯車機構を提供する。
【解決手段】
交差部12sの曲率半径Rが大きくなりすぎると、ポケット部の打ち抜き時にバリが発生しやすくなるため、R/Da<0.2であることが好ましい。一方、交差部12sの曲率半径Rが小さくなりすぎると、強度確保が図れないので、0.01<R/Daであることが好ましい。
【選択図】 図6
Description
本発明は、ニードル軸受及び遊星歯車機構に関し、特に信頼性を向上させることができるニードル軸受及び遊星歯車機構に関する。
車両等に搭載されている自動変速機において、一般的には遊星歯車機構が用いられている。ここで、ニードル軸受は、細径のころを用いていることから、内輪外径と外輪内径との差が小さいスペースにも収めることができるので、遊星歯車機構の遊星歯車を回転自在に支持するために用いると、それを搭載した自動変速機のコンパクト化に寄与するので好ましいといえる(特許文献1参照)。
特開2002−349647号公報
ところで、近年は、燃費の向上などを目的として、自動変速機においても多段化される傾向がある。しかるに、現在は4速が主流である自動変速機を、例えば5速或いは6速に多段化しようとすると、動力を伝達する遊星歯車機構の遊星歯車の自転速度及び公転速度が増大するということがある。このような仕様の変化に伴い、保持器を用いないいわゆる総ころと呼ばれる従来のニードル軸受に対し、より低摩擦且つ潤滑性に優れた保持器付きのニードル軸受が開発されている。
ここで、遊星歯車機構において、遊星歯車は自転しながら太陽歯車の周囲を公転しているが、このとき遊星歯車を支持するニードル軸受も自転すると共に、太陽歯車の周囲を公転するので、それらを合成した遠心力がニードル軸受に付与されることとなる。
特に、いわゆるM型保持器と呼ばれる保持器においては、1枚の板材を折り曲げて形成されているので、低コスト化を図る上では好ましいが、強度を確保しつつ製造容易性をどのようにして確保すべきかという問題がある。
尚、以下の特許文献2においては、保持器の寸法をころ径との兼ね合いで規定しているが、特許文献2に記載の保持器は、鋼管素材を削り出して形成されるものであるため、本発明の保持器とは全く異なるものである。
特開平11−101242号公報
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、保持器の強度を確保しつつ製造容易性を向上させたニードル軸受及び遊星歯車機構を提供することを目的とする。
本発明のニードル軸受は、
ころと、前記ころを支持する保持器とを有するニードル軸受において、
前記保持器は、1枚の板材を折り曲げて形成され、一対の環状部と、前記環状部を連結する複数の柱部とからなり、前記柱部の間に前記ころを収容するポケット部が形成され、
前記保持器の軸線方向断面をとったとき、前記環状部の軸線方向内側面と前記柱部の半径方向内側面との交差部は円弧で表され、前記円弧の曲率半径をRとし、前記ころの直径をDaとしたときに、以下の式が成立することを特徴とする。
0.01<R/Da<0.2 (1)
ころと、前記ころを支持する保持器とを有するニードル軸受において、
前記保持器は、1枚の板材を折り曲げて形成され、一対の環状部と、前記環状部を連結する複数の柱部とからなり、前記柱部の間に前記ころを収容するポケット部が形成され、
前記保持器の軸線方向断面をとったとき、前記環状部の軸線方向内側面と前記柱部の半径方向内側面との交差部は円弧で表され、前記円弧の曲率半径をRとし、前記ころの直径をDaとしたときに、以下の式が成立することを特徴とする。
0.01<R/Da<0.2 (1)
(1)式において、値(R/Da)が0.01以下であると応力集中による強度低下が問題となり、値(R/Da)が0.2以上であると、ポケット部を打ち抜く際にバリが発生しやすくなるので、バリ取りなど余計な工程が増える。これに対し、(1)式を満たす保持器は、そのような問題を回避し、強度の確保と製造容易性とを高次元でバランスさせることができるのである。
前記保持器の軸線方向断面をとったとき、前記環状部の軸線方向外側面と前記柱部の半径方向外側面との交差部は円弧で表され、前記円弧の曲率半径をR’とすると、以下の式が成立すると、保持器を素材から折り曲げて形成するのに好適である。
R<R’ (2)
R<R’ (2)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して以下に詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかるニードル軸受を含む車両の自動変速機1の断面図である。図1において、エンジンのクランクシャフト2から出力されるトルクは、トルクコンバータ3を介して伝達され、更に複数列組み合わせれた遊星歯車機構4,5,6等を介して複数段に減速され、その後デファレンシャルギヤ7及びドライブシャフト8を介して、不図示の車輪に出力されるようになっている。
図2は、遊星歯車機構4(5,6も原則的に同じ)の分解図である。図2において、遊星歯車機構4は、内歯を有するリングギヤ4aと、外歯を有する太陽ギヤ4bと、リングギヤ4a及び太陽ギヤ4bに噛合する3つの遊星歯車4cと、3つのピニオンシャフト4eにより遊星歯車4cを回転自在に支持すると共に、自らも回転可能なキャリヤ4dとを有する。
遊星歯車機構4の作動原理を図3に示す。まず、1速の場合、図3(a)に示すように、太陽歯車4bをドライブ側とし、遊星歯車4c(キャリヤ)をドリブン側とし、リングギヤ4aを固定することで、大きな減速比が得られる。次に、2速の場合、図3(b)に示すように、太陽歯車4bを固定し、遊星歯車4c(キャリヤ)をドリブン側とし、リングギヤ4aをドライブ側とすることで、中程度の減速比が得られる。更に、3速の場合、図3(c)に示すように、太陽歯車4bを固定し、遊星歯車4c(キャリヤ)をドライブ側とし、リングギヤ4aをドリブン側とすることで、小さな減速比が得られる。尚、後退の場合、図3(d)に示すように、太陽歯車4bをドリブン側とし、遊星歯車4c(キャリヤ)を固定し、リングギヤ4aをドライブ側とすることで、入力に対して出力を逆転させることができる。なお、以上は遊星歯車機構4の動作の一例を示すものであり、必ずしもかかる動作に限られることはない。
図4は、本実施の形態のニードル軸受を遊星歯車機構に組み込んだ状態で示す図である。図4に示すように、ニードル軸受10は、ピニオンシャフト(内輪)4eと遊星歯車(外輪)4cとの間に配置され、遊星歯車4cを回転自在に支持している。ニードル軸受10は、複数のころ11と、それらを保持する保持器12とからなっている。ピニオンシャフト4e内には、図4で右方から軸線に沿って延在し、一般的には中央で外周面もしくは内周面に抜ける油路4fが形成されている。保持器12は外輪案内で用いられる。
図5は、本実施の形態にかかるニードル軸受の保持器の斜視図である。図に示すように、保持器12は、一対の環状部12aを複数の柱部12bで連結した構成を有している。隣接する柱部12bの間が、ころ11を保持するポケット部12pとなる。各柱部12bは、軸線方向中央において縮径した(即ち保持器12の軸線に近接した)中央部12cを有しており、中央部12cの軸線方向両側から環状部12aにかけて拡径している部位を、外径案内部12dとしている。このような形状を有する保持器12をM型保持器と呼ぶ。
図6は、ニードル軸受10のころ11と保持器12との関係を示す図である。図6(a)で、保持器12の軸線方向断面をとったとき、環状部12aの軸線方向内側面と柱部12bの半径方向内側面との交差部12sは円弧で表され、その円弧の曲率半径をRとし、ころ11の直径をDaとしたときに、以下の式が成立するので、保持器12は強度の確保と製造容易性とを高次元でバランスさせている。
0.01<R/Da<0.2 (1)
0.01<R/Da<0.2 (1)
図7は、素材から塑性変形される保持器の形状を概略的に示す図である。図7に示すように、保持器12は、平板Mからプレスされ、図に示す断面形状を得る。これを丸めて溶接し、ポケット部を打ち抜いた後に、研削することで保持器が完成する。ここで、交差部12sの曲率半径Rが大きくなりすぎると、ポケット部の打ち抜き時にバリが発生しやすくなるため、R/Da<0.2であることが好ましい。一方、交差部12sの曲率半径Rが小さくなりすぎると、強度確保が図れないので、0.01<R/Daであることが好ましいのである。尚、より好ましくは、以下の(1’)式を満たす場合である。
0.05<R/Da<0.15 (1’)
0.05<R/Da<0.15 (1’)
更に、図6(a)で、保持器12の軸線方向断面をとったとき、環状部12aの軸線方向外側面と柱部12bの半径方向外側面との交差部12tは円弧で表され、その円弧の曲率半径をR’とすると、以下の式が成立すると、保持器12を素材から折り曲げて形成するのに好適である。
R<R’ (2)
R<R’ (2)
本発明者は、(1)式における値(R/Da)を変えた保持器を製作し、目視及び強度試験に供試した。その試験結果を表1に示す。かかる試験結果によれば、(R/Da)が0.2以上でバリが発生しやすくなることが確認された。一方、(R/Da)が0.01以下で、強度試験において保持器が破損した。
以上、本発明を実施例を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。ころは単列に限らず、複列でもよい。
1 自動変速機
4 遊星歯車機構
4c 遊星歯車
4h ピニオンシャフト
10 ニードル軸受
11 ころ
12 保持器
4 遊星歯車機構
4c 遊星歯車
4h ピニオンシャフト
10 ニードル軸受
11 ころ
12 保持器
Claims (3)
- ころと、前記ころを支持する保持器とを有するニードル軸受において、
前記保持器は、1枚の板材を折り曲げて形成され、一対の環状部と、前記環状部を連結する複数の柱部とからなり、前記柱部の間に前記ころを収容するポケット部が形成され、
前記保持器の軸線方向断面をとったとき、前記環状部の軸線方向内側面と前記柱部の半径方向内側面との交差部は円弧で表され、前記円弧の曲率半径をRとし、前記ころの直径をDaとしたときに、以下の式が成立することを特徴とするニードル軸受。
0.01<R/Da<0.2 (1) - 前記保持器の軸線方向断面をとったとき、前記環状部の軸線方向外側面と前記柱部の半径方向外側面との交差部は円弧で表され、前記円弧の曲率半径をR’とすると、以下の式が成立することを特徴とする請求項1に記載のニードル軸受。
R<R’ (2) - 請求項1に記載のニードル軸受を有することを特徴とする遊星歯車機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003386492A JP2005147286A (ja) | 2003-11-17 | 2003-11-17 | ニードル軸受及び遊星歯車機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003386492A JP2005147286A (ja) | 2003-11-17 | 2003-11-17 | ニードル軸受及び遊星歯車機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005147286A true JP2005147286A (ja) | 2005-06-09 |
Family
ID=34694163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003386492A Pending JP2005147286A (ja) | 2003-11-17 | 2003-11-17 | ニードル軸受及び遊星歯車機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005147286A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007016956A (ja) * | 2005-07-08 | 2007-01-25 | Ntn Corp | ころ軸受およびころ軸受の保持器 |
JP2010096302A (ja) * | 2008-10-17 | 2010-04-30 | Jtekt Corp | 遊星歯車機構のころ軸受 |
-
2003
- 2003-11-17 JP JP2003386492A patent/JP2005147286A/ja active Pending
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