JP2005146489A - 合成繊維用紡糸油剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステルやナイロンの高速紡糸において、製糸性を向上させ、糸切れ、毛羽などの問題を解決する。
【解決手段】
下記一般式〔I〕で表される脂肪酸エステル化合物を5〜40重量%含有することを特徴とする合成繊維用紡糸油剤。
Figure 2005146489

〔但し、式中Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは1〜10の整数である。Rは1〜6個のベンゼン環を有するアリールフェニル基またはアリールカルボン酸残基、Rは炭素数6〜21のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシル基で置換されたアルキル基を表わす。〕

Description

本発明は、合成繊維用紡糸油剤及び合成繊維用紡糸油剤の添加剤に関する。更に詳しくは、熱工程を経る合成繊維の潤滑処理用組成物として潤滑性および熱安定性の優れた合成繊維用紡糸油剤及び合成繊維用紡糸油剤の添加剤に関するものである。
従来より合成繊維の紡糸工程において、潤滑剤と界面活性剤等の混合物からなる処理剤が目的に応じて付与されてきた。近年、産業資材用の熱可塑性繊維、特にポリアミド繊維やポリエステル繊維に対して、より高強度化が求められており、このような高強度繊維を得るためには、より高温・高倍率で延伸することが必要であり、必然的にその紡糸油剤も耐熱性が良く、かつ過酷な条件下でも良好な品質の糸を得ることができるといった高い性能が要求されてきている。
これらの要求を満足させるために、合成繊維に付与される処理剤として、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の脂肪酸エステル(特許文献1)、チオジプロピオン酸エステル等の潤滑剤(特許文献2)、特定のエステルとアニオン活性剤、酸化防止剤の組み合わせによる処理剤(特許文献3)、チオジプロピオンエステル、2級スルホネートの金属塩、リン酸エステルのアミン塩を必須成分とした処理剤(特許文献4)などが知られている。
しかしながら、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物の脂肪酸エステルは耐熱性は良好だが、繊維−金属間、繊維−繊維間の摩擦が高く、繊維処理剤としての必要特性である潤滑性に劣り、繊維製造工程や加工工程での繊維の損傷が大きく、品質を損なう欠点がある。
一方、チオジプロピオン酸エステル等の潤滑剤は、繊維−金属間、繊維−繊維間の摩擦が低く、耐熱性も従来の潤滑剤に比べて良好であるが、最近のきびしい紡糸条件では満足する耐熱性、繊維の品質を得ることはできない。
また、特定のエステルとアニオン活性剤、酸化防止剤の組み合わせによる処理剤が提案されているが、最近のきびしい紡糸条件では満足する耐熱性を得ることができない。さらに、記載されている酸化防止剤は、繊維の保管中に繊維がしばしば変色する欠点がある。さらにホスフェートとスルホネートを併用した繊維処理剤が開示されているが、スピンドル方式で用いるには耐熱性および潤滑性が十分でなく、ホスフェート金属塩が延伸ローラーに蓄積して経時的に摩擦が上昇し、延伸工程で糸切れ、繊維品質の劣化を生じる欠点がある。
さらに、チオジプロピオンエステル、2級スルホネートの金属塩、リン酸エステルのアミン塩からなる油剤は均一付着性に優れるが、高温の紡糸条件下では摩擦が高く、延伸工程で発煙が多くなったり、タールが発生して糸切れが多くなり、生産性が低下するといった問題がある。
特公昭47−29474 特公昭55−9114号公報 特公昭63−3074号公報 特開平8−120564号公報
前述の現状から、高温、高倍率の延伸条件下において、優れた潤滑性と耐熱性を有し、良好な品質の糸が得ることができる油剤が求められている。
本発明者らは、上記性能の油剤を得るべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するエステル化合物を配合することにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を開発するに至った。即ち、本発明は下記一般式〔I〕で表される脂肪酸エステル化合物を5〜40重量%含有することを特徴とする合成繊維用紡糸油剤である。
Figure 2005146489
〔但し、式中Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは1〜10の整数である。Rは1〜6個のベンゼン環を有するアリールフェニル基またはアリールカルボン酸残基、Rは炭素数6〜21のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシル基で置換されたアルキル基を表わす。〕
本発明の脂肪酸エステル化合物を含有する合成繊維用紡糸油剤は、従来の油剤に比べて耐熱性、潤滑性が良く、品質の良好な糸を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。前記一般式〔I〕で示される脂肪酸エステル化合物において、Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。(RO)で示される(ポリ)オキシアルキレン基を導入する際に使用できるアルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドが挙げられる。この際繰り返し単位であるROは同一であっても、あるいは異なっていてもよく、ROが2種以上の混合物の形態である場合には各ROの繰り返し単位はブロック状に付加していても、あるいはランダム状に付加していてもよい。nは1〜10の整数である。これらのうちアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドが好ましく、付加モル数は2〜6が好ましい。
は1〜6個のベンゼン環を有するアリールフェニル基またはアリールカルボン酸残基である。
アリールフェニル基としては、(1)フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−アミルフェノール、p−t−ヘキシルフェノール、クミルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ナフトール、オクチルフェノール、ノニルフェノール及びドデシルフェノール等の炭素数7〜18のアルキルフェノールから選ばれる1種の1モルと、ハロゲン化ベンジル類、ハロゲン置換ハロゲン化ベンジル類、またはスチレン類から選ばれる1種または2種以上の1〜5モルとをルイス酸触媒の存在下、公知の条件で反応させて得た合成物の残基、(2)レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等の2〜4価の多価フェノールから選ばれる1種の1モルとハロゲン化ベンジル類、ハロゲン置換ハロゲン化ベンジル類、またはスチレン類から選ばれる1種または2種以上の1〜4モルとをルイス酸触媒の存在下、公知の条件で反応させて得た合成物の残基、(3)o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール等のフェニルフェノール類から選ばれる1種の1モルとハロゲン化ベンジル類、ハロゲン置換ハロゲン化ベンジル類、またはスチレン類から選ばれる1種または2種以上の1〜4モルとをルイス酸触媒の存在下、公知の条件で反応させて得た合成物の残基が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。上記のフェノール類のうち、o−フェニルフェノール、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾールが好ましく、o−フェニルフェノールが特に好ましく使用できる。また、アリールフェニル基のベンゼン環の総数は2〜4個であることが好ましい。
アリールカルボン酸残基としては、安息香酸、メチル安息香酸、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、メトキシフェニル酢酸、桂皮酸、ナフトエ酸から選ばれる1種の1モルと、ハロゲン化ベンジル類、ハロゲン置換ハロゲン化ベンジル類、またはスチレン類から選ばれる1種または2種以上の1〜5モルとをルイス酸触媒の存在下、公知の条件で反応させて得た合成物の残基を挙げることができる。上記のカルボン酸類のうち、ジフェニル酢酸が好ましく使用できる。また、アリールカルボン酸残基のベンゼン環の総数は2〜4個であることが好ましい。
ハロゲン化ベンジル類またはハロゲン置換ハロゲン化ベンジル類としては、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、ヨウ化ベンジル、2−クロロベンジルクロリド、3−クロロベンジルクロリド、4クロロベンジルクロリド、2,4−ジクロロベンジルクロリド、2,3−ジクロロベンジルクロリド、3,4−ジクロロベンジルクロリド、2,3、4−トリクロロベンジルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、ベンジルクロリドが好ましい。
スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−ビニルフェノール、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらのうち、スチレンが好ましい。
は炭素数6〜21のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシル基で置換されたアルキル基を表わす。また、Rは、炭素数8〜22の脂肪酸(飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖状脂肪酸でも側鎖をもつ脂肪酸でも、更にはヒドロキシル基置換脂肪酸でもよい)残基であるということもできる。これらの脂肪酸としては、2−エチルヘキサン酸、カプロン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸等、およびヤシ油、パーム油、牛脂、ナタネ油、魚油等の天然油脂由来のアルキル組成をもつ脂肪酸等がある。これらのうち炭素数12〜22の直鎖状の飽和脂肪酸が耐熱性において好ましく、炭素数12〜14が外観が液状になり、ハンドリング性が良くなることからより好ましい。
一般式(I)で示される脂肪酸エステル化合物は、公知の方法により合成することができる。また、該化合物の1種または2種以上を組み合わせて本発明の合成繊維用紡糸油剤として用いることができる。上記脂肪酸エステル化合物は、油剤の合計重量に対し5〜40重量%の範囲で使用される。含有量が5重量%以下では耐熱性が十分ではなく、40重量%を越えるとエマルジョンの安定性が低下する傾向にある。
本発明の紡糸油剤には、前記脂肪酸エステル化合物、潤滑剤(A)及び必要によりその他の油剤成分(B)が含まれる。
(A)潤滑剤成分の具体例としては下記の(1)〜(8)が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(1)25℃における動粘度が10〜3,000cStである鉱物油(例えば、25℃における動粘度が200cStである精製スピンドル油、25℃における動粘度が100cStである流動パラフィン等)
(2)動植物油(例えば、牛脂、マッコウ鯨油、ヤシ油、ひまし油等)
(3)炭素数8〜32の脂肪酸と炭素数4〜32のアルコールからなる脂肪酸エステル(2−エチルヘキシルステアレート、イソステアリルラウレート、オレイルオレエート、ジオレイルアジペート、ジオレイルチオジプロピオネート等)
(4)シリコーン化合物(例えば、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、フェニル変性シリコーン等)
(5)天然および合成ワックス〔例えば、カルナバワックス、みつろう、融点30〜100℃のパラフィンワックス及びポレオレフィンワックス(オレフィンの炭素数2〜18、平均分子量:Mn=1,000〜10,000のワックス、例えばポリエチレンックス)等〕
(6)ポリエーテル系潤滑剤〔例えば、Mn=1,000〜6,000のブタノールのエチレンオキサイド(以下EOと省略)/プロピレンオキサイド(以下POと省略)(=1/1質量比)のランダム付加重合物、Mn=500〜4,000のポリオキシプロピレン等〕
(7)炭素数2〜6の3〜8価又はそれ以上の多価アルコールと炭素数8〜32の脂肪酸からなるエステルの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物(付加モル数1〜200)(例えば、硬化ヒマシ油のEO25モル付加物、ソルビタントリオレエートのEO20モル付加物等)
(8)炭素数2〜32の1〜4価又はそれ以上の多価アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物(付加モル数1〜200)(例えばラウリルアルコールのEO12モル付加物、ステアリルアルコールのEO9モル/PO12モルのブロック付加物、ネオペンチルグリコールのEO4モル付加物等)
これらのうち、好ましいのは(1)、(3)、(4)、(6)、(7)および(8)、さらに好ましいのは、(3)、(6)、(7)および(8)であり、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。(A)の使用量は、紡糸油剤の合計重量に基づいて、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。含量が50重量%未満では紡糸した糸の平滑性が低下する傾向がある。
(B)その他の油剤成分の具体例としては、下記の(9)〜(11)が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(9)炭素数10〜30のアルキル基を持つ酸性リン酸エステル(例えば、ラウリン酸のリン酸エステル、イソステアリルアルコールのEO2モル付加物のリン酸エステル等)。(9)の使用量は、紡糸油剤の合計重量に基づいて、0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。含量が0.5重量%未満では、合成繊維製織の主流となっているウォータージェットルーム(以下WJLと略記)において、筬摩耗防止性が低下する傾向がある。また含量が5重量%を越えると、製糸工程でのスカム発生が多くなる傾向がある。
(10)炭素数8〜20のアルキル基を持つ有機アミンのアルキレンオキサイド付加物(例えば、ラウリルアミンのEO2モル付加物、ステアリルアミンEO8モル付加物等)。(10)の使用量は、紡糸油剤の合計重量に基づいて、0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
含量が0.5重量%未満では、WJLの筬摩耗防止性が低下する傾向がある。また含量が5重量%を越えると、平滑性が低下する傾向がある。
(11)オキシカルボン酸塩及びその中和塩〔例えば、オキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等。中和塩としてはアルカリ金属塩(例えばNa塩及びK塩)、アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、トリメチルオクチルアンモニウム塩等)、有機アミン塩(例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノール塩、オクチルアミン塩等)等〕。(11)の使用量は、紡糸油剤の合計重量に基づいて、0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。含量が0.5重量%未満では、本発明の油剤から得られる水系エマルジョンの粘度が低くなり、粘度特性を得ることが難しくなる傾向がある。また含量が5重量%を越えると、油剤原液及びエマルジョンの安定性が低下する傾向がある。
本発明の脂肪酸エステル化合物には本発明の目的から逸脱しないかぎり、必要により任意の成分と併用して使用できる。例えば、制電剤、pH調整剤、その他添加剤等が挙げられ、これらの種類について特に限定はないが、例えば以下のようなものがそれぞれ挙げられる。
制電剤
(12)炭素数8〜32のアルコール及びこれらの炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物(例えば、付加モル数1〜20)のホスフェート(例えばリン酸エステルカリウム塩、ステアリルアルコールのエチレンオィサイド2モル付加物のリン酸エステルナトリウム塩、イソステアリルアルコールのチレンオキサイドのEO7モル付加物のリン酸エステルカリウム塩等)
(13)炭素数9〜90の(チオ)ホスファイト(例えば、トリフェニルホスファイト、トリラウリルチオホスファイト)
(14)炭素数8〜32の脂肪酸石鹸(対イオンは、例えばアンモニウム、ナトリウム、カリウム、アンモニア等)(例えばラウリン酸アンモニウム石鹸、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油ナトリウム石鹸等)
(15)炭素数8〜32のイミダゾリン系化合物(例えば、ラウリルイミダゾリン、オレイルイミダゾリン等)
(16)炭素数8〜32の硫酸エステル類及びその塩(例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム塩等)
(17)炭素数8〜32のスルホン酸及びその塩(例えば、ラウリルスルホネートナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸及びそのナトリウム塩、スルホコハク酸ジ−2エチルヘキシルエステルナトリウム塩等)
制電剤の使用量は、紡糸油剤の合計質量に基づいて、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは0.05〜8質量%である。
pH調整剤
(18)低級脂肪酸(炭素数2〜8)及びその誘導体(例えば酢酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、酢酸ナトリウム等)
(19)アンモニア及びアルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)
pH調整剤の使用量は、紡糸油剤の合計質量に基づいて、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
その他添加剤
(20)酸化防止剤{例えば、ヒンダートフェノール系の2,6−ジ−t−ブチルフェノール、トリエチレングリコール−ビス−〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等、アミン系の2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等}
(21)紫外線吸収剤〔例えば、ベンゾトリアゾール系の2−(3,5−ジ−t−アミル)ヒドロキシフェニル等、ヒンダートアミン系のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等〕
(22)フッ素化合物(例えば、パーフルオロエタン、パーフルオロオクタン等)
(23)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
その他添加剤の使用量は、紡糸油剤の合計に基づいて、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。
本発明の油剤は合成繊維の溶融紡糸工程において、紡糸油剤そのままで、あるいは、希釈剤で希釈するか、その水溶液または水系エマルションとして、紡出直後の糸条に給油される。希釈剤で給油する場合、希釈剤としては有機溶剤(例えば、メタノール、エーテル、ヘキサン、トルエン、クロロホルム等)や低粘度鉱物油(10cst/25℃未満、例えば、炭素数10〜15の流動パラフィン等)が使用できる。希釈剤の使用比率は、油剤全体(希釈剤込みの質量)の質量に基づいて、好ましくは20〜90質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。水溶液又は水系エマルションとして使用する場合、水溶液又は水系エマルション中の油剤の濃度は、水溶液又は水系エマルションの質量に基づいて、0.5〜30質量%の範囲の任意の濃度が好ましい。さらに好ましくは5〜20質量%である。
紡糸油剤の給油方法については特に限定はなく、ノズル給油、ローラー給油等、いずれでもよい。油剤の付着量は繊維に対して、純分で0.2〜3.0重量%、好ましくは0.3〜2.0重量%である。
本発明の油剤が適用される合成繊維としては、ポリエステル、ナイロン及びポリプロピレン等の熱可塑性合成繊維等が挙げられ、特に産業資材用繊維に供されるポリエステル長繊維やナイロン長繊維の紡糸油剤として好適である。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
合成例1
温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた容量1リットルの四口フラスコにフェノール94g(1モル)、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル1.8gを仕込み、温度を80℃に加熱した。内容物に窒素を流入させ、温度を80℃に保ちスチレンモノマー312g(3モル)を10時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間反応を続けた。次に、これを100℃に昇温して減圧(−0.1MPa)にて2時間トッピングを行い、70℃に冷却後、ナトリウムメチラートにてpH7に調整した。更に100℃に昇温し、減圧(−0.1MPa)にて1時間トッピングを行い、冷却後反応物を取り出し、トリスチレン化フェノール406gを得た。
合成例2
温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた容量1リットルの四口フラスコにo−フェニルフェノール170g(1モル)、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル2.1gを仕込み、温度を80℃に加熱した。内容物に窒素を流入させ、温度を80℃に保ちスチレンモノマー208g(2モル)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間反応を続けた。次に、これを100℃に昇温して減圧(−0.1MPa)にて2時間トッピングを行い、70℃に冷却後、ナトリウムメチラートにてpH7に調整した。更に100℃に昇温し、減圧(−0.1MPa)にて1時間トッピングを行い、冷却後反応物を取り出し、ジスチレン化フェニルフェノール378gを得た。
合成例3
温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた容量1リットルの四口フラスコにo−フェニルフェノール170g(1モル)、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル2.1gを仕込み、温度を120℃に加熱した。内容物に窒素を流入させ、温度を120℃に保ち塩化ベンジル253g(2モル)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて10時間反応を続けた。更に、これを同温度で減圧(−0.1MPa)にて2時間トッピングを行い、70℃に冷却後、ナトリウムメチラートにてpH7に調整した。更に100℃に昇温し、減圧(−0.1MPa)にて1時間トッピングを行い、冷却後、反応物を取り出しジベンジルフェニルフェノール423gを得た。
合成例4
合成例1で得られたトリスチレン化フェノール406g(1モル)、水酸化カリウム0.2gをSUS316製耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、160℃に昇温にて、酸化エチレン88g(2モル)を付加した。この酸化エチレン付加体496g、ラウリン酸180g(0.9モル)および水酸化カリウム1.8gを温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた四口フラスコにとり、210℃で30時間エステル化反応を行い、50℃に冷却後、反応物を取り出した。得られた反応物の酸価は0.92mgKOH/g、エステル価は75.0であった。
合成例5
合成例1で得られたトリスチレン化フェノール406g(1モル)、水酸化カリウム0.2gをSUS316製耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、160℃に昇温にて、酸化エチレン176g(4モル)を付加した。この酸化エチレン付加体582g、ラウリン酸180g(0.9モル)および水酸化カリウム1.8gを温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた四口フラスコにとり、210℃で20時間エステル化反応を行い、50℃に冷却後、反応物を取り出した。得られた反応物の酸価は0.23mgKOH/g、エステル価は65.2であった。
合成例6
合成例1で得られたトリスチレン化フェノール406g(1モル)、水酸化カリウム0.4gをSUS316製耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、160℃に昇温にて、酸化エチレン352g(8モル)を付加した。この酸化エチレン付加体758g、ラウリン酸180g(0.9モル)および水酸化カリウム1.8gを温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた四口フラスコにとり、210℃で20時間エステル化反応を行い、50℃に冷却後、反応物を取り出した。得られた反応物の酸価は0.40mgKOH/g、エステル価は52.7であった。
合成例7
合成例1で得られたトリスチレン化フェノール406g(1モル)、水酸化カリウム0.2gをSUS316製耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、160℃に昇温にて、酸化エチレン88g(2モル)を付加した。この酸化エチレン付加体494g、ステアリン酸255g(0.9モル)および水酸化カリウム2.1gを温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた四口フラスコにとり、210℃で30時間エステル化反応を行い、50℃に冷却後、反応物を取り出した。得られた反応物の酸価は0.95mgKOH/g、エステル価は75.1であった。
合成例8
合成例2で得られたジスチレン化フェニルフェノール378g(1モル)、水酸化カリウム0.2gをSUS316製耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、160℃に昇温して、酸化エチレン88g(2モル)を付加した。この酸化エチレン付加体466g、ラウリン酸180g(0.9モル)および水酸化カリウム1.7gを温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた四口フラスコにとり、210℃で30時間エステル化反応を行い、50℃に冷却後、反応物を取り出した。得られた反応物の酸価は0.96mgKOH/g、エステル価は79.6であった。
合成例9
合成例3で得られたジベンジルフェニルフェノール423g(1モル)、水酸化カリウム0.2gをSUS316製耐圧容器に仕込み、窒素置換した後、160℃に昇温して、酸化エチレン88g(2モル)を付加した。この酸化エチレン付加体511g、ラウリン酸180g(0.9モル)および水酸化カリウム1.7gを温度計、窒素ガス導入管、冷却器および攪拌装置を備えた四口フラスコにとり、210℃で30時間エステル化反応を行い、50℃に冷却後、反応物を取り出した。得られた反応物の酸価は0.96mgKOH/g、エステル価は81.9であった。
実施例1〜7、比較例1〜5
表1に記載した組成にて、本発明油剤(実施例1〜7)、および比較油剤(比較例1〜5)を調整した。表1の中で記号で示した油剤成分の内容は下記のとおりである。また、各成分の配合比率は重量%を示す。
〔本発明品〕
A−1:トリスチレン化フェノールEO2モル付加物ラウレート (合成例4)
A−2:トリスチレン化フェノールEO4モル付加物ラウレート (合成例5)
A−3:トリスチレン化フェノールEO8モル付加物ラウレート (合成例6)
A−4:トリスチレン化フェノールEO2モル付加物ステアレート (合成例7)
A−5:ジスチレン化フェニルフェノールEO2モル付加物ラウレート(合成例8)
A−6:ジベンジルフェニルフェノールEO2モル付加物ラウレート (合成例9)
〔潤滑剤〕
B−1:ジオレイルチオジプロピオネート
B−2:イソステアリルオレート
B−3:硬化ヒマシ油EO20モル付加物とアジピン酸、ステアリン酸の重縮合物
B−4:硬化ヒマシ油EO40モル付加物
B−5:ステアリルアルコールEO40モル付加物
〔その他の成分〕
C−1:ラウリルスルホネートナトリウム塩
C−2:ステアリルアルコールEO3モル付加物のリン酸エステルカリウム塩
C−3:オレイン酸カリウム塩
C−4:乳酸トリエタノールアミン塩
C−5:ステアリルアミンEO10モル付加物
Figure 2005146489
次に本発明の油剤(実施例1〜7)及び比較油剤(比較例1〜5)の20質量%エマルションを用いて、紡糸直後の66ナイロン糸に純分付着量が1.2%となるようにノズル給油方式で付与し、延伸ローラーを介して240℃で3倍延伸し、巻き取り速度4500m/分で1260デニール/244フィラメントの糸を巻き取った。紡糸中の糸切れ回数(1時間当たり)、巻き取った糸の10万m当たりの毛羽数、延伸ローラー上での発煙状態および汚れ程度を、下記の基準で評価した結果を表2に示す。
〔延伸ローラー上での発煙および汚れ程度の判断基準〕
◎:発煙少ない、汚れ少ない
○:発煙少しある、汚れ少しある
△:発煙やや多い、汚れやや多い
×:発煙非常に多い、汚れ非常に多い
Figure 2005146489
表2から、本発明の油剤は製糸性が良好で、優れた品質の糸を安定的に得ることができ、かつ、延伸ローラーでの発煙や汚れが少なく、耐熱性に優れることが明らかである。

Claims (1)

  1. 下記一般式〔I〕で表される脂肪酸エステル化合物を5〜40重量%含有することを特徴とする合成繊維用紡糸油剤
    Figure 2005146489
    〔但し、式中Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは1〜10の整数である。Rは1〜6個のベンゼン環を有するアリールフェニル基またはアリールカルボン酸残基、Rは炭素数6〜21のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシル基で置換されたアルキル基を表わす。〕
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