JP2005142331A - 複合コモンモードチョークコイル - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的な強度を増して高強度化した複合コモンモードチョークコイルを提供すること。
【解決手段】 内部導体を形成した複数のシート状材料を積層して第1及び第2コイル導体41、42を形成するコイル部18と、内部導体を形成した複数のシート状材料を積層して第1及び第2キャパシタ導体31、32を形成する第1及び第2コンデンサ部16、20とを具備し、これらを一体的に焼成してなる積層体に第1及び第2コイル導体41、42及び第1及び第2キャパシタ導体31、32に接続された外部電極が設けられている複合コモンモードチョークコイル10であって、前記積層体の上下両面に形成される第1及び第2表面保護層15、21の直下に第1及び第2コンデンサ部16、20をそれぞれ配設したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子機器に侵入するコモンモードノイズを除去する積層型複合コモンモードチョークコイル及びその製造方法に関する。
従来より、パーソナルコンピュータやその周辺機器で採用されているUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)及びLDVS(Low Voltage Differential Signaling)といった高速の差動伝送方式のラインに流れるコモンモードノイズを除去するために、2つのコイル間の磁気的結合の高いコモンモードチョークコイルが使用されている。また、電源ラインなどのノイズには、コモンモードノイズだけでなくノーマルモードノイズを除去するために、コモンモードチョークコイルとコンデンサとを組み合わせた複合コモンモードチョークコイルが使用されている。
前者のコモンモードチョークコイルは、2つのコイルを磁気的に組み合わせたコイルのことであり、電流の伝導方向におけるノーマルモードの成分には影響を与えないようにしてコモンモードの成分のみを除去するように構成したものである。後者の複合コモンモードチョークコイルは、コモンモードチョークコイルとコンデンサとの単体部品を組み合わせるなどして複合回路を構成したものであり、磁気的に組み合わせた2つのコイルの両端間にそれぞれコンデンサを設けた複合コモンモードチョークコイルが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
前者の複合コモンモードチョークコイルは、磁性体材料で構成されたグリーンシートの表面に内部導体を形成し、これを積層して2つのコイルを形成することで複合コモンモードチョークコイルを形成している。形成された2つのコイルを形成する内部導体のうち、2つのコイルの両端側にあたる内部導体間でコンデンサとして使用できる程度の浮遊容量を生成させることによって、2つのコイルの両端間にそれぞれコンデンサが設けられている。
また、後者の複合コモンモードチョークコイルは、同様に表面に内部導体が形成されたグリーンシートを積層することで複合コモンモードチョークコイルを形成しているが、積層された内部導体のうち、2つのコイルの両端側にあたる内部導体に高誘電率を有する材料を用いることでコンデンサとし、2つのコイルの両端間にそれぞれコンデンサが設けられている。
特開平4−142715号公報(図1) 特開平4−123405号公報(図1)
しかしながら、上記従来の複合コモンモードチョークコイルにおいては、上下表面層の材料自体に強度がなく弱いと、温度変化による熱応力や曲げ応力などの機械的な強度が不足する場合があり、信頼性や耐久性の面で不都合を生じるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、機械的な強度を増して高強度化した複合コモンモードチョークコイルを提供することを主目的としている。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかる積層型複合コモンモードチョークコイルは内部導体を形成した複数のシート状材料を積層して第1及び第2コイル導体を形成するコイル部と、内部導体を形成した複数のシート状材料を積層して第1及び第2キャパシタ導体を形成する第1及び第2コンデンサ部とを具備し、これらを一体的に焼成してなる積層体に前記第1及び第2コイル導体及び前記第1及び第2キャパシタ導体に接続された外部電極が設けられている複合コモンモードチョークコイルであって、前記積層体の上下両面に形成される表面保護層の直下に前記第1及び第2コンデンサ部をそれぞれ配設したことを特徴とする。
この発明によれば、積層体の上下両面に形成される表面保護層の直下にコンデンサ部を配設したので、高収縮層である大面積の内部導体が表面保護層と隣接する位置に積層されることとなる。このような高収縮層は、圧縮応力付与層として機能するので、複合コモンモードチョークコイルを高強度化することができる。
なお、表面保護層についても非磁性絶縁材料よりなる高収縮材料を採用し、上述した誘電材料層とともに圧縮応力付与層を形成することが望ましい。
また、本発明にかかる積層型複合コモンモードチョークコイルは、前記第1及び第2コンデンサ部と前記コイル部との間に浮遊容量低減層が配設されていることが好ましい。
この発明によれば、第1及び第2コンデンサ部とコイル部との間の浮遊容量が低減されるので、高周波特性を向上させることができる。
また、本発明にかかる積層型複合コモンモードチョークコイルは、前記外部導体が、前記第1及び第2コイル導体の両端子間に前記第1及び第2キャパシタ導体をそれぞれ接続することが好ましい。
この発明によれば、第1及び第2コイル導体の両端子間に第1及び第2キャパシタ導体をそれぞれ接続することにより、集中定数π型の複合コモンモードチョークコイルとすることができる。したがって、コモンモードノイズだけでなくノーマルモードノイズを除去することができる。
また、本発明にかかる積層型複合コモンモードチョークコイルは、前記外部導体が、前記第1コイル導体及び前記第1キャパシタ導体を並列に接続すると共に、前記第2コイル導体及び前記第2キャパシタ導体を並列に接続することが好ましい。
この発明によれば、第1コイル導体及び第1キャパシタ導体と、第2コイル導体及び第2キャパシタ導体とをそれぞれ並列に接続することにより、集中定数LC並列共振型の複合コモンモードチョークコイルとすることができ、コモンモード信号に対して急峻な挿入損失特性を得ることができ、コモンモード信号とコモンモードノイズとが近接している場合でも、コモンモードノイズだけを除去することができる。
本発明の複合コモンモードチョークコイルによれば、積層体の上下両面に圧縮応力付与層が形成されているので、機械的強度を増して高強度化した製品を提供することができる。
また、第1及び第2浮遊容量低減層を設けることで、第1及び第2コンデンサ部とコイル部との間の浮遊容量を低減したので、複合コモンモードチョークコイルの高周波特性を向上させることにより、優れたノイズ除去特性の製品を得ることができる。
以下、本発明による複合コモンモードチョークコイルの第1の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図1は本実施形態における複合コモンモードチョークコイルの分解斜視図、図2は図1の完成状態を示す複合コモンモードチョークコイルの外観斜視図、図3は本実施形態による複合コモンモードチョークコイルの磁気結合の様子を示す分解斜視図である。
図1及び図2において、複合コモンモードチョークコイル10は、磁性材料及び誘電材料の混合材料よりなるシート状材料を複数枚積層して一体化した構成とされる。また、略直方体形状の積層体とした複合コモンモードチョークコイル10の対向する2側面には、後述する内部導体と引出電極を介して接続されている4つの外部電極11〜14が分配して設けられている。
図1に示す構成例では、積層体とした複合コモンモードチョークコイル10の上から順に、第1表面保護層15、第1コンデンサ部16、第1浮遊容量低減層17、コイル部18、第2浮遊容量低減層19、第2コンデンサ部20及び第2表面保護層21を配置してある。
第1表面保護層15及び第2表面保護層21は、積層体の上下両面に配設したシート状の高収縮材料であり、後述する第1及び第2コンデンサ部16、20の内部導体と共に圧縮応力付与層を形成している。このような第1表面保護層15及び第2表面保護層21のシート状材料には、例えば表1に示す材料Aが採用される。
なお、材料Aの材料組成を見ると、ガラスの割合(wt%)がかなり多くなっている反面、磁性体及び誘電体の割合は比較的小さくなっており、したがって、透磁率及び誘電率が小さい(低い)材料特性を有する非磁性絶縁材料となっている。
ここで、第1及び第2表面保護層15、21を形成する非磁性絶縁材料の積層数については、図示した1層に限定されることはなく、必要に応じて複数層とすることができる。
Figure 2005142331
第1及び第2コンデンサ部16、20は、それぞれが積層された2枚のシート状材料16a、16b及び20a、20bの表面に対して、ほぼ全面に近い大面積の内部導体である上部導体31a、32a及び下部導体31b、32bを形成することにより、2つの上部導体及び下部導体が対向する配置となって互いに独立した第1及び第2キャパシタ導体31、32が形成されている。なお、上部導体31aには外部電極11と電気的に接続される引出電極33が、下部導体31bには外部電極13と電気的に接続される引出電極34が、上部導体32aには外部電極12と電気的に接続される引出電極35が、そして、下部導体32bには外部電極14と電気的に接続される引出電極36が、それぞれ一体的に連続して設けられている。
このような第1及び第2コンデンサ部16、20のシート状材料16a、16b及び20a、20bには、例えば表1に示した材料Bが採用されている。また、上部導体31a、32a及び下部導体31b、32bの材料には、表1に示した材料Dが採用されている。
ここで、材料Bの材料組成を見ると、材料Aに比べガラスの割合(wt%)が小さく、磁性体及び誘電体の割合(wt%)は比較的多くなっているため、その透磁率及び誘電率が材料Aに比べて大きな(高い)材料特性を有する非磁性材料となっている。
また、材料Dの材料組成を見ると、100%が導電性の金属(例えば銀など)となっており、このような導電体よりなる上部導体31a、32a及び下部導体31b、32bは、周知の印刷法により形成される。
第1及び第2浮遊容量低減層17、19は、第1及び第2コンデンサ部16、20と、コイル部18との層間を大きく(厚く)するため、内部導体のないシート状の材料Bを多層(図示の例では4層)に積層したものである。
なお、第1及び第2浮遊容量低減層17、19を形成する非磁性材料の積層数については、図示した5層に限定されることはなく、必要に応じて適宜変更することができる。
コイル部18は、上から順に第1磁性材料層37、非磁性材料層38及び第2磁性材料層39を配置してある。
第1及び第2磁性材料層37、39は、第1及び第2浮遊容量低減層17、19と非磁性材料層38との層間を大きく(厚く)し、かつ高磁気結合でかつ高コモンモードインピーダンスを得るため、内部導体のないシート状の材料Cを多層(図示の例では3層)に積層したものである。
ここで、材料Cの材料組成を見ると、100%が磁性体となっており、その透磁率が材料A及びBに比べて大きな(高い)材料特性を有する磁性材料となっている。
なお、第1及び第2磁性材料層37、39を形成する磁性材料の積層数については、図示した3層に限定されることはなく、必要に応じて適宜変更することができる。
非磁性材料層38は、上面側から第1非磁性絶縁材料38a、第2非磁性絶縁材料38b、第3非磁性絶縁材料38c及び第4非磁性絶縁材料38dの4層を積層したもので、上述した第1及び第2コンデンサ部16、20、第1及び第2浮遊容量低減層17、19と同様の材料Bによって構成されている。
さて、上述した4層の非磁性絶縁材料のうち、中間部の第2及び第3非磁性絶縁材料38b、36cには、それぞれの上面に渦巻状(スパイラル状)とした内部導体である第1上部導体41a、第2上部導体42a及び第1下部導体41b、第2下部導体42bが設けられている。
このうち、第1上部導体41a及び第2上部導体42aは、第2非磁性絶縁材料38bの上面に形成され、それぞれが1ターン以上の渦巻状となっている。そして、第1上部導体41aの内側には第2上部導体42aが略平行に配置され、互いに短絡しないように設けられている。すなわち、第1上部導体41aと第2上部導体42aとを1つの組とした場合、この1組が渦巻状になっており、その渦巻方向は、上面視において第1上部導体41a及び第2上部導体42aが共に同じ方向となっている。
第1上部導体41aの一方の端部、すなわち渦巻きの外側となる端部には、外部電極11に接続される引出電極43が形成されている。また、第1上部導体41aの他方の端部、すなわち渦巻きの内側となる端部には、第2非磁性絶縁材料38bを貫通する第1スルーホールHaが設けられている。この結果、第1上部導体41aの他端側は、第1スルーホールHaを介して、後述する第3非磁性絶縁材料38c側に形成されている第1下部導体41bと電気的に接続されて第1コイル導体41が構成されている。
同様に、第2上部導体42aの一方の端部、すなわち渦巻きの外側となる端部には、外部電極13に接続される引出電極45が形成されている。また、第2上部導体42aの他方の端部、すなわち渦巻きの内側となる端部には、第2非磁性絶縁材料38bを貫通する第2スルーホールHbが設けられている。この結果、第2上部導体42aの他端側は、第2スルーホールHbを介して、後述する第3非磁性絶縁材料38c側に形成されている第2下部導体42bと電気的に接続されて第2コイル導体42が構成されている。
また、第1下部導体41b及び第2下部導体42bは、第3非磁性絶縁材料38cの上面に形成され、それぞれが1ターン以上の渦巻状となっている。この場合においても、上述した第2非磁性絶縁材料38bの上部導体配置と同様に、第1下部導体41bの内側に第2下部導体42bが略平行に配置され、互いに短絡しないように設けられている。すなわち、第1下部導体41bと第2下部導体42bとを1つの組とした場合、この1組が渦巻状になっており、その渦巻方向は、上面視において第1下部導体41b及び第2下部導体42b共に同じ方向となっており、しかも、上述した第1上部導体41a及び第2上部導体42aとも同方向となっている。
なお、これら第1コイル導体41及び第2コイル導体42についても、表1に示した金属100%の材料Dが用いられており、周知の印刷法により形成されたものである。
第1下部導体41bの一方の端部、すなわち渦巻きの外側となる端部には、外部電極12に接続される引出電極44が形成されている。また、第1下部導体41bの他方の端部、すなわち渦巻きの内側となる端部が、第1スルーホールHaを介して上述した第2非磁性絶縁材料38bに形成されている第1上部導体41aと電気的に接続されている。
同様に、第2下部導体42bの一方の端部、すなわち渦巻きの外側となる端部には外部電極14に接続される引出電極46が形成されている。また、第2下部導体42bの他方の端部、すなわち渦巻きの内側となる端部は、第2スルーホールHbを介して上述した第2非磁性絶縁材料38b側に形成されている第2上部導体42aと電気的に接続されている。
このようにして非磁性絶縁材料及び磁性材料を積層することにより、コイル部18の上下に第1及び第2浮遊容量低減層17、19を介して第1及び第2コンデンサ部16、20が配置され、さらに第1及び第2コンデンサ部16、20に隣接する上下の両端面に第1及び第2表面保護層15、21が設けられて機械的強度の増した複合コモンモードチョークコイル10が形成される。
すなわち、複合コモンモードチョークコイル10の積層体は、上下両面の第1及び第2表面保護層15、21とその直下の第1及び第2上部導体31、34とに、中間層となる第1及び第2浮遊容量低減層17、19及びコイル部18の材料Bよりも高収縮の材料A及び材料Dを配置して積層したため、上下両面に高収縮材料よりなる圧縮応力付与層が形成される。この結果、複合コモンモードチョークコイル10に対して、温度変化により発生する熱応力が作用した場合や外部から曲げ応力が作用した場合など、機械的な強度を増すことができる。換言すれば、複合コモンモードチョークコイル10を構成する第1及び第2コンデンサ部16、20に不可欠な大面積の上部導体31a、32a及び下部導体31b、32bの層を圧縮応力付与層の形成に有効利用できるように、その積層位置が第1及び第2表面保護層15、21の直下(すぐ内側)となるように配置して、積層体の機械的な強度を増したものである。
また、第1及び第2コンデンサ部16、20とコイル部18との間には、磁性材料を積層してなる第1及び第2浮遊容量低減層17、19を配置して浮遊容量の低減をはかっているが、浮遊容量の問題を考慮しなければ、磁性材料を薄く(たとえば1枚のシート状材料)配置してもよい。しかし、高周波特性を向上させ、優れたノイズ除去特性を得るためには、十分な厚さの浮遊容量低減層を設けることが好ましい。
また、第1及び第2コイル導体41、42の両端子間に第1及び第2キャパシタ導体31、32がそれぞれ接続され、集中定数π型の複合コモンモードチョークコイルとなっているため、コモンモードノイズだけでなくノーマルモードノイズを除去することができる。
図4は、上述した複合コモンモードチョークコイル10において、コモンモード時における磁気結合の様子を示す図である。
この場合、第1及び第2上部導体41a、42aが影響し合って矢印Z1、Z2のように磁気結合し、同時に、第1及び第2下部導体41b、42bが影響し合って矢印Z3、Z4のように磁気結合する。この結果、矢印Z5、Z6で示すように、複合コモンモードチョークコイル10全体に大きな磁気結合が生じる。すなわち、磁気結合に寄与する内部導体の長さを十分に確保することでコモンモード信号におけるインピーダンスを高くしてノイズ除去性能が向上した複合コモンモードチョークコイル10となる。
次に、第2の実施形態について図5から図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態において説明した構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第1の実施形態における複合コモンモードチョークコイル10では、第1コイル導体41と第2コイル導体42との両端間にそれぞれコンデンサが設けられたが、第2の実施形態における複合コモンモードチョークコイル50では、第1コイル導体41と第2コイル導体42とにそれぞれ並列にコンデンサが設けられている点である。
すなわち、複合コモンモードチョークコイル50は、図5に示すように、第1コンデンサ部16を形成する下部導体31bが外部電極12と電気的に接続される引出電極51が設けられており、第2コンデンサ部20を形成する上部導体21aが外部電極13と電気的に接続される引出電極52が設けられている。
本実施形態における複合コモンモードチョークコイル50においても上述した第1の実施形態と同様に、機械的強度を増大させることができる。また、第1及び第2コンデンサ部16、20とコイル部18との浮遊容量の低減がはかられる。
また、第1コイル導体41及び第1キャパシタ導体31と、第2コイル導体42及び第2キャパシタ導体32とがそれぞれ並列に接続され、集中定数LC並列共振型の複合コモンモードチョークコイルとなっているため、コモンモード信号に対して急峻な挿入損失特性を得ることができ、コモンモード信号とコモンモードノイズとが近接している場合でも、コモンモードノイズだけを除去することができる。
図8は、上述した複合コモンモードチョークコイル10において、コモンモード時における磁気結合の様子を示す図である。
この場合においても上述した第1実施形態と同様に、複合コモンモードチョークコイル50全体に大きな磁気結合が生じるので、コモンモード信号におけるインピーダンスを高くしてノイズ除去性能が向上した複合コモンモードチョークコイル50となる。
次に、本発明にかかる複合コモンモードチョークコイル10及び50を、実施例により具体的に説明する。
まず、以下のようにして磁性材料、誘電材料及びガラス材料を得た。
<磁性材料>
NiO、ZnO、CuO、Feを出発原料とし、これらを各々15:25:12:48(モル比)の割合で湿式混合後、950℃で仮焼し、Ni0.15Zn0.25Cu0.12Fe0.961.96の磁性材料を得た。得られた磁性材料は、湿式にて48時間粉砕し、平均粒径が約1μmのスピネル構造の磁性材料を得た。
<誘電材料>
PbO、La、ZrO、TiOを出発原料とし、これらを各々88:6:70:30(モル比)の割合で湿式混合後、1050℃で仮焼し、Pb0.88La0.12Zr0.7Ti0.33.06の誘電材料を得た。得られた誘電材料は、湿式にて24時間粉砕し、平均粒径が約1μmのペロブスカイト型の誘電材料を得た。
<ガラス材料>
SiO、Al、CaO、BaOの各々の割合が55:15:20:10(重量比)のガラス材料を得るために、Si、Al、Ca、Baの各成分の酸化物、炭酸塩または水酸化物を混合し、1100℃で溶解後急冷し、ガラス材料を得た。得られたガラス材料は、湿式にて48時間粉砕し、平均粒径0.5〜1.5μmのガラス材料を得た。
次に、上記磁性材料、上記誘電材料、上記ガラス材料を用いて、表1に示す複合比でそれぞれ混合し、ポリビニルブチラール等のバインダーを混合粉に対し9.4wt%加えて混練し複合ペイントを調整する。この複合ペイントでドクターブレード法により厚み10〜50μmの材料A、材料B及び材料Cの各グリーンシートを作成した。
次に、各グリーンシートを用いて積層し、その途中で、市販のAgペーストを用いて第1及び第2キャパシタ導体31、32と第1及び第2コイル導体41、42とを印刷形成し(各コイル導体は各スルーホールを介して接続)、熱間圧着後、焼成後に焼結体寸法が1.0×0.5mmとなるように切断し、複合コモンモードチョークコイルを得た。このチップを400℃で脱脂処理した後、大気中で940℃で4時間焼成した。得られたチップ状の焼結体をバレル研磨法で面取り処理した後、両端部にAg/Pd合金からなる端子電極層を形成して焼成し、複合コモンモードチョークコイルを得た。
表1に示す材料Aは、第1及び第2表面保護層15、21に使用されるシート状の非磁性絶縁材料である。材料Aの材料組成は、磁性体が20wt%、誘電体が13.3wt%、ガラスが66.7wt%であり、金属は全く含まれていない。
また、表1に示す材料Bは、第1及び第2コンデンサ部16、20、第1及び第2浮遊容量低減層17、19、非磁性材料層38の非磁性材料として使用されるシート状の非磁性絶縁材料である。材料Bの材料組成は、磁性体が50wt%、誘電体が33.3wt%、ガラスは16.7wt%であり、金属は全く含まれていない。
また、表1に示す材料Cは、第1及び第2磁性材料層37、39の磁性材料として使用されるシート状の材料である。材料Cの材料組成は、磁性体が100wt%であり、誘電体、ガラス及び金属は全く含まれていない。
また、表1に示す材料Dは、第1及び第2キャパシタ導体31、32、第1及び第2コイル導体41、42に使用される導電性の材料である。材料Dの材料組成は、磁性体、誘電体及びガラスを全く含まず、金属が100wt%である。
上述した材料A〜Cの材料特性は、各材料のグリーンシートを約0.8mmの厚さで積層し、プレス成形し、大気中で940℃で4時間焼成して得られた焼結体試料の特性結果が表1に示されている。ここで、透磁率及び誘電率は周波数1MHzでの測定値、Δμは材料Aの透磁率を基準(すなわち1)として他の材料の透磁率の比を記載している。
また、抵抗率については、1×10Ωcm以上の場合は高絶縁性であるとして○を記載している。
さらに、収縮については、焼成前の寸法を基準として焼成後の寸法を百分率(%)で示している。
すなわち、積層体の両端側には、中間層の材料B(収縮84.8%)より収縮の大きい高収縮材料である材料A(収縮84.0%)及び材料D(収縮84.0%)が配置されて圧縮応力付与層を形成している。
次に、本発明にかかる複合コモンモードチョークコイル50のコモンモードに対する挿入損失特性を測定した。
実施例1として、第1及び第2キャパシタ導体31、32の容量値を共に5pFとしたものを製作し、実施例2として容量値を共に3pFとしたものを製作した。また、第1及び第2キャパシタ導体31、32が設けられていないコモンモードチョークコイルを比較例として製作した。
これら実施例1、実施例2及び比較例に対して、1×10Hzから1×10Hzまで周波数を変化させたときのコモンモード信号及びノーマルモード信号に対する挿入損失を測定した。コモンモード信号に対する測定結果を図9に示す。
図9に示されるように、第1及び第2キャパシタ導体31、32の容量値を増大させることで、コモンモード信号に対する挿入損失特性が急峻になることを確認した。なお、ノーマルモード信号に対する挿入損失は、容量値に対して大きな変動がなかった。
ところで、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば材料A〜Dの組成など、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
また、上記実施形態において第1及び第2コイル導体は、バイファラ巻きのコイルを用いたが、これに限らず、ソレノイド巻きや、8の字巻きや、ミアンダ巻きなどであってもよい。
また、上述した複合コモンモードチョークコイルは、上述した構成のものを複数組並べて、アレイ化することも可能である。
本発明にかかる第1の実施形態における複合コモンモードチョークコイルを示す分解斜視図である。 本発明にかかる第1の実施形態における複合コモンモードチョークコイルを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は等価回路図である。 図1におけるA−A断面を示す模式図である。 本発明にかかる第1の実施形態における複合コモンモードチョークコイルの磁気結合の様子を示す分解斜視図である。 本発明にかかる第2の実施形態における複合コモンモードチョークコイルを示す分解斜視図である。 本発明にかかる第2の実施形態における複合コモンモードチョークコイルを示すもので、(a)は外観斜視図、(b)は等価回路図である。 図5におけるB−B断面を示す模式図である。 本発明にかかる第2の実施形態における複合コモンモードチョークコイルの磁気結合の様子を示す分解斜視図である。 本発明にかかる実施例2におけるコモンモード信号の挿入損失特性を示すグラフである。
符号の説明
10、50 複合コモンモードチョークコイル
11〜14 外部電極
15 第1表面保護層
16 第1コンデンサ部
17 第1浮遊容量低減層
18 コイル部
19 第2浮遊容量低減層
20 第2コンデンサ部
21 第2表面保護層
31 第1キャパシタ導体
31a、32a、41a、42a 上部導体
31b、32b、41b、42b 下部導体
32 第2キャパシタ導体
41 第1コイル導体
42 第2コイル導体

Claims (4)

  1. 内部導体を形成した複数のシート状材料を積層して第1及び第2コイル導体を形成するコイル部と、内部導体を形成した複数のシート状材料を積層して第1及び第2キャパシタ導体を形成する第1及び第2コンデンサ部とを具備し、これらを一体的に焼成してなる積層体に前記第1及び第2コイル導体及び前記第1及び第2キャパシタ導体に接続された外部電極が設けられている複合コモンモードチョークコイルであって、
    前記積層体の上下両面に形成される表面保護層の直下に前記第1及び第2コンデンサ部をそれぞれ配設したことを特徴とする複合コモンモードチョークコイル。
  2. 前記第1及び第2コンデンサ部と前記コイル部との間に浮遊容量低減層が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の複合コモンモードチョークコイル。
  3. 前記外部導体が、前記第1及び第2コイル導体の両端子間に前記第1及び第2キャパシタ導体をそれぞれ接続することを特徴とする請求項1または2に記載の複合コモンモードチョークコイル。
  4. 前記外部導体が、前記第1コイル導体及び前記第1キャパシタ導体を並列に接続すると共に、前記第2コイル導体及び前記第2キャパシタ導体を並列に接続することを特徴とする請求項1または2に記載の複合コモンモードチョークコイル。
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