JP2005140219A - 回転伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入力軸と外輪間に2方向クラッチと、その2方向クラッチのオン、オフを制御する電磁クラッチを組込んだ回転伝達装置において、磁束の漏洩により2方向クラッチの保持器の回転を制御するアーマチュアの吸着力が低下するのを抑制することである。
【解決手段】入力軸1と外輪2間に、入力軸1に対する保持器9の相対回転により係合子8を入力軸1および外輪2に係合、離脱させる2方向クラッチ5と、電磁石19に対する通電により保持器9に回り止めされて軸方向に移動可能なアーマチュア17を外輪2の回り止めされたロータ18に吸着させて保持器9に回転抵抗を付与する電磁クラッチ16とを組込む。アーマチュア17と保持器9の対向面間に磁気遮蔽材24を取付けてロータ18からアーマチュア17に流れる磁束が保持器9側に漏洩するのを防止し、ロータ18がアーマチュア17を吸着する際の吸着力の低下を抑制する。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両の動力伝達経路において、動力の伝達と遮断の切換えに用いられる回転伝達装置に関するものである。
この種の回転伝達装置として特許文献1に記載されたものが従来から知られている。上記特許文献1に記載された回転伝達装置は、図6乃至図8に記載した回転伝達装置と同一の構成とされている。すなわち、トランスミッションの出力軸Aから回転トルクが伝達される入力軸40にカムリング41を設け、そのカムリング41の外側に設けられた外輪42を入力軸40に対して相対的に回転自在に支持し、前記カムリング41と外輪42間に2方向クラッチ43を組込み、その2方向クラッチ43のオン、オフを制御する電磁クラッチ44を上記2方向クラッチ43に並設している。
ここで、2方向クラッチ43は、カムリング41の外周に外輪42の内周に形成された円筒面45との間でくさび形空間を形成するカム面46を設け、そのカム面46と円筒面45との間に組込まれたローラ47をカムリング41と外輪42間に組込まれた保持器48で保持し、その保持器48にカムリング41の端面に支持されたスイッチばね49のばね力を付与してローラ47が円筒面45およびカム面46に対して係合解除される中立位置に保持器48を弾性保持している。
一方、電磁クラッチ44は、保持器48に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動可能に支持されたアーマチュア50と、外輪42の端部内に圧入されてアーマチュア50と軸方向で対向するロータ51と、そのロータ51に対して軸方向に対向配置された電磁石52と、前記アーマチュア50をロータ51から離反させる離反ばね53とから成り、前記ロータ51には前記アーマチュア50と対向する吸着面に複数の環状に配置されたスリット54を設けている。
ここで、前記アーマチュア50を保持器48に対して回り止めし、かつ軸方向に移動可能に支持するため、保持器48の端部内にコネクティングプレート55を嵌合し、そのコネクティングプレート55の外周に設けられた係合片56を保持器48の端部に形成された切欠部57およびアーマチュア50に設けられた係合孔58に係合させるようにしている。
上記の構成から成る回転伝達装置においては、入力軸40の回転時に、電磁クラッチ44の電磁石52に通電すると、ロータ51とアーマチュア50の相互間に磁束が流れて図8に矢印で示す磁気回路Eが形成されるため、アーマチュア50がロータ51に吸着され、その吸着面に作用する摩擦抵抗が保持器48の回転抵抗となって入力軸40と保持器48が相対回転し、ローラ47が円筒面45およびカム面46に係合して入力軸40の回転が外輪42に伝達される。
また、電磁石52に対する通電を遮断すると、スイッチばね49のばね力により保持器48が回転して係合子47が中立位置に戻され、入力軸40のみが回転する。
上記のような回転伝達装置において、ロータ51とアーマチュア50の吸着面に作用する摩擦抵抗がスイッチばね49のばね力より小さい場合には、入力軸40と保持器48とを相対回転させることができず、ローラ47を係合位置にスイッチさせることができなくなる。
このため、上記吸着面にはスイッチばね49のばね力より大きい摩擦抵抗を付与させる必要があり、電磁クラッチ44としては、保持器48に負荷するスイッチトルクがスイッチばね49から保持器48に負荷されるトルクより大きい容量の大きな電磁クラッチ44を用いる必要がある。しかし、組込みスペースが小さい等の理由で電磁クラッチ44の容量が大きくできない場合は、アーマチュア50の吸着力の低下を抑制するために、磁束の漏洩を可能な限り防止する必要が生じる。
ところで、上記回転伝達装置においては、2方向クラッチ43のトルク容量を増大させようとした場合、ローラ47のピッチ円直径が環状配置のスリット54の径寸法に近づき、保持器48とアーマチュア50の接触部がスリット54の近くに配置されることになる。このような部品配置となった場合、図8の矢印で示すように、スリット54の位置でロータ51からアーマチュア50に流れ、そのアーマチュア50からロータ51に流れる磁束が保持器47側に流れ易くなり、メタル接触するアーマチュア50と保持器48および保持器48とメタル接触する入力軸40間で磁気回路が形成され、ロータ51がアーマチュア50を吸着する吸着力が低下するという問題が発生する。
また、2方向クラッチ43がオフとされた空転状態では、アーマチュア50のバタツキにより、そのアーマチュア50と保持器48の接触部で微小すべりが生じてフレッティングが生じ、ロータ51とアーマチュア50間のギャップが大きくなってアーマチュア50を吸着する吸着力が低下するという問題があった。
この発明の課題は、入力側部材と出力側部材との間に2方向クラッチを組込み、その2方向クラッチのオン、オフを電磁クラッチによって制御するようにした回転伝達装置において、磁気の漏洩およびアーマチュアと保持器の接触部の摩耗を防止することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、入力側部材と出力側部材とを同軸上に配置して相対的に回転自在に支持し、その入力側部材と出力側部材の相互間に、係合子およびその係合子を保持する保持器を有し、前記入力側部材に対する保持器の相対回転により係合子を入力側部材および出力側部材に係合させる2方向クラッチを組込み、前記入力側部材と保持器の相互間には前記係合子を係合解除される中立位置に保持するスイッチばねを設け、前記2方向クラッチの保持器にスイッチトルクを負荷する電磁クラッチを2方向クラッチに並設し、その電磁クラッチが、保持器に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動可能なアーマチュアと、出力側部材に圧入されて前記アーマチュアと軸方向で対向し、その対向面に複数のスリットが形成されたロータと、そのロータに対して軸方向に対向配置され、通電によりロータにアーマチュアを吸着させる電磁石と、前記アーマチュアをロータから離反させる方向に押圧してアーマチュアを保持器の端面に押し付ける離反ばねとから成る回転伝達装置において、前記保持器とアーマチュアの対向面における一方に弾性を有する磁気遮蔽材を設けた構成を採用したのである。
上記のように、保持器とアーマチュアの対向面間に弾性を有する磁気遮蔽材を設けることによって、電磁石に通電してロータにアーマチュアを吸着させるときに、ロータ内に流れる磁束が保持器側に漏洩するのを防止することができ、アーマチュアを吸着する吸着力の低下を防止することができる。
また、磁気遮蔽材は弾性を有するため、空転時のアーマチュアのバタツキを磁気遮蔽材で吸収することができる。このため、アーマチュアと保持器の接触部でフレッティングが発生するのを防止することができ、アーマチュアとロータ間のギャップを常に一定に保持することができるので、アーマチュアの吸収力の低下を抑制することができる。
以下、この発明の実施の形態を図1乃至図4に基づいて説明する。図1および図2に示すように、回転伝達装置は、先に述べた図6に示す回転伝達装置と同様に、トランスミッションの出力軸Aに接続される入力側部材としての入力軸1と、その入力軸1の外側に設けられた出力側部材としての外輪2を有し、その入力軸1と外輪2は軸受3を介して相対的に回転自在に支持されている。
入力軸1にはカムリング4が設けられ、そのカムリング4と外輪2間に2方向クラッチ5が組込まれている。
図1および図2に示すように、2方向クラッチ5は、外輪2の内周に円筒面6を設け、カムリング4の外周には上記円筒面6との間でくさび形空間を形成する複数のカム面7を周方向に等間隔に設け、各カム面7と円筒面6間にローラから成る係合子8を組込み、その係合子8を入力軸1と外輪2間に組込まれた保持器9で保持し、上記入力軸1に対する保持器9の相対回転によって係合子8を円筒面6およびカム面7に係合させるようにしている。
カムリング4の端面にはばね収納凹部10が形成され、そのばね収納凹部10内にスイッチばね11が組込まれている。スイッチばね11はC形をなし、その両端に形成された一対の係合片12はばね収納凹部10の外周壁に形成された切欠部13から保持器9の端面に設けられた切欠き14内に挿入されて、上記切欠部13および切欠き14の周方向で対向する端面を相反する方向に押圧しており、その押圧によって保持器9は係合子8が円筒面6およびカム面7に対して係合解除された中立位置に弾性保持されている。
外輪2の端部外周にはロータガイド15の一端部が嵌合されている。ロータガイド15は外輪2に対して回り止めされ、かつ軸方向に非可動とされている。このロータガイド15の他端部内に前記2方向クラッチ5のオン、オフを制御する電磁クラッチ16が組込まれている。
電磁クラッチ16は、保持器9に対して軸方向で対向するアーマチュア17と、ロータガイド15の端部内に圧入されて上記アーマチュア17と軸方向で対向するロータ18と、そのロータ18と軸方向で対向する電磁石19を有している。
電磁石19は、フィールドコア19aと、そのフィールドコア19aに巻付けられたコイル19bとから成り、上記コア19aがトランスミッションのケースBに支持されている。
アーマチュア17は保持器9との間に組込まれたコネクティングプレート20を介して保持器9に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動可能とされている。すなわち、保持器9の端部内にコネクティングプレート20を嵌合し、そのコネクティングプレート20の外周に設けられた係合片21を保持器9の端部に形成された切欠き14からアーマチュア17に設けられた係合孔22に挿入して、アーマチュア17を回り止めし、かつ軸方向に移動可能としている。
上記アーマチュア17は、ロータ18との間に組込まれた離反ばね23によってロータ18から離反する方向に押圧されて保持器9の端面に押し付けられている。ここで、保持器9の端面には、図3に示すように、弾性を有する磁気遮蔽材24aが取付けられている。
ロータ18は磁性体から成る。このロータ18はロータガイド15に圧入されて回り止めされ、前記アーマチュア17と対向する対向面には複数の円弧状のスリット25が円形の配置でもって形成されている。
実施の形態で示す回転伝達装置は上記の構造から成り、電磁石19のコイル19bに対する通電の遮断時、2方向クラッチ5の係合子8はスイッチばね11のばね力によって中立位置に保持されているため、入力軸1の回転は外輪2に伝達されず、入力軸1は空転する。
このとき、入力軸1の回転はスイッチばね11を介して保持器9に伝達され、その保持器9にアーマチュア17が回り止めされているため、入力軸1と共に、保持器9およびアーマチュア17も回転する。
入力軸1の回転状態において、電磁石19のコイル19bに通電すると、アーマチュア17がロータ18に吸着され、その吸着面に作用する摩擦抵抗はアーマチュア17と共に回転する保持器9の回転抵抗となるため、保持器9は入力軸1に遅れて回転し、その入力軸1と保持器9の相対回転により、係合子8が円筒面6およびカム面7に係合し、入力軸1の回転は係合子8を介して外輪2に伝達される。
電磁石19のコイル19bに対する通電時、ロータ18を流れる磁束はスリット25の位置においてアーマチュア17に流れ、そのアーマチュア17からロータ18に戻ってロータ18とアーマチュア17間で磁気回路が形成され、ロータ18とアーマチュア17間に作用する磁力によってアーマチュア17がロータ18に吸着されることになる。
このとき、ロータ18に形成されたスリット25の位置が保持器9の端面に近接する配置であり、また、アーマチュア17と保持器9とがメタル接触であると、ロータ18からアーマチュア17に流れた磁束が保持器9側に漏洩するおそれが生じるが、前記保持器9のアーマチュア17と対向する端面には、図3に示すように、磁気遮蔽材24aが取付けられているため、その磁気遮蔽材24aによって保持器9側に磁束が漏洩するのを防止することができる。
このため、磁束漏洩によってアーマチュア17を吸着する吸着力の低下を防止することができる。
また、磁気遮蔽材24aは弾性を有するため、2方向クラッチ5をオフとした回転伝達装置の空転時にアーマチュア17にバタツキが生じると、そのバタツキを上記磁気遮蔽材24aで吸収することができる。
このため、アーマチュア17と保持器9の接触部でフレッティングが発生するのを防止することができ、アーマチュア17とロータ18間に形成されるギャップを常に適正な状態に保持することができる。
図3に示す例では、保持器9の端面に磁気遮蔽材24aを取付けたが、図4に示すように、アーマチュア17の保持器9と対向する対向面に磁気遮蔽材24bを取付けるようにしてもよい。
図1に示す実施の形態では、2方向クラッチ5として係合子8がローラから成るローラタイプのものを示したが、2方向クラッチはこれに限定されず、例えば、図5(I)、(II)に示すように、係合子8がスプラグから成るスプラグタイプの2方向クラッチであってもよい。
スプラグタイプの2方向クラッチにおいては、入力軸1のカムリング4の外周に円筒面26を形成し、その円筒面26と外輪2の円筒面6間にスプラグ8を組込み、上記両円筒面6、26間に組込まれた径の異なる二つの保持器28、29のそれぞれにスプラグ8を収納するポケット30、31を設け、小径側保持器28のポケット30内にスプラグ8を中立位置に保持する一対の弾性片32を設けるようにする。
また、小径側保持器28をカムリング4にピン33を介して取付け、一方、大径側保持器29にアーマチュア17を回り止めし、かつ軸方向に移動可能に設け、そのアーマチュア17がロータ18に吸着されたとき、小径側保持器28と大径側保持器29とを相対的に回動させてスプラグ8を外輪2およびカムリング4の円筒面6、26に係合させる。
さらに、カムリング4の端面に保持されたスイッチばね11のばね力を大径側保持器29に付与し、そのスイッチばね11のばね力により大径側保持器29に回転力を付与してスプラグ8を中立位置に戻すようにする。
この発明に係る回転伝達装置の実施の形態を示す縦断正面図 図1のII−II線に沿った断面図 図1に示す保持器とアーマチュアの接触部を示す拡大断面図 保持器とアーマチュアの接触部の他の例を示す断面図 (I)はこの発明に係る回転伝達装置の他の実施形態を示す断面図、(II)は(I)の縦断側面図 従来の回転伝達装置を示す縦断正面図 図6のVII−VII線に沿った断面図 図6の保持器とアーマチュアの接触部を示す拡大断面図
符号の説明
1 入力軸(入力側部材)
2 外輪(出力側部材)
5 2方向クラッチ
8 係合子
9 保持器
11 スイッチばね
16 電磁クラッチ
17 アーマチュア
18 ロータ
19 電磁石
23 離反ばね
24a 磁気遮蔽材
24b 磁気遮蔽材

Claims (1)

  1. 入力側部材と出力側部材とを同軸上に配置して相対的に回転自在に支持し、その入力側部材と出力側部材の相互間に、係合子およびその係合子を保持する保持器を有し、前記入力側部材に対する保持器の相対回転により係合子を入力側部材および出力側部材に係合させる2方向クラッチを組込み、前記入力側部材と保持器の相互間には前記係合子を係合解除される中立位置に保持するスイッチばねを設け、前記2方向クラッチの保持器にスイッチトルクを負荷する電磁クラッチを2方向クラッチに並設し、その電磁クラッチが、保持器に対して回り止めされ、かつ軸方向に移動可能なアーマチュアと、出力側部材に圧入されて前記アーマチュアと軸方向で対向し、その対向面に複数のスリットが形成されたロータと、そのロータに対して軸方向に対向配置され、通電によりロータにアーマチュアを吸着させる電磁石と、前記アーマチュアをロータから離反させる方向に押圧してアーマチュアを保持器の端面に押し付ける離反ばねとから成る回転伝達装置において、前記保持器とアーマチュアの対向面における一方に弾性を有する磁気遮蔽材を設けたことを特徴とする回転伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007155101A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Ntn Corp 回転伝達装置
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