JP2005140103A - 内燃エンジン用ピストンリング及びこれを利用した内燃エンジン - Google Patents

内燃エンジン用ピストンリング及びこれを利用した内燃エンジン Download PDF

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Abstract

【課題】ピストンリングの弾性係数を実質的に増加させずに、シリンダーボアの変形に対応してシリンダー内壁への接触性を向上させることができるピストンリング、及びこのようなピストンリングを利用する内燃エンジンを提供する。
【解決手段】内燃エンジン用ピストンリングであって、前記内燃エンジンのシリンダー内壁と接触するための外周面;外壁;及び前記外周面の内側に形成される内周面;を含み、前記内周面には複数の長細い縦溝が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃エンジン用ピストンリング及びこれを利用した内燃エンジンに係り、より詳しくは、シリンダーボアの変形がある場合におけるシリンダー内壁への密着性能が向上したピストンリングと、このようなピストンリングを採用した内燃エンジンとに関するものである。
周知のように、内燃エンジンは、空気と燃料をシリンダー内に吸入して燃焼することによって動力を発生する。シリンダー内には、燃焼時の爆発力によって往復運動するピストンが配置されるが、このようなシリンダーの密封効果及びピストンの往復運動時の潤滑のために、ピストンにはピストンリングが装着される。
しかし、シリンダーブロックに形成されたシリンダー内壁は、使用年数が長くなると、熱的な膨脹/収縮の繰り返しにより変形を生じる。このような変形は、単純に半径が変形する1次変形の他にも、複雑な変形形態が存在する。1次変形はシリンダーボアのみが膨脹/収縮することであるが、2次以上の高次変形ではシリンダー断面形態の歪曲を伴う。このような歪曲の程度は、シリンダー内壁がシリンダー中心側に向かって隆起する峰(crest)の個数(あるいは、これと同様に、シリンダー内壁がシリンダー外側に向かって彎曲した谷間(valley)の個数)を把握して変形次数を定める。
シリンダーボア変形の次数が増加するほど、変形の屈曲が激しくなるが、ピストンリングがそのシリンダーボア内壁の屈曲の度合いほど曲がらない場合には、シリンダー内壁とピストンリング外周面との間にギャップが生じる。
このようにシリンダー内壁とピストンリング外周面との間にギャップが生じる場合には、シリンダーの燃焼ガスが前記ギャップを通じてクランクケースに漏れ出して燃料の爆発力を効果的に活用できなくなり、また、潤滑油がシリンダー内に浸透して燃焼することにより潤滑油の消耗が増加する。
図1は、このようなシリンダー内壁の峰110、谷間120、及びこれらによるピストンリング130とシリンダー内壁との間のギャップを示した図である。 図1に示すように、隣り合う峰110の中間にある谷間120が深い場合、ピストンリング130の弾性力(f)だけでは、ピストンリング130が谷間120面に接触できなくなる恐れがある。
シリンダーボアの変形に対応し、ピストンリングがシリンダー内壁によく密着できるようにするためには、ピストンリングの弾性係数を増加させればよい。しかし、これはピストンの動作時の摩擦を増加させることになってシリンダー内壁の摩耗速度が増加するだけでなく、エンジンの出力も低下する。
特開平07−054709号公報
本発明の目的は、ピストンリングの弾性係数を実質的に増加させずに、シリンダーボアの変形に対応してシリンダー内壁への接触性を向上させることができるピストンリング、及びこのようなピストンリングを利用する内燃エンジンを提供することにある。
前記目的を達成するために本発明による内燃エンジンは、
シリンダーを形成するシリンダーブロック;
前記シリンダー内で往復運動するピストン;及び
前記ピストンに装着され、前記シリンダーの内壁と接触するピストンリング;を含み、
前記ピストンリングは、後述する本発明の内燃エンジン用ピストンリングであることを特徴とする。
本発明によるピストンリングは、内燃エンジン用であって、
前記内燃エンジンのシリンダー内壁と接触するための外周面;及び
前記外周面の内側に形成される内周面;を含み、
前記内周面には複数の長細い縦溝が形成されるのが好ましい。
前記長細い縦溝は、前記ピストンリングの内周面に垂直方向に形成されるのが好ましい。
前記長細い縦溝の切り込み深さは、ピストンの半径方向に沿って測定する場合に、ピストンリングの半径方向幅の40%乃至60%であるのが好ましい。
前記長細い縦溝は、前記内周面の上端から下端まで延びているのが好ましい。
前記内周面の長細い縦溝を除いた周長は、2π(R−b2)−G1以上であるのが好ましい。(ここで、Rはシリンダー内壁の半径を、b2はピストンリングの幅を、G1はピストンリングギャップを各々示す。)
本発明の実施例によれば、自由状態ではピストンリングが低い弾性力を有するのでピストンに容易に装着することができ、ピストンリングが装着されたピストンはシリンダー内に容易に挿入できる。
ピストンリングがシリンダー内に挿入された後には、ピストンリングの全体幅による弾性力によりシリンダー内壁に密着する。
シリンダー内壁に高い次数の変形が生じた場合でも、本発明の実施例によるピストンリングはこのようなシリンダー内壁への密着性を向上させる。
以下、本発明の実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の実施例による内燃エンジンの構成図である。
図2に示すように、本発明の実施例による内燃エンジンは、シリンダー205を形成するシリンダーブロック210;シリンダー205内で往復運動するピストン230;及びピストン230に装着され、シリンダー205の内壁215と接触するピストンリング200;を含む。
ピストンリング200は、ピストン230の外壁に彫り込まれたピストンリング用円周溝235に装着される。ピストンリング200を装着したピストン230がシリンダー205内に挿入された後には、ピストンリング200には設定されたピストンリングギャップ(G1)が形成される。
シリンダー内の燃料の爆発力はピストン230に伝達され、この力はピストンピン240とコネクティングロッド245を通じてクランク軸(図示せず)に伝達されて、回転力に転換される。
図3は、本発明の実施例によるピストンリング200を示した斜視図であって、シリンダー205に挿入される前の自由状態を示した図である。
図3に示すように、本発明の実施例によるピストンリング200は、ピストン230に装着されてシリンダー内壁215と接触するためのものであって、シリンダー内壁215と接触するための外周面310、及び外周面310の内側に形成される内周面350を含む。
内周面350には、複数の長細い縦溝360がピストンリング200の半径方向(つまり、前記ピストンリングの内周面に垂直方向)に設定深さ(b0)で形成される。長細い縦溝360は内周面350の上端351から下端352まで延びている。
シリンダー205内に挿入されない状態では、ピストンリング200は自己弾性力によりリングが開いて、ピストンリングギャップ(G2)がシリンダー205内に挿入された状態のピストンリングギャップ(G1)より大きくなる。
また、ピストンリング200には複数の長細い縦溝360が形成されるため、シリンダー205に挿入される前の状態でピストンリング200の有効幅は、ピストンリング200の全体幅(b2)の中で長細い縦溝360が形成されていない幅(b1)に等しくなる。
しかし、ピストンリングの弾性力はその有効幅の3乗に比例するため、自由状態ではピストンリング200が弱い弾性力を示すようになる。したがって、ピストンリング200をピストン230に容易に装着することができ、また、ピストンリング200が装着されたピストン230はシリンダー205に容易に挿入できる。
そして、長細い縦溝360の切り込み深さ(b0)は、ピストンリング200を使用するエンジンの要求仕様によって適切な寸法に決められる。ただし、本発明の実施例では、長細い縦溝360の切り込み深さ(b0)はピストンリング200の幅(b2)の半分に決めるのが好ましい。したがって、自由状態でピストンリング200には、長細い縦溝360がない状態に比べて1/8の弾性力が形成される。
本発明の実施例で、ピストンリング200の内周面350の周長から長細い縦溝360を除いた長さは、2π(R−b2)−G1以上の値に設定される。ここで、Rはシリンダー内壁の半径を、b2はピストンリングの全体幅を、そしてG1はピストンリングギャップ(使用状態)を各々示す。より具体的には、本発明の実施例の場合、ピストンリング200の内周面350の周長から長細い縦溝360を除いた長さは、2π(R−b2)−G1の値に設定される。
したがって、ピストンリング200がシリンダー205内に挿入された場合は、ピストンリング200の半径が減少するとともに、長細い縦溝360による内周面350の間隔が殆ど消滅する。
したがって、シリンダー205内にピストン230が挿入された場合の正常状態は、ピストンリング200の内周面350が切れ目無く連結されたような状態であり、ピストンリング200の有効幅は全体幅(b2)となる。したがって、シリンダー内壁215には全体幅(b2)による弾性力が作用し、密着状態を維持する。
図4は、本発明の実施例によるピストンリング200を使用するエンジンのシリンダーボア変形時におけるピストンリング200の変形を示した図である。
シリンダー内壁215に複雑な屈曲が形成された場合、図4に示すように、シリンダー内壁215の屈曲の峰領域410では長細い縦溝360の隙間が開き、弾性係数が低く形成される。したがって、シリンダー内壁215の峰415に沿ってピストンリング200が容易に曲がるようになる。したがって、シリンダー内壁215の谷間領域420でもピストンリング200はシリンダー内壁215の谷間425に密着するようになる。
以上で本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術範囲において、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば容易に変更し得るであろう。
シリンダー内壁の屈曲と、これにより発生するピストンリングとシリンダー内壁との間のギャップを示した図である。 本発明の実施例による内燃エンジンの構成図である。 本発明の実施例によるピストンリングを示した斜視図であって、シリンダーに挿入される前の自由状態を示した図である。 本発明の実施例によるピストンリングを用いるエンジンのシリンダーボア変形時のピストンリングの変形を示した図である。
符号の説明
200 ピストンリング
205 シリンダー
210 シリンダーブロック
215 シリンダー内壁
230 ピストン
235 円周溝
240 ピストンピン
245 コネクティングロッド
310 外周面
350 内周面
351 内周面の上端
352 内周面の下端
360 長細い縦溝
410 峰領域
415 峰
420 谷間領域
425 谷間

Claims (7)

  1. 内燃エンジン用ピストンリングであって、
    前記内燃エンジンのシリンダー内壁と接触するための外周面;及び
    前記外周面の内側に形成される内周面;を含み、
    前記内周面には複数の長細い縦溝が形成されていることを特徴とする内燃エンジン用ピストンリング。
  2. 前記長細い縦溝は、前記ピストンリングの内周面に垂直方向に形成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃エンジン用ピストンリング。
  3. 前記長細い縦溝の切り込み深さは、ピストンリングの半径方向幅(b2)の40%乃至60%であることを特徴とする、請求項2に記載の内燃エンジン用ピストンリング。
  4. 前記内周面の長細い縦溝を除いた周長は、2π(R−b2)−G1以上であることを特徴とする、請求項3に記載の内燃エンジン用ピストンリング。
    (ここで、Rはシリンダー内壁の半径を、b2はピストンリングの幅を、G1はピストンリングギャップを各々示す。)
  5. 前記長細い縦溝は、前記内周面の上端から下端まで延びていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃エンジン用ピストンリング。
  6. 前記内周面の長細い縦溝を除いた周長は、2π(R−b2)−G1以上であることを特徴とする、請求項1に記載の内燃エンジン用ピストンリング。
    (ここで、Rはシリンダー内壁の半径を、b2はピストンリングの幅を、G1はピストンリングギャップを各々示す。)
  7. シリンダーを形成するシリンダーブロック;
    前記シリンダー内で往復運動するピストン;及び
    前記ピストンに装着され、前記シリンダーの内壁と接触するピストンリング;を含み、
    前記ピストンリングは、請求項1乃至6のうちのいずれかに記載のピストンリングであることを特徴とする内燃エンジン。
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