JP2005135648A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機エレクトロルミネッセンス素子の効率の良い製造方法を提供すること。
【解決手段】 長尺透明絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線が形成されており、かつ前記透明電極線上に電極線に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層を備えた第一の電極フィルム、及び長尺絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線が形成されてなる第二の電極フィルムを用意する工程;第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとを、有機材料層を挟んで、それぞれの透明電極線と電極線とが直交するように重ね合わせて積層構造を形成する工程;積層構造が形成されている部位を加圧かつ加熱して、積層構造を融着一体化した積層構造とする工程;そして融着一体化した積層構造の部位を切り離す工程を含む有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【選択図】 図5

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、透明基板の表面に、透明陽電極層、有機発光材料層、そして陰電極層がこの順に積層された基本構成を有する。有機エレクトロルミネッセンス素子は、その陽電極層から正孔を、そして陰電極層から電子を有機発光材料層の内部に注入し、有機発光材料層の内部にて正孔と電子とを再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出(蛍光、燐光)により発光する素子である。有機発光材料層にて発生した光は、透明基板の側から素子の外部に取り出される。
有機発光材料層の内部にて再結合させる正孔と電子とを有機発光材料層の内部に効率良く注入して有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を高くするために、有機発光材料層の陽電極層側の面に正孔輸送層を、そして陰電極層側の面に電子輸送層を付設することが知られている。正孔輸送層と電子輸送層のそれぞれは、有機材料から形成される。また、有機発光材料層に注入される正孔と電子の量を増加させて有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を高くするために、陽電極層の有機発光材料層側の面に正孔注入層を、そして陰電極層の有機発光材料層側の面に電子注入層を付設することも知られている。
陽電極層は通常、ITO(錫ドープ酸化インジウム)などの透明導電性材料から形成される。陰電極層は通常、マグネシウムなどの金属材料から形成される。陽電極層は、スパッタ法などにより、透明基板の表面に形成される。上記の有機発光材料層を含む有機材料層は、真空蒸着法やスピンコート法などにより、前記陽電極層の表面に形成される。そして陰電極層は、真空蒸着法やスパッタ法などにより、前記有機材料層の表面に直接形成される。
陰電極層を真空蒸着法やスパッタ法などにより有機材料層の表面に直接形成すると、陰電極層を形成する金属分子の有するエネルギーが高いために、有機材料層に損傷を与えてピンホールを発生させるなどして、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光品質を低下させる場合がある。
特許文献1には、例えば、透明基板上に透明陽電極層及び正孔輸送層を付設し、また別の基板上に陰電極層及び有機発光材料層を付設し、これらの基板を有機発光材料層が軟化する温度下で圧着して互いに貼り合わせることにより有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法が記載されている。この製造方法によれば、陰電極層を真空蒸着法やスパッタ法などにより有機材料層の表面に直接形成する必要がないために、有機材料層にダメージを与えないとされている。
特許文献2には、矩形ガラス基板上に互いに平行に整列配置された透明電極線(陽電極層)及び正孔注入層を付設し、そして別の矩形ガラス基板上に互いに平行に整列配置された電極線(陰電極層)、有機発光材料層及び正孔注入層を付設し、これらのガラス基板を透明電極線と電極線とが互いに直交するようにして重ね合わせて圧着することにより有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法が記載されている。この電極線が交差する部位のそれぞれに、有機エレクトロルミネッセンス素子が形成される。
特許文献3には、陽極基板と陰極基板とを貼り合わせて有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する方法が記載されている。陽極基板の表面には、有機材料層の一部の層が積層され、陰極基板の表面には、有機材料層の残りの層が積層されている。陽極基板は、透明基板上に透明陽電極層が積層された構成を有している。そして、透明基板としてプラスチック製のフィルムを用いることにより、巻き取りにより有機エレクトロルミネッセンス素子を安価に製造できるとの記載がある。
特許第2755216号公報 特開2002−203675号公報(第2図) 特開2002−231444号公報(第3頁)
本発明の目的は、長尺状に形成された素材から、有機エレクトロルミネッセンス素子を効率良く製造する方法を提供することにある。
本発明の目的はまた、内部への水分の侵入が抑制された有機エレクトロルミネッセンス素子を効率良く製造する方法を提供することにもある。
本発明は、下記の工程を順に実施することからなる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法にある。
(1)長尺透明絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線が形成されており、且つこの二以上の透明電極線の上に電極線に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層を備えた第一の電極フィルム、及び長尺絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線が形成されてなる第二の電極フィルムを少なくとも一組、あるいは長尺透明絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線が形成されてなる第一の電極フィルム、及び長尺絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線が形成されており、且つこの二以上の電極線の上に電極線に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層を備えてなる第二の電極フィルムを少なくとも一組用意する工程。
(2)第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとを、有機材料層を挟んで、それぞれの透明電極線と電極線とが直交するように重ね合わせて積層構造を形成する工程。
(3)積層構造が形成されている部位を加圧かつ加熱して、積層構造を融着一体化した積層構造とする工程。
(4)融着一体化した積層構造の部位を、第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとから切り離す工程。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法の好ましい態様は、下記の通りである。
(A)表面に有機材料層が備えられていない電極フィルムの表面に有機材料層の周囲を囲むことのできる形状とサイズの封止用硬化性樹脂製の枠体が付設されていて、第一の電極フィルムと第二の電極フィルムの重ね合わせによる積層構造の形成に際して、前記枠体に有機材料層が収容されるように配置し、かつ積層構造の融着一体化の工程の後に封止用硬化性樹脂製の枠体を硬化させる工程が含まれる。
(B)表面に有機材料層が備えられている電極フィルムの該有機材料層の周囲に封止用硬化性樹脂製の枠体が付設されていて、積層構造の融着一体化の工程の後に封止用硬化性樹脂製の枠体を硬化する工程が含まれる。
(C)第二の電極フィルムの長尺絶縁フィルムが、長尺樹脂フィルム上に少なくとも金属層と絶縁層とが積層された構成にある。
(D)金属層の厚みが、10乃至500nmの範囲にある。
(E)絶縁層の厚みが、10乃至150nmの範囲にある。
(F)第一の電極フィルムの長尺透明絶縁フィルムが、長尺透明樹脂フィルム上に少なくとも金属層と絶縁層とが積層された構成にある。
なお、本明細書において、「透明」とは、可視光の透過率が60%以上、好ましくは70%以上であることを意味する。
本発明においては、長尺透明絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線が形成され、且つこの二以上の透明電極線上に有機材料層を備えた第一の電極フィルムと、長尺絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線が形成された第二の電極フィルムとを、前記の有機材料層を挟んで、それぞれの透明電極線と電極線とが直交するように重ね合わせた後に互いに接合することにより有機エレクトロルミネッセンス素子部位を製造する。上記の各々の電極フィルムは、スパッタ法などによって、その透明電極線や電極線を連続的に形成することが容易であるために効率良く作製することができる。そして、これらの電極フィルムを、その透明電極線と電極線とが互いに直交するように貼り合わせることにより、有機エレクトロルミネッセンス素子部位を効率良く製造することができる。さらに、各々の電極フィルムの絶縁フィルムを、樹脂フィルム上に金属層と絶縁層とが積層された構成とすることにより、前記金属層によって素子内部への水分の侵入が抑制された有機エレクトロルミネッセンス素子部位を効率良く製造することができる。
先ず、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法の実施に用いる第一の電極フィルム及び第二の電極フィルムのそれぞれを、添付の図面を用いて説明する。図1は、第一の電極フィルムの一例の構成を示す斜視図であり、そして図2は、図1に記入した切断線I−I線に沿って切断した第一の電極フィルム11の拡大断面図である。
図1及び図2に示す第一の電極フィルム11は、長尺透明絶縁フィルム12上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線13が形成され、かつ二以上の透明電極線13上に電極線13に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層14を備えた構成を有している。
図2に示すように、第一の電極フィルム11の長尺透明絶縁フィルム12は、長尺透明樹脂フィルム22上に、少なくとも金属層28と絶縁層29とがこの順に積層された構成を有していることが好ましい。金属層28は、作製される有機エレクトロルミネッセンス素子内部への第一の電極フィルム側からの水分の侵入を抑制する。絶縁層29は、二つの透明電極線13が、金属層28を介して互いに電気的に接続されて短絡することを防止する。
長尺透明樹脂フィルム22としては、ロール状に調製した、ポリエステルフイルム(例、ポリエチレンテレフタレートフイルム)、ポリカーボネートフイルム、ポリイミドフイルム、ポリエーテルスルフォンフイルム、ポリエーテルイミドフイルム、ポリフェニレンサルファイドフイルム、ポリスルホンフイルム、ポリエーテルエーテルケトンフイルム、ポリアミドフイルム、ポリメタクリル酸メチルフイルム、ポリエチレンナフタレートフイルム、ポリアリレートフイルム、もしくはシクロオレフィンポリマーフイルムなどを用いることができる。
長尺透明樹脂フィルム22の厚みは、3乃至1000μmの範囲にあることが好ましく、10乃至500μmの範囲にあることがより好ましく、10乃至300μmの範囲にあることがさらに好ましい。長尺透明樹脂フィルム22の幅は、取り扱いを容易とするために、5乃至200cmの範囲にあることが好ましい。
金属層28は、金属材料から形成され、透湿性は低い。従って、金属層28は、作製される有機エレクトロルミネッセンス素子内部への第一の電極フィルム側からの水分の侵入を抑制する。
金属層28の厚みは、有機エレクトロルミネッセンス素子内部への水分の侵入を抑制し、かつ可視光を透過させる厚み(好ましくは数十nm以下)とする必要がある。これは、有機エレクトロルミネッセンス素子の有機発光材料層にて発生した光を、第一の電極フィルム11の長尺透明絶縁フィルム12の側から素子の外部に取り出すためである。
長尺透明樹脂フィルム22の表面に金属層28を形成する方法の代表例としては、真空蒸着法やスパッタ法などの乾式塗布法、およびグラビア印刷法やブレードコート法などの湿式塗布法が挙げられる。
金属層28を形成する金属材料の例としては、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、パラジウム、白金、および前記金属材料のうちの少なくとも一種類を含む合金組成物が挙げられる。
絶縁層29は、二つの透明電極線13が、金属層28を介して互いに電気的に接続されて短絡することを防止する。金属層28の表面に絶縁層29を形成する方法の代表例としては、真空蒸着法、スパッタ法、グラビア印刷法などの印刷法、およびロールコート法やブレードコート法などの塗布法が挙げられる。
絶縁層29の厚みは、10乃至1000nmの範囲にあることが好ましい。絶縁層29の厚みは、第一の電極フィルム11をロール状にした際にクラックが生じないように、絶縁層を形成する絶縁性材料の硬さに応じて適宜設定される。絶縁層29の厚みは、10乃至500nmの範囲にあることが好ましく、10乃至180nmの範囲にあることがより好ましく、10乃至150nmの範囲にあることがさらに好ましい。
絶縁層29の材料としては、上記の厚みの範囲内において透明性を示す公知の絶縁性材料を用いることができる。絶縁性材料の代表例としては、TiO2 及びSiO2 などの金属酸化物材料、あるいはポリエステル樹脂(例、ポリエチレンテレフタレート樹脂)及びポリカーボネート樹脂などの樹脂材料が挙げられる。樹脂材料を用いる場合には、絶縁層29を、前記樹脂材料からなるフィルムを金属層28の表面にラミネートして形成することもできる。
図2に示すように、樹脂フィルム22と金属層28との密着性を向上させるために、これらの間に接着層27を付設することもできる。接着層27の材料としては、例えば、上記の絶縁層29を形成する絶縁性材料と同じものを用いることができる。この場合の接着層27の好ましい厚みの範囲は、上記の絶縁層29の場合と同様である。
有機エレクトロルミネッセンス素子内部への第一の電極フィルム側からの水分の侵入を抑制するための長尺透明絶縁フィルムの構成は、上記の金属層及び絶縁層を備えた構成に限定されない。長尺透明絶縁フィルムとしては、防湿処理が施された透明樹脂フィルムを用いることができる。防湿処理方法の代表例としては、樹脂フィルムの表面に低透湿膜(例、SiO2膜)を付設する方法が挙げられる。
透明電極線13は、通常、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽電極層とされる。透明電極線13の材料の代表例としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)が挙げられる。透明電極線13の材料や厚みなどは、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合と同様であり、後に詳しく記載する。
透明電極線13は、例えば、真空蒸着法、あるいはスパッタ法などにより形成される。図1に示すように、透明電極線13は、長尺透明絶縁フィルム12の長さ方向に沿って整列配置される。このような透明電極線13は、例えば、スパッタ法により、スパッタリングターゲットと長尺透明絶縁フィルム12との間に、フィルムの長さ方向に沿って伸びる開口部を有するメタルマスクを配置して、長尺透明絶縁フィルム12を走行させながら連続的に成膜することが容易である。長尺透明絶縁フィルムの幅方向に沿って整列配置された透明電極線を連続的に形成するには、例えば、スパッタ法により、スパッタリングターゲットと長尺透明絶縁フィルムとの間に、フィルムの幅方向に沿って伸びる開口部を有するメタルマスクを配置して、透明電極線の成膜が終了するまで長尺透明絶縁フィルムの走行を一時的に停止する、あるいはスパッタリングターゲットと長尺透明絶縁フィルムとの間に配置されたフィルムの幅方向に沿って伸びる開口部を有するメタルマスクを、長尺透明絶縁フィルムの走行に対応させて走行させながら透明電極線を成膜するなどの複雑な操作が必要とされるからである。
図1及び図2に示す第一の電極フィルム11の透明電極線13上には、有機発光材料層を含む有機材料層14が、透明電極線13に沿って互いに間隔をおいて配置されている。図1及び図2に示す電極フィルム11の場合、有機材料層14は、正孔輸送層14aと有機発光材料層14bとから構成されている。有機材料層14の各々の層の材料や厚みなどは、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合と同様であり、後に詳しく記載する。有機材料層14の各々の層を形成する方法の代表例としては、真空蒸着法、およびグラビア印刷法(好ましくは、マイクログラビアコート法)やスクリーン印刷法などの印刷法が挙げられる。
図3は、本発明の製造方法の実施に用いる第二の電極フィルムの一例の構成を示す斜視図であり、そして図4は、図3に記入した切断線II−II線に沿って切断した第二の電極フィルム31の拡大断面図である。
図3及び図4に示す第二の電極フィルム31は、長尺絶縁フィルム32上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線33が形成された構成を有している。
図4に示すように、第二の電極フィルム31の長尺絶縁フィルム32は、長尺樹脂フィルム42上に、少なくとも金属層48と絶縁層49とがこの順に積層された構成を有していることが好ましい。上記の第一の電極フィルムの場合と同様に、金属層48は、作製される有機エレクトロルミネッセンス素子内部への第二の電極フィルム側からの水分の侵入を抑制する。絶縁層49は、二つの電極線33が、金属層48を介して互いに電気的に接続されて短絡することを防止する。
長尺樹脂フィルム42としては、第一の電極フィルムの長尺透明樹脂フィルム(図2:22)の場合と同様のフィルムを用いることができる。長尺樹脂フィルム42としては、不透明な長尺樹脂フィルム(例、顔料が添加された樹脂フィルムなど)を用いることもできる。
金属層48は、金属材料から形成され、透湿性は低い。従って、金属層48は、作製される有機エレクトロルミネッセンス素子内部への第二の電極フィルム側からの水分の侵入を抑制する。
金属層48の厚みは、有機エレクトロルミネッセンス素子内部への水分の侵入を抑制し、かつ第二の電極フィルム31をロール状にした際にクラックを生じないように、5乃至500nmの範囲にあることが好ましく、10乃至500nmの範囲にあることがさらに好ましい。金属層48の材料や形成方法は、第一の電極フィルムの金属層(図2:28)の場合と同様である。
絶縁層49は、二つの電極線33が、金属層48を介して互いに電気的に接続されて短絡することを防止する。絶縁層49の形成方法、および好ましい厚みの範囲は、第一の電極フィルムの絶縁層(図2:29)の場合と同様である。
絶縁層49の材料としては、公知の絶縁性材料を用いることができる。絶縁層49の材料としては、透明あるいは不透明な絶縁性材料を用いることができる。絶縁性材料の代表例としては、TiO2 及びSiO2 などの金属酸化物材料、あるいはポリエステル樹脂(例、ポリエチレンテレフタレート樹脂)及びポリカーボネート樹脂などの樹脂材料が挙げられる。樹脂材料を用いる場合には、絶縁層49を、前記樹脂材料からなるフィルムを金属層48の表面にラミネートして形成することもできる。
有機エレクトロルミネッセンス素子内部への水分の侵入を抑制するための第二の電極フィルムの構成は、上記の金属層及び絶縁層が付設された構成に限定されない。例えば、上記の第一の電極フィルムの場合と同様に、長尺絶縁フィルムとして、防湿処理が施された樹脂フィルムを用いることもできる。また、例えば、下記の構成の第二の電極フィルムを用いることもできる。
(1)金属層/樹脂フィルム/電極線
(2)金属層/樹脂フィルム/金属層/絶縁層/電極線
(3)樹脂フィルム/金属層/絶縁層/金属層/絶縁層/電極線
図2の第一の電極フィルムの場合と同様に、上記の各々の構成の第二の電極フィルムの樹脂フィルムと金属層との間には、接着層が付設されていてもよい。
電極線33は、通常、有機エレクトロルミネッセンス素子の陰電極層とされる。電極線の材料の代表例としては、Mg−Ag合金が挙げられる。電極線33の材料や厚みなどは、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合と同様であり、後に詳しく記載する。
電極線33は、例えば、真空蒸着法、あるいはスパッタ法などにより形成される。図3に示すように、電極線33は、長尺絶縁フィルム32の長さ方向に沿って整列配置される。このような電極線33は、第一の電極フィルムの透明電極線(図1:13)の場合と同様に、長尺絶縁フィルム32を走行させながら、スパッタ法などにより連続的に成膜することが容易である。
図3に示すように、第二の電極フィルム31は、ロール状に巻かれていることが好ましい。第二の電極フィルム31の電極線33は、通常、有機エレクトロルミネッセンス素子の陰電極層とされる。陰電極層として用いる電極線33は、活性の高い材料(例、Mg−Ag合金)から形成され、劣化(酸化)し易い。電極フィルム31をロール状に巻き取ることにより、電極線33が直接大気に接触することが防止され、電極線33の劣化を抑制することができる。
第二の電極フィルム31は、電極線33の劣化を抑制するために、真空中もしくは不活性気体(例、窒素ガス)中にて巻き取ることにより、ロール状とすることが好ましい。ロール状の第二の電極フィルムは、その全体を真空包装、あるいは不活性ガスを充填した状態で包装することがさらに好ましい。
また、ロール状の第二の電極フィルムの外周を、長尺樹脂フィルム(図4:42)の表面に金属層(もしくは金属層及び絶縁層)が積層された構成とすることも好ましい。ロールの巻きの外周(例、最外周)を金属層で覆うことにより、ロール状の第二の電極フィルムの外周面からの水分の侵入による電極線33の劣化をさらに抑制することができる。また、ロール状の第二の電極フィルムの巻きの外側の二周以上を、樹脂フィルムの表面に金属層が積層された構成とすることもできる。
ロール状の第二の電極フィルム内部へのロール側面からの水分の侵入を抑制するために、第二の電極フィルムは、2.5×105 乃至4.0×107 N/m2 の張力を付与しながら巻き取り、ロール状にすることが好ましい。このような張力の付与により、ロール状に巻かれた状態で互いに隣接している電極フィルム同士が十分に密着するため、ロール側面からの水分の侵入が抑制される。
第二の電極フィルム31は、紙製、樹脂製、あるいは金属製の芯管などに巻き取ってロール状にすることが好ましい。ロール状電極フィルムの芯管の側からの水分の侵入を抑制するために、金属製の芯管、あるいは表面が金属膜により被覆された芯管を用いることが好ましい。芯管の直径は、30乃至300mmの範囲にあることが好まく、50乃至200mmの範囲にあることがより好ましく、70乃至175mmの範囲にあることがさらに好ましい。
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を、添付の図面を用いて説明する。図5は、図1の第一の電極フィルム11及び図3の第二の電極フィルム31を用いた本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を示す斜視図である。
図5に示す本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、下記(1)〜(4)の工程を順に実施することからなる。
(1)長尺透明絶縁フィルム12上に、その長さ方向に沿って整列配置された二つの透明電極線13が形成されており、かつ二つの透明電極線13の上に電極線13に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層14を備えた第一の電極フィルム11、及び長尺絶縁フィルム32上に、その長さ方向に沿って整列配置された二つの電極線33が形成されてなる第二の電極フィルム31を一組用意する工程。
有機材料層14は、第二の電極フィルム31の電極線33上に配置されていてもよい。すなわち、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法においては、長尺透明絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線が形成されてなる第一の電極フィルム、及び長尺絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線が形成されており、かつ二以上の電極線の上に電極線に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層を備えてなる第二の電極フィルムを用いることもできる。
(2)第一の電極フィルム11と第二の電極フィルム31とを、有機材料層14を挟んで、それぞれの透明電極線13と電極線33とが直交するように重ね合わせて積層構造を形成する工程。
(3)積層構造が形成されている部位(図5に記入した一点鎖線51で示す部位)を加圧かつ加熱して、積層構造を融着一体化した積層構造とする工程。積層構造が形成されている部位を融着一体化するためには、例えば、この部位を一対の加熱された金属板(図示は略する)で挟み、そして加圧かつ加熱すればよい。加熱の温度は、有機材料層14の表面側の層(図5の第一の電極フィルム11の場合には、有機材料層14の有機発光材料層)のガラス転移点±25℃の範囲にあることが好ましい。
(4)融着一体化した積層構造の部位を、第一の電極フィルム11と第二の電極フィルム31とから切り離す工程。図5に示す製造方法の場合、融着一体化した積層構造の部位は、先ずハーフカットにより第二の電極フィルム31から切り離され、次いで第一の電極フィルム11から切り離される。融着一体化した積層構造の部位を第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとから切り離す方法は、上記の例に限定されない。例えば、積層構造が形成されている部位を融着一体化した後に、この部位(図5に記入した一点鎖線51で示す部位)を打ち抜くことにより、第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとから切り離してもよい。
作製された有機エレクトロルミネッセンス素子は、素子内部への水分の侵入を抑制するために防湿処理が施される。防湿処理方法の代表例としては、有機エレクトロルミネッセンス素子を気密容器の内部に封入する方法、あるいは素子周縁部に低透湿性の樹脂層を形成する方法が挙げられる。素子を気密容器の内部に封入する場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造に用いる各々の電極フィルムの金属層、絶縁層、および接着層は不要である。素子周縁部に低透湿性の樹脂層を形成する場合、低透湿性樹脂層は、紫外線硬化性、常温硬化性、あるいは熱硬化性の樹脂を素子の周縁部に塗布、そして硬化させることにより形成することができる。樹脂の代表例としては、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂が挙げられる。
図6は、本発明の製造方法の実施に用いる第二の電極フィルムの別の一例の構成を示す斜視図であり、そして図7は、図6に記入した切断線III−III線に沿って切断した第二の電極フィルム61の拡大断面図である。図6の第二の電極フィルム61の構成は、その表面に封止用の紫外線硬化性樹脂製の枠体60が付設されいること以外は、図3の第二の電極フィルム31と同様である。図6の第二の電極フィルム61の封止用の紫外線硬化性樹脂製の枠体は、図1の第一の電極フィルムの有機材料層14の周囲を囲むことのできる形状とサイズとされている。封止用の硬化性樹脂製の枠体は、例えば、紫外線硬化性、常温硬化性、あるいは熱硬化性の樹脂を、グラビア印刷あるいはスクリーン印刷法するなどして形成される。
図6に示すように、電極線63は、電極層63a及び補助電極層63bから構成されていることが好ましい。このような構成とすることにより、電極層63aを有機エレクトロルミネッセンス素子の陰電極層として用いる場合に、活性の高い材料(例、Mg−Ag合金)から形成される電極層63aを、有機エレクトロルミネッセンス素子の二枚の電極フィルムと封止硬化性樹脂を硬化させた硬化樹脂製枠体とから形成される空間の内部に気密に収容することができる。補助電極層63bは、高い導電率を示す金属材料(Ag)などから形成することが好ましい。
図8は、図1の第一の電極フィルム11及び図6の第二の電極フィルム61を用いた本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を示す斜視図である。図8に示す製造方法は、図6の第二の電極フィルム61を用いること、第一の電極フィルム11と第二の電極フィルム61の重ね合わせによる積層構造の形成に際して、各々の電極フィルムを封止用の紫外線硬化性樹脂製の枠体60に有機材料層14が収容されるように配置すること、そして積層構造の融着一体化の工程の後に枠体60を、高圧水銀灯50により光を照射して硬化させること以外は、図5に示す製造方法と同様である。封止用の硬化性樹脂製枠体60の硬化により、有機エレクトロルミネッセンス素子の周縁部から素子内部への水分の侵入を抑制することができる。なお、硬化性樹脂製枠体は、有機材料層が備えられている第一の電極フィルムの有機材料層の周囲に付設することもできる。
図9は、図8に示す方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を、その電極線63の長さ方向に沿って切断した断面図を示している。図9の有機エレクトロルミネッセンス素子は、透明樹脂フィルム22の側からの水分の侵入が金属層28により抑制され、樹脂フィルム42の側からの水分の侵入が金属層48により抑制され、そして素子の周縁からの水分の侵入が封止用の硬化樹脂製枠体60’により抑制されいている。このように、図8に示す方法により、内部への水分の侵入が抑制された有機エレクトロルミネッセンス素子を効率良く製造することができる。
次に、第一の電極フィルムの透明電極線及び第二の電極フィルムの電極線の材料や厚み、そして前記の電極線上に形成される有機材料層の層構成などについて説明する。透明電極線、電極線、そして有機材料層は、公知の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合と同様にして形成することができる。有機エレクトロルミネッセンス素子については、「有機LED素子の残された研究課題と実用化戦略」(ぶんしん出版、1999年)及び「光・電子機能有機材料ハンドブック」(朝倉書店、1997年)などに詳しく記載されている。以下、透明電極線が有機エレクトロルミネッセンス素子の陽電極層であり、そして電極線が素子の陰電極層である場合を例として説明する。
透明電極線(陽電極層)は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、導電性化合物、又はこれらの混合物などから形成される。透明電極線の材料の代表例としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)及びIZO(インジウム亜鉛酸化物)が挙げられる。
透明電極線の厚みは、1μm以下であることが一般的であり、200nm以下であることが好ましい。透明電極線の抵抗は、数百Ω/sq.以下であることが好ましい。
電極線(陰電極層)は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金組成物、導電性化合物、又はこれらの混合物などから形成される。電極線の材料の代表例としては、Al、Ti、In、Na、K、Mg、Li、Cs、Rbおよび希土類金属などの金属、Na−K合金、Mg−Ag合金、Mg−Cu合金、およびAl−Li合金などの合金組成物が挙げられる。
電極線の厚みは、1μm以下であることが一般的であり、200nm以下であることがより好ましい。電極線の抵抗は、数百Ω/sq.以下であることが好ましい。
有機材料層は、少なくとも有機発光材料層を含む一層あるいは二層以上の層から構成される。前記のように、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を高くするために、有機発光材料層の透明電極線側の面に正孔輸送層を、あるいは有機材料層の電極線側の面に電子輸送層を付設することができる。以下に、本発明の方法により製造される有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成の例を示す。
(a)透明絶縁フィルム/透明電極線/有機発光材料層/電極線/絶縁フィルム
(b)透明絶縁フィルム/透明電極線/正孔輸送層/有機発光材料層/電極線/絶縁フィルム
(c)透明絶縁フィルム/透明電極線/有機発光材料層/電子輸送層/電極線/絶縁フィルム
(d)透明絶縁フィルム/透明電極線/正孔輸送層/有機発光材料層/電子輸送層/電極線/絶縁フィルム
上記のように、透明電極線を有する第一の電極フィルムと、電極線を有する第二の電極フィルムとを貼り合わせて有機エレクトロルミネッセンス素子を作製する場合、有機発光材料層を含む有機材料層(透明電極線と電極線との間にある層)は、透明電極線上に付設しても良いし、電極線上に付設しても良い。また、有機材料層を層平面に沿って分割した一方の側の有機材料層を、その分割面が頂面となるようにして透明電極線上に付設し、そして他方の側の有機材料層を、その分割面が頂面となるようにして電極線上に付設しても良い。この場合、有機材料層は、各々の層の界面にて分割されてもよいし、あるいは所定の一層の厚み方向の途中の位置にて層の平面に沿って分割されてもよい(例えば、上記(a)の層構成の場合、有機発光材料層が層の平面に沿って二つに分割されてもよい)。
第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとを貼り合わせる際には、透明電極線と電極線のうちの少なくとも一方の層上に付設された有機材料層を、加熱により軟化させる。有機材料層を加熱により軟化させる場合、加熱の温度が高すぎると、第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとを貼り合わせる際に軟化させた層の厚みが大きく変動する。逆に加熱の温度が低すぎると、第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとを互いに強固に接合することができない。このため、有機材料層の加熱温度は、加熱により軟化させる層のガラス転移点±25℃の範囲にあることが好ましく、ガラス転移点±20℃の範囲にあることがさらに好ましい。
正孔輸送層の材料の例としては、テトラアリールベンジシン化合物、芳香族アミン類、ピラゾリン誘導体、およびトリフェニレン誘導体などが挙げられる。正孔輸送層の厚みは、2乃至200nmの範囲にあることが好ましい。
正孔輸送層には、その正孔移動度を改善するために、電子受容性アクセプタを添加することが好ましい。電子受容性アクセプタの例としては、ハロゲン化金属、ルイス酸、および有機酸などが挙げられる。電子受容性アクセプタが添加された正孔輸送層については、特開平11−283750号公報に記載がある。
有機発光材料層は、有機発光材料から形成するか、キャリア輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、または両性輸送性)を示す有機材料(以下、ホスト材料と記載する)に少量の有機発光材料を添加した材料から形成される。有機発光材料層に用いる有機発光材料の選択により、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光色を容易に設定することができる。
有機発光材料層を有機発光材料から形成する場合、有機発光材料としては、成膜性に優れ、膜の安定性に優れた材料が用いられる。このような有機発光材料としては、Alq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)に代表される金属錯体、ポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリフルオレン誘導体などが用いられる。ホスト材料と共に用いる有機発光材料としては、添加量が少ないために、前記の有機発光材料の他に、単独では安定な薄膜を形成し難い蛍光色素なども用いることができる。蛍光色素の例としては、クマリン、DCM誘導体、キナクリドン、ペリレン、およびルブレンなどが挙げられる。ホスト材料の例としては、前記のAlq3 、TPD(トリフェニルジアミン)、電子輸送性のオキサジアゾール誘導体(PBD)、ポリカーボネート系共重合体、およびポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。なお、上記のように有機発光材料層を有機発光材料から形成する場合にも、発光色を調節するために、蛍光色素などの有機発光材料を少量添加することもできる。
有機発光材料層の厚みは、実用的な発光輝度を得るために、200nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の材料の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンピリレンなどの複素環テロラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、およびスチルベン誘導体などの電子輸送性材料が挙げられる。また、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)などのアルミキノリノール錯体を用いることもできる。電子輸送層の厚みは、5乃至300nmの範囲にあることが好ましい。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子の透明電極線(陽電極層)と電極線(陰電極層)との間には、素子の発光特性などを改良するために、上記の正孔輸送層や電子輸送層の他にも様々な層、例えば、これら各々の輸送層の電極線側に付設される正孔注入層や電子注入層を付設することができる。
正孔注入層の材料の代表例としては、銅フタロシアニン(CuPc)が、そして電子注入層の材料の代表例としては、LiF(フッ化リチウム)などのアルカリ金属化合物が挙げられる。正孔注入層は陽極バッファ層と、電子注入層は陰極バッファ層とも呼ばれ、これらの層の詳細については、「有機LED素子の残された研究課題と実用化戦略」(ぶんしん出版、1999年、p44−45)などの文献に詳しく記載されている。
[実施例1]
(第一の電極フィルムの作製)
マグネトロンスパッタ装置の真空層内に配置された巻き出し機にロール状のPETフィルム(幅:250mm、厚み:100μm)を装着し、そして巻き取り機によりPETフィルムを巻き取りながら、フィルム表面に、厚みが30nmの酸化チタン薄膜(接着層)、厚みが20nmの銀薄膜(金属層)、厚みが30nmの酸化チタン薄膜(絶縁層)を成膜し、さらにメタルマスクを用いて厚みが160nmのフィルム長さ方向に伸びるITO薄膜(透明電極線)を成膜し、そして成膜後のフィルムを巻き取り機によりロール状に巻き取った。
上記酸化チタン薄膜は、スパッタリングターゲットとしてチタンを、そしてスパッタリングガスとしてアルゴンと酸素との混合ガスを用いて成膜した。上記銀薄膜は、スパッタリングターゲットとして銀を、そしてスパッタリングガスとしてアルゴンガスを用いて成膜した。上記ITO薄膜は、スパッタリングターゲットとしてITOを、そしてスパッタリングガスとしてアルゴンと酸素との混合ガスを用いて成膜した。
前記のITO薄膜上に、正孔輸送層形成用の塗布液(PEDOT/PSS水溶液、Bayer AG Leverlusen社製)を、グラビア印刷法により所定パターンで塗布、そして乾燥することにより、厚みが50nmの正孔輸送層を形成した。
有機発光材料(Green K、American Dye Source社製)を、キシレンに1.5質量%の割合で溶解して有機発光材料層形成用の塗布液を作製した。前記の正孔輸送層上に、作製した有機発光材料層形成用の塗布液を、グラビア印刷法により所定パターンで塗布、そして乾燥することにより、厚みが50nmの有機発光材料層を形成した。このようにして、図1に示す構成の第一の電極フィルムを用意した。
(第二の電極フィルムの作製)
第一の電極フィルムを作製する場合と同様にして、マグネトロンスパッタ装置により、PETフィルム(幅:250mm、厚み:100μm)の表面に、厚みが100nmの銀薄膜(金属層)、厚みが20nmの酸化チタン薄膜(絶縁層)を成膜し、さらにメタルマスクを用いて厚みが20nmのフィルム長さ方向に伸びる銀薄膜(補助電極層)、そして同様にメタルマスクを用い、スパッタ装置のシャッタを開閉させながら厚みが50nmのフィルム長さ方向に伸びるMg−Ag合金薄膜(電極層)を成膜し、そして成膜後のフィルムを巻き取り機によりロール状に巻き取った。
上記Mg−Ag合金薄膜は、スパッタリングターゲットとしてMg−Ag合金を、そしてスパッタリングガスとしてアルゴンガスを用いて成膜した。
得られたロール状のフィルムを、ドライボックス内に配置された巻き出し機に装着し、そして巻き取り機によりフィルムを巻き取りながら、フィルムのMg−Ag合金薄膜(電極層)側の面に、紫外線硬化性のエポキシ樹脂(TB3121、(株)スリーボンド製)をスクリーン印刷法により所定パターンで塗布、そして乾燥することにより、厚みが20μmの封止用の枠体を形成し、次いでフィルムを巻き取り機により1.37×106 [N/m2 ]の張力を付与しながら巻き取った。このようにして、図6に示す構成の第二の電極フィルムを用意した。
(貼り合わせ)
図8に示すように、作製した第一の電極フィルム11と第二の電極フィルム61とを、有機材料層(正孔輸送層及び有機発光材料層)14を挟んで、透明電極線13と、電極層及び補助電極層からなる電極線63とが直交するように重ね合わせて積層構造を形成した。そして、積層構造が形成されている部位(図8に記入した一点鎖線80で示す領域)を、温度が120℃に設定された熱板(図示は略する)でプレスして互いに接合した。接合された積層構造の部位を、先ずハーフカットにより第二の電極フィルム61から切り離し、次いで第一の電極フィルムの側から高圧水銀灯50により光(波長:365nm、光量3000mJ/cm2 )を照射して封止用硬化樹脂製枠体60を硬化させ、そして各々の積層構造の部位を第一の電極フィルム11から切り離すことにより、図9に示す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法の実施に用いる第一の電極フィルムの一例の構成を示す斜視図である。 図1に記入した切断線I−I線に沿って切断した第一の電極フィルムの拡大断面図である。 本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法の実施に用いる第二の電極フィルムの一例の構成を示す斜視図である。 図3に記入した切断線II−II線に沿って切断した第二の電極フィルムの拡大断面図である。 図1の第一の電極フィルム及び図3の第二の電極フィルムを用いた本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を示す斜視図である。 本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法の実施に用いる第二の電極フィルムの別の一例の構成を示す斜視図である。 図6に記入した切断線III−III線に沿って切断した第二の電極フィルムの拡大断面図である。 図1の第一の電極フィルム及び図6の第二の電極フィルムを用いた本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法を示す斜視図である。 図8に示す方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を、その電極線の長さ方向に沿って切断した断面図である。
符号の説明
11 第一の電極フィルム
12 長尺透明絶縁フィルム
13 透明電極線
14 有機材料層
14a 正孔輸送層
14b 有機発光材料層
22 長尺透明樹脂フィルム
27 接着層
28 金属層
29 絶縁層
31 第二の電極フィルム
32 長尺絶縁フィルム
33 電極線
42 長尺樹脂フィルム
48 金属層
49 絶縁層
50 高圧水銀灯
51 積層構造が形成されている部位を示す一点鎖線
60 封止用硬化性樹脂製枠体
60’ 封止用硬化樹脂製枠体
61 第二の電極フィルム
63 電極線
63a 電極層
63b 補助電極層
80 積層構造が形成されている部位を示す一点鎖線

Claims (7)

  1. 下記の工程からなる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法:
    長尺透明絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線が形成されており、かつ該二以上の透明電極線の上に該電極線に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層を備えた第一の電極フィルム、及び長尺絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線が形成されてなる第二の電極フィルムを少なくとも一組、あるいは長尺透明絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の透明電極線が形成されてなる第一の電極フィルム、及び長尺絶縁フィルム上に、その長さ方向に沿って整列配置された二以上の電極線が形成されており、かつ該二以上の電極線の上に該電極線に沿って互いに間隔をおいて配置された有機発光材料層を含む二以上の有機材料層を備えてなる第二の電極フィルムを少なくとも一組用意する工程;
    第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとを、有機材料層を挟んで、それぞれの透明電極線と電極線とが直交するように重ね合わせて積層構造を形成する工程;
    積層構造が形成されている部位を加圧かつ加熱して、積層構造を融着一体化した積層構造とする工程;そして
    融着一体化した積層構造の部位を、第一の電極フィルムと第二の電極フィルムとから切り離す工程。
  2. 表面に有機材料層が備えられていない電極フィルムの表面に有機材料層の周囲を囲むことのできる形状とサイズの封止用硬化性樹脂製の枠体が付設されていて、第一の電極フィルムと第二の電極フィルムの重ね合わせによる積層構造の形成に際して、該枠体に有機材料層が収容されるように配置し、かつ積層構造の融着一体化の工程の後に該封止用硬化性樹脂製の枠体を硬化させる工程が含まれる請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 表面に有機材料層が備えられている電極フィルムの該有機材料層の周囲に封止用硬化性樹脂製の枠体が付設されていて、積層構造の融着一体化の工程の後に該封止用硬化性樹脂製の枠体を硬化する工程が含まれる請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 第二の電極フィルムの長尺絶縁フィルムが、長尺樹脂フィルム上に少なくとも金属層と絶縁層とが積層された構成にある請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 金属層の厚みが、10乃至500nmの範囲にある請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 絶縁層の厚みが、10乃至150nmの範囲にある請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 第一の電極フィルムの長尺透明絶縁フィルムが、長尺透明樹脂フィルム上に少なくとも金属層と絶縁層とが積層された構成にある請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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