以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としてのカラープリンタ100の構成例を示す断面の概念図である。
この実施形態では、任意の画像情報に基づいて像形成体に色を重ね合わせ色画像を形成する場合に、「グレー重視」、「再現性重視」又は「階調性重視」のいずれかのモードに対応する色補正テーブルに基づいて画像情報を補正し、補正後の画像情報に基づいて像形成体に色画像を形成するように制御する制御手段を備え、予め選択された「グレーバランス」、「再現性」又は「階調性」を重視した階調補正等の画像形成出力条件で色画像を形成できるようにすると共に、カラープリンタ等の階調補正機能に関連して、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、ブラック色等の濃度が経時的に変化した場合であっても、安定した色画像を形成できるようにした。
図1に示すカラープリンタ100は、画像形成装置の一例であり、任意の画像情報に基づいて像形成体に色を重ね合わせ色画像を形成する装置である。この画像形成装置は、8ビット以上の階調特性テーブルによって階調を再現する装置であり、プリンタ100の他にカラーファクシミリや、カラー複写機、これらの複合機(コピア)に適用して好適である。
この例でカラープリンタ100は、「階調性重視」のモード、「グレー重視」のモード、「再現性重視」のモードの選択に基づいて画像形成処理を実行する。「階調性重視」のモードとは、像形成体に色を重ね合わせて形成される色画像の階調性を重視する動作をいう。「グレー重視」のモードとは、像形成体に色を重ね合わせて形成される色画像のグレーを重視する動作をいう。「再現性重視」のモードとは、像形成体に色を重ね合わせて形成される色画像の再現性を重視する動作をいう。
プリンタ100は、像形成体に濃度の異なる複数の基準パッチを作成して、その基準パッチの色を測定し、色検出情報に基づいて所望の階調補正処理を実行するものである。カラープリンタ100は、タンデム型のカラー画像形成装置を構成するものであり、画像形成手段を有している。画像形成手段は、各色毎に像形成体を有する複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無終端状の中間転写ベルト6と、再給紙機構(ADU機構)を含む給紙搬送手段と、トナー像を定着するための定着装置17とを備えている。
この例で、イエロー色(以下Y色という)の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、Y色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配置されたY色用の帯電手段2Y、レーザ書込みユニット(露光手段)3Y、現像装置4Y及び像形成体用のクリーニング手段8Yを有する。画像形成ユニット10Yは、階調補正テーブルを作成するとき、色補正用の基準画像情報に基づいて感光体ドラム1YにY色のトナー像を形成し、中間転写ベルト6に色補正用の色基準画像(以下単に基準パッチPRともいう)を転写するように動作する。
この色基準画像は、シアン色(以下C色という)、マゼンタ色(以下M色という)及びY色毎にそれぞれに基づく基準パッチPRで構成される。このように、基準パッチPRをCMYの3色の階調ターゲットと等しくするので、色相が結果的に調整される。この例で基準パッチPRには、黒色(BK)に基づく基準パッチPRが含まれる。CMYKの4色に係る再現色の色相を調整することができる。
M色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、M色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Mと、M色用の帯電手段2M、レーザ書込みユニット3M、現像装置4M及び像形成体用のクリーニング手段8Mを有する。画像形成ユニット10Mは、階調補正テーブルを作成するとき、色補正用の基準画像情報に基づいて感光体ドラム1MにM色のトナー像を形成し、中間転写ベルト6に基準パッチPRを転写するように動作する。
C色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、C色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Cと、C色用の帯電手段2C、レーザ書込みユニット3C、現像装置4C及び像形成体用のクリーニング手段8Cを有する。画像形成ユニット10Cは、階調補正テーブルを作成するとき、色補正用の基準画像情報に基づいて感光体ドラム1CにC色のトナー像を形成し、中間転写ベルト6に基準パッチPRを転写するように動作する。
BK色の画像を形成する画像形成ユニット10Kは、BK色のトナー像を形成する像形成体としての感光体ドラム1Kと、BK色用の帯電手段2K、レーザ書込みユニット3K、現像装置4K及び像形成体用のクリーニング手段8Kを有する。画像形成ユニット10Kは、階調補正テーブルを作成するとき、色補正用の基準画像情報に基づいて感光体ドラム1KにBK色のトナー像を形成し、中間転写ベルト6に基準パッチPRを転写するように動作する。
帯電手段2Yとレーザ書込みユニット3Y、帯電手段2Mとレーザ書込みユニット3M、帯電手段2Cとレーザ書込みユニット3C及び帯電手段2Kとレーザ書込みユニット3Kとは、潜像形成手段を構成する。現像装置4Y、4M、4C、4Kによる現像は、使用するトナー極性と同極性(本実施形態においては負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される反転現像にて行われる。中間転写ベルト6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持され、各々の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成されたY色、M色、C色、BK色の各トナー像を転写するようになされる。
ここで画像形成プロセスの概要について以下に説明をする。画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Kより形成された各色の画像は、使用するトナーと反対極性(本実施形態においては正極性)の1次転写バイアス(不図示)が印加される1次転写ローラ7Y、7M、7C及び7Kにより、回動する中間転写ベルト6上に逐次転写されて(1次転写)、合成されたカラー画像(色画像:カラートナー像)が形成される。カラー画像は中間転写ベルト6から用紙Pへ転写される。
給紙カセット20A、20B、20C内に収容された用紙Pは、給紙カセット20A、20B、20Cにそれぞれ設けられる送り出しローラ21および給紙ローラ22Aにより給紙され、搬送ローラ22B、22C、22D、レジストローラ23等を経て、2次転写ローラ7Aに搬送され、用紙P上の一方の面(表面)にカラー画像が一括して転写される(2次転写)。
カラー画像が転写された用紙Pは、定着装置17により定着処理され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。転写後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面上に残った転写残トナーは、像形成体クリーニング手段8Y、8M、8C、8Kによりクリーニングされ次の画像形成サイクルに入る。
両面画像形成時には、一方の面(表面)に画像形成され、定着装置17から排出された用紙Pは、分岐手段26によりシート排紙路から分岐され、それぞれ給紙搬送手段を構成する、下方の循環通紙路27Aを経て、再給紙機構(ADU機構)である反転搬送路27Bにより表裏を反転され、再給紙搬送部27Cを通過して、給紙ローラ22Dにおいて合流する。
反転搬送された用紙Pは、レジストローラ23を経て、再度2次転写ローラ7Aに搬送され、用紙Pの他方の面(裏面)上にカラー画像(カラートナー像)が一括転写される。カラー画像が転写された用紙Pは、定着装置17により定着処理され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
一方、2次転写ローラ7Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した中間転写ベルト6は、中間転写ベルト用のクリーニング手段8Aにより残留トナーが除去される。これらの画像形成の際には、用紙Pとして52.3〜63.9kg/m2(1000枚)程度の薄紙や64.0〜81.4kg/m2(1000枚)程度の普通紙、83.0〜130.0kg/m2(1000枚)程度の厚紙や150.0kg/m2(1000枚)程度の超厚紙が用いられる。用紙Pの厚み(紙厚)としては0.05〜0.15mm程度の厚さのものが用いられる。
上述のクリーニング手段8Aの上流側であって、中間転写ベルト6の左側には、測色手段の一例となる色測定センサ12が設けられており、上述した画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kによって中間転写ベルト6に形成された基準パッチPRの色を検出して色測定信号(色情報)S1を発生するようになされる。色測定信号S1は制御手段15に出力される。色測定センサ12には、CCD撮像素子や色彩検出器等が使用される。
プリンタ本体内には制御手段15が設けられ、色測定センサ12から得られる色測定信号S1に基づいて階調補正モードを実行する。ここで、階調補正モードとは、色補正用の基準パッチPRを中間転写ベルト6の所定の位置に形成し、当該基準パッチPRの色を読み取って、階調補正テーブルを作成する動作をいう。階調補正テーブルは、色重ね合わせ時の色画像を補正するために使用される。
図2はカラープリンタ100の制御系の構成例を示すブロック図である。図2に示すカラープリンタ100は、少なくとも8bit以上の階調再現テーブルによって階調を再現(色を重ね合わせて色画像を形成)する装置であり、画像形成手段10、操作選択手段14、制御手段15、表示手段18及び画像処理手段60を備えている。
画像形成手段10は、図1に示した画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kから構成され、濃度が異なる像構造の複数の基準パッチPRを感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6に形成する。画像形成手段10における各々のレーザ書込みユニット3Y、3M、3C、3Kは、制御手段15に接続されて書込み制御される。
例えば、レーザ書込みユニット3Yは、階調補正テーブルを作成するとき、制御手段15の書込み制御信号Wyを受けて感光体ドラム1Yに色補正用の基準パッチPRを書き込むように動作する。感光体ドラム1Yに書き込まれた基準パッチPRは、図1に示した現像装置4YでY色のトナー部材により現像されて、中間転写ベルト6に転写される。
レーザ書込みユニット3Mは、階調補正テーブルを作成するとき、制御手段15の書込み制御信号Wmを受けて感光体ドラム1Mに色補正用の基準パッチPRを書き込むように動作する。感光体ドラム1Mに書き込まれた基準パッチPRは、現像装置4MでM色のトナー部材により現像されて、中間転写ベルト6に転写される。
また、レーザ書込みユニット3Cは、階調補正テーブルを作成するとき、制御手段15の書込み制御信号Wcを受けて感光体ドラム1Cに色補正用の基準パッチPRを書き込むように動作する。感光体ドラム1Cに書き込まれた基準パッチPRは、現像装置4CでM色のトナー部材により現像されて、中間転写ベルト6に転写される。
レーザ書込みユニット3Kは、階調補正テーブルを作成するとき、制御手段15の書込み制御信号Wkを受けて感光体ドラム1Kに色補正用の基準パッチPRを書き込むように動作する。感光体ドラム1Kに書き込まれた基準パッチPRは、現像装置4KでBK色のトナー部材により現像されて、中間転写ベルト6に転写される。
制御手段15には画像形成手段10の他に色測定センサ12が接続され、画像形成ユニット10Yによって感光体ドラム1Yに書き込まれ、同様にして、画像形成ユニット10Mによって感光体ドラム1Mに書き込まれ、画像形成ユニット10Cによって感光体ドラム1Cに書き込まれ、画像形成ユニット10Kによって感光体ドラム1Kに各々書き込まれ、中間転写ベルト6に転写された基準パッチPRの色を測定して色測定信号S1を制御手段15に出力する。制御手段15で色測定信号S1をアナログ・デジタル(A/D)変換して色測定データ(Lab値)D1を得るためである。色測定データD1は例えば、8ビットの赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を再現する場合に、RGB色に対応するX,Y,Z(輝度)値の各々が0〜255の入力階調値により表現される。
なお、色測定センサ12の内部に、あるいは、プロセッサ61の内部にA/D変換機能を備える場合は、図2に示す波線のように、直接、色測定信号S1を画像処理手段内のプロセッサ61に供給する構成にしてもよい。制御手段15内のCPU53の制御負担を軽減することができる。
制御手段15はROM(Read Only Memory)51、RAM(Random Access Memory)52、CPU(Central Processing Unit;中央処理ユニット)53を有している。ROM51には当該プリンタ全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。RAM52はワークメモリとして使用され、例えば、制御コマンド等を一時記憶するようになされる。CPU53は電源がオンされると、ROM51からシステムプログラムデータを読み出してシステムを起動し、操作選択手段14からの操作データD3に基づいて当該プリンタ全体を制御するようになされる。
画像処理手段60は、操作選択手段14により選択されたモードに対応する色補正テーブルを作成する。色補正テーブルについては、色測定センサ12から出力された基準パッチPRの色測定データD1に基づいて階調補正テーブルを作成する。画像処理手段60は、例えば、画像処理用のプロセッサ61、Y色階調補正テーブル設定用のメモリ62Y、M色階調補正テーブル設定用のメモリ62M、C色階調補正テーブル設定用のメモリ62C、BK色階調補正テーブル設定用のメモリ62K、Y色用の像構造生成マトリクス部63Y、M色用の像構造生成マトリクス部63M、C色用の像構造生成マトリクス部63C、BK色用の像構造生成マトリクス部63Kを有している。
プロセッサ61は制御手段15に接続され、「階調性重視」のモードが選択された場合に、C色、M色及びY色の各々のダイナミックレンジを滑らかに表現する階調補正テーブルを計算する。「グレー重視」のモードが選択された場合は、C色、M色及びY色の各々の階調特性の比率が予め設定した比率と全階調で等しくなるような階調補正テーブルを計算する。「再現性重視」のモードが選択された場合は、予め設定されたC色、M色及びY色の濃度が等しくなるような階調補正テーブルを計算する。
プロセッサ61は、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)やメモリ等から構成される。例えば、プロセッサ61は、色測定センサ12によって得られた基準パッチPRに基づく色測定データD1の中から予め設定された階調特性値(色相情報)を検索し、ここで検索された基準パッチPRに基づく色測定データD1から線形補間により階調補正(CMY)値を計算して階調補正テーブルを作成する。階調補正テーブルは、画像データDy、Dm、Dc、Dkを補正するために使用される。
このカラープリンタ100には、データ入力用の端子71〜74が備えられる。端子71はメモリ62Yに接続され、外部から入力した画像データDyを当該メモリ62Yに出力する。端子72はメモリ62Mに接続され、外部から入力した画像データDmを当該メモリ62Mに出力する。端子73はメモリ62Cに接続され、外部から入力した画像データDcを当該メモリ62Cに出力する。端子74はメモリ62Kに接続され、外部から入力した画像データDkを当該メモリ62Kに出力する。
メモリ62Yには、制御手段15のデータセット制御を受けて階調補正テーブルが設定(セット)される。ここでデータセット制御とは、操作選択手段14から指定された階調補正方法に基づいて各々のメモリ62Y,62M,62C,62Kに各色毎に階調補正テーブルをセットする制御をいう。この例で、制御手段15は、データセット用の制御信号Sdyを出力してY色階調補正テーブルをメモリ62Yにセットする。
また、メモリ62Mには、同様な制御信号Sdmを受けてM色階調補正テーブルがセットされる。メモリ62Cには、同様な制御信号Sdcを受けてC色階調補正テーブルがセットされる。メモリ62Kには、同様な制御信号Sdkを受けてBK色階調補正テーブルがセットされる。各々のメモリ62Y,62M,62,C,62Kには、EEPROM等の不揮発メモリが使用される。不揮発メモリは、電源を切られても記憶データを消失しない読み出し専用メモリである。
上述の制御手段15は、画像処理用のプロセッサ61によって作成された階調補正テーブルに基づいて画像データDy、Dm、Dc、Dkを補正し、補正後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6に色画像を形成するように画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを制御する。
この例で、メモリ62Yには、Y色用の像構造生成マトリクス部63Yが接続され、補正後の画像データDyに基づいてY色用の像構造信号Syが生成される。
メモリ62Mには、M色用の像構造生成マトリクス部63Mが接続され、補正後の画像データDmに基づいてM色用の像構造信号Smが生成される。メモリ62Cには、C色用の像構造生成マトリクス部63Cが接続され、補正後の画像データDcに基づいてC色用の像構造信号Scが生成される。メモリ62Kには、BK色用の像構造生成マトリクス部63Kが接続され、補正後の画像データDkに基づいてBK色用の像構造信号Scが生成される。
この例で制御手段15には、操作選択手段14が接続され、階調補正方法に関して、「階調性重視」、「グレー重視」又は「再現性重視」のいずれかのモードを選択するように操作される。この例で操作選択手段14は、C色、M色及びY色の各々の色毎に、「階調性重視」、「グレー重視」又は「再現性重視」のいずれかのモードを選択する機能を有している。もちろん、これに限られることはなく、C色、M色及びY色に共通して、「階調性重視」、「グレー重視」又は「再現性重視」のいずれかのモードを選択する機能を操作選択手段14に持たせてもよい。操作選択手段14は、モード選択の他に、用紙サイズ、画像濃度等の画像形成条件を設定する際にも使用される。画像形成条件や階調補正方法の選択情報等は操作データD3となって制御手段15に出力される。
制御手段15には操作選択手段14の他に表示手段18が接続され、例えば、図3に示すような階調補正方法選択画面P1を表示する。操作選択手段14は、タッチパネルから構成され、表示手段18は液晶表示パネルから構成される。この例では、表示手段18を構成する液晶表示パネル上に、操作選択手段14を構成するタッチパネルが組み合わされ、GUI(Graphic User Interface)方式の操作パネル48が構成される。この例で制御手段15は操作選択手段14から得られる操作データD3に基づいて、表示手段18、画像形成手段10及び画像処理手段60を制御する。
図3は、階調補正方法選択画面P1の構成例を示す図である。図3に示す階調補正方法選択画面P1は、操作パネル48の表示手段18に表示される。階調補正方法選択画面P1には、「階調補正方法を選択してください」のメッセージが表示される。この表示領域の下方には、「階調重視」、「グレー重視」、「再現性重視」の3つのモード(選択項目)と共に、その文字情報の先頭領域には、チェック用の四角状の記述欄が設けられる。
この例では、階調補正方法選択画面P1において、3つのモードの中からいずれかのモードを選択するようになされる。ユーザは、階調補正方法に関して選択項目をチェックするように操作される。例えば、「階調重視」を選択する場合は、操作設定手14のカーソル機能等を利用して、「階調重視」の先頭領域の四角状の記述欄にレ点を記述してチェックされる。
なお、画像処理手段60は、「階調性重視」のモードが選択された場合に、C色、M色及びY色の各々のダイナミックレンジを滑らかに表現する階調補正テーブルを計算する。「グレー重視」のモードが選択された場合は、C色、M色及びY色の各々の階調特性の比率が予め設定した比率と全階調で等しくなるような階調補正テーブルを計算する。「再現性重視」のモードが選択された場合は、予め設定されたC色、M色及びY色の濃度が等しくなるような階調補正テーブルを計算する。
このようにすると、「階調性重視」、「グレー重視」又は「再現性重視」のいずれかのモードの選択を受付け、ここで選択されたモードに対応する階調補正テーブルを作成し、ここに作成された階調補正テーブルに基づいて画像データDy、Dm、Dc、Dkを補正し、補正後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて中間転写ベルト6に色画像を形成することができる。
この例で操作選択手段14によって選択されるモードに関して、当該モードはICC(Integrated Communication Controller:通信制御装置)プロファイルの色変換方法に準拠し、図3Bに示す階調補正方法選択画面P1’のように、「グレー重視」が「好ましい色再現」、「再現性重視」が「飽和的色再現」、「階調性重視」が「測色的色再現」のように対応付けられる。3つのモードは、このような表示方法であってもよい。
図4は、色補正用の基準パッチPRの形成例を示す図である。この例で色補正用の基準パッチPRは、C色、M色、Y色及びBK色に基づく4色の基準パッチPRから構成される。このようにすると、CMYKの4色に係る再現色の色相を調整することができる。
例えば、図4に示すようなY色用の基準パッチPRは、階調補正モード実行時に形成されるものである。Y色用の基準パッチPRは、図2に示したCPU53によって、中間転写ベルト6に形成するように画像形成ユニット10Yが制御される。この例では、中間転写ベルト6の移動方向である副走査方向に、色補正用の矩形状のY色の基準パッチPRが形成される。Y色の基準パッチPRは、階調値0、30、60、90・・・・255等のように複数形成される。
これに連続して、図示しないが、CPU53は中間転写ベルト6に、0〜255階調のM色の基準パッチPRを形成するように、画像形成ユニット10Mを制御する。同様にして、CPU53は中間転写ベルト6に、0〜255階調のC色の基準パッチPRを形成するように、画像形成ユニット10Cを制御し、同様にして、中間転写ベルト6に0〜255階調のBK色の基準パッチPRを形成するように画像形成ユニット10Kを各々制御する。
これらの色補正用の基準パッチPRを色測定センサ12により検出し、各色の基準パッチPRのLab値(階調特性データ)を算出し、グレー(色相)を調整するように画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを制御する。この制御は、階調補正モード実行後の画像形成系で任意の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づく色画像を色再現性良く重ね合わせるためである。
次に、階調性重視のモード選択時のプロセッサ61の処理例について説明をする。図5A〜Cは、階調性重視モード選択時のプロセッサ61におけるテーブル計算例を示す図である。図5AはターゲットテーブルTP、図5Bは階調特性テーブルTQ及び図5Cは階調補正テーブルTRにおける各々の特性例を示す図である。
図5Aにおいて、縦軸は、任意の像構造の目標(ターゲット)の階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。図5Aに示す実線Iは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。これは、階調補正テーブルTRにおける最も白い部分と、最も暗い部分との間の階調をリニアに補間するためである。
この例では、当該像構造の階調補正テーブルTRにおける最も白い部分の階調特性値が0.95で、その最も暗い部分の階調特性値が0.41の場合であって、ターゲットの色測定データD1に基づく入力階調値が「20」のとき、ターゲットの階調特性値が0.75であることを示している。ターゲットの階調特性値は、色測定データD1に基づく入力階調値が「20」を起点にして波線に示した矢印の方向に沿って求める。
図5Bは、当該像構造の階調特性テーブルTQを示す図である。図5Bにおいて、縦軸は、ターゲットの階調特性値であり、横軸はγ補正後の階調補正値である。図5Bに示す実線IIは、階調特性値を補間するためのγ特性曲線である。これは、階調補正テーブルTRにおける最も白い部分と、最も暗い部分との間の階調を最適に補間するためである。
この例では、階調補正テーブルTRにおける最も白い部分の階調特性値が0.95で、その最も暗い部分の階調特性値が0.41の場合であって、ターゲットの階調特性値が0.75のとき、ターゲットの階調補正値が30.25であることを示している。ターゲットの階調補正値は、その特性階調値が0.75を起点にして波線に示した矢印の方向に沿って求める。階調補正値30.25は、8ビットの色を再現する場合であるので「30」に丸められる。
図5Cは、任意の像構造の階調補正テーブルTRを示す図である。図5Cにおいて、縦軸は当該像構造における色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、当該像構造におけるターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。例えば、階調補正テーブルTRにおいて、当該像構造におけるターゲットの色測定データD1に基づく入力階調値が「20」のとき、ターゲットの階調補正値が「30」であることを示している。
このような階調性重視のモードが選択された場合の階調補正テーブルの計算方法によれば、図5Aに示したターゲットテーブルTPで、プロセッサ61は、256階調のターゲットを再現する階調特性値を検索する。図5Aに示した例で、入力階調値「20」の色測定データD1に対応するターゲットの階調特性値が0.75であり、図5Bに示した階調特性テーブルTQからこの階調特性値に基づいて階調補正値を求める。
例えば、階調特性テーブルTQの階調特性値の中から0.75に近い2つの点を検索する。この例で、入力階調値「30」の色測定データD1に対応するターゲットの階調特性値が0.74、入力階調値「31」の色測定データD1に対応するターゲットの階調特性値が0.78である場合、ターゲットを補正するための階調補正値は、(1)式、すなわち、
ターゲットの階調補正値=((0.78−0.75)×30+(0.75−0.74)×31)/(0.78−0.74))
=30.25 ・・・・・・・(1)
となる。この例では、メモリ62Y、62M、62C、62Kにセットできる階調補正テーブルTRのビット数が8ビットであるので、少数点以下を四捨五入してターゲットの階調補正値は「30」となる。
このような計算を順次繰り返し、更に、各色で計算を繰り返すことにより、図5Cに示すような階調補正テーブルTRを取得することができる。階調補正テーブルTRは、図5Cにおいて、最小値と最大値とを滑らかにつなぐ曲線(γ補正曲線III)となる。γ補正曲線IIIは、任意の像構造における色測定データD1に基づく入力階調値を補間するために使用される。この階調補正テーブルTRによって、当該像構造における色画像の最も白い部分と、最も暗い部分との間の階調を最適に補間することができる。なお、階調補正テーブルTRの計算方法は、操作選択手段14によって設定されたモードにより異なる。
図6は、グレーの色相ずれ例を示す図である。図6に示すグレーの色相ずれ例によれば、CMY色の各色のダイナミックレンジが変化した場合に、CMY3色で表現されるグレーバランスがそれに応じて、例えば、Y色方向に動く場合がある。
図6において、CMY3色で表現されるグレーバランスを評価する場合に、正六角形の各頂点にY色、G色、C色、BL色、M色、R色を配置する。G色は、Y色とC色とを重ね合わせた色である。BL色は、C色とM色とを重ね合わせた色である。R色は、Y色とM色とを重ね合わせた色である。六角形の中心はグレーのバランス原点である。実線はグレーバランスが取れている状態である。Y色、G色、C色、BL色、M色、R色からバランス原点から等距離にある。
波線は、グレーバランスがY色方向にずれている状態である。C色、BL色、M色は、バランス原点から等距離にあるが、Y色、G色、R色は、C色、BL色、M色に比べてバランス原点からの距離が長い位置にある。Y色は、G色及びR色に比べてバランス原点からの距離が一番長い位置にある。このような場合、グレーバランスがY色にずれている状態となる。
次に、グレー重視モード選択時のプロセッサ61の処理例について説明をする。図7〜図10は、グレー重視モード選択時のプロセッサ61におけるCMYK色のテーブル計算例を示す図である。
この例では、グレー重視モードが選択された場合、プロセッサ61は、C色の階調補正テーブルTRcを基準にして、各色のダイナミックレンジに相当する最も濃い部分の明るさを予め設定し、ここで設定した最も濃い部分の明るさに対応する割合(%)によりY色の目標ターゲット(以下Y色ターゲットという)、M色の目標ターゲット(以下M色ターゲットという)、BK色の目標ターゲット(以下BK色ターゲットという)の各々の階調特性値を計算する。
プロセッサ61は、C色の階調補正テーブルTRcを基準にするため、まず、C色の目標ターゲット(以下C色ターゲットという)の階調特性値を計算する。
図7Aは、C色用のターゲットテーブルTPcの作成例を示す図である。図7Aにおいて、縦軸は、C色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Icは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、C色ターゲットの階調特性値に関して、C色用の階調補正テーブルTRcにおける最も白い部分の階調特性値が0.90で、その最も暗い部分の階調特性値が0.54である。この例では、C色の階調補正テーブルTRcを基準にしてグレーバランスを採るので、最も暗い部分の階調特性値(特性データ)=0.54がそのまま計算値として設定される。
図7Bは、C色用の階調補正テーブルTRcの作成例を示す図である。図7Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、C色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIIcは、C色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。
同様にして、プロセッサ61は、C色の階調補正テーブルTRcを基準にして、Y色ターゲットの階調特性値を計算する。Y色用の階調補正テーブルTRcはプロセッサ61によって計算される。
図8Aは、Y色用のターゲットテーブルTPyの作成例を示す図である。図8Aにおいて、縦軸は、Y色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Iyは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、Y色ターゲットの階調特性値に関して、Y色用の階調補正テーブルTRyにおける最も白い部分の階調特性値が0.95で、その最も暗い部分の階調特性値が0.42(計算値)である。このプロセッサ61では、C色の階調補正テーブルTRcを基準にしてグレーバランスが採られ、最も暗い部分の階調特性値が例えば、0.35である。
図8Bは、Y色用の階調補正テーブルTRyを示す図である。図8Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、Y色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIIyは、Y色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。
同様にして、プロセッサ61は、C色の階調補正テーブルTRcを基準にして、M色ターゲットの階調特性値を計算する。M色用の階調補正テーブルTRmはプロセッサ61によって計算される。
図9Aは、M色用のターゲットテーブルTPmの作成例を示す図である。図9Aにおいて、縦軸は、M色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Imは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、M色ターゲットの階調特性値に関して、M色用の階調補正テーブルTRmにおける最も白い部分の階調特性値が0.94で、その最も暗い部分の階調特性値が0.55(計算値)である。このプロセッサ61では、C色の階調補正テーブルTRcを基準にしてグレーバランスが採られ、最も暗い部分の階調特性値が例えば、0.50である。
図9Bは、M色用の階調補正テーブルTRmの作成例を示す図である。図9Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、M色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIImは、M色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。
同様にして、プロセッサ61は、C色の階調補正テーブルTRcを基準にして、BK色ターゲットの階調特性値を計算する。BK色用の階調補正テーブルTRkはプロセッサ61によって計算される。
図10Aは、BK色用のターゲットテーブルTPkの作成例を示す図である。図10Aにおいて、縦軸は、BK色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Ikは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、BK色ターゲットの階調特性値に関して、BK色用の階調補正テーブルTRkにおける最も白い部分の階調特性値が0.95で、その最も暗い部分の階調特性値が0.25(計算値)である。このプロセッサ61では、C色の階調補正テーブルTRcを基準にしてグレーバランスが採られ、最も暗い部分の階調特性値が例えば、0.24である。
図10Bは、BK色用の階調補正テーブルTRkの作成例を示す図である。図10Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、BK色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIIkは、BK色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。
このようなグレー重視モードが選択された場合のCMYK色の各々の階調補正テーブルTPc、TPm、TPy、TPkを計算する方法によれば、C色の階調補正テーブルTRcを基準にして、各色のダイナミックレンジに相当する最も濃い部分の明るさを予め設定し、ここで設定した最も濃い部分の明るさに対応する割合(%)によりY色ターゲット、M色ターゲット及びBK色ターゲットの各々の階調特性値を計算する。これらの計算はプロセッサ61によって実行される。
この例では、予め任意に設定された階調特性値が以下のような場合に、グレーバランスを評価するための階調特性値を百分率で表した%階調特性値を計算によって求めることができる。なお、明るさの計算において、色測定データD1から得られる色(輝度)情報をX値,Y値,Z値としたとき、C色の場合はX値を0.4乗、M色の場合はY値を0.4乗、Y色の場合はZ値を0.4乗した値を用いる。
ここで、任意に設定された階調特性値に関して、Y色のターゲットテーブルTPyにおける最も暗い部分の階調特性値が0.41であり、この値をオリジナル(org)とし、M色のターゲットテーブルTPmにおける最も暗い部分の階調特性値が0.53であり、この値をオリジナル(org)とし、C色用の階調補正テーブルTRcにおける最も暗い部分の階調特性値が0.52であり、この値をオリジナル(org)とし、BK色のターゲットテーブルTPkにおける最も暗い部分の階調特性値が0.24であり、この値をオリジナル(org)とする。上述のように任意に設定された階調特性値をY=0.41、M=0.53、C=0.52、及びK=0.24を分母(org)とする。
同様にして、C色用の階調補正テーブルTRcにおける最も暗い部分の階調特性値を0.54(計算値=特性データ)としたとき、図8Aに示したY色のターゲットテーブルTPyにおける最も濃い部分の階調特性値0.35を設定し、この値を特性データ(data)とし、図9Aに示したM色のターゲットテーブルTPmにおける最も濃い部分の階調特性値0.50を設定し、この値を特性データ(data)とし、図10Aに示したBK色のターゲットテーブルTPkにおける最も濃い部分の階調特性値0.24を設定し、この値を特性データ(data)とする。
上述のように設定した特性データY=0.35、M=0.50、C=0.54、及びK=0.24を分子(data)としたとき、グレーバランスを評価するための%階調特性値は、(2)式、すなわち、
%階調特性値=(data/org)×100[%]・・・・・・・(2)
により求められる。
この例では、YMCK色の%階調特性値に関して、それぞれY=85%、M=93%、C=103%、K=100%が得られる。この場合に、%階調特性値の大きい103%のC色が最も明るい色で薄い色に相当する。なお、%階調特性値は、その値が小さいほど色が濃く、その値が大きいと色が薄い関係にある。
この例では、(2)式より得られるC色の%階調特性値=103%を使用して他のYMK色の各色の最大濃度を算出するようになされる。例えば、プロセッサ61は、YMK色の各色の最大濃度値がC色の%階調特性値=103%に等しくなるように、(3)式、すなわち、
最大濃度値=予め設定した計算値(org)×最も薄い色の%階調特性値
/100 ・・・・・・・・(3)
により求められる。
この例では、YMCK色の最大濃度値に関して、それぞれY=0.42、M=0.55、C=0.54、K=0.25が得られる。これらの最大濃度を補正する値は、一番薄い色のC色に合わせたことになる。図8Aに示した例では、最大濃度値Y=0.42をターゲットテーブルTPyの最大値として設定し、最小値は0.95(変わらず)のまま設定される。同様にして、ターゲットテーブルTPm、TPkを再現する値を順に算出する。
図9Aに示した例では、最大濃度値M=0.55をターゲットテーブルTPmの最大値として設定し、最小値は0.94(変わらず)のまま設定される。図10Aに示した例では、最大濃度値K=0.25をターゲットテーブルTPkの最大値として設定し、最小値は0.95(変わらず)のまま設定される。これらのターゲットテーブルTPy、TPm、TPc、TPkの最小値と最大値の間は、階調重視モード時と同様にしてリニアに補間するようになされる。階調特性値を大きくすることで、各色の最大濃度値を抑えることができる。
この例では、図5A〜Cに示した処理順でターゲットテーブルTPcから図7Bに示したような階調補正テーブルTRcを作成する。同様にして、ターゲットテーブルTPmから同様な処理順で図8Bに示したような階調補正テーブルTRmを作成し、ターゲットテーブルTPyから同様な処理順で図9Bに示したような階調補正テーブルTRyを作成し、ターゲットテーブルTPkから同様な処理順で図10Bに示したような階調補正テーブルTRkを各々作成するようになされる。
また、この例で、C色以外は最大濃度値を使用しない階調特性テーブルとなるが、図11に示すように、CMY色の相対的な位置関係が保たれるためCMY色を重ね合わせたグレーを動かさないようにできる。更に、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kにおいて、最大濃度値を使用しないこともあるが、階調補正テーブルTRcとしては、図7Bに示したように滑らかさを有したγ補正曲線IIIcを得ることができる。同様にして、階調補正テーブルTRy、TRm、TRkとしても、図8B、図9B、図10Bに示したように滑らかさを有したγ補正曲線IIIy、IIIm、IIIkを得ることができる。
図11は、グレー重視モードに係る補正後のグレーバランス例を示す図である。図11において、外側の六角形は、最大濃度値により再現されるY色、G色、C色、BL色、M色、R色を各頂点に配置した例であり、グレーのバランス原点が六角形の中心にある場合である。内側の六角形は、最大濃度よりも薄い濃度により再現されるY色、G色、C色、BL色、M色、R色を各頂点に配置した例であり、六角形の大きさは最大濃度のときよりも小さくなるが、グレーのバランス原点が六角形の中心にある場合である。
図11に示す補正後のグレーバランス例によれば、最大濃度値により再現されるY色、G色、C色、BL色、M色、R色に基づく外側の六角形に対して、図7〜図10で説明したような補正計算処理、つまり、ターゲットテーブルTPcにおける一番薄い色のC色の最大濃度に、他のMYK色の最大濃度を補正して合わせ込む。これにより、CMY色の相対的な位置関係をグレーのバランス原点に保持できるため、CMY色を重ね合わせたグレーを動かさないようにできる。このことで、図6に示したようなグレー色相ずれを図11のように補正することができる。因みに、図11に示すグレーバランスには、図6に示したようなグレー色相ずれが生じていない。
次に、再現性重視モード選択時のプロセッサ61の処理例について説明をする。図12〜図15は、再現性重視モード選択時のプロセッサ61におけるCMYK色のテーブル計算例を示す図である。
この例では、階調性と高濃度部のグレーバランスを犠牲にし、低・中濃度の階調性とグレーバランスを一定に保つようになされる。このようにすると、階調性重視モード及びグレー重視モードの欠点を除くことができ、全体の印象として出力結果を最も一定にすることができる。また、各々の色のターゲットテーブルTPにおける最大濃度値に関しては、階調性重視モードやグレー重視モード等が色測定センサ12で得られた値から算出されるのに対して、再現性重視モードでは、予め最大濃度値が設定される。各色の最も薄い基準パッチPRについては、色測定センサ12で得られた値を使用する。
図12Aは、Y色用のターゲットテーブルTPyの作成例を示す図である。図12Aにおいて、縦軸は、Y色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Iyは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、Y色ターゲットの階調特性値に関して、Y色用の階調補正テーブルTRyにおける最も白い部分の階調特性値が0.95で、その最も暗い部分の階調特性値として0.41(org)が設定される。Y色ターゲットの階調特性値は、図2に示したプロセッサ61によって計算される。プロセッサ61は、例えば、Y色のターゲットテーブルTPyで最も暗い部分の階調特性値として0.35(特性データ)を設定する。
図12Bは、Y色用の階調補正テーブルTRyを示す図である。図12Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、Y色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIIyは、Y色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。階調補正テーブルTRcは、プロセッサ61によって計算される。この例で、実線IIIyに示すY色のγ補正曲線によれば、入力階調値の高階調部分のγ変換を一定値以下に抑えるようになされる。
同様にして、プロセッサ61は、M色ターゲットの階調特性値を計算し、M色用の階調補正テーブルTRmを計算する。図13Aは、M色用のターゲットテーブルTPmの作成例を示す図である。図13Aにおいて、縦軸は、M色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Imは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、M色ターゲットの階調特性値に関して、M色用の階調補正テーブルTRmにおける最も白い部分の階調特性値が0.94で、その最も暗い部分の階調特性値として0.53(org)が設定される。M色ターゲットの階調特性値は、図2に示したプロセッサ61によって計算される。プロセッサ61は、例えば、M色のターゲットテーブルTPmで最も暗い部分の階調特性値として0.50(特性データ)を設定する。
図13Bは、M色用の階調補正テーブルTRmを示す図である。図13Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、M色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIImは、M色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。この例で、実線IIImに示すM色のγ補正曲線によれば、入力階調値の高階調部分のγ変換を一定値以下に抑えるようになされる。一定値以下に抑える階調範囲は、Y色に比べて狭くなされる。
図14Aは、C色用のターゲットテーブルTPcの作成例を示す図である。図14Aにおいて、縦軸は、C色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Icは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、C色ターゲットの階調特性値に関して、C色用の階調補正テーブルTRcにおける最も白い部分の階調特性値が0.90で、その最も暗い部分の階調特性値として0.52(org)が設定される。C色ターゲットの階調特性値は、図2に示したプロセッサ61によって計算される。プロセッサ61は、例えば、C色のターゲットテーブルTPcで最も暗い部分の階調特性値として0.54(特性データ)を設定する。
図14Bは、C色用の階調補正テーブルTRcを示す図である。図14Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、C色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIIcは、C色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。この例で、実線IIIcに示すC色のγ補正曲線によれば、階調補正値(出力階調値)の高階調部分のγ変換を一定値以下に抑えるようになされる。
同様にして、プロセッサ61は、BK色ターゲットの階調特性値を計算し、その後、BK色用の階調補正テーブルTRkを作成する。図15Aは、BK色用のターゲットテーブルTPkの作成例を示す図である。図15Aにおいて、縦軸は、BK色ターゲットの階調特性値(1単位表示)であり、横軸は色測定データD1に基づく入力階調値0〜255である。実線Ikは、階調特性値をリニアに補間するための特性直線である。
この例で、BK色ターゲットの階調特性値に関して、BK色用の階調補正テーブルTRkにおける最も白い部分の階調特性値が0.95で、その最も暗い部分の階調特性値として0.24(org)が設定される。このプロセッサ61では、BK色の階調補正テーブルTRkを基準にして、最も暗い部分の階調特性値として0.24がそのまま特性データとして設定される。
図15Bは、BK色用の階調補正テーブルTRkを示す図である。図15Bにおいて、縦軸は色測定データD1に基づく入力階調値であり、横軸は、BK色ターゲットのγ補正後の階調補正値(出力階調値)である。実線IIIkは、BK色の階調特性値を補間するためのγ補正曲線である。
このような階調重視モードが選択された場合のCMYK色の各々の階調補正テーブルTPc、TPm、TPy、TPkを計算する方法によれば、BK色の階調補正テーブルTRkを基準にして、各色のダイナミックレンジに相当する最も濃い部分の明るさを予め設定し、ここで設定した最も濃い部分の明るさに対応する割合(%)によりY色ターゲット、M色ターゲット及びC色ターゲットの各々の階調特性値を計算する。これらの計算については、グレー重視モードと同様にしてプロセッサ61により実行される。その説明については省略する。
上述のように設定した特性データY=0.35、M=0.50、C=0.54、及びK=0.24を分子(data)としたとき、(2)式により、%階調特性値が求められる。このBK色の%階調特性値を使用して他のYMC色の各色の最大濃度を算出するようになされる。その後、(3)式により最大濃度値が求められる。
この例では、図5A〜Cに示した処理順でターゲットテーブルTPyから図12Bに示したような階調補正テーブルTRyを作成する。同様にして、ターゲットテーブルTPmから同様な処理順で図13Bに示したような階調補正テーブルTRmを作成し、ターゲットテーブルTPcから同様な処理順で図14Bに示したような階調補正テーブルTRcを作成し、ターゲットテーブルTPkから同様な処理順で図15Bに示したような階調補正テーブルTRkを各々作成するようになされる。
このような再現性重視モードによれば、低・中濃度で、CMY色の割合が一定となるためにグレーバランスが保証され、かつ、常に、絶対的な濃度も一定になるため再現性に優れるという長所がある。更に、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kにおいて、最大濃度値以下に制限されるが、階調補正テーブルTRyとしては、図12Bに示したように滑らかさを有したγ補正曲線IIIyを得ることができる。同様にして、階調補正テーブルTRm、TRc、TRkとしても、図13B、図14B、図15Bに示したように滑らかさを有したγ補正曲線IIIm、IIIcIIIkを得ることができる。
次に、本発明に係る画像形成方法について説明をする。図16は、カラープリンタ100における画像形成例を示すフローチャート(メインルーチン)、図17は、当該モードにおける階調補正テーブル作成例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
この実施形態では、任意の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて色を重ね合わせ色画像を形成する場合を前提として、プリンタ内部に色測定センサ12を備え、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6上にCMYK色を組み合わせた複数の階調の異なる基準パッチPRを作成し、その基準パッチPRを測色して所望の階調補正を行うようになされる(色補正モード)。
この例で階調補正テーブルに関しては階調性重視モード、グレー重視モード、再現性重視モードのいずれかを選択する場合を想定する。通常動作モードでは、例えば、外部機器から8ビットの画像データDy、Dm、Dc、Dkが入力される。
これらを画像形成条件にして、図16に示すフローチャートのステップA1で画像形成要求を受付ける。画像形成要求は、例えば、ページ単位にファイルされた画像データDy、Dm、Dc、Dkが入力される。最終ページには終了フラグが付加される。画像形成要求の有無は、例えば、画像データDy、Dm、Dc、Dkの入力を検出することにより判別される。
画像形成要求が有った場合は、ステップA2に移行して「階調性重視」、「再現性重視」又は「再現性重視」のいずれかのモードの選択を受付ける。このとき、ユーザは、操作パネル48の表示手段18に、図3に示した階調補正方法選択画面P1を表示する。ユーザは、この階調補正方法選択画面P1で、階調補正方法に関して選択項目をチェックする。例えば、「階調重視」を選択する場合は、操作設定手14のカーソル機能等を利用して、「階調重視」の先頭領域の四角状の記述欄にレ点を記述してチェックする。
このモード選択に基づいて制御を分岐する。この例で、階調性重視モードが選択された場合は、ステップA3に移行して、当該階調性重視モードに対応する階調補正テーブルTRを作成する。このとき、画像処理用のプロセッサ61は、「階調性重視」のモードの選択に応じて、C色、M色及びY色の各々のダイナミックレンジを滑らかに表現するための階調補正テーブルTRを計算する。
この計算に先立ち、例えば、図18に示すサブルーチンをコールし、そのフローチャートのステップE1で濃度が異なる複数の基準パッチPRを形成するための基準画像データDy’、Dm’、Dc’、Dk’を読み出して像構造生成マトリクス部63Y,63M,63C,63Kにセットする。基準画像データDy’、Dm’、Dc’、Dk’は、図示しないパッチテーブル(スルーの階調値)が参照される。
そして、ステップE2で画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、図4に示したような基準パッチPRを中間転写ベルト6に形成する。このとき、画像形成ユニット10Yでは、像構造生成マトリクス部63Yで基準画像データDy’に基づいて生成された像構造信号Syをレーザ書込みユニット3Yに供給する。画像形成ユニット10Mでは、像構造生成マトリクス部63Mで基準画像データDm’に基づいて生成された像構造信号Smをレーザ書込みユニット3Mに供給する。画像形成ユニット10Cでは、像構造生成マトリクス部63Cで基準画像データDc’に基づいて生成された像構造信号Scをレーザ書込みユニット3Cに供給する。画像形成ユニット10Kでは、像構造生成マトリクス部63Kで基準画像データDk’に基づいて生成された像構造信号Skをレーザ書込みユニット3Kに供給する。
各々のユニット3Y、3M、3C、3Kでは、各々の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kへ基準パッチ用の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置4Y、4M、4C、4Kによって現像される。この際の現像は使用するトナー極性と同極性(本実施例においては負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される反転現像にて行われる。
画像形成ユニット10Yでは基準パッチPRとなるY色のトナー画像が形成される。画像形成ユニット10Mでは基準パッチPRとなるM色のトナー画像が形成される。画像形成ユニット10Cでは基準パッチPRとなるC色のトナー画像が形成される。画像形成ユニット10Kでは基準パッチPRとなるBK色のトナー画像が形成される。各々の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成された基準パッチ用のトナー画像は中間転写ベルト6に転写される(一次転写)。これにより、図4に示したような基準パッチPRを中間転写ベルト6に形成することができる。なお、色補正モード時は、実際に用紙Pには色画像が形成されない。
この中間転写ベルト6に形成された基準パッチPRに基づく複数の色は、ステップE3で色測定センサ12により測定される。色測定センサ12は、基準パッチPRの色を読み取って(濃度を検出して)得た色測定信号S1を制御手段15に出力する。制御手段15は、色測定信号S1をアナログ・デジタル変換して色測定データ(256階調の入力階調値)D1をプロセッサ61に出力する。
そして、プロセッサ61は色測定データD1を入力すると共に、ステップE4で階調特性テーブルTQを計算して階調補正テーブルTRを作成する。このとき、プロセッサ61は、色測定データD1の最小値と最大値をリニアに補間し、その後、図5Aに示したような256階調のターゲットテーブルTPを作成する。そして、プロセッサ61は、ターゲットテーブルTPに基づいて色測定データD1からターゲットを再現する階調特性値を求める。このとき、プロセッサ61は色測定データD1に基づいてターゲットの階調特性値を検索する。
図5Aに示した例によれば、階調特性テーブルTQの階調特性値の中から0.75に近い2つの点を検索し、入力階調値「30」の色測定データD1に対応するターゲットの階調特性値0.74、入力階調値「31」の色測定データD1に対応するターゲットの階調特性値0.78から、ターゲットを補正するための階調補正値「30」を(1)式により求める。
このような計算を順次繰り返し、更に、各色で計算を繰り返すことにより、図5Cに示すような階調補正テーブルTRが作成される。その後、ステップE5に移行して制御手段15は、プロセッサ61で全ての階調分の階調補正値が計算されたかの終了判別をする。制御手段15は、プロセッサ61からの計算終了通知を検出して計算終了判別する。
全ての階調分の階調補正値が計算されていない場合は、ステップE4に戻って制御手段15は、ターゲットの階調補正値を計算するようにプロセッサ61を制御する。これにより、他のターゲットの階調補正値も、同様にして求められる。ステップE5で全ての階調分の階調補正値が計算された場合、制御手段15は、当該階調補正テーブルTRをメモリ62Y、メモリ62M、メモリ62C及びメモリ62Kに共通して設定するように制御する。この階調補正テーブルTRによって、任意の色画像の最も白い部分と、最も暗い部分との間の階調を最適に補間することができる。そして、図17に示したフローチャートのステップA3にリターンする。
その後、ステップA4に移行して、先に作成された階調補正テーブルTRに基づいて画像データDy、Dm、Dc、Dkを補正する。このとき、メモリ62Y,62M,62C,62Kは、画像データDy、Dm、Dc、Dkの入力階調値を階調補正値(出力階調値)に変換するγ変換処理を実行する。
そして、ステップA5で補正後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて画像形成処理を実行する。このとき、制御手段15は給紙制御する。例えば、図1に示した給紙カセット20A、20B、20C内に収容された用紙Pが送り出しローラ21および給紙ローラ22Aにより給紙され、搬送ローラ22B、22C、22D、レジストローラ23等を経て、2次転写ローラ7Aに搬送される。
一方、画像形成ユニット10Yでは、レーザ書込みユニット3Yが補正後の像構造信号Syに基づいて感光体ドラム1Yを通じて中間転写ベルト6上に、Y色に係るY色画像を形成する。例えば、レーザ書込みユニット3Yは、感光体ドラム1Yに階調性重視モードに基づく静電潜像を形成する。この静電潜像は現像装置4Yによって現像される。この際の現像は使用するトナー極性と同極性(負極性)の直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される反転現像にて行われる。
同様にして、レーザ書込みユニット3M、3C、3Kは、補正後の像構造信号Sm、Sc、Skに基づいて感光体ドラム1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6上に、階調性重視モードに基づくCMYK色を重ね合わせた色画像を形成する(一次転写)。
その後、所定の用紙Pにカラートナー画像を転写し定着して排紙する。このとき、中間転写ベルト6に形成されたカラー画像は、一括して用紙P上の一方の面に転写される(2次転写)。カラー画像が転写された用紙Pは、定着装置17により定着処理され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。転写後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面上に残った転写残トナーは、像形成体クリーニング手段8Y、8M、8C、8Kによりクリーニングされ次の画像形成サイクルに入る。
その後、ステップA6に移行して、制御手段15はプリントを全部終了したかを判別する。プリントを全部終了したか否かは、例えば、最終ページをプリントしたかをCPU53でチェックすることで実行する。最終ページか否かは、CPU53が終了フラグを検出することで判断される。最終ページをプリントしていない場合は、ステップA5に戻って画像形成処理を継続するようになされる。最終ページをプリントした場合は、ステップA15に移行する。
また、上述のステップA2で「グレー重視」のモードが選択された場合は、ステップA7に移行して、制御手段15は、当該グレー重視モードに対応する、YMCK色用の階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkを作成するように画像処理用のプロセッサ61を制御する。このとき、プロセッサ61は、グレー重視モードの選択に応じて、C色、M色及びY色の各々の階調特性の比率が予め設定した比率と全階調で等しくなるような階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkを計算する。
この計算に先立ち、階調性重視モードと同様にして、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kでは、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6上に色補正用の基準画像データDy’、Dm’、Dc’、Dk’に基づく基準パッチPRを形成する。この中間転写ベルト6に形成された基準パッチPRに基づく複数の色を色測定センサ12より測定して色測定信号S1を取得する。色測定信号S1は、例えば、制御手段15でA/D変換されてプリンタ100の色測定データ(パッチデータ)D1となる。色測定データD1は画像処理手段60に転送される。
画像処理手段60では、C色の階調補正テーブルTRcを基準にして、各色のダイナミックレンジに相当する最も濃い部分の明るさを予め設定し、ここで設定した最も濃い部分の明るさに対応する割合(%)によりY色ターゲット、M色ターゲット及びBK色ターゲットの各々の階調特性値を計算する。これらの計算はプロセッサ61によって実行され、ターゲットテーブルTPy、TPm、TPc、TPkが作成される。この例では、先に説明した(2)式より得られるC色の%階調特性値を使用して他のYMK色の各色の最大濃度を算出するようになされる。
これらのターゲットテーブルTPy、TPm、TPc、TPkの最小値と最大値の間は、階調性重視モード時と同様にしてリニアに補間するようになされる。階調特性値を大きくすることで、各色の最大濃度値を抑えることができる。この例では、図5A〜Cに示した処理順でターゲットテーブルTPcから図7Bに示したような階調補正テーブルTRcを作成する。同様にして、ターゲットテーブルTPmから同様な処理順で図8Bに示したような階調補正テーブルTRmを作成し、ターゲットテーブルTPyから同様な処理順で図9Bに示したような階調補正テーブルTRyを作成し、ターゲットテーブルTPkから同様な処理順で図10Bに示したような階調補正テーブルTRkを各々作成するようになされる。
Y色用の階調補正テーブルTRyは、メモリ62Yに設定され、M色用の階調補正テーブルTRmは、メモリ62Mに設定され、C色用の階調補正テーブルTRcは、メモリ62Cに設定され、BK色用の階調補正テーブルTRkは、メモリ62Kに各々設定される。その後、ステップA8に移行して、先に作成されたCMYK色用の階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkに基づいて画像データDy、Dm、Dc、Dkを補正する。このときは、画像データDy、Dm、Dc、Dkの入力階調値を階調補正値(出力階調値)に変換するγ変換処理を実行する。
そして、ステップA9で補正後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて画像形成処理を実行する。このとき、制御手段15は、階調性重視モードと同様にして給紙制御する。一方、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kでは、レーザ書込みユニット3Yが補正後の像構造信号Syに基づいて感光体ドラム1Yを通じて中間転写ベルト6上に、Y色に係るY色画像を形成する。同様にして、レーザ書込みユニット3M、3C、3Kは、補正後の像構造信号Sm、Sc、Skに基づいて感光体ドラム1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6上に、グレー重視モードに基づくCMYK色を重ね合わせた色画像を形成する(一次転写)。その後、所定の用紙Pにカラートナー画像を転写し定着して排紙する。転写後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面上に残った転写残トナーは、像形成体クリーニング手段8Y、8M、8C、8Kによりクリーニングされ次の画像形成サイクルに入る。
その後、ステップA10に移行して、制御手段15はプリントを全部終了したかを判別する。プリントを全部終了したか否かは、例えば、最終ページをプリントしたかをCPU53でチェックすることで実行する。最終ページか否かは、CPU53が終了フラグを検出することで判断される。最終ページをプリントしていない場合は、ステップA9に戻って画像形成処理を継続するようになされる。最終ページをプリントした場合は、ステップA15に移行する。
更にまた、上述のステップA2で「再現性重視」のモードが選択された場合は、ステップA11に移行して、制御手段15は、当該再現性重視モードに対応する、YMCK色用の階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkを作成するように画像処理用のプロセッサ61を制御する。このとき、プロセッサ61は、再現性重視モードの選択に応じて、予め設定されたC色、M色及びY色の濃度が等しくなるような階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkを計算する。
この計算に先立ち、階調性重視モードと同様にして、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kでは、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6上に色補正用の基準画像データDy’、Dm’、Dc’、Dk’に基づく基準パッチPRを形成する。この中間転写ベルト6に形成された基準パッチPRに基づく複数の色を色測定センサ12より測定して色測定信号S1を取得する。色測定信号S1は、例えば、制御手段15でA/D変換されてプリンタ100の色測定データD1となって、画像処理手段60に転送される。
画像処理手段60では、BK色の階調補正テーブルTRkを基準にして、各色のダイナミックレンジに相当する最も濃い部分の明るさを予め設定し、ここで設定した最も濃い部分の明るさに対応する割合(%)によりY色ターゲット、M色ターゲット及びC色ターゲットの各々の階調特性値を計算する。これらの計算については、グレー重視モードと同様にしてプロセッサ61により実行され、ターゲットテーブルTPy、TPm、TPc、TPkが作成される。これらのターゲットテーブルTPy、TPm、TPc、TPkの最小値と最大値の間は、グレー重視モード時と同様にしてリニアに補間するようになされる。
プロセッサ61は、更に、図5A〜Cに示した処理順でターゲットテーブルTPyから図12Bに示したような階調補正テーブルTRyを作成する。同様にして、ターゲットテーブルTPmから同様な処理順で図13Bに示したような階調補正テーブルTRmを作成し、ターゲットテーブルTPcから同様な処理順で図14Bに示したような階調補正テーブルTRcを作成し、ターゲットテーブルTPkから同様な処理順で図15Bに示したような階調補正テーブルTRkを各々作成するようになされる。Y色用の階調補正テーブルTRyは、メモリ62Yに設定され、M色用の階調補正テーブルTRmは、メモリ62Mに設定され、C色用の階調補正テーブルTRcは、メモリ62Cに設定され、BK色用の階調補正テーブルTRkは、メモリ62Kに各々設定される。
その後、ステップA12に移行して、先に作成されたCMYK色用の階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkに基づいて画像データDy、Dm、Dc、Dkを補正する。このとき、メモリ62Y、62M、62C、62Kは、画像データDy、Dm、Dc、Dkの入力階調値を階調補正値(出力階調値)に変換するγ変換処理を実行する。
そして、ステップA13で補正後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて画像形成処理を実行する。このとき、制御手段15は、階調性重視モードと同様にして給紙制御する。一方、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kでは、レーザ書込みユニット3Yが補正後の像構造信号Syに基づいて感光体ドラム1Yを通じて中間転写ベルト6上に、Y色に係るY色画像を形成する。同様にして、レーザ書込みユニット3M、3C、3Kは、補正後の像構造信号Sm、Sc、Skに基づいて感光体ドラム1M,1C,1Kを通じて中間転写ベルト6上に、再現性重視モードに基づくCMYK色を重ね合わせた色画像を形成する(一次転写)。
その後、所定の用紙Pにカラートナー画像を転写し定着して排紙する。転写後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kの周面上に残った転写残トナーは、像形成体クリーニング手段8Y、8M、8C、8Kによりクリーニングされ次の画像形成サイクルに入る。
その後、ステップA14に移行して、制御手段15はプリントを全部終了したかを判別する。プリントを全部終了したか否かは、例えば、最終ページをプリントしたかをCPU53でチェックすることで実行する。最終ページか否かは、CPU53が終了フラグを検出することで判断される。最終ページをプリントしていない場合は、ステップA13に戻って画像形成処理を継続するようになされる。最終ページをプリントした場合は、ステップA15に移行して、画像形成処理を終了するか否かを判別する。例えば、電源オフ情報を検出して画像形成処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップA1に戻って画像形成要求を待機するようになされる。
このように、本発明に係る実施形態としてのカラープリンタ及び画像形成方法によれば、「階調性重視」、「グレー重視」又は「再現性重視」のいずれかのモードを選択するように操作される操作選択手段14を備え、制御手段15は、操作選択手段14により選択されたモードに対応する色補正テーブルを作成するようにプロセッサ61を制御する。
プロセッサ61は、階調性重視モードが選択された場合に、C色、M色及びY色の各々のダイナミックレンジを滑らかに表現する階調補正テーブルTRを計算する。グレー重視モードが選択された場合は、C色、M色及びY色の各々の階調特性の比率が予め設定した比率と全階調で等しくなるような階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkを計算する。再現性重視モードが選択された場合は、予め設定されたC色、M色及びY色の濃度が等しくなるような階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkを計算する。
制御手段15は、プロセッサ61によって作成された階調補正テーブルTRy、TRm、TRc、TRkに基づいて画像データDy、Dm、Dc、Dkを補正し、補正後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kを通じて中間転写ベルト6に色を重ね合わせ色画像を形成するように画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを制御する。
従って、 当該プリンタ100の操作画面やパソコン上で、ユーザの意図に合った階調補正方法である「階調性重視」、「グレー重視」、「再現性重視」のいずれかのモードを設定することができ、しかも、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、予めユーザが自由に選択した「階調性重視」、「グレー重視」又は「再現性重視」のモードに基づく階調補正方法で、補正後の画像データDy、Dm、Dc、Dkに基づいて色画像を形成するようになる。これにより、カラープリンタ等の階調補正機能に関連して、C色、M色、Y色、BK色等の濃度が経時的に変化した場合であっても、安定した色画像を得ることができる。
また、上述した計算方法は、CMY3色又はCMYK4色で切換えて適用してもよい。例えば、図3に示した階調補正方法選択画面P1において、「階調性重視」、「グレー重視」、「再現性重視」のいずれかのモードを色別に選択可能とするようにしてもよい。このようにすると、画像データDy、Dm、Dc、Dkに絵柄情報と、黒文字情報が多く含まれる場合であって、CMY3色には「再現性重視」、BK色には「階調性重視」とするように切り分け、これを選択することで、絵柄を再現性良く形成することができ、更に、黒文字を常に最大濃度で出力することができ、鮮明な(はっきりとした)画像形成出力結果を得ることができる。
また、画像データDy、Dm、Dc、Dkに関して、絵柄だけの画像である場合は、CMYK4色の全てを「グレー重視」のモードとすることで、常にグレーバランスと、階調性の良い結果を得ることができる。更にまた、画像データDy、Dm、Dc、Dkに関して、絵柄が文字だけであったり、コンピュータグラフィックス(CG)画像であった場合には、CMYK4色の全てを「階調性重視」に割り当て、これを選択し、黒文字色文字ともに最大濃度で出力することで、鮮明な画像形成出力結果を得ることができる。特に、CMYK4色の全てを選択して「階調性重視」モードを実行する方法は、CG画像のような滑らかさが必要な場合に適している。