JP2005132934A - 硬化性ポリウレタン樹脂組成物及び該組成物から成る成型品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記の(A)と(B)とを反応させて得られるポリウレタンエラストマー組成物であり該組成物から成る成型品。
(A)脂肪族系イソシアネート及び/又は脂環式系イソシアネートを変性して得られる、イソシアネート基含有量が5〜38質量%、かつ平均官能基数が2〜3のポリイソシアネート成分。
(B)水酸基価が15〜1820(mgKOH/g)、かつ平均官能基数が2〜4のポリオール成分。
【選択図】 なし
Description
塩化ビニル樹脂はジオクチルフタレートを代表例とする多量の可塑剤を含んでいるため、これが環境中に溶け出すという問題があった。
このジオクチルフタレートには環境ホルモン物質の疑いも持たれている。
この解決策として、例えば特許文献1には、オキシカルボン酸のアシル化エステル誘導体を可塑剤として配合した塩化ビニル樹脂組成物が記載されている。
また、近年、塩化ビニル樹脂の燃焼による廃棄処理の際にダイオキシンが発生するということも社会問題となっている。
このような特性から、ロール類、パッキン類、各種機械部品、自動車部品、電子機器部品等が生産されている。
また、ポリウレタンエラストマーは、人体に対する生体適合性が特に優れた高分子素材であることから、カテーテル、人工血管、人工心臓、人工腎臓等にも応用されている。
一般に、ポリウレタン樹脂を製造する方法としては、例えば、高分子ポリヒドロキシル化合物及び鎖延長剤として低分子ポリヒドロキシル化合物と、有機ポリイソシアネートとを触媒の存在下又は不存在下で反応させる方法が知られている。
そして、この方法には大別して二つあり、前記3成分を同時に反応、注型を行うワンショット法と、あらかじめ高分子ポリヒドロキシル化合物と有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを主剤として、これに低分子ポリヒドロキシル化合物を架橋反応させるプレポリマー法とに分けることができる。このプレポリマー法によるポリウレタン樹脂の製造方法として、例えば特許文献2には、ポリエステルポリオールとジフェニルメタンジイソシアネートとからなるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを主剤として、これに1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンとの混合物を架橋剤として、140℃で熱処理して硬度78〜80(JIS A)のポリウレタンエラストマーを得る方法が記載されている。この方法により得られるポリウレタンエラストマーは機械的強度に優れており、特に電子写真複写機用クリーニング部材としてバランスが良い。
これらの芳香族系イソシアネートを用いたポリウレタンエラストマーは機械的強度は優れるものの、低い硬度のエラストマー、具体的にはJIS A硬度で75以下のものを得ようとすると、機械的物性が極端に悪化し、特に引張り強さの点で問題があった。また、芳香族系ポリイソシアネートは経時により着色するので、無黄変の成形品を得ることができなかった。
すなわち、本発明は次の(1)〜(2)である。
(A)脂肪族系イソシアネート及び/又は脂環式系イソシアネートを変性して得られる、イソシアネート基含有量が5〜38質量%、かつ平均官能基数が2〜3のポリイソシアネート成分。
(B)水酸基価が15〜1820(mgKOH/g)、かつ平均官能基数が2〜4のポリオール成分。
リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらのうちで、HDI及び/又はIPDIが好ましい。トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネートから得られるポリウレタン樹脂は黄変することが知られており、一般消費者の眼に触れる使用分野では好まれない。一方、脂肪族系イソシアネート又は脂環式系イソシアネートからのポリウレタン樹脂は黄変しないことが知れており、塗料用樹脂のイソシアネート源として多く用いられている。しかし、これらの非芳香族イソシアネートは反応性が小さく、また、これらから得られるポリウレタンエラストマーは引張り強度が小さいなどの点から、その使用が限定されていたが、本発明は脂肪族系イソシアネート及び/又は脂環式系イソシアネートを変性することにより前記の点を改善したものである。
この低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ジメチロールヘプタン、ダイマー酸ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、クオドロール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、これらの化合物にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加して得られる数平均分子量500未満の化合物、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。
高分子ポリオールは、数平均分子量が500以上、好ましくは500〜10000のポリオールである。これらの具体例としては、旭硝子(株)製のプレミノール、エクセノール、ライオンデル社製のアクレイムなどの、ポリプロピレングリコール系ポリエーテルポリオール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、アジペート系ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。
本発明におけるポリイソシアネート成分(A)がHDIからのイソシアネートである場合、HDIは沸点が低いので、蒸気圧が大きく、臭気もあるので、遊離のHDIはポリイソシアネート成分中で1質量%以下であるのが好ましい。また、取り扱いの容易さから、常温で液状であることが好ましい。なお本発明において、ポリイソシアネート成分(A)は単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
但し、水酸基でブロックしたいわゆるブロックイソシアネートは、ブロック剤の飛散という問題があり、本発明においては好ましくない。
ポリイソシアネート成分(A)の平均官能基数は、ポリウレタンエラストマーの溶出物量と圧縮永久歪の点から2〜3である。
耐加水分解性からは、PTMGが更に好ましい。
PTMGの数平均分子量は500以上であることが好ましい。
ポリオール成分(B)の平均官能基数は、ポリウレタンエラストマーには適当量の架橋構造が導入されることが好ましいので、ポリイソシアネート成分(A)の平均官能基数に対応して2〜4である。
また、これらの添加剤はポリイソシアネート成分(A)にもポリオール成分(B)にも配合することができるが、イソシアネート基に反応する添加剤もあるので、ポリオール成分(B)側に配合するのが好ましい。
JIS−D85、引張り強さが1〜50MPa、圧縮永久歪みが0.1〜60%であることが好ましく、低硬度から高硬度までを可能にする無黄変のエラストマーである。
本発明のポリウレタンエラストマーは、該ポリウレタンエラストマー1g当たり10mlの水で、120℃で30分間レトルト処理を行ったときの抽出液の過マンガン酸カリウムの消費量が30ppm以下のものであることが好ましい。
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
N−4012:ポリブチレンアジペート、水酸基価=56、平均官能基数=2、日本ポリウレタン工業(株)製
PTG−1000SN:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、水酸基価=112、平均官能基数=2、保土谷化学工業(株)製
クラレポリオールP−1010:アジペート系ポリエステルグリコール、水酸基価=112、平均官能基数=2、クラレ(株)製
クラレポリオールF−510:アジペート系ポリエステルトリオール、水酸基価=336、平均官能基数=3、クラレ(株)製
1,3−BG:1,3−ブタンジオール
1,4−BG:1,4−ブタンジオール
TMP:トリメチロールプロパン
EDP−300:N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン
NPG:ネオペンチルグリコール
KS−1010A−1:ジ(n−オクチル)錫マレートポリマー、共同薬品(株)製
HDI70.7gと、1,3−BG7.6gと、ネオペンチルグリコール6.6gと、水素添加ビスフェノールA15.2gを反応容器に仕込み、70℃で5時間反応させて、平均官能基数=2、イソシアネート基含有量17.6%の粘稠液体を得た。これをポリイソシアネートAと称する。
HDI78.9gと、1,3−BG21.1gを反応容器に仕込み、70℃で5時間反応させて、平均官能基数=2、イソシアネート基含有量19.7%の粘稠液体を得た。これをポリソシアネートBと称する。
IPDI83gと、1,3−BG17gを反応容器に仕込み、70℃で5時間反応させて、平均官能基数=2、イソシアネート基含有量15.7%の粘稠液体を得た。
これをポリイソシアネートCと称す。
HDI6gと、PTG−1000SN20gと、1,3−BG20gを反応容器に仕込み、70℃で5時間反応させて、平均官能基数=2、イソシアネート基含有量9.6%の粘稠液体を得た。
これをポリイソシアネートDと称する。
〔ポリウレタンエラストマーシートの製造〕
表1に示す配合比にて、予め減圧脱法した各原料を充填タンクに仕込み、各タンクに充填されたポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、計量ポンプを介在させた定量吐出配合機にてエアー巻き込みを生じさせないように混合した後、100℃で1時間反応させて、厚さ2mm、幅200mm、長さ150mmのポリウレタンエラストマーシートを製造した。
このポリウレタンエラストマーシートの物性値を表1に示す。
物性の測定は、JIS K7312に従って測定した。
耐候性はサンシャインウェザーメーターを用い、600時間経過後の外観を目視により判定した。
上記ポリウレタンエラストマーシート約15g秤量し、150mlの蒸留水中に浸漬し、120℃で30分間のレトルト処理を行ってレトルト抽出液を調製した。この抽出液の過マンガン酸カリウム消費量(ppm)を厚生省告示20号の測定法に従って測定した。この結果を併せて表1及び表2に示す。
Claims (2)
- 下記の(A)と(B)を反応させて得られるポリウレタンエラストマー組成物及び該組成物からなる成型品。
(A)脂肪族系イソシアネート及び/又は脂環式系イソシアネートを変性して得られる、イソシアネート基含有量が5〜38質量%、かつ平均官能基数が2〜3のポリイソシアネート成分。
(B)水酸基価が15〜1820(mgKOH/g)、かつ平均官能基数が2〜4のポリオール成分。 - 前記組成物から成る成型品が、該ポリウレタンエラストマー1g当たり10mlの水で120℃で30分間レトルト処理を行ったときの抽出液の過マンガン酸カリウム消費量が30ppm以下であることを特徴とする成型品。
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