JP2023046115A - ポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタンエラストマーを製造するためのポリウレタン樹脂の製造方法を提供すること。【解決手段】ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、マクロポリオールを含むポリオール成分とを、当量比(NCO/OH)が1.0を超過する割合で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を得て、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを反応させ、ポリウレタン樹脂を合成する。プレポリマー調製工程および/または鎖伸長工程において有機錫触媒が添加され、有機錫触媒の割合がプレポリマー組成物の総量に対して50ppm以上であり、鎖伸長工程においてプレポリマー組成物の温度が80℃未満であり、当量比(NCO/活性水素基)が1.01~1.42であり、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との反応温度が100~140℃である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂の製造方法に関する。
ポリウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネートおよびマクロポリオールの反応により形成されるソフトセグメントと、ポリイソシアネートおよび鎖伸長剤の反応により形成されるハードセグメントとを有している。
より具体的には、以下の方法で得られるポリウレタン樹脂が、知られている。すなわち、まず、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとポリテトラメチレンエーテルグリコールとを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。次いで、150質量部のイソシアネート基末端プレポリマーと、7.62~8.71質量部の1,4-ブチレングリコールとを、それぞれ80℃に予備加熱し、混合する。このとき、当量比(NCO/活性水素基)は、1.12~1.28である。さらに、混合物に、0.0008質量部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を金型に注入し、110℃で24時間硬化させて、ポリウレタンエラストマーを得る(例えば、特許文献1(合成例1および実施例1~5)参照。)。
特開2014-231585号公報
上記のポリウレタンエラストマーの製造方法では、機械物性に優れたポリウレタンエラストマーが得られる。
しかし、上記のポリウレタンエラストマーの製造方法では、イソシアネート基末端プレポリマーの温度が高いため、ポリウレタンエラストマーの表面の硬化速度が比較的早い。一方、添加される触媒が比較的少ないため、ポリウレタンエラストマーの内部の硬化速度は、比較的遅い。
その結果、上記のポリウレタンエラストマーの製造方法では、ポリウレタンエラストマーの硬化のムラが生じ、ポリウレタンエラストマーの表面が脱型時に剥離して外観不良を生じる場合がある。
本発明は、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂を製造するためのポリウレタン樹脂の製造方法である。
本発明[1]は、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、マクロポリオールを含むポリオール成分とを、ポリオール成分中の水酸基に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が1.0を超過する割合で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を得るプレポリマー調製工程と、前記プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを反応させ、ポリウレタン樹脂を合成する鎖伸長工程とを備え、前記プレポリマー調製工程および/または前記鎖伸長工程において、有機錫触媒が添加され、前記有機錫触媒の割合が、前記プレポリマー組成物の総量に対して、50ppm以上であり、前記鎖伸長工程において、前記プレポリマー組成物の温度が80℃未満であり、前記鎖伸長剤中の活性水素基に対する、前記プレポリマー組成物中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、1.01以上1.42以下であり、前記プレポリマー組成物と前記鎖伸長剤との反応温度が、100℃以上140℃以下である、ポリウレタン樹脂の製造方法を、含んでいる。
本発明[2]は、前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む、上記[1]に記載のポリウレタン樹脂の製造方法を、含んでいる。
本発明[3]は、前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む、上記[1]または[2]に記載のポリウレタン樹脂の製造方法を、含んでいる。
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法では、鎖伸長工程において、イソシアネート基末端プレポリマーの温度が比較的低いため、ポリウレタン樹脂の表面の硬化速度を抑制でき、さらに、有機錫触媒の割合が比較的多いため、ポリウレタン樹脂の内部の硬化速度を向上できる。加えて、鎖伸長工程における当量比(NCO/活性水素基)および反応温度が、所定範囲に調整されている。
そのため、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法では、硬化のムラが抑制され、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法では、まず、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させ、プレポリマー組成物を調製する。次いで、プレポリマー組成物と鎖伸長剤(後述)とを反応させ、ポリウレタン樹脂を製造する。以下、各工程について、詳述する。
(1)プレポリマー調製工程
この方法では、まず、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、所定の比率で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を調製する(プレポリマー調製工程)。
ポリイソシアネート成分は、必須成分として、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含んでいる。ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとしては、例えば、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、および、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。ポリウレタン樹脂の機械物性、低温軟化性および低発熱性の向上を図る観点から、好ましくは、対称構造である1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。すなわち、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、好ましくは、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含有する。
1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、立体異性体として、シス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとを有する。すなわち、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、好ましくは、シス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとを含有する。以下において、シス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、シス1,4体と称する場合がある。また、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを、トランス1,4体と称する場合がある。なお、トランス1,4体およびシス1,4体の総量は、100モル%である。
1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、トランス1,4体の含有割合は、例えば、60モル%以上、好ましくは、70モル%以上、より好ましくは、80モル%以上、さらに好ましくは、85モル%以上である。また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、トランス1,4体の含有割合は、例えば、99.8モル%以下、好ましくは、99モル%以下、より好ましくは、96モル%以下、さらに好ましくは、90モル%以下の割合である。
また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、シス1,4体の含有割合は、例えば、0.2モル%以上、好ましくは、1モル%以上、より好ましくは、4モル%以上、さらに好ましくは、10モル%以上である。また、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンにおいて、シス1,4体の含有割合は、例えば、40モル%以下、好ましくは、30モル%以下、より好ましくは、20モル%以下、さらに好ましくは、15モル%以下である。
トランス1,4体の含有割合、および、シス1,4体の含有割合が上記範囲であれば、機械物性に優れたポリウレタン樹脂が得られる。
ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、市販品として入手可能である。また、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、公知のイソシアネート化法により、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから製造可能である。イソシアネート化法としては、例えば、冷熱2段ホスゲン化法、造塩法およびノンホスゲン法が挙げられる。
また、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、変性体であってもよい。変性体としては、例えば、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ポリオール付加体、オキサジアジントリオン変性体、および、カルボジイミド変性体が挙げられる。
また、ポリイソシアネート成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲で、任意成分として、その他のポリイソシアネート(好ましくは、ジイソシアネート)を含有することができる。
その他のポリイソシアネートは、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除くイソシアネートである。その他のポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート(ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く。)、芳香族ポリイソシアネート、および、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、および、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、および、ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、および、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。また、その他のポリイソシアネートは、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、上記した変性体であってもよい。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
その他のポリイソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、機械物性の観点から、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、とりわけ好ましくは、0質量%である。また、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの含有割合は、ポリイソシアネート成分の総量に対して、機械物性の観点から、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは、90質量%以上、とりわけ好ましくは、100質量%である。すなわち、ポリイソシアネート成分は、とりわけ好ましくは、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンからなる。
ポリオール成分は、必須成分として、マクロポリオールを含んでいる。
マクロポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上有し、比較的高分子量の有機化合物である。比較的高分子量とは、数平均分子量が400を超過、好ましくは、500以上であることを示す。
マクロポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。マクロポリオールとしては、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオール、および、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合ポリエステルポリオールおよび開環ポリエステルポリオールが挙げられる、縮合ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジペート系ポリエステルポリオールおよびフタル酸系ポリエステルポリオールが挙げられる。開環ポリエステルポリオールとしては、例えば、ラクトンベースポリエステルポリオールが挙げられ、より具体的には、ポリカプロクトンポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、後述の低分子量ポリオールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物が挙げられる。
これらマクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。
耐酸化劣化性の観点から、マクロポリオールとして、より好ましくは、ポリエステルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、開環ポリエステルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ラクトンベースポリエステルポリオールが挙げられ、とりわけ好ましくは、ポリカプロクトンポリオールが挙げられる。
また、ガラス転移温度を低下させ、低温軟化性の向上を図る観点から、マクロポリオールとして、より好ましくは、ポリエーテルポリオールが挙げられ、さらに好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
マクロポリオールの数平均分子量は、400を超過し、好ましくは、500以上、より好ましくは、650以上、さらに好ましくは、1000以上である。また、マクロポリオールの数平均分子量は、例えば、5000以下、好ましくは、3000以下、より好ましくは、2000以下である。また、マクロポリオールの平均官能基数(平均水酸基数)は、例えば、2以上である。また、マクロポリオールの平均官能基数(平均水酸基数)は、例えば、6以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、2.5以下である。また、マクロポリオールの平均官能基数(平均水酸基数)は、最も好ましくは、2である。
ポリオール成分は、任意成分として、低分子量ポリオールを含むことができる。
低分子量ポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上有し、比較的低分子量の有機化合物である。比較的低分子量とは、数平均分子量が400以下、好ましくは、300以下であることを示す。すなわち、低分子量ポリオールの分子量は、例えば、400以下、好ましくは、300以下である。また、低分子量ポリオールの分子量は、通常、40以上である。
低分子量ポリオールとしては、例えば、2価アルコール、3価アルコール、および、4価以上のアルコールが挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリンおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。4価以上のアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールおよびジグリセリンが挙げられる。また、低分子量ポリオールとしては、数平均分子量が400以下になるように、2~4価アルコールに対してアルキレン(C2~3)オキサイドを付加重合した重合物も挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
低分子量ポリオールの含有割合は、ポリオール成分の総量に対して、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、1質量%以下、とりわけ好ましくは、0質量%である。また、マクロポリオールの含有割合は、ポリオール成分の総量に対して、例えば、90質量%以上、好ましくは、95質量%以上、より好ましくは、99質量%以上、とりわけ好ましくは、100質量%である。すなわち、ポリオール成分は、とりわけ好ましくは、マクロポリオールからなる。
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合割合は、ポリオール成分中の水酸基に対して、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基が過剰となるように、調整される。
より具体的には、プレポリマー調製工程において、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比R1(NCO/OH)が、1.0を超過し、好ましくは、1.1以上、より好ましくは、1.3以上である。また、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比R1(NCO/OH)が、例えば、2.5以下、好ましくは、2.0以下である。
プレポリマー調製工程において、反応方法としては、例えば、バルク重合および溶液重合が挙げられる。
バルク重合では、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、窒素気流下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。
溶液重合では、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、公知の有機溶剤の存在下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。
プレポリマー調製工程では、上記反応を、得られるプレポリマー組成物のイソシアネート基濃度(NCO%)が所定の値(後述)となるまで実施する。
また、プレポリマー調製工程では、ウレタン化触媒が添加されていてもよい。ウレタン化触媒については、後述する。
これにより、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との反応生成液として、プレポリマー組成物が得られる。
プレポリマー組成物(反応生成液)は、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の反応生成物であるイソシアネート基末端プレポリマーと、未反応原料であるポリイソシアネート成分とを含んでいる。
プレポリマー組成物において、イソシアネート基末端プレポリマー(反応生成物)の含有割合、および、未反応のポリイソシアネート成分(未反応原料)の含有割合は、後述するイソシアネート基濃度の範囲となれば、特に制限されない。
なお、必要に応じて、プレポリマー組成物から未反応のポリイソシアネート成分(未反応原料)の一部を公知の方法により除去することもできる。また、必要に応じて、プレポリマー組成物に対して、未反応のポリイソシアネート成分(未反応原料)をさらに添加することもできる。
プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、3質量%以上、より好ましくは、5質量%以上である。また、プレポリマー組成物のイソシアネート基濃度は、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。なお、イソシアネート基濃度(イソシアネート基含有率)は、公知の測定方法によって求めることができる。測定方法としては、例えば、ジ-n-ブチルアミンによる滴定法、および、FT-IR分析が挙げられる(以下同様)。
(2)鎖伸長工程
次いで、この方法では、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを反応させ、ポリウレタン樹脂を合成する(鎖伸長工程)。
鎖伸長剤は、プレポリマー組成物に対する硬化剤である。鎖伸長剤としては、例えば、複数(好ましくは、2つ)の活性水素基(水酸基、アミノ基)を含有する低分子量化合物が挙げられる。低分子量化合物として、より具体的には、低分子量ポリオールおよび低分子量ポリアミンが挙げられる。鎖伸長剤として、好ましくは、低分子量ポリオールが挙げられる。低分子量ポリオールを用いることにより、優れた機械物性を有するポリウレタン樹脂が得られる。
低分子量ポリオールとしては、上記の低分子量ポリオールが挙げられる。より具体的には、低分子量ポリオールとしては、例えば、上記の2価アルコール、上記の3価アルコール、および、上記の4価以上のアルコールが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
低分子量ポリオールとして、好ましくは、2価アルコールおよび3価アルコールが挙げられ、より好ましくは、2価アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、1,4-ブタンジオールが挙げられる。すなわち、低分子量ポリオールは、好ましくは、1,4-ブタンジオールを含み、より好ましくは、1,4-ブタンジオールからなる。これにより、優れた機械物性を有するポリウレタン樹脂が得られる。
プレポリマー組成物と鎖伸長剤との配合割合は、鎖伸長剤中の活性水素基に対する、プレポリマー組成物中のイソシアネート基の当量比R2(NCO/活性水素基)が、1.01以上、好ましくは、1.05以上、より好ましくは、1.10以上、とりわけ好ましくは、1.20以上である。また、鎖伸長剤中の活性水素基に対する、プレポリマー組成物中のイソシアネート基の当量比R2(NCO/活性水素基)が、1.42以下、好ましくは、1.35以下、より好ましくは、1.30以下である。
鎖伸長工程における当量比(NCO/活性水素基)が上記範囲であれば、優れた機械物性(とりわけ、引張特性および耐摩耗性)と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
また、鎖伸長工程では、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との配合前に、プレポリマー組成物の温度が、所定温度を下回るように調整される。好ましくは、プレポリマー組成物の温度は、加熱(予熱)によって調整される。
鎖伸長工程において、プレポリマー組成物の温度は、80℃未満、好ましくは、75℃以下、より好ましくは、70℃以下である。また、プレポリマー組成物の温度は、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上、より好ましくは、50℃以上である。
鎖伸長工程において、プレポリマー組成物の温度が上記上限を下回っていれば、硬化のムラが抑制され、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
また、鎖伸長工程において、プレポリマー組成物の温度は、好ましくは、後述する反応温度(硬化温度)よりも低い。プレポリマー組成物の温度と反応温度(硬化温度)との差は、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上、より好ましくは、30℃以上である。また、プレポリマー組成物の温度と反応温度(硬化温度)との差は、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下、より好ましくは、80℃以下である。
また、鎖伸長工程では、好ましくは、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との配合前に、鎖伸長剤の温度も、所定温度を下回るように調整される。好ましくは、鎖伸長剤の温度は、加熱(予熱)によって調整される。
鎖伸長工程において、鎖伸長剤の温度は、例えば、80℃未満、好ましくは、70℃以下、より好ましくは、50℃以下である。また、鎖伸長剤の温度は、例えば、25℃以上、好ましくは、30℃以上、より好ましくは、35℃以上である。
鎖伸長工程において、鎖伸長剤の温度が上記上限を下回っていれば、より一層、硬化のムラが抑制され、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
また、鎖伸長工程において、鎖伸長剤の温度は、好ましくは、後述する反応温度(硬化温度)よりも低い。鎖伸長剤の温度と反応温度(硬化温度)との差は、例えば、20℃以上、好ましくは、30℃以上、より好ましくは、40℃以上である。また、プレポリマー組成物の温度と反応温度(硬化温度)との差は、例えば、120℃以下、好ましくは、110℃以下、より好ましくは、100℃以下である。
さらに、鎖伸長工程において、鎖伸長剤の温度(予熱後)は、好ましくは、上記したプレポリマー組成物の温度(予熱後)よりも低い。鎖伸長剤の温度と、プレポリマー組成物の温度との差は、例えば、5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上である。また、鎖伸長剤の温度と、プレポリマー組成物の温度との差は、例えば、80℃以下、好ましくは、60℃以下、より好ましくは、40℃以下である。
そして、鎖伸長工程では、例えば、プレポリマー組成物および鎖伸長剤が、上記の割合で混合され、加熱される。これにより、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との反応生成物を含むポリウレタン樹脂が得られる。
鎖伸長工程における反応温度(硬化温度)は、100℃以上、好ましくは、105℃以上、より好ましくは、110℃以上である。
鎖伸長工程における反応温度が上記下限を上回っていれば、硬化のムラが抑制され、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
また、鎖伸長工程における反応温度(硬化温度)は、140℃以下、好ましくは、138℃以下、より好ましくは、135℃以下である。
鎖伸長工程における反応温度が上記上限を下回っていれば、適度な硬化時間を確保でき、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
鎖伸長工程における反応時間(硬化時間)は、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、鎖伸長工程における反応時間(硬化時間)は、例えば、24時間以下、好ましくは、20時間以下、より好ましくは、18時間以下である。
鎖伸長工程における反応時間が上記範囲であれば、より一層、硬化のムラが抑制され、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
とりわけ、引張特性の観点から、反応温度が比較的低温、かつ、反応時間が比較的長時間である。より具体的には、引張特性の観点から、反応温度は、さらに好ましくは、130℃以下、とりわけ好ましくは、120℃以下である。また、反応時間が、さらに好ましくは、5時間以上、とりわけ好ましくは、10時間以上である。
また、耐摩耗性の観点から、反応温度が比較的高温、かつ、反応時間が比較的短時間である。より具体的には、耐摩耗性の観点から、反応温度は、さらに好ましくは、120℃以上、とりわけ好ましくは、125℃以上である。また、反応時間が、さらに好ましくは、10時間以下、とりわけ好ましくは、6時間以下である。
また、鎖伸長工程では、ウレタン化触媒が添加されていてもよい。ウレタン化触媒については、後述する。
また、ポリウレタン樹脂が、ポリウレタンエラストマーである場合、鎖伸長工程では、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との混合物は、好ましくは、必要に応じて脱泡され、予備加熱した成形型内で加熱硬化し、脱型される。これにより、ポリウレタン樹脂として、所望形状に成形された注型ポリウレタンエラストマーが得られる。
また、この方法では、必要に応じて、ポリウレタン樹脂を、熱処理することができる。熱処理温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、80℃以上である。また、熱処理温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、熱処理時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上である。また、熱処理時間が、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
また、ポリウレタン樹脂を、養生することができる。養生温度は、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。また、養生温度は、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。また、養生時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、10時間以上である。また、養生時間が、例えば、50日間以下、好ましくは、30日間以下である。
ポリウレタン樹脂は、必要に応じて、公知の添加剤を含むことができる。すなわち、ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂組成物であってもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、防錆剤およびブルーイング剤が挙げられる。添加剤の添加量は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
なお、添加剤を添加するタイミングは、特に制限されない。例えば、プレポリマー調製工程において、ポリイソシアネート成分および/またはポリオール成分に、添加剤を添加できる。また、プレポリマー調製工程において、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合時に、添加剤を添加できる。また、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合物(反応混合液)に、添加剤を添加できる。
また、鎖伸長工程において、プレポリマー組成物および/または鎖伸長剤に、添加剤を添加できる。また、鎖伸長工程において、プレポリマー組成物および鎖伸長剤の混合時に、添加剤を添加できる。
上記の方法により得られるポリウレタン樹脂は、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との反応生成物を含み、好ましくは、プレポリマー組成物と鎖伸長剤との反応生成物からなる。すなわち、ポリウレタン樹脂は、好ましくは、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とが反応および硬化したウレタン硬化物である。
(3)ウレタン化触媒
上記のポリウレタン樹脂の製造方法では、プレポリマー調製工程および鎖伸長工程のいずれか一方または両方において、ウレタン化触媒が添加される。
ウレタン化触媒は、必須成分として、有機錫触媒を含んでいる。換言すると、プレポリマー調製工程および/または鎖伸長工程において、有機錫触媒が添加される。
有機錫触媒としては、例えば、酢酸スズ、オクチル酸スズ、オレイン酸スズ、ラウリル酸スズ、モノブチルスズトリオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメルカプチド、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジネオデカノエート、ジオクチルスズジメルカプチド、ジオクチルスズジラウリレート、および、ジブチルスズジクロリドが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。有機錫触媒として、好ましくは、ジブチルスズジラウレートが挙げられる。
有機錫触媒の添加量は、プレポリマー組成物(イソシアネート基末端プレポリマー、および、必要により未反応ポリイソシアネート成分を含む)に対する質量割合として、調整される。
より具体的には、有機錫触媒の添加量(複数回添加される場合、それらの総量)は、プレポリマー組成物の総量に対して、50ppm以上、好ましくは、70ppm以上、より好ましくは、90ppm以上、さらに好ましくは、100ppm以上、とりわけ好ましくは、120ppm以上である。
有機錫触媒の添加量が上記下限を上回っていれば、硬化のムラが抑制され、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
有機錫触媒の添加量(複数回添加される場合、それらの総量)は、プレポリマー組成物の総量に対して、例えば、5000ppm以下、好ましくは、1000ppm以下、より好ましくは、500ppm以下、さらに好ましくは、400ppm以下、とりわけ好ましくは、300ppm以下である。
なお、上記有機錫触媒の添加量において、ppmとは、プレポリマー組成物(イソシアネート基末端プレポリマー、および、必要により未反応ポリイソシアネート成分を含む)100万質量部に対する、有機錫触媒の質量部数を示す。
また、ウレタン化触媒は、有機錫触媒以外の触媒を含んでいてもよい。有機錫触媒以外の触媒としては、例えば、錫以外の金属を含む有機金属触媒、アミン触媒、および、カリウム塩が挙げられ、好ましくは、錫以外の金属を含む有機金属触媒が挙げられる。そのような有機金属触媒としては、例えば、有機鉛触媒、有機ニッケル触媒、有機銅触媒および有機ビスマス触媒が挙げられる。
ウレタン化触媒において、有機錫触媒以外の触媒の含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
好ましくは、ウレタン化触媒は、有機錫触媒以外の触媒を含まない。すなわち、ウレタン化触媒は、好ましくは、有機錫触媒からなる。
ウレタン化触媒を添加するタイミングは、特に制限されない。例えば、プレポリマー調製工程において、ポリイソシアネート成分および/またはポリオール成分に、ウレタン化触媒を添加できる。また、プレポリマー調製工程において、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合時に、ウレタン化触媒を添加できる。また、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合物(反応混合液)に、ウレタン化触媒を添加できる。
また、鎖伸長工程において、プレポリマー組成物および/または鎖伸長剤に、ウレタン化触媒を添加できる。また、鎖伸長工程において、プレポリマー組成物および鎖伸長剤の混合時に、ウレタン化触媒を添加できる。
また、これらを複数組み合わせて、複数のタイミングでウレタン化触媒を添加してもよい。また、ウレタン化触媒の添加方法は、特に制限されず、例えば、一括添加であってもよく、分割添加であってもよい。
また、ウレタン化触媒は、プレポリマー調製工程および鎖伸長工程のいずれか一方に添加されていればよい、好ましくは、プレポリマー調製工程ではウレタン化触媒が添加されず、鎖伸長工程において、ウレタン化触媒が添加される。
(4)ポリウレタン樹脂
上記のポリウレタン樹脂の製造方法で得られるポリウレタン樹脂は、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備える。
すなわち、上記のポリウレタン樹脂の製造方法では、鎖伸長工程において、イソシアネート基末端プレポリマーの温度が比較的低いため、ポリウレタン樹脂の表面の硬化速度を抑制でき、さらに、有機錫触媒の割合が比較的多いため、ポリウレタン樹脂の内部の硬化速度を向上できる。加えて、鎖伸長工程における当量比(NCO/活性水素基)および反応温度が、所定範囲に調整されている。
そのため、上記のポリウレタン樹脂の製造方法では、硬化のムラが抑制され、その結果、優れた機械物性と優れた外観とを兼ね備えるポリウレタン樹脂が得られる。
その結果、上記のポリウレタン樹脂は、機械物性および外観の両立を要求される各種産業分野において、好適に使用される。そのような産業分野としては、例えば、ポリウレタンエラストマー、塗料、コーティング剤および接着剤が挙げられる。好ましくは、ポリウレタンエラストマーが挙げられる。
ポリウレタンエラストマーとしては、例えば、TPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)およびTSU(熱硬化性ポリウレタンエラストマー)が挙げられる。ポリウレタンエラストマーとして、好ましくは、TSU(熱硬化性ポリウレタンエラストマー)が挙げられる。TSU(熱硬化性ポリウレタンエラストマー)は、注型成形品である。
ポリウレタンエラストマーは、上記のポリウレタン樹脂を含むため、優れた機械物性および外観を備える。そのため、ポリウレタンエラストマーは、種々の用途において、好適に使用される。ポリウレタンエラストマーの用途としては、例えば、透明性硬質プラスチック、防水材、ポッティング剤、インク、バインダー、フィルム、シート、バンド、ベルト、シュープレスベルト、チューブ、ローラ、ブレード、スピーカー、センサー、アウトソール、糸、繊維、不織布、化粧品、靴用品、断熱材、シール材、テープ材、封止材、太陽光発電部材、ロボット部材、アンドロイド部材、ウェアラブル部材、衣料用品、衛生用品、化粧用品、家具用品、食品包装部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、防振部材、防音部材、日用品、雑貨、クッション、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車内装材、自動車外装材、鉄道部材、航空機部材、光学部材、OA機器用部材、雑貨表面保護部材、半導体封止材、自己修復材料、健康器具、メガネレンズ、玩具、パッキン、ケーブルシース、ワイヤーハーネス、電気通信ケーブル、自動車配線、コンピューター配線、工業用品、衝撃吸収材、半導体用品および橋梁支承が挙げられる。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.原料
<ポリイソシアネート成分>
製造例1 1、4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
国際公開WO2019/069802号公報の製造例3の記載に準拠して、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-HXDI)を得た。1,4-HXDIの純度を、ガスクロマトグラフにより測定した結果、99.9%であった。また、APHA測定による色相は、5であった。また、13C-NMR測定により測定したトランス体およびシス体比は、トランス体86モル%であり、シス体14モル%であった。
TDI:2,4-および2,6-トルエンジイソシアネートの異性体混合物(2,4/2,6異性体混合比80:20、三井化学社製、商品名:コスモネートT-80)
<ポリオール成分>
・PTMEG-1000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量(Mn)1000
・PTMEG-2000:ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量(Mn)2000
・PCL-1000:ポリカプロクトンジオール、数平均分子量(Mn)1000
・PCL-2000:ポリカプロクトンジオール、数平均分子量(Mn)2000
<鎖伸長剤>
・1,4-BD:1,4-ブタンジオール
・MOCA:3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン
<ウレタン化触媒>
・DBTDL:ジブチルスズジラウレート
2.プレポリマー組成物およびポリウレタン樹脂
実施例1~4および比較例1~16
(1)プレポリマー調製工程
表1~表2に記載の当量比R1(実施例1~4および比較例1~7および9~15の当量比(NCO/OH)は3.5、比較例8の当量比(NCO/OH)は2.1、比較例16の当量比(NCO/OH)は2.3)で、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、窒素雰囲気下、イソシアネート基濃度が表1~表2に記載の値に至るまで、80℃で5時間反応させた。その後、反応混合液に、以下の添加剤を添加した。なお、反応混合液の総量に対する添加剤の配合量を、以下に示す。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名イルガノックス1076、BASF製)0.5質量%
亜リン酸エステル系酸化防止剤(商品名JPP-100、城北化学工業製)0.3質量%
これにより、プレポリマー組成物として、イソシアネート基末端プレポリマーを含む反応混合液を得た。なお、表1~表2中、当量比R1は、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比R1(NCO/OH)を示す。
(2)鎖伸長工程
表1~表2に記載の温度に、プレポリマー組成物および鎖伸長剤を、それぞれ予熱した。
次いで、プレポリマー組成物に対する割合が表1~表2の通りとなるように、プレポリマー組成物にジブチルスズジラウレート(DBTDL)を添加した。さらに、プレポリマー組成物に以下の添加剤を添加した。そして、プレポリマー組成物を、60秒混合した。
アデカスタブLA-72(ADEKA社製、耐光安定剤)0.3質量部/ポリウレタン樹脂100質量部
その後、表1~表2に記載の当量比R2で、プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを配合し、60秒混合し、室温にて60秒減圧脱泡した。その後、混合物を金型に流し込み、表1~表2に記載の硬化条件で硬化させ、その後、23℃で3週間養生した。これにより、ポリウレタン樹脂を得た。より具体的には、上記の注型成形により、注型ポリウレタンエラストマーを得た。表1~表2中、当量比R2は、鎖伸長剤中の活性水素基に対する、プレポリマー組成物中のイソシアネート基の当量比R2(NCO/活性水素基)を示す。
なお、比較例7および比較例14では、ポットライフが短く、注型途中に硬化したため、ポリウレタン樹脂が得られなかった。
3.評価
<ポリウレタン樹脂>
(1)A硬度
ポリウレタン樹脂のショアA硬度を、JIS K 7312(1996)に準拠して測定した。
(2)引張特性
ポリウレタン樹脂の引張特性を、万能引張試験機(インテスコ社製 205N)により、JIS K 7312(1996年)に準拠して測定した。すなわち、ポリウレタン樹脂を切断し、3号ダンベル試験片を得た。そして、引張速度500mm/分の条件で、100%~300%モジュラス(MPa)、引張強度(MPa)および破断伸び(%)を測定した。
(3)反発弾性
ポリウレタン樹脂の反発弾性を、JIS K 7311(1995)に準拠して測定した。
(4)圧縮永久歪
ポリウレタン樹脂の圧縮永久歪を、JIS K 7312(1996年)に準拠して測定した。
(5)耐摩耗性(テーバー摩耗量)
ポリウレタン樹脂の耐摩耗性を、以下の方法で評価した。すなわち、ポリウレタン樹脂の表面を、テーバー摩耗試験機(東洋精機製作所製)、摩耗輪H-22を用いて、荷重1kg、回転速度60rpmおよび1000回転の条件で摩耗し、試験前後の質量差を測定した。なお、質量が少ないものほど、耐摩耗性が良好であるとして評価した。
(6)低発熱性(損失係数:tanδ)
低発熱性の指標として、ポリウレタン樹脂の損失係数(tanδ)を算出した。より具体的には、ポリウレタン樹脂の動的粘弾性スペクトルを、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製、型式:DVA-220)を用いて、測定開始温度-100℃、昇温速度5℃/min、引張モード、標線間長20mm、静/動応力比1.8、測定周波数10Hzの条件で、測定した。そして、60℃での損失係数(tanδ)を算出した。
(7)低温軟化性(ガラス転移温度:Tg)
低温軟化性の指標として、上記の動的粘弾性スペクトルにおいて、損失弾性率が極大値となる温度を、ガラス転移温度(Tg)として算出した。
(8)外観
ポリウレタン樹脂の外観を、目視観察した。評価基準を下記する。
○:割れ、亀裂および剥離が観察されなかった。
×:割れ、亀裂または剥離が観察された。
Figure 2023046115000001
Figure 2023046115000002

Claims (3)

  1. ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含むポリイソシアネート成分と、マクロポリオールを含むポリオール成分とを、ポリオール成分中の水酸基に対するポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が1.0を超過する割合で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー組成物を得るプレポリマー調製工程と、
    前記プレポリマー組成物と鎖伸長剤とを反応させ、ポリウレタン樹脂を合成する鎖伸長工程とを備え、
    前記プレポリマー調製工程および/または前記鎖伸長工程において、有機錫触媒が添加され、
    前記有機錫触媒の割合が、前記プレポリマー組成物の総量に対して、50ppm以上であり、
    前記鎖伸長工程において、
    前記プレポリマー組成物の温度が80℃未満であり、
    前記鎖伸長剤中の活性水素基に対する、前記プレポリマー組成物中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、1.01以上1.42以下であり、
    前記プレポリマー組成物と前記鎖伸長剤との反応温度が、100℃以上140℃以下である、ポリウレタン樹脂の製造方法。
  2. 前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む、請求項1に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
  3. 前記ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが、トランス-1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
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