図1は、本発明の一実施例の遊技機1の外観を示す斜視図である。遊技機1は、いわゆる「パチスロ機」である。この遊技機1は、コイン、メダル、遊技球又はトークンなどの他、遊技者に付与された、もしくは付与される遊技価値の情報を記憶したカード等の遊技媒体を用いて遊技する遊技機であるが、以下ではメダルを用いるものとして説明する。
遊技機1の全体を形成しているキャビネット2の正面には、略垂直面としてのパネル表示部2aが形成され、その中央には縦長矩形の表示窓4L,4C,4Rが設けられる。表示窓4L,4C,4Rには、入賞ラインとして水平方向にトップライン8b,センターライン8c及びボトムライン8d、斜め方向にクロスアップライン8a及びクロスダウンライン8eが設けられている。これらの入賞ラインは、後述の1−BETスイッチ11、2−BETスイッチ12、最大BETスイッチ13を操作すること、或いはメダル投入口22にメダルを投入することにより、それぞれ1本、3本、5本が有効化される。どの入賞ラインが有効化されたかは、後で説明するBETランプ9a,9b,9cの点灯で表示される。
ここで、入賞ライン8a〜8eは、役の入賞の成否に関わる。具体的には、所定の役(例えば、後述の「中チェリーの小役」)に対応する一の図柄(例えば、後述の“チェリー(図柄97)”)がセンターライン8cに対応する所定の位置(例えば、後述のBET数が“3”であれば左の表示窓4L内の中段の位置)に停止表示されること、又は所定の役に対応する図柄組合せを構成する図柄がいずれかの有効化された入賞ラインに対応する所定の位置に並んで停止表示されることにより、所定の役が入賞することとなる。
キャビネット2の内部には、各々の外周面に複数種類の図柄によって構成される図柄列が描かれた3個のリール3L,3C,3Rが回転自在に横一列に設けられ、変動表示手段を形成している。各リールの図柄は表示窓4L,4C,4Rを通して観察できるようになっている。各リールは、定速回転(例えば80回転/分)で回転する。
表示窓4L,4C,4Rの左側には、1−BETランプ9a、2−BETランプ9b、最大BETランプ9c、情報表示部18が設けられる。1−BETランプ9a、2−BETランプ9b及び最大BETランプ9cは、一のゲームを行うために賭けられたメダルの数(以下「BET数」という)に応じて点灯する。ここで、この実施形態においては、一のゲームは、全てのリールが停止したときに終了する。1−BETランプ9aは、BET数が“1”で1本の入賞ラインが有効化されたときに点灯する。2−BETランプ9bは、BET数が“2”で3本の入賞ラインが有効化されたときに点灯する。最大BETランプ9cは、BET数が“3”で全て(5本)の入賞ラインが有効化されたときに点灯する。情報表示部18は、7セグメントLEDから成り、貯留(クレジット)されているメダルの枚数、入賞時のメダルの払出枚数などを表示する。
表示窓4L,4C,4Rの下方には水平面の台座部10が形成され、その台座部10と表示窓4L,4C,4Rとの間には液晶表示装置5が設けられている。この液晶表示装置5の表示画面5aには、遊技に関連する情報などが表示される。液晶表示装置5の右側にはメダル投入口22が設けられ、液晶表示装置5の左側には、1−BETスイッチ11、2−BETスイッチ12、及び最大BETスイッチ13が設けられる。1−BETスイッチ11は、1回の押し操作により、クレジットされているメダルのうちの1枚がゲームに賭けられ、2−BETスイッチ12は、1回の押し操作により、クレジットされているメダルのうちの2枚がゲームに賭けられ、最大BETスイッチ13は、1回のゲームに賭けることが可能な最大枚数のメダルが賭けられる。これらのBETスイッチを操作することで、前述のとおり、所定の入賞ラインが有効化される。
台座部10の前面部の左寄りには、遊技者がゲームで獲得したメダルのクレジット/払出しを押しボタン操作で切り換えるC/Pスイッチ14が設けられている。このC/Pスイッチ14の切り換えにより、正面下部のメダル払出口15からメダルが払出され、払出されたメダルはメダル受け部16に溜められる。C/Pスイッチ14の右側には、遊技者の操作により上記リールを回転させ、表示窓4L,4C,4R内での図柄の変動表示を開始するためのスタートレバー6が所定の角度範囲で回動自在に取り付けられている。
台座部10の前面部中央で、液晶表示装置5の下方位置には、3個のリール3L,3C,3Rの回転をそれぞれ停止させるための3個の停止ボタン7L,7C,7Rが設けられている。メダル受け部16の上方の左右には、スピーカ21L,21Rが設けられている。なお、実施例では、一のゲームは、基本的にスタートレバー6が操作されることにより開始し、全てのリール3L,3C,3Rが停止したときに終了する。
図2は、各リール3L,3C,3Rに表わされた複数種類の図柄が21個配列された図柄列を示している。各図柄には“00”〜“20”のコードナンバーが付され、データテーブルとして後で説明するROM32(図5)に格納(記憶)されている。各リール3L,3C,3R上には、“白7(図柄91)”、“赤7(図柄92)”、“BAR(図柄93)”、“ベル(図柄94)”、“スイカ(図柄95)”、“Replay(図柄96)”及び“チェリー(図柄97)”の図柄で構成される図柄列が表わされている。各リール3L,3C,3Rは、図柄列が図2の矢印方向に移動するように回転駆動される。
図3は、各遊技状態における入賞図柄組合せに対応する役及び払出枚数を示す。
実施例の遊技状態には、「一般遊技状態」、「持越状態」、「BB中一般遊技状態」、「RB遊技状態」及び「SB遊技状態」がある。BB、RB及びSBを、以下「ボーナス」という。
「一般遊技状態」は、遊技全体に占める割合が最も大きな遊技状態である。この遊技状態では、基本的に、いわゆる「出玉率」の期待値が“1”よりも小さくなるように設計されている。
「持越状態」は、ボーナスが持ち越された遊技状態(ボーナスの入賞が許容された遊技状態)である。ボーナスに内部当選した後、ボーナスが入賞するまでの間、ボーナスを内部当選役として保持することにより、ボーナスを持ち越すことができる。持ち越されたボーナスを、以下「持越役」という。「持越役」がBBである遊技状態を、以下「BB持越状態」という。「持越役」がRBである遊技状態を、以下「RB持越状態」という。
「BB中一般遊技状態」は、BBが入賞することにより発生し、小役、SB及びRB(JACイン)の入賞が可能な遊技状態である。BB中一般遊技状態では、後で図4(2)を参照して説明する確率抽選テーブルを用いて内部当選役が決定される。ここで、BBの入賞により発生し、「BB中一般遊技状態」及び「RB遊技状態」により構成される遊技者に有利な遊技状態を、以下「BB遊技状態」という。
「RB遊技状態」は、RBが入賞すること、又は「BB中一般遊技状態」においてRBが入賞すること(いわゆる「JACイン」)により発生する。「RB遊技状態」では、後述の「役物」(JACの小役)に内部当選する確率が高い。「役物」の入賞は、“Replay−Replay−Replay”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。RB遊技状態は、後述するとおり、SBが内部当選した場合、「役物」の入賞回数が8回になった場合、RB遊技状態におけるゲーム回数が12回になった場合などに終了する。
「SB遊技状態」は、「シングルボーナス(以下「SB」という)」が入賞したゲームの次のゲームにおいて発生する遊技状態である。SBが入賞したゲームの次のゲームでは、遊技状態が「SB遊技状態」となる。「SB遊技状態」では、「役物」に内部当選する確率が高い。「役物」の入賞は、“Replay−Replay−Replay”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。
BB遊技状態は、BB中一般遊技状態において特定回数(実施例では、“30回”)のゲームを行うこと、又はRB(JACイン)が所定回数(実施例では、“3回”)入賞することにより終了するものとする。
図3に示すように、BBの入賞は、一般遊技状態又は持越状態において“白7−白7−白7”又は“赤7−赤7−赤7”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。BBが入賞した後、遊技状態がBB中一般遊技状態となる。
RBの入賞は、一般遊技状態又は持越状態において“BAR−BAR−BAR”が有効ラインに沿って並ぶこと、又はBB中一般遊技状態において“Replay−Replay−Replay”が並ぶことにより実現する。RBが入賞した後、遊技状態がRB遊技状態となる。
SBの入賞は、一般遊技状態、BB中一般遊技状態又はRB遊技状態において“赤7−ベル−ベル”、“白7−ベル−ベル”及び“BAR−ベル−ベル”が有効ラインに沿って並ぶことにより実現する。実施例では、RB遊技状態においてもSBの入賞が成立することがある。
再遊技の入賞は、一般遊技状態、持越状態において“Replay−Replay−Replay”が並ぶことにより実現する。再遊技が入賞すると、投入したメダルの枚数と同数のメダルが自動投入されるので、遊技者はメダルを消費することなく次のゲームを行うことができる。
一般遊技状態、持越状態及びBB中一般遊技状態では、「中チェリーの小役」、「角チェリーの小役」、「ベルの小役」、及び「スイカの小役」の入賞を実現することが可能であるが、その払出枚数は図示のとおりである。「中チェリーの小役」の入賞は、“チェリー”が左の表示窓4Lの中段に停止表示することにより実現する。また、「角チェリーの小役」の入賞は、“チェリー”がその上段又は下段に停止表示することにより実現する。
役物の入賞は、RB遊技状態及びSB遊技状態において“Replay−Replay−Replay”が並ぶことにより実現する。役物の入賞回数が“8回”となったとき、RB遊技状態が終了する。ここで、役物の入賞が実現する可能性のあるRB遊技状態のゲームは、一般に「JACゲーム」と称される。また、役物の入賞回数が“1回”となったとき、SB遊技状態が終了する。
図4(1)は、一般遊技状態用確率抽選テーブルを示す。図4(1)に示す確率抽選テーブルでは、確率抽選処理における乱数の抽出範囲“0”〜“16383”のうち、“68”〜“79”の範囲内の乱数が抽出された場合に「第1RB」が内部当選役となる。「第1RB」に内部当選する確率は、“12/16384”である。また、“80”〜“92”の範囲内の乱数が抽出された場合に「第2RB」が内部当選役となる。「第2RB」に内部当選する確率は、“13/16384”である。実施例では、内部当選役が「第1RB」である場合と「第2RB」である場合とで、後述する図5において使用するテーブルが異なる。また、他の役に内部当選する確率は図示の通りである。
図4(2)は、BB中一般遊技状態において内部当選役を決定する際に使用する確率抽選テーブルを示す。この確率抽選テーブルでは、確率抽選処理における乱数の抽出範囲“0”〜“16383”のうち、“0”〜“2047”の範囲内の乱数が抽出された場合に「第1RB」が内部当選役となる。「第1RB」に内部当選する確率は、“2048/16384”である。また、“2048”〜“4095”の範囲内の乱数が抽出された場合に「第2RB」が内部当選役となる。「第2RB」に内部当選する確率は、“2048/16384”である。実施例では、内部当選役が「第1RB」である場合と「第2RB」である場合とで、後述する図5において使用するテーブルが異なる。また、他の役に内部当選する確率は図示の通りである。
図5(1)は、第1RB遊技状態において使用される確率抽選テーブルである。実施例では、RB遊技状態は、「第1RB」の入賞に基づく第1RB遊技状態と、「第2RB」の入賞に基づく第2RB遊技状態の2種類が設けられている。図5(1)に示す第1RB遊技状態用確率抽選テーブルでは、「役物」に内部当選する確率は、確率抽選処理における乱数の抽出範囲“0”〜“16383”のうち、“0”〜“16382”の範囲内の乱数が抽出された場合に「役物」が内部当選役となる。「役物」に内部当選する確率は、“16383/16384”である。また、“16383”の乱数値が抽出された場合に「SB」が内部当選役となる。「SB」に内部当選する確率は、“1/16384”である。また、はずれに内部当選する確率は、“1/16384”である。
図5(2)は、第2RB遊技状態において使用される確率抽選テーブルである。図5(2)に示す第2RB遊技状態用確率抽選テーブルでは、「役物」に内部当選する確率は、確率抽選処理における乱数の抽出範囲“0”〜“16383”のうち、“0”〜“12287”の範囲内の乱数が抽出された場合に「役物」が内部当選役となる。「役物」に内部当選する確率は、“12288/16384”である。また、“12288”〜“16382”の範囲内の乱数が抽出された場合に「SB」が内部当選役となる。「SB」に内部当選する確率は、“4096/16384”である。また、はずれに内部当選する確率は、“1/16384”である。
このように、第1RB遊技状態と第2RB遊技状態とでは、役物又はSBに内部当選する確率が異なるように構成されている。
図6は、遊技機1における遊技処理動作を制御する主制御回路71と、主制御回路71に電気的に接続する周辺装置(アクチュエータ)と、主制御回路71から送信される制御指令に基づいて液晶表示装置5、スピーカ類21L,21R、LED類101及びランプ類102を制御する副制御回路72とを含む回路構成を示す。
主制御回路71は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ30を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32及びRAM33を含む。
CPU31には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34及び分周器35と、サンプリングされる乱数を発生する乱数発生器36及びサンプリング回路37とが接続されている。尚、乱数サンプリングのための手段として、マイクロコンピュータ30内で、即ちCPU31の動作プログラム上で、乱数サンプリングを実行するように構成してもよい。その場合、乱数発生器36及びサンプリング回路37は省略可能であり、或いは、乱数サンプリング動作のバックアップ用として残しておくことも可能である。
マイクロコンピュータ30のROM32には、スタートレバー6を操作(スタート操作)する毎に行われる乱数サンプリングの判定に用いられる確率抽選テーブル(図4)、停止ボタンの操作に応じてリールの停止態様を決定するための停止テーブル群、副制御回路72へ送信するための各種制御指令(コマンド)等が格納されている。副制御回路72が主制御回路71へコマンド、情報等を入力することはなく、主制御回路71から副制御回路72への一方向で通信が行われる。RAM33には、種々の情報が格納される。例えば、ボーナスの種別を示すボーナスフラグなどの各種のフラグなど各種のカウンタなどの情報が格納される。
図6の回路において、マイクロコンピュータ30からの制御信号により動作が制御される主要なアクチュエータとしては、BETランプ(1−BETランプ9a、2−BETランプ9b、最大BETランプ9c)と、情報表示部18と、メダルを収納し、ホッパー駆動回路41の命令により所定枚数のメダルを払い出すホッパー(払出しのための駆動部を含む)40と、リール3L,3C,3Rを回転駆動するステッピングモータ49L,49C,49Rとがある。
更に、ステッピングモータ49L,49C,49Rを駆動制御するモータ駆動回路39、ホッパー40を駆動制御するホッパー駆動回路41、各種ランプを駆動制御するランプ駆動回路45、及び各種表示部を駆動制御する表示部駆動回路48がCPU31の出力部に接続されている。これらの駆動回路は、それぞれCPU31から出力される駆動指令などの制御信号を受けて、各アクチュエータの動作を制御する。
また、マイクロコンピュータ30が制御指令を発生するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートスイッチ6S、1−BETスイッチ11、2−BETスイッチ12、最大BETスイッチ13、C/Pスイッチ14、メダルセンサ22S、リール停止信号回路46、リール位置検出回路50、払出完了信号回路51がある。
スタートスイッチ6Sは、スタートレバー6の操作を検出する。メダルセンサ22Sは、メダル投入口22に投入されたメダルを検出する。リール停止信号回路46は、各停止ボタン7L,7C,7Rの操作に応じて停止信号を発生する。リール位置検出回路50は、リール回転センサからのパルス信号を受けて各リール3L,3C,3Rの位置を検出するための信号をCPU31へ供給する。払出完了信号回路51は、メダル検出部40Sの計数値(ホッパー40から払出されたメダルの枚数)が指定された枚数データに達した時、メダル払出完了を検知するための信号を発生する。
図6の回路において、乱数発生器36は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路37は、スタートレバー6が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数及びROM32内に格納されている確率抽選テーブルに基づいて、当選役が決定される。
リール3L,3C,3Rの回転が開始された後、ステッピングモータ49L,49C,49Rの各々に供給される駆動パルスの数が計数され、その計数値はRAM33の所定エリアに書き込まれる。リール3L,3C,3Rからは一回転毎にリセットパルスが得られ、これらのパルスはリール位置検出回路50を介してCPU31に入力される。こうして得られたリセットパルスにより、RAM33で計数されている駆動パルスの計数値が“0”にクリアされる。これにより、RAM33内には、各リール3L,3C,3Rについて一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納される。
上記のようなリール3L,3C,3Rの回転位置とリール外周面上に描かれた図柄とを対応づけるために、図柄テーブル(図示せず)が、ROM32内に格納されている。この図柄テーブルでは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として、各リール3L,3C,3Rの一定の回転ピッチ毎に順次付与されるコードナンバーと、それぞれのコードナンバー毎に対応して設けられた図柄を示す図柄コードとが対応づけられている。
また、ROM32内には、停止テーブル(図示せず)が格納されている。停止テーブルには、各リール3L,3C,3Rの停止操作位置と停止制御位置とが示されている。停止操作位置は、各リール3L,3C,3Rに対応して設けられた停止ボタン7L,7C,7Rが操作された場合に、特定の入賞ライン(例えば、センターライン8c)に位置していた図柄(具体的には、図柄の中心が特定の入賞ラインの上方に位置し、その中心が特定の入賞ラインの位置に最も近い図柄)のコードナンバーを表わす。停止制御位置とは、停止操作が行われたリールが停止したとき、特定の入賞ラインの位置に停止表示される図柄のコードナンバーを表わす。ここで、実施例では、いわゆる滑りコマ数を最大“4コマ”としている。例えば、右のリール3R(図2参照)の回転中において、コードナンバー“08”の“チェリー”が特定の入賞ラインの位置に到達したとき、停止ボタン7Rが操作された場合、コードナンバー“05”の“Replay”を特定の入賞ラインの位置に停止表示するように右のリール3Rを停止制御することができる(いわゆる引き込み制御)。つまり、図2に示す図柄配列において、前述の最大の滑りコマ数である“4コマ”の範囲にある図柄は引き込み制御の対象となる。実施例では、“ベル(図柄94)”、“Replay(図柄96)”は、各リール3L,3C,3Rにおいて何れも“4コマ”以内おきに位置するように配置されているため、「ベルの小役」、「リプレイ」に内部当選した場合、如何なるタイミング(停止操作位置)で停止ボタン7L,7C,7Rを操作しても、必ず入賞を成立させることができるようになっている。
更に、ROM32内には、入賞図柄組合せテーブル(図示せず)が格納されている。この入賞図柄組合せテーブルでは、入賞となる図柄の組合せと、入賞のメダル配当枚数と、その入賞を表わす入賞判定コードとが対応づけられている。上記の入賞図柄組合せテーブルは、左のリール3L,中央のリール3C,右のリール3Rの停止制御時、及び全リール停止後の入賞確認を行う場合に参照される。
上記乱数サンプリングに基づく抽選処理(確率抽選処理)により当選した場合には、CPU31は、遊技者が停止ボタン7L,7C,7Rを操作したタイミングでリール停止信号回路46から送られる操作信号、及び選択された「停止テーブル」に基づいて、リール3L,3C,3Rを停止制御する信号をモータ駆動回路39に送る。
当選した役の入賞を示す停止態様となれば、CPU31は、払出指令信号をホッパー駆動回路41に供給してホッパー40から所定個数のメダルの払出を行う。その際、メダル検出部40Sは、ホッパー40から払出されるメダルの枚数を計数し、その計数値が指定された数に達した時に、メダル払出完了信号がCPU31に入力される。これにより、CPU31は、ホッパー駆動回路41を介してホッパー40の駆動を停止し、「メダル払出処理」を終了する。
図7〜図8に示すメインフローチャートを参照して、主制御回路71の制御動作について説明する。
初めに、CPU31は、遊技開始時の初期化を行う(ステップS1)。具体的には、RAM33の記憶内容の初期化、通信データの初期化等を行う。続いてゲーム終了時のRAM33の所定の記憶内容を消去する(ステップS2)。具体的には、前回のゲームに使用されたRAM33の書き込み可能エリアのデータの消去、RAM33の書き込みエリアへの次のゲームに必要なパラメータの書き込み、次のゲームのシーケンスプログラムの開始アドレスの指定等を行う。次に、前回のゲーム終了後、すなわち全リール3L,3C,3R停止後から“30秒”経過したか否かを判別する(ステップS3)。この判別が“YES”であれば、副制御回路72に対し、「デモ画像」の表示を要求する「デモ表示コマンド」を送信する(ステップS4)。ステップS3の判別が“NO”のときは、ステップS5に移る。
次に、CPU31は、メダルの自動投入の要求があるか、すなわち前回のゲームで再遊技の入賞が実現したか否かを判別する(ステップS5)。この判別が“YES”のときは、投入要求分のメダルを自動投入し(ステップS6)、ステップS8に移る。ステップS5の判別が“NO”のときは、メダルセンサ22S又はBETスイッチ11,12,13からの入力があるか否かを判別する(ステップS7)。この判別が“YES”のときは、ステップS8に移り、“NO”のときは、ステップS3に移る。
ステップS8では、BETスイッチ11,12,13の操作又はメダルを投入する操作が行われたことを示す「BETコマンド」を副制御回路72へ送信する。続いて、スタートレバー6の操作に基づくスタートスイッチ6Sからの入力があるか否かを判別する(ステップS9)。この判別が“YES”のときは前回のゲームが開始してから“4.1秒”経過しているか否かを判別し(ステップS10)、この判別が“YES”のときはステップS12に移り、“NO”のときはステップS11に移る。ステップS11では、「ゲーム開始待ち時間消化の処理」を行う。具体的には、前回のゲームが開始してから“4.1秒”経過するまでの間、遊技者のゲームを開始する操作に基づく入力を無効にする処理を行う。
次に、CPU31は、リール3L,3C,3Rの回転処理を行い(ステップS12)、同時に抽選用の乱数を抽出し(ステップS13)、1ゲーム監視用タイマをセットする(ステップS14)。ステップS13の処理で抽出した乱数は、後で説明する確率抽選処理において使用される。ステップS14の処理の1ゲーム監視用タイマには、遊技者の停止ボタンの停止操作によらずに自動的にリールを停止させるための自動停止タイマが含まれる。
図8のステップS15では、遊技状態監視処理を行い、ステップS16に移る。ステップS16では、確率抽選処理を行い、ステップS17に移る。この確率抽選処理(内部抽選処理)は、遊技状態に応じて確率抽選テーブルを使用し、上記ステップS13(図7)において抽出した乱数値がどの役の乱数範囲に属するかを判別し、内部当選役(成立フラグ)を決定するものである。具体的には、遊技状態が第1RB遊技状態である場合は、図5(1)に示す確率抽選テーブルを使用し、遊技状態が第2RB遊技状態である場合は、図5(2)に示すテーブルを使用する。ステップS17では、副制御回路72へ「スタートコマンド」を送信する。「スタートコマンド」は、内部当選役、遊技状態の情報などを含む。
次に、CPU31は、停止ボタンが“オン”であるか否かを判別する(ステップS18)。具体的には、いずれかの停止ボタン7L,7C,7Rが操作されたかどうかを判別する。この判別が“YES”のときは、ステップS20に移り、“NO”のときは、ステップS19に移る。ステップS19では、自動停止タイマの値が“0”であるか否かを判別し、この判別が“YES”のときは、ステップS20に移り、“NO”のときは、ステップS18に移る。
ステップS20では、CPU31は、停止テーブル選択処理を行い、ステップS21に移る。ステップS21では、滑りコマ数を決定するための滑りコマ数決定処理を行う。具体的には、遊技者の停止ボタン7L,7C,7Rの操作タイミングの情報及びセットされた停止テーブルに基づいて滑りコマ数を決定する。続いて、滑りコマ数分、停止操作された停止ボタン7L,7C,7Rに対応するリール3L,3C,3Rを回転させてから停止させる(ステップS22)。続いて、CPU31は、全てのリールが停止したかどうかを判別する(ステップS23)。この判別が“YES”のときは、ステップS24に移り、“NO”のときは、ステップS18に移る。ステップS24では、全てのリールが停止したことを示す「全リール停止コマンド」を送信し、図8のステップS25に移る。
図9のステップS25では、CPU31は、入賞検索を行う。入賞検索とは、表示窓4L,4C,4Rの図柄の停止態様に基づいて入賞役(入賞した役)を識別するための入賞フラグをセットすることである。具体的には、センターライン8cに沿って並ぶ図柄のコードナンバー及び入賞判定テーブルに基づいて入賞役を識別する。続いて、入賞フラグが正常であるか否かを判別する(ステップS26)。この判別が“NO”のときはイリーガルエラーの表示を行う(ステップS27)。この場合、遊技は中止となる。ステップS26の判別が“YES”のときは、遊技状態に応じてメダルのクレジット又は払出しを行うとともに、入賞役に応じて遊技状態をBB遊技状態或いはRB遊技状態へ移行する(ステップS28)。
次に、現在の遊技状態がBB中一般遊技状態、又はRB遊技状態(第1RB遊技状態及び第2RB遊技状態を含む。以下同じ。)であるか否かを判別する(ステップS29)。この判別が“NO”のときは、図10のステップS2に移り、“YES”のときは、ステップS30に移る。ステップS30では、ボーナスの「遊技数チェック処理」を行う。この「遊技数チェック処理」では、RB遊技状態が発生した回数、BB中一般遊技状態のゲーム回数、RB遊技状態における入賞回数、RB遊技状態におけるゲーム回数をチェックする。より、具体的には、BBが入賞した後では、3回目のRB遊技状態において入賞回数が8回又はゲーム回数が12回であるか、又はBB中一般遊技状態におけるゲーム回数が30回であるか否かを判別する。“BAR−BAR−BAR”が有効ラインに沿って並ぶことによりRBが入賞した後では、RB遊技状態において入賞回数が8回又はゲーム回数が12回であるか否かを判別する。
次に、RB遊技状態であるか否かを判別する(ステップS31)。この判別が“YES”のときは、ステップS32に移り、“NO”のときは、ステップS33に移る。
ステップS32では(RB遊技状態である場合)、RB終了条件チェック処理を行う。ここでは、内部当選役としてSBが決定されたか否かについて判別する。内部当選役としてSBが決定されていた場合、たとえ12ゲーム又は8回の入賞が行われていなくても、RB遊技状態を終了させる。第1RB遊技状態は、第2RB遊技状態と比較して、SBが内部当選する確率が低いため(図5(1)参照)、12ゲーム又は8回の入賞が行われる前にRB遊技状態が終了する可能性が極めて低い。一方、第2RB遊技状態は、第1RB遊技状態と比較して、SBが内部当選する確率が高いため(図5(2)参照)、12ゲーム又は8回の入賞が行われる前にRB遊技状態が終了してしまう可能性が高い。以上により、メダルの払出し量という観点から、第1RB遊技状態は第2RB遊技状態と比較して、遊技者に有利となる。
次に、BB遊技状態、又はRB遊技状態の終了時であるか否かを判別する(ステップS33)。この判別が“YES”のときは、BB遊技状態、又はRB遊技状態を終了してステップS34に移り、“NO”のときは、図8のステップS2に移る。ステップS34では、BB遊技状態、又はRB遊技状態の終了時における処理(例えば、RAMクリアなど)を行い、図8のステップS2に移る。
次に、図10に示すメインフローチャートを参照して、主制御回路71の確率抽選処理について説明する。
初めに、CPU31は、SB遊技状態であるか否かを判別する(ステップS51)。この判別が“YES”の場合は、ステップS52に移り、“NO”の場合は、ステップS53に移る。ステップS52では、SB遊技状態用確率抽選テーブル(図5(3))に基づいて抽選を行い、図8のステップS17に処理を移す。
ステップS53では、第1RB遊技状態であるか否かを判別する。この判別が“YES”の場合は、ステップS54に移り、“NO”の場合は、ステップS55に移る。ステップS54では、第1RB遊技状態用確率抽選テーブル(図5(1))に基づいて抽選を行い、図8のステップS17に処理を移す。
ステップS55では、第2RB遊技状態であるか否かを判別する。この判別が“YES”の場合は、ステップS56に移り、“NO”の場合は、ステップS57に移る。ステップS56では、第2RB遊技状態用確率抽選テーブル(図5(2))に基づいて抽選を行い、図8のステップS17に処理を移す。
ステップS57では、BB中一般遊技状態であるか否かを判別する。この判別が“YES”の場合は、ステップS58に移り、“NO”の場合は、ステップS59に移る。ステップS58では、BB中一般遊技状態用確率抽選テーブル(図4(2))に基づいて抽選を行い、図8のステップS17に処理を移す。ステップS59では、一般遊技状態用確率抽選テーブル(図4(1))に基づいて抽選を行い、図8のステップS17に処理を移す。
以上のように、実施例では、RB遊技状態という有利状態においても、SBという特別な役の抽選を行うこととなるので、毎ゲームに行われる内部抽選をより魅力あるものとすることができる。また、RB遊技状態において、SBが内部当選すると、たとえ12ゲームの実行又は8回の入賞が行われていなくても、RB遊技状態を終了させる構成にしたため、前述の内部抽選をよりスリリングなものとすることができる。
尚、実施例の第1RB遊技状態及び第2RB遊技状態は、SBが内部当選すると、たとえ、12ゲームの実行又は8回の入賞が行われてなくても、終了するものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、SBの入賞時に終了するものとしても良い。
実施例では、第1RBが内部当選する確率と第2RBが内部当選する確率とを略同じものとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、その比率は適宜設計変更可能である。また、いわゆる設定ごとに異なるものとしても良い。
また、第1RBと第2RBとを異なる内部当選役としたが、特定の内部当選役が決定された後(または、入賞した後)、第1RBと第2RBとの振り分けを行うようにしても良い。このような構成にすると、例えば、BB遊技状態が終了した後から100ゲーム以内に、RBが内部当選した場合、遊技者に有利な第1RB遊技状態に超確率で移行するなど、現在のモードに応じて、その振り分け率を変えることもできる。その結果、出玉に抑揚を付けることもできる。
尚、実施例のBB遊技状態は、所定ゲーム数の経過又は所定回数の入賞成立により終了するものとしたが、メダルの総払出し枚数が所定値に達したときに終了させるようにしても良い。また、遊技者にとって有利な状態であるBB中一般遊技状態を、SBが内部当選(又は入賞)したときに終了させるようにしても良い。このようにした場合、上記実施例と同様に、毎ゲーム行われる内部抽選をよりスリリングなものとすることができる。
以上、実施例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。実施例において採用した確率抽選テーブル(図4)に示す乱数値などの具体的な数値などは一例に過ぎず任意に変更可能である。
入賞は、図柄についてメダルなどの遊技媒体を獲得するために必要な図柄組合せとして予め定められたものが表示されることに限られるものではない。入賞は、遊技媒体を獲得することができるか否かに拘らず、遊技状態の移行(例えば、内部当選役を決定するための確率抽選テーブルの切り換えなど)のために必要な図柄組合せとして予め定められたものが表示されることを含めることができる。また、入賞は、メダルの自動投入が行われるリプレイ(再遊技)に対応する図柄組合せとして予め定められたものが表示されることを含めることができる。
入賞態様は、図柄についてメダルなどの遊技媒体を獲得するために必要な図柄組合せとして予め定められたものが表示される態様に限られるものではない。入賞態様は、遊技媒体を獲得することができるか否かに拘らず、遊技状態の移行(例えば、内部当選役を決定するための確率抽選テーブルの切り換えなど)のために必要な図柄組合せとして予め定められたものが表示される態様を含めることができる。また、入賞態様は、メダルの自動投入が行われるリプレイ(再遊技)に対応する図柄組合せとして予め定められたものが表示される態様を含めることができる。
BB、RB、SB、或いはCT(特定役、チャレンジタイムなど)に対応する図柄組合せがいずれかの有効ラインに沿った場合に、メダルを付与せず、遊技状態の切り換え(例えば、一又は複数の予め定められたリールの最大滑りコマ数の変更などを含む)を行うようにすることもできる。例えば、上記特定役に対応する図柄組合せがいずれかの有効ラインに沿った場合に、操作手段(例えば、停止ボタン7L,7C,7R)が操作されたときから図柄の変動表示が停止するまでの間の図柄の最大の移動量(例えば、最大滑りコマ数)を変更するようにしてもよい。
更に、本実施例のようなスロットマシンの他、パチンコ遊技機等の他の遊技機にも本発明を適用できる。さらに、上述のスロットマシンでの動作を家庭用ゲーム機用として擬似的に実行するようなゲームプログラムにおいても、本発明を適用してゲームを実行することができる。その場合、ゲームプログラムを記録する記録媒体は、CD−ROM、FD(フレキシブルディスク)、その他任意の記録媒体を利用できる。