JP2005130820A - 高温菌を含有する生菌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温条件下でも臭気物質に対する十分な脱臭効果を有し、かつ、十分な整腸効果を有する細菌を含有する生菌剤を提供する。
【解決手段】 胞子形成性の桿菌であって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を含有する生菌剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 胞子形成性の桿菌であって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を含有する生菌剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高温菌を含有する生菌剤に関する。
近年の環境保護への関心の高まりから、有機性廃棄物を焼却処理するのではなく、土壌微生物等を用いた発酵処理を行うことにより、無害化したり、有機肥料として用いるために堆肥化したり、家畜のえさとして用いるために飼料化する試みが多くなされている。しかし、そのような発酵処理の過程で、脂肪酸、アンモニア、アミン等の悪臭物質が発生するため、悪臭公害として近隣住民に迷惑を及ぼすことがあった。そのため、有機性廃棄物を発酵処理する場合には、悪臭を低減させる対策が必須である。
そのような悪臭対策法として、燃焼法、洗浄法、吸着法、化学的分解法、生物脱臭法などがある。しかし、燃焼法は化石燃料を大量に要するなどの欠点があり、洗浄法は多量の水を要する上に排水処理が必要などの欠点があり、吸着法はそれに用いる活性炭やシリカゲル、ゼオライト等の再利用が困難でコスト高になるなどの欠点があったことから、臭気物質を化学的に分解する化学的分解法が比較的よく用いられていた。例えば、アンモニアやトリメチルアミンなどの塩基性の臭気物質を発生する廃棄物に対して、酸性物質を加えて塩基性の臭気物質と反応させ、臭気を発生しない塩を形成させる方法が知られる。そのような酸性物質として、無機酸と有機酸があるが、安価で生分解を受けない無機酸が古くから使用されている。無機酸としては、硫酸、塩酸およびリン酸等があるが、塩酸は揮発性が高く、リン酸は価格が高いことから、硫酸がよく用いられていた。しかし、硫酸は、腐食性や皮膚刺激性を有するなど危険性が高く、取り扱いに十分な注意が必要であった。また、処理する有機性廃棄物の量が多い場合は、薬品代がかさみ、コスト高となる欠点があった。
そのため、近年では、微生物を利用した生物脱臭法に注目が集まっている。例えば、バチルス・バディウスを用いた脱臭剤が知られている(特許文献1参照)。しかし、このバチルスは中温菌であるため、発酵熱で高温となる堆肥等を脱臭する場合には十分な脱臭効果は期待できないと考えられる。
また、特許文献2には、バチルス・ズブチリスを用いた消臭剤が開示されている。しかし、このバチルス・ズブチリスも中温菌であり、発酵熱で高温となる堆肥等を脱臭する場合には十分な脱臭効果は期待できないと考えられる。また、特許文献2は、バチルス・ズブチリスの生菌又は死菌を有効成分とする整腸剤および抗菌剤を開示している。生菌の場合、その機能を十分に発揮させるためには、酸素がほとんどない腸内で細菌を活動させる必要があり、嫌気条件下、動物の体温で増殖できる能力が必要である。しかし、バチルス・ズブチリスは好気性菌であるため、その期待する機能もあいまいであった。
以上のような状況下で、高温条件下でも臭気物質に対する十分な脱臭効果を有し、かつ、十分な整腸効果を有する細菌を含有する生菌剤が求められていた。
特開平7−163336号公報
特開平11−285378号公報
そのような悪臭対策法として、燃焼法、洗浄法、吸着法、化学的分解法、生物脱臭法などがある。しかし、燃焼法は化石燃料を大量に要するなどの欠点があり、洗浄法は多量の水を要する上に排水処理が必要などの欠点があり、吸着法はそれに用いる活性炭やシリカゲル、ゼオライト等の再利用が困難でコスト高になるなどの欠点があったことから、臭気物質を化学的に分解する化学的分解法が比較的よく用いられていた。例えば、アンモニアやトリメチルアミンなどの塩基性の臭気物質を発生する廃棄物に対して、酸性物質を加えて塩基性の臭気物質と反応させ、臭気を発生しない塩を形成させる方法が知られる。そのような酸性物質として、無機酸と有機酸があるが、安価で生分解を受けない無機酸が古くから使用されている。無機酸としては、硫酸、塩酸およびリン酸等があるが、塩酸は揮発性が高く、リン酸は価格が高いことから、硫酸がよく用いられていた。しかし、硫酸は、腐食性や皮膚刺激性を有するなど危険性が高く、取り扱いに十分な注意が必要であった。また、処理する有機性廃棄物の量が多い場合は、薬品代がかさみ、コスト高となる欠点があった。
そのため、近年では、微生物を利用した生物脱臭法に注目が集まっている。例えば、バチルス・バディウスを用いた脱臭剤が知られている(特許文献1参照)。しかし、このバチルスは中温菌であるため、発酵熱で高温となる堆肥等を脱臭する場合には十分な脱臭効果は期待できないと考えられる。
また、特許文献2には、バチルス・ズブチリスを用いた消臭剤が開示されている。しかし、このバチルス・ズブチリスも中温菌であり、発酵熱で高温となる堆肥等を脱臭する場合には十分な脱臭効果は期待できないと考えられる。また、特許文献2は、バチルス・ズブチリスの生菌又は死菌を有効成分とする整腸剤および抗菌剤を開示している。生菌の場合、その機能を十分に発揮させるためには、酸素がほとんどない腸内で細菌を活動させる必要があり、嫌気条件下、動物の体温で増殖できる能力が必要である。しかし、バチルス・ズブチリスは好気性菌であるため、その期待する機能もあいまいであった。
以上のような状況下で、高温条件下でも臭気物質に対する十分な脱臭効果を有し、かつ、十分な整腸効果を有する細菌を含有する生菌剤が求められていた。
本発明は上記観点からなされたものであり、高温条件下でも臭気物質に対する十分な脱臭効果を有し、かつ、十分な整腸効果を有する細菌を含有する生菌剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、胞子形成性の桿菌で
あって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見い出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)胞子形成性の桿菌であって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を含有する生菌剤。
(2)前記細菌が、50℃、pH8.5以上の条件下で増殖できることを特徴とする(1)に記載の生菌剤。
(3)前記細菌が、37℃、pH2以下の条件下で0.5時間以上生存することができることを特徴とする(1)または(2)に記載の生菌剤。
(4)前記細菌が、低級脂肪酸およびアンモニアから選ばれる1種または2種以上の物質を資化することができることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載の生菌剤。
(5)前記細菌が、バチルス属細菌、サーモクリスパム属細菌、ゲオバチルス属細菌およびアノキシバチルス属細菌から選ばれる1種または2種以上の細菌であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載の生菌剤。
(6)前記細菌が、バチルス・スミシー、サーモクリスパム・アグレステ、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス、アノキシバチルス・フラビサーマスから選ばれる1種または2種以上の細菌であることを特徴とする(5)に記載の生菌剤。
(7)前記細菌が、バチルス・スミシーIFO15311であることを特徴とする(5)に記載の生菌剤。
(8)(1)〜(7)のいずれか一つに記載の生菌剤を含む家畜飼料。
(9)(8)に記載の家畜飼料を家畜に摂取させることを特徴とする家畜の飼育方法。
あって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を用いることにより、上記目的を達成し得ることを見い出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)胞子形成性の桿菌であって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を含有する生菌剤。
(2)前記細菌が、50℃、pH8.5以上の条件下で増殖できることを特徴とする(1)に記載の生菌剤。
(3)前記細菌が、37℃、pH2以下の条件下で0.5時間以上生存することができることを特徴とする(1)または(2)に記載の生菌剤。
(4)前記細菌が、低級脂肪酸およびアンモニアから選ばれる1種または2種以上の物質を資化することができることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載の生菌剤。
(5)前記細菌が、バチルス属細菌、サーモクリスパム属細菌、ゲオバチルス属細菌およびアノキシバチルス属細菌から選ばれる1種または2種以上の細菌であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載の生菌剤。
(6)前記細菌が、バチルス・スミシー、サーモクリスパム・アグレステ、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス、アノキシバチルス・フラビサーマスから選ばれる1種または2種以上の細菌であることを特徴とする(5)に記載の生菌剤。
(7)前記細菌が、バチルス・スミシーIFO15311であることを特徴とする(5)に記載の生菌剤。
(8)(1)〜(7)のいずれか一つに記載の生菌剤を含む家畜飼料。
(9)(8)に記載の家畜飼料を家畜に摂取させることを特徴とする家畜の飼育方法。
本発明の生菌剤は、高温条件下でも臭気物質に対する十分な脱臭効果を有し、かつ、十分な整腸効果を有するという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の生菌剤は、胞子形成性の桿菌であって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を含有する生菌剤である。
本発明の生菌剤は、胞子形成性の桿菌であって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を含有する生菌剤である。
本発明の細菌は、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有するものであれば特に制限はない。
本発明の細菌は、脂肪酸およびアンモニアのいずれか1種または2種以上の臭気物質に対して脱臭効果を有するが、それ以外にも、アルキルメルカプタン等の硫黄化合物およびアミン等についても同様の脱臭効果を有することが期待される。
本発明の細菌は、脂肪酸およびアンモニアのいずれか1種または2種以上の臭気物質に対して脱臭効果を有するが、それ以外にも、アルキルメルカプタン等の硫黄化合物およびアミン等についても同様の脱臭効果を有することが期待される。
本発明における「嫌気的条件」とは、たとえば、家畜の腸内に含まれる気体中の酸素濃度以下の条件を意味し、実験室的には、20℃で測定した酸化還元電位が通常−10mv以下、好ましくは−50mv以下である条件をいう。
また、本発明における「嫌気的条件下において50℃以上で増殖できる細菌」とは、嫌気的条件下でなくかつ50℃より低い温度条件下でその細菌の生育に好適な培地を用いて、嫌気的条件下において50℃以上で培養したときにも増殖できる細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成を含む寒天培地(pH5〜10)に菌体を塗布したときに、嫌気的条件下、50℃以上で、5日以内にその細菌のコロニーが形成される細菌が挙げられる。
また、本発明における「50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する」とは、好気的条件下または嫌気的条件下において50℃以上で、臭気物質である脂肪酸およびアンモニ
アのいずれか1種または2種以上の臭気物質を分解する能力を有していることをいう。
また、「脂肪酸を分解する能力を有する細菌」とは、脂肪酸を含む培地であって、細菌の生育に好適な培地上で細菌を培養した場合に、一定量以上のその脂肪酸を分解する能力を有する細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成を持つ液体培地(pH5〜10)1L中で、5g(乾燥重量)の細菌菌体を50℃で10時間培養することにより、培地に含まれる3種の脂肪酸(ノルマル酪酸、イソ吉草酸、ノルマルペンタン酸)から選ばれる1種または2種以上の脂肪酸について、培養前の培地に含まれる量(各5g/L)に対して10重量%以上、好ましくは20重量%以上の脂肪酸を分解する能力を有する細菌が挙げられる。
また、「アンモニアを分解する能力を有する細菌」とは、アンモニアを含む培地であって、細菌の生育に好適な培地上で細菌を培養した場合に、一定量以上のそのアンモニアを分解する能力を有する細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成のうち、酵母エキスとポリペプトンを抜き、代わりに硫酸アンモニウムが2gである組成を持つ液体培地(pH5〜10)1L中で、5g(乾燥重量)の細菌菌体を50℃で10時間培養することにより、培養前の培地に含まれるアンモニウムイオン全量に対して10重量%以上、好ましくは20重量%以上のアンモニウムイオンを分解する能力を有する細菌が挙げられる。
本発明の細菌は、嫌気的条件下において、通常50℃以上、好ましくは、55℃以上、より好ましくは60℃以上で増殖することができる。
このような性質により、腐敗や発酵によって温度が上昇した有機性廃棄物中であっても、本発明の細菌は、臭気物質に対して脱臭効果を発揮することができる。さらに、家畜に摂取させた場合は、家畜の腸内であっても増殖し、十分な整腸作用を発揮すると共に、腸内で発生するアンモニア等の有害物質を中和・不揮発化する効果を発揮することができる。
また、本発明における「嫌気的条件下において50℃以上で増殖できる細菌」とは、嫌気的条件下でなくかつ50℃より低い温度条件下でその細菌の生育に好適な培地を用いて、嫌気的条件下において50℃以上で培養したときにも増殖できる細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成を含む寒天培地(pH5〜10)に菌体を塗布したときに、嫌気的条件下、50℃以上で、5日以内にその細菌のコロニーが形成される細菌が挙げられる。
また、本発明における「50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する」とは、好気的条件下または嫌気的条件下において50℃以上で、臭気物質である脂肪酸およびアンモニ
アのいずれか1種または2種以上の臭気物質を分解する能力を有していることをいう。
また、「脂肪酸を分解する能力を有する細菌」とは、脂肪酸を含む培地であって、細菌の生育に好適な培地上で細菌を培養した場合に、一定量以上のその脂肪酸を分解する能力を有する細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成を持つ液体培地(pH5〜10)1L中で、5g(乾燥重量)の細菌菌体を50℃で10時間培養することにより、培地に含まれる3種の脂肪酸(ノルマル酪酸、イソ吉草酸、ノルマルペンタン酸)から選ばれる1種または2種以上の脂肪酸について、培養前の培地に含まれる量(各5g/L)に対して10重量%以上、好ましくは20重量%以上の脂肪酸を分解する能力を有する細菌が挙げられる。
また、「アンモニアを分解する能力を有する細菌」とは、アンモニアを含む培地であって、細菌の生育に好適な培地上で細菌を培養した場合に、一定量以上のそのアンモニアを分解する能力を有する細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成のうち、酵母エキスとポリペプトンを抜き、代わりに硫酸アンモニウムが2gである組成を持つ液体培地(pH5〜10)1L中で、5g(乾燥重量)の細菌菌体を50℃で10時間培養することにより、培養前の培地に含まれるアンモニウムイオン全量に対して10重量%以上、好ましくは20重量%以上のアンモニウムイオンを分解する能力を有する細菌が挙げられる。
本発明の細菌は、嫌気的条件下において、通常50℃以上、好ましくは、55℃以上、より好ましくは60℃以上で増殖することができる。
このような性質により、腐敗や発酵によって温度が上昇した有機性廃棄物中であっても、本発明の細菌は、臭気物質に対して脱臭効果を発揮することができる。さらに、家畜に摂取させた場合は、家畜の腸内であっても増殖し、十分な整腸作用を発揮すると共に、腸内で発生するアンモニア等の有害物質を中和・不揮発化する効果を発揮することができる。
本発明の細菌としては、バチルス(Bacillus)属細菌、サーモクリスパム(Thermocrispum)属細菌、ゲオバチルス(Geobacillus)属細菌およびアノキシバチルス(Anoxybacillus)属細菌等が挙げられる。
バチルス属細菌としてはバチルス・スミシー(Bacillus smithii)が好ましく、バチルス・スミシーIFO15311が特に好ましい。サーモクリスパム属細菌としてはサーモクリスパム・アグレステ(Thermocrispum agreste)が好ましく、サーモクリスパム・アグレステIFO15805が特に好ましい。ゲオバチルス属細菌としてはゲオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)が好ましく、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス IFO12550およびゲオバチルス・ステアロサーモフィラス IFO12983が特に好ましい。アノキシバチルス属細菌としてはアノキシバチルス・フラビサーマス(Anoxybacillus flavithermus)が好ましく、アノキシバチルス・フラビサーマスIFO15317が特に好ましい。
バチルス・スミシーIFO15311、サーモクリスパム・アグレステIFO15805、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス IFO12550、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス IFO12983およびアノキシバチルス・フラビサーマスIFO15317は、生物遺伝資源センター(NBRC:千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)から入手できる。
本発明に用いる細菌は、一種単独で用いてもよいし、複数種を同時に用いてもよい。
本発明に用いる細菌は、一種単独で用いてもよいし、複数種を同時に用いてもよい。
また、本発明の細菌は、50℃、pHが8.5以上の条件下で増殖できなくてもよいが、そのような条件下で増殖できる細菌が好ましく、60℃、pH9以上の条件下で増殖できる細菌がより好ましい。
家畜の排泄物等の有機性廃棄物が腐敗・発酵すると、アンモニア等の発生により、そのpHは8.5以上に高まることがあり、上記条件下で増殖できれば、そのような状況で十分な脱臭効果が期待できるからである。
「50℃、pHが8.5以上の条件下で増殖できる細菌」とは、pHが8.5より低い条
件下で細菌の生育に好適な培地において、そのpHを8.5以上にしたときにも増殖できる細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成物を含む培地(pH8.5以上に調製)に菌体を塗布したときに、50℃で5日以内にその細菌のコロニーが形成されることをいう。
「50℃、pHが8.5以上の条件下で増殖できる細菌」とは、pHが8.5より低い条
件下で細菌の生育に好適な培地において、そのpHを8.5以上にしたときにも増殖できる細菌をいい、例えば、後述の実施例1の組成物を含む培地(pH8.5以上に調製)に菌体を塗布したときに、50℃で5日以内にその細菌のコロニーが形成されることをいう。
また、本発明の細菌は、37℃、pH2以下の条件下で0.5時間以上生存することができなくてもよいが、家畜に摂取させた場合に、胃酸にさらされても死滅しないで腸内まで生菌が届くようにとの観点から、37℃、pH2以下の条件下で0.5時間以上生存することができるものが好ましい。細菌が家畜の腸内まで生菌として到達すると、本発明の効果が家畜に対して十分に発揮されるからである。ここでいう「細菌が生存している」とは、細菌の生存率が0.1%以上、好ましくは1%以上であることをいう。
「37℃、pH2以下の条件下で0.5時間以上生存することができる細菌」には、具体的には、後述の実施例1の組成物を含む液体培地(pH2以下に調製)中で、1気圧、37℃の条件下で0.5時間以上生存することができる細菌が含まれる。胞子を形成した状態でのみ、そのような条件下で生存することができる細菌であってもよいが、栄養細胞の状態であってもそのような条件下で生存することができる細菌が好ましい。
本発明の細菌は、脂肪酸およびアンモニアのいずれか1種または2種以上を分解することができさえすれば、それらを資化することができなくてもよいが、それらを資化することができるものが好ましい。
本発明に用いる細菌は、例えば、市販の生菌剤などに含まれているものを用いることもでき、また、市販の菌株を用いて培養したものを用いることもできる。
本発明に用いる細菌を培養する方法は特に限定されず、定法により行うことができる。例えば、往復動式振盪培養、ジャーファーメンター培養などによる液体培養法や、固体培養法により培養することができる。培養に用いる培地成分としては、特に制約はなく、例えば、炭素源としてグルコース、シュークロース、糖蜜などの糖類、クエン酸などの有機酸類、グリセリンなどのアルコール類、また窒素源としてアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩や硝酸塩等が用いられる。また、固体培地としては、例えば、フスマ、米ぬか、麦、乳製品等を含む資材を用いることができる。
培養で得られた生菌は、そのまま用いることもできるが、細菌を培養した培養物を培地と共に粉砕または細断して用いてもよい。また、培養物中の培地から生菌をかき取って用いてもよいし、この培養物を遠心分離することにより生菌を分離して用いてもよい。さらに、上記のように回収した培養物の粉砕物や生菌は、そのまま用いることもできるが、生菌剤の製品としての保存性の観点から、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより、ある程度乾燥させて用いるのが好ましい。
本発明に用いる細菌は、細菌の生菌である。また、本発明に用いる細菌の生菌は、胞子でなくてもよいが、生菌剤の製品としての保存性の観点から、胞子であることが好ましい。細菌に胞子を形成させる場合は、培養の終期において、培地の組成、培地のpH、培養温度、培養湿度、培養する際の酸素濃度などの培養条件を、その胞子形成条件に適合させるように調製することができる。また、本発明において細菌の胞子を用いる場合は、生菌剤の保存性の観点から、胞子の水分含有量を20重量%以下とするのが好ましい。
本発明の生菌剤に含まれる細菌の量については、本発明の効果が発揮される限り特に制限はないが、本発明の生菌剤に含まれる細菌の濃度は、そのコロニー形成単位として、通常1×103〜1×1011cfu/g、好ましくは1×106〜1×1010cfu/gとすることができる。
本発明の生菌剤は、細菌の菌体の他に担体や増量剤など、本発明の効果を妨げないものであれば、他のいかなる物質を含んでいてもよい。
本発明に用いる細菌を培養する方法は特に限定されず、定法により行うことができる。例えば、往復動式振盪培養、ジャーファーメンター培養などによる液体培養法や、固体培養法により培養することができる。培養に用いる培地成分としては、特に制約はなく、例えば、炭素源としてグルコース、シュークロース、糖蜜などの糖類、クエン酸などの有機酸類、グリセリンなどのアルコール類、また窒素源としてアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩や硝酸塩等が用いられる。また、固体培地としては、例えば、フスマ、米ぬか、麦、乳製品等を含む資材を用いることができる。
培養で得られた生菌は、そのまま用いることもできるが、細菌を培養した培養物を培地と共に粉砕または細断して用いてもよい。また、培養物中の培地から生菌をかき取って用いてもよいし、この培養物を遠心分離することにより生菌を分離して用いてもよい。さらに、上記のように回収した培養物の粉砕物や生菌は、そのまま用いることもできるが、生菌剤の製品としての保存性の観点から、自然乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などにより、ある程度乾燥させて用いるのが好ましい。
本発明に用いる細菌は、細菌の生菌である。また、本発明に用いる細菌の生菌は、胞子でなくてもよいが、生菌剤の製品としての保存性の観点から、胞子であることが好ましい。細菌に胞子を形成させる場合は、培養の終期において、培地の組成、培地のpH、培養温度、培養湿度、培養する際の酸素濃度などの培養条件を、その胞子形成条件に適合させるように調製することができる。また、本発明において細菌の胞子を用いる場合は、生菌剤の保存性の観点から、胞子の水分含有量を20重量%以下とするのが好ましい。
本発明の生菌剤に含まれる細菌の量については、本発明の効果が発揮される限り特に制限はないが、本発明の生菌剤に含まれる細菌の濃度は、そのコロニー形成単位として、通常1×103〜1×1011cfu/g、好ましくは1×106〜1×1010cfu/gとすることができる。
本発明の生菌剤は、細菌の菌体の他に担体や増量剤など、本発明の効果を妨げないものであれば、他のいかなる物質を含んでいてもよい。
本発明の家畜飼料は、細菌の生菌のみを含んでいてもよいが、生菌の他に、例えば、通常家畜の飼料として用いられているものや増量剤など、本発明の効果を妨げないものであれば、他のいかなる物質を含んでいてもよい。
本発明の生菌剤または家畜飼料の剤形としては、特に制限はなく、粉状でもよいし、粒子状に製剤することにより、処理したい有機性廃棄物と混ざりやすい形態としてもよい。また、細菌の菌体に液体担体を加えて、液状の生菌剤または家畜飼料としてもよい。
液体担体としては、本発明の効果を妨げない限り特に制限はないが、水、大豆油、菜種油、コーン油などの植物油、液体動物油、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの水溶性高分子化合物が好適に用いられる。
本発明の生菌剤の使用方法については、特に制限はないが、有機性廃棄物が腐敗・発酵して悪臭が発生している場所又は発生しうる場所に散布して用いることができる。そのような場所として、例えば、食品工業における廃棄物、家庭から排出される生ごみまたはゴルフ場の刈り芝等を発酵させる場所などの有機性廃棄物を処理する場所、あるいは、牛、豚、鶏等の家畜の畜舎などが挙げられる。
また、本発明の生菌剤は、豚、牛、鶏、馬などの家畜に摂取させて用いることもできる。家畜に摂取させる場合は、菌体をそのまま与えてもよいし、菌体を飼料に混ぜて与えてもよいし、菌体を水などの液体に懸濁して与えてもよい。
本発明の生菌剤または家畜飼料の剤形としては、特に制限はなく、粉状でもよいし、粒子状に製剤することにより、処理したい有機性廃棄物と混ざりやすい形態としてもよい。また、細菌の菌体に液体担体を加えて、液状の生菌剤または家畜飼料としてもよい。
液体担体としては、本発明の効果を妨げない限り特に制限はないが、水、大豆油、菜種油、コーン油などの植物油、液体動物油、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの水溶性高分子化合物が好適に用いられる。
本発明の生菌剤の使用方法については、特に制限はないが、有機性廃棄物が腐敗・発酵して悪臭が発生している場所又は発生しうる場所に散布して用いることができる。そのような場所として、例えば、食品工業における廃棄物、家庭から排出される生ごみまたはゴルフ場の刈り芝等を発酵させる場所などの有機性廃棄物を処理する場所、あるいは、牛、豚、鶏等の家畜の畜舎などが挙げられる。
また、本発明の生菌剤は、豚、牛、鶏、馬などの家畜に摂取させて用いることもできる。家畜に摂取させる場合は、菌体をそのまま与えてもよいし、菌体を飼料に混ぜて与えてもよいし、菌体を水などの液体に懸濁して与えてもよい。
本発明の生菌剤を散布して使用する場合の使用量については、本願発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、例えば、有機性廃棄物1kgあたりの細菌の菌体が
1〜1000mg(乾燥重量)となるような量を使用することができる。
1〜1000mg(乾燥重量)となるような量を使用することができる。
また、本願の生菌剤を家畜に摂取させて用いる場合は、家畜の体重10kgにつき一日当たり、細菌の菌体を0.05〜10g(乾燥重量)程度用いることができる。
本発明の生菌剤を散布して用いた場合は、本発明の生菌剤は脱臭効果を発揮すると共に、発酵を促進する効果も発揮する。
本発明の生菌剤を散布して用いた場合は、本発明の生菌剤は脱臭効果を発揮すると共に、発酵を促進する効果も発揮する。
また、本発明の生菌剤を家畜に摂取させた場合は、十分な整腸作用を発揮すると共に、腸内で発生するアンモニア等の有害物質を中和・不揮発化し、それによって、家畜のストレス緩和、成長促進、乳量増加、採卵増加、免疫賦活化、死亡率低下等の効果が得られる。さらに、家畜の排泄物には細菌の菌体が含まれているので、細菌の生菌剤をその排泄物に改めて添加しなくても、その排泄物について脱臭効果、発酵促進効果が得られる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
(培地の調製)
細菌の増殖条件の検討を行う際に用いる培地の調製を行った。この培地は、炭素源として、悪臭物質である低級脂肪酸を用いた寒天培地であって、以下に示す成分を含んでいる。培地のpHは、5規定のアンモニア水を用いて、表1に記載された数値にそれぞれ調製した。
無機低級脂肪酸培地の組成
MgSO4・7H2O:1.0g; (NH4)2SO4:1.0g; CaCl2・2H2O:50mg; NaMoO4:1mg; FeSO4・7H2O:500mg; ZnSO4・7H2O:400mg; H3BO4:15mg;
CoCl2・6H2O:50mg; MnCl2・4H2O:20mg; NiCl2・6H2O:10mg; CuSO4・5H2O:200mg; EDTA:250mg; Na2HPO4・12H2O:43g; KH2PO4:15.6g; Fe-EDTA:240mg; 酵母エキス:0.5g; ポリペプトン:0.5g;
ノルマル酪酸:5g; イソ吉草酸:5g; ノルマルペンタン酸:5g; 蒸留水:1L; pH5〜10(アンモニアで調製)
(培地の調製)
細菌の増殖条件の検討を行う際に用いる培地の調製を行った。この培地は、炭素源として、悪臭物質である低級脂肪酸を用いた寒天培地であって、以下に示す成分を含んでいる。培地のpHは、5規定のアンモニア水を用いて、表1に記載された数値にそれぞれ調製した。
無機低級脂肪酸培地の組成
MgSO4・7H2O:1.0g; (NH4)2SO4:1.0g; CaCl2・2H2O:50mg; NaMoO4:1mg; FeSO4・7H2O:500mg; ZnSO4・7H2O:400mg; H3BO4:15mg;
CoCl2・6H2O:50mg; MnCl2・4H2O:20mg; NiCl2・6H2O:10mg; CuSO4・5H2O:200mg; EDTA:250mg; Na2HPO4・12H2O:43g; KH2PO4:15.6g; Fe-EDTA:240mg; 酵母エキス:0.5g; ポリペプトン:0.5g;
ノルマル酪酸:5g; イソ吉草酸:5g; ノルマルペンタン酸:5g; 蒸留水:1L; pH5〜10(アンモニアで調製)
(菌体の増殖条件の確認)
バチルス属細菌およびサーモクリスパム属細菌が低級脂肪酸を炭素源とし、アンモニアを窒素源として、好気的又は嫌気的条件下で増殖できるかを調べた。
実施例1の培地に、表1に記載された2種の菌株を塗布し、恒温槽を用いて表1に記載された温度に保ちながら、表1に記載された酸素条件下(好気的又は嫌気的条件下)で96時間培養した。
嫌気的条件下での培養は、市販のガスパックを用いて行った。菌体の増殖の有無は、寒天培地上にコロニーが出現するか否かで判定した。
その培養の結果を表1に示す。
バチルス属細菌およびサーモクリスパム属細菌が低級脂肪酸を炭素源とし、アンモニアを窒素源として、好気的又は嫌気的条件下で増殖できるかを調べた。
実施例1の培地に、表1に記載された2種の菌株を塗布し、恒温槽を用いて表1に記載された温度に保ちながら、表1に記載された酸素条件下(好気的又は嫌気的条件下)で96時間培養した。
嫌気的条件下での培養は、市販のガスパックを用いて行った。菌体の増殖の有無は、寒天培地上にコロニーが出現するか否かで判定した。
その培養の結果を表1に示す。
この結果から、実験で用いた2種の細菌は、表1に記載されたようなpHや、高い培養温度、又は、嫌気的条件下であっても、菌体が増殖することが確認された。
なお、細菌が、培地中の酵母エキスおよびポリペプトンではなく、低級脂肪酸を主な炭素源として増殖していることを確認するために、低級脂肪酸(ノルマル酪酸、イソ吉草酸およびノルマルペンタン酸)を加えなかったこと以外は実施例1の培地と同様の培地を用いて、同様の方法で細菌を培養した。しかし、コロニーは出現せず、細菌の増殖は認められなかった。
なお、細菌が、培地中の酵母エキスおよびポリペプトンではなく、低級脂肪酸を主な炭素源として増殖していることを確認するために、低級脂肪酸(ノルマル酪酸、イソ吉草酸およびノルマルペンタン酸)を加えなかったこと以外は実施例1の培地と同様の培地を用いて、同様の方法で細菌を培養した。しかし、コロニーは出現せず、細菌の増殖は認められなかった。
この結果により、これらの細菌が、低級脂肪酸を主な炭素源として増殖していることが示された。
(発酵促進効果の確認)
排出されて間もない豚糞24kgとおがくず6kgを混合した(水分含量67.4%)。
排出されて間もない豚糞24kgとおがくず6kgを混合した(水分含量67.4%)。
一方、サーモクリスパム・アグレステIFO15805を液体培地で培養し、それを遠心分離して集菌した。集菌した5gの生菌(水分含量87.2%)を、上記混合物7kgに添加して混合し、それを10L容のステンレス金属容器内に入れた。その金属容器を、外部と断熱された小型脱臭試験機(富士平工業株式会社製)の内部に据えた。金属容器の底部の網棚を通じて毎分0.7L/分の速度で通気しながら、金属容器内の混合物の内部の温度を測定し、発酵開始から始まる温度上昇が止まって定常状態となるまでの時間、および、金属容器内の混合物の中心部の最高温度を調べた。
サーモクリスパム・アグレステIFO15805を用いる代わりに、バチルス・スミシーIFO15311を用いて同様の操作を行い、発酵開始から始まる温度上昇が止まって定常状態となるまでの時間、および、金属容器内の混合物の中心部の最高温度を調べた。また、コントロールとして、細菌の生菌を添加せずに同様の操作を行い、発酵開始から始まる温度上昇が止まって定常状態となるまでの時間、および、金属容器内の混合物の中心部の最高温度を調べた。その結果を表2に示す
この結果から、実験に用いた2種の細菌は、発酵を促進する効果を有していることが分かった。
(消臭効果の確認)
本願の細菌が、実際に消臭効果を有するか確認するために、以下の実験を行った。
底部に通気性のガラス製底板が付けてある内径6cm、高さ90cmのガラス製カラムを用意した。底部から通気ができるように、シリコンチューブで底部と銅製送気ラインとを結合し、送気ラインの途中に流量計を設置した。このガラス容器全体を恒温槽に入れてガラス容器内部の温度を制御すると共に、銅製の送気ラインを恒温槽内で螺旋状に巻いて、送気ラインから通気される空気の温度も一定に保つようにした。また、内部を水で満たしたガラス容器を恒温槽内に設置し、通気する空気をそのガラス容器内を通過させることで、通気する空気中の湿度を100%に保ち、送気による空気中の水分の蒸発を防止した。
本願の細菌が、実際に消臭効果を有するか確認するために、以下の実験を行った。
底部に通気性のガラス製底板が付けてある内径6cm、高さ90cmのガラス製カラムを用意した。底部から通気ができるように、シリコンチューブで底部と銅製送気ラインとを結合し、送気ラインの途中に流量計を設置した。このガラス容器全体を恒温槽に入れてガラス容器内部の温度を制御すると共に、銅製の送気ラインを恒温槽内で螺旋状に巻いて、送気ラインから通気される空気の温度も一定に保つようにした。また、内部を水で満たしたガラス容器を恒温槽内に設置し、通気する空気をそのガラス容器内を通過させることで、通気する空気中の湿度を100%に保ち、送気による空気中の水分の蒸発を防止した。
上記のガラス製カラムの内部にガラス管を設置し、ガラス管内部で行う有機性廃棄物の発酵による臭気物質の生成量が測定できるようにした。
バチルス・スミシーIFO15311を液体培地で培養し、それを遠心分離して集菌した。
バチルス・スミシーIFO15311を液体培地で培養し、それを遠心分離して集菌した。
一方、排出されて間もない鶏糞をよく混合・攪拌した(水分含量59.9%)。その鶏糞1.5kgに集菌した0.5gの生菌(水分含量89.4%)を添加して混合し、そのうち1kgを上記のガラス容器内のガラス管内に入れた。そのガラス容器を、60℃にコントロールした恒温室に設置し、飽和湿度の空気を0.15L/分の速度で通気した。
12日経過後に、そのガラス容器から排気される空気中のアンモニア濃度を測定した。バチルス・スミシーIFO15311を用いる代わりにバチルスsp. IFO15315又はアノキシバチルス・フラビサーマスIFO15317を用いてそれぞれ同様の操作を行い、ガラス容器から排出される気体中のアンモニア濃度をそれぞれ測定した。また、コントロールとして、細菌の生菌を加えずに同様の操作を行い、アンモニア濃度を測定した。その結果を表3に示す。なお、バチルスsp. IFO15315は、生物遺伝資源センター(NBRC:千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)から入手できる。
表3の結果から分かるとおり、細菌の生菌を加えたサンプルでは、それを加えなかったコントロールに比べてアンモニアの濃度が低減している。これにより、表3に記載された細菌が増殖する条件下で、それらの細菌は、悪臭物質であるアンモニアに対して脱臭効果を発揮することが分かった。
次に、悪臭物質である低級脂肪酸に対する本願細菌の消臭効果を確認するために、以下の実験を行った。
上記のアンモニア濃度の測定と同様の方法により、バチルス・スミシーIFO15311を用いて、48日経過後に、ガラス容器から排気される空気中の低級脂肪酸を液体クロマトグラフィーにより定量した。また、コントロールとして、細菌の生菌を加えずに同様の操作を行い、低級脂肪酸を定量した。その結果を表4に示す。
次に、悪臭物質である低級脂肪酸に対する本願細菌の消臭効果を確認するために、以下の実験を行った。
上記のアンモニア濃度の測定と同様の方法により、バチルス・スミシーIFO15311を用いて、48日経過後に、ガラス容器から排気される空気中の低級脂肪酸を液体クロマトグラフィーにより定量した。また、コントロールとして、細菌の生菌を加えずに同様の操作を行い、低級脂肪酸を定量した。その結果を表4に示す。
数値の単位はppb
n−C3:プロピオン酸; n−C4:n−酪酸; n−C5:n−吉草酸; i−C5i−吉草酸
この結果から、表4に記載された細菌が増殖する条件下で、このバチルス属細菌は、悪臭物質である低級脂肪酸に対して脱臭効果を発揮することが分かった。
n−C3:プロピオン酸; n−C4:n−酪酸; n−C5:n−吉草酸; i−C5i−吉草酸
この結果から、表4に記載された細菌が増殖する条件下で、このバチルス属細菌は、悪臭物質である低級脂肪酸に対して脱臭効果を発揮することが分かった。
次に、ゲオバチルス属細菌の消臭効果を確認するために、実施例4において、恒温槽の温度を50℃としたこと以外は同様の方法により、12日経過後のガラス容器から排気される空気中のアンモニア濃度を測定した。その結果を表5に示す。
この結果から、増殖する条件下で、ゲオバチルス属細菌は、悪臭物質であるアンモニアに対して脱臭効果を発揮することが分かった。
(37℃、pH2の条件下での生存確認実験)
蒸留水に塩化ナトリウム2g/Lを添加した溶液のpHを、5規定の塩酸を用いてpH2に調製した。この溶液を0.4μのフィルターに通して除菌し、20mlずつを殺菌済みの試験管に入れた。これらの試験管に、寒天培地上でコロニーを形成するまで生育させた表6に記載の各細菌をそれぞれ一白金耳ずつ接種し、37℃で0.5時間振とうした。
蒸留水に塩化ナトリウム2g/Lを添加した溶液のpHを、5規定の塩酸を用いてpH2に調製した。この溶液を0.4μのフィルターに通して除菌し、20mlずつを殺菌済みの試験管に入れた。これらの試験管に、寒天培地上でコロニーを形成するまで生育させた表6に記載の各細菌をそれぞれ一白金耳ずつ接種し、37℃で0.5時間振とうした。
一方、グリセリン50g/L、酵母エキス5g/L、炭酸カルシウム1g/L、寒天20g/Lの組成の培地A(pH8.0)及び溶性デンプン10g/L、酵母エキス2g/L、寒天15g/Lの組成の培地B(pH8.0)をそれぞれ殺菌後、直径9cmのシャーレーに20mlずつ分注して寒天培地が固化するまで放置した。
振とう培養した上述の各溶液を、培地Aまたは培地Bのいずれかの寒天培地上に、それぞれ100μずつ塗布し、37℃の恒温槽で72時間培養して、コロニー形成の有無によりそれぞれの細菌が生存しているかどうかを確認した。その結果を表6に示す。
この結果から、表6に記載されたいずれの細菌も、37℃、pH2の条件下で少なくとも0.5時間生存することができることが示された。
Claims (9)
- 胞子形成性の桿菌であって、嫌気的条件下において50℃以上で増殖でき、かつ、50℃以上で臭気物質に対して脱臭効果を有する細菌を含有する生菌剤。
- 前記細菌が、50℃、pH8.5以上の条件下で増殖できることを特徴とする請求項1に記載の生菌剤。
- 前記細菌が、37℃、pH2以下の条件下で0.5時間以上生存することができることを特徴とする請求項1または2に記載の生菌剤。
- 前記細菌が、低級脂肪酸およびアンモニアから選ばれる1種または2種以上の物質を資化することができることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生菌剤。
- 前記細菌が、バチルス属細菌、サーモクリスパム属細菌、ゲオバチルス属細菌およびアノキシバチルス属細菌から選ばれる1種または2種以上の細菌であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生菌剤。
- 前記細菌が、バチルス・スミシー、サーモクリスパム・アグレステ、ゲオバチルス・ステアロサーモフィラス、アノキシバチルス・フラビサーマスから選ばれる1種または2種以上の細菌であることを特徴とする請求項5に記載の生菌剤。
- 前記細菌が、バチルス・スミシーIFO15311であることを特徴とする請求項5に記載の生菌剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の生菌剤を含む家畜飼料。
- 請求項8に記載の家畜飼料を家畜に摂取させることを特徴とする家畜の飼育方法。
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