JPH08187092A - 好熱性微生物が有するニトリル化合物をアミド化合物に変換させる水和活性を向上させる方法 - Google Patents

好熱性微生物が有するニトリル化合物をアミド化合物に変換させる水和活性を向上させる方法

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JPH08187092A
JPH08187092A JP7001815A JP181595A JPH08187092A JP H08187092 A JPH08187092 A JP H08187092A JP 7001815 A JP7001815 A JP 7001815A JP 181595 A JP181595 A JP 181595A JP H08187092 A JPH08187092 A JP H08187092A
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ion
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microorganism
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JP7001815A
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Tomoyasu Kawabe
智康 河辺
Eiji Nitta
英二 新田
Ayumi Inoue
歩 井上
Masaru Mitsuta
賢 光田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】好熱性微生物が有するニトリル化合物をアミド
化合物に変換させる水和活性を向上させる方法の提供。 【構成】ニトリル化合物に、ニトリル化合物をアミド化
合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生物の培養
液、菌体または菌体処理物を作用させ、該ニトリル化合
物をアミド化合物に変換させるアミド化合物の製造方法
において使用される好熱性微生物を、コバルトイオンお
よびマンガンイオンの両者を含みかつマンガンイオンに
対するコバルトイオンの存在モル比が0.45から2.
3である培地で培養することによって、該好熱性微生物
が有する前記の水和活性を向上させる方法及び上記好熱
性微生物の培養液、菌体または菌体処理物を作用させ、
該ニトリル化合物をアミド化合物に変換させることを特
徴とするアミド化合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、好熱性微生物が有する
ニトリル化合物をアミド化合物に変換させる水和活性を
向上させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、微生物等の生体触媒が、化学反応
の触媒として盛んに利用されている。ニトリル化合物を
アミド化合物に変換させる場合にも、微生物を用いた製
造方法が知られている。例えば、バチルス(Bacillus)
属、バクテリジューム(Bacteridium) 属、ミクロコッカ
ス(Micrococcus) 属、ブレビバクテリウム(Brevibacter
ium)属に属する微生物を用いる方法 (USP-4001081)、コ
リネバクテリウム(Corynebacterium) 属、ノカルジア
(Nocardia) 属に属する微生物を用いる方法 (USP-42489
68)、シュードモナス(Pseudomonas) 属に属する微生物
を用いる方法 (USP-4555487)、ロドコッカス(Rhodococc
us) 属、ミクロバクテリウム (Microbacterium) 属に属
する微生物を用いる方法 (EP-188316)、フザリウム (Fu
sarium) 属に属する微生物を利用する方法 (特開昭64-8
6889) 等が挙げられる。これら微生物を用いる方法のう
ち、例えば、シュードモナス(Pseudomonas )属に属す
る微生物を培養する際に培地中にプロピオニトリル、イ
ソブチルニトリル、プロピオンニトリル、イソブチルア
ミドを添加する方法(特公昭61-43996)、システイン、
シスチンを存在させる方法(特公昭61-43997)、α−ア
ミノ酸を存在させる方法(特公昭61-43998)、アクリル
アミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、n-ブチル
アミドを培地に添加する方法(特公昭61-43999)、鉄イ
オンを存在させる方法(特開昭61-162193 )やロドコッ
カス(Rhodococcus )属に属する微生物を培養する際に
培地中にコバルトイオンを存在させる方法(特公平6-55
148 )等によって、該微生物が有するニトリル化合物を
アミド化合物に変換させる水和活性を向上させることが
できることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法の効果は、培地中への添加物の種類、量と微生物の
種類との組み合わせによって変化することがあり、特に
特定量の金属イオンを培地中へ添加する場合には、金属
イオン一種類の単独添加では効果があったものが、同時
に多種類存在させるとむしろ微生物が有するニトリル化
合物をアミド化合物に変換させる水和活性を低下させる
マイナス効果が生じることが知られている(たとえば、
特公平6-55148 では、特定量のコバルトイオンと鉄イオ
ンの同時存在でむしろ水和活性は低下したとの記載があ
る)。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況を鑑み、常温以上の温度域においても安定にニトリル
化合物をアミド化合物に変換させる水和活性を有する好
熱性微生物(培養温度が55℃以上でも増殖する能力を
有する微生物)における上記の水和活性を向上させる方
法について鋭意検討を重ねた結果、ある特定なモル比で
コバルトイオンとマンガンイオンを添加した培地で培養
することによって向上させることができることを見い出
し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、ニトリル
化合物に、ニトリル化合物をアミド化合物に変換させる
水和活性を有する好熱性微生物の培養液、菌体または菌
体処理物を作用させ、該ニトリル化合物をアミド化合物
に変換させるアミド化合物の製造方法において使用され
る好熱性微生物を、コバルトイオンおよびマンガンイオ
ンの両者を含みかつマンガンイオンに対するコバルトイ
オンの存在モル比が0.45から2.3である培地で培
養することによって、該好熱性微生物が有する前記の水
和活性を向上させる方法(以下、本発明方法と記す。)
及びニトリル化合物に、コバルトイオンおよびマンガン
イオンの両者を含みかつマンガンイオンに対するコバル
トイオンの存在モル比が0.45から2.3である培地
で培養することによって得られたニトリル化合物をアミ
ド化合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生物の
培養液、菌体または菌体処理物を作用させ、該ニトリル
化合物をアミド化合物に変換させることを特徴とするア
ミド化合物の製造方法を提供するものである。
【0005】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明に使用される微生物は、ニトリル化合物をアミド化
合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生物であれ
ば、いかなるものでもよい。ここで“好熱性微生物”と
は、培養温度が55℃以上でも増殖する能力を有する微
生物のことである。このような微生物は、広く自然界及
び各種の微生物保存機関が保管する微生物より容易に検
索することができる。即ち、具体的には次のような方法
が挙げられる。広く自然界より採取した土壌、あるいは
その土壌を水に充分に懸濁した後の上清を、一般に知ら
れている微生物生育用培地、例えばグリセロール、ポリ
ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス等を主成分とした液
体培地、あるいは寒天培地に適当量添加し、55℃以上
の培養温度にて、約24時間から3か月程度の間培養す
る。これにより得られる培養液、あるいは菌体の一部
を、同成分を含む寒天平板培地に広げてさらに培養し集
落を形成させることによって、好熱性微生物を得ること
ができる。このようにして自然界より得られた好熱性微
生物や各種微生物保存機関の保管する好熱性微生物は、
上記培地成分、及びニトリル化合物あるいはアミド化合
物、例えばイソバレロニトリル、クロトノニトリル、ク
ロトンアミド等を含む液体培地を入れた試験管、あるい
はフラスコを用い適当な期間、例えば約12時間から7
日程度の間、55℃以上の培養温度にて培養することに
よって増殖させる。その培養液を、たとえばプロピオニ
トリル、アクリロニトリル等のニトリル化合物の水溶液
に加えて、例えば30℃の反応温度で約10〜60分間
反応させた後、該反応液中におけるアミド化合物の生成
の有無を調べることによって、ニトリル化合物をアミド
化合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生物を容
易に検索することができる。なお、アミド化合物の検出
には、たとえば後述のようなガスクロマトグラフィーに
よる分析方法を用いることができる。具体的には、たと
えばバチルス・スミシー(Bacillus smithii) SC-J05-1
株をあげることができる。本菌株は、本発明者らが自然
界より分離した、ニトリル化合物のニトリル基に対する
高い水和活性を有するバチルス属に属する好熱性微生物
であり、工業技術院生命工学工業技術研究所 (FERM P-1
4037) に寄託 (受理日平成5年12月24日) されている。
なお、該微生物は、同所において平成6年12月14日
付けでブタペスト条約下での寄託に変更されている (FE
RM BP-4935)。バチルス・スミシー SC-J05-1 株の菌学
的性質は以下のとおりである。
【0006】 (a)形態 1.細胞の形および大きさ 形 : 桿状 大きさ : 0.5〜0.8μm(x)0.8〜2μm 2.細胞の多形性の有無 : 無 3.運動性の有無 : 有、周鞭毛 4.胞子の有無 : 有 5.グラム染色 : 不定 6.抗酸性 : 無 (b)生育状態 1.肉汁寒天平板培養 : 周円、凸状、光沢無、薄褐色 2.肉汁寒天斜面培養 : 光沢無、薄褐色 3.肉汁液体培養 : 一様に混濁して生育 4.肉汁ゼラチン穿刺培養: 液化しない 5.リトマスミルク : 反応性無し
【0007】(c)生理学的性質 1.硝酸塩の還元 : − 2.脱窒反応 : − 3.MRテスト : + 4.VPテスト : − 5.インドールの生成 : − 6.硫化水素の生成 : + 7.デンプンの加水分解 : − 8.クエン酸の利用 : (コーサーの培地) : ± 9.無機窒素源の利用 NaNO3 : − (NH4 ) 2 SO4 : + 10. 色素の生成 キングA培地 : − キングB培地 : − 11. ウレアーゼ : − 12. オキシダーゼ : + 13. カタラーゼ : −〜± 14. 生育の範囲 pH : 4.1〜7.5 温度 : 30℃〜60℃ 15. 酸素に対する態度 : 微好気性 16. O−Fテスト : F
【0008】(d)その他の性質 1.GC含量 : 40.6% 以上の諸性質を有する微生物について記載される文献を
広く調査したところ、上記の諸性質と同等の性質を有す
るバチルス・スミシー (Bacillus smithii) がL. K. Na
kamura et al., International Journal of Systematic
Bacteriology38, 63-73 (1988)において報告されてい
た。以上の結果から、SC-J05-1株をバチルス・スミシー
(Bacillus smithii) であると同定した。バチルス・ス
ミシーに属する微生物においては、ニトリル化合物をア
ミド化合物に変換させる水和活性についてなんらの知見
も知られていない。この点においてバチルス・スミシー
SC-J05-1 (FERM P-14037 、FERM BP-4935) は新菌株と
認められる。また、該菌株の変異体、即ち、バチルス・
スミシー SC-J05-1 (FERMP-14037 、FERM BP-4935) よ
り誘導された突然変異体、細胞融合株および遺伝子組み
換え株も本発明方法において利用が可能である。突然変
異体を作成する方法は、5-ブロモウラシル、2-アミノプ
リン、亜硝酸、ヒドロキシアミン、ニトロソグアニジ
ン、4-ニトロキノリン-1- オキシド、マイトマイシンな
どの化学的突然変異誘起物質を用いる方法、紫外線を照
射する方法などが挙げられる。
【0009】本発明方法では、好熱性微生物をコバルト
イオンおよびマンガンイオンの両者を含みかつマンガン
イオンに対するコバルトイオンの存在モル比が0.45
から2.3である培地で培養することが必須である。コ
バルトイオンおよびマンガンイオンの両者を含みかつマ
ンガンイオンに対するコバルトイオンの存在モル比が
0.45から2.3である培地(以下、本発明培地と記
す。)は、一般細菌における通常の培養に使用される炭
素源、窒素源等を適宜含む各種の培地にコバルトイオン
およびマンガンイオンを上記の所定量存在させることに
より調製することができる。炭素源としては、グルコー
ス、グリセロール、デキストリン、シュークロース、有
機酸、動植物油、糖密等が挙げられる。窒素源として
は、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大
豆粉、コーン・スティープ・リカー(corn steep liquo
r)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸、硝酸ナトリウム、
尿素等の有機または無機窒素源等が挙げられる。
【0010】本発明方法で用いられるコバルトイオン
は、培地中でCo2 + またはCo3 + を与えるものであれば
いかなる形のものとして培地中に添加してもよいが、た
とえば、各種の無機塩または有機塩をあげることができ
る。好ましくは、Co2 + を与えるものであって、具体的
には塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、酢酸コ
バルト(II)、臭化コバルト(II)等があげられる。培
地中のコバルトイオンのモル濃度としては、たとえば、
約20nMから約250nMの範囲をあげることができ
る。さらに、たとえば、塩化コバルト(II)を使用する
場合には、CoCl2 ・6H2 O 換算で、好ましくは約5 〜50
mg/リットル、より好ましくは約5 〜20mg/リットルが
適している。
【0011】本発明方法で用いられるマンガンイオン
は、培地中でMn2 + を与えるものであればいかなる形の
ものとして培地中に添加してもよいが、たとえば、各種
の無機塩または有機塩をあげることができる。具体的に
は硫酸マンガン、酢酸マンガン、塩化マンガン等があげ
られる。培地中のマンガンイオンのモル濃度としては、
たとえば、約15nMから約450nMの範囲をあげる
ことができる。さらに、たとえば、硫酸マンガンを使用
する場合には、MnSO4 ・4 〜6H2 O 換算で、好ましくは
約5 〜100mg /リットル、より好ましくは約10〜40mg/
リットルが適している。
【0012】そして、本発明方法では、マンガンイオン
に対するコバルトイオンの培地中での存在モル比が0.
45から2.3である必要がある。たとえば、塩化コバ
ルト(II)と硫酸マンガンを使用する場合には、CoCl2
・6H2 O 換算とMnSO4 ・4 〜6H2 O 換算で、塩化コバル
ト(II)に対する硫酸マンガンの培地への添加量比が約
0.5から約2.0程度が適している。
【0013】本発明方法における好熱性微生物の培養
は、一般細菌における通常の培養方法に準じて行われ、
固体培養または液体培養〔試験管振盪培養、往復式振盪
培養、回転振盪培養、ジャーファーメンター(jar ferm
enter)培養、培養タンク(fermentation tank) 等〕いず
れも可能である。培養は通常、好気的条件下でおこなわ
れる。特にジャーファーメンターを使用する場合、無菌
空気を導入する必要があり、通常、培養液量の約0.1〜
約2倍/分の通気条件を用いる。培養温度は、微生物が
生育する範囲で適宜変更できるが、例えば、約30℃〜
約100℃の範囲である。培地のpHは、例えば、約2
〜約11をあげることができる。特に、バチルス・スミ
シーに属する微生物の場合、約30℃〜約100℃、好
ましくは、約40℃〜約55℃の範囲の培養温度で、約
5〜約7の培地pHをあげることができる。培養時間
は、種々の条件によって異なるが、通常、約1〜約7日
間程度が好ましい。
【0014】このようにして、本発明方法によってニト
リル化合物をアミド化合物に変換させる水和活性が向上
された好熱性微生物を得る。得られた好熱性微生物の培
養液、菌体または菌体処理物をニトリル化合物に作用さ
せ、該ニトリル化合物をアミド化合物に変換させるアミ
ド化合物の製造方法は、例えば、以下のように行うこと
ができる。前述の方法で培養した好熱性微生物の培養
液、菌体または菌体処理物を水またはリン酸緩衝液等の
緩衝液等の水性水溶液に懸濁し、これをニトリル化合物
に加えて反応させる。ここで、菌体処理物とは菌体を超
音波、ホモジェナイザーおよびフレンチプレス等の通常
用いられる処理方法により破砕された菌体破砕物もしく
は酵素、あるいは菌体、菌体破砕物、酵素等を共有結
合、イオン結合、吸着などにより担体に結合させる担体
結合法、高分子の網目構造のなかに閉じ込める包括法等
の固定化の方法によって不溶化し、容易に分離可能な状
態に加工したもの(以下、固定化物と記す。)である。
反応条件としては、使用する菌体または菌体破砕物の濃
度は、例えば、約、0.01重量%〜約20重量%、好まし
くは、約0.01重量%〜約10重量%を挙げることができ
る。また酵素及び固定化物の濃度は、その精製度または
固定化方法等によって変化するが、例えば、前記の菌体
または菌体破砕物が有すると同等のニトリル基に対する
水和活性が存在するように調製することが好ましい。培
養液はそのままの状態で、ニトリル化合物を添加するこ
とによって用いることもできるが、好ましくは、前記の
菌体または菌体破砕物が有すると同等のニトリル基に対
する水和活性が存在するように希釈または濃縮等によっ
て調製することが好ましい。反応温度は、例えば、約0
℃〜約70℃、好ましくは約0℃〜約50℃を、反応p
Hは、例えば、約5〜約10、好ましくは、約6〜約9
を、反応時間は、例えば、約10分間〜約72時間を挙
げることができる。反応pHを上記範囲内で維持すれ
ば、使用される微生物は、アミド化合物をさらに高濃度
に生成蓄積させることもできる。反応液からのアミド化
合物の回収は、一般に知られている任意の方法で行うこ
とができる。例えば、反応液から菌体等を遠心分離等に
よって除いた後、活性炭、あるいはイオン交換樹脂等に
よる処理により、不純物等を除去する。その後、減圧濃
縮、あるいは蒸留濃縮することにより析出させた結晶を
メタノール等の有機溶媒を用いて再結晶させれば目的の
アミド化合物を得ることができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れら実施例になんら限定されるものでない。
【0016】実施例1 リン酸水素2カリウム4g/ リットル、リン酸水素1カリ
ウム6g/ リットル、グリセロール20g/リットル、酵母エ
キス3.6g/ リットル、ポリペプトン2.2g/ リットル、麦
芽エキス2.2g/ リットル、および塩化コバルト(II)6
水和物、硫酸マンガン4〜6水和物をそれぞれ10mg/ リ
ットル(コバルトイオンのモル濃度として42nM、マン
ガンイオンのモル濃度として38〜45nM、マンガンイ
オンに対するコバルトイオンの存在モル比が0.9から
1.1に相当)からなる殺菌済み培地(pH6.5 )100mL
を500mL 容坂口フラスコにいれたものに、あらかじめリ
ン酸水素2カリウム4g/ リットル、リン酸水素1カリウ
ム6g/ リットル、グリセロール20g/リットル、酵母エキ
ス3.6g/ リットル、ポリペプトン2.2g/ リットル、麦芽
エキス2.2g/ リットルからなる殺菌済み培地(pH6.5 )
で前培養したバチルス・スミシーSC-J05-1(FERM P-140
37)の培養液0.2mL を加えて、45℃で72時間振とう培養
を行った。得られた培養液についてニトリルヒドラター
ゼ活性の測定を行った。なお、アクリロニトリルをアク
リルアミドに変換させるニトリルヒドラターゼ活性は次
の方法によって測定した。9mL の2.78%アクリロニトリ
ル溶液(0.05M ―リン酸バッファー、pH 7.7)に1mL の
検液を加えて、反応温度10℃にて反応を開始した。10分
後、1mL の2 規定塩酸を加えることにより反応を停止し
た。反応液の一部をガスクロマトグラフィ―にて分析
し、生成したアクリルアミドを測定した。以下、酵素活
性の単位(ユニット)は、上記活性測定において、1 分
間に1 μmol のアクリロニトリルをアクリルアミドに変
換する活性を1 ユニット(以下、Uと記す。)と定め
た。活性は、培養液あたりの活性、ならびに菌体あたり
の活性について調べた。結果を表1に示す。培養液あた
りの活性、菌体あたりの活性を算出し、MnSO4・4 〜6H2
Oのみを存在させて培養したときの値を100として他
の培養条件時の活性値を相対値(%)で示した。
【0017】比較例1、2、3 塩化コバルト(II)6水和物及び硫酸マンガン4〜6水
和物をそれぞれ10mg/リットルの添加割合で添加した培
地の代わりに上記の両化合物とも添加しない培地(比較
例1)、塩化コバルト(II)6水和物のみ10mg/ リット
ル(コバルトイオンのモル濃度として42nM)の添加割
合で添加した培地(比較例2)または硫酸マンガン4〜
6水和物のみ10mg/ リットル(マンガンイオンのモル濃
度として38〜45nM)の添加割合で添加した培地(比
較例3)を用いること以外は実施例1と同様な方法によ
って実施した。結果を表1に示す。
【0018】比較例4 塩化コバルト(II)6水和物及び硫酸マンガン4〜6水
和物をそれぞれ10mg/リットルの添加割合で添加した培
地の代わりに硫酸鉄(II) 7水和物のみを10mg/ リット
ルの添加割合で添加した培地を用いること以外は実施例
1と同様な方法によって実施した。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】 ──────────────────────────── 培養液あたりの活性 菌体あたりの活性 ──────────────────────────── 実施例1 100 100 比較例1 0.8 0.6 比較例2 0 0 比較例3 2.3 1.7 比較例4 0 0 ─────────────────────────────
【0020】実施例2 塩化コバルト(II)6水和物及び硫酸マンガン4〜6水
和物をそれぞれ10mg/リットルの添加割合で添加した培
地の代わりに、塩化コバルト(II)6水和物:硫酸マン
ガン4〜6水和物を0.5 :1 、1:1 、2:1 、3:1 、5:1
、10:1(マンガンイオンに対するコバルトイオンの存
在モル比として、約0.5 :1 、1:1 、2:1、3:1 、5:1
、10:1程度に相当)の添加割合で添加した培地(硫酸
マンガン4〜6水和物を10mg/ リットル添加、マンガン
イオンのモル濃度として38〜45nMに相当)を用いる
こと以外は実施例1と同様な方法によって実施した。結
果を表2に示した。
【0021】
【表2】 ──────────────────────────────────── CoCl2 : MnSO4 培養液あたりの活性 菌体あたりの活性 ・6H2 O ・4 〜6H2 O (添加量比として) ──────────────────────────────────── 0 : 1 0.3 0.4 0.5 : 1 70 90 1 : 1 100 100 2 : 1 103 93 3 : 1 1.2 4.3 5 : 1 1.4 2.2 10 : 1 0 0 ────────────────────────────────────
【0022】参考例1 (菌体分離例) 岡山県の土壌を採取し、該土壌をグリセロール1.0重量
%、ポリペプトン0.5重量%、酵母エキス0.3重量%、
マルトエキス0.3重量%からなる培地(pH7.2)に加
え、21日間55℃で往復振とう培養した。この培養液
の一部を同成分を含む寒天培地上に広げて培養を行い、
集落を形成させた。該集落から菌体を分離し、分離され
た菌体の一白金耳を、上記と同組成の培地に0.1重量%
のイソバレロニトリルを添加した液体培地に接種した
後、55℃、24時間培養することにより、検体である
培養液を得た。該培養液1mlを9mlの2.78重量%のア
クリロニトリル溶液(0.05M−リン酸バッファーpH7.
7)に加えて、反応温度10℃にて反応を開始した。1
0分後、1mlの2規定塩酸を加えることにより反応を停
止した。反応液の一部をガスクロマトグラフィーにて分
析し、アクリルアミド生成の有無を検定することによっ
て、ニトリル基に対する水和活性を有する菌株を選抜し
た。このようにしてニトリロ化合物をアミド化合物に変
換させる水和活性を有する好熱性微生物としてバチルス
・スミシー SC-J05-1 を得た。 (ガスクロマトグラフィー分析条件) カ ラ ム ;パックドカラム 担体;Porapak type Q (mesh 80-100) 長さ;1.1m カラム温度 ;210℃ キャリアガス流量;50ml/ min サンプル注入量 ;2μl
【0023】参考例2 (好熱性検討のための菌体培養
例) 実施例1により得られたバチルス・スミシー SC-J05-1
、及び対照として特許出願公告昭62-21519記載の中温
菌であるバチルス属菌〔フランス国立農業高等学校遺伝
学講座コレクションの保管番号R332(工業技術院生命工
学工業技術研究所寄託番号 FERM P-2717) 〕の菌体を、
各々肉汁寒天平板培地上に塗布し、複数の異なる温度で
培養を行い増殖を調べた。その結果を表3に示す。バチ
ルス・スミシー SC-J05-1 (本発明菌株)は、バチルス
属菌R332(対照菌株)と明らかに異なった好熱性微生物
であった。
【0024】
【表3】 ─────────────────────────────────── 培養温度/菌株 バチルス・スミシー SC-J05-1 バチルス属菌R332 (℃) (本発明菌株) (対照菌株) ─────────────────────────────────── 20 − ++ 30 + ++ 40 ++ + 55 ++ − 60 ++ − 70 − − ─────────────────────────────────── 評価基準:(−)増殖しなかった、(+)増殖した、(++)良く増殖した
【0025】
【発明の効果】本発明は、常温以上の温度域においても
安定にニトリル化合物をアミド化合物に変換させる水和
活性を有する好熱性微生物をある特定なモル比でコバル
トイオンとマンガンイオンを添加した培地で培養するこ
とによって上記の水和活性を向上させる方法を提供する
ものである。該方法によって、従来より純度の高いアミ
ド化合物を効率的に製造することができるようになっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07) (72)発明者 光田 賢 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニトリル化合物に、ニトリル化合物をアミ
    ド化合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生物の
    培養液、菌体または菌体処理物を作用させ、該ニトリル
    化合物をアミド化合物に変換させるアミド化合物の製造
    方法において使用される好熱性微生物を、コバルトイオ
    ンおよびマンガンイオンの両者を含みかつマンガンイオ
    ンに対するコバルトイオンの存在モル比が0.45から
    2.3である培地で培養することによって、該好熱性微
    生物が有する前記の水和活性を向上させる方法。
  2. 【請求項2】好熱性微生物がバチルス・スミシーに属す
    ることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】培地中のコバルトイオンのモル濃度が20
    nMから250nMの範囲であり、かつ、マンガンイオ
    ンのモル濃度が15nMから450nMの範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】ニトリル化合物に、コバルトイオンおよび
    マンガンイオンの両者を含みかつマンガンイオンに対す
    るコバルトイオンの存在モル比が0.45から2.3で
    ある培地で培養することによって得られたニトリル化合
    物をアミド化合物に変換させる水和活性を有する好熱性
    微生物の培養液、菌体または菌体処理物を作用させ、該
    ニトリル化合物をアミド化合物に変換させることを特徴
    とするアミド化合物の製造方法。
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