JPH1156358A - 没食子酸脱炭酸酵素及びピロガロールの製造法 - Google Patents

没食子酸脱炭酸酵素及びピロガロールの製造法

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JPH1156358A
JPH1156358A JP9222339A JP22233997A JPH1156358A JP H1156358 A JPH1156358 A JP H1156358A JP 9222339 A JP9222339 A JP 9222339A JP 22233997 A JP22233997 A JP 22233997A JP H1156358 A JPH1156358 A JP H1156358A
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Japan
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gallic acid
pyrogallol
acid decarboxylase
decarboxylase
asn
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JP9222339A
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English (en)
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Shinya Miyaji
伸也 宮地
Yasushi Hotta
康司 堀田
Kikuo Watanabe
喜久男 渡辺
Toru Nagasawa
透 長澤
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Publication date
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 特定の酵素学的性質を有する没食子酸脱
炭酸酵素、これを用いるピロガロール製法、及び還元剤
を利用した没食子酸脱炭酸酵素の安定化、精製法。 【効果】 本発明により、従来精製が困難とされていた
没食子酸脱炭酸酵素が、分離できた。本発明酵素を用い
ればピロガロールが効率良く生産できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は没食子酸脱炭酸酵素
及びこれを利用したピロガロールの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】ピロガロールは還元力が強いことから写
真の現像液、金属の分析試薬、ガス分析における酸素吸
収剤、種々の染色剤、染料原料、医薬品原料等として広
く使用されている工業的に重要な化合物である。
【0003】ピロガロールの製造法としては没食子酸の
加熱による脱炭酸反応が広く採用されているが、副生物
が多く純度の高いピロガロールが得難いという問題があ
る。
【0004】一方、タンニン酸や没食子酸にクレブシエ
ラ属(Antonie van Leeuvenhoek, 35, 325(1969))、シ
トロバクター属(Agric. Biol. Chem., 46(10), 2539〜
2546(1982))、エルヴィニア属及びエアロモナス属(特
開昭61−108393号公報)、エンテロバクター属
(特開昭63−49088号公報)等の細菌を作用させ
てピロガロールを製造する方法が知られている。かかる
微生物によるピロガロールの生産が、該微生物の産生す
る没食子酸脱炭酸酵素の作用によるものであることは判
明している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この没
食子酸脱炭酸酵素は、通常の緩衝液中で極めて不安定で
あり、未だ充分な精製がなされておらず、その酵素学的
性質は解明されていない(Agric. Biol. Chem., 46(1
0), p2544(1982)、及びJ. Food Hyg. Soc. Japan,Vol.
33, No.4, p373(1992)参照)。
【0006】従って、本発明の目的はピロガロールの生
産に有用な没食子酸脱炭酸酵素を単離精製すること、及
びこれを利用したピロガロールの製造法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、ピ
ロガロール生産性のより高い微生物及び没食子酸脱炭酸
酵素の単離をすべく種々検討した結果、パントエア属に
属する微生物中にタンニン酸又は没食子酸からピロガロ
ールを著量生産する微生物を見出した。さらに研究を続
けたところ還元剤の存在下において没食子酸脱炭酸酵素
が極めて安定化し、還元剤の存在下で精製すれば該酵素
が効率良く精製でき、没食子酸脱炭酸酵素の単離精製に
初めて成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は次の酵素学的性質を有
する没食子酸脱炭酸酵素を提供するものである。 (1)作用 没食子酸を脱炭酸しピロガロールを生成する。 (2)作用pH及び至適pH 少なくともpH4.5〜8.5で作用し、至適pHは5.5
〜6.5である。 (3)作用温度及び至適温度 少なくとも20〜70℃で作用し、至適温度は50℃付
近である。 (4)温度安定性 60℃までは60%以上安定であるが、70℃以上では
失活する(pH6.0で15分間インキュベート)。 (5)分子量 HPLCゲル濾過用カラムを用いた分析による分子量は
442kDaであり、SDS−ポリアクリルアミドゲル
電気泳動による分析では58kDaである。 (6)種々の化合物による影響 水銀、銀、銅、クロム又はp−クロロメルクリ安息香酸
の添加により強い阻害を受け、キレート剤の添加によっ
て阻害を受ける。 (7)金属の含有 鉄を含有する。 (8)N末端アミノ酸配列 N末端アミノ酸配列は、Ser-Asn-Thr-Glu-Asn-Leu-Pro-
Ala-Asn-Asp-Val-Tyr-Asp-Leu-Arg-である。
【0009】また、本発明は上記の没食子酸脱炭酸酵素
又は該没食子酸脱炭酸酵素生産菌を没食子酸に作用させ
ることを特徴とするピロガロールの製造法を提供するも
のである。また、本発明はパントエア属に属するピロガ
ロール生産菌をタンニン酸又は没食子酸に作用させるこ
とを特徴とするピロガロールの製造法を提供するもので
ある。さらに、本発明は、還元剤を添加することを特徴
とする没食子酸脱炭酸酵素の安定化方法を提供するもの
である。さらにまた、本発明は、還元剤の存在下で精製
することを特徴とする没食子酸脱炭酸酵素の精製方法を
提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の没食子酸脱炭酸酵素を生
産する微生物としては、特に制限されないが、本発明者
らが土壌から分離したT−7−1株が挙げられる。該T
−7−1株の菌学的性質は以下の通りである。 (a)形態的性質 (1)細胞の形及び大きさ:0.5〜0.8×2〜3μ
mの桿菌 (2)細胞の多形性の有無:なし (3)運動性の有無と鞭毛の着生状態:あり、周鞭毛 (4)胞子の有無:なし
【0011】(b)培養的性質 (1)肉汁寒天平板培養 生育の程度:良好な生育 コロニーの形:点状 コロニーの隆起:半レンズ状 コロニー周辺の形状:全縁 コロニー表面の形状:平滑 コロニーの色:薄クリーム色 コロニーの光沢:光沢あり(2)肉汁液体培養 生育の程度:中程度の生育 沈殿、菌膜は認められない (3)肉汁ゼラチン穿刺培養:液化しない
【0012】(c)生理学的性質 (1)グラム染色性:陰性 (2)硝酸塩の還元:(+) (3)脱窒反応:(−) (4)MRテスト:(+) (5)VPテスト:(−) (6)インドールの生成:(−) (7)硫化水素の生成:(−) (8)でんぷんの加水分解:(−) (9)クエン酸の利用: Koser の培地:利用する Christensen の培地:利用する (10)無機窒素源の利用:利用する (11)色素の生成:(−) (12)ウレアーゼ:(−) (13)オキシダーゼ:(−) (14)カタラーゼ:(+) (15)生育の範囲:pH4.5〜9.0、温度14〜4
0℃ (16)酸素に対する態度:通性嫌気性 (17)O−Fテスト:発酵的
【0013】
【表1】 (18)糖類から酸及びガスの生成 酸の生成 ガスの生成 (1)L−アラビノース + − (2)D−キシロース + − (3)D−グルコース + − (4)D−マンノース + − (5)D−フラクトース + − (6)D−ガラクトース + − (7)マルトース + − (8)シュークロース + − (9)ラクトース + − (10)トレハロース + − (11)D−ソルビトール + − (12)D−マンニトール + − (13)イノシトール + − (14)グリセリン + −
【0014】(d)その他の諸性質 (1)オルニチンデカルボキシラーゼ:(+) (2)リジンデカルボキシラーゼ:(−) (3)アルギニンデカルボキシラーゼ:(+) (4)アルギニンデイミナーゼ:(−) (5)ゼラチンの分解:(+) (6)β−ガラクトシダーゼ:(+) (7)トリプトファンデアミナーゼ:(−)
【0015】以上の菌学的性質に基づいて本菌株はパン
トエア アグロメランス(Pantoeaagglomerans)に属す
る菌株であると、英国 The National Collections of I
ndustrial & Marine Bacteria Ltd.(NCIMB)により同
定された。そこで本出願人は本菌株をパントエア アグ
ロメランス T−7−1と命名し、工業技術院生命工学
技術研究所にFERM P−16375として寄託し
た。
【0016】上記微生物を用いて本発明の没食子酸脱炭
酸酵素を得るには、該微生物を適当な培地に接種し、常
法に従って培養すればよい。該培地中には適当な炭素源
及び窒素源を含有せしめておくことが好ましい。
【0017】ここで炭素源としては、グルコース、アラ
ビノース、マンニトール、シュークロース、グリセリン
等が挙げられる。また窒素源としては、ペプトン、肉エ
キス、酵母エキス、コーン・スティープ・リカー等の天
然窒素源、各種無機塩類が用いられる。また微量栄養素
として各種ビタミン類、アミノ酸類、核酸類を含有させ
てもよい。
【0018】培養は、pH4.5〜9.0、14〜40℃
で好気的に行うのが好ましい。培養手段は、静置、振と
うのいずれでもよい。
【0019】培養物から本発明酵素を採取、精製するに
は、培養物に還元剤を添加して、本発明酵素を安定化さ
せて行うのが好ましい。還元剤としては、アスコルビン
酸塩、亜二チオン酸塩、ジチオトレイトール、チオ硫酸
塩等が挙げられる。還元剤の添加濃度は特に制限されな
いが、0.1mM〜1Mが好ましい。
【0020】すなわち、培養物より菌体を集め、還元剤
の存在下において、該菌体より破砕、遠心分離、硫安分
画、限外濾過、ゲル濾過等の分離操作を行うのが好まし
い。
【0021】このように没食子酸脱炭酸酵素が還元剤を
共存させると安定化し、精製が可能になることは全く新
しい知見であり、従来分離不可能であった没食子酸脱炭
酸酵素も還元剤存在下で精製できることは明らかであ
る。より具体的には、没食子酸脱炭酸酵素を含有する粗
酵素液、培養液又は培養物に還元剤(例えば0.1mM〜
1M)を添加して、遠心分離、硫安分画、限外濾過、ゲ
ル濾過等の精製操作を行えばよい。かくして得られる本
発明酵素のより詳細な酵素学的性質は以下の通りであ
る。
【0022】(1)作用 没食子酸を脱炭酸とピロガロールを生成する。 (2)作用pH及び至適pH 酵素標品をそれぞれpH4〜10に調製した50mMのクエ
ン酸ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、トリス
塩酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中で活
性を測定したところ、少なくともpH4.5〜8.5で作
用し、至適pHは5.5〜6.5であった。 (3)作用温度及び至適温度 酵素標品を20〜70℃の各温度で5分間没食子酸と反
応させて酸酵素活性を測定したところ、少なくとも20
〜70℃で作用し、至適温度は50℃であった。 (4)温度安定性 酵素標品をpH6.0で20〜70℃に15分間インキュ
ベートした。その後30℃にて没食子酸と10分間反応
させて活性を測定したところ、60℃までは60%以上
安定であったが、70℃では完全に失活した。 (5)分子量 東ソー社製 TSK-Gel SW3000 を用いたHPLC分析によ
り、本酵素の分子量は442kDaであった。また、S
DS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析で
は、58kDaの分子量であったことから、本酵素は同
一のサブユニット8量体から構成される。 (6)種々の化合物による酵素活性への影響 以下に示す各化合物が1mMの濃度となるように添加した
50mMのリン酸カルシウム緩衝液(pH6.0)に酵素標
品を添加し、没食子酸脱炭酸酵素活性を測定した。化合
物を添加していない条件での活性を100%として、残
存活性を求めたところ、本酵素はo−フェナントロリ
ン、α,α′−ジピリジル、タイロン、シアン化カリウ
ム等のキレート剤の添加により阻害を受け、p−クロロ
メルクリ安息香酸や銀、銅、水銀、クロム等の添加によ
り強い阻害を受けた。 (7)金属の含有量 酵素標品の金属分析を行った結果、本酵素には1分子あ
たり約9.6グラム原子の鉄が含まれていた。 (8)N末端アミノ酸配列 酵素標品をエドマン分解法により分析した結果、本酵素
のN末端アミノ酸配列はSer-Asn-Thr-Glu-Asn-Leu-Pro-
Ala-Asn-Asp-Val-Tyr-Asp-Leu-Arg-であった。
【0023】本発明酵素を用いてピロガロールを生産す
るには、没食子酸に本発明酵素を作用させればよいが、
本発明酵素を単離することなく、没食子酸に本発明酵素
生産菌を作用させることによっても行うことができる。
【0024】没食子酸に本発明酵素を作用させるには、
本発明酵素の作用pH及び作用温度、より好ましくは至適
pH及び至適温度の条件下で、没食子酸を1〜20重量%
添加して1〜数十時間インキュベートするのがよい。よ
り好ましくは、反応系に還元剤を0.1mM〜1Mとなる
ように添加して反応を行う。
【0025】一方、没食子酸に本発明酵素生産菌を作用
させるには、当該生産菌の培地中に没食子酸を添加して
培養すればよく、その培養条件は前記と同様であればよ
い。ここで没食子酸の添加量は、0.1〜20重量%が
好ましい。また、かかる培養においても、培地中に還元
剤を添加するのが好ましく、還元剤の添加濃度は0.1
mM〜1Mが好ましい。
【0026】また、本発明酵素生産菌に代表されるパン
トエア属に属するピロガロール生産菌は、没食子酸脱炭
酸酵素以外にタンナーゼも産生するので、これをタンニ
ン酸に作用させてもピロガロールを製造することができ
る。パントエア属に属するピロガロール生産菌をタンニ
ン酸に作用させるには、前記の本発明酵素生産菌に没食
子酸を作用させる場合と同様に、該ピロガロール生産菌
の培地中にタンニン酸を添加して培養すればよい。ここ
で、タンニン酸の添加量は0.1〜20重量%が好まし
い。なお、該ピロガロール生産菌が、没食子酸脱炭酸作
用に比してタンナーゼ活性が低い場合には、タンナーゼ
又はタンナーゼ生産菌を添加して反応を行うのが好まし
い。また、タンニン酸を基質として用いる場合にも、培
地に還元剤(好ましくは0.1mM〜1M)を添加して反
応を行うのが好ましい。
【0027】生成したピロガロールはペーパークロマト
グラフィー、薄層クロマトグラフィーにより定性、硫酸
バニリン法、高速液体クロマトグラフィーにより定量す
ることができる。ピロガロールは酸性ジエチルエーテル
抽出、昇華法等公知の方法により精製、単離することが
できる。
【0028】本発明酵素の活性測定方法は次の通りであ
る。酵素活性は10mMの没食子酸を含む50mMのリン酸
カリウム緩衝液(pH6.0)に酵素溶液を添加し、30
℃にて10分間インキュベートし、生成するピロガロー
ル量をHPLCにて分析することにより測定した。酵素
活性は、1分間に1μmol のピロガロールを生成するの
に用いられる酵素量を1Uとした。
【0029】 HPLC分析条件 カラム:M&S Pack C−18 4.6×150mm 溶離液:A液 10mMリン酸カリウム/リン酸緩衝液(pH2.8) B液 アセトニトリル A:B=99:1(v/v) 流 速:1.0ml/min 検 出:UV230nm 試料注入量:5μL
【0030】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0031】実施例1(菌の取得) 表2に示す培地を内径21mmの試験管に10ml入れ、滅
菌後、岡山県内より採取した土壌、腐葉土、落ち葉、計
300試料を0.5g〜1gそれぞれ添加して30℃に
て7日間好気的に振とう培養を行った。培養により微生
物の成育が認められたものについては、その培養液を新
たな同培地に接種し集積培養を4回繰り返して行った。
その後、得られた培養液をそれぞれ上記培地に寒天を加
えて作成した寒天培地に撒き、生じたコロニーをタンニ
ン酸含有培地に接種し、これに生育する62株の微生物
を取得した。これら62株の培養液についてピロガロー
ルの蓄積量を測定した結果、T−7−1株が最も高い値
を示した。また、上記培地のタンニン酸の代わりに没食
子酸を添加した培地により、上記62株を培養し、同様
にピロガロールの蓄積量を測定した結果も、T−7−1
株が最も高い蓄積を示した。そこで、このT−7−1株
を没食子酸並びにピロガロール生産に最も適した菌株と
して取得した。尚、培養液中に含まれる没食子酸、ピロ
ガロールの測定はHPLCを用い、表3に示す条件によ
り行った。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】 HPLCによる没食子酸、ピロガロールの測定条件 カラム M&S Pack C-18, 4.6×150mm 溶離液 10mM KH2PO4-H3PO4(pH2.8)/CH3CN 99:1(v/v) 流速 1.0ml/min 検出 UV230nm 試料注入量 5マイクロリットル
【0034】実施例2 T−7−1株を表4に示す生産培地50mlを含むフラス
コにて28℃で24時間培養した。その後培養液中に含
まれるピロガロールの濃度を測定したところ、25mM
(3.2g/L)の生産が確認された。
【0035】
【表4】
【0036】実施例3 表4の培地において、タンニン酸の代わりに没食子酸を
20g添加する以外は実施例2と同様にT−7−1株を
培養した結果、30mM(3.8g/L)のピロガロール
が生産された。また、同様にして48時間培養した場合
は60mM(7.6g/L)のピロガロールが生産され
た。
【0037】実施例4 表4のタンニン酸培地40mlにT−7−1株を生育さ
せ、遠心分離により集菌を行い0.1Mリン酸カリウム
バッファーに再懸濁し1mlの休止菌体濃縮液を作成し
た。表5に示す組成の反応液を作成し、タンニン酸と反
応させた結果、1時間の反応で17mM(2.2g/
L)、2時間の反応で25mM(3.2g/L)のピロガ
ロールが生産された。
【0038】
【表5】 休止菌体による反応液組成 成 分 添加量 0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.0) 0.5ml タンニン酸(10g/L) 0.5ml 菌体濃縮液 1.0ml 合 計 2.0ml
【0039】実施例5 アスペルギルス由来のタンナーゼ(tannin acylhydrola
se, EC3.1. 1. 20,和光純薬株式会社)を20U/ml添
加した以外は実施例4と同様に休止菌体濃縮液を用いて
反応を行わせた結果、1時間の反応で28mM(3.5g
/L)のピロガロールが生産された。
【0040】実施例6 表6の没食子酸培地中にT−7−1株を生育させ、遠心
分離により集菌を行い、0.1Mリン酸カリウム緩衝液
(pH6.0)に懸濁し菌体濃縮液を作成した。表7に示
す反応液を作成し、没食子酸と反応させた結果、1時間
の反応で20mMのピロガロールの生産が確認された。
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】 反応液組成 成 分 添加濃度 アスコルビン酸 50mM リン酸カリウム(pH6.0) 25mM 没食子酸(pH6.0) 20mM 菌体 7.0mg 全 量 2.0ml
【0043】実施例7 培地に図1に示す還元剤(アスコルビン酸ナトリウム、
ジチオトレイトール、チオ硫酸ナトリウム、亜ジオチン
酸ナトリウム)を添加する以外は実施例6と同様にして
30℃、10分間反応させた。その結果、図1に示すよ
うに、還元剤を添加した場合にピロガロールの生産量が
増大することが判明した。図中の相対活性は、還元剤未
添加の場合を100%として示した。
【0044】実施例8 添加した没食子酸の濃度を250mMに、菌体量を35.
3mgとした以外は実施例6と同様にして1時間の反応を
させた結果、240mMのピロガロールを生産した。
【0045】実施例9 供試菌としてP. agglomerans T−7−1株を用い、表
6に示す培地により28℃にて7時間培養を行った。そ
の後遠心分離により集菌し、100mM リン酸カリウム
緩衝液(pH6.0)に再懸濁し、以下に示す条件で還元
剤を添加し、超音波処理による菌体破砕を行った。菌体
破砕後、遠心分離を行い上清を無細胞抽出液とした。無
細胞抽出液を4℃にて保存し、破砕直後、24時間、4
8時間後に没食子酸脱炭酸酵素の活性を測定した。その
結果、表8に示すように還元剤を添加することにより本
酵素活性は安定化させることが可能であった。
【0046】
【表8】
【0047】実施例10 実施例9と同様にしてT−7−1株を1Lの培地で培養
し、50mMのチオ硫酸ナトリウム、1mMのDTT存在下
で無細胞抽出液を調製した。以下の工程では全て50mM
のチオ硫酸ナトリウム、1mMのDTT存在下、0〜4℃
にて実施した。無細胞抽出液から硫酸アンモニウム沈殿
により、30〜50%(飽和)濃度の沈殿画分を活性画
分として取得した。活性画分を集めて10mMリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.0)に透析し、10mMリン酸カリウ
ム緩衝液(pH7.0)にて平衡化したDEAE-Sephacel
(ファルマシアバイオテク社)カラム(3.0×35c
m)に吸着させた。その後、溶離液のリン酸濃度を50m
Mに上げ、没食子酸脱炭酸酵素活性画分を取得した。再
度、硫酸アンモニウムによる塩析を行い、45〜60%
(飽和)沈殿分を活性画分として取得した。活性画分を
集めて1mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に透析
し、同緩衝液で平衡化した1.0×10cmのヒドロキシ
アパタイトカラム(生化学工業社製)に吸着させ、その
後緩衝液のリン酸濃度を100mMまで上昇させて溶出を
行い、活性画分を得た。活性画分は20%飽和硫酸アン
モニウムを含む100mMのリン酸緩衝液にて平衡化した
1.0×10cmのブチルトヨパール(東ソー社製)カラ
ムに吸着させ、その後、硫酸アンモニウム濃度を5%ず
つ段階的に低下させ、10%の飽和硫酸アンモニウム濃
度による溶出で、活性画分を得た。このようにして得ら
れた活性画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動法により純度検定を行ったところ、単一なバンドのみ
が確認され、純粋な没食子酸脱炭酸酵素を得た。
【0048】
【発明の効果】本発明により、従来精製が困難とされて
いた没食子酸脱炭酸酵素が分離できた。本発明酵素を用
いればピロガロールが効率良く生産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明酵素を用いてピロガロール生産における
還元剤の添加効果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (72)発明者 渡辺 喜久男 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 長澤 透 岐阜県岐阜市柳戸1−1 岐阜大学内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の酵素学的性質を有する没食子酸脱炭
    酸酵素。 (1)作用 没食子酸を脱炭酸しピロガロールを生成する。 (2)作用pH及び至適pH 少なくともpH4.5〜8.5で作用し、至適pHは5.5
    〜6.5である。 (3)作用温度及び至適温度 少なくとも20〜70℃で作用し、至適温度は50℃付
    近である。 (4)温度安定性 60℃までは60%以上安定であるが、70℃以上では
    失活する(pH6.0で15分間インキュベート)。 (5)分子量 HPLCゲル濾過用カラムを用いた分析による分子量は
    442kDaであり、SDS−ポリアクリルアミドゲル
    電気泳動による分析では58kDaである。 (6)種々の化合物による影響 水銀、銀、銅、クロム又はp−クロロメルクリ安息香酸
    の添加により強い阻害を受け、キレート剤の添加によっ
    て阻害を受ける。 (7)金属の含有 鉄を含有する。 (8)N末端アミノ酸配列 N末端アミノ酸配列は、Ser-Asn-Thr-Glu-Asn-Leu-Pro-
    Ala-Asn-Asp-Val-Tyr-Asp-Leu-Arg-である。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の没食子酸脱炭酸酵素又は
    該没食子酸脱炭酸酵素生産菌を没食子酸に作用させるこ
    とを特徴とするピロガロールの製造法。
  3. 【請求項3】 没食子酸脱炭酸酵素生産菌が、パントエ
    ア(Pantoea)属に属するものである請求項2記載の製
    造法。
  4. 【請求項4】 没食子酸脱炭酸酵素生産菌が、パントエ
    ア アグロメランスに属するものである請求項2記載の
    製造法。
  5. 【請求項5】 没食子酸脱炭酸酵素生産菌が、パントエ
    ア アグロメランスT−7−1(FERM P−163
    75)である請求項2記載の製造法。
  6. 【請求項6】 没食子酸脱炭酸酵素又は該酵素生産菌
    を、還元剤の存在下で没食子酸に作用させるものである
    請求項2〜5のいずれか1項記載の製造法。
  7. 【請求項7】 パントエア属に属するピロガロール生産
    菌をタンニン酸又は没食子酸に作用させることを特徴と
    するピロガロールの製造法。
  8. 【請求項8】 原料がタンニン酸の場合、タンナーゼ又
    はタンナーゼ生産菌を添加して反応を行う請求項7記載
    の製造法。
  9. 【請求項9】 さらに還元剤を添加して反応を行う請求
    項7又は8記載の製造法。
  10. 【請求項10】 還元剤を添加することを特徴とする没
    食子酸脱炭酸酵素の安定化方法。
  11. 【請求項11】 還元剤の存在下で精製することを特徴
    とする没食子酸脱炭酸酵素の精製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104178552A (zh) * 2014-07-28 2014-12-03 中国林业科学研究院林产化学工业研究所 一种高产没食子酸脱羧酶(gad)菌种筛选及降解没食子酸制备焦性没食子酸的方法

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CN104178552A (zh) * 2014-07-28 2014-12-03 中国林业科学研究院林产化学工业研究所 一种高产没食子酸脱羧酶(gad)菌种筛选及降解没食子酸制备焦性没食子酸的方法

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