JPH07255494A - アミド化合物の製造方法および使用される微生物 - Google Patents

アミド化合物の製造方法および使用される微生物

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JPH07255494A
JPH07255494A JP189795A JP189795A JPH07255494A JP H07255494 A JPH07255494 A JP H07255494A JP 189795 A JP189795 A JP 189795A JP 189795 A JP189795 A JP 189795A JP H07255494 A JPH07255494 A JP H07255494A
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bacillus
nitrile
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JP189795A
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Yoshiki Takashima
喜樹 高島
Fujio Mukumoto
藤夫 椋本
Masaru Mitsuta
賢 光田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ニトリル化合物に、ニトリル化合物をアミド
化合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生物の培
養液、菌体、または菌体処理物を作用させ、該ニトリル
化合物をアミド化合物に変換させることを特徴とするア
ミド化合物の製造方法。 【効果】 本発明により、常温以上の温度域においても
安定にニトリル化合物をアミド化合物に変換させること
が可能となったため、従来のように低温での反応を行な
うことなく、他の温度域において純度の高いアミド化合
物を効率的に製造することができるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミド化合物の製造方
法および使用される微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、微生物等の生体触媒が、化学反応
の触媒として盛んに利用されている。ニトリル化合物を
アミド化合物に変換させる場合にも、微生物を用いた製
造方法が知られている。例えば、バチルス(Bacillus)
属、バクテリジューム(Bacteridium) 属、ミクロコッカ
ス(Micrococcus) 属、ブレビバクテリウム(Brevibacter
ium)属に属する微生物を用いる方法 (USP-4001081)、コ
リネバクテリウム(Corynebacterium) 属、ノカルジア
(Nocardia) 属に属する微生物を用いる方法 (USP-42489
68)、シュードモナス(Pseudomonas) 属に属する微生物
を用いる方法 (USP-4555487)、ロドコッカス(Rhodococc
us) 属、ミクロバクテリウム (Microbacterium) 属に属
する微生物を用いる方法 (EP-188316)、フザリウム (Fu
sarium) 属に属する微生物を利用する方法 (特開昭64-8
6889) 等が挙げられる。上記のように、ニトリル化合物
をアミド化合物に変換させる水和活性を有する微生物
が、いく種類か知られているが、これらの微生物はいず
れも55℃以上の高温では増殖しない中温菌である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、中温菌
の有する、ニトリル化合物をアミド化合物に変換させる
水和活性は常温以上の温度域では不安定であるため、一
般にこれら微生物を用いたアミド化合物の製造は低温で
行われている。このようにアミド化合物の製造には、リ
アクターを低温で制御する冷却設備を必要とし、また冷
却のためのエネルギーを消費するので製造コストが非常
に大きくなっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、岡山県のある温泉土
壌より分離した好熱性微生物が常温以上の温度域におい
ても安定にニトリル化合物をアミド化合物に変換させる
水和活性を有することを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、ニトリル化合物に、ニトリル化合物を
アミド化合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生
物の培養液、菌体、又は菌体処理物を作用させ、該ニト
リル化合物をアミド化合物に変換させることを特徴とす
るアミド化合物の製造方法(以下、本発明方法と記
す。)および使用される微生物を提供するものである。
【0005】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明方法において、ニトリル化合物としては、例えば、
n−ブチロニトリル、n−バレロニトリル、イソブチロ
ニトリル、アセトニトリル、ピバロニトリル等の脂肪族
ニトリル化合物、2−クロロプロピオニトリル等のハロ
ゲン原子を含むニトリル化合物、アクリロニトリル、ク
ロトノニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和結合を
含む脂肪族ニトリル化合物、ラクトニトリル、マンデロ
ニトリル等のヒドロキシニトリル化合物、2−フェニル
グリシノニトリル等のアミノニトリル化合物、ベンゾニ
トリル、シアノピリジン等の芳香族ニトリル化合物、マ
ロノニトリル、スクシノニトリル、アジポニトリル等の
ジニトリル化合物等が挙げられる。好ましくは、n−ブ
チロニトリル、n−バレロニトリル、イソブチルロニト
リル、アセトニトリル、ピバロニトリル、2−クロロプ
ロピオニトリル、アクリロニトリル、クロトノニトリ
ル、メタクリロニトリル、ベンゾニトリル、2−シアノ
ピリジン、3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、
マロノニトリル、スクシノニトリオルまたはアジポニト
リルを挙げることができる。
【0006】本発明に使用される微生物は、ニトリル化
合物をアミド化合物に変換させる水和活性を有する好熱
性微生物であれば、いかなるものでもよい。ここで“好
熱性微生物”とは、培養温度が55℃以上でも増殖する
能力を有する微生物のことである。このような微生物
は、広く自然界及び各種の微生物保存機関が保管する微
生物より容易に検索することができる。即ち、具体的に
は次のような方法が挙げられる。広く自然界より採取し
た土壌、あるいはその土壌を水に充分に懸濁した後の上
清を、一般に知られている微生物生育用培地、例えばグ
リセロール、ポリペプトン、酵母エキス、麦芽エキス等
を主成分とした液体培地、あるいは寒天培地に適当量添
加し、55℃以上の培養温度にて、約24時間から3か
月程度の間培養する。これにより得られる培養液、ある
いは菌体の一部を、同成分を含む寒天平板培地に広げて
さらに培養し集落を形成させることによって、好熱性微
生物を得ることができる。このようにして自然界より得
られた好熱性微生物や各種微生物保存機関の保管する好
熱性微生物は、上記培地成分、及びニトリル化合物ある
いはアミド化合物、例えばイソバレロニトリル、クロト
ノニトリル、クロトンアミド等を含む液体培地を入れた
試験管、あるいはフラスコを用い適当な期間、例えば約
12時間から7日程度の間、55℃以上の培養温度にて
培養することによって増殖させる。その培養液を、たと
えばプロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル
化合物の水溶液に加えて、例えば30℃の反応温度で約
10〜60分間反応させた後、該反応液中におけるアミ
ド化合物の生成の有無を調べることによって、ニトリル
化合物をアミド化合物に変換させる水和活性を有する好
熱性微生物を容易に検索することができる。なお、アミ
ド化合物の検出には、たとえば後述のようなガスクロマ
トグラフィーによる分析方法を用いることができる。具
体的には、たとえばバチルス・スミシー(Bacillus smi
thii) SC-J05-1株をあげることができる。本菌株は、本
発明者らが自然界より分離した、ニトリル化合物のニト
リル基に対する高い水和活性を有するバチルス属に属す
る好熱性微生物であり、工業技術院生命工学工業技術研
究所 (FERM P-14037) に寄託 (受理日平成5年12月24
日) されている。なお、該微生物は、同所において平成
6年12月14日付けでブタペスト条約下での寄託に変
更されている (FERM BP-4935)。バチルス・スミシー S
C-J05-1 株の菌学的性質は以下のとおりである。
【0007】(a)形態 1.細胞の形および大きさ 形 : 桿状 大きさ : 0.5〜0.8μm(x)0.8〜2μm 2.細胞の多形性の有無 : 無 3.運動性の有無 : 有、周鞭毛 4.胞子の有無 : 有 5.グラム染色 : 不定 6.抗酸性 : 無 (b)生育状態 1.肉汁寒天平板培養 : 周円、凸状、光沢無、薄
褐色 2.肉汁寒天斜面培養 : 光沢無、薄褐色 3.肉汁液体培養 : 一様に混濁して生育 4.肉汁ゼラチン穿刺培養: 液化しない 5.リトマスミルク : 反応性無し
【0008】(c)生理学的性質 1.硝酸塩の還元 : − 2.脱窒反応 : − 3.MRテスト : + 4.VPテスト : − 5.インドールの生成 : − 6.硫化水素の生成 : + 7.デンプンの加水分解 : − 8.クエン酸の利用 : (コーサーの培地) : ± 9.無機窒素源の利用 NaNO3 : − (NH4 ) 2 SO4 : + 10. 色素の生成 キングA培地 : − キングB培地 : − 11. ウレアーゼ : − 12. オキシダーゼ : + 13. カタラーゼ : −〜± 14. 生育の範囲 pH : 4.1〜7.5 温度 : 30℃〜60℃ 15. 酸素に対する態度 : 微好気性 16. O−Fテスト : F
【0009】(d)その他の性質 1.GC含量 : 40.6% 以上の諸性質を有する微生物について記載される文献を
広く調査したところ、上記の諸性質と同等の性質を有す
るバチルス・スミシー (Bacillus smithii) がL. K. Na
kamura et al., International Journal of Systematic
Bacteriology38, 63-73 (1988)において報告されてい
た。以上の結果から、SC-J05-1株をバチルス・スミシー
(Bacillus smithii) であると同定した。バチルス・ス
ミシーに属する微生物においては、ニトリル化合物をア
ミド化合物に変換させる水和活性についてなんらの知見
も知られていない。この点においてバチルス・スミシー
SC-J05-1 (FERM P-14037 、FERM BP-4935) は新菌株と
認められる。また、該菌株の変異体、即ち、バチルス・
スミシー SC-J05-1 (FERMP-14037 、FERM BP-4935) よ
り誘導された突然変異体、細胞融合株および遺伝子組み
換え株も本発明方法において利用が可能である。
【0010】本発明方法において使用される微生物の培
養には、一般細菌における通常の培養に使用される炭素
源、窒素源、有機ないし無機塩等を適宜含む各種の培地
を使用することができる。炭素源としては、グルコー
ス、グリセロール、デキストリン、シュークロース、有
機酸、動植物油、糖密等が挙げられる。窒素源として
は、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大
豆粉、コーン・スティープ・リカー(corn steep liquo
r)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸、硝酸ナトリウム、
尿素等の有機または無機窒素源等が挙げられる。有機な
いし無機塩としては、カリウム、ナトリウム、マグネシ
ウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸
塩類、酢酸塩類、炭酸塩類およびリン酸塩類、具体的に
は、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜
鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナ
トリウム、リン酸水素1カリウム、リン酸水素2カリウ
ム、リン酸水素1ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム
等を挙げることができる。本発明方法において使用され
る微生物の有するニトリル基に対する水和活性を高める
ために、イソバレロニトリル、クロトノニトリル等のニ
トリル化合物、クロトンアミド等のアミド化合物を培地
に添加するのが好ましい。添加量としては、例えば、培
地100ml に対して、約10mg〜約1gを挙げることができ
る。
【0011】本発明方法において使用される微生物の培
養は、一般細菌における通常の培養方法に準じて行わ
れ、固体培養または液体培養〔試験管振盪培養、往復式
振盪培養、回転振盪培養、ジャーファーメンター(jar
fermenter)培養、培養タンク(fermentation tank) 等〕
いずれも可能である。培養は通常、好気的条件下でおこ
なわれる。特にジャーファーメンターを使用する場合、
無菌空気を導入する必要があり、通常、培養液量の約0.
1〜約2倍/分の通気条件を用いる。培養温度は、微生
物が生育する範囲で適宜変更できるが、例えば、約30
℃〜約100℃の範囲である。培地のpHは、例えば、
約2〜約11をあげることができる。特に、バチルス・
スミシーに属する微生物の場合、約30℃〜約100
℃、好ましくは、約40℃〜約55℃の範囲の培養温度
で、約5〜約7の培地pHをあげることができる。培養
時間は、種々の条件によって異なるが、通常、約1〜約
7日間程度が好ましい。
【0012】本発明方法は、例えば、以下のように行う
ことができる。前述の方法で培養した微生物の培養液、
菌体または菌体処理物を水またはリン酸緩衝液等の緩衝
液等の水性水溶液に懸濁し、これをニトリル化合物に加
えて反応させる。ここで、菌体処理物とは菌体を超音
波、ホモジェナイザーおよびフレンチプレス等の通常用
いられる処理方法により破砕された菌体破砕物もしくは
酵素、あるいは菌体、菌体破砕物、酵素等を共有結合、
イオン結合、吸着などにより担体に結合させる担体結合
法、高分子の網目構造のなかに閉じ込める包括法等の固
定化の方法によって不溶化し、容易に分離可能な状態に
加工したもの(以下、固定化物と記す。)である。反応
条件としては、使用する菌体または菌体破砕物の濃度
は、例えば、約、0.01重量%〜約20重量%、好ましく
は、約0.01重量%〜約10重量%を挙げることができ
る。また酵素及び固定化物の濃度は、その精製度または
固定化方法等によって変化するが、例えば、前記の菌体
または菌体破砕物が有すると同等のニトリル基に対する
水和活性が存在するように調製することが好ましい。培
養液はそのままの状態で、ニトリル化合物を添加するこ
とによって用いることもできるが、好ましくは、前記の
菌体または菌体破砕物が有すると同等のニトリル基に対
する水和活性が存在するように希釈または濃縮等によっ
て調製することが好ましい。反応温度は、例えば、約0
℃〜約70℃、好ましくは約0℃〜約50℃を、反応p
Hは、例えば、約5〜約10、好ましくは、約6〜約9
を、反応時間は、例えば、約10分間〜約72時間を挙
げることができる。反応pHを上記範囲内で維持すれ
ば、本発明方法で使用される微生物は、アミド化合物を
高濃度に生成蓄積させることもできる。反応液からのア
ミド化合物の回収は、一般に知られている任意の方法で
行うことができる。例えば、反応液から菌体等を遠心分
離等によって除いた後、活性炭、あるいはイオン交換樹
脂等による処理により、不純物等を除去する。その後、
減圧濃縮、あるいは蒸留濃縮することにより析出させた
結晶をメタノール等の有機溶媒を用いて再結晶させれば
目的のアミド化合物を得ることができる。
【0013】
【実施例】次に、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れら実施例になんら限定されるものでない。
【0014】実施例1(菌体分離例) 岡山県の土壌を採取し、該土壌をグリセロール1.0重量
%、ポリペプトン0.5重量%、酵母エキス0.3重量%、
マルトエキス0.3重量%からなる培地(pH7.2)に加
え、21日間55℃で往復振とう培養した。この培養液
の一部を同成分を含む寒天培地上に広げて培養を行い、
集落を形成させた。該集落から菌体を分離し、分離され
た菌体の一白金耳を、上記と同組成の培地に0.1重量%
のイソバレロニトリルを添加した液体培地に接種した
後、55℃、24時間培養することにより、検体である
培養液を得た。該培養液1mlを9mlの2.78重量%のア
クリロニトリル溶液(0.05M−リン酸バッファーpH7.
7)に加えて、反応温度10℃にて反応を開始した。1
0分後、1mlの2規定塩酸を加えることにより反応を停
止した。反応液の一部をガスクロマトグラフィーにて分
析し、アクリルアミド生成の有無を検定することによっ
て、ニトリル基に対する水和活性を有する菌株を選抜し
た。このようにしてニトリロ化合物をアミド化合物に変
換させる水和活性を有する好熱性微生物としてバチルス
・スミシー SC-J05-1 を得た。 (ガスクロマトグラフィー分析条件) カ ラ ム ;パックドカラム 担体;Porapak type Q (mesh 80-100) 長さ;1.1m カラム温度 ;210℃ キャリアガス流量;50ml/ min サンプル注入量 ;2μl
【0015】実施例2(好熱性検討のための菌体培養
例) 実施例1により得られたバチルス・スミシー SC-J05-1
、及び対照として特許出願公告昭62-21519記載の中温
菌であるバチルス属菌〔フランス国立農業高等学校遺伝
学講座コレクションの保管番号R332(工業技術院生命工
学工業技術研究所寄託番号 FERM P-2717) 〕の菌体を、
各々肉汁寒天平板培地上に塗布し、複数の異なる温度で
培養を行い増殖を調べた。その結果を表1に示す。バチ
ルス・スミシー SC-J05-1 (本発明菌株)は、バチルス
属菌R332(対照菌株)と明らかに異なった好熱性微生物
であった。
【0016】
【表1】 ─────────────────────────────────── 培養温度/菌株 バチルス・スミシー SC-J05-1 バチルス属菌R332 (℃) (本発明菌株) (対照菌株) ─────────────────────────────────── 20 − ++ 30 + ++ 40 ++ + 55 ++ − 60 ++ − 70 − − ─────────────────────────────────── 評価基準:(−)増殖しなかった、(+)増殖した、
(++)良く増殖した
【0017】実施例3(菌体培養例) シュークロース1.0重量%、ポリペプトン0.5重量%、
酵母エキス0.3重量%、マルトエキス0.3重量%、およ
び硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜
鉛、それぞれ0.001重量%からなる殺菌済培地(pH7.
2)100mlを500ml容坂口フラスコに入れたもの
に、あらかじめ同培地で培養したバチルス・スミシー S
C-J05-1 の培養液0.1mlを植菌した。これを55℃で1
日間、135stroke/minで往復振とう培養し、菌体培養
液を得た。
【0018】参考例1(菌体培養例) グリセロール1.0重量%、ポリペプトン0.5重量%、酵
母エキス0.3重量%、マルトエキス0.3重量%、および
硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、
それぞれ0.001重量%からなる殺菌済み培地(pH7.
2)100mlを500ml容坂口フラスコに入れたもの
に、あらかじめ同培地で培養したバチルス属菌〔フラン
ス国立農業高等学校遺伝学講座コレクションの保管番号
R332(工業技術院生命工学工業技術研究所 寄託番号 F
ERM P-2717) 〕の培養液1.0mlを植菌した。これを30
℃で2日間135stroke/minで往復振とう培養し、菌体
培養液を得た。
【0019】比較例1(熱安定性) 実施例3によって得られたバチルス・スミシー SC-J05-
1 の菌体培養液400mlから遠心分離(10000xg, 10min)
によって菌体を集め、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.7)
にて洗浄後、同緩衝液100mlに懸濁した。こうして調
製した菌体懸隔液について、ニトリル化合物をアミド化
合物に変換させる水和活性を測定した。さらに、その活
性の熱安定性を調べるために、同菌体懸濁液に、一定時
間、一定温度での保温処理を行い、その残存活性を測定
した。なお、ニトリル化合物をアミド化合物に変換させ
る水和活性は次の方法によって測定した。9mlの2.78
%アクリロニトリル溶液(0.05M−リン酸バッファ
ー、pH7.7)に1mlの検液を加えて、反応温度10℃に
て反応を開始した。10分後、1mlの2規定塩酸を加え
ることにより反応を停止した。反応液の一部を実施例1
に記載される条件によるガスクロマトグラフィーにて分
析し、生成したアクリルアミドを測定した。以下、酵素
活性の単位(ユニット)は、1分間に1μmol のアクリ
ロニトリルをアクリルアミドに変換する活性を1ユニッ
ト(以下、Uと記す。)と定めた。つぎに参考例1によ
って得られたバチルス属R332の菌体培養液400mlから
遠心分離(10000xg, 10min)によって菌体を集め、0.05
Mリン酸緩衝液(pH7.7)にて洗浄後、同緩衝液100
mlに懸濁することによって調製した菌体懸濁液につい
て、上記と同様なニトリル化合物をアミド化合物に変換
させる水和活性を測定した。さらに、その活性の熱安定
性を調べるために、同菌体懸濁液に、一定時間、一定温
度での保温処理を行い、その活性を測定した。活性は上
記と同様な方法にて測定した。その測定結果に基づき、
各々の菌株において、保温処理前の活性に対する保温処
理後の活性(以下、残存活性と記す。)を算出し、算出
されたバチルス属菌R332の残存活性がそれぞれ100に
なるようにバチルス・スミシー SC-J05-1 の残存活性を
換算した。
【0020】
【表2】 ─────────────────────────────────── 処理温度 処理時間 バチルス・スミシー バチルス属菌 (℃) (hr) SC-J05-1 R332 ─────────────────────────────────── 50 0.5 6542 100 40 1.5 280 100 30 47 212 100 (本発明区) (対照区) ───────────────────────────────────
【0021】比較例2(反応安定性) 実施例3によって得られたバチルス・スミシー SC-J05-
1 の菌体培養液から遠心分離(10000xg, 10min)によって
菌体を集め、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.7)にて洗浄
後、同緩衝液に懸濁することによって20U/mlの菌体
懸濁液を調製した。一方、参考例1によって得られたバ
チルス属菌R332の菌体培養液から遠心分離(10000xg, 10
min)によって菌体を集め、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.
7)にて洗浄後、同緩衝液100mlに懸濁することによ
って20U/mlの菌体懸濁液を調製した。これら各々の
菌体懸濁液1mlと2.78重量%のアクリロニトリル溶液
(0.05M−リン酸バッファー、pH7.7)9mlを混合
し、30、40、50、60℃の各反応温度にて反応を
行なった。10分後、1mlの2規定塩酸を加えることに
より反応を停止した。反応液の一部を実施例1に記載さ
れる条件によるガスクロマトグラフィーにて分析し、生
成したアクリロアミドを定量した。なお、アクリロアミ
ドの生成量は、各反応温度におけるバチルス属菌R332の
場合を基準(100)とした換算値として表3に示す。
【0022】
【表3】 ─────────────────────────────────── 反応温度(℃) バチルス・スミシー SC-J05-1 バチルス属菌R332 ─────────────────────────────────── 30 275 100 40 675 100 50 5200 100 60 6200 100 (本発明区) (対照区) ───────────────────────────────────
【0023】実施例4(微生物の培養液を作用させた反
応例) 実施例3によって得られたバチルス・スミシー SC-J05-
1 の菌体培養液100mlにアクリロニトリル2.5g(4
7.2mmol) を加えて、マグネチックスターラーで撹拌し
ながら20℃で反応を行なった。反応開始3時間後、反
応液の1.0mlをとり、これに2規定塩酸0.1mlを加える
ことにより反応を停止した後、実施例1に記載される条
件によるガスクロマトグラフィーにて分析した。分析の
結果、加えたアクリロニトリルはすべてアクリルアミド
に変換されており、アクリル酸等の副生成物はほとんど
みられなかった。
【0024】実施例5(微生物の菌体を作用させた反応
例) 実施例3によって得られたバチルス・スミシー SC-J05-
1 の菌体培養液150mlから遠心分離(10000xg, 10mi
n) によって菌体を集め、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.
7)にて洗浄後、同緩衝液50mlに懸濁した。これに、
アクリロニトリル3.0g(56.6mmol) を3回に分割添加
し、マグネチックスターラーによって撹拌しながら20
℃で反応を行なった。反応開始4.0時間後、反応液の1.
0mlをとり、これに2規定塩酸01mlを加えることにより
反応を停止した後、実施例1に記載される条件によるガ
スクロマトグラフィーにて分析した。分析の結果、加え
たアクリロニトリルはすべてアクリルアミドに変換され
ており、アクリル酸等の副生成物はほとんどみられなか
った。
【0025】一方、残りの反応液から菌体を遠心分離(1
0000xg, 10min)により除去後、その上清を50℃以下で
蒸留濃縮して結晶を析出させ、次いで、この結晶をメタ
ノールを用いて再結晶して3.7g(52.1mmol, 収率92
%)の無色板状結晶を得た。この結晶は、融点、元素分
析、IRスペクトル及びNMRスペクトルにより、アク
リルアミドであることが確認された。
【0026】実施例6(微生物の菌体処理物を作用させ
た反応例) 実施例3によって得られたバチルス・スミシー SC-J05-
1 の菌体培養液8lから遠心分離(10000xg, 10min)にて
菌体を集めた。この菌体を洗浄後、0.05M-HEPES-KOH(PH
7.2)緩衝液300mlに懸濁し、フレンチプレス(20000ps
i)により破砕する操作を2回繰り返した。該破砕物から
遠心分離(10000xg, 30min)によって、菌体残渣を除去
後、その上清を透析チューブ(和光純薬製)に入れ、10
mM-HEPES-KOH(pH7.2) 中、4℃で該緩衝液を4回交換し
て24時間透析を行なった。得られた透析物をあらかじ
め0.05M-HEPES-KOH(pH7.2)緩衝液で平衡化した陰イオン
交換樹脂であるDEAE−セファローFF (ファルマシア社
製) を充填したカラム (直径50mm×200mm)に通塔して酵
素を吸着させた。該カラムを0.05M-HEPES-KOH(oH7.2)で
充分に通塔洗浄後、0M〜1.0M塩化カリウムを含む0.
05M-HEPES-KOH(oH7.2)により段階的に吸着物を溶出させ
た。ニトリル化合物をアミド化合物に変換させる水和活
性を有する画分を回収後、該回収画分を透析チューブ
(和光純薬製)に入れ、10mM-HEPES6KOH(pH7.2) 中、4
℃で該バッファーを4回交換して24時間透析を行なっ
た。得られた透析物を抽出条件を0.2M〜0.8M塩化カ
リウムを含む0.05M-HEPES-KOH(oH7.2)にかえる以外は同
じ条件で再び陰イオン交換クロマトグラフィーによって
精製し、上記と同様に透析後、粗酵素液を得た。なお、
ニトリル化合物をアミド化合物に変換させる水和活性は
次に方法によって測定した。9mlの100mMプロピオニ
トリル水溶液 (pH7.7)に1mlの検液を加えて、反応温
度10℃にて反応を開始した。10分後、1mlの2規定
塩酸を加えることにより反応を停止した。反応液の一部
を実施例1に記載される条件によるガスクロマトグラフ
ィーにて分析し、生成したプロピオンアミドを定量し
た。以下、酵素活性の単位(ユニット)は、1分間に1
μmol のプロピオニトリルをプロピオンアミドに変換す
る活性を1ユニット(以下、Uと記す。)と定めた。得
られた粗酵素液の0.05Mリン酸緩衝液(pH7.7)によ
る希釈液100ml(1000U)に、アクリロニトリル2.5
g(47.2mmol) を加えて、マグネチックスターラーで撹
拌しながら20℃で反応を行なった。反応開始3時間
後、反応液の1.0mlをとり、これに2規定塩酸0.1mlを
加えることに反応を停止した後、実施例1に記載される
条件によるガスクロマトグラフィーにて分析した。分析
の結果、加えたアクリロニトリルはすべてアクリロアミ
ドに変換されており、アクリル酸等の副生成物はほとん
どみられなかった。
【0027】実施例6(各種ニトリル化合物に対する反
応例) バチルス・スミシー SC-J05-1 が有する各種ニトリル化
合物を対応するアミド化合物に変換させる水和活性に関
する能力について調べた。実施例5によって得られた粗
酵素液60Uに対し、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.7)
20ml、基質である各種ニトリル化合物(表4参照)1
mmolを加えて30℃、3時間反応させた。その結果、バ
チルス・スミシー SC-J05-1 から調製された粗酵素はす
べてニトリル化合物を対応するアミド化合物に変換させ
る水和活性に関する能力を有していた。なお、反応液の
分析は、ガスクロマトグラフィー、あるいは液体クロマ
トグラフィーにより生成したアミド化合物、あるいは減
少したニトリル化合物を定量することにより行なった。
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】本発明により、常温以上の温度域におい
ても安定にニトリル化合物をアミド化合物に変換させる
ことが可能となったため、従来のように低温での反応を
行なうことなく、他の温度域において純度の高いアミド
化合物を効率的に製造することができるようになった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニトリル化合物に、ニトリル化合物をアミ
    ド化合物に変換させる水和活性を有する好熱性微生物の
    培養液、菌体または菌体処理物を作用させ、該ニトリル
    化合物をアミド化合物に変換させることを特徴とするア
    ミド化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】好熱性微生物がバチルス・スミシー(Baci
    llus smithii) に属する微生物であることを特徴とする
    請求項1記載のアミド化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】好熱性微生物がバチルス・スミシー(Baci
    llus smithii) SC-J05-1 (FERM P-14037、FERM BP-493
    5) であることを特徴とする請求項1記載のアミド化合
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】ニトリル化合物をアミド化合物に変換させ
    る水和活性を有する好熱性微生物。
  5. 【請求項5】バチルス・スミシー(Bacillus smithii)
    SC-J05-1 (FERM P-14037、FERM BP-4935) 及びその変異
    体。
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