JP2005126013A - タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラム - Google Patents

タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤの空気圧低下の判定の精度を向上させることができるタイヤ空気圧低下検出方法を提供する。
【解決手段】車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法。前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める工程と、該車輪回転情報を記憶する工程と、旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度を求める工程と、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤの動荷重半径の荷重感度とを比較する工程と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する工程と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する工程を含んでいる。
【選択図】なし

Description

本発明はタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。さらに詳しくは、タイヤ空気圧の判定の精度を向上させることができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。
従来より、タイヤ空気圧低下検出装置は、タイヤが減圧すると正常内圧のタイヤより外径(タイヤの動荷重半径)が減少するため、他の正常なタイヤに比べると回転角速度が増加するという原理を用いている。たとえばタイヤの回転角速度の相対的な差から内圧低下を検出する方法では、判定値として、
DEL={(F1+F4)/2−(F2+F3)/2}/{(F1+F2
+F3+F4)/4}×100(%)
を用いている(特許文献1)。ここで、F1〜F4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの回転角速度である。
現在、このDEL値を計算し、さらにコーナリング補正など必要な補正や不要なデータのリジェクトを施し、予め設定した警報しきい値をこえたときにタイヤの減圧が発生していると判定して、ドライバーに警報を発している。しかし、たとえば30%の減圧でも、前記DEL値は、タイヤの種類などにより大きさが異なってくる。このため、前記しきい値を決定するために、事前に設定されたタイヤ(夏タイヤと冬タイヤ)それぞれについてタイヤがもつ、減圧による動荷重半径の変化の大きさである減圧感度を測定し、それらの中間的な減圧感度にしきい値を設定することで、タイヤが交換された場合においても検出感度に大きな差がでないようにしている。たとえば減圧感度に2倍の差があるタイヤが同一車両に装着されている場合、高感度のタイヤでは20%減圧で、低感度のタイヤでは40%減圧で警報を発するように、しきい値が設定されている。
特開昭63−305011号公報
しかしながら、北米の法規制により、30%減圧での警報が必須要件となったために、過剰警報を避ける必要から、15%減圧から30%減圧のあいだに警報を発するという具合に警報を発する減圧の程度の許容範囲を小さくしなければならないという問題がある。さらに同一車種に対する設定タイヤが非常に広範囲の場合、小さい許容範囲では対応できなくなる例が発生するという問題がある。これらの問題を解決するには、装着されているタイヤの減圧感度情報が必要であるが、現実にはユーザーがどのようなタイヤを装着するかは不明であり、現在装着されているタイヤの減圧感度を知ることはできない。
本発明は、叙上の事情に鑑み、タイヤの空気圧低下の判定の精度を向上させることができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを提供することを目的とする。
本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める工程と、該車輪回転情報を記憶する工程と、旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度を求める工程と、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤの動荷重半径の荷重感度とを比較する工程と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する工程と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する工程を含むことを特徴としている。
また、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める工程と、該車輪回転情報を記憶する工程と、横方向加速度と一対の対角線上の車輪回転情報の相対比較である判定値である判定値との関係式を求める工程と、該関係式と予め記憶される種々のタイヤの横方向加速度と判定値の関係式とを比較する工程と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する工程と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する工程を含むことを特徴としている。
さらに本発明のタイヤ空気圧低下検出装置は、車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める回転情報検出手段と、該車輪回転情報を記憶する記憶手段と、旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度を求める感度算出手段と、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤの動荷重半径の荷重感度とを比較する感度比較手段と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段とを備えてなることを特徴としている。
また、本発明のタイヤ空気圧低下検出装置は、車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める回転情報検出手段と、該車輪回転情報を記憶する記憶手段と、横方向加速度と一対の対角線上の車輪回転情報の相対比較である判定値との関係式を求める関係式演算手段と、該関係式と予め記憶される種々のタイヤの横方向加速度と判定値の関係式とを比較する比較手段と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段を備えてなることを特徴としている。
さらに本発明のタイヤ減圧判定のプログラムは、車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、前記車輪回転情報を記憶する記憶手段、旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度を求める感度算出手段、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤの動荷重半径の荷重感度とを比較する感度比較手段、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段として機能させることを特徴としている。
また、本発明のタイヤ減圧判定のプログラムは、車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、前記車輪回転情報を記憶する記憶手段、横方向加速度と一対の対角線上の車輪回転情報の相対比較である判定値との関係式を求める関係式演算手段、該関係式と予め記憶される種々のタイヤの横方向加速度と判定値の関係式とを比較する比較手段、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段として機能させることを特徴としている。
本発明によれば、タイヤの減圧感度が推定できるので、減圧感度に応じてしきい値を変更することにより、警報を発するための減圧率を適切に設定でき、減圧判定の精度を向上させることができる。また、過剰な警報を抑制できるため、設定タイヤサイズが多い車両において、タイヤが変わっても精度のよい警報を発することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを説明する。
図1に示されるように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、車両に備えられた4つのタイヤFL、FR、RLおよびRRの空気圧が低下しているか否かを検出するもので、タイヤにそれぞれ関連して設けられた通常の回転情報検出手段1を備えている。
前記回転情報検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転角速度や車輪速度の車輪速情報を測定するための車輪速センサまたはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から回転角速度や車輪速度を測定するためのものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記回転情報検出手段1の出力はABSなどのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。制御ユニット2には、空気圧が低下したタイヤを知らせるための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された表示器3、ドライバーによって操作することができる初期化スイッチ4および警報器5が接続されている。
前記制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
前記回転情報検出手段1では、タイヤの回転数に対応したパルス信号(以下、車輪速パルスという)が出力される。またCPU2bでは、回転情報検出手段1から出力された車輪速パルスに基づき、所定のサンプリング周期ΔT(sec)、たとえばΔT=1秒ごとに各タイヤの回転角速度Fiが算出される。
ところで、タイヤは規格内でのばらつき(初期差異)が含まれて製造されるため、各タイヤの有効転がり半径(一回転により進んだ距離を2πで割った値)は、すべてのタイヤがたとえ正常空気圧であっても、同一とは限らない。そのため、各タイヤの回転角速度Fiはばらつくことになる。そこで、たとえば回転角速度Fiから初期差異の影響を排除する方法がある。この方法では、まず、つぎに示される初期補正係数K1、K2、K3を算出する。
K1=F1/F2 ・・・(1)
K2=F3/F4 ・・・(2)
K3=(F1+K1×F2)/(F2+K2×F4) ・・・(3)
ついで、この算出された初期補正係数K1、K2、K3を用いて式(4)〜(7)に示されるように新たな回転角速度F1iを求めるようにしている。
F11=F1 ・・・(4)
F12=K1×F2 ・・・(5)
F13=K3×F3 ・・・(6)
F14=K2×K3×F4 ・・・(7)
ここで、初期補正係数K1は、前左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K2は、後左右タイヤ間の初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。初期補正係数K3は、前左タイヤと後左タイヤとのあいだの初期差異による有効ころがり半径の差を補正するための係数である。
そして、前記F1iに基づき、各車輪のタイヤの車輪速度Vi、車両速度Vおよび横方向加速度などを算出する。たとえば前記車両の横方向加速度については、FR車の場合、従動輪タイヤFL、FRの速度V1、V2を算出したのち、旋回半径Rを算出する。
R={(V2+V1)/(V2−V1)}×TW/2 ・・・(8)
ここで、TWはキングピン間の距離(トレッド幅)(m)である。
そして、車両の旋回半径Rに基づいて車両の横方向加速度はつぎの式(9)により算出することができる。
横方向加速度=V2/R ・・・(9)
なお、横方向加速度は横方向加速度センサにより求めることもできる。
また、本実施の形態では、空気圧の低下を検出するための判定値DELとして、つぎの式(10)に示されるように、タイヤの動荷重半径の減圧感度を利用した、一対の対角線上の車輪速度の相対比較である判定値を用いる。すなわち対角線上にある一対の車輪からの車輪速度の平均値から対角線上にある他の一対の車輪からの車輪速度の平均値を引算し、その結果と2つの合計の平均値との比率を用いる。
DEL={(V1+V4)/2−(V2+V3)/2}/
{(V1+V2+V3+V4)/4}×100(%) ・・・(10)
ここで、V1〜V4は、それぞれ前左タイヤFL、前右タイヤFR、後左タイヤRLおよび後右タイヤRRの車輪速度である。
前記判定値DELは、減圧感度を利用しており、一対の対角線上の車輪速度の対角和を比較するので、旋回中は、旋回外側と旋回内側の車輪速度の差は相殺され、旋回中の判定値DELのシフトはない筈である。しかし、実際には旋回中の判定値DELは、旋回中の荷重移動の影響や駆動輪のスリップの影響によりシフトする。
(1)すなわち、まず旋回中の車両では、旋回外側に向けた横方向加速度による荷重移動のため、旋回外側のタイヤにかかる荷重が重くなり、旋回内側のタイヤにかかる荷重は軽くなることから、タイヤの動荷重半径(車輪速度)が変化する。
たとえば左旋回時の荷重移動による前輪タイヤと後輪タイヤの車輪速度の増加量(減速量)をdVf、dVrとすると、前記式(10)の判定値DELは、
DEL′={(V1−dVf+V4+dVr)/2−(V2+dVf+V3−dVr) /2}/{(V1+V2+V3+V4)/4}×100(%)
={(V1+V4)−(V2+V3)−2×(dVf−dVr)}/
{(2×V)}×100(%) ・・・(11)
である。
前記式(10)と式(11)との差を取ると、
ΔDEL={(dVf−dVr)/V}×100(%) ・・・(12)
となる。
このΔDELは、前輪タイヤの荷重移動による車輪速度の変化(dVf/V)と後輪タイヤの荷重移動による車輪速度の変化(dVr/V)の差であって、旋回時の判定値DELのシフト量に相当する。なお、このシフト量には、すべりによる影響は含まれていない。
前記車輪速度の変化(dVf/V)および(dVr/V)は、比例する荷重移動量で正規化することにより、それぞれ荷重負荷によってタイヤの動荷重半径がどれだけ変化するのかを表す、前輪タイヤの荷重感度および後輪タイヤの荷重感度に比例することになる。
すなわち車輪速度の変化(dVf/V)は前輪タイヤの荷重移動量と荷重感度に比例し、車輪速度の変化(dVr/V)は後輪タイヤの荷重移動量と荷重感度に比例するとともに、前輪および後輪の荷重移動量は、横方向加速度に比例するので、結局、前記式(12)はつぎのように表される。すなわちX軸に横方向加速度LGをとり、Y軸にΔDELをとると、ΔDELは横方向加速度LGに比例し、その傾きはタイヤの荷重感度に比例することになる。なお、%表示は省略している。
ΔDEL=α×LG×LSf−β×LG×LSr=(α×LSf−β×LSr)×LG
・・・(13)
ここで、LG:横方向加速度
LSf:前輪タイヤの荷重感度
LSr:後輪タイヤの荷重感度
α、β:係数
である。
また、前記横方向加速度LGとΔDEL(DEL値のシフト量)の関係の傾きをF1とすると、
F1=α×LSf−β×LSr ・・・(14)
である。
また、前記荷重感度LSf、LSrは、前後輪タイヤの減圧感度の低下によって低下するので、減圧率に比例すると考えると、4輪共に同じ比率で減圧すれば、減圧後の傾きF1′は、
F1′=γ×(α×LSf−β×LSr) ・・・(15)
で表すことができる。ただし、|γ|≦1である。
(2)また、前記判定値DELは、前記軽くなった旋回内側駆動輪の駆動によるすべりが、重くなった旋回外側駆動輪の駆動によるすべりよりも大きくなるためシフトする。
前輪と後輪の荷重移動量が同じである(等しい)場合、かかる荷重移動量の影響は前記式(8)の判定値の計算によって相殺されるため、旋回中もすべり補正後の判定値DELはシフトしない。しかし、旋回中の車両の荷重移動量の前後比は1ではないとともに、横方向加速度の大きさにかかわりなくほぼ一定であるので、補正後の判定値DELはシフトする。
ただし、この荷重移動量は、旋回によって発生した横方向加速度に比例するので、すべりの影響を補正したのちの判定値DELのシフト量ΔDELは、横方向加速度にも比例することになる。
(3)旋回中の判定値(DEL)は、前記荷重移動の影響と駆動によるスリップの影響を受けてシフトしているため、通常、以下のように補正される。
補正DEL=DEL−F(f1,f2) ・・・(16)
ここで、F(f1,f2)は補正ファクターの関数であり、f1は前記傾きF1に相当しており、f2は判定値DELと横方向加速度×(前後輪比−1)との関係から求められるファクターである。したがって、F1は、旋回中のDEL値からスリップの影響のみを補正して、f1を計算することで求められる。
したがって、前記(1)〜(3)から、タイヤの動荷重半径の減圧感度と荷重感度とは相関関係があり、該荷重感度からタイヤの減圧感度を推定することができることが考えられる。そして、このタイヤの減圧感度に応じて減圧判定を行なうことにより、減圧判定の精度を向上させることができる。
なお、前記タイヤの動荷重半径の荷重感度はタイヤの種類(サイズや扁平率など)によっても異なる。タイヤの扁平率は、タイヤ最大巾Wに対するタイヤ断面高さHの比率(H/W)×100(%)である。
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
実施例1
ほぼ外径が同じで扁平率などが異なるタイヤ(たとえば195/65R15、205/65R15、205/60R16、215/50R17または215/45R17など)、いわゆる互換性のあるサイズのタイヤについて、空気圧と車両速度に伴う荷重感度と減圧感度との関係を調べた。
本実施例では、4輪タイヤの空気圧が196kPaと減圧率30%の137kPaである場合および車輪速度が80km/h、120km/h、160km/hである場合を設定してドラム試験を行なった。
本実施例における荷重感度は、前記空気圧(196kPa、137kPa)と車両速度(80km/h、120km/h、160km/h)の場合で、車輪荷重を2.94kNから5.39kNへ変化させたときの動荷重半径変化を車輪荷重が4.41kNのときの動荷重半径で除して求めた。なお、196kPa時の負荷荷重(LI値規定荷重)は、JATMAによりタイヤのLI(ロードインデックス)で規定されており、
タイヤ195/65R15 89Hでは、5.10kN、
タイヤ205/65R15 92Hでは、5.54kN、
タイヤ205/60R16 91Vでは、5.44kN、
タイヤ215/50R17 93Vでは、5.73kNおよび
タイヤ215/45R17 87Wでは、4.80kN
であるが、車両の使用荷重条件を考慮してすべて前述の条件で測定した。
たとえばタイヤ205/60R16について、5.39kN車輪荷重時の動荷重半径は313.1mmである。そして、空気圧が196kPaであり、車両速度が80km/hである場合、車輪荷重を2.94kNとしたときの動荷重半径が315.1mmであることから、これを車輪荷重が4.41kNのときの動荷重半径313.7mmに対する比率で表して、荷重感度として約0.63%を求めた。なお、ドラム試験機での動荷重半径の測定は、周長が既知であるドラムとタイヤの回転数比から算出することにより行なわれる。
同様にして、空気圧が196kPa、車両速度が120km/h、160km/hおよび空気圧が137kPa、車両速度が80km/h、120km/h、160km/hについて荷重感度を求めた。
また、他のタイヤについても、タイヤ205/60R16と同様に、荷重感度を求めた。
一方、減圧感度は、196kPa時に4.41kN負荷した状態で、196kPaの空気圧での動荷重半径から、137kPaの空気圧での動荷重半径を引いたもの(動荷重半径変化)を196kPaの空気圧での動荷重半径で除して求めた。
たとえばタイヤ205/60R16について、4.41kN負荷した状態における、196kPaの空気圧での動荷重半径313.7mmから、137kPaの空気圧での動荷重半径311.9mmを引く。ついで引き算した値を313.7mmで除して、減圧感度として約0.56%を求めた。
図3〜4に示されるように、減圧感度と荷重感度とのあいだには高い相関があることがわかった。
これにより、予めその車両に装着される可能性のある互換サイズのタイヤについて、減圧感度と荷重感度の関係を求めて記憶しておき、新車時や、タイヤ交換時(正常空気圧時)に行なわれる初期化時の荷重感度と、その記憶された互換サイズのタイヤ荷重感度を比較することにより、装着されているタイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する。
そして、減圧感度に応じて警報しきい値を変更することにより、警報を発するための減圧率を適切に設定でき、減圧判定の精度を向上させることができる。また、過剰な警報を抑制できるため、設定タイヤサイズが多い車両において、タイヤが変わっても精度のよい警報を発することができる。
したがって、本実施の形態では、記憶手段、旋回時の荷重感度を求める感度算出手段、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤ(互換サイズのタイヤ)の荷重感度とを比較する感度比較手段、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段および当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段を備えている。そして、本実施の形態にかかわるタイヤ減圧判定のプログラムは、前記制御ユニット2を、記憶手段、感度算出手段、感度比較手段、感度推定手段および判定手段として機能させている。前記比較としては、たとえば差または比率を所定のしきい値と比較する方法を用いることができる。なお、種々のタイヤの減圧感度と荷重感度との関係は、それぞれ予め走行試験により求め、前記制御ユニット2のROM2cに記憶させておく。
また、本実施の形態では、前記減圧感度により前記タイヤの空気圧低下を判定するためのしきい値を変更するしきい値変更手段をさらに備えるのが好ましい。なお、前記しきい値変更手段を備える場合、前記制御ユニット2をしきい値変更手段として機能させる。
かかるしきい値の変更としては、たとえばつぎのように実施して、警報を発するための減圧率を設定する。
その車両に設定されているタイヤについて、予め所定の空気圧状態でDEL値と横方向加速度の関係を測定し、傾き(荷重感度)を求め、同時に、たとえば30%減圧時のDEL値(減圧感度)も求めておく。
今、この車両に装着されうるタイヤのうち、減圧感度が最も高いタイヤのDEL値と横方向加速度の傾きが0.17(荷重感度)、減圧率が30%の減圧時のDEL値が0.30(減圧感度)であり、減圧感度が最も低いタイヤのDEL値と横方向加速度の関係の傾きが0.13で、30%減圧時のDEL値が、0.18であった場合、たとえばつぎの表1に示されるように警報のしきい値を設定する。
Figure 2005126013
新車時またはタイヤ交換時に行なった初期化の際、DEL値と横方向加速度の関係の傾きが、0.15であった場合、しきい値を0.24に設定すれば、30%減圧時に精度よく警報を発することができる。
なお、種々のタイヤに対するしきい値および減圧率は、たとえばタイヤの識別表として前記制御ユニット2のROM2cに記憶させておく。
実施例2
1800ccのFF車を用意し、正常空気圧の状態の低感度タイヤ(タイヤ寸法:205/65R15)と高感度タイヤ(タイヤ寸法:205/60R16)による走行(岡山テストコース内での走行について、すべりの影響を排除した判定値DELと横方向加速度を測定した。その結果、図5に示されるように、高感度タイヤの傾きは0.170であるのに対し、低感度タイヤの傾きは0.118と小さい。これにより、横方向加速度に対する旋回時の判定値DELの傾きから、タイヤの減圧感度を推定して、タイヤを識別することができることがわかった。
これにより、新車時や、タイヤ交換時(正常空気圧時)に行なわれる初期化時に、横方向加速度に対する旋回時の判定値(非駆動時の判定値)の傾きを測定し、これを予め記憶した種々のタイヤの傾きと比較することで、タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する。そして、減圧感度に応じてしきい値を前記実施例1のように変更して、警報を発するための減圧率を設定することにより、減圧判定の精度を向上させることができる。また、これにより、過剰な警報を抑制できるため、設定タイヤサイズが多い車両で、タイヤが変わっても精度のよい警報を発することができる。
したがって、本発明の他の実施の形態では、記憶手段、横方向加速度と判定値の関係式を求める関係式演算手段、該関係式と予め記憶される種々のタイヤの横方向加速度と判定値の関係式とを比較する比較手段、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段および当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段を備えており、さらに前記減圧感度により前記タイヤの空気圧低下を判定するためのしきい値を変更するしきい値変更手段を備えているのが好ましい。そして、タイヤ減圧判定のプログラムとしては、前記制御ユニット2を、記憶手段、関係式演算手段、比較手段、感度推定手段および判定手段として機能させる。
本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置を示すブロック図である。 図1のタイヤ空気圧低下検出装置の電気的構成を示すブロック図である。 空気圧(196kPa)におけるタイヤの動荷重半径の荷重感度と減圧感度の相関を示す図である。 空気圧(137kPa)におけるタイヤの動荷重半径の荷重感度と減圧感度の相関を示す図である。 低感度タイヤと高感度タイヤにおける判定値と横方向加速度との関係を示す図である。
符号の説明
1 回転情報検出手段
2 制御ユニット
3 表示器
4 初期化スイッチ
5 警報器

Claims (9)

  1. 車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める工程と、該車輪回転情報を記憶する工程と、旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度を求める工程と、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤの動荷重半径の荷重感度とを比較する工程と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する工程と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する工程を含むタイヤ空気圧低下検出方法。
  2. 車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める工程と、該車輪回転情報を記憶する工程と、横方向加速度と一対の対角線上の車輪回転情報の相対比較である判定値との関係式を求める工程と、該関係式と予め記憶される種々のタイヤの横方向加速度と判定値の関係式とを比較する工程と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する工程と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する工程を含むタイヤ空気圧低下検出方法。
  3. 前記減圧感度により前記タイヤの空気圧低下を判定するためのしきい値を変更する工程を含む請求項1または2記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
  4. 車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める回転情報検出手段と、該車輪回転情報を記憶する記憶手段と、旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度を求める感度算出手段と、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤの動荷重半径の荷重感度とを比較する感度比較手段と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段とを備えてなるタイヤ空気圧低下検出装置。
  5. 車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤから得られる車輪回転情報を求める回転情報検出手段と、該車輪回転情報を記憶する記憶手段と、横方向加速度と一対の対角線上の車輪回転情報の相対比較である判定値との関係式を求める関係式演算手段と、該関係式と予め記憶される種々のタイヤの横方向加速度と判定値の関係式とを比較する比較手段と、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段と、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段を備えてなるタイヤ空気圧低下検出装置。
  6. 前記減圧感度により前記タイヤの空気圧低下を判定するためのしきい値を変更するしきい値変更手段を備えてなる請求項4または5記載のタイヤ空気圧低下検出装置。
  7. 車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、前記車輪回転情報を記憶する記憶手段、旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度を求める感度算出手段、該旋回時の荷重移動によるタイヤの動荷重半径の荷重感度と予め記憶される種々のタイヤの動荷重半径の荷重感度とを比較する感度比較手段、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段として機能させるためのタイヤ減圧判定のプログラム。
  8. 車両に装着したタイヤから得られる車輪回転情報に基づいてタイヤ空気圧の低下を判定するためにコンピュータを、前記車輪回転情報を記憶する記憶手段、横方向加速度と一対の対角線上の車輪回転情報の相対比較である判定値との関係式を求める関係式演算手段、該関係式と予め記憶される種々のタイヤの横方向加速度と判定値の関係式とを比較する比較手段、当該比較の結果に基づいて前記タイヤの動荷重半径の減圧感度を推定する感度推定手段、当該推定の結果に基づいてタイヤの空気圧低下を判定する判定手段として機能させるためのタイヤ減圧判定のプログラム。
  9. 前記減圧感度により前記タイヤの空気圧低下を判定するためのしきい値を変更するしきい値変更手段として機能させる請求項7または8記載のタイヤ減圧判定のプログラム。
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