JP2005124565A - 新規神経ペプチド及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ストレス及び疲労度を客観的に評価する指標、さらに慢性疲労症候群(CFS)、線維性筋痛症(FM)の診断指標を提供する。加えて、該指標を用いた疲労度の評価方法、およびCFSまたはFMの診断方法、並びに該方法を行うためのキットを提供する。さらに、被検組織の癌の有無を判定する方法を提供する。
【解決手段】 神経内分泌セクレトグラニンIIを前駆体として酵素分解によって得られる40アミノ酸残基からなるペプチド(Manserin)は、新規神経ペプチドであり、該新規神経ペプチドを指標とすればストレス、特に疲労度を評価することが可能であり、さらには、CFSおよびFMの診断に利用できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体とする神経ペプチドであって、ストレスに応答して生体内で生成される新規ペプチド、およびその利用に関するものである。
近年、国民の約1/3が半年以上続く慢性的な疲労を感じており、その大半は明らかな病因が見つからないことが明らかとなっている。さらに、日常生活に支障をきたすような激しい疲労感が続くにも関わらず、明らかな疾病が見つからない慢性疲労症候群(以下CFSと称する)という病態が、就労可能人口の0.3%存在するということも判明している。またCFSに合併して、線維性筋痛症(以下FMと称する)と呼ばれる原因不明の全身的慢性疼痛を発症する場合も報告されている。かかる原因不明の慢性疲労は、社会の経済的損失とういう観点からも現在大きな社会問題となってきており、早急な病因・病態の解明、診断方法、および治療方法の開発が望まれている。
現在のCFSまたはFMの診断は、患者の訴えに基づいた主に症候学的に行われている。そのため診断に苦慮する場合が多く、客観的、定量的な指標が求められている。
一方、癌の病理学的診断としては、老化や癌化によって細胞核DNAが量的に変化することを利用した検出方法、癌組織の構造的以上を画像解析する方法などが開発されている。しかし、このような診断方法では、解析に時間がかかるばかりでなく、豊富な知識と熟練度が要求され、非熟練者にとっては正確な診断をすることは困難であった。このため、簡単かつ正確に診断するためにいくつかの試みがなされてきている。たとえば、癌の診断とモニタリングの方法(特許文献3)、癌の血清マーカーとしてのタンパクおよび自己抗体(特許文献4)などが開発されている。
また、複雑な発癌機構の解明が進むに従って化学発癌物質のスクリーニングの重要性も高まっているが、通常の発癌性試験には多数の実験動物を使用した長時間にわたるin vivo実験が必要であり、組織標本の判定など熟練を要していた。またその処理量にも限界があった。従って、簡単な操作で、迅速かつ正確に悪性転換の有無を検出できる癌の診断方法や、化学物質の発癌性判定方法が望まれていた。
ところで、近年、神経伝達物質や神経機能調節因子として機能する神経ペプチド、および該ペプチドの前駆体である神経内分泌タンパク質について注目され、研究がなされている。かかる神経内分泌タンパク質の一つであるクロモグラニンファミリーについても種々研究がなされており、例えば、該ファミリーに属するセクレトグラニンII(secretogranin II、別名:クロモグラニンC(Chromogranin C))から酵素によって、いくつかのペプチド(secretoneurin、EM66)が切り出されることが知られている。(例えば非特許文献1,2,3参照)。
近年、上記クロモグラニンファミリーを指標として各種疾患、特に精神、神経系疾患の判定評価法が開発されている。例えば、神経ペプチドの前駆体であって、神経内分泌タンパク質であるクロモグラニンを指標として、神経系疾患、精神疾患、内分泌系疾患、各種腫瘍および循環器系疾患の生理状態を評価する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、クロモグラニンファミリーに属する神経内分泌タンパク質の一つであるクロモグラニンAを指標として心身状態(精神的活性度)を評価する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
特開平11−23572号公報(公開日:平成11(1999)年1月29日) 特開2002−228657号公報(公開日:平成14(2002)年8月14日) 特表2002−538462号公報(公表日:平成11(1999)年1月12日) 特表2003−517579号公報(公表日:平成15(2003)年5月27日) Fischer−Colbrie,R;Gutierrez,J;Hsu,C M;Iacangelo,A;Eiden,L E"Sequence analysis,tissue distribution and regulation by cell depolarization,and second messengers of bovine secretogranin II(chromogranin C)mRNA",The Journal Of Biological Chemisty,Volume 265,Issue 16,June 5,1990,Pages 9208−9213 Kirchmair,R;Hogue−Angeletti,R;Gutierrez,J;Fischer−Colbrie,R;Winkler,H"Secretoneurin−a neuropeptide generated in brain,adrenal medulla and other endocrine tissues by proteolytic processing of secretogranin II(chromogranin C)",Neuroscience,Volume 53,Issue 2,March 1993,Pages 359−365 Taupenot,Laurent;Harper,Kimberly L;O’Connor,Daniel T"The chromogranin−secrotogranin family",The NeW England Journal Of Medicine,Volume 348,Issue 12,March 20,2003,Pages 1134−1149
上記従来技術に示したクロモグラニン、およびクロモグラニンファミリーに属する神経内分泌タンパク質と各種ストレスに起因する精神経疾患、神経疾患との何らかの関連性は示唆されており、種々のストレスを網羅的に評価する指標として利用することは可能である。しかしながら、特定のストレスに対する応答については精査されておらず、疲労度を客観的に評価するための指標、あるいはCFS、FMの診断指標として利用するには十分なものとはいえない。さらには、細胞の癌化に深くかかわっているアポトーシスのシステムへの関与についても明らかにされていない。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、疲労度を客観的に評価する指標、さらにCFSまたはFMの診断指標を提供することに有る。加えて、該指標を用いた疲労度の評価方法、およびCFSまたはFMの診断方法、並びに該方法を行うためのキットを提供する。さらには、癌の有無を判定する指標を提供することを目的とする。加えて、該指標を用いた癌の有無を判定する方法ならびに該方法を行うためのキットを提供する。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、神経内分泌タンパク質クロモグラニンファミリーに属するセクレトグラニンIIを前駆体として酵素分解によって得られるペプチドの一つであって、40アミノ酸残基からなるペプチド(本発明者等によってManserinと命名された)が、視床下部正中隆起、および下垂体に存在し、重症CFS患者、および重症FM患者の血清中で顕著に高値であることを発見した。よって、かかるManserinは、新規神経ペプチドであり、該新規神経ペプチドを指標とすれば疲労度を評価することが可能であり、さらには、CFSおよびFMの診断に利用できるといえる。
本発明は、かかる新規知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
(1)神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体とするペプチドであって、ストレスに応答して生体内で生成されるペプチド。
(2)さらに前記ペプチドが疲労度の指標となることを特徴とする(1)に記載のペプチド。
(3)以下の(a)ないし(c)のいずれかに記載のペプチド。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号1のアミノ酸配列において、1個又はそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ストレスに応答して、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチド。
(c)(b)に記載のペプチドであって、さらに疲労度の指標となるペプチド。
(4)上記(3)のペプチドをコードする遺伝子。
(5)配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する(4)記載の遺伝子。
(6)配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ストレスに応答して、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチドをコードする遺伝子。(7)配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ストレスに応答して、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチドであって、さらに疲労度の指標となるペプチドをコードする遺伝子。
(8)配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチドであって、さらに被検組織の癌の有無を判定する指標となるペプチドをコードする遺伝子。
(9)上記(1)ないし(3)のいずれかのペプチドを認識する抗体。
(10)上記(4)ないし(8)のいずれかの遺伝子を含む組換え発現ベクター。
(11)上記(4)ないし(8)のいずれかの遺伝子を導入してなる形質転換体。
(12)上記(4)ないし(8)のいずれかの遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列をプローブとして用いた遺伝子検出器具。
(13)上記(1)ないし(3)のいずれかのペプチドを検出することを特徴とする疲労度評価方法。
(14)前記疲労度評価方法であって、さらに(9)に記載の抗体を使用して検出することを特徴とする(13)に記載の疲労度評価方法。
(15)前記ペプチドの検出方法が、ELISA法によることを特徴とする(13)または(14)に記載の疲労度評価方法。
(16)上記(13)ないし(15)のいずれかの疲労度評価方法を用いた慢性疲労症候群、または線維性筋痛症の診断方法。
(17)上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のペプチドを検出することにより被検組織の癌の有無を判定することを特徴とする癌の判定方法。
(18)上記(9)に記載のペプチドを使用して検出することを特徴とする上記(17)に記載の癌の判定方法。
(19)上記(13)ないし(15)のいずれかの疲労度評価方法を行うための疲労度評価キット。
(20)前記疲労評価キットに(9)に記載の抗体が含まれていることを特徴とする(19)に記載の疲労度評価キット。
(21)上記(16)の慢性疲労症候群、または線維性筋痛症の診断方法を行うための、慢性疲労症候群または線維性筋痛症の診断キット。
(22)前記慢性疲労症候群または線維性筋痛症の診断キットに(9)に記載の抗体が含まれていることを特徴とする(16)に記載の慢性疲労症候群または線維性筋痛症の診断キット。
(23)任意の物質の摂取前後において、(1)ないし(7)のいずれかに記載のペプチド、または遺伝子を検出し、その発現量を指標として、当該物質が抗疲労物質であるか否かを判定する方法(抗疲労物質のスクリーニング方法)。
(24)上記(17)の癌の判定方法を行うための癌判定キット。
(25)前記癌判定キットに上記(9)記載の抗体が含まれていることを特徴とする(24)記載の癌判定キット。
(26)被検化学物質を実験動物に投与した投与群または非投与群において、該実験動物の生体試料を採取し、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のペプチド、または遺伝子を検出し、前記投与群と非投与群のとのその発現量の差を指標として、当該物質が発癌性を有するか否かを判定する方法
本発明にかかるペプチドによれば、疲労度を客観的に評価する指標、さらにCFSまたはFMの診断指標を提供することができるという効果を奏する。また該指標を用いることによって、これまで困難であった疲労度の評価方法、およびCFSまたはFMの診断方法、並びに該方法を行うためのキットを提供することができるという効果を奏する。さらに、被検組織の癌の有無の判定指標を提供することができるという効果を奏する。また、該指標を用いることによって、癌の有無を判定する方法ならびに該方法を行うためのキットを提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態について以下に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
(A)本発明にかかるペプチドおよびその遺伝子の構造
(A−1本発明にかかるペプチド)
本発明にかかるペプチドは、神経内分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として、ストレスに応答して生体内で生成される神経ペプチドである。本発明でいう「ストレス」には身体的ストレスおよび精神的ストレスが含まれる。ヒトなどが、過度のストレス状況下におかれると、生体の応答の一つとして「しんどい」、「だるい」等の疲労感を感じることとなる。「疲労」とは、身体的ストレスまたは精神的ストレスによって、ヒトの身体的機能および精神的機能が受ける悪影響をいい、例えば、倦怠感、不快感、脱力感、作業能力の量的または質的低下、生理的機能(自律神経機能、睡眠調節機能、体温調節機能、ホルモン分泌機能など)の低下として現れるものである。また、「生体内で生成される」とは、セレクトグラニンIIが酵素によって切断されて生成されることをいう。
セクレトグラニンIIは、分泌顆粒細胞に存在する神経内分泌タンパク質の一つであり、種々の神経ペプチドの前駆体となることが知られている。かかるセクレトグラニンIIは、619アミノ酸からなるタンパク質であり、その分子内に2つの連続した塩基性アミノ酸(リジン−アルギニン(KR)、アルギニン−リジン(RK)、アルギニン−アルギニン(RR))からなる配列をいくつか有する。かかる箇所は、酵素によりいくつかのペプチド(secretoneurin、EM66)が切断される箇所(切断認識配列)であることが知られている。
図1にラット由来セクレトグラニンIIのアミノ酸配列(アミノ酸1文字表記)、secretoneurin、EM66、および該ペプチドの切断認識配列を示した。図1中四角で囲んだKRは、上述の切断認識配列を示している。また、下線を引いた配列は、secretoneurinを示し、二重下線を引いた配列はEM66を示し、黒塗りをした配列は、後述するManserinを示す。
本発明者等は、かかるセクレトグラニンII中に存在する切断認識配列に着目し、該切断認識箇所に挟まれ切り出される可能性のある新規ペプチドについて解析を行った。特にセクレトグラニンIIのC末端より切り出される40アミノ酸のペプチド(後に本発明者等によってManserinと命名された)について詳細に検討を行った(図1参照)。後述する実施例において示すごとく、該Manserinに対する抗体を作成し、ラット全脳から抽出した粗ペプチド画分よりManserinの分離・精製を試みた。その結果、Manserinは、神経ペプチドとして相当量脳内に存在することが確認された。また、Manserinに対する抗体を用いて免疫組織化学染色を行ったところ、視床下部正中隆起、および下垂体にその存在が確認された。よって、Manserinは、新規神経ペプチドであるといえる。なお、ラット由来Manserinのアミノ酸配列を配列番号1に、ラット由来セクレトグラニンIIのアミノ酸配列を配列番号3に示した。
また、後述する実施例において、CFS患者15名、およびFM患者2名、正常対照群16名を対象として、血清を採取し、ELISA法によりManserin濃度を測定したところ、正常対照群16名の血清Manserin濃度は、狭い範囲に集中していたのに対して、CFS患者の15名においては著しく広い範囲に分布しており、高値例が存在した。また重症CFS患者、および重症FM患者の血清中で顕著に高値を示した。よって、かかる結果により、新規神経ペプチドManserinは、疲労度の評価、並びにCFSおよびFMの診断指標として有効であるといえる。
ここで、本発明にかかるペプチドは、後述する本発明にかかる遺伝子(本発明にかかるペプチドをコードする遺伝子)を宿主細胞に導入して、そのペプチドを細胞内発現させた状態であってもよいし、細胞、組織などから単離精製された状態であってもよい。また、上記宿主細胞での発現条件によっては、本発明にかかるアミノ酸は、他のタンパク質とつながった融合タンパク質であってもよい。さらに本発明にかかるペプチドは、化学合成されたものであってもよい。
さらに、本発明にかかるペプチドは、その一部が改変された変異ペプチドであってもよい。即ち、本発明にかかるペプチドには、(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド(Manserin)のみならず、(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、ストレスに応答して、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチドも含まれる。さらには、上記(b)のペプチドであって、さらに疲労度の指標となるペプチドも含まれる。
上記「1個又はそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ペプチド作製法により置換、欠失、挿入、及び/又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されることを意味する。このように、上記(b)および(c)のペプチドは、上記(a)のペプチドの変異ペプチドである。なお、ここでいう「変異」は、主として公知の変異ペプチド作製法により人為的に導入された変異を意味するが、天然に存在する同様の変異ペプチドを単離精製したものであってもよい。
また、「(生体内で)生成されるペプチド」とは、生体内または生体外において、セレクトグラニンIIが酵素によって切断されて生成されるペプチドのほか、セレクトグラニンIIから非酵素的に生成されるペプチドをも含む。
(A−2)本発明にかかる遺伝子
本発明にかかる遺伝子は、上記(a)ないし(c)のいずれかのペプチドをコードする遺伝子、およびその塩基配列の一部を改変した改変遺伝子が含まれる。本発明にかかる遺伝子を適当な宿主(例えば細菌、酵母)に導入すれば、本発明にかかるペプチドをその宿主内で発現させることができる。
上述のごとく本発明にかかるペプチドは、セクレトグラニンIIを前駆体として切り出されるペプチドである。よって、本発明にかかる遺伝子は、セクレトグラニンIIをコードする遺伝子配列中に存在する。その一例として、図2にラット由来セクレトグラニンIIをコードする遺伝子配列を示し、該遺伝子配列における本発明にかかるペプチドの一例であるManserinのコード領域を黒塗りで示した。ラット由来Manserinの遺伝子配列を配列番号2に、またその前駆体であるラット由来セクレトグラニンIIの遺伝子配列を配列番号4に示した。
なお、本発明にかかる遺伝子は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAやRNAを包含する。アンチセンス鎖は、プローブとして又はアンチセンス薬剤として利用できる。DNAには、例えばクローニングや化学合成技術、又はそれらの組み合わせで得られるようなcDNAやゲノムDNAなどが含まれる。さらに、本発明にかかる遺伝子は、上記(a)ないし(c)のいずれかのアミノ酸をコードする配列以外に、非翻訳領域(UTR)の配列やベクター配列(発現ベクター配列を含む)などの配列を含むものであってもよい。
さらに、本発明にかかる遺伝子は、配列番号2に示される塩基配列をORF領域として有する遺伝子に限定されるものではなく、配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子が含まれる。なお、上記「ストリンジェントな条件」とは、少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97%の同一性が配列間に存在するときにのみハイブリダイゼーションが起こることを意味する。
上記ハイブリダイゼーションは、J.Sambrook et al.Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高くなる(ハイブリダイズし難くなる)。
(B)本発明にかかるペプチドおよび遺伝子の取得方法
本発明にかかるペプチドおよび遺伝子の取得方法(生産方法)は特に限定されるものではないが、代表的な方法として次に示す各方法を挙げることができる。
(B−1)ペプチドの取得方法
本発明にかかるペプチドを取得する方法(生産方法)は、上述したように特に限定されるものではないが、まず、本発明にかかるペプチドを含有する細胞、組織などから単純精製する方法を挙げることができる。また精製方法についても特に限定されるものではなく、公知の方法で細胞や組織から細胞抽出液を調製し、この細胞抽出液を公知の方法、例えばカラム等を用いて精製すればよい。例えば、後述する実施例においては、ラット全脳より抽出した粗ペプチド画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけ、本発明にかかるペプチドの精製・分離を行っている。
またその他の本発明にかかるペプチドを取得する方法として、遺伝子組み換え技術等を用いる方法も挙げられる。この場合、例えば、本発明にかかる遺伝子をベクターなどに組み込んだ後、公知の方法により、発現可能に宿主細胞に導入し、細胞内で翻訳されて得られる上記ペプチドを精製するという方法などを採用することができる。遺伝子の導入(形質転換)や遺伝子の発現等の具体的な方法については後述する。
なお、このように宿主に外来遺伝子を導入する場合、外来遺伝子の発現のため宿主内で機能するプロモーターを組み入れた発現ベクター、及び宿主には様々なものが存在するので、目的に応じたものを選択すればよい。産生されたペプチドを精製する方法は、用いた宿主、ペプチドの性質によって異なるが、タグの利用等によって比較的容易に目的のペプチドを精製することが可能である。
変異ペプチドを作製する方法についても、特に限定されるものではない。例えば、部位特異的突然変異誘発法(Hashimoto−Gotoh,Gene 152,271−275(1995)他)、PCR法を利用して塩基配列に点変異を導入し変異ペプチドを作製する方法、あるいはトランスポゾンの挿入による突然変異株作製法などの周知の変異ペプチド作製法を用いることができる。これら方法を用いることによって、上記(a)のペプチドをコードするcDNAの塩基配列において、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されるように改変を加えることによって作製することができる。また、変異ペプチドの作製には、市販のキットを利用してもよい。
本発明にかかるペプチドの取得方法は、上述に限定されることなく、例えば、市販されているペプチド合成器等を用いて化学合成されたものであってもよい。またその他の例としては、無細胞系のタンパク質合成液を利用して、本発明にかかる遺伝子から本発明にかかるペプチドを合成してもよい。後述する実施例においては、化学合成によって調製した本発明にかかるペプチド(Manserin)をウサギに免疫することによって、該ペプチドに対するポリクローナル抗体を取得している。
(B−2)遺伝子の取得方法
本発明にかかる遺伝子を取得する方法(生産方法)も上述したように特に限定されるものではないが、例えば、ディファレンシャルスクリーニング(サブトラクションクローニング)を利用する方法を挙げることができる。この方法では、公知の技術に従って、試験管内での直接的ハイブリダイゼーションを繰り返し、目的のcDNA(本発明にかかる遺伝子)を濃縮すればよい。
上記ディファレンシャルスクリーニングにおける各ステップについては、通常用いられる条件の下で行えばよい。これによって得られたクローンは、制限酵素地図の作成およびその塩基配列決定(シークエンシング)によって、さらに詳しく解析することができる。これらの解析によって、本発明にかかる遺伝子配列を含むDNA断片を取得したか容易に確認することができる。
また、本発明にかかる遺伝子を取得する方法として、公知の技術により、本発明にかかる遺伝子を含むDNA断片を単離し、クローニングする方法が挙げられる。例えば、上記cDNA配列の一部配列と特異的にハイブリダイズするプローブを調製し、ゲノムDNAライブラリーやcDNAライブラリーをスクリーニングすればよい。このようなプローブとしては、上記各cDNA配列またはその相補配列の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズするプローブであれば、いずれの配列・長さのものを用いてもよい。
また、本発明にかかる遺伝子を取得する方法として、PCR等の増幅手段を用いる方法を挙げることができる。例えば、本発明にかかる遺伝子のcDNA配列のうち、5‘側および3’側の配列(またはその相補配列)の中からそれぞれプライマーを調製し、これらプライマーを用いてゲノムDNA(またはcDNA)等を鋳型にしてPCR等を行い、両プライマー間に挟まれるDNA領域を増幅することで、本発明にかかる遺伝子を含むDNA断片を大量に取得できる。
また遺伝子配列情報をもとにして、該配列を持つポリヌクレオチドを、公知の化学合成を用いて合成してもよい。
(C)本発明にかかる抗体
本発明にかかる抗体は、本発明にかかるペプチド、例えば前記(a)ないし(c)のいずれかのペプチド、またはその部分ペプチドを抗原として、公知の方法によりポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体として得られる抗体である。公知の方法としては、例えば、文献(Harlowらの「Antibodies:A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory,NeW York(1988))、岩崎らの「単クローン抗体ハイブリドーマとELISA、講談社(1991)」」に記載の方法が挙げられる。このようにして得られる抗体は、本発明にかかるペプチドの検出・測定などに利用できる。
例えば、後述する実施例においては、本発明にかかるペプチド(Manserin)をウサギに免疫して取得した該ペプチドに対するポリクローナル抗体を用いて、CFS患者およびFM患者血清中のManserin濃度を定量している。
(D)本発明にかかる組み換え発現ベクター
本発明にかかる組換え発現ベクターは、前記(a)ないし(c)のいずれかのペプチドをコードする本発明の遺伝子を含むものである。例えば、cDNAが挿入された組換え発現ベクターが挙げられる。組換え発現ベクターの作製には、プラスミド、ファージ、又はコスミドなどを用いることができるが特に限定されるものではない。また、作製方法も公知の方法を用いて行えばよい。
ベクターの具体的な種類は特に限定されるものではなく、ホスト細胞中で発現可能なベクターを適宜選択すればよい。すなわち、ホスト細胞の種類に応じて、確実に遺伝子を発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと本発明にかかる遺伝子を各種プラスミド等に組み込んだものを発現ベクターとして用いればよい。
本発明にかかる遺伝子がホスト細胞に導入されたか否か、さらにはホスト細胞中で確実に発現しているか否かを確認するために、各種マーカーを用いてもよい。例えば、ホスト細胞中で欠失している遺伝子をマーカーとして用い、このマーカーと本発明にかかる遺伝子とを含むプラスミド等を発現ベクターとしてホスト細胞に導入する。これによってマーカー遺伝子の発現から本発明にかかる遺伝子の導入を確認することができる。あるいは、本発明にかかるペプチドを融合タンパク質として発現させてもよく、例えば、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質GFP(Green Fluorescent Protein)をマーカーとして用い、本発明にかかるペプチドをGFP融合タンパク質として発現させてもよい。
上記ホスト細胞は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。具体的には、例えば、カイコガ由来の細胞をはじめとして、キイロショウジョウバエ等の昆虫、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeや分裂酵母Schizosaccharomyces pombe)、線虫Caenorhabditis elegans、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
上記発現ベクターをホスト細胞に導入する方法、すなわち形質転換方法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。
(E)本発明にかかる形質転換体
本発明にかかる形質転換体は、本発明にかかる遺伝子、すなわち、前記(a)ないし(c)のいずれかのペプチドをコードする遺伝子が導入された形質転換体である。ここで、「遺伝子が導入された」とは、公知の遺伝子工学的手法(遺伝子操作技術)により、対象細胞(宿主細胞)内に発現可能に導入されることを意味する。また、上記「形質転換体」とは、細胞・組織・器官のみならず、生物個体を含む意味である。
本発明にかかる形質転換体の作製方法(生産方法)は、上述した組換え発現ベクターを形質転換する方法を挙げることができる。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、上記ホスト細胞で例示した各種微生物や動物を挙げることができる。また、プロモーターやベクターを選択すれば、植物も形質転換の対象とすることが可能である。
(F)本発明にかかる遺伝子検出器具
本発明にかかる遺伝子検出器具は、本発明にかかる遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列をプローブとして用いたものである。遺伝子検出器具は、種々の条件下において、本発明にかかる遺伝子の発現パターンの検出・測定などに利用することができる。
本発明にかかる遺伝子検出器具としては、例えば、本発明の遺伝子と特異的にハイブリダイズする上記プローブを基盤(担体)上に固定化したDNAチップが挙げられる。ここで「DNAチップ」とは、主として、合成したオリゴヌクレオチドをプローブに用いる合成型DNAチップを意味するが、PCR産物などのcDNAをプローブに用いる貼り付け型DNAマイクロアレイをも包含するものとする。
プローブとして用いる配列は、cDNA配列の中から特徴的な配列を特定する従来公知の方法によって決定することができる。具体的には、例えば、SAGE:Serial Analysis of Gene Expression法(Science 276:1268,1997;Cell 88:243,1997;Science 270:484,1995;Nature 389:300,1997;米国特許第5,695,937号)等を挙げることができる。
なお、DNAチップの製造には、公知の方法を採用すればよい。例えば、オリゴヌクレオチドとして合成オリゴヌクレオチドを使用する場合には、フォトリソグラフィー技術と固相法DNA合成技術との組み合わせにより、基盤上で該オリゴヌクレオチドを合成すればよい。一方、オリゴヌクレオチドとしてcDNAを用いる場合には、アレイ機を用いて基盤上に貼り付ければよい。
また、一般的なDNAチップと同様、パーフェクトマッチプローブ(オリゴヌクレオチド)と、該パーフェクトマッチプローブにおいて一塩基置換されたミスマッチプローブとを配置して遺伝子の検出精度をより向上させてもよい。さらに、異なる遺伝子を並行して検出するために、複数種のオリゴヌクレオチドを同一の基盤上に固定してDNAチップを構成してもよい。
(G)本発明にかかるペプチドの利用方法(有用性)
本発明にかかるペプチドは、前述のごとく新規神経ペプチドであり、特にCFS患者およびFM患者の血清中に高濃度に存在することから、本発明にかかるペプチドの利用の一例として疲労度を評価する方法、およびCFS、FMの診断(発症または発症可能性の判断)に利用が可能である。
ここで、CFSとは、これまで健康に生活していた人が、風邪などに罹患したことをきっかけに原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降疲労感とともに微熱、頭痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつなどの精神神経症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなる疾患である。本発明における「慢性疲労症候群」または「CFS」は、Fukudaらが提唱した臨床基準(Fukuda K,et al.Annals of Internal Medicine 1994;121(12):953−9)または米国疾患制御予防センターのガイドライン(Bock G,Whelan J編、Chronic Fatigue Syndrome.New York:Wiley;1993:83−101中のEpidemiology of Chronic Fatigue Syndrome:the Centers for Disease Control study)に該当する疾患と定義される。
また、FMとは、原因不明の全身的慢性疼痛であり、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイなどが伴う事もある。膠原病あるいはリウマチと症状が似ている。また、慢性疲労症候群・膠原病・リウマチ等と合併して発症することもある。
(G−1)疲労度評価方法およびCFS、FM診断方法(発症または発症可能性判定方法)
本発明にかかる疲労度評価方法およびCFS、FMの診断方法(発症または発症可能性判定方法)は、生体がストレスを受けた際に、クロモグラニンIIから新規神経ペプチドManserinが生成され血清中に高濃度で存在するという知見に基づいて完成されたものである。つまり、本発明にかかるペプチド(例えばManserin)の濃度を測定し比較した結果、対照群(健常者)の該ペプチドの濃度より高値であれば、疲労度が高いと評価でき、またCFS、FMであると診断することができる。よって、本発明にかかる疲労度評価方法およびCFS、FMの診断方法は、被験者血清中の本発明にかかるペプチド(例えばManserin)濃度を定量できる方法であれば特に限定されるものではない。
本発明にかかるペプチドを定量する方法としては、例えば、ELISA法、RIA法など、特に、上記抗原抗体反応を用いる方法は、特異性が高いという理由で特に好ましい。上記ELISA法、RIA法等の抗原抗体反応を用いて定量する方法には、定量しようとする本発明にかかるペプチドに対する抗体、つまり前記(C)にて示した抗体を用いることが好ましい。
また、「発症可能性」とは、疾患が発生する危険度を示す指標をいい、発症可能性が高ければそれだけ疾患になりやすく、逆に発症可能性が低ければ疾患になり難いということを示すものである。すなわち、この発症可能性を調べることにより、疾病の予防に役立てることができる。
(G−2)疲労度評価キットおよびCFS、FM診断キット
本発明にかかる疲労度評価キットおよびCFS、またはFM診断キットは、上記疲労度評価方法、およびCFSまたはFM診断方法を実施することができるものを含んでいれば、特に限定されるものではない。
ここで本発明にかかる疲労度評価キットおよびCFS、またはFM診断キットには、定量しようとする本発明にかかるペプチドに対する抗体、つまり前記(C)にて示した抗体が含まれていることが好ましい。該抗体が含まれていることによって、ELISA法、RIA法を用いて、特異的に本発明にかかるペプチドを定量することができる。またその他、ELISA法等に用いる2次抗体、発色試薬、抗原抗体反応用の緩衝液、ブロッキングに用いるBSA、反応を行うためのウエルプレート、吸光値を測定するための吸光度計、その他データを解析し処理するためのソフトウエア、ハードウエア等が含まれていても良い。
上記キットによれば、被験者の血清中の本発明にかかるペプチド(例えばManserin)を簡便に定量することができ、疲労度の評価または、CFS、FMの診断が可能となる。
(G−3)抗疲労物質のスクリーニング方法
本発明にかかるペプチドまたは遺伝子の発現量を指標として、抗疲労物質のin vivoスクリーニングが可能となる。すなわち、本発明にかかる抗疲労物質のスクリーニング方法は、被験者または実験動物が任意の物質(抗疲労の候補物質)を摂取前および摂取後において、当該被験者等における上記ペプチドまたは遺伝子を検出する検出工程と、上記検出工程によって任意の物質の摂取前後におけるペプチドまたは遺伝子の発現量を比較し、当該物質が抗疲労物質として機能するか否かを判定する判定工程とを含んでいればよい。
上記検出工程では、上述した方法やキットを適宜利用可能である。また、判定工程では、物質の摂取後にペプチドまたは遺伝子の発現量が減少していることを指標として当該物質が抗疲労効果を有すると判定することができる。ここで、本発明における抗疲労とは、疲労を回復させるおよび/または疲労を減弱する効果を意味する。
なお、被験者等の代わりに培養細胞などを用いれば、in vitroで抗疲労物質をスクリーニングすることができる。
また、「摂取」には、経口摂取のほか、注射(血管、筋肉などへの)による摂取、細胞培養用の培地への添加などが挙げられる。
(G−4)癌の判定方法、癌の判定キットおよび被検化学物質が発癌性を有するか否かを判定する方法
本発明にかかる癌の判定方法は、被検組織中のアポトーシスを起こしている細胞に、新規神経ペプチドManserinが高確率で存在するという知見に基づいて完成されたものである。つまり、本発明にかかるペプチド(例えばManserin)が被検組織中に存在すれば、該被検組織は癌であると判断することができる。よって、本発明にかかる癌の判定方法は、被検組織中の本発明にかかるペプチド(例えばManserin)の発現を明らかにできる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、後述する実施例においては、本発明にかかるペプチドの発現を抗Masnerin抗体により確認し、さらにTUNELアッセイによりアポトーシス細胞を検出したところ、アポトーシスを起こしている細胞に本発明にかかるペプチドが高確率で発現することが示された。よって、かかる結果により、新規神経ペプチドManserinは、癌の判定指標として有効であるといえる。
本発明にかかる癌の判定キットは、上記癌の判定方法を実施することができるものを含んでいれば特に限定されるものではない。
本発明にかかるペプチドまたは遺伝子の発現量を指標として、被検化学物質が発癌性を有するか否かを判定することが可能となる。すなわち、本発明にかかる被検化学物質が発癌性を有するか否かを判定する方法は、実験動物に任意の物質(抗癌の候補物質)を投与した群(投与群)および非投与群において当該実験動物等における上記ペプチドまたは遺伝子を検出する工程と、上記検出工程によって任意の物質(抗癌の候補物質)を投与した群(投与群)および非投与群におけるペプチドまたは遺伝子の発現量を比較し、当該物質が抗癌物質として機能するか否かを判定する判定工程とを含んでいればよい。
なお、投与群および非投与群は同一実験動物でもよい。さらに実験動物等の代わりに培養細胞などを用いれば、in vitroで抗癌物質をスクリーニングすることができる。
なお本発明は、以上説示した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は文部科学省科学技術振興調整費生活者ニーズ対応研究「疲労および疲労感の分子・神経メカニズムとその防御に関する研究」の成果である。
以下本発明を実施例および図3〜9に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1:ラットの脳からのManserinの分離・精製〕
<Manserin抗体の調製>
ラット由来Manserinのアミノ酸配列情報(配列番号1)をもとに、40アミノ酸からなるペプチドをペプチド合成器によって化学合成を行った。
取得した合成ペプチド(Manserin)をウサギに対して免疫し、Manserinに対するポリクローナル抗体を調製した。
<ラット脳からの粗ペプチド画分の調製>
ラットの脳から粗ペプチド画分を熱酢酸法により抽出した。具体的には以下のようにした。
6〜8週齢のオスラット20匹より迅速に脳を摘出し、液体窒素中で凍結させた。凍結した脳をすり鉢と乳棒で破砕後、2倍量の沸騰水中で5分間煮沸し、その後酢酸(最終濃度2%)を加えて混合した。次に遠心分離(9700rpm、30分間、4℃)を行い、得られた上清に0.1%トリフルオロ酢酸を加え、C18逆相カートリッジにかけた。アセトニトリルで溶出後、濃縮して粗ペプチド画分を得た。
<粗ペプチド画分のHPLCによる精製>
上記得られた粗ペプチド画分を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC(BioCAD700E、PE Biosystems)により精製を行った。具体的には、粗ペプチド画分を逆相カラムのPepMapC18(PerSeptive Biosystems)にかけ、0〜80%のアセトニトリル濃度勾配で溶出を行い、60本の画分(1ml)を得た。各画分を上述のManserinポリクローナル抗体を用いた競合ELISA(後述する実施例3参照)を行い、免疫活性を呈した画分をさらにHPLCにかけ分画を行った。この操作を単一ピークになるまで繰りかえした。図3(a)に第1回目のHPLCを行った際のチャート(UV220nm)を示した。また、図3(b)には、当該HPLC精製最終段階のチャート(UV220nm)を示した。
単一ピークとなった画分について、アミノ酸配列確認、質量分析を行ったところ、Manserinであることが確認できた。よってManserinは、神経ペプチドとして脳中に相当量存在するペプチトであるということがわかった。
〔実施例2:Manserinの生体内分布〕
前記Manserinポリクローナル抗体を用いて生体内における分布を免疫組織化学染色によって検討した。より具体的には、以下のとおりにした。
生後8〜12週令のラットを、xylazine,ketamine下で深麻酔させた。4%パラホルムアルデヒド/0.1Mリン酸バッファーにより灌流固定後、断頭した。4%パラホルムアルデヒド/0.1Mリン酸バッファーによる24時間の固定の後、5%、15%、30%ショ糖で置換し、40μmの横断切片を作成した。当該切片を、0.3%TritonX−100/0.01MPBSで一晩洗浄の後、5%normal goat serum(NGS)を用いて室温1時間のブロッキングを行った。次に、当該切片と5000倍希釈の抗Manserin抗体とを37□、1時間反応させた。続いて、当該切片をビオチン標識抗ウサギIgG(500倍希釈)と37□、1時間反応させた後、avidin/biotin複合体溶液と反応させ、0.5%diaminobenzidine,0.03%Hを含むPBSで発色させた。
図4に、Manserinの脳内分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(8倍)を示した。図5(a)は、視床下部におけるセクレトグラニンIIの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(50倍)を示し、図5(b)は、視床下部におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(50倍)を示した。図4の結果より、Manserinは視床下部にその存在が確認された。さらに詳細に調べた結果、図5に示したごとく、特に視床下部正中隆起に存在していることがわかった。このことよりManserinは視床下部下垂体系、すなわちストレス応答系に重要な役割を司っていることが示唆される。
また図6には、下垂体前葉におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(図6(a)115倍、図6(b)1,000倍)を示した。この結果によって下垂体前葉においてもManserinの存在が確認された。このことよりManserinは、視床下部下垂体前葉系に重要である可能性がある。
また図7には、十二指腸絨毛におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(図7(a)200倍、図7(b)400倍、)を示し、図7(c)には、H&E染色(hematoxylin and eosin staining)を行った結果を示した。この結果によって、十二指腸絨毛においてもManserinの存在が確認された。このことより、Manserinは、消化器系にも何らかの役割りを果たしていると考えられる。
〔実施例3:CFS患者、FM患者血清中のManserin濃度の定量〕
CFS患者15名、FM患者2名(平均15.7才、男9名 女8名)、および正常対照群16名(平均23.3才、男5名 女11名)を対象とし、事前に十分なインフォームドコンセントを行った後、血清を採取し、Manserinの濃度をELISA法で測定し、対照群と患者群で比較した。
定量するManserinの濃度が微量であるため、ELISA法としては、特に競合ELISA法を行った。簡単説示すれば、以下に示すとおりである。
(I)ELISA用96ウェルプレートに1μg/mlのManserinを37℃、2時間でコーティングし、その後洗浄した。
(II)200μlのブロッキング溶液(1%BSA、0.02%NaN,10mM PBS)で37℃、1時間で非特異的吸着をブロックした。
(III)適度に希釈した各画分または血清など未知の溶液50μlに10,000倍希釈のManserinポリクローナル抗体50μlを37℃、1時間反応させた後、上記(II)のプレートに加え37℃、1時間反応させた。その後洗浄を行った。
(IV)アルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG抗体で反応させた後、基質であるパラニトロフェニルリン酸で発色させプレートリーダーで吸光度(OD405nm)を測定した。
上記操作を図8に示す。図8中の「固相化」の工程では、上記(I)(II)の操作を行って、96ウェルプレートにManserinをコートしている。
次に同図中「サンプルと反応」の工程では、上記(III)の操作を行って、サンプル(画分または血清)中のManserinと該ポリクローナル抗体とをあらかじめ反応させている。
次に同図中「1次抗体」の工程では、あらかじめサンプル中のManserinと反応させておいたポリクローナル抗体を、96ウェルプレートにコートしたManserinと反応させる(上記(III))。サンプル中のManserinと既に結合した該ポリクローナル抗体は、96ウェルプレートにコートしたManserinとは結合することができず、洗浄工程で除かれる。
次に同図中「2次抗体」の工程では、96ウェルプレートにコートしたManserinと結合した該ポリクローナル抗体に対して、アルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG抗体で反応させた後、基質であるパラニトロフェニルリン酸で発色させプレートリーダーで吸光度(OD405nm)を測定する(上記(IV))。サンプル中のManserin濃度が高いサンプルは、Manserinポリクローナル抗体と96ウェルプレートにコートしたManserinとの結合を阻害するために、発色はほとんどしない。一方Manserin濃度が低いサンプルは、逆にManserinポリクローナル抗体と96ウェルプレートにコートしたManserinとの結合がほとんど阻害されないために発色量が高くなる。またManserin濃度が中程度のものは、発色も中程度となる。
CFS患者、FM患者血清中のManserin濃度の定量を行った結果を図9に示す。正常対照群16名の血清中のManserin濃度は狭い範囲に集中していたのに対し、CFSと診断された15名では血清中のManserin濃度は著しく広い範囲に分布しており高値例が存在した。特に2名のFMでは、ともに著明な高値を呈していた。また、血清中のManserin濃度と、重症度は強い相関があった。つまり、血清中のManserin濃度が高値を示したCFS患者は重傷度が例外なく高く、またともに高値を示した2名のFM患者についても重症患者であった。よって以上の結果より、ManserinがCFS及びFMの診断に有用であることがわかった。
実施例4[Manserinの分布]
アポトーシスを起こした細胞を検出することにより、前記アポトーシスを起こした細胞における当該Manserinの分布を検討した。より具体的には、以下のとおりにした。
生後6週令のラットを、xylazine,ketamine下で深麻酔させた。4%パラホルムアルデヒド/0.1Mリン酸バッファー(pH7.3)により灌流固定後、断頭した。4%パラホルムアルデヒド/0.1Mリン酸バッファー(pH7.3)による24時間の固定の後、5%、15%、30%ショ糖で置換し、40μmまたは12μmの横断切片を作成した。当該切片を、0.1%TritonX/PBSで一晩、4℃でインキュベーション後、0.3%H2O2/メタノール存在下、20分間室温にてインキュベーションし、単純免疫染色のために5%normal goat serum(NGS)および二重免疫染色のために5%normal house serum(NHS)を用いて室温1時間のブロッキングを行った。
1次抗体としては以下のものを用いた。(i)当該切片と500倍希釈の抗ウサギSgII抗体(ii)抗ウサギManserin抗体(iii)当該切片と100倍希釈の抗ウサギManserinまたは抗ウサギSgII抗体および抗マウスACTH(iv)当該切片と100倍希釈の抗ウサギManserinまたは抗ウサギSgII抗体および抗マウスFSH次に、当該切片と5000倍希釈の抗Manserin抗体とを37℃、1時間反応させた。さらにTUNELアッセイ(TdT−mediated dUTP−biotin nick end labeling)を行うために、In situ Cell Death Detection Kit(TMR red,Roche Applied Science,Penzberg,Germany)を用いた。
2次抗体としては以下のものを用いた。(i)当該切片をビオチン標識抗ウサギIgG(500倍希釈)(ii)FITC標識TSA Plus蛍光システム(50希釈)(iii)Texas redと結合する抗マウス?(500倍希釈)。単純免疫染色に用いる抗原抗体反応物は、0.06%アンモニウムニッケル(II)6水和物硫酸塩および0.005%H2O2を溶かした0.02%3,3‘ジアミノベンジジン溶液により可視化させた後、Vecstastain ABC kit(Vector Laboratories)またはEnvision+kit(DakoCytomation)により検出できる。
スライドガラスは顕微鏡下で観察し、デジタルイメージ化した。なお、pre−absorptionテストのため、希釈した抗Manserin抗体は、免疫染色の前に抗原と反応させるために一晩インキュベートさせた。
また図10には、十二指腸絨毛におけるManserinおよびSgIIの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(A:Manserin、B:SgII)を示した。この結果によって、十二指腸絨毛において、SgIIは組織全体に分布しているが、Manserinは、前記絨毛の先端組織であって細胞核に分布することが明らかにされた。さらに図11には、十二指腸絨毛における抗Manserin抗体およびTUNELアッセイによる二重蛍光染色により調べた際の切片の顕微鏡図(A:赤で染色された部位がアポトーシス細胞存在部位、B:緑で染色された部位がManserin存在部位、C:黄で染色された部位が前記AおよびBの部位の重複部位)を示した。このことより、Manserinは、細胞死のメカニズムにおいて何らかの役割りを果たしていると考えられる。
以上のように、本発明にかかるペプチドは、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体とするペプチドであって、ストレスに応答して生体内で生成される新規神経ペプチドである。また重症CFS患者、重症FM患者血清中に高濃度に存在する。さらには、アポトーシスを起こしている細胞に高確率で存在する。そのため、本発明にかかるペプチドや遺伝子は、ストレスや疲労メカニズムの解明に利用することができ、ストレス解消方法の開発、疲労の程度評価をすることができる。また、CFSおよびFMの発症のメカニズム解明にも利用することができ、該疾病の診断、さらには該疾病の治療薬、治療方法を開発することができる。また、本発明を利用することにより、市場に出回る抗疲労を謳う健康食品、特定保健用食品、栄養ドリンクなどの効果の定量化(評価)が可能となる。さらには、被検組織の癌の判定が可能となる。
よって本発明は、医療業、製薬業、健康食品産業、健康機器産業等の広範な分野に利用が可能である。
ラット由来神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIのアミノ酸配列、および該タンパク質から切り出されるsecretoneurin、EM66、Manserinのアミノ酸配列部分、並びに該ペプチドの切断認識配列を示す図である。 ラット由来セクレトグラニンIIをコードする遺伝子配列、および該遺伝子配列における本発明にかかるペプチドの一例であるManserinのコード領域を示す図である。 (a)は、ラット脳由来粗ペプチド画分を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にかけ精製を行った際のUV220nmのチャート図であり、(b)は、当該HPLC精製最終段階のUV220nmのチャート図である。 Manserinの脳内分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(8倍)である。 (a)は、視床下部におけるセクレトグラニンIIの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(50倍)であり、(b)は、視床下部におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(50倍)である。 (a)は、下垂体前葉におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(115倍)であり、(b)は、下垂体前葉におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(1,000倍)である。 (a)は、十二指腸絨毛におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(200倍)であり、(b)は、十二指腸絨毛におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図(400倍)であり、(c)は、H&E染色(hematoxylin and eosin staining)を行った結果を示す図である。 実施例1、および3で行った競合ELISA法の工程を説明する模式図である。 慢性疲労症候群(CFS)患者、線維性筋痛症(FM)患者血清中のManserin濃度の定量を行った結果を示す図である。 (A)は十二指腸絨毛におけるManserinの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図であり、(B)は十二指腸絨毛におけるSgIIの分布を免疫組織化学染色により調べた際の切片の顕微鏡図である。 (A)は十二指腸絨毛における抗Manserin抗体およびTUNELアッセイによる二重蛍光染色により調べた際の切片の顕微鏡図であり、赤色染色部分がアポトーシス細胞を示しており、(B)は十二指腸絨毛における抗Manserin抗体およびTUNELアッセイによる二重蛍光染色により調べた際の切片の顕微鏡図であり、緑色染色部分がManserin発現細胞を示しており、(C)は十二指腸絨毛における抗Manserin抗体およびTUNELアッセイによる二重蛍光染色により調べた際の切片の顕微鏡図であり、黄色染色部分が前記(A)および前記(B)の染色部分の重なった部分を示す図である。

Claims (26)

  1. 神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体とするペプチドであって、ストレスに応答して生体内で生成されるペプチド。
  2. さらに前記ペプチドが疲労度の指標となることを特徴とする請求項1に記載のペプチド。
  3. 以下の(a)ないし(c)のいずれかに記載のペプチド。
    (a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるペプチド。
    (b)配列番号1のアミノ酸配列において、1個又はそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、
    かつ、ストレスに応答して、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチド。
    (c)(b)に記載のペプチドであって、さらに疲労度の指標となるペプチド。
  4. 請求項3に記載のペプチドをコードする遺伝子。
  5. 配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する請求項4記載の遺伝子。
  6. 配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ストレスに応答して、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチドをコードする遺伝子。
  7. 配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ストレスに応答して、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチドであって、さらに疲労度の指標となるペプチドをコードする遺伝子。
  8. 配列番号2に示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、神経分泌タンパク質セクレトグラニンIIを前駆体として生成されるペプチドであって、さらに被検組織の癌の有無を判定する指標となるペプチドをコードする遺伝子。
  9. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のペプチドを認識する抗体。
  10. 請求項4ないし8のいずれか1項に記載の遺伝子を含む組換え発現ベクター。
  11. 請求項4ないし8のいずれか1項に記載の遺伝子を導入してなる形質転換体。
  12. 請求項4ないし8のいずれか1項に記載の遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列をプローブとして用いた遺伝子検出器具。
  13. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のペプチドを検出することを特徴とする疲労度評価方法。
  14. 前記疲労度評価方法であって、さらに請求項9に記載の抗体を使用して検出することを特徴とする請求項13に記載の疲労度評価方法。
  15. 前記ペプチドの検出方法が、ELISA法によることを特徴とする請求項13または14に記載の疲労度評価方法。
  16. 請求項13ないし15のいずれか1項に記載の疲労度評価方法を用いた慢性疲労症候群、または線維性筋痛症の診断方法。
  17. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のペプチドを検出することにより被検組織の癌の有無を判定することを特徴とする癌の判定方法。
  18. 上記請求項9に記載のペプチドを使用して検出することを特徴とする請求項17に記載の癌の判定方法。
  19. 請求項13ないし15のいずれか1項に記載の疲労度評価方法を行うための疲労度評価キット。
  20. 前記疲労評価キットに請求項9に記載の抗体が含まれていることを特徴とする請求項19に記載の疲労度評価キット。
  21. 請求項16に記載の慢性疲労症候群、または線維性筋痛症の診断方法を行うための、慢性疲労症候群または線維性筋痛症の診断キット。
  22. 前記慢性疲労症候群または線維性筋痛症の診断キットに請求項9に記載の抗体が含まれていることを特徴とする請求項16に記載の慢性疲労症候群または線維性筋痛症の診断キット。
  23. 任意の物質の摂取前後において、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のペプチド、または遺伝子を検出し、その発現量を指標として、当該物質が抗疲労物質であるか否かを判定する方法。
  24. 請求項17に記載の癌の判定方法を行うための癌判定キット。
  25. 請求項9に記載の抗体が含まれていることを特徴とする請求項24に記載の癌判定キット。
  26. 被検化学物質を実験動物に投与した投与群または非投与群において、該実験動物の生体試料を採取し、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のペプチド、または遺伝子を検出し、前記投与群と非投与群のとのその発現量の差を指標として、当該物質が発癌性を有するか否かを判定する方法
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