JP2012019784A - 疲労の判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被験体より容易に入手し得る生体試料を用いた被験体の疲労の程度を判定する方法、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法、及び疲労判定試薬又はキットを提供すること。
【解決手段】被験体由来の生体試料における遺伝子又はそのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することを含む、疲労の程度を判定する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の遺伝子の発現を解析することによる(1)被験体の疲労の程度を判定する方法、(2)被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法、(3)疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法、及び(4)疲労判定試薬又はキットに関する。
生活者の6割以上の人は、日常的に疲労を感じており、以前と比較して十分な作業活動を維持できないと感じている(非特許文献1)。疲労に悩む生活者は、企業間競争の激化や成果主義の導入による労働環境変化、生活習慣の乱れによる睡眠不足や栄養不足などによる心身負担の増大などに伴って、年々増加している。
生活者は、日々の疲労を回復するために、入浴、コーヒーの飲用、一般用医薬品及び食品・サプリメントの摂取、アロマグッズの使用など、さまざまな方法を試行しているが(非特許文献2)、日々の疲労に対して適切に対処できなかった際においては、疲労は蓄積していく。今や、疲労の蓄積に関連する健康障害及び経済損失は大きく、社会的問題になっている。これらの社会的問題を解決するためには、生活者の疲労の程度を判定し、疲労の程度に応じた適切な対処方法を選択し、早期に疲労を改善又は回復することが必要である。
疲労の程度を判定する方法については公的な対策も推進されており、広く知られている公的対策の一つとしては、睡眠の時間や質、労働時間、疲労感や抑うつ感などの項目からなる簡易な自己判断方法(労働者の疲労蓄積度チェックリストなど)が挙げられる(非特許文献3)。しかし、国内外における多数の研究にもかかわらず、疲労感などの自覚症状によることなく、疲労の程度を客観的に判定することが可能な方法として、広く認められた方法は未だにない。
これまでにも、栄養素、サイトカインやその受容体、さらにはシグナルを受け取ってからの細胞内シグナル伝達機構などの研究から、疲労の程度を客観的に判定するための方法の開発が試みられている(非特許文献4)。例えば、血液中の複数のアミノ酸(特許文献1)、TGF-β(特許文献2)など、唾液中のヒトヘルペスウイルス6型(HHV−6)の遺伝子の発現量(特許文献3)、コルチゾール、副腎性ホルモン又はそれらの代謝物、クロモグラニンA、モノアミン類など、尿中のイソプラスタン、8-ハイドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)などの分析や測定などが挙げられる。
上記の疲労の判定方法の多くは、免疫機能の乱れを背景とする中期的・長期的な疲労と関係するが、短期的な疲労によっては引き起こされ難いという課題がある。また、病的疲労の一つである慢性疲労症候群と深く関係しており、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド、サラゾスルファピリジン、メキシレチン、アロプリノールなどによる薬剤性過敏症症候群とも密接に関係していることが知られている(非特許文献5)。また、イソプラスタンや8−OHdGは、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病と密接に関係しており、疲労の判定方法としての使用において課題が残されている。さらに、これら多くの疲労の判定方法は精神機能に大きく影響され、単にエネルギー代謝を反映している場合もあり、疲労の程度を客観的に判定していないと考えられる。
従って、生活習慣病やリンパ腺の腫れなどを伴う病的疲労や薬剤由来の疲労の判定方法として活用することは可能であるが、日常生活における疲労の判定方法としては、使用において課題が残されている。
一方、末梢白血球における複数の遺伝子の発現量を一度に比較する方法によって、ストレスの程度を客観的に評価する方法が報告されている(特許文献4及び5)。これまでにも、注目する疾患を発症している患者と疾患を発症していない患者との比較によって発現量が変動している遺伝子を探索し、得られた複数の遺伝子を疾患の診断や治療薬の探索の標的として用いる方法が広く知られている(特許文献6)。
運動を起因とするストレス状態を客観的に評価できるとする報告においては、ヒトに運動を負荷し、その前後における複数の遺伝子の発現量を解析することにより、外から生体に加わった外力である運動(ストレス刺激ストレッサー)に対して、そのゆがみを元に戻そうとする反応を“運動を起因とするストレス状態”としている。
この報告においては、“運動による生体のゆがみを元に戻そうとする反応”を評価しており、“生体のゆがみ”は客観的に評価していない。ましてや、この報告において、ストレス刺激ストレッサーとする肉体疲労、精神疲労、過労などの程度は評価の対象にしていない。さらには、運動負荷に伴う精神的なストレスや疲労感など、精神機能の変化による二次的な影響を大きく受けており、疲労を客観的に評価していることに成りえない。
疲労の蓄積などによる社会的問題を解決するため、生理学的な特徴に立脚した客観的な疲労の程度の判定方法が望まれている。また、疲労の状態を確実に改善できる物質や医薬品も依然開発途上にあり、疲労の程度の判定に有用な方法は、そのような医薬品などの疲労に対する有効性の判定のためにも必要である。
WO2005/078448号公報 WO2007/094472号公報 特開2007−330263号公報 特開2002−340917号公報 特開2008−54590号公報 特開2004−33082号公報
疲労の実態調査と予防策、P222−228、疲労の科学 株式会社講談社、2001年 疲労回復ホームページ、P229−233、疲労の科学 株式会社講談社、2001年 厚生労働省 労働者の疲労蓄積度チェックリスト 疲労の生化学バイオマーカー(血液、尿)、P71−75、最新・疲労の科学、別冊・医学のあゆみ、医歯薬出版株式会社、2010年 薬剤性過敏症症候群とヒトヘルペスウイルス、臨床免疫・アレルギー科、50巻3号、P302−306、2008年
疲労感に頼ることなく、日常生活における疲労の程度を客観的に判定することは、睡眠や休息の確保、栄養補給や摂取、さらには、医薬品投与を適切に行うことを可能とし、疲労の回復、改善及び予防が容易に可能となり、国民の健康維持・増進に大きく寄与することとなる。
従って、疲労の程度の判定などに有用な方法は、国民の健康維持・増進のためにも重要なものであり、医薬品などの疲労に対する有効性を判定するためにも必要である。
しかしながら、上述のように、疲労の程度の判定方法は提案されているが、客観的な判定方法としては極めて不十分であり、真に疲労の程度の判定に用いることが可能な判定方法は開発されていない。また、疲労状態を確実に治療できる医薬品も依然として開発途上にあり、学問上も大きな問題である。
本発明は、被験体より容易に入手し得る生体試料を用いた被験体の疲労の程度を判定する方法、疲労を回復、改善又は予防し得る物質(被験物質)の疲労に対する有効性を判定する方法、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法、及び疲労判定試薬又はキットを提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、生理学的な特徴に立脚した手法によって、日常生活における疲労、特に生理的疲労により発現が変動する特定の遺伝子よりなる遺伝子リストを作成することに成功し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る疲労の程度の判定方法は、上記の課題を解決するために、被験体より容易に入手し得る生体試料を用い、少なくとも1個以上の特定の遺伝子の発現の変動(発現変動)を指標として疲労の程度を判定することを特徴とする。
上記の方法では、簡便かつ客観的に疲労の程度を判定でき、疲労を回復、改善又は予防し得る物質の疲労に対する有効性を判定でき、これらの物質を探索することも可能である。さらに、疲労の程度が未知である被験体の疲労の程度を客観的に判定することにより、疲労の状態と判定された被験体は睡眠や休息の確保、栄養補給や摂取、さらには、医薬品投与を適切に行うことが可能となり、疲労の回復、改善及び予防が容易に可能となり、国民の健康維持・増進に大きく寄与することとなる。即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) 被験体由来の生体試料における、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することを含む、疲労の程度を判定する方法。
(2) 被験体に被験物質を投与し、被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することを含む、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法。
(3) 被験体に被験物質を投与し、被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較し、当該遺伝子の発現を変動させる物質を、疲労を回復、改善又は予防し得る候補物質として選択することを含む、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法。
(4) 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現量の変動を分析及び/又は比較する、(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5) 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上の遺伝子について、発現変動が異なる遺伝子の数を分析及び/又は比較する、(1)から(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6) 被験体がヒト又は非ヒト哺乳動物である、(1)から(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7) 生体試料が血液、肝臓、心筋、骨格筋又は細胞である、(1)から(6)のいずれか1項に記載の方法。
(8) 生体試料が血液である、(1)から(6)のいずれか1項に記載の方法。
(9) 疲労が生理的疲労である、(1)から(8)のいずれか1項に記載の方法。
(10) 疲労が末梢性疲労である、(1)から(9)のいずれか1項に記載の方法。
(11) 疲労が身体作業による肉体疲労である、(1)から(10)のいずれか1項に記載の方法。
(12) 表1に記載のNo.001〜No.225の遺伝子、表4に記載のNo.001〜No.280の遺伝子、表5に記載のNo.001〜No.033の遺伝子又は表6に記載のNo.001〜No.033の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現量を分析及び/又は比較し、及び/又は表1に記載のNo.226〜No.466の遺伝子、表4に記載のNo.281〜No.585、表5に記載のNo.034〜No.035の遺伝子又は表6に記載のNo.034〜No.035の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現量を分析及び/又は比較する、(1)から(11)のいずれか1項に記載の方法。
(13) 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子が、ADAMTS1遺伝子、ADAMTS20遺伝子、ADAMTS9遺伝子、AGT遺伝子、ATF3遺伝子、ATF4遺伝子、ATP2A2遺伝子、ATP6V0D1遺伝子、BCL2L11遺伝子、CARHSP1遺伝子、CASP9遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHRD遺伝子、CHST15遺伝子、CLIC4遺伝子、CTGF遺伝子、DDIT3遺伝子、EIF2B2遺伝子、ERN1遺伝子、FKBP5遺伝子、FOSB遺伝子、FOS遺伝子、FOXO1遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、ID1遺伝子、INHBB遺伝子、JUN遺伝子、LCN2遺伝子、LGALS3遺伝子、MT1E遺伝子、NFATC1遺伝子、NFIL3遺伝子、NR4A1遺伝子、NR4A3遺伝子、OPTN遺伝子、PLAU遺伝子、PLK3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、SDC4遺伝子、SMAD3遺伝子、THBS1遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、TP53遺伝子、ZBTB16遺伝子、又はそれらのホモログ遺伝子である、(1)から(12)のいずれか1項に記載の方法。
(14)表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子が、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、FKBP5遺伝子、FOS遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、又はそれらのホモログ遺伝子である、(1)から(12)のいずれか1項に記載の方法。
(15)表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子が、ATP6V0D1遺伝子、FKBP5遺伝子、HMOX1遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、又はそれらのホモログ遺伝子である、(1)から(12)のいずれか1項に記載の方法。
(16) 遺伝子の発現変動の分析を、生体試料における遺伝子のRNAを測定することによって行う、(1)から(15)のいずれか1項に記載の方法。
(17) 遺伝子の発現変動の分析を、生体試料における遺伝子のRNAをプライマーを用いた遺伝子の増幅手法で測定することによって行う、(1)から(16)のいずれか1項に記載の方法。
(18) 遺伝子の発現変動の分析を、生体試料における遺伝子のRNAを疲労のバイオマーカーとして測定することによって行う、(1)から(17)のいずれか1項に記載の方法。
(19) 被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が増加している場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、(1)から(18)のいずれか1項に記載の方法。
(20) 被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量が、疲労の状態の対照体及び/又は非疲労の状態の健常対照体における当該遺伝子の発現量のどちらに近いかに基づいて行われ、疲労の状態の対照体に近い発現量の場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、(1)から(19)のいずれか1項に記載の方法。
(21) 被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が、疲労の状態の対照体における当該遺伝子の発現変動量又は発現変動率に近い場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、(1)から(20)のいずれか1項に記載の方法。
(22) 被験体由来の生体試料における2個以上の遺伝子の発現変動量又は発現変動率の平均値及び/又は中央値が、疲労の状態の対照体における2個以上の当該遺伝子の発現変動量又は発現変動率の平均値及び/又は中央値に近い場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、(1)から(21)のいずれか1項に記載の方法。
(23)被験物質の疲労に対する有効性を判定するにおいて、被験物質の投与に伴って被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が減少している場合に、被験物質は疲労に対して有効であると判定することを特徴とする、(1)から(22)のいずれか1項に記載の方法。
(24) 被験物質の疲労に対する有効性を判定するにおいて、(i)被験物質を投与した被験体と、被験物質を投与しなかった被験体からそれぞれ生体試料を採取し、それぞれの生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程と、(ii)(i)の工程によって得られた、当該被験物質の投与有無による生体試料における遺伝子の発現量の測定結果に基づき、当該被験物質の投与有無による生体試料における遺伝子の発現変動量を算出する工程と、(iii)(ii)の工程によって得られた当該被験物質の投与有無による生体試料における遺伝子の発現変動量に基づき、当該被験物質の疲労に対する有効性を判定する工程とを含む、(23)に記載の方法。
(25) 被験物質の疲労に対する有効性を判定するにおいて、(i)被験体に被験物質を投与する前に当該被験体の生体試料を採取し、生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程と、(ii)被験体に被験物質を投与した後に当該被験体の生体試料を採取し、生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程と、(iii)(i)及び(ii)の工程によって得られた、当該被験物質の投与前後における遺伝子の発現量に基づき、当該被験物質の投与前後における生体試料における遺伝子の発現変動量を算出する工程と、(iv)(iii)の工程によって得られた当該被験物質の投与前後における生体試料における遺伝子の発現変動量に基づき、当該被験物質の被験体における疲労に対する有効性を判定する工程とを含む、(23)に記載の方法。
(26) 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の転写産物に特異的なプローブ又はプライマー、又は上記遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を含む、(1)から(25)のいずれか1項に記載の方法において上記遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較するための疲労判定試薬又は疲労判定キット。
本発明によれば、本明細書に記載した表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より作成される遺伝子リストより選ばれる特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによる、被験体の疲労の程度を判定する方法、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法、及び疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法が提供される。更に本発明によれば、上記の方法に用いるための疲労判定試薬又はキットが提供される。さらに、疲労感に頼ることなく、日常生活における疲労、特に生理的疲労及び末梢性疲労の程度を客観的に判定することにより、疲労の状態と判定された生活者は睡眠や休息の確保、栄養補給や摂取、さらには、医薬品投与を適切に行うことが可能となり、疲労の回復、改善及び予防が容易に可能となり、国民の健康維持・増進に大きく寄与することとなる。
本発明の実施の形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<疲労>
本発明における「疲労」とは、一般的な意味としては、例えば、身体作業あるいは精神作業などにより、身体あるいは精神に負荷を与えた際に生じる作業効率(パフォーマンス)が低下した状態を示す。この場合、「疲労の程度(疲労度)」とは作業効率の低下の程度(度合い)を意味する。
本発明において、判定の対象となる疲労は、好ましくは生理的疲労であり、より好ましくは末梢性の疲労(末梢性疲労)であり、肉体疲労、身体疲労、筋肉疲労、運動疲労などがさらに好ましく、身体に負荷を与える作業(身体作業)により末梢組織(肝臓、心筋、骨格筋など)が疲労することに起因する肉体疲労(身体作業による肉体疲労)などが特に好ましい。ここで言う「身体作業」には、産業活動における労働作業のみでなく、日常生活における作業や運動、走行、自転車こぎ、階段の昇降などの動作も含む。
「生理的疲労」とは、睡眠や休息の確保、栄養の摂取などを適切に得ることにより、自然の状態で回復が可能な範囲での疲労であり、病的疲労や薬剤由来の疲労を含まない疲労を示す。
「末梢性疲労」とは、脳が主体となって疲労を感じている中枢性疲労の状態でなく、脳以外の末梢組織に起因する疲労を示す。
「病的疲労」とは、慢性疲労症候群、悪性腫瘍、細菌又はウイルス感染、糖尿病、うつ病などの疾病に伴う疲労を示す。
「薬剤由来の疲労」とは、抗ガン剤、免疫抑制剤、向精神剤などの薬剤の使用によって引き起こされる疲労を示す。
「肉体疲労」、「身体疲労」、「筋肉疲労」、「運動疲労」などは、日常生活における生理的疲労及び末梢性疲労に含まれる疲労を示す。
従って、「非疲労の状態」とは、十分な睡眠や休息が確保されており、栄養摂取量を満たしており、精神あるいは身体などへの負荷が少なく、日常的に適度な運動を行い、さらに、生理的疲労、中枢性疲労、末梢性疲労、病的疲労又は薬剤由来の疲労を呈していない状態を意味する。
<被験体、及び生体試料>
本発明による、被験体の疲労の程度を判定する方法、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法においては、被験体由来の生体試料における、特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較する。
本発明における「被験体」とは、好ましくは、生体試料を採取することが可能なヒト又は非ヒト哺乳動物であり、ヒトであることが特に好ましい。
「非ヒト哺乳動物」とは、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、霊長類(例えば、サルなど)、並びにイヌなど、医薬品、食品又は被験物質などの薬理試験や毒性試験などに汎用される動物が好ましく、上記の中でもマウス及びラットが特に好ましい。
本発明における「生体試料」とは、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子を発現しており、その遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較できる試料であれば、その種類は特に限定されない。
生体試料としては、血液、唾液、精液などの体液、肝臓、心筋、骨格筋などの組織や細胞が挙げられる。これらの試料は、倫理的な問題が生じないように採血、採取又はバイオプシーなどにより、被験体から分離されることが望ましい。好ましくは、生体試料は、血液又は骨格筋であり、さらに好ましくは血液であり、特に好ましくは血球である。
尚、身体作業による生体への刺激は、骨格筋などの末梢組織のみでなく、同組織内に循環する血液(血球)にも同種の影響を与えている。
従って、骨格筋などの末梢組織と血液においては、同種の遺伝子の発現が変動すると考えられるため、疲労を引き起こす身体作業による生体への刺激に応じて発現が変動する遺伝子は、生体試料が異なっていても発現変動の特徴やパターンは同様となる可能性が高い。
また、本発明における「細胞」とは、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子を発現しており、その遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較できる細胞である。
細胞としては、例えば、血液細胞、肝細胞、筋細胞、神経細胞、グリア細胞、骨髄細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、間質細胞、又はこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。細胞は、好ましくは、筋細胞、肝細胞、血液細胞、又はそれらの前駆細胞もしくは幹細胞であり、ヒト由来の細胞であることがより好ましい。
<遺伝子>
本発明の方法においては、被験体由来の生体試料における、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較する。
本発明における「遺伝子」とは、DNA又はRNAのいずれもでもよく、ゲノムDNAのみならず、mRNA、aRNA、cRNA及びcDNAなども含むものであり、全長遺伝子のみでなく、その一部を含む遺伝子(EST)でもよい。
ここで言う「その一部を含む遺伝子」とは、ハイブリダイズする際に十分な配列長を有するものであれば、その長さは特に限定されないが、好ましくは少なくとも10塩基以上である。また、遺伝子には、塩基配列又はポリペプチド配列などによって特定される遺伝子、例えば、塩基配列と相補的な塩基配列からなる遺伝子とハイブリダイズする遺伝子が含まれる。
本発明における「ホモログ遺伝子」とは、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子と機能的に同等な遺伝子のことを言う。「機能的に同等な遺伝子」とは、ホモログ遺伝子によってコードされるポリペプチドが、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子によってコードされるポリペプチドと、同等の生物学的機能、生理学的機能又は生化学的機能を有することを示す。
通常、機能的に同等な遺伝子は、塩基配列又はポリペプチド配列において、高い相同性や同一性を有しており、少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の相同性又は同一性を示す。機能的に同等な遺伝子は、塩基配列を基にした遺伝子の増幅手法などを利用して単離及び特定することも可能である。
表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子は、少なくともヒト又はマウスにて公知の遺伝子であり、その塩基配列又はポリペプチド配列は公知であり、当業者に利用可能な遺伝子である。表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子は、The HUGO Gene Nomenclature Committee (HGNC)、米国立生物工学情報センター(NCBI)、欧州分子生物学研究所(EMBL)、日本DNAデータバンク(DDBJ)などの遺伝子データベースに登録されている遺伝子であり、これらのデータベースにおいて遺伝子シンボル、Entrez GeneID(EGID)、HGNC ID、Mouse Genome Informatics(MGI)又はアクセッション番号(Accessoion number)などによって容易に塩基配列又はポリペプチド配列などの遺伝子情報を入手することができる。これらの遺伝子のいくつかは、KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)、BioCarta、GenMAPPなどのパスウェイデータベースや遺伝子オントロジー(GO)データベースにも登録されており、機能的情報を容易に得ることもできる。
<遺伝子リスト>
本発明の方法においては、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子より遺伝子リストを作成し、遺伝子リストに含まれる遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較する。
表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子より作成される「遺伝子リスト」に含まれる遺伝子としては、疲労の状態の対照体由来の生体試料における遺伝子の発現が非疲労の状態の健常対照体由来の生体試料における遺伝子の発現と比較して著しく変動(増加又は減少)している遺伝子である。例えば、身体作業の程度に応じて発現変動する遺伝子や、肉体疲労を呈している複数の被験体において疲労感又は身体作業における作業効率の低下の程度に応じて発現変動する遺伝子である。また、疲労の状態である被験体において、十分な休息や睡眠の確保、栄養の摂取による疲労回復前後とを比較して、発現変動する遺伝子でもよい。
身体作業としては、身体的な負担により作業効率が低下する動作であり、例えば、水泳、走行、自転車こぎ、階段昇降などの動作であり、最大筋力や筋持久力を低下させる動作が好ましく、トレッドミル走行あるいは自転車エルゴメータ運動がより好ましい。
疲労の状態の対照体由来及び/又は非疲労の状態の健常対照体由来の生体試料における遺伝子の発現は、前もって測定して得られた発現でもよいし、被験体における特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較する際に同時に得た発現でもよい。
上記の疲労の状態である被験体がヒトである場合、病的疲労や薬剤由来の疲労でないことを医師などによって診断されていることが好ましく、疲労が生理的疲労であり、末梢性疲労であり、身体作業による肉体疲労であることがより好ましい。
遺伝子リストを生理学的な特徴に立脚した手法によって簡易に作成するための方法としては、精神機能による影響などを極めて受けにくい骨格筋などの末梢組織において、疲労時に発現変動する遺伝子より作成する方法が挙げられる。
例えば、マウスに運動を負荷し、運動負荷前後の骨格筋における遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較し、著しい発現変動を示す遺伝子を選定し、それらを含む遺伝子リストを作成する方法がある。選定する遺伝子としては、好ましくはヒト遺伝子と比較して相同性又は同一性が高い遺伝子であり、より好ましくは血液においても運動負荷前後において著しい発現変動を示す遺伝子である。
<判定に用いる特定の遺伝子>
本発明の方法においては、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較する。
本発明における、好ましい特定の遺伝子としては、表1、表4、表5又は表6に記載の、ADAMTS1遺伝子、ADAMTS20遺伝子、ADAMTS9遺伝子、AGT遺伝子、ATF3遺伝子、ATF4遺伝子、ATP2A2遺伝子、ATP6V0D1遺伝子、BCL2L11遺伝子、CARHSP1遺伝子、CASP9遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHRD遺伝子、CHST15遺伝子、CLIC4遺伝子、CTGF遺伝子、DDIT3遺伝子、EIF2B2遺伝子、ERN1遺伝子、FKBP5遺伝子、FOSB遺伝子、FOS遺伝子、FOXO1遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、ID1遺伝子、INHBB遺伝子、JUN遺伝子、LCN2遺伝子、LGALS3遺伝子、MT1E遺伝子、NFATC1遺伝子、NFIL3遺伝子、NR4A1遺伝子、NR4A3遺伝子、OPTN遺伝子、PLAU遺伝子、PLK3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、SDC4遺伝子、SMAD3遺伝子、THBS1遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、TP53遺伝子、ZBTB16遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子である。
より好ましい特定の遺伝子としては、AGT遺伝子、ATF3遺伝子、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCR4NL遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、CLIC4遺伝子、CTGF遺伝子、ERN1遺伝子、FKBP5遺伝子、FOSB遺伝子、FOS遺伝子、FOXO1遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、LCN2遺伝子、LGALS3遺伝子、MT1E遺伝子、NFIL3遺伝子、NR4A1遺伝子、NR4A3遺伝子、OPTN遺伝子、PLK3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、SDC4遺伝子、SMAD3遺伝子、THBS1遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、ZBTB16遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子である。
より好ましい特定の遺伝子としては、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、FKBP5遺伝子、FOS遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子である。
より好ましい特定の遺伝子としては、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、FKBP5遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子である。
より好ましい特定の遺伝子としては、ATP6V0D1遺伝子、FKBP5遺伝子、HMOX1遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子である。
さらに好ましい特定の遺伝子としては、FKBP5遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子である。
特に好ましい特定の遺伝子としては、FKBP5遺伝子、NFIL3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TLR4遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子である。
疲労の程度の判定のために用いる特定の遺伝子は、ハウスキーピング遺伝子や疾患診断のための遺伝子などと組み合わせて用いてもよい。
<2個以上の遺伝子の組み合わせ>
本発明の方法において、発現変動を分析及び/又は比較する遺伝子としては、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子であれば特に限定されないが、2個以上の特定の遺伝子を組み合わせて使用することにより、測定機器や測定手法、個体差による影響を小さくすることもできる。
2個以上の特定の遺伝子を組み合わせて用いる場合、好ましくは2個から51個の遺伝子の組み合わせであり、より好ましくは2個から35個の遺伝子であり、より好ましくは2個から19個の遺伝子であり、より好ましくは2個から15個の遺伝子であり、より好ましくは2個から10個の遺伝子であり、さらに好ましくは2個から7個の遺伝子であり、特に好ましいのは2個から4個の遺伝子の組み合わせである。
2個以上の遺伝子の組み合わせに用いる特定の遺伝子としては、好ましくは、ADAMTS1遺伝子、ADAMTS20遺伝子、ADAMTS9遺伝子、AGT遺伝子、ATF3遺伝子、ATF4遺伝子、ATP2A2遺伝子、ATP6V0D1遺伝子、BCL2L11遺伝子、CARHSP1遺伝子、CASP9遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHRD遺伝子、CHST15遺伝子、CLIC4遺伝子、CTGF遺伝子、DDIT3遺伝子、EIF2B2遺伝子、ERN1遺伝子、FKBP5遺伝子、FOSB遺伝子、FOS遺伝子、FOXO1遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、ID1遺伝子、INHBB遺伝子、JUN遺伝子、LCN2遺伝子、LGALS3遺伝子、MT1E遺伝子、NFATC1遺伝子、NFIL3遺伝子、NR4A1遺伝子、NR4A3遺伝子、OPTN遺伝子、PLAU遺伝子、PLK3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、SDC4遺伝子、SMAD3遺伝子、THBS1遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、TP53遺伝子、ZBTB16遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上51個以下の遺伝子である。
より好ましくは、AGT遺伝子、ATF3遺伝子、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、CLIC4遺伝子、CTGF遺伝子、ERN1遺伝子、FKBP5遺伝子、FOSB遺伝子、FOS遺伝子、FOXO1遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、LCN2遺伝子、LGALS3遺伝子、MT1E遺伝子、NFIL3遺伝子、NR4A1遺伝子、NR4A3遺伝子、OPTN遺伝子、PLK3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、SDC4遺伝子、SMAD3遺伝子、THBS1遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、ZBTB16遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上35個以下の遺伝子である。
より好ましくは、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、FKBP5遺伝子、FOS遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上19個以下の遺伝子の組み合わせである。
より好ましくは、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、FKBP5遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上15個以下の遺伝子の組み合わせである。
より好ましくは、ATP6V0D1遺伝子、FKBP5遺伝子、HMOX1遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上10個以下の遺伝子の組み合わせである。
さらに好ましい特定の遺伝子としては、FKBP5遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上7個以下の遺伝子の組み合わせである。
特に好ましい特定の遺伝子としては、FKBP5遺伝子、NFIL3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TLR4遺伝子、及びそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上4個以下の遺伝子の組み合わせである。
2個の遺伝子の組み合わせとしては、例えば、ATP6V0D1遺伝子とCARHSP1遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とCCRN4L遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とCD38遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とCHST15遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とERN1遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とFKBP5遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とFOS遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とGLUL遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とHMOX1遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とHSP90AA1遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とHSPA1A遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とHSPA1B遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とLCN2遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とNFIL3遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とOPTN遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とPPP1R15A遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とTHBS1遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とTINAGL1遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とTLR4遺伝子、ATP6V0D1遺伝子とTLR8遺伝子、CARHSP1遺伝子とCCRN4L遺伝子、CARHSP1遺伝子とCD38遺伝子、CARHSP1遺伝子とCHST15遺伝子、CARHSP1遺伝子とERN1遺伝子、CARHSP1遺伝子とFKBP5遺伝子、CARHSP1遺伝子とFOS遺伝子、CARHSP1遺伝子とGLUL遺伝子、CARHSP1遺伝子とHMOX1遺伝子、CARHSP1遺伝子とHSP90AA1遺伝子、CARHSP1遺伝子とHSPA1A遺伝子、CARHSP1遺伝子とHSPA1B遺伝子、CARHSP1遺伝子とLCN2遺伝子、CARHSP1遺伝子とNFIL3遺伝子、CARHSP1遺伝子とOPTN遺伝子、CARHSP1遺伝子とPPP1R15A遺伝子、CARHSP1遺伝子とTHBS1遺伝子、CARHSP1遺伝子とTINAGL1遺伝子、CARHSP1遺伝子とTLR4遺伝子、CARHSP1遺伝子とTLR8遺伝子、CCRN4L遺伝子とCD38遺伝子、CCRN4L遺伝子とCHST15遺伝子、CCRN4L遺伝子とERN1遺伝子、CCRN4L遺伝子とFKBP5遺伝子、CCRN4L遺伝子とFOS遺伝子、CCRN4L遺伝子とGLUL遺伝子、CCRN4L遺伝子とHMOX1遺伝子、CCRN4L遺伝子とHSP90AA1遺伝子、CCRN4L遺伝子とHSPA1A遺伝子、CCRN4L遺伝子とHSPA1B遺伝子、CCRN4L遺伝子とLCN2遺伝子、CCRN4L遺伝子とNFIL3遺伝子、CCRN4L遺伝子とOPTN遺伝子、CCRN4L遺伝子とPPP1R15A遺伝子、CCRN4L遺伝子とTHBS1遺伝子、CCRN4L遺伝子とTINAGL1遺伝子、CCRN4L遺伝子とTLR4遺伝子、CCRN4L遺伝子とTLR8遺伝子、CD38遺伝子とCHST15遺伝子、CD38遺伝子とERN1遺伝子、CD38遺伝子とFKBP5遺伝子、CD38遺伝子とFOS遺伝子、CD38遺伝子とGLUL遺伝子、CD38遺伝子とHMOX1遺伝子、CD38遺伝子とHSP90AA1遺伝子、CD38遺伝子とHSPA1A遺伝子、CD38遺伝子とHSPA1B遺伝子、CD38遺伝子とLCN2遺伝子、CD38遺伝子とNFIL3遺伝子、CD38遺伝子とOPTN遺伝子、CD38遺伝子とPPP1R15A遺伝子、CD38遺伝子とTHBS1遺伝子、CD38遺伝子とTINAGL1遺伝子、CD38遺伝子とTLR4遺伝子、CD38遺伝子とTLR8遺伝子、CHST15遺伝子とERN1遺伝子、CHST15遺伝子とFKBP5遺伝子、CHST15遺伝子とFOS遺伝子、CHST15遺伝子とGLUL遺伝子、CHST15遺伝子とHMOX1遺伝子、CHST15遺伝子とHSP90AA1遺伝子、CHST15遺伝子とHSPA1A遺伝子、CHST15遺伝子とHSPA1B遺伝子、CHST15遺伝子とLCN2遺伝子、CHST15遺伝子とNFIL3遺伝子、CHST15遺伝子とOPTN遺伝子、CHST15遺伝子とPPP1R15A遺伝子、CHST15遺伝子とTHBS1遺伝子、CHST15遺伝子とTINAGL1遺伝子、CHST15遺伝子とTLR4遺伝子、CHST15遺伝子とTLR8遺伝子、ERN1遺伝子とFKBP5遺伝子、ERN1遺伝子とFOS遺伝子、ERN1遺伝子とGLUL遺伝子、ERN1遺伝子とHMOX1遺伝子、ERN1遺伝子とHSP90AA1遺伝子、ERN1遺伝子とHSPA1A遺伝子、ERN1遺伝子とHSPA1B遺伝子、ERN1遺伝子とLCN2遺伝子、ERN1遺伝子とNFIL3遺伝子、ERN1遺伝子とOPTN遺伝子、ERN1遺伝子とPPP1R15A遺伝子、ERN1遺伝子とTHBS1遺伝子、ERN1遺伝子とTINAGL1遺伝子、ERN1遺伝子とTLR4遺伝子、ERN1遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とFOS遺伝子、FKBP5遺伝子とGLUL遺伝子、FKBP5遺伝子とHMOX1遺伝子、FKBP5遺伝子とHSP90AA1遺伝子、FKBP5遺伝子とHSPA1A遺伝子、FKBP5遺伝子とHSPA1B遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子、FKBP5遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とTHBS1遺伝子、FKBP5遺伝子とTINAGL1遺伝子、FKBP5遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とTLR8遺伝子、FOS遺伝子とGLUL遺伝子、FOS遺伝子とHMOX1遺伝子、FOS遺伝子とHSP90AA1遺伝子、FOS遺伝子とHSPA1A遺伝子、FOS遺伝子とHSPA1B遺伝子、FOS遺伝子とLCN2遺伝子、FOS遺伝子とNFIL3遺伝子、FOS遺伝子とOPTN遺伝子、FOS遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FOS遺伝子とTHBS1遺伝子、FOS遺伝子とTINAGL1遺伝子、FOS遺伝子とTLR4遺伝子、FOS遺伝子とTLR8遺伝子、GLUL遺伝子とHMOX1遺伝子、GLUL遺伝子とHSP90AA1遺伝子、GLUL遺伝子とHSPA1A遺伝子、GLUL遺伝子とHSPA1B遺伝子、GLUL遺伝子とLCN2遺伝子、GLUL遺伝子とNFIL3遺伝子、GLUL遺伝子とOPTN遺伝子、GLUL遺伝子とPPP1R15A遺伝子、GLUL遺伝子とTHBS1遺伝子、GLUL遺伝子とTINAGL1遺伝子、GLUL遺伝子とTLR4遺伝子、GLUL遺伝子とTLR8遺伝子、HMOX1遺伝子とHSP90AA1遺伝子、HMOX1遺伝子とHSPA1A遺伝子、HMOX1遺伝子とHSPA1B遺伝子、HMOX1遺伝子とLCN2遺伝子、HMOX1遺伝子とNFIL3遺伝子、HMOX1遺伝子とOPTN遺伝子、HMOX1遺伝子とPPP1R15A遺伝子、HMOX1遺伝子とTHBS1遺伝子、HMOX1遺伝子とTINAGL1遺伝子、HMOX1遺伝子とTLR4遺伝子、HMOX1遺伝子とTLR8遺伝子、HSP90AA1遺伝子とHSPA1A遺伝子、HSP90AA1遺伝子とHSPA1B遺伝子、HSP90AA1遺伝子とLCN2遺伝子、HSP90AA1遺伝子とNFIL3遺伝子、HSP90AA1遺伝子とOPTN遺伝子、HSP90AA1遺伝子とPPP1R15A遺伝子、HSP90AA1遺伝子とTHBS1遺伝子、HSP90AA1遺伝子とTINAGL1遺伝子、HSP90AA1遺伝子とTLR4遺伝子、HSP90AA1遺伝子とTLR8遺伝子、HSPA1A遺伝子とHSPA1B遺伝子、HSPA1A遺伝子とLCN2遺伝子、HSPA1A遺伝子とNFIL3遺伝子、HSPA1A遺伝子とOPTN遺伝子、HSPA1A遺伝子とPPP1R15A遺伝子、HSPA1A遺伝子とTHBS1遺伝子、HSPA1A遺伝子とTINAGL1遺伝子、HSPA1A遺伝子とTLR4遺伝子、HSPA1A遺伝子とTLR8遺伝子、HSPA1B遺伝子とLCN2遺伝子、HSPA1B遺伝子とNFIL3遺伝子、HSPA1B遺伝子とOPTN遺伝子、HSPA1B遺伝子とPPP1R15A遺伝子、HSPA1B遺伝子とTHBS1遺伝子、HSPA1B遺伝子とTINAGL1遺伝子、HSPA1B遺伝子とTLR4遺伝子、HSPA1B遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子、LCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子、LCN2遺伝子とTHBS1遺伝子、LCN2遺伝子とTINAGL1遺伝子、LCN2遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子、NFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子、NFIL3遺伝子とTHBS1遺伝子、NFIL3遺伝子とTINAGL1遺伝子、NFIL3遺伝子とTLR4遺伝子、NFIL3遺伝子とTLR8遺伝子、OPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、OPTN遺伝子とTHBS1遺伝子、OPTN遺伝子とTINAGL1遺伝子、OPTN遺伝子とTLR4遺伝子、OPTN遺伝子とTLR8遺伝子、PPP1R15A遺伝子とTHBS1遺伝子、PPP1R15A遺伝子とTINAGL1遺伝子、PPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、PPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、THBS1遺伝子とTINAGL1遺伝子、THBS1遺伝子とTLR4遺伝子、THBS1遺伝子とTLR8遺伝子、TINAGL1遺伝子とTLR4遺伝子、TINAGL1遺伝子とTLR8遺伝子、並びにTLR4遺伝子とTLR8遺伝子が挙げられる。
3個の遺伝子の組み合わせとしては、例えば、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とLR4遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、NFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、OPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、OPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、OPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、PPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子が挙げられる。
4個の遺伝子の組み合わせとしては、例えば、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、OPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子が挙げられる。
5個の遺伝子の組み合わせとしては、例えば、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、NFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子が挙げられる。
6個の遺伝子の組み合わせとしては、例えば、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、FKBP5遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子、LCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子が挙げられる。
7個の遺伝子の組み合わせとしては、例えば、FKBP5遺伝子とLCN2遺伝子とNFIL3遺伝子とOPTN遺伝子とPPP1R15A遺伝子とTLR4遺伝子とTLR8遺伝子が挙げられる。
以下の遺伝子(括弧内にはアクセッション番号を併記する)の塩基配列をそれぞれ、配列表の配列番号1から51に記載する。
ADAMTS1(AF060152.1)配列番号1
ADAMTS20(NM_025003.3)配列番号2
ADAMTS9(AF261918.1)配列番号3
ATF4(NM_001675.2)配列番号4
ATP2A2(NM_0016881.3)配列番号5
BCL2L11(AF032458.1)配列番号6
CASP9(NM_032996.1)配列番号7
CHRD(NM_003741.2)配列番号8
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<遺伝子の発現変動の分析>
本発明における遺伝子の発現の変動(発現変動)とは、例えば、遺伝子の発現量、発現強度又は発現頻度などの遺伝子の測定可能な特性や特徴の変動(増加又は減少)を示す。
通常、遺伝子の発現変動の分析は、当該遺伝子の遺伝子産物の発現量を測定し、その発現量を補正し、その発現変動量を算出することにより可能である。
<遺伝子産物の発現量の測定>
「遺伝子産物」とは、転写産物又は翻訳産物のいずれでもよく、例えば、遺伝子の発現変動の分析とは、通常、転写産物や翻訳産物の発現量を測定し、その発現量を補正し、その発現変動量を算出することを示す。
「転写産物」とは、遺伝子から転写の過程を経て生じる遺伝子、通常、RNAを示し、好ましくはmRNAを示す。
「翻訳産物」とは、遺伝子から転写、翻訳の過程を得て生じるタンパク質を示し、未修飾であっても翻訳後修飾されていてもよい。
「翻訳後修飾」としては、リン酸、糖、糖鎖、リン脂質、脂質などによる修飾が挙げられる。
遺伝子産物の発現量などを測定する方法としては、転写産物を検出し得るプローブやプライマーを用いる方法、翻訳産物を認識する抗体や結合する物質を用いる方法などがある。
「プローブ」とは、ハイブリダイゼーションによって、転写産物の検出の用に供される核酸分子を示す。本発明に用いられるプローブとしては、遺伝子を特異的に検出するため、少なくとも10塩基長以上の長さを有するものが好ましい。
「プライマー」とは、核酸の合成反応にあたりヌクレオチド鎖が伸長していく出発点として働く核酸分子を示す。本発明に用いられるプライマーとしては、遺伝子を特異的に増幅するため、少なくとも10塩基長以上の長さを有するものが好ましい。
プローブやプライマーとしては、市販のプローブやプライマーを用いてもよいし、遺伝子データベースなどの配列情報をもとにクローニング又は化学合成したものでもよい。プローブやプライマーは、当業者に公知の技術に従って設計することができる。これらのプローブやプライマーは、適当な標識が施されていてもよい。
「標識」としては、酵素標識、放射性標識、蛍光標識などが挙げられる。また、ビオチン、リン酸、アミンなどにより標識されていてもよい。
「転写産物を検出し得るプローブやプライマーを用いる方法」の一例としては、プライマーを用いた遺伝子の増幅手法を用いる方法が挙げられる。ここでの遺伝子の転写産物の測定にはRNAのみでなく、RNAから調整されたcRNA、cDNA又はaRNAを測定する場合も含まれる。測定のためには先ずRNAを抽出するが、RNAは、当該分野で公知の方法によって抽出してもよいし、市販のキットを用いて行ってもよい。対照として用いられる転写産物は、同様の抽出及び精製方法により調製してもよいし、市販のものを用いてもよい。
「プライマーを用いた遺伝子の増幅手法」としては、特に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の原理を利用した方法(PCR法、Q−PCR法、RT−PCR法など)、LAMP法、ICAN法などを挙げることができる。増幅は遺伝子産物が検出可能なレベルになるまで行う。これらの増幅手法の条件や方法は、当業者に公知であり、当業者であれば適宜設定することができる。
転写産物の発現量を測定する他の方法としては、プローブを用いたサザンハイブリダイゼーション法やノーザンハイブリダイゼーション法などを挙げることができる。これらのハイブリダイゼーション手法の条件や方法は、当業者に公知であり、当業者であれば適宜設定することができる。
「翻訳産物を認識する抗体や結合する物質を用いる方法」の一例としては、抗体を用いて特定の遺伝子の翻訳産物の発現量などを測定する方法が挙げられる。翻訳産物を認識する抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のどちらでもよい。翻訳産物に対する抗体が市販されている場合には、市販の抗体を用いてもよい。ポリクローナル抗体やモノクローナル抗体は、当該分野で周知の方法によって作製することができる。これらの抗体は修飾されていてもよい。
翻訳産物の発現量を測定する他の方法としては、翻訳産物の活性を測定してもよい。ここでいう「翻訳産物の活性」とは、キナーゼ活性、プロテアーゼ活性、サイトカイン活性などが挙げられる。他の方法として、公知の二次元電気泳動、LC/MS質量分析法、クロマトグラフィー、核磁気共鳴分光法、免疫沈降法、ELISAなどの方法でもよく、特に限定されない。
<遺伝子産物の発現量の補正>
遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較する場合には、予め発現量などの測定値を公知の方法によって補正することができる。補正により、独立した複数の生体試料における遺伝子の発現変動をより正確に比較することが可能となる。測定値の補正は、疲労の状態の有無において発現量などが大きく変動しない遺伝子、例えば、ハウスキーピング遺伝子の発現量などの測定値に基づいて、特定の遺伝子の発現量などの測定値を補正することにより行われる方法や、全測定値の平均値及び分散値を用いる標準化処理方法などがあり、その他にも公知の方法がある。
「ハウスキーピング遺伝子」としては、グリセルアルデヒド3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)やβ−アクチン(ACTB)などを挙げることができる。
<遺伝子の発現変動の比較>
遺伝子の発現変動の比較は、例えば、(i)遺伝子の発現量や発現変動量の増減の比較、(ii)遺伝子の発現量や発現変動量が増加又は減少している遺伝子数の増減の比較、(iii)統計的処理、により可能である。
特定の遺伝子の発現量の増減を比較する方法としては、例えば、生体試料(A)において発現している遺伝子(x)の発現量などが、生体試料(B)において発現している当該遺伝子(x)の発現量と比較して、“増加”、“減少”又は“変動なし”と判断する方法が挙げられる。
また、特定の遺伝子の発現変動量を比較する方法としては、例えば、生体試料(A)において発現している遺伝子(x)の発現量と比較対照の発現量との差(発現変動量A)などが、生体試料(B)において発現している当該遺伝子(x)の発現量と比較対照の発現量との差(発現変動量B)と比較して、“増加”、“減少”又は“変動なし”と判断する方法が挙げられる。
ここでの「比較対照の発現量」とは、特定の遺伝子の疲労の状態の対照体由来の生体試料における発現量又は非疲労の状態の健常対照体由来の生体試料における発現量などを示す。
遺伝子の発現量や発現変動量の“増加”、“減少” 又は“変動なし”の判断をする際には、一定の倍率をもって“増加”、“減少”又は“変動なし”と判断するFold Change比較の方法と統計処理により判断する方法が好ましい。
「Fold Change比較の方法」とは、例えば、生体試料(B)において発現している遺伝子(x)の発現量が生体試料(A)において発現している遺伝子(x)の発現量と比較して1.3倍以上の比率で増加している場合に、生体試料(B)において発現している遺伝子(x)の発現量は、30.0%以上に“増加”と判断する方法を意味する。また、1.3倍以上の比率で減少している場合には、−23.1%以下に“減少”と判断することができる。比率は1.3倍以上が好ましいが、特には限定されない。
統計的処理には、2群間以上で比較することが可能である方法であれば、どのような方法であってもよい。例えば、T−検定(2群の場合)、分散分析(3群以上の場合)、多変量解析、クラスタリング、判別分析などの方法、回帰直線を求める方法、相関係数を求める方法など、公知の方法が広く知られている。これらの統計的処理における基準の設定は、当業者であれば、適宜行うことができる。
<2個以上の遺伝子の発現変動の分析及び/又は比較>
2個以上の遺伝子の転写産物などの発現変動を分析及び/又は比較する場合にも、RT−PCR法などのプライマーを用いた遺伝子の増幅手法を選択することができる。しかし、特に測定する遺伝子の数が多い場合には、同時に複数の遺伝子の転写産物などを測定することができる技術、例えば、プローブやプライマーが固定化された担体により同時に複数の遺伝子の転写産物の発現量などを測定する方法を用いることも可能である。
担体としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、メンブレン、繊維、マイクロビーズ又はシリコンチップなどを使用することができる。これらの好ましい例としては、ハイスループットqPCRダイナミックアレイ、RNAカード、DNAマイクロアレイチップなどを用いる方法が挙げられる。DNAマイクロアレイチップとしては、特定の遺伝子の転写産物の発現量などを測定できるものであれば、市販のものを用いてもよいし、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子より選ばれる特定の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子を含むDNAマイクロアレイチップなどを作製してもよい。
2個以上の遺伝子の翻訳産物などを測定する場合においても、抗体を用いて特定の遺伝子の翻訳産物の発現量などを測定する方法を選択することができるが、担体にこれらの抗体を固定化した抗体アレイチップを用いることも可能である。
DNAマイクロアレイチップなどを用いて複数の遺伝子の遺伝子産物の発現量などを同時に測定する際には、標準化操作により各遺伝子の遺伝子産物の発現量などを補正することが望ましい。また、シグナル強度の低い部分は、バックグランドの影響を大きく受けるので、測定データを棄却するレベル(カットオフ値)を設け、シグナル強度がカットオフ値を超えるデータのみを採用することが好ましい。
発現変動を比較する遺伝子が2個以上である場合、例えば、生体試料(A)において発現している遺伝子(x)及び遺伝子(y)の発現量や発現変動量と、生体試料(B)において発現している遺伝子(x)及び遺伝子(y)の発現量や発現変動量とを比較して、それぞれの遺伝子の発現量や発現変動量において“増加”、“減少”又は“変動なし”と判断することができる。
また、それぞれの遺伝子の発現量や発現変動量の平均値又は中央値を分析及び/又は比較することにより“増加”、“減少”又は“変動なし”と判断することができる。さらには、発現変動している遺伝子の数を比較し、全体としての発現挙動、発現量が変動している遺伝子の占める割合など、遺伝子の発現量の状態を判定できる情報、即ち遺伝子の発現変動の特徴(発現強度、発現頻度、発現パターンなど)により判断することもできる。
<疲労の程度の判定方法>
本発明においては、疲労の程度が未知である被験体由来の生体試料における、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによって“疲労の程度"を判定する。
表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個の特定の遺伝子の発現変動量又は発現変動率を分析及び/又は比較しても良く、2個以上の特定の遺伝子それぞれの発現変動量又は発現変動率、発現変動量又は発現変動率の平均値又は中央値を分析及び/又は比較しても良い。
ここでの「発現変動量」とは、被験体由来の生体試料における特定の遺伝子の発現量と、非疲労の状態の健常対照体由来の生体試料における当該遺伝子の発現量との差を示す。
「発現変動率」とは、特定の遺伝子の発現変動量の疲労の状態の対照体由来の生体試料における発現変動量に占める割合を示す。
具体的には、被験体由来の生体試料における特定の遺伝子の発現量が非疲労の状態の健常対照体における当該遺伝子の発現量と比較して増加又は減少している場合に、被験体は疲労の状態であると判定し、その発現変動量又は発現変動率を疲労の程度とすることができる。
また、被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量が、疲労状態の対照体及び/又は非疲労の状態の健常対照体における発現量のどちらに近いかに基づいて行われ、疲労状態の対照体に近い発現量の場合に、被験体は疲労の状態であると判定し、その発現変動量又は発現変動率を疲労の程度とすることができる。
また、被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が、疲労状態の対照体における発現変動量又は発現変動率に近い場合に、被験体は疲労の状態であると判定し、その発現変動量又は発現変動率を疲労の程度とすることができる。
また、被験体由来の生体試料における2個以上の遺伝子の発現変動量又は発現変動率の平均値又は中央値が、疲労状態の対照体における2個以上の当該遺伝子の発現変動量又は発現変動率の平均値及又は中央値に近い場合に、疲労の状態であると判定し、その発現変動量又は発現変動率の平均値又は中央値を疲労の程度とすることができる。
また、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上の特定の遺伝子について、少なくとも2個以上の当該遺伝子のうち発現変動量又は発現変動率が異なる遺伝子の数を分析及び/又は比較してもよい。
これらによると、特定の遺伝子の発現変動量又は発現変動率が増加している程、疲労の程度は増加していると判定することができる。
疲労の程度が異なる状態における遺伝子の発現量又はその特徴から、前もって疲労の程度を判定できる資料(データベース)を作成し、被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量又はその特徴を、上記資料を用いて分析及び/又は比較することにより、簡易に被験体の疲労の程度を判定することも可能である。
「疲労の程度を判定できる資料」を作成する方法としては、例えば、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子において、
(a)非疲労の状態の複数の健常対照体由来の生体試料における遺伝子の発現量を測定し、発現量の平均値又は中央値を算出する工程、
(b)生理的疲労を呈している複数の被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量を測定し、作業効率の低下の程度が同程度と判断される複数の被験体由来の生体試料ごとに遺伝子の発現量の平均値又は中央値を算出する工程、
(c)非疲労の状態の健常対照体由来の生体試料における遺伝子の発現量の平均値又は中央値と、作業効率の低下の程度が同程度と判断される生理的疲労を呈している被験体の発現量の平均値又は中央値との差(発現変動量)を算出する工程、
(d)作業効率の低下の程度が特に著しい複数の被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量を“疲労の程度100”又は“発現変動率100%”と変換する工程、及び、
(e)作業効率の低下の程度が異なる生理的疲労を呈している被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量の“疲労の程度100(発現変動率100%)”に相当する疲労の状態にある遺伝子の発現変動量に占める割合(発現変動率)より、多段階で疲労の程度を判定する手順を作成する工程、
により作成する方法がある。
疲労の程度を判定できる資料を用いて、疲労の程度が未知の被験体の疲労の程度を判定する方法としては、例えば、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子において、
(f)疲労の程度が未知の被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程、
(g)疲労の程度が未知の被験体における遺伝子の発現量と、非疲労の状態の健常対照体由来の生体試料における遺伝子の発現量(疲労の程度0に相当する発現量)との差(発現変動量)を算出する工程、
(h)疲労の程度が未知の被験体における発現変動量の“疲労の程度100”に相当する発現変動量に占める割合(発現変動率)を算出する工程、及び、
(i)疲労の程度が未知の被験体における発現変動量が0に近似している場合(発現変動率が0%に近似している場合)に被験体は非疲労の状態であると判定し、“疲労の程度100”に相当する変動変動量に近似している場合(“発現変動率100%”に近似している場合)に“被験体は疲労の状態である”と判定する工程、
により疲労の程度を判定する方法がある。
この方法によれば、非疲労の状態の被験体由来の生体試料を用いて疲労の程度を判定した場合には“発現変動率0%”、即ち“疲労の程度0”の判定となりやすく、疲労困憊の状態の被験体の生体試料を用いて疲労の程度を判定した場合には“発現変動率100%”以上、即ち“疲労の程度100”以上の判定となりやすい。
また、発現量や発現変動量が異なる2個以上の遺伝子を組み合わせて、当該遺伝子における“発現変動率”や“疲労の程度”を算出し、当該遺伝子の“発現変動率”や“疲労の程度”の平均値又は中央値などを算出することによっても、多段階で疲労の程度を判定することが可能となる。
従って、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することにより、多段階で疲労の程度を判定することが可能であり、疲労の程度が未知の被験体における発現変動量が、疲労の程度100に相当する発現変動量の50%(発現変動率50%)であった場合に、被験体は“疲労の程度50”と判定し、疲労の程度100に相当する発現変動量の150%(発現変動率150%)であった場合に、被験体は“疲労の程度150”と判定することが可能となる。
さらには、例えば、“疲労の程度50”以上と判定された被験体においては休息の確保、栄養補給や摂取を適切に行うことを選択したり、“疲労の程度75”以上と判定された被験体においては医薬品投与を適切に行うことを選択することなどが可能となり、疲労の回復、改善及び予防が容易に可能となる。
また、本発明にかかる疲労の程度の判定方法の一部あるいは全部をコンピューター等の従来公知の演算装置(情報処置装置)を利用して用いることも可能であることは、当業者には明らかである。
本発明にかかる疲労の程度の判定方法は、血液などの生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程と、生体試料における遺伝子の発現量の測定結果に応じて、発現変動量や発現変動率の算出による被験体の疲労の程度を判定する工程とを含むが、特に発現変動量や発現変動率の算出による被験体の疲労の程度を判定する工程に演算装置を利用することができる。
<被験物質の疲労に対する有効性の判定方法>
本発明によれば、被験体に被験物質を投与し、当該被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較し、被験物質を投与した被験体の疲労の程度の判定をすることによって、当該被験物質の疲労に対する有効性(効果)を判定することができる。
本発明における「被験物質」とは、本発明の方法を用いて被験体の疲労を回復、改善又は予防し得るか否かを評価するために用いる物質を意味し、ヒトを含む哺乳動物に投与可能な物質であれば特に限定されず、微生物、動物、植物などの天然成分、有機化合物、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類、脂質類、糖質類、タンパク質類、核酸類などを挙げることができる。
被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法としては、疲労の状態である被験体において、被験物質の投与前と投与後における特定の遺伝子の発現量、発現変動量又は発現変動率を比較し、被験物質を投与した前後の発現変動量や発現変動率が、疲労の状態における特定の遺伝子の発現変動量や発現変動率より減少している場合に、被験物質は疲労に対して有効であると判定することができる。
また、被験物質を投与する前に、疲労の状態とする被験体を被験物質投与群と被験物質非投与群に分け、これらの群における特定の遺伝子の発現量、発現変動量又は発現変動率を比較し、被験物質を投与した群の発現変動量又は発現変動率が、被験物質を投与しなかった群の発現変動量又は発現変動率より減少している場合に、被験物質は疲労に対して有効であると判定することができる。
尚、被験物質投与群においては、複数の投与用量又は複数の被験物質の疲労に対する有効性を判定するために、群の数を適宜増減してもよい。
被験物質の疲労に対する有効性の判定を身体作業による身体への負荷と組み合わせて行う場合、被験物質の投与の時期は、被験物質の特性に応じて、身体作業の前でも後でもよく、前後でもよく、投与の時期は特に限定されない。
疲労の状態に特有の又は特徴的な遺伝子の発現変動があることから、被験物質などを投与した後にそのような疲労の状態に特徴的な発現変動が減少していることは、被験物質の疲労に対する有効性を判定するための条件である。
これらによると、被験物質を投与した被験体の特定の遺伝子の発現変動量又は発現変動率が減少している程、被験物質は疲労に対して有効であると判定することができる。
本発明による被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法についての具体的な態様を以下に示すが、本発明の方法はこれらに限定されるものではない。
(第一の態様)
(a)被験物質又はこれを含む製剤を投与した疲労の状態である被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現量を測定する工程、
(b)被験物質又はこれを含む製剤を投与しなかった疲労の状態である被験体由来の生体試料における工程(a)と同一の1個以上の遺伝子の発現量を測定する工程、
(c)工程(a)にて測定した遺伝子の発現量と、非疲労の状態の健常被験体由来及び/又は疲労の状態の被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量と比較し、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体における遺伝子の発現変動量又は発現変動率を算出する工程、
(d)工程(b)にて測定した遺伝子の発現量と、非疲労の状態の健常被験体由来及び/又は疲労の状態の被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量と比較し、被験物質又はこれを含む製剤を投与しなかった被験体における遺伝子の発現変動量又は発現変動率を算出する工程、
(e)被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が、被験物質又はこれを含む製剤を投与しなかった被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率と比較して減少している場合に、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労の程度は減弱又は消失していると判定する工程、及び、
(f)工程(e)において、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労の程度は減弱又は消失していると判定した場合に、被験物質又はこれを含む製剤は疲労に対して有効であると判定する工程、
を含む、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法。
ここで、工程(a)と工程(b)における疲労状態の被験体は同一の個体であっても、別々の個体であっても良い。
(第二の態様)
(a)被験物質又はこれを含む製剤を投与した疲労の状態である被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現量を測定する工程、
(b)被験物質又はこれを含む製剤を投与した非疲労の状態である被験体由来の生体試料における工程(a)と同一の1個以上の遺伝子の発現量を測定する工程、
(c)工程(a)及び工程(b)にて測定した遺伝子の発現量より発現変動量を算出する工程、
(d)工程(c)にて算出した被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労有無における発現変動量と、非疲労の状態の健常被験体及び疲労の状態の被験体における発現変動量を比較する工程、
(e)被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労有無における発現変動量が、非疲労の状態の健常被験体及び疲労の状態の被験体における遺伝子の発現変動量と比較して減少している場合に、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労の程度は減弱又は消失していると判定する工程、及び、
(f)工程(e)において、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労の程度は減弱又は消失していると判定した場合に、被験物質又はこれを含む製剤は疲労に対して有効であると判定する工程、
を含む、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法。
ここで、工程(a)と工程(b)における疲労状態の被験体は同一の個体であっても、別々の個体であっても良い。
発現量、発現変動量又は発現変動率が異なる2個以上の遺伝子を組み合わせて、各遺伝子における“発現変動率”や“疲労の程度”を算出し、それら2個以上の遺伝子の“発現変動率”や“疲労の程度”の平均値又は中央値などを算出することによっても、被験物質の疲労に対する有効性を判定することが可能である。
具体的な態様を以下に示す、
(第三の態様)
(a)被験物質又はこれを含む製剤を投与した疲労の状態である被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上の特定の遺伝子の発現量を測定する工程、
(b)工程(a)にて測定した各遺伝子の発現量と、非疲労の状態の健常被験体及び疲労の状態の被験体由来の生体試料における当該遺伝子の発現量と比較し、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体由来の生体試料における当該遺伝子の発現変動量又は発現変動率を算出する工程、
(c)工程(b)にて測定した各遺伝子の発現変動量又は発現変動率において、平均値又は中央値を算出する工程、
(d)被験物質又はこれを含む製剤を投与しなかった疲労の状態である被験体由来の生体試料における工程(a)と同一の2個以上の遺伝子の発現量を測定する工程、
(e)工程(d)にて測定した各遺伝子の発現量と、非疲労の状態の健常被験体及び疲労の状態の被験体由来の生体試料における当該遺伝子の発現量と比較し、被験物質又はこれを含む製剤を投与しなかった被験体由来の生体試料における当該遺伝子の発現変動量又は発現変動率を算出する工程、
(f)工程(e)にて測定した各遺伝子の発現変動量又は発現変動率において、平均値又は中央値を算出する工程、
(g)被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体における発現変動量又は発現変動率の平均値などが、被験物質又はこれを含む製剤を投与しなかった被験体における発現変動量又は発現変動率の平均値などと比較して減少している場合に、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労の程度は減弱又は消失していると判定する工程、及び、
(h)工程(g)において、被験物質又はこれを含む製剤を投与した被験体の疲労の程度は減弱又は消失していると判定した場合に、被験物質又はこれを含む製剤は疲労に対して有効であると判定する工程、
を含む、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法。
ここで、工程(a)と工程(d)における疲労状態の被験体は同一の個体であっても、別々の個体であっても良い。
この方法によれば、疲労に対する有効性(効果)が高い被験物質を投与した疲労状態の被験体由来の生体試料を用いて疲労の程度を判定した場合には、“疲労の程度75(発現変動率75%)”以下、さらには“疲労の程度50(発現変動率50%)”以下の判定となり、疲労を増悪させる被験物質を投与した疲労状態の被験体由来の生体試料を用いて疲労の程度を判定した場合には“疲労の程度150(発現変動率150%)”以上の判定となりやすい。
従って、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することにより、多段階で被験物質の疲労に対する有効性を判定することが可能となる。
<疲労を回復、改善又は予防し得る物質又はこれを含む製剤の探索方法>
本発明においては、被験体に被験物質を投与し、被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較し、当該遺伝子の発現変動量を減弱又は消失させる物質を、疲労を回復、改善又は予防し得る候補物質として選択することによって、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索することができる。
被験体としては、好ましくはヒト又は非ヒト哺乳動物であり、より好ましくはマウス、ラット又はヒトである。生体試料としては、血液、心筋、骨格筋、肝臓又は細胞などが好ましく、より好ましくは血球を含む血液である。複数の被験物質から探索する際には、培養可能な細胞を用いることがさらに好ましい。
表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を解析するためには、これらの遺伝子を発現変動させることが望ましく、疲労の状態における特定の遺伝子の発現変動の特徴と類似させるための処置を施すことがより望ましい。
このような処置としては、例えば、走行、遊泳、跳躍などの運動を身体に負荷させることにより疲労を惹起し得る方法や随意収縮及び電気刺激により筋疲労を惹起し得る方法、睡眠や休息を除去する方法、栄養を低減する方法などが挙げられる。細胞の遺伝子を発現変動させる処置としては、疲労における生理学的メカニズムと類似の処理が好ましい。
ヒト又は非ヒト哺乳動物への被験物質の投与は、経口投与又は非経口投与のいずれでもよく、投与時期は、遺伝子の発現量などを変動させる処置の前でも後でもよく、前後に投与してもよい。細胞培養培地への被験物質の添加においても、遺伝子の発現量を変動させる処置の前でも後でもよく、前後に添加してもよい。
疲労の程度を判定できる資料を用いて疲労を回復、改善又は予防し得る物質又はこれを含む製剤の探索をすることも可能である。
この方法によれば、疲労に対して有効である被験物質を投与した疲労状態の被験体由来の生体試料を用いて疲労の程度を判定した場合には、被験体は“疲労の程度75(発現変動率75%)”以下、さらには、“疲労の程度50(発現変動率50%)”以下の判定となりやすく、疲労を増悪させる被験物質を投与した疲労状態の被験体由来の生体試料を用いて疲労の程度を判定した場合には、被験体は“疲労の程度150(発現変動率150%)”以上の判定となりやすい。
また、発現量、発現変動量又は発現変動率が異なる2個以上の遺伝子を組み合わせて、各遺伝子における“疲労の程度”を算出し、それら2個以上の遺伝子の“疲労の程度”の平均値又は中央値などを算出することによっても、被験物質などを選択することが可能である。
従って、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を減弱又は消失させる被験物質を選択することにより、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を選択ことが可能となる。
<疲労判定試薬及び疲労判定キット>
本発明によれば、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較するための疲労判定試薬又は疲労判定キットが提供される。
本発明の疲労判定試薬又は疲労判定キットには、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の転写産物に特異的なプローブ又はプライマーなど、又は上記遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体などが含まれている。
本発明の疲労判定試薬又は疲労判定キットには、更に所望により、標識、標識二次抗体、担体、サンプル希釈液、酵素基質、反応停止液、標準物質、遺伝子の発現量や特徴などから疲労の程度(発現変動率)を判定するための資料などを含めてもよい。さらに必要に応じて、洗浄バッファー、保存剤、防腐剤などを加えることもできる。
本発明の疲労判定試薬又は疲労判定キットに含まれるプライマー、プローブ、抗体などは、1種のみでもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。これらは、固体でも液体でもよく、単一又複数の固相上に固定されているもの、例えば、マイクロタイタープレートのようなプレートに個別に分注された状態となっていてもよいし、RNAカードやDNAマイクロアレイチップに固定された状態でもよい。
本発明にかかる疲労判定キットは、被験体の血液などの生体試料を採取するための手段を含んでいてもよい。
また、疲労判定キットの包装材に付されたラベル又は添付された文書に、生体試料における遺伝子の発現変動を指標として被験体の疲労の程度を判定するために使用できることを表示していてもよい。
さらに、本発明にかかる疲労判定キットは、コンピューターなどの従来公知の演算装置を用いてなるキットとなっていてもよい。
<疲労のバイオマーカー>
本発明においては、疲労の程度が未知の被験体由来の生体試料において、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することにより、被験体の疲労の程度を判定することができる。従って、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の特定の遺伝子及びそれらの遺伝子産物は、疲労のバイオマーカー(生物学的指標)として用いることができる。
「バイオマーカー」とは、例えば、通常の生物学的過程、病理学的過程、もしくは治療介入に対する薬理学的応答の指標として、客観的に測定され評価される特性である。即ち、正常なプロセスや病的プロセス、あるいは治療に対する薬理学的な反応の指標として客観的に測定・評価される項目であり、治癒の程度を特徴づけるバイオマーカーは新薬の臨床試験での有効性を確認するためのサロゲートマーカーとして使われる項目である。バイオマーカーは、疾患にかかった後の治療効果の判定だけでなく、疾患を未然に防ぐための日常的な指標として疾患の予防にも用いることができる。
また、一般的に、「ゲノムバイオマーカー」とは、正常な生物学的過程、発病過程、及び/又は治療介入等への反応を示す指標となる、DNAもしくはRNAの測定可能な特性である。ゲノムバイオマーカーは、例えば、遺伝子の発現、遺伝子の機能、遺伝子の制御により測定され、1つまたは複数の特性から構成され得る。RNAの特性としては、RNA配列、RNA発現量、RNAプロセシング、マイクロRNAが含まれるが、これらに限定されるものではない。
従って、疲労の状態の被験体と非疲労の状態の健常対照体との比較において発現量などが著しく異なっている遺伝子、疲労の形成又は回復過程において発現量などが著しく異なっている遺伝子は、疲労の治療標的候補遺伝子として同定することもできる。
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
試験例1:遺伝子リスト作成及び疲労の程度の判定
身体作業による肉体疲労の状態としたマウス由来の骨格筋における遺伝子の発現量を、DNAマイクロアレイを用いて測定し、疲労の状態において発現増加又は発現減少する遺伝子を選定し、疲労の程度の判定に用いる遺伝子リストを作成し、疲労の程度の判定方法を開発した。
実験動物には、7から11週齢のBALB/c系マウス、オス(日本エスエルシー(株))(14匹)を用いた。実験動物は入荷後、試験期間を通して標準飼料(オリエンタル酵母工業(株))及び滅菌水を自由に摂取させ、少なくとも1週間の馴化を行った。遺伝子リストの作成及び疲労の程度の判定方法の開発は、(1)走行運動の負荷、(2)骨格筋の採取、(3)RNAの抽出、(4)遺伝子の発現量の分析及び比較、及び(5)遺伝子リストの作成、の工程よりなる。
(1)走行運動の負荷
実験には、安静(非疲労)マウス(6匹)、走行運動負荷直後マウス(2匹)、走行運動負荷1時間後マウス(6匹)を用い、走行運動負荷直後マウス及び走行運動負荷1時間後マウスに走行運動を負荷した。走行運動の負荷は、マウス・ラット用トレッドミル走行装置(室町機械(株)又はバイオリサーチセンター(株))を用いて行った。走行運動の負荷条件は、傾斜角度10度、走行開始速度9メートル/分、漸増ステップ3メートル/4分とし、高強度(高速)運動により走行困難に至るまで負荷した。
尚、走行訓練を3から4日間隔で4回実施し、疲労を惹起させる走行運動の負荷は最終走行訓練の3から4日後に実施した。走行訓練は全てのマウスに行った。
(2)骨格筋の採取
走行運動負荷直後マウスは走行運動負荷直後に、走行運動負荷1時間後マウスは走行運動負荷1時間後に安楽死させ、後肢骨格筋(速筋及び遅筋より構成されているヒフク筋部位)を採取し、直ちにRNA抽出に供した。安静(非疲労)マウスは運動負荷をすることなく安楽死させ、同様の方法を行った。
(3)RNAの抽出
RNAlaterを浸透後、筋組織100mgをRNAiso 18ml中でホモジェナイズし、筋組織のRNAiso溶液とした。筋組織のRNAiso溶液1mlにクロロホルム0.2mlを加えて十分ボルテックスし、遠心の後、水層500から700μlをRNA粗抽出液として回収した。得られたRNA粗抽出液をRNeasy Mini kit中のColumnに流し入れ、RNAを吸着させた。洗浄後60μlのヌクレアーゼ不含水に溶解させた。RNAを含むヌクレアーゼ不含水1μlを、NanoDropSpectrophotometer(NanoDrop社)を用いてRNAの定量及び純度指標による品質確認を行った。ヌクレアーゼ不含水1μl中のRNAを、常法により変性後、BioAnalyzer 2100 (Agilent社)を用いて電気泳動し、分解度指標による品質確認を行った。
(4)遺伝子の発現量の分析及び比較
Affymetrix社において作製された約34000個の遺伝子を含む約39000個の転写産物とバリアントに対応する45000のオリゴヌクレオチド・プローブセット(パーフェクトマッチとミスマッチがペアとなっているプローブセット)が搭載されたDNAマイクロアレイ(GeneChip Mouse Genome 430 2.0 Array)を用い、遺伝子発現量の解析を行った。具体的には、次の手順で行った。
GeneChip 3‘IVT Express Kit(Affymetrix 社)を用い、プロトコールに従って、250ngのTotal RNAより、ビオチンラベルaRNAを調製した。ビオチンラベルは、aRNAの合成の際にビオチンラベル化UTPを取り込ませることによって行った。GeneChip 3‘IVT Express Kitを用い、プロトコールに従って、15μgのビオチンラベルaRNAを断片化した。断片化前後のビオチンラベルaRNA(断片化前300ng、断片化後375ng)を、常法により変性後、BioAnalyzer 2100を用いて電気泳動し、品質確認を行った。
12.5μgの断片化ビオチンラベルaRNAを、GeneChip Hybridization、Wash and Stain Kitを用い、プロトコールに従って、GeneChip Arrayへハイブリダイズさせるハイブリカクテルを調製した。ハイブリカクテルを、まず99℃で5分間、続けて45℃で5分間、ヒートブロックを用いてインキュベートし、室温、20,400×gにて、5分間遠心した。GeneChip Arrayへ、プロトコールに従って調製したプレ・ハイブリダイゼーション溶液200μlを満たし、GeneChip Hybridization Oven 640(Affymetrix 社)を用いて、45℃で10分間、毎分60回転でインキュベートし、予めアレイの加温を行い、かつアレイ内部を湿潤状態にした。インキュベートが完了したGeneChip Arrayからプレ・ハイブリダイゼーション溶液を除き、速やかに45℃でインキュベートされたハイブリカクテル200μlを注入し、45℃で16時間、毎分60回転を保ちつつインキュベートし、ハイブリダイズを行った。
ハイブリダイズ完了後、GeneChip Hybridization、Wash、and Stain KitとGeneChip Fluidics Satation 450(Affymetrix社)を用い、解析及びシステム制御ソフトウェア・Affymetrix GeneChip Command Console(AGCC)(Affymetrix社)上の規定プロトコールに従って、GeneChip Arrayの染色及び洗浄を行った。同じくCommand Console 上の規定プロトコールに従って、GeneChip Scanner 3000 7G(Affymetrix社)によりGeneChip Arrayをスキャンし、各遺伝子プローブの蛍光強度を遺伝子発現データのアレイ毎の画像ファイル(DATファイル)として取得した。更に Command Consoleを用いて、DATファイルを数値化可能なCELファイルへ変換した。
解析ソフトウェア・Expression Console(Affymetrix社)を用い、CELファイルから標準化された発現シグナル値の数値データと、信頼度指標のp−valueをテキストファイルとして出力した。発現シグナル値の標準化には、Affymetrix社標準のMAS5法を用い、そのTarget値、即ち発現シグナル値の上下2%を外れ値として除いた残りの遺伝子プローブのシグナル値の平均値は、100に設定した。
次に、運動負荷前と運動負荷後の各アレイの遺伝子発現データについて、対応する運動負荷前後のアレイ間で、運動負荷後の発現シグナル値を分子としてそれぞれ発現比を求め、負荷後で発現増加もしくは発現減少と見なすデータを以下の基準で選定した。
増減それぞれの発現変動幅の絶対値を等しくするために、原則として、発現比については1.5倍の比率とし、50.0%以上(増加)又は−33.3%以下(減少)とするFold Change比較の方法を採用した。
次に、運動負荷後で発現増加として選定する為の段階として、運動負荷後のアレイの発現シグナル値が全て16以上、かつアレイの信頼度指標のp−valueが原則として0.05未満、の条件を全て満たすものとした。また、運動負荷後で発現減少として選定する為の段階としては、運動負荷前のアレイの発現シグナル値が全て16以上、かつアレイの信頼度指標のp−valueが原則として0.05未満、の条件を全て満たすものとした。
上記により選定した遺伝子より、その中で機能的に意味を有する遺伝子名が付与されている遺伝子を選定し、重複を除いた。
(5)遺伝子リストの作成
試験により選定した、疲労の程度の判定に用いる特定の遺伝子を次に示す。
走行運動負荷直後において著しく発現変動した遺伝子は392個であり、表2に示した。また、走行運動負荷1時間後において著しく発現変動した遺伝子は254個であり、表3に記載した。表2に記載の走行運動負荷直後の遺伝子において、発現量が増加している遺伝子は169個であり、減少している遺伝子は223個であった。表3に記載の走行運動負荷1時間後の遺伝子において、発現量が増加している遺伝子は161個であり、減少している遺伝子は93個であった。また、表2と表3に記載の遺伝子をまとめたものを表4に示す。
表2及び表3に記載されている遺伝子より、マウスとの相同性又は同一性の高いヒトの遺伝子(ホモログ遺伝子)466個を選定し、遺伝子リストを作成した。遺伝子リストは表1と同じである。表1において、発現が増加している遺伝子としては225個であり、減少している遺伝子は241個であった。
表2及び表3に含まれる遺伝子は、生理的疲労であり、末梢性疲労であり、運動などの身体作業による肉体疲労に伴って発現量が変動する遺伝子である。
従って、被験体由来の生体試料を用いて、表1又は表4に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子の全ての遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することにより、疲労感に頼ることなく疲労の程度を判定することが可能である。また、表1又は表4に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる、少なくとも1個以上の特定の遺伝子の発現変動を比較することによっても、疲労の程度を判定することが可能であり、疲労の程度を客観的に判定する方法を開発することができた
試験例2:疲労の程度の判定及び疲労を回復、改善又は予防し得る物質(被験物質)の有効性(効果)の判定
表4に記載の遺伝子より作成された遺伝子リストに含まれる特定の遺伝子4個を用い、被験物質の投与により疲労の状態におけるマウス由来の骨格筋における遺伝子の発現変動量を減少させた場合に被験物質の投与に伴って被験体の疲労の程度は減弱していると判定し、被験物質は疲労に対して有効であると判定する工程を含む、疲労の回復、改善又は予防し得る物質(被験物質)の有効性(効果)の判定方法を開発した。
被験物質には、哺乳動物及びヒトにおいて走行運動を延長させ、疲労を改善し得る効果が多く報告されている2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,5,7−トリヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン(和光純薬工業(株))(Am.J.Physiol.Regul.Integr.Comp.Physiol. 、296号4巻、P1071−1077、2009年)を用いた。
実験動物には、7から11週齢のBALB/c系マウス、オス(日本エスエルシー(株))(8匹)を用いた。実験動物は入荷後、試験期間を通して標準飼料(オリエンタル酵母工業(株))及び滅菌水を自由に摂取させ、少なくとも1週間の馴化を行った。被験物質の有効性の判定方法の開発は、(1)被験物質の投与、(2)走行運動の負荷、(3)骨格筋の採取、(4)RNAの抽出、(5)遺伝子の発現量の分析及び比較、及び(6)被験物質の疲労に対する効果の判定、よりなる。
(1)被験物質の投与
抗疲労物質は、疲労を惹起させる走行運動の負荷前まで、1週間、1日1回、50mg/kgの投与量でマウスに経口投与した。
(2)走行運動の負荷
抗疲労物質投与したマウス4匹には走行運動を負荷し、試験例1と同様に疲労困憊までおこなった。他の抗疲労物質投与したマウス4匹には走行運動を負荷しなかった。
(3)骨格筋の採取
マウスからの骨格筋の採取は、走行運動負荷前(4匹)及び走行運動負荷1時間後(4匹)に行った。
(4)RNAの抽出及び(5)遺伝子の発現量の分析及び比較は、試験例1と同様に実施した。
(6)被験物質の疲労に対する効果の判定
遺伝子リストに含まれる特定の遺伝子から、走行運動負荷1時間後に増加する遺伝子であるERN1、BCL2L11、PPP1R15A及びDDIT3の遺伝子4個を選定し、各遺伝子の発現変動を比較した。
被験物質を投与し、疲労困憊まで運動負荷したマウスの運動負荷1時間後における骨格筋での遺伝子の発現変動の特徴を、試験例1において取得した運動負荷1時間後におけるマウス骨格筋での遺伝子の発現変動の特徴と比較した。
試験例1において、運動負荷1時間後のBCL2L11及びDDIT3の発現量は運動負荷前と比較して50%以上増加し、ERN1及びPPP1R15Aの発現量は100%以上増加していた。
これと比較し、試験例2において被験物質を投与したマウスの、運動前後におけるBCL2L11及びERN1の発現変動量は、試験例1における被験物質を投与しなかったマウスの運動前後における発現変動量より減少しており、BCL2L11の発現増加は認められなかった。
一方、疲労困憊まで運動を負荷したマウスの運動前後におけるDDIT3及びPPP1R15Aの発現変動は、著しく変化しなかった。
従って、運動前後における特定の遺伝子4個の発現変動量を分析及び/又は比較することにより、被験物質の投与に伴って遺伝子2個(50%)の発現変動量が減少することを評価し、被験物質を投与した被験体の疲労の程度は減弱していると判定することができた。これより、被験物質は疲労に対して有効であると判定することができた。
上記の結果より、遺伝子リストより選ばれる特定の遺伝子の発現変動の特徴を比較することにより、疲労の程度を判定すること、及び被験物質の疲労に対する有効性を判定することが可能であった。
試験例3:遺伝子リストの作成、疲労の程度を判定できる資料(データベース)の作成、及び疲労の程度の判定
身体作業による肉体疲労の状態としたマウス由来の骨格筋における遺伝子の発現量を測定し、疲労の状態において発現増加又は発現減少する遺伝子を選定し、より少数の遺伝子よりなる、疲労の程度の判定に用いる遺伝子リストを作成し、疲労の程度を判定できる資料(データベース)を作成し、疲労の程度の判定方法を開発した。
実験動物には、7から11週齢のBALB/c系マウス、オス(日本エスエルシー(株))(8匹)を用いた。実験動物は入荷後、試験期間を通して標準飼料(オリエンタル酵母工業(株))及び滅菌水を自由に摂取させ、少なくとも1週間の馴化を行った。遺伝子リストの作成、疲労の程度を判定できる資料(データベース)の作成、及び疲労の程度の判定方法の開発は、(1)走行運動の負荷、(2)骨格筋の採取、(3)RNAの抽出、(4)遺伝子の発現量の分析及び比較、(5)遺伝子リストの作成、(6)疲労の程度を判定できる資料(データベース)の作成、の工程よりなる。
(1)走行運動の負荷
実験には、安静(非疲労)マウス(4匹)、走行運動負荷1時間後マウス(4匹)を用い、走行運動負荷1時間後マウスに走行運動を負荷した。走行運動の負荷は、マウス・ラット用トレッドミル走行装置(バイオリサーチセンター(株))を用いて行った。走行運動の負荷条件は、傾斜角度10度、走行開始速度9メートル/分、漸増ステップ3メートル/4分とし、高強度(高速)運動を負荷した。走行時間は一定時間(52分間)とした。
尚、走行訓練を3から4日間隔で4回実施し、疲労を惹起させる走行運動の負荷は最終走行訓練の3から4日後に実施した。走行訓練は全てのマウスに行った。
(2)骨格筋の採取
走行運動負荷1時間後マウスは走行運動負荷1時間後に深麻酔条件にて安楽死させ、後肢骨格筋(速筋及び遅筋より構成されているヒフク筋部位)を採取し、液体窒素中で急速凍結後、−80℃で一時保管し、後日RNA抽出に供した。安静(非疲労)マウスは運動負荷をすることなく安楽死させ、同様の方法を行った。
(3)RNAの抽出
−80℃で一時保管された筋組織100mgをRNAiso 4ml中でホモジェナイズし、筋組織のRNAiso溶液とした。筋組織のRNAiso溶液1mlにクロロホルム0.2mlを加えて、十分ボルテックスし、遠心の後、水層500から700μlをRNA粗抽出液として回収した。得られたRNA粗抽出液をRNeasy Mini kit(QIAGEN社)中のColumnに流し入れ、RNAを吸着させた。洗浄後60μlのヌクレアーゼ不含水に溶解させた。RNAを含むヌクレアーゼ不含水1μlを、NanoDrop Spectrophotometer(NanoDrop社)を用いてRNAの定量及び純度指標による品質確認を行った。RNAを含むヌクレアーゼ不含水1μlを常法によりRNAを変性後、BioAnalyzer 2100 (Agilent社)を用いて電気泳動し、分解度指標による品質確認を行った。
(4)遺伝子の発現量の分析及び比較
Affymetrix社において作製されたゲノム上の既知、及び想定される28853個の遺伝子について25mer×770317個の対象と完全一致するオリゴヌクレオチド・プローブ(パーフェクトマッチプローブ)が搭載されたDNAマイクロアレイ(GeneChip Mouse Gene 1.0 ST Array)を用い、遺伝子発現量の解析を行った。具体的には、次の手順で行った。
WT Expression Kit(Ambion社)を用い、プロトコールに従って、250ngのTotal RNAより、anti−sense鎖cRNAの合成を介して、sense 鎖cDNAを合成した。その後、WT Terminal Labeling and Control Kit(Affymetrix社)を用いて、合成したcDNAを断片化し、その5'末端にビオチンラベルを行った。中途産物であるcRNAを常法により変性後、断片化前のcDNA及び断片化後のcDNA(100から375ng)をBioAnalyzer 2100を用いて電気泳動し、品質確認を行った。
5μgの断片化ビオチンラベルcDNAを、GeneChip Hybridization Wash and Stain Kit(Affymetrix社)を用い、プロトコールに従って、GeneChip Arrayへハイブリダイズさせるハイブリカクテルを調製した。ハイブリカクテルを、まず99℃で5分間ヒートブロックを用いてインキュベーションし、続けて45℃で5分間GeneChip Hybryidization Oven 640(Affymetrix社)を用いてインキュベーションし、微量高速遠心機で室温、20,400×g、1分間遠心した。GeneChip Arrayへハイブリカクテル80μlを注入し、45℃で17時間、毎分60回転で、GeneChip Hybryidization Oven 640内で、ハイブリダイゼーションを行った。
ハイブリダイゼーション完了後、GeneChip Hybridization Wash and Stain KitとGeneChip Fluidics Satation 450(Affymetrix社)を用い、システム制御ソフトウェア・Affymtrix GeneChip Command Console (AGCC)(Affymetrix社)上の規定プロトコールに従って、GeneChip Arrayの染色及び洗浄を行った。同じくCommand Console 上の規定プロトコールに従って、GeneChip Scanner 3000 7G(Affymetrix社)によりGeneChip Arrayをスキャンし、各遺伝子プローブの蛍光強度を遺伝子発現データのアレイ毎の画像ファイル(DATファイル)として取得した。更に Command Consoleを用いて、DATファイルを数値化可能なCELファイルへ変換した。
解析ソフトウェア・Expression Console(Affymetrix社)を用い、CELファイルから標準化された発現シグナル値の数値データをテキストファイルとして出力した。発現シグナル値の標準化には、本アレイにおけるAffymetrix社標準のRMA−skech法を用いた。
次に、運動負荷前と運動負荷後の各アレイの遺伝子発現データについて、対応する運動負荷前後のアレイ間で、運動負荷後の発現シグナル値を分子としてそれぞれ発現比を求め、負荷後で発現増加もしくは発現減少と見なすデータを以下の基準で選定した。
増減それぞれの発現変動幅の絶対値を等しくするために、原則として、発現比については30%以上(増加)又は−30%以下(減少)とするFold Change比較の方法を採用した。
次に、運動負荷後で発現増加として選定する為の段階として、運動負荷後のアレイの発現シグナル値が全て16以上の条件を全て満たすものとした。また、運動負荷後で発現減少として選定する為の段階としては、運動負荷前のアレイの発現シグナル値が全て16以上の条件を全て満たすものとした。
上記により選定した遺伝子より、その中で機能的に意味を有する遺伝子名が付与されている遺伝子を選定し、重複を除いた。
(5)遺伝子リスト作成
DNAマイクロアレイを用いた遺伝子の発現量の解析後、さらにパスウェイデータベースや遺伝子オントロジーデータベースを用いた解析により、細胞機能の低下、細胞機能の維持・回復、細胞機能の活性と関連する遺伝子より35個の遺伝子を選定し、35個の遺伝子よりなる遺伝子リストを作成した。作成した遺伝子リストを表6に示す。
表6に記載の走行運動負荷1時間後の特定の遺伝子において、発現量が増加している遺伝子は33個であり、減少している遺伝子は2個であった。
表6に記載のNo.001からNo.035の遺伝子35個それぞれにおいて、安静(非疲労)マウスにおける遺伝子の発現量は平均値±標準偏差:411.7±447.4、中央値:244.9であり、走行運動負荷1時間後マウスにおける遺伝子の発現量は平均値±標準偏差:1057.4±1139.9、中央値:630.3であった。
表6に記載のNo.001からNo.033の遺伝子33個の発現変動は、Fold Change比較の方法によると、平均値±標準偏差:238.5±443.0%(増加)、中央値:107.3%(増加)であり、No.034及びNo.035の遺伝子2個の発現変動は、平均値±標準偏差:−41.6±7.9%(減少)、中央値:−41.6%(減少)であった。さらに、遺伝子リストに含まれる遺伝子35個のいずれの1個の遺伝子においても、30%以上又は−30%以下の著しい発現変動が認められた。
表6に記載されている遺伝子より、マウスとの相同性又は同一性の高いヒトの遺伝子(ホモログ遺伝子)35個を選定し、遺伝子リストを作成した。遺伝子リストは表5と同じである。表5において、発現量が増加している遺伝子としては33個であり、減少している遺伝子は2個であった。
表5又は表6に含まれる遺伝子より選ばれる特定の遺伝子は、生理的疲労であり、末梢性疲労であり、運動などの身体作業に伴う、いわゆる肉体疲労の状態において、疲労の程度を判定することに適している遺伝子である。
従って、被験体の生体試料を用いて、表5又は表6に記載の遺伝子よりなる遺伝子リストに含まれる遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる全ての遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、1個以上の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、疲労の程度を判定することが可能であり、疲労の程度を客観的に判定する方法を開発することができた。
(6)疲労の程度を判定できる資料(データベース)の作成
疲労の程度を判定できる資料は、非疲労の状態及び疲労の状態とする遺伝子の発現量、疲労の状態とする遺伝子の発現量、発現変動量及び発現変動率の設定により作成した。具体的な作成方法を以下に示す。
遺伝子リストに含まれる遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子において、
(a)非疲労の状態の健常対照体に相当する被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量の平均値及び/又は中央値を算出する工程、
(b)生理的疲労及び末梢性疲労を呈している被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量の平均値及び/又は中央値を算出する工程、
(c)非疲労の状態の健常対照体由来の生体試料における遺伝子の発現量の平均値及び/又は中央値と、生理的疲労及び末梢性疲労を呈している被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量の平均値及び/又は中央値の差(発現変動量)を算出する工程、及び、
(d)生理的疲労及び末梢性疲労を呈している被験体の遺伝子の発現変動量を“発現変動率100%”又は“疲労の程度100”と変換する工程、
により、(i)非疲労の状態の健常対照体に相当する遺伝子の発現量、(ii)疲労の状態の対照体に相当する遺伝子の発現量、(iii)“発現変動率100%”又は“疲労の程度100”に相当する遺伝子の発現変動量を設定して、作成することができた。
即ち、安静(非疲労)マウスにおける各遺伝子の発現量を算出し、走行運動負荷1時間後マウスにおける各遺伝子の発現量を算出し、安静(非疲労)マウスにおける遺伝子の発現量と走行運動負荷1時間後マウスにおける遺伝子の各発現量の差(発現変動量)を算出し、発現変動量を“発現変動率100%”又は“疲労の程度100”と設定した。
疲労の程度が未知のマウスの疲労の程度を判定するにおいては、疲労の程度が未知のマウスにおける各遺伝子の発現量を算出し、安静(非疲労)マウスにおける各遺伝子の発現量と疲労の程度が未知のマウスにおける各遺伝子の発現量の差(発現変動量)を算出し、算出した疲労の程度が未知のマウスにおける各遺伝子の発現変動量が、“発現変動率100%”又は“疲労の程度100”に相当する発現変動量に占める割合を算出し、疲労の程度が未知のマウスにおける遺伝子の“発現変動率”又は“疲労の程度”を算出する手順とした。また、2個以上の遺伝子を用いて判定する場合には、各遺伝子の“発現変動率”又は“疲労の程度”の平均値又は中央値などを算出する手順とした。
従って、疲労の程度の判定に用いる遺伝子リストを作成し、疲労の程度を判定できる資料(データベース)の作成し、疲労の程度の判定方法を開発することができた。
試験例4: 疲労の程度が未知の被験体における疲労の程度の判定
表6に記載のNo.001からNo.035の特定の遺伝子35個を用い、疲労の程度が未知のマウス由来の骨格筋における遺伝子の発現変動量を分析及び比較し、疲労の程度を判定できる資料(データベース)を用い、“発現変動率”及び“疲労の程度”を算出することによって、疲労の程度が未知の被験体の疲労の程度を判定し、疲労の判定方法を検証した。
実験動物には、7から11週齢のBALB/c系マウス、オス(日本エスエルシー(株))(8匹)を用いた。実験動物は入荷後、試験期間を通して標準飼料(オリエンタル酵母工業(株))及び滅菌水を自由に摂取させ、少なくとも1週間の馴化を行った。疲労の程度の判定方法の検証は、(1)走行運動の負荷、(2)骨格筋の採取、(3)RNAの抽出、(4)遺伝子の発現量の分析及び比較、及び(5)疲労の程度の判定、の工程よりなる。
(1)走行運動の負荷
実験には、疲労の程度が未知である持久型走行運動負荷1時間後マウス(4匹)及び走行運動負荷24時間後マウス(4匹)を用い、走行運動を負荷した。
走行運動の負荷は、マウス・ラット用トレッドミル走行装置(バイオリサーチセンター(株))を用いて行った。
持久型走行運動負荷1時間後マウスへの走行運動は、走行開始速度9メートル/分、漸増ステップ3メートル/4分にて28分間走行した後、到達速度30メートル/分にて60分間走行させた(総走行時間 88分)。
走行運動負荷24時間後マウスへの走行運動は、試験例3と同様に走行開始速度9メートル/分、漸増ステップ3メートル/4分にて、52分間の一定負荷とした。
尚、走行訓練を3から4日間隔で4回実施し、疲労を惹起させる走行運動の負荷は最終走行訓練の3から4日後に実施した。走行訓練は全てのマウスに行った。
(2)骨格筋の採取、(3)RNAの抽出及び(4)遺伝子の発現量の分析及び比較は、試験例3と同様に行った。
(5)疲労の程度の判定
疲労の程度を判定できる資料を用いて、疲労の程度の判定を行った。
表6に記載のNo.001からNo.035の遺伝子35個それぞれにおいて、持久型走行運動負荷1時間後マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:1246.4±1248.3、中央値:793.9であった。
また、Fold Change比較の方法を用い、持久型走行運動負荷1時間後マウスにおけるNo.001からNo.033の遺伝子33個の発現量を試験例3の安静(非疲労)マウスにおける遺伝子の発現量と比較すると、平均値±標準偏差:301.7±406.9%(増加)、中央値:137.5%(増加)であった。
No.034及びNo.035の遺伝子2個の発現量を比較すると、平均値±標準偏差:−36.7±8.4%(減少)、中央値:−36.7%(減少)であった。さらに、遺伝子リストに含まれる遺伝子35個のいずれの1個の遺伝子においても、30%以上又は−30%以下の著しい発現変動が認められた。
これより、試験例4における持久型走行運動負荷1時間後マウスの発現変動量は、試験例3における走行運動負荷1時間後マウスの発現変動量と比較しても増加していることから、強度の疲労の状態であると判定できた。
試験例3により作成した疲労の程度を判定できる資料を用い、試験例3の走行運動負荷1時間後マウスにおける発現変動量を“疲労の程度100(発現変動率100%)”と変換すると、持久型走行運動負荷1時間後マウスは、表6に記載の遺伝子それぞれにおいて、“疲労の程度(発現変動率%)154.5±82.7(平均値±標準偏差)”、“疲労の程度(発現変動率%)135.7(中央値)”であった。
これより、試験例4における持久型走行運動負荷1時間後マウスの発現変動量は、試験例3における走行運動負荷1時間後マウスの発現変動量と比較しても増加していることから、強度の疲労の状態であると判定できた。
従って、持久型走行運動負荷1時間後マウスの疲労の程度は、表6に記載の遺伝子より選ばれる1個の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、2個から35個の特定の遺伝子の組み合わせにおける遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、疲労の状態であり、疲労の程度を判定することができた。
表6に記載のNo.001からNo.035の遺伝子35個それぞれにおいて、運動を負荷した24時間後のマウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:405.3±382.2、中央値:299.2であった。また、発現変動は、Fold Change比較の方法を用い、試験例3の安静(非疲労)マウスにおける、表6に記載のNo.001からNo.033の遺伝子33個の発現量と比較すると、平均値±標準偏差:8.2±29.4%(増加)、中央値:0.3%(増加)であった。No.034及びNo.035の遺伝子2個の発現量を比較すると、平均値±標準偏差:1.0±1.7%(増加)、中央値:1.0%(増加)であった。さらに、遺伝子リストに含まれる遺伝子35個のいずれの1個の遺伝子においても、著しい発現変動の減弱が認められた。
試験例3により作成した疲労の程度を判定できる資料を用いると、走行運動を負荷した24時間後のマウスは、表6の遺伝子リストに記載の遺伝子それぞれにおいて、“疲労の程度(発現変動率%)−1.0±16.8(平均値±標準偏差)”、“疲労の程度(発現変動率%)0.3(中央値)”であった。さらに、35個全ての遺伝子において“疲労の程度(発現変動率%)”は休息により減弱しており、35個のいずれの1個の遺伝子を用いても、疲労は減弱していると判定することができた。
従って、走行運動を負荷した24時間後のマウスの疲労の程度は、表6に記載の遺伝子より選ばれる1個の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、遺伝子2個から35個の組み合わせにおける特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、非疲労の状態であり、十分な休息や睡眠を得ることにより、疲労は消失(回復)していると判定することが可能であった。
上述のように、遺伝子リスト、疲労の程度を判定できる資料、これらを含む疲労の判定方法を用いることにより、表6に記載の遺伝子より選ばれる1個の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、遺伝子2個から35個の組み合わせにおける特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、著しい疲労の状態における被験体由来の生体試料から判定した疲労の程度は高値を示し、十分な休息や睡眠を得ることにより疲労が消失している状態における被験体由来の生体試料から判定した疲労の程度は低値を示し、疲労の程度が未知の被験体の疲労の程度を判定することができる方法を開発できた。
即ち、疲労の程度が未知の被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量(発現変動率)が増加している場合に、被験体は疲労の状態であると判定し、発現変動量(発現変動率)の増加の程度に応じて疲労の程度を判定することができる、疲労の程度の判定方法を開発することができた。
試験例5:血液を生体試料とする疲労の程度の判定方法
表6に記載のNo.001からNo.017、No.034及びNo.035の特定の遺伝子19個を用い、身体作業による肉体疲労の状態としたマウス由来の末梢血液における遺伝子の発現量を測定することによって、末梢組織と同様に発現変動する遺伝子を用いた、生理学的な特徴に立脚した客観的な疲労の程度の判定方法を開発した。
実験動物には、7から11週齢のBALB/c系マウス、オス(日本エスエルシー(株))(12匹)を用いた。実験動物は入荷後、試験期間を通して標準飼料(オリエンタル酵母工業(株))及び滅菌水を自由に摂取させ、少なくとも1週間の馴化を行った。疲労の程度の判定方法の開発は、(1)走行運動の負荷、(2)血液の採取、(3)RNAの抽出、(4)遺伝子の発現量の分析及び比較、及び(5)疲労の程度の判定、の工程よりなる。
(1)走行運動の負荷
実験には、安静(非疲労)マウス(4匹)、走行運動負荷1時間後マウス(4匹)及び走行運動負荷24時間後マウス(4匹)を用い、走行運動を負荷した。
走行運動の負荷は、マウス・ラット用トレッドミル走行装置(室町機械(株)又はバイオリサーチセンター(株))を用いて行った。
走行運動負荷1時間後マウス及び走行運動負荷24時間後マウスへの走行運動は、試験例3と同様に、走行開始速度9メートル/分、漸増ステップ3メートル/4分にて52分間の一定負荷とした。
尚、走行訓練を3から4日間隔で4回実施し、疲労を惹起させる走行運動の負荷は最終走行訓練の3から4日後に実施した。走行訓練は全てのマウスに行った。
(2)血液の採取
走行運動負荷1時間後マウス又は走行運動負荷24時間後マウスは、それぞれ走行運動負荷1時間後または24時間後に深麻酔条件にて安楽死させ、腹部大静脈より血液を1ml採取し、ヌクレアーゼ不含水1mlを添加し、Isogen−LS(ニッポンジーン社)2mlを添加し、血液を溶解した。その後、液体窒素中で急速凍結後、−80℃で一時保管し、後日RNA抽出に供した。安静(非疲労)マウスは運動負荷をすることなく安楽死させ、同様の方法を行った。
(3)RNAの抽出
Isogen−LS(ニッポンジーン社)に溶解されている血液サンプル4mlの半量を用いて精製を行った。Isogen−LS溶解サンプル2mlに対し、クロロホルム400μlを加えて、十分ボルテックスし、遠心の後、水層800から1000μlをRNA粗抽出液として回収した。得られたRNA粗抽出液をRNeasy Mini kit中のColumnに流し入れ、RNAを吸着させた。洗浄後60μlのヌクレアーゼ不含水に溶解させた。RNAを含むヌクレアーゼ不含水1μlを、NanoDropSpectrophotometer(NanoDrop社)を用いてRNAの定量及び純度指標による品質確認を行った。
ヌクレアーゼ不含水1μl中のRNAを、常法により変性後、BioAnalyzer 2100 (Agilent社)を用いて電気泳動し、分解度指標による品質確認を行った。その後、5μgの抽出したTotal RNAから、GLOBINclearTM−Mouse/Rat Kit(Ambion社)を用いて、同キットの規定プロトコールに従って、血液中に大量に含まれるグロビンmRNAの除去処理を行い、30μlのKit付属Elution Bufferに溶解させた。RNAを含むKit付属Elution Buffer 1μlを、NanoDropSpectrophotometer(NanoDrop社)を用いてRNAの定量及び純度指標による品質確認を行った。Kit付属Elution Buffer 1μl中のRNAを、常法により変性後、BioAnalyzer 2100 (Agilent社)を用いて電気泳動し、分解度指標による品質確認を行った。
(4)遺伝子の発現量の分析及び比較は、試験例3と同様に行った。
(5)疲労の程度の判定
表6に記載のNo.001からNo.017、No.034及びNo.035の特定の遺伝子19個の発現量より疲労の程度を判定した。
表6の遺伝子リストに記載のNo.001からNo.017の遺伝子17個それぞれにおいて、安静(非疲労)マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:246.9±248.6、中央値:154.2であり、走行運動負荷1時間後マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:410.7±447.6、中央値:205.6であり、走行運動負荷24時間後マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:222.1±204.4、中央値:143.9であった。さらに、17個の遺伝子全てにおいて運動負荷による発現量の増加、休息による発現変動の減弱を認めた。
また、表6の遺伝子リストに記載のNo.034及びNo.035の遺伝子2個それぞれにおいて、安静(非疲労)マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:234.0±71.1、中央値:234.0であり、走行運動負荷1時間後マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:139.0±17.4、中央値:139.0であり、走行運動負荷24時間後マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:298.0±146.7、中央値:298.0であった。さらに、2個の遺伝子全てにおいて運動負荷による発現量の減少、休息による発現変動の減弱を認めた。
Fold Change比較の方法に用い、安静(非疲労)マウスにおけるNo.001からNo.017の遺伝子17個の発現量と比較すると、走行運動負荷1時間後マウスにおける遺伝子の発現変動は、平均値±標準偏差:66.5±42.0%(増加)、中央値:59.9%(増加)であった。
さらに、17個の全ての遺伝子を用いても、いずれの1個の遺伝子を用いても、発現量又は発現変動量は増加しており、疲労の状態であると判定することができた。
走行運動負荷24時間後マウスにおける遺伝子の発現変動は、平均値±標準偏差:−2.8±15.4%(減少)、中央値:−2.3%(減少)であった。
さらに、17個の全ての遺伝子を用いても、いずれの1個の遺伝子を用いても、発現量の増加は休息により減弱しており、疲労は減弱または消失していると判定することができた。
No.034及びNo.035の遺伝子2個の発現量を比較すると、走行運動負荷1時間後マウスにおける遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:−38.9±11.1%(減少)、中央値:−38.9%(減少)であった。また、2個の全ての遺伝子を用いても、いずれの1個の遺伝子を用いても、発現量は減少しており、疲労の状態であると判定することができた。
走行運動負荷24時間後マウスの遺伝子の発現量は、平均値±標準偏差:23.5±25.1%(増加)、中央値:23.5%(増加)であった。2個の全ての遺伝子を用いても、いずれの1個の遺伝子を用いても、走行運動負荷1時間後に認められた発現量の減少は休息により減弱しており、疲労は減弱または消失していると判定することができた。
これらより、19個の遺伝子のいずれの1個の遺伝子を用いても、運動負荷による発現変動が認められ、休息により発現変動は減弱しており、疲労の程度を判定することができた。
従って、走行運動を負荷した1時間後のマウスの疲労の程度は、表6に記載のNo.001からNo.017、No.034及びNo.035の遺伝子19個より選ばれる1個の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、2個から19個の特定の遺伝子の組み合わせにおける遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、No.001からNo.017の遺伝子17個より選ばれる1個から17個の特定の遺伝子の発現増加及び/又はNo.034及びNo.035の遺伝子2個より選ばれる1個から2個の特定の遺伝子の発現減少を比較することによっても、疲労の程度を判定することができた。
上述のように、運動負荷により疲労の状態における被験体由来の血液から判定した被験体の疲労の程度は高値を示し、十分な休息や睡眠を得ることにより疲労が消失している状態における被験体由来の血液から判定した疲労の程度は低値を示し、多段階で疲労の程度を判定する方法を開発できた。
即ち、被験体由来の血液における遺伝子の発現変動量(発現変動率)が増加している場合に、被験体は疲労の状態であると判定し、発現変動量(発現変動率)の増加の程度に応じて疲労の程度を判定することができる、疲労の程度の判定方法を開発することができた。
試験例6:疲労を回復、改善又は予防し得る物質(被験物質)の有効性(効果)の判定方法の検証
表6に記載のNo.001からNo.010の特定の遺伝子10個を用い、被験物質の投与により疲労の状態における遺伝子の発現変動量を減少させた場合に、被験物質の投与により被験体の疲労の程度は減弱したと判定し、被験物質は疲労に対して有効であると判定する工程を含む、疲労の回復、改善又は予防し得る物質(被験物質)の有効性(効果)の判定方法を開発した。
被験物質には、哺乳動物において走行運動を延長させ、疲労を改善し得る効果が多く報告されている2−アミノエタンスルホン酸を用いた。
実験動物には、7から11週齢のBALB/c系マウス、オス(日本エスエルシー(株))(12匹)を用いた。実験動物は入荷後、試験期間を通して標準飼料(オリエンタル酵母工業(株))及び滅菌水を自由に摂取させ、少なくとも1週間の馴化を行った。被験物質の疲労に対する有効性の判定方法の開発は、(1)被験物質の投与、(2)走行運動の負荷、(3)骨格筋の採取、(4)RNAの抽出、(5)遺伝子の発現量の分析及び比較、及び(6)被験物質の疲労に対する効果の判定、よりなる。
(1)被験物質の投与
被験物質投与走行運動マウス(4匹)には、疲労を惹起させる走行運動の負荷前まで、2週間、1日1回、300mg/kgの投与量で経口投与し、走行運動負荷終了直後にも経口投与した。安静(非疲労)(4匹)及び媒体投与走行運動マウス(4匹)には、疲労を惹起させる走行運動の負荷前まで、2週間、1日1回、蒸留水を経口投与した。
(2)走行運動の負荷
被験物質投与走行運動マウス及び媒体投与走行運動マウスへの走行運動の負荷は、マウス・ラット用トレッドミル走行装置(室町機械(株)又はバイオリサーチセンター(株))を用いて行った。
走行運動は、試験例3と同様に、走行開始速度9メートル/分、漸増ステップ3メートル/4分にて52分間の一定負荷とした。
尚、走行訓練を3から4日間隔で4回実施し、疲労を惹起させる走行運動の負荷は最終走行訓練の3から4日後に実施した。走行訓練は全てのマウスに行った。
(3)骨格筋の採取
骨格筋の採取は、走行運動負荷2時間後に深麻酔条件にて行った。他の方法は試験例3と同様に行った。
(4)RNAの抽出及び(5)遺伝子の発現量の分析及び比較は、試験例3と同様におこなった。
(6)被験物質の疲労に対する効果の判定
安静(非疲労)マウスにおける遺伝子の発現量と媒体投与走行運動マウスにおける遺伝子の発現量とを、Fold Change比較の方法に用いて比較すると、No.001からNo.010の特定の遺伝子10個においては、平均値±標準偏差:106.6±82.9%(増加)、中央値:65.4%(増加)であった。遺伝子10個の全ての遺伝子において著しい発現変動が認められ、疲労の状態であると判定することができた。
次に、媒体投与走行運動マウスの特定の遺伝子10個それぞれの発現変動量を“疲労の程度100(発現変動率100%)”に相当する発現変動量に換算し、被験物質投与走行運動マウスと安静(非疲労)マウスとの発現変動量を算出し、被験物質投与走行運動マウスにおける発現変動量の“疲労の程度100”に相当する発現変動量に占める割合を算出し、“疲労の程度(発現変動率)”を算出した。
被験物質投与走行運動マウスにおける特定の遺伝子10個それぞれにおいては、“疲労の程度(発現変動率%)62.3±15.9(平均値±標準偏差)”、“疲労の程度(発現変動率%)61.6(中央値)”であった。
特定の遺伝子10個の全てにおいて、発現変動量の減少、発現変動率又は疲労の程度の減弱が認められた。これより、被験物質の投与により疲労の程度は減弱しており、被験物質は疲労に対して有効であると判定することができた。
従って、表6の遺伝子リストに記載のNo.001からNo.010の遺伝子10個より選ばれる1個の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、遺伝子2個から10個の組み合わせにおける特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、疲労を回復、改善又は予防し得る物質の疲労に対する有効性を判定する方法を開発することができた。
試験例7:プライマーを用いたRNAの発現増幅手法を用いた疲労の程度の判定方法
表6に記載のNo.001からNo.006の特定の遺伝子6個を用い、身体作業による肉体疲労の状態としたマウス由来の末梢血液におけるRNAの発現量を、プライマーを用いた遺伝子の発現増幅手法(RT−PCR法)を用いて測定し、定量的な疲労の程度の判定方法を開発した。
実験動物には、7から11週齢のBALB/c系マウス、オス(日本エスエルシー(株))(12匹)を用いた。実験動物は入荷後、試験期間を通して標準飼料(オリエンタル酵母工業(株))及び滅菌水を自由に摂取させ、少なくとも1週間の馴化を行った。RT−PCR法を用いた疲労の程度の判定方法の開発は、(1)走行運動の負荷、(2)血液の採取、(3)RNAの抽出、(4)RT−PCR法による遺伝子の発現量の分析及び比較、及び(5)疲労の程度の判定、の工程よりなる。
(1)走行運動の負荷
実験には、安静(非疲労)マウス(4匹)、走行運動負荷1時間後マウス(4匹)及び持久型走行運動負荷1時間後マウス(4匹)を用い、走行運動を負荷した。
走行運動の負荷は、マウス・ラット用トレッドミル走行装置(バイオリサーチセンター(株))を用い、試験例3又は試験例4と同等に行った。
(2)血液の採取及び(3)RNAの抽出は、試験例6と同様に行った。
(4)RT−PCR法による遺伝子の発現量の分析及び比較
Total RNA 各200ngより、Quntitect Reverse Transcript (QIAGEN社)を用いて、規定のプロトコールに沿って、20μlのcDNAを調製した。具体的には、まずTotal RNAにゲノムDNAの除去試薬を加え14μlとし、42℃ 2分間の処理後、直ちに氷冷した。同じく氷上で逆転写反応溶液を調製し、ゲノムDNA除去処理後のTotal RNAを加えて20μlとし、42℃で30分間反応させた。反応終了後95℃で3分間処理して含まれる酵素を不活性化し、5倍濃度に希釈して以降の工程に供した。プライマーと調製されたcDNAを用いて、定量的PCR解析を実施した。PCR試薬はAbsolute SYBR Green ROX Mix (Thermo SCIENTIFIC社)、装置は7300 Real Time PCR System (Applied Biosystems社)を使用した。反応条件は、95℃で15分変性後、「95℃ 15秒、55 or 58℃ 30秒、72℃ 30秒」を50サイクルとした。プライマー濃度は100nM、もしくは250nMとした。
各遺伝子の相対発現量の基準となるハウスキーピング遺伝子はβ−アクチン(β−actin、Actb)とし、個々の検体における各遺伝子の発現量をハウスキーピング遺伝子を用いて正規化した。正規化に対応する値は以下の式で求めた。
△Ct = [(各遺伝子のCt値) - (Actb遺伝子のCt値)]
次に各被検体について、対照検体に対する相対発現量に対応する値を以下の式で求めた。
△△Ct = [(各検体の△Ct) - 運動前検体の△Ct値]
相対発現量=2-△△Ct
プライマーは、プライマー設計ソフトウェア:Primer3Plusを用い、目的遺伝子の転写産物に対して全てのバリアントをカバーするように設計した。設計条件は、「Primer size:18−20base、Primer Tm:55−62(Max Tm difference 2℃)、Primer GC%:40−60%、Max poly−X:3、Max Self Complementarity:3、Product Size:80−200」とし、それ以外はソフトウェアの通常設定条件で行なった。
各プライマーの配列は下記の通りである。
表6に記載のNo.001の遺伝子
Fkbp5 :
センス鎖5’-CTCAAACCCAAACGAAGGAG-3’(配列番号52)
アンチセンス鎖5’-CACATCTCGGCAATCAAATG-3’(配列番号53)
表6に記載のNo.002の遺伝子
Nfil3 :
センス鎖5’-AGGGAGCAGAACCACGATAA-3’(配列番号54)
アンチセンス鎖5’-CGGATGGAGGAGACAAATCA-3’(配列番号55)
表6に記載のNo.003の遺伝子
Ppp1r15a :
センス鎖5’-GCTTCTGCTGCTTCCATAGC-3’(配列番号56)
アンチセンス鎖5’-TTCTTCCGTGGCTTGATGTT-3’(配列番号57)
表6に記載のNo.004の遺伝子
Tlr4 :
センス鎖5’-GCACTGACACCTTCCTTTCC-3’(配列番号58)
アンチセンス鎖5’-CTGGTTCTCCTTTCTGTTCTCA-3’(配列番号59)
表6に記載のNo.005の遺伝子
Tlr8 :
センス鎖5’-GGCATTTACACCCTCACAGAG-3’(配列番号60)
アンチセンス鎖5’-CATTCCACAAACGGTCAAGA-3’(配列番号61)
表6に記載のNo.006の遺伝子
Optn :
センス鎖5’-TGAAGAGGGAGGCAGTAGACA-3’(配列番号62)
アンチセンス鎖5’-GGCAGGAGTGAATCGGAATA-3’(配列番号63)
内部標準の遺伝子
Actb :
センス鎖5’-CAGCAGATGTGGATCAGCAAG-3’(配列番号64 )
アンチセンス鎖5’-GCACTTGCGGTGCACGAT-3’(配列番号65)
(5)疲労の程度の判定
表6の遺伝子リストに記載のNo.001からNo.006の特定の遺伝子6個を選定し、遺伝子の発現量を定量的に測定した。
走行運動負荷1時間後マウスの発現量の安静(非疲労)マウスの発現量に対する相対倍率を次に示す。
No.001:Fkbp5 2.37倍
No.002:Nfil3 1.76倍
No.003:Ppp1r15a 1.43倍
No.004:Tlr4 1.27倍
No.005:Tlr8 1.77倍
No.006:Optn 1.80倍
これらより、表6の遺伝子リストに記載のNo.001からNo.006の遺伝子6個全てにおいて、高強度(高速)での運動負荷に伴い、発現増加することを認めた。
次に、持久型走行運動負荷1時間後マウスの発現量の安静(非疲労)マウスの発現量に対する相対倍率を次に示す。
No.001:Fkbp5 2.00倍
No.002:Nfil3 2.69倍
No.003:Ppp1r15a 1.90倍
No.004:Tlr4 1.56倍
No.005:Tlr8 2.49倍
No.006:Optn 2.05倍
これらより、表6の遺伝子リストに記載のNo.001からNo.006の遺伝子6個全てにおいて、運動負荷に伴う疲労困憊の状態において、発現増加することを認めた。
従って、プライマーを用いた遺伝子の発現増幅手法の一つであるRT−PCR法を用いて、RNAの発現変動量を定量的に測定することが可能である、被験体の遺伝子の発現変動量が増加している場合に被験体は疲労の状態であると判定することができる、疲労の程度の判定方法を開発することができた。
以上より、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個の特定の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、2個から35個の特定の遺伝子の組み合わせにおける遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することによっても、被験体由来の血液などの生体試料における遺伝子の発現量を測定し、被験体由来の生体試料を用いた遺伝子の発現量が、疲労状態の対照体及び/又は非疲労の状態の健常対照体における発現量のどちらに近似しているかに基づいて行われ、疲労状態の対照体に近似している場合に疲労の状態であると判定することを特徴し、著しい疲労の状態における被験体の生体試料から判定した疲労の程度は高値を示し、十分な休息や睡眠を得ることにより疲労が消失している状態における被験体の生体試料から判定した疲労の程度は低値を示し、多段階で疲労の程度を判定することができる方法を提供することが可能となった。
即ち、疲労の程度の判定に用いる遺伝子リストを作成し、被験体の生体試料を用いて遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することにより、客観的に疲労の程度を判定することが可能となり、さらには、疲労に対する回復、改善又は予防の効果(有効性)を判定すること、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法を提供することが可能となった。
本発明にかかる疲労の程度の判定方法は、バイオマーカーやサロゲートマーカーに利用することができる。
本発明を利用することにより、疲労感に頼ることなく、日常生活における生理的疲労、末梢性疲労、特に肉体疲労の程度を客観的に判定することが可能になる。さらには、睡眠や休息の確保、栄養補給や摂取、医薬品投与を適切に行うことを可能とし、疲労の回復、改善及び予防が容易に可能となり、国民の健康維持・増進に大きく寄与する分野に利用が可能である。
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本発明は、疲労の研究や判定などの分野、疲労を改善するための医薬や食品の評価などの分野、そのためのキットの製造の分野などにおいて利用可能である。

Claims (26)

  1. 被験体由来の生体試料における、表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することを含む、疲労の程度を判定する方法。
  2. 被験体に被験物質を投与し、被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較することを含む、被験物質の疲労に対する有効性を判定する方法。
  3. 被験体に被験物質を投与し、被験体由来の生体試料における表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較し、当該遺伝子の発現を変動させる物質を、疲労を回復、改善又は予防し得る候補物質として選択することを含む、疲労を回復、改善又は予防し得る物質を探索する方法。
  4. 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現量の変動を分析及び/又は比較する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる2個以上の遺伝子について、発現変動が異なる遺伝子の数を分析及び/又は比較する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 被験体がヒト又は非ヒト哺乳動物である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 生体試料が血液、肝臓、心筋、骨格筋又は細胞である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 生体試料が血液である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 疲労が生理的疲労である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 疲労が末梢性疲労である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 疲労が身体作業による肉体疲労である、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 表1に記載のNo.001〜No.225の遺伝子、表4に記載のNo.001〜No.280の遺伝子、表5に記載のNo.001〜No.033の遺伝子又は表6に記載のNo.001〜No.033の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現量を分析及び/又は比較し、及び/又は表1に記載のNo.226〜No.466の遺伝子、表4に記載のNo.281〜No.585、表5に記載のNo.034〜No.035の遺伝子又は表6に記載のNo.034〜No.035の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の発現量を分析及び/又は比較する、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子が、ADAMTS1遺伝子、ADAMTS20遺伝子、ADAMTS9遺伝子、AGT遺伝子、ATF3遺伝子、ATF4遺伝子、ATP2A2遺伝子、ATP6V0D1遺伝子、BCL2L11遺伝子、CARHSP1遺伝子、CASP9遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHRD遺伝子、CHST15遺伝子、CLIC4遺伝子、CTGF遺伝子、DDIT3遺伝子、EIF2B2遺伝子、ERN1遺伝子、FKBP5遺伝子、FOSB遺伝子、FOS遺伝子、FOXO1遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、ID1遺伝子、INHBB遺伝子、JUN遺伝子、LCN2遺伝子、LGALS3遺伝子、MT1E遺伝子、NFATC1遺伝子、NFIL3遺伝子、NR4A1遺伝子、NR4A3遺伝子、OPTN遺伝子、PLAU遺伝子、PLK3遺伝子、PPP1R15A遺伝子、SDC4遺伝子、SMAD3遺伝子、THBS1遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、TP53遺伝子、ZBTB16遺伝子、又はそれらのホモログ遺伝子である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子が、ATP6V0D1遺伝子、CARHSP1遺伝子、CCRN4L遺伝子、CD38遺伝子、CHST15遺伝子、FKBP5遺伝子、FOS遺伝子、GLUL遺伝子、HMOX1遺伝子、HSP90AA1遺伝子、HSPA1A遺伝子、HSPA1B遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、又はそれらのホモログ遺伝子である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子が、ATP6V0D1遺伝子、FKBP5遺伝子、HMOX1遺伝子、LCN2遺伝子、NFIL3遺伝子、OPTN遺伝子、PPP1R15A遺伝子、TINAGL1遺伝子、TLR4遺伝子、TLR8遺伝子、又はそれらのホモログ遺伝子である、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
  16. 遺伝子の発現変動の分析を、生体試料における遺伝子のRNAを測定することによって行う、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 遺伝子の発現変動の分析を、生体試料における遺伝子のRNAをプライマーを用いた遺伝子の増幅手法で測定することによって行う、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 遺伝子の発現変動の分析を、生体試料における遺伝子のRNAを疲労のバイオマーカーとして測定することによって行う、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が増加している場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 被験体由来の生体試料における遺伝子の発現量が、疲労の状態の対照体及び/又は非疲労の状態の健常対照体における当該遺伝子の発現量のどちらに近いかに基づいて行われ、疲労の状態の対照体に近い発現量の場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が、疲労の状態の対照体における当該遺伝子の発現変動量又は発現変動率に近い場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 被験体由来の生体試料における2個以上の遺伝子の発現変動量又は発現変動率の平均値及び/又は中央値が、疲労の状態の対照体における2個以上の当該遺伝子の発現変動量又は発現変動率の平均値及び/又は中央値に近い場合に、被験体は疲労の状態であると判定することを特徴とする、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 被験物質の疲労に対する有効性を判定するにおいて、被験物質の投与に伴って被験体由来の生体試料における遺伝子の発現変動量又は発現変動率が減少している場合に、被験物質は疲労に対して有効であると判定することを特徴とする、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 被験物質の疲労に対する有効性を判定するにおいて、(i)被験物質を投与した被験体と、被験物質を投与しなかった被験体からそれぞれ生体試料を採取し、それぞれの生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程と、(ii)(i)の工程によって得られた、当該被験物質の投与有無による生体試料における遺伝子の発現量の測定結果に基づき、当該被験物質の投与有無による生体試料における遺伝子の発現変動量を算出する工程と、(iii)(ii)の工程によって得られた当該被験物質の投与有無による生体試料における遺伝子の発現変動量に基づき、当該被験物質の疲労に対する有効性を判定する工程とを含む、請求項23に記載の方法。
  25. 被験物質の疲労に対する有効性を判定するにおいて、(i)被験体に被験物質を投与する前に当該被験体の生体試料を採取し、生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程と、(ii)被験体に被験物質を投与した後に当該被験体の生体試料を採取し、生体試料における遺伝子の発現量を測定する工程と、(iii)(i)及び(ii)の工程によって得られた、当該被験物質の投与前後における遺伝子の発現量に基づき、当該被験物質の投与前後における生体試料における遺伝子の発現変動量を算出する工程と、(iv)(iii)の工程によって得られた当該被験物質の投与前後における生体試料における遺伝子の発現変動量に基づき、当該被験物質の被験体における疲労に対する有効量を判定する工程とを含む、請求項23に記載の方法。
  26. 表1、表4、表5又は表6に記載の遺伝子又はそれらのホモログ遺伝子より選ばれる1個以上の遺伝子の転写産物に特異的なプローブ又はプライマー、又は上記遺伝子の翻訳産物に特異的な抗体を含む、請求項1から25のいずれか1項に記載の方法において上記遺伝子の発現変動を分析及び/又は比較するための疲労判定試薬又は疲労判定キット。
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