JP2010500592A - セクレトグラニン及びvgfペプチドバイオマーカー、及び、その使用 - Google Patents

セクレトグラニン及びvgfペプチドバイオマーカー、及び、その使用 Download PDF

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Abstract

【課題】セクレトグラニン及びVGFペプチドバイオマーカー、及び、その使用。
【解決手段】セクレトグラニンII及びVGFペプチドは、大うつ病性障害に対するバイオマーカーである。これらは診断、モニタリング及びスクリーニングの方法において有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、大うつ病性障害(major depressive disorders)に対するペプチドバイオマーカーに関する。バイオマーカー、及びバイオマーカーを用いた方法を使用して、診断を補助したり、あるいは大うつ病性障害の発病や進行を判断したりすることができる。本発明はまた、大うつ病性障害に係る分野での臨床的スクリーニング、予後評価、治療評価におけるバイオマーカーの使用、さらに薬物スクリーニング及び薬剤開発のためのバイオマーカーの使用にも関する。
精神障害の診断・統計マニュアル(DSM IV、非特許文献1)は、英国及びアメリカ合衆国の両国において、精神衛生上の問題の分類及び診断に関する医療従事者向けの権威ある参考書であると認められている。上記文献には、大うつ病性障害等の精神衛生障害の診断基準、サブタイプ、随伴所見、及び鑑別診断基準が記載される。
DSM−IVによれば、大うつ病性障害患者は、2週間以上持続的に抑うつ気分であるか、又は、日常活動に興味若しくは喜びを持たないかのいずれかが必須である。この気分は当人の正常な気分からの変調を表すものでなければならない。また、上記気分の変調によって社会的、職業的、教育的又は他の重要な役割が否定的に損なわれていることも必須である。物質(薬物、アルコール又は薬剤等)による抑うつ気分は、大うつ病性障害とは認められず、また一般身体疾患によるものも同様に認められない。躁病、軽躁病若しくは混合性エピソード(双極性障害等)の病歴を有する人の場合、又は、抑うつ気分が分裂情動障害によってより説明がつくものであり、統合失調症、妄想性障害若しくは精神異常に伴ったものではない場合には、大うつ病性障害とは診断することができない。さらに、当該症状は死別、すなわち、愛する者を失った後という状況によってより説明がつくものではなく、当該症状は2カ月を超える長期に及ぶものであるか、又は、著しい機能障害、つまらないことへの病的な没頭、自殺念慮、精神異常症状若しくは精神運動遅滞の特徴を有する。
大うつ病性障害には以下の症状の多くを有するという特徴がある:本人の証言(悲哀感若しくは虚無感など)又は他者による観察(涙ぐんだ様子など)のいずれかによって表されるような、ほぼ毎日、ほぼ一日中、抑うつ気分である状態(幼少年や青年においては、この状態は気分がイライラしている状態として特徴付けられることもある);ほぼ毎日、ほぼ一日中、全て又はほとんど全ての活動に対する興味又は喜びが著しく損なわれた状態;食事療法を受けていない際の著しい体重減少、若しくは、体重増加(1カ月で体重の5%を超える変化等)、又は、ほぼ毎日みられる食欲の減退若しくは増加;ほぼ毎日みられる不眠又は睡眠過剰;ほぼ毎日みられる精神運動性激越又は精神運動遅滞;ほぼ毎日みられる疲労又は気力喪失;ほぼ毎日みられる無価値感又は過剰な若しくは不適切な罪責感;ほぼ毎日みられる思考力若しくは集中力の減退、又は決断困難な状態;死に対する反復思考(単なる死への恐れではない)、具体的な計画のない反復的な自殺念慮、又は、自殺企図若しくは自殺のための具体的計画。
健常者と大うつ病性障害患者との生化学的な相違を研究することにより、上記障害の原因及び/又は影響が明らかとなり得る。上記障害の有無及び状態を示すバイオマーカーには、これらの相違を利用して構成されたものもある。
セクレトグラニンIIは、内分泌組織、神経内分泌組織及び神経組織の大型有芯小胞にみられる酸性分泌タンパク質であり、クロモグラニンと称されるタンパク質に分類される。セクレトグラニンIIは、神経ペプチドであるセクレトニューリン(SN)の前駆体であり、上記神経ペプチドであるセクレトニューリンは、ラットではセクレトグラニンIIのアミノ酸154〜186に相当する33個のアミノ酸からなるペプチドである。セクレトニューリンにより、ラットの脳線条体でドーパミンが放出される。セクレトニューリンである33個のアミノ酸からなる神経ペプチドは、哺乳動物、爬虫類、鳥類、両生類及び魚類において高い割合で保存されている。内分泌組織、神経内分泌組織及び神経組織において特異的に発現する。脳におけるSNの発現パターンは、広範囲にわたり、かつ独特であり、既知の神経伝達物質と部分的に重複する。
VGF遺伝子は、中枢及び末梢神経系のニューロンのサブセットにおいて、並びに、腺下垂体、副腎髄質、胃腸管及び膵臓中にみられる内分泌細胞の特定の集団において発現する神経ペプチド前駆体をコードする。ニューロトロフィンによって、反応ニューロンにおけるVGFの発現量が増加する。VGFは神経生長因子として認知されており、エネルギー恒常性の制御において非常に重要な役割を果たしている。ヒトVGFタンパク質はアミノ酸615個の長さであり、マウス及びラット中のVGFタンパク質はアミノ酸617個の長さである。ヒトとラットのVGFタンパク質には約85%の相同性がある。VGF神経ペプチド前駆体は、22個のアミノ酸から成る分泌リーダー(「シグナル」)配列を有しており、この配列により小胞体への輸送が促進される。VGF神経ペプチド前駆体、及び上記前駆体から切断された成熟した全長VGFペプチドには、塩基性アミノ酸残基の短い配列からなる領域が非常にたくさんある。この領域はペプチダーゼにより切断される可能性のある標的領域であり、切断の結果、より短鎖のVGFペプチドが生成される。VGFペプチドはラット及びヒトにおいて同定されている。非特許文献2によって、公知の障害を有していない対象から得たヒト脳脊髄液(CSF)中で、VGFの3つのN末端フラグメント〔アミノ酸23〜62、26〜62(ペプチド23〜62のN末端切断)及び23〜59(ペプチド23〜62のC末端切断)〕が同定された。
VGFペプチドバイオマーカーは慢性痴呆症に関係している。特許文献1は、慢性痴呆症、特にアルツハイマー病の検出方法を記載しており、上記方法には様々なVGF由来ペプチド(VGF23〜62及びVGF26〜62等)の検出が含まれる。
特許文献2及び3もまた、アルツハイマー病のバイオマーカーを開示している。
特許文献4(本願の優先日においては公開されていない)は統合失調症及び双極性障害のバイオマーカーを開示している。
国際公開第02/082075号パンフレット 国際公開第2004/082455号パンフレット 米国特許出願公開第2004/0142388号明細書 国際公開第2006/085121号パンフレット
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders fourth edition(DSM IV),the American Psychiatric Association出版,Washington D.C.,1994 Stark et al,J.Chromatography B,754,357−367,2001
本発明は大うつ病性障害に対するペプチドバイオマーカーに関する。
本発明は単離精製されたセクレトグラニンIIペプチドを提供するものであり、上記ペプチドは配列番号1に示されるアミノ酸配列又はそのフラグメントから成る。ヒトセクレトグラニンIIのアミノ酸529〜566に相当する上記ペプチドは、健常対象においてみられるレベルと比較して、大うつ病性障害を有する対象では低レベルで存在することが分かった。よって、上記ペプチドは大うつ病性障害又はその疾病素質のバイオマーカーとして有用である。従って、本発明は、大うつ病性障害又はその疾病素質のバイオマーカーとしてのセクレトグラニンIIペプチドの使用を提供するものであり、上記ペプチドは配列番号1に示されるアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい。セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーという用語には、ヒトセクレトグラニンIIのアミノ酸529〜566に相当するペプチド、及びそのセクレトグラニンII529〜566ペプチドのフラグメントが含まれる。
さらに、本発明は、大うつ病性障害又はその疾病素質に対するセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーを提供するものであり、上記バイオマーカーは配列番号1に示されるアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい。
本発明は大うつ病性障害又はその疾病素質のバイオマーカーとしてのVGFペプチドの使用を提供するものであり、上記ペプチドは配列番号4に示されるアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい。
さらに、本発明は、大うつ病性障害又はその疾病素質に対するVGFペプチドバイオマーカーを提供するものであり、上記バイオマーカーは配列番号4に示されるアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい。
さらなる態様において、本発明は、大うつ病性障害又はその疾病素質を診断又はモニタリングする方法であって、試験対象から採取した生物学的サンプル中に存在する、配列番号1のアミノ酸配列、そのフラグメント;配列番号4のアミノ酸配列、及び、そのフラグメントから成る群から選択される1つ以上のペプチドバイオマーカーを検出及び/又は定量することを含む方法を提供する。
本発明の更なる態様は、配列番号1若しくはそのフラグメントからなるセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、又は、配列番号4若しくはそのフラグメントからなるVGFペプチドバイオマーカーのいずれかと特異的に結合することが可能なリガンド(天然に存在する、又は化学的に合成された化合物等)を提供する。本発明に係るリガンドには、配列番号1若しくはそのフラグメントからなるセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、又は、配列番号4若しくはそのフラグメントからなるVGFペプチドバイオマーカーのいずれかと特異的に結合することが可能なペプチド、抗体若しくはそのフラグメント、あるいはアプタマー若しくはオリゴヌクレオチドが含まれてもよい。上記抗体は、配列番号1若しくはそのフラグメントからなるセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、又は、配列番号4若しくはそのフラグメントからなるVGFペプチドバイオマーカーのいずれかと特異的に結合することが可能なモノクローナル抗体若しくはそのフラグメントであってもよい。本発明に係るリガンドは、発光性、蛍光性又は放射性マーカー等の検出可能なマーカーで標識されてもよい。あるいは、又は、さらに、本発明に係るリガンドは、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン又はhis(ヘキサ−his等)タグ等のアフィニティータグで標識されてもよい。
本発明に係るバイオセンサーには、配列番号1若しくはそのフラグメントからなるセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、又は、配列番号4若しくはそのフラグメントからなるVGFペプチドバイオマーカーのいずれかと特異的に結合することが可能な、本明細書に記載されるような1つのリガンド又は複数のリガンドが含まれてもよい。このようなバイオセンサーは本発明のペプチドを検出及び/又は定量するのに有用である。
本発明に係るバイオセンサーには、配列番号1若しくはそのフラグメントからなるセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、及び/又は、配列番号4若しくはそのフラグメントからなるVGFペプチドバイオマーカー;あるいは、セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーに対する抗体若しくはそのフラグメントと特異的に結合することが可能か、又はVGFペプチドバイオマーカーに対する抗体若しくはそのフラグメントと特異的に結合することが可能な、上記バイオマーカーの構造/形状ミミックが含まれてもよい。
また、配列番号1若しくはそのフラグメントからなるセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーと特異的に結合することが可能な、本明細書に記載されるようなリガンド、及び/又は、配列番号4若しくはそのフラグメントからなるVGFペプチドバイオマーカーと特異的に結合することが可能な、本明細書に記載されるようなリガンドを含むアレイ;あるいは、配列番号1若しくはそのフラグメントからなるセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、又はその構造/形状ミミック、及び/又は、配列番号4若しくはそのフラグメントからなるVGFペプチドバイオマーカー、又はその構造/形状ミミックを含むアレイも提供される。
本発明の方法を実施するために診断又はモニタリングキットが提供される。そのようなキットには、配列番号1のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、そのフラグメント、配列番号4のVGFペプチドバイオマーカー及びそのフラグメントから選択される1つ以上のペプチドバイオマーカーを検出及び/又は定量するための、本発明に係る1つ以上のリガンド、及び/又は、バイオセンサー、及び/又は、本明細書に記載されるようなアレイが、所望によりキットの使用説明書とともに含まれるのが好適であろう。
また、配列番号1のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、そのフラグメント;配列番号4のVGFペプチドバイオマーカー、及びそのフラグメントから選択される1つ以上のペプチドを検出及び/又は定量するための、本明細書に記載されるような1つ以上のリガンドの使用、又は、本発明のバイオセンサー、若しくは本発明のアレイ、若しくは本発明のキットの使用も本発明により提供される。上記リガンドは、天然に存在するか又は化学的に合成されてもよく、好適にはペプチド、抗体若しくはそのフラグメント、アプタマー若しくはオリゴヌクレオチドである。これらの使用においては、CSF、全血、血清、血漿、尿、唾液若しくは他の体液、呼気(濃縮呼気等)、又は、その抽出物、精製物若しくは希釈物から成る群から選択されるような生物学的サンプルで検出及び/又は定量を行うことができる。
大うつ病性障害のバイオマーカーは、上記障害の進行を遅延又は停止させる新規標的及び薬物分子の発見にとって必要不可欠な標的である。ペプチドバイオマーカーのレベルは障害及び薬物反応を表すものであるので、上記バイオマーカーはインビトロ及び/又はインビボアッセイでの新規治療化合物の同定において有用である。本発明に係るセクレトグラニンII又はVGFペプチドバイオマーカーの活性を調節する化合物;又は、配列番号1のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーの産生を促進するか、若しくは、配列番号4のVGFペプチドバイオマーカーの産生を抑制する化合物のスクリーニング方法において本発明のバイオマーカーを用いることができる。
従って、本発明のさらなる態様において、セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーの産生を促進すること、及び/又は、VGFペプチドバイオマーカーの産生を抑制することが可能な物質を同定するための、本発明に係る記載されるようなリガンドの使用;又は、本発明に係るバイオセンサー、若しくは本発明に係るアレイ、若しくは本発明に係るキットの使用が提供される。上記リガンドは、ペプチド、抗体若しくはそのフラグメント、又はアプタマー若しくはオリゴヌクレオチドであってもよい。
また、対象中の、セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー(配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の産生を促進することが可能な物質を同定する方法であって、試験物質を対象動物に投与して、上記対象から採取した試験サンプル中に存在する上記セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーのレベルを検出及び/又は定量することを含む方法も提供される。
また、対象中の、VGFペプチドバイオマーカー(配列番号4のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の産生を抑制することが可能な物質を同定する方法であって、試験物質を対象動物に投与して、上記対象から採取した試験サンプル中に存在する上記VGFペプチドバイオマーカーのレベルを検出及び/又は定量することを含む方法も提供される。
配列表情報
配列番号1は、ヒトセクレトグラニンIIの529〜566番目の配列のペプチドバイオマーカーの配列である。
配列番号2は、全長ヒトセクレトグラニンIIタンパク質の配列である。
配列番号3は、全長ヒトセクレトグラニンIIタンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号4は、ヒトVGFの23〜62番目の配列のペプチドバイオマーカーの配列である。
配列番号5は、ヒトVGF前駆体タンパク質の配列である。
配列番号6は、ヒトVGFの26〜62番目の配列のペプチドのアミノ酸配列である。
「VGFペプチドバイオマーカー」という用語には、ヒトVGF神経ペプチド前駆体からシグナル配列を切断することで生成する成熟した全長ヒトVGFペプチドが含まれる。VGFペプチドバイオマーカーとしては、VGFの推定分泌リーダー(「シグナル」)配列がタンパク質分解により切断されてN末端が形成されるペプチドが好ましい。特に好ましいVGFペプチドバイオマーカー(配列番号4)はヒトVGFタンパク質から誘導され、当該バイオマーカーはVGFのアミノ酸23〜62から成る。このバイオマーカーアミノ酸配列は、ヒトVGFタンパク質中の推定シグナルペプチドのカルボキシル末端のすぐ後ろにみられる(図4)。配列番号4に示されるようなペプチドバイオマーカーは、大うつ病性障害を有する個体において高レベルで存在している。よって、上記マーカーは、大うつ病性障害又はその疾病素質を診断及びモニタリングするマーカーとして有用である。
「バイオマーカー」という用語は、過程、イベント又は状態を表す、生物学的な又は生物学的に生成された特徴的な指標を意味する。ペプチドバイオマーカーは診断方法(臨床的スクリーニング等)及び予後評価方法、並びに治療結果のモニタリング、特定の治療的処置に反応を示す可能性が最も高い患者の同定、薬物スクリーニング及び開発において使用できる。バイオマーカー及びその使用は新規な薬物療法の同定や薬物療法における新規標的の発見に有益である。
「大うつ病性障害」という用語は、ある種のうつ病を指す。大うつ病性障害の診断区分は、米国精神医学会(American Psychiatric Association)の精神障害の診断・統計マニュアルに記載されている。上記用語は通常、ICD−10システムを使用する国では使用されず、ICD−10システムでは「うつ病エピソード」という用語が同義である。
大うつ病、又は、より適切には大うつ病性障害(MDD)には、2週間以上、重度の抑うつ気分が持続するという特徴がある。大うつ病性障害は「単一エピソード」又は「反復性」のいずれかとして特定される。うつの周期は、対象の生涯において離散的なイベント又は反復的なイベントとして現れ得る。大うつ病のエピソードはさらに軽症エピソード、大(major)エピソード又は重症エピソードに分けることができる。患者が躁病、又は著しく高揚した気分のエピソードを既に有している場合、通常、MDDの代わりに双極性障害(双極性気分障害とも呼ばれる)の診断がなされる。よって、高揚又は躁の期間のないうつ状態は単極性うつ病と称されることもあるが、これは上記気分が一極に留まるからである。また、上記診断において、症状が死別により一般的に起こり得るものである場合は、通常除かれる。
診断専門医は大うつ病性障害の幾つかの考えられるサブタイプを認識している。ICD−10ではメランコリーサブタイプは特定されないが、精神病の有無は識別される。
緊張病性うつ病:このサブタイプは大うつ病エピソード、さらに躁病エピソードにも該当する可能性があるが、これはまれなことであり、さらに躁病においてはいっそうまれである。緊張病にはカタレプシー又は麻痺として現れる運動上の不動状態という特徴がある。このMDDサブタイプは、明らかに過度の、そうするように促されたものではない運動活動(静座不能)、過度の拒絶症若しくは無言症、及び、奇異な動き(紋切り型の動き、奇癖、及び人目に付く顔のゆがみ等)であってもよい。反響言語又は反響動作が現れることもある。この症例に遭遇することはほとんどなく、有用な区分とはならない場合もある。
メランコリー型うつ病:メランコリアは、ほとんど若しくは全ての活動における喜びの喪失(無快感症)、快い刺激に対する反応の欠如、苦悩若しくは喪失の大きさよりも強められた抑うつ気分の質、午前中や早朝起床時の症状の悪化、精神運動遅滞、食欲不振(過度の体重減少であり、神経性無食欲症とは区別される)、又は、過剰な罪責感により特徴付けられる。
非定型うつ病:非定型は、気分反応性(奇異な無快感症)及び積極性、著しい体重増加若しくは食欲増加、過度の睡眠若しくは眠気(過眠症)、鉛様麻痺、又は、対人関係において拒絶されていると過敏に感じるが故の著しい社会性障害により特徴付けられる。これら特徴を有する人々は、ほとんどのうつ状態の人とは異なり、何らかのものに対して反応する際、興味又は喜びを示し得る。
精神病性うつ病:大うつ病又は躁病エピソードを有する人々が精神病的症状を患う場合がある。これらの人々には、気分一致(うつのテーマに合致した内容)又は気分不一致(うつのテーマに合致していない内容)のいずれかの幻覚又は妄想が生じることもある。臨床症例としては、うつ病に随伴するものとして、視覚的か又は聴覚的かに関わらず、幻覚の症例よりも妄想体系の症例の方がより一般的である。
大うつ病性障害という用語に包含されない、うつ病の他の区分としては以下のものが挙げられる。
気分変調は、最低2年間以上継続する慢性軽症うつ病である。少なくとも2年間にわたり抑うつ気分が持続することが必須である。定義上は、当該症状は大うつ病ほど重症ではないが、気分変調の症状では、大うつ病において併発するエピソードがみられやすい。当該障害は青年期に発現することが多く、一生続く場合もある。大うつ病エピソード及び気分変調症と診断された人々は二重うつ病と診断される。まず気分変調症が発現し、その後1つ以上の大うつ病エピソードが起こる。
双極I型障害は、気分が躁状態とうつ状態を繰り返す、いくつかのエピソードからなる病気である。米国において、双極性障害は以前、躁うつ病と呼ばれていた。この用語はもはや医学界では重用されていないが、しかし、当該障害においてうつ症状が比較的強く(無力感や自殺の可能性の点で)現れるのが実際である。「躁うつ病」は医学界の他では未だに用いられることが多い。
双極II型障害は、主としてうつ症状で特徴付けられるものの軽躁病エピソードも現れる、いくつかのエピソードからなる病気である。
産後うつ病又は産褥期うつ病は、多くは睡眠不足を伴った肉体的、精神的、及び、感情的消耗が原因となって出産後2年以内に発症する臨床的うつ病である。
月経前不快は、月経周期と結びついた反復性抑うつ症状の一種である。月経前の脳内セロトニン機能の低下は、同時に起こる主要な気分症状の自己評価の悪化と強く相関している。
さらに、「大うつ病性障害」という用語は、統合失調症、双極性障害、並びに、精神神経疾患(精神病性うつ病及び他の精神病エピソード)及び神経発達障害(特に自閉症スペクトラム障害)等の関連した精神障害を包含しない。上記神経発達障害は精神病又は他の統合失調症様症状とともに発現し得るものである。
本発明のモニタリング方法を使用して、発病、進行、安定化、回復、及び/又は、寛解をモニタリングすることができる。
本発明に係る診断又はモニタリング方法においては、試験対象から採取した生物学的サンプル中のペプチドバイオマーカーの検出及び/又は定量が2回以上にわたって行われてもよい。2回以上にわたって採取した各サンプル中のバイオマーカーのレベルが比較されてもよい。2回以上にわたって採取した各サンプル中のペプチドバイオマーカーのレベルの何かしらの変化に対する評価が行われてもよい。ペプチドバイオマーカーのレベルの変化は、大うつ病性障害又はその疾病素質の状態の指標として有用である。セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー(配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)のレベルの経時的減少は、発病又は進行、すなわち当該障害の悪化を表し、一方、上記ペプチドバイオマーカーのレベルの増加は当該障害の回復又は寛解を表す。
VGFペプチドバイオマーカー(配列番号4のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)のレベルの経時的増加は、発病又は進行、すなわち当該障害の悪化を表し、一方、上記ペプチドバイオマーカーのレベルの減少は当該障害の回復又は寛解を表す。
本発明に係る診断又はモニタリング方法は、試験対象から採取した試験用生物学的サンプルにおいて、セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー(配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の定量、及び/又は、VGFペプチドバイオマーカー(配列番号4のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の定量を行い、かつ、上記試験サンプル中に存在する上記ペプチドのレベルを1つ以上の対照と比較することを含んでもよい。
本発明の方法で使用される対照は、健常対象から採取した正常な対照サンプル中にみられるバイオマーカーペプチドのレベル、すなわち、正常なバイオマーカーペプチドレベル、正常なバイオマーカーペプチド範囲;大うつ病性障害若しくはその疾病素質を有する対象から採取したサンプル中のレベル、すなわち、大うつ病性障害バイオマーカーペプチドレベル、又は大うつ病性障害バイオマーカーペプチド範囲から成る群から選択される1つ以上の対照であってもよい。
大うつ病性障害又はその疾病素質を診断する方法は、以下を含むのが好ましい。
(a)試験用生物学的サンプル中のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー(配列番号1又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の量を定量すること、及び/又は、
(b)試験用生物学的サンプル中のVGFペプチドバイオマーカー(配列番号4又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の量を定量すること、及び、
(c)上記試験サンプル中の上記ペプチドの量を健常対象から採取した正常な生物学的対照サンプル中に存在する量と比較すること。
正常対照中のレベルに対して、試験サンプル中のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーのレベルが低いことにより、大うつ病性障害又はその疾病素質が存在することが示され、正常対照に対して、試験サンプル中の上記ペプチドレベルが同等か又は高いことにより、大うつ病性障害が存在しないこと、及び/又は、その疾病素質が存在しないことが示される。
正常対照中のレベルに対して、試験サンプル中のVGFペプチドバイオマーカーのレベルが高いことにより、大うつ病性障害又はその疾病素質が存在することが示され、正常対照に対して、試験サンプル中の上記ペプチドレベルが同等か又は低いことにより、大うつ病性障害が存在しないこと、及び/又は、その疾病素質が存在しないことが示される。
本明細書中の「診断」という用語には、大うつ病性障害又はその疾病素質の同定、確認及び/又は特徴付けが包含される。疾病素質とは、対象が現時点では障害を有していないものの、やがて上記障害にかかりやすいことを意味する。本発明に係るモニタリング又は診断方法は、障害若しくはその疾病素質の存在を確認したり、上記障害の発病及び進行の評価により上記障害の進展をモニタリングしたり、又は上記障害の回復若しくは退行を評価したりする上で有用である。モニタリング又は診断方法は、臨床的スクリーニングの評価、予後評価、治療法の選択、治療効果の評価、すなわち、薬物スクリーニング及び薬剤開発のための方法においてもまた有用である。
効率的な診断及びモニタリング方法においては、正しい診断が行われ、最も適切な処置が迅速に同定され(これにより、有害な薬剤の副作用に不必要に曝されることが少なくなる)、「ダウンタイム」及び再発率が低減されることにより、非常に強力な「患者に対する解決策」が提供され、予後が改善される可能性が生じる。
当該障害を有するか、又は当該障害を有する疑いがあるか、又は当該障害の疾病素質を有する対象において、大うつ病性障害の治療効果をモニタリングする方法であって、上記対象から採取した生物学的サンプル中に存在するセクレトグラニンIIペプチド(配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)を検出及び/又は定量することを含み、及び/又は、上記対象の生物学的サンプル中に存在するVGFペプチド(配列番号4のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)を検出及び/又は定量することを含む方法もまた提供される。モニタリング方法において、2回以上にわたって試験サンプルを採取してもよい。上記方法はさらに、試験サンプル中に存在するバイオマーカーのレベルを、1つ以上の対照、及び/又は、同じ試験対象から前もって(例えば、治療開始前、及び/又は、治療の初期段階の同じ試験対象から)採取した1つ以上の先の試験サンプルと比較することを含んでもよい。上記方法は、別々の機会に採取した各試験サンプル中のバイオマーカーのレベルの変化を検出することを含んでもよい。
本発明は、対象における大うつ病性障害に対する治療効果をモニタリングする方法であって、
(a)上記対象から採取した試験用生物学的サンプル中のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー(配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の量を定量すること、及び/又は、
(b)上記対象から採取した試験用生物学的サンプル中のVGFペプチドバイオマーカー(配列番号4のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の量を定量すること、及び
(c)上記試験サンプル中の上記ペプチドの量を、1つ以上の対照中に存在する量、及び/又は、上記と同じ試験対象から初期に採取された1つ以上の先の試験サンプル中に存在する量と比較すること
を含む方法を提供する。
同じ試験対象から前もって採取した先の試験サンプル中のレベルに対して、試験サンプル中のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーのレベルが増加することにより、当該障害、それと疑われる障害、又はその疾病素質に対する上記治療の有益な効果、例えば安定化又は改善等が示される。
同じ試験対象から前もって採取した先の試験サンプル中のレベルに対して、試験サンプル中のVGFペプチドバイオマーカーのレベルが減少することにより、当該障害、それと疑われる障害、又はその疾病素質に対する上記治療の有益な効果、例えば安定化又は改善等が示される。
治療の効果をモニタリングする方法を使用して、ヒト対象及びヒトを除く動物(動物モデル等)の既存の治療法及び新規治療法の治療有効性をモニタリングすることができる。上記モニタリング方法は、新規な製剤原料及び原料の組み合わせの選別法として用いることができる。
診断又はモニタリングを受ける対象からサンプルを採取する間隔は、3日、5日、1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、6又は12カ月であるのが好適であろう。サンプルは抗うつ治療前、及び/又は、抗うつ治療中、及び/又は、抗うつ治療後に採取されてもよい。サンプルは、対象の余命期間にわたって又はその一部の期間において折々に採取することができる。
本明細書中の「検出」という用語は、上記サンプル中に存在する上記ペプチドバイオマーカーの存在を確認することを意味する。サンプル中に存在するバイオマーカーの量の定量としては、サンプル中に存在するペプチドバイオマーカーの濃度の測定が挙げられる。検出及び/又は定量は、サンプルに対して直接的に、又は、その抽出物若しくはその希釈物に対して間接的に行われてもよい。
本発明の他の態様において、ペプチドバイオマーカーの存在は、バイオマーカーに特異的に結合することが可能な抗体又はそのフラグメントの検出及び/又は定量により評価される。上記抗体又はそのフラグメントは、上記ペプチドに応答して対象体内で産生されて、大うつ病性障害又はその疾病素質を有する対象の生物学的サンプル中に存在することとなる。
検出及び/又は定量は、患者から採取した生物学的サンプル、又は生物学的サンプルの精製物若しくは抽出物、又はその希釈物中の特定のタンパク質の存在及び/又は量を特定するのに好適な任意の方法により行うことができる。本発明の方法において、1つ以上のサンプル中のペプチドバイオマーカーの濃度を測定することで定量を行ってもよい。本発明の方法で試験される生物学的サンプルとしては、脳脊髄液(CSF)、全血、血清、血漿、尿、唾液若しくは他の体液(糞便、涙液、滑液、痰)、呼気(例えば、濃縮呼気)、又は、その抽出物、精製物若しくは希釈物が挙げられる。また、生物学的サンプルとして、生存中の対象から採取した、又は、死後採取した組織ホモジェネート、組織切片及び生検標本も挙げられる。上記サンプルは、適宜希釈又は濃縮を行うなどして調製し、通常の方法で保存することができる。
セクレトグラニンII若しくはVGFペプチドバイオマーカーの検出及び/又は定量は、ペプチドバイオマーカー又はそのフラグメント(C末端又はN末端が切断されたフラグメント等)の検出によって行ってもよい。フラグメントは、好適にはアミノ酸数が4個を超える長さであり、好ましくはアミノ酸数が5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の長さである。
バイオマーカーは、SELDI又はMALDI−TOF等によって直接的に検出してもよい。あるいは、バイオマーカーは、上記バイオマーカーと特異的に結合することが可能な、例えば抗体若しくはそのバイオマーカー結合フラグメント、又は、他のペプチド若しくはリガンド(アプタマー又はオリゴヌクレオチド等)といった1つ以上のリガンドとの相互作用によって直接的又は間接的に検出してもよい。上記リガンドには検出可能な標識(発光性、蛍光性若しくは放射性標識等)及び/又はアフィニティータグが付けられていてもよい。
例えば、検出及び/又は定量は、SELDI(−TOF)、MALDI(−TOF)、1−Dゲルに基づいた分析、2−Dゲルに基づいた分析、質量分析(MS)、逆相(RP)LC、サイズ透過法(ゲルろ過)、イオン交換法、アフィニティー法、HPLC、UPLC、及び、他のLC又はLC MSに基づいた技術から成る群から選択される1つ以上の方法により行うことができる。適当なLC MS技術としては、ICAT(R)〔Applied Biosystems(米国、カリフォルニア州)〕、又は、iTRAQ(R)〔Applied Biosystems(米国、カリフォルニア州)〕が挙げられる。液体クロマトグラフィー〔高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)又は低圧液体クロマトグラフィー(LPLC)等〕、薄層クロマトグラフィー、NMR(核磁気共鳴)分光法もまた使用することができよう。
本発明に係る診断又はモニタリング方法は、SELDI TOF又はMALDI TOFにより脳脊髄液(CSF)のサンプルを分析して、配列番号1及び/又は配列番号4のペプチドバイオマーカーの存在又はレベルを検出することを含んでもよい。上記方法は、臨床的スクリーニング、予後診断、治療結果のモニタリング、特定の治療的処置に好反応を示す可能性が最も高い患者の同定や、薬物のスクリーニング及び開発、並びに、薬物療法における新規標的の同定においても有用である。
セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー、例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列若しくはそのフラグメントから成るペプチド等と特異的に結合することが可能か、又は、VGFペプチドバイオマーカー、例えば、配列番号4に示されるアミノ酸配列若しくはそのフラグメントから成るペプチド等と特異的に結合することが可能な抗体若しくはそのフラグメントを用いる免疫学的方法を使用して、ペプチドバイオマーカーの検出及び/又は定量を行ってもよい。好適な免疫学的方法としては、ペプチドバイオマーカー上の異なるエピトープを認識する2つの抗体を使用してペプチドバイオマーカーの検出が行われる、サンドイッチELISA等のサンドイッチ免疫測定法;ラジオイムノアッセイ(RIA);直接的、間接的又は拮抗的な酵素結合免疫吸着測定法(ELISA);酵素免疫測定法(EIA);蛍光免疫測定法(FIA);ウエスタンブロット法;免疫沈降法;及び、任意の粒子に基づいた免疫測定法(例えば、金、銀又はラテックス粒子、磁性粒子又はQ−ドットを使用する)が挙げられる。免疫学的方法は、例えばマイクロタイタープレート又はストリップフォーマットにおいて行われてもよい。
本発明に係る免疫学的方法は、例えば以下の方法のいずれかに基づいていてもよい。
免疫沈降法は最も単純な免疫測定法である。この方法においては、試薬抗体がサンプルとともにインキュベートされ、サンプル中に存在する標的抗原(本例では、標的抗原は配列番号1、そのフラグメント、配列番号4、又はそのフラグメントといったペプチドバイオマーカーである)と反応して、不溶性凝集体が形成された後に形成した沈殿物の量を測定する。免疫沈降反応は定性的又は定量的であってもよい。
粒子免疫測定法においては、幾つかの抗体が粒子に結合しており、当該粒子は多くの抗原分子と同時に結合することができる。これにより可視反応の速度が大幅に促進される。よって、バイオマーカーを迅速に高感度で検出することができる。
免疫比濁法においては、抗体とバイオマーカー上の標的抗原との相互作用の結果、免疫複合体が形成するが、この免疫複合体は微小すぎるため沈殿しない。しかしながら、上記複合体は入射光線を散乱させるため、この散乱光を比濁計によって測定できる。抗原、すなわちバイオマーカーの濃度は反応の数分以内で測定することができる。
ラジオイムノアッセイ(RIA)方法では、I125等の放射性同位体を用いて抗原又は抗体のいずれかを標識する。使用される同位体はガンマ線を発するが、そのガンマ線は通常、結合していない(フリーの)放射性標識を取り除いた後に測定される。RIAの主要な利点は、他の免疫測定法と比較して、より感度が高く、シグナル検出が容易で、安定した迅速な測定法であることである。主要な不利点は、放射線の使用により健康や安全性にリスクがあり、放射線の安全性及び処分の認可されたプログラムの維持に関連する時間や費用がかかることである。この理由から、通常の臨床検査の現場では、RIAに代わって酵素免疫測定法が広く用いられている。
酵素(EIA)免疫測定法はラジオイムノアッセイ(RIA)に代わるものとして開発された。当該方法では酵素を使用して抗体又は標的抗原のいずれかを標識する。放射性同位体による危険性もない上、EIAの感度はRIAの感度にほぼ等しい。検出において最も広範に使用されるEIA法の一つは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)である。ELISA法では2つの抗体を使用可能であって、その一方は標的抗原に特異的であり、もう一方は酵素に結合しており、酵素の基質を添加すると化学発光シグナル又は蛍光シグナルが生成する。
蛍光免疫測定法(FIA)は、蛍光性標識、又は、基質に作用して蛍光物質を形成する酵素標識を使用する免疫測定法をいう。蛍光測定は本質的に比色(分光光度)測定よりも感度が高い。従って、FIA法は、吸光度(光学濃度)測定を用いるEIA法よりも分析感度が高い。
化学発光免疫測定法では、化学発光標識を使用する。この化学発光標識は化学エネルギーによって励起されると光を生成する。発光は光検出器を使用して測定される。
従って、本発明に係る免疫学的方法は周知の方法を使用して行うことができる。本発明のペプチドバイオマーカーの検出において、任意の直接的(センサーチップの使用等)又は間接的手順を使用してもよい。
ビオチン−アビジン又はビオチン−ストレプトアビジンシステムは、本発明の免疫学的方法における使用に適合可能な一般的な標識システムである。一方の結合パートナー(ハプテン、抗原、リガンド、アプタマー、抗体、酵素等)をビオチンで標識し、もう一方のパートナー(表面、例えばウェル、ビーズ、センサー等)をアビジン又はストレプトアビジンで標識する。上記は、免疫測定法、遺伝子プローブアッセイ及び(バイオ)センサーにおける従来技術であるが、間接的固定化方法であり、直接的方法ではない。例えば、本発明のペプチドバイオマーカーに特異的なビオチン標識リガンド(抗体又はアプタマー等)はアビジン又はストレプトアビジン表面に固定化されてもよい。その後、この固定化されたリガンドは、本発明のペプチドバイオマーカーの検出及び/又は定量のために、ペプチドバイオマーカーを含んでいるか、又は、含んでいる疑いのあるサンプルに曝露されてもよい。次に、固定化された抗原の検出及び/又は定量を、本明細書に記載されるような免疫学的方法によって行ってもよい。
本明細書中の「抗体」という用語は、以下に限定されないが、例えばポリクローナル、モノクローナル、二重特異性、ヒト化又はキメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、及びF(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーにより生成されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び、上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントを含む。また、本明細書中の「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原と特異的に結合する抗原結合部位を含む分子をいう。本発明の免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA等)又はサブクラスであってもよい。
疾患に特異的である重要なバイオマーカーの同定は、診断手順及び治療方針(therapeutic regimes)の統合における要である。予測バイオマーカーを使用して、バイオセンサー等の適当な診断ツールを開発することができる。よって、本発明の方法及び使用において、バイオセンサー、微量分析システム、マイクロ設計されたシステム、マイクロ分離システム、免疫クロマトグラフィーシステム、又は、他の好適な分析デバイスを使用して検出及び定量を行うことができる。バイオセンサーには、バイオマーカーを検出するための免疫学的方法、電気技術、熱技術、磁気技術、光学技術(ホログラム等)又は音響技術が取り入れられていてもよい。このようなバイオセンサーを使用して、生物学的サンプル中に存在する標的バイオマーカーを予想される濃度で検出することが可能である。
本発明のバイオマーカーは、「スマートな」ホログラムに基づいた技術を取り入れたバイオセンサー、又は高周波音響システム(上記システムは特に「バーコード」又はアレイ構成が可能である)を使用して検出することができる。
スマートホログラムセンサー〔Smart Holograms Ltd(英国,ケンブリッジ)〕において、ホログラフィー像は薄いポリマーフィルム中に記憶される。上記ポリマーフィルムはバイオマーカーと特異的に反応するよう感受性が付与されたものである。曝露の際、バイオマーカーは上記ポリマーと反応し、ホログラムにより表される像が変化することとなる。試験結果は光学的明るさ、像、色、及び/又は、像の位置の変化として読み出すことができる。定量的及び半定量的使用において、センサーホログラムは目で読み取ることができるので、検出設備を必要としない。定量的測定が必要な際には、単色センサーを使用してシグナルを読み取ることができる。サンプルの不透明度又は色がセンサーの動作を妨げることはない。センサーのフォーマットを多重化することが可能であり、幾つかの物質を同時に検出できる。異なる要件を満たすよう可逆的センサー及び非可逆的センサーを設計することができ、所望の特定バイオマーカーの連続的なモニタリングが可能である。
本発明の1つ以上のバイオマーカーの検出のためのバイオセンサーにおいて、生体分子認識を、サンプル中のバイオマーカーの存在の検出又は定量をシグナルに変換する適当な手段と組み合わせるのが好適である。バイオセンサーは、病棟、外来診療部門、外科、家庭、フィールド及び仕事場等における「代替地」診断試験に適合させることが可能である。
本発明の1つ以上のバイオマーカーを検出するバイオセンサーとして、音響センサー、プラズモン共鳴センサー、ホログラフィックセンサー、及びマイクロ設計されたセンサーが挙げられる。インプリント認識素子(imprinted recognition elements)、薄膜トランジスタ技術、磁気音響共鳴(magnetic acoustic resonator)デバイス、及び他の新規な音響電子システムを、本発明の1つ以上のバイオマーカーの検出のためのバイオセンサーに使用してもよい。
本発明の1つ以上のペプチドバイオマーカーの検出及び/又は定量を含む方法は、卓上機器において行うことができ、診断室又は患者の枕もと等といった実験室ではない環境において使用可能な使い捨ての診断又はモニタリング基盤に組み込むことができる。本発明の方法を行うのに好適なバイオセンサーとして、光学読取機又は音響読取機を有する「クレジット」カードが挙げられる。バイオセンサーはデータを集め、解釈のため医師に電子的に送信するよう構成することができ、従ってe−神経医学の基礎を形成することができる。
試験対象の試験サンプル中に存在する配列番号1のセクレトグラニンIIバイオマーカーペプチド又はそのフラグメントの量を測定する本発明の方法、使用及びバイオセンサーにおいて、健常個体から採取した正常対照サンプル中にみられるレベルと比較して低レベルのバイオマーカーペプチドが試験サンプル中で検出されることにより、試験対象が大うつ病性障害又はその疾病素質を有することが示される。例えば、大うつ病性障害又はその疾病素質を有する試験対象から採取したサンプル中で検出される配列番号1のペプチドのレベルは、通常、正常対照サンプル中でみられる当該ペプチドの量よりも40%低い。比として表すと、配列番号1のペプチドのレベルが低く大うつ病性障害又はその疾病素質を示す値となるのは、試験サンプル中の配列番号1のペプチドの正常対照に対する量の比が0.75:1未満の場合である。
試験対象の試験サンプル中に存在する配列番号4のVGFバイオマーカーペプチド又はそのフラグメントの量が測定される本発明の方法、使用及びバイオセンサーにおいて、健常個体から採取した正常対照サンプル中にみられるレベルと比較して高レベルのバイオマーカーペプチドが試験サンプル中で検出されることにより、試験対象が大うつ病性障害又はその疾病素質を有することが示される。
例えば、大うつ病性障害又はその疾病素質を有する試験対象から採取したサンプル中で検出される配列番号4のVGFペプチドのレベルは、通常、正常対照サンプル中でみられる当該ペプチドの量よりも1.3倍を超えて高い範囲(例えば、1.5倍)である。比として表すと、配列番号4のペプチドのレベルが高く大うつ病性障害又はその疾病素質を示す値となるのは、試験サンプル中の配列番号4のペプチドの正常対照に対する量の比が1.3倍を超えて高い(ただし、2.5倍未満の高さである)、例えば約1.5:1の場合である。
配列番号4のVGFペプチドバイオマーカーは、非常に高いレベルで、統合失調症に関連する初発精神病を有する、投薬を受けていない対象において確認されている。これらの対象において、検出される配列番号4のVGFペプチドのレベルは、正常対照サンプル中でみられる当該ペプチドの量よりも約2.5倍高かった。試験サンプル中に存在する配列番号4のVGFペプチドのレベルを評価することで、MDDと統合失調症に関連する初発精神病とを検出し、かつ、それらを識別することが可能である。
任意の好適な動物を、ヒトを除く対象動物として使用してもよく、例えばヒトを除く霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、齧歯動物(モルモット、ラット又はマウス等)、昆虫(ショウジョウバエ等)、両生類(ゼノプス等)又はC.elegans等が挙げられる。
試験物質は、以下に限定されないが、例えばうつ病性障害に対する治療物質といった公知の化学物質又は医薬物質であってもよい。あるいは、試験物質は、新規な合成若しくは天然化学物質、又は上記物質を2つ以上組み合わせたものであってもよい。
対象中の、セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー(配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の産生を促進することが可能な物質を同定する方法であって、試験細胞を試験物質に曝露して、上記試験細胞内に存在するか、又は、上記試験細胞により分泌される上記セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーのレベルをモニタリングすることを含む方法が提供される。
対象中の、VGFペプチドバイオマーカー(配列番号4のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るのが好ましい)の産生を抑制することが可能な物質を同定する方法であって、試験細胞を試験物質に曝露して、上記試験細胞内に存在するか、又は、上記試験細胞により分泌される上記VGFペプチドバイオマーカーのレベルをモニタリングすることを含む方法が提供される。
試験細胞は原核細胞であってもよいが、細胞ベースの試験方法においては真核細胞を用いるのが好ましい。真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、ショウジョウバエ細胞、両生類細胞(ツメガエル等由来)、C.elegans細胞であるか、又は、ヒト、ヒトを除く霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、齧歯動物若しくはマウス由来の細胞であるのが好適である。
治療的使用が可能であると考えられる物質を同定する方法において、ヒトセクレトグラニンIIポリペプチド、及び、ヒトセクレトグラニンIIポリペプチドを切断することが可能なタンパク質分解酵素、好ましくはヒトタンパク質分解酵素、ヒトVGFポリペプチド、及び、ヒトVGFポリペプチドを切断することが可能なタンパク質分解酵素、好ましくはヒトタンパク質分解酵素から成る群から選択される1つ以上のポリペプチドを発現することが可能な、ヒトを除く動物又は細胞を使用できる。ヒトを除く動物又はヒトを除く動物細胞が使用される場合、方法及び使用には、当該動物においてヒトセクレトグラニンII又はVGFバイオマーカーに相当するセクレトグラニンII又はVGFペプチドバイオマーカー、すなわち、配列番号1のヒトセクレトグラニンペプチドIIの当該動物における相同物、又は配列番号4のヒトVGFペプチドの当該動物における相同物の検出が含まれてもよい。
また、スクリーニング方法は、本発明に係るセクレトグラニンII又はVGFペプチドバイオマーカーに結合することが可能なリガンドを同定する方法であって、結合に適した条件で上記ペプチドバイオマーカーの存在下、試験物質をインキュベートし、上記ペプチドの上記試験物質への結合を検出及び/又は定量することを含む方法を包含する。
セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーが、配列番号1の配列(ヒトセクレトグラニンIIのアミノ酸529〜566)又はそのフラグメントから成るペプチドである場合、試験物質がセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー(ヒトセクレトグラニンIIのアミノ酸529〜566又はそのフラグメント)に結合するが、全長セクレトグラニンII、セクレトニューリン(SgII 154〜186)又はセクレトグラニンII由来ペプチド(SgII 187〜252)には結合しないならば、特異的な結合が示される。
哺乳動物においてセクレトグラニンII(SgII)は塩基性残基の対を9個有し、タンパク質分解切断は対になった二塩基性配列において起こることが知られているため、SGIIタンパク質は処理されて10個よりも多くのペプチドとなることが示唆される。それらのうちの2つ、セクレトニューリン(SgII 154〜186)及びセクレトグラニンII由来ペプチド(SgII 187〜252)はヒトにおける神経ペプチドとして確認されている。
VGFペプチドバイオマーカーが、配列番号4の配列(ヒトVGFアミノ酸23〜62)又はそのフラグメントから成るペプチドである場合、試験物質が成熟した全長ヒトVGFタンパク質、又は、ヒトVGFのアミノ酸26〜62(N末端3ペプチド切断の配列)から成るタンパク質に結合しないならば、特異的な結合が示される。
本発明のバイオマーカー、使用及び方法に基づいたハイスループット・スクリーニング技術(アレイフォーマットに構成されたもの等)は、有用な可能性がある治療化合物を同定するためのバイオマーカーサインをモニタリングするのに好適であって、上記バイオマーカーサインとしては、例えば、バイオマーカーと結合することが可能なリガンド〔天然化合物、合成化合物(例えばコンビナトリアルライブラリーより)、ペプチド、モノクローナル若しくはポリクローナル抗体、又は、そのフラグメント等〕が挙げられる。
本発明の方法はアレイフォーマットにおいて、例えばチップ上で又はマルチウェルアレイとして行うことができる。一つの試験、又は複数の同一若しくは非同一の試験の基盤に適合した方法とすることができ、ハイスループット・フォーマットにおいて行うことができる。本発明の方法は、一つ以上の追加の異なる試験を行って、診断を確認又は除外し、及び/又はさらに状態を特徴付けすることを含んでもよい。
本発明は、本発明の同定又はスクリーニング方法又は使用により同定されるか、又は、同定可能な、リガンド等の物質をさらに提供する。そのような物質は、セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーの活性を直接的若しくは間接的に促進すること、又はセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーの産生を高めることが可能であってもよい。そのような物質は、VGFペプチドバイオマーカーの活性を直接的若しくは間接的に阻害すること、又は、VGFペプチドバイオマーカーの産生を抑制することが可能であってもよい。「物質」という用語は、ペプチドバイオマーカーに直接結合して機能を直接的に調節するのではなく、ペプチドバイオマーカーの機能を間接的に調節する物質を含む。上記用語の物質にはリガンドも含まれる。本発明のリガンド(天然若しくは合成化合物、ペプチド、アプタマー、オリゴヌクレオチド、抗体、又は、抗体フラグメント等)は、セクレトグラニンIIペプチド、好ましくは配列番号1のもの、若しくはそのフラグメントと結合、好ましくは特異的な結合をすることが可能であるか、又は、VGFペプチドバイオマーカー、好ましくは配列番号4のもの、若しくはそのフラグメントと結合、好ましくは特異的な結合をすることが可能である。
本発明は、大うつ病性障害又はその疾病素質の処置における、本発明に係る物質の使用をさらに提供する。
本発明に係る物質の医薬品としての使用もまた提供される。
大うつ病性障害又はその疾病素質の処置のための医薬品の製造における、本発明に係る物質の使用もまたさらに提供される。
大うつ病性障害又はその疾病素質を診断又はモニタリングするキットが提供される。本発明に係る好適なキットは以下の群から選択される1つ以上の構成要素を含んでもよい:セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーに特異的なリガンド、セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー又はセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーの構造/形状ミミック;VGFペプチドバイオマーカーに特異的なリガンド、VGFペプチドバイオマーカー又はVGFペプチドバイオマーカーの構造/形状ミミック、1つ以上の対照、1つ以上の試薬、及び、1つ以上の消耗品;所望によりキットの使用説明書を添付してもよい。
本発明は、配列番号1のアミノ酸配列、又は、少なくとも4個のアミノ酸よりなるそのフラグメントから成る単離精製されたペプチドもまたさらに提供する。配列番号1のアミノ酸配列、又は、少なくとも4個のアミノ酸よりなるそのフラグメントをコードする単離精製された核酸、及び、それに対して特異的に、好ましくはそれに対して相補的にハイブリダイズすることが可能な単離精製された核酸配列も提供される。
特異的にハイブリダイズすることが可能な核酸とは、中〜高ストリンジェンシー条件下で標的核酸にハイブリダイズすることが可能な核酸である。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーは当業者であれば容易に決定でき、通常は配列長、洗浄温度及び塩濃度によって決まる経験的に算出されるものである。通常は、配列が長ければ適切にアニーリングするために必要な温度が高くなり、一方、配列が短いと必要な温度は低くなる。ハイブリダイゼーションは、通常、相補鎖が融点未満の環境に存在する際に変性核酸がリアニールする能力に依存する。配列間の相補性の度合いが高い程、相対温度を高くできる。結果として、相対温度が高くなると反応条件がよりストリンジェントになる一方、温度が低くなるとそうでなくなる傾向があるということになる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーのさらなる詳細や説明として、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers,(1995)を参照されたい。
本明細書中に記載される「高ストリンジェンシー」条件とは、(1)低いイオン強度かつ高い洗浄温度、例えば0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを50℃で用いるか;(2)ハイブリダイゼーション中にホルムアミド等の変性剤、例えば0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.57;750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含む)とともに50%(v/v)ホルムアミドを42℃で用いるか;又は、(3)50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハート溶液、超音波処理したサケ精子DNA(50mg/ml)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストランを42℃で用いて、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)により42℃で、さらに50%ホルムアミドにより55℃で洗浄した後、55℃の0.1×SSC(EDTA含有)から成る高ストリンジェンシー洗浄を行う条件である。
「中ストリンジェンシー」条件とは、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,New York:Cold Spring Harbor Press,1989に記載されるものと同一であってもよく、上記に記載されるものよりもストリンジェンシーが低い洗浄液及びハイブリダイゼーション条件(温度、イオン強度及び%SDS等)の使用を含む。中ストリンジェンシー条件の一例は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%硫酸デキストラン、及び、変性剪断サケ精子DNA20mg/mlを含む溶液中37℃で一晩インキュベートした後、1×SSCにより約37℃〜50℃でフィルターを洗浄することである。配列長等の要因に対応するのに必要な温度、イオン強度等の調整法は当業者の解するところであろう。
大うつ病性障害のバイオマーカーの同定は、診断手順及び治療方針の統合を可能にする。現在、有効な処置の決定に著しい遅れがあり、これまでは薬物反応の迅速な評価を行うことが不可能であった。従来、抗うつ治療法の多くは、所定の治療的アプローチのために数週間から数カ月続く治験を必要としていた。本発明のペプチドバイオマーカーの検出によって対象を臨床試験への参加前に選別することができる。上記バイオマーカーは、治療反応、反応の欠如、不利な副作用プロファイル、服薬コンプライアンスの程度、及び、十分な血清中薬剤レベルの達成を表す手段を提供する。上記バイオマーカーを使用することによって、薬物有害反応を警告することができる。バイオマーカーは、反応の評価を使用することによって、投与量を微調整し、所定の投薬の数を最小限にし、有効な治療法への到達における遅れを低減して、薬物有害反応の発生を防ぐことができるので、個別の脳治療法の開発において有用である。従って、本発明のバイオマーカーをモニタリングすることにより、患者のケアを各患者に合った的確なものとし、障害及び患者の薬理ゲノムプロファイルにより決定される必要性に合ったものとすることができる。このようにして、バイオマーカーを使用して最適投与量を設定し、陽性の治療反応を予測し、重度の副作用が生じるリスクの高い患者を特定することができる。
バイオマーカーに基づいた試験によって、「新規の」患者の一次評価が得られ、現在の主観的な測定では達成することのできない、正確で迅速な診断のための客観的な測定がある期間内に的確に提供される。
さらに、診断バイオマーカー試験は、大うつ病性障害を発症するリスクの高い家系員又は患者を特定する上で有用である。上記試験によって、適切な治療又は予防措置(リスクファクターの管理等)を開始することができる。これらのアプローチは転帰を向上させると認識されており、上記障害の明らかな発病を防ぐ場合もある。
また、バイオマーカーモニタリング方法、バイオセンサー及びキットは、患者モニタリングツールとして極めて重要であり、これらによって医師は、再発が障害の悪化によるものなのか、患者コンプライアンスの不足によるものなのか、又は、物質濫用によるものなのかを判断することができる。薬理学的処置が不十分であると評価される場合には、治療をもう一度繰り返すか、又は、治療を増やすことができる。適切ならば、治療を変更することが可能である。バイオマーカーは障害の状態に感受性を有するため、薬物療法又は物質濫用の影響を表すことができる。
以下の実施例は本発明を説明するものである。
材料
年齢を合わせたCSFサンプルを、健康な個体(n=40)及びうつ病(MDD)患者(n=16)、OCD患者(n=5)、及び、アルツハイマー病患者(n=10)から採取した。化学薬品は全てSigmaから得た。タンパク質チップ及びマトリクスはCiphergen(英国、ギルフォード)から得た。
SELDI分析用CSFサンプルの調製
CSFサンプルの5μlアリコートを製造業者のプロトコル(Ciphergen Biosystems)に従って強陰イオン交換(Q10)チップで処理した。簡潔に言えば、アレイスポットを結合緩衝液(100mM Tris−HCl、pH9.0)を用いて室温で10分間、振とう機(振動数=5Hz)上で予め2回活性化した。次に、50μlの結合緩衝液を各タンパク質スポットに添加した後、5μlのCSFサンプルを添加した。タンパク質チップを振とう機上で30分間室温でインキュベートした。チップを結合緩衝液で2回洗浄し、HPLCグレードのHOで1回洗浄して、風乾した。その後、チップを、50%アセトニトリル及び0.5%トリフルオロ酢酸中の100%飽和シナピン酸(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸)溶液の1μlで2回連続して処理した。チップをCiphergen ProteinChipTM読取機(PBSIIモデル)で分析した。各サンプルを2回分析し、異なった発現タンパク質の同定における再現性を確認した。
Ciphergen ProteinChip TM SELDI−TOF−MS分析
アレイをCiphergen ProteinChip読取機(PBSIIモデル)で分析した。平均65回のレーザーショットをレーザー強度230〜280(任意単位)で使用して、タンパク質の質量スペクトルを生成した。低分子量タンパク質のデータ収集において、検出サイズ範囲は3〜20kDaであり、最大サイズは25kDaであった。レーザーは10kDaに焦点を合わせた。検出器感度は8にセットし、レーザー強度は190にセットした。高分子量タンパク質においては、検出サイズ範囲は20〜150kDaであり、最大サイズは250kDaであった。レーザーは85kDaに焦点に合わせた。検出器感度は9にセットし、レーザー強度は、1:4希釈物に対しては260に、また280にセットした。アレイ表面に捕捉されたタンパク質のそれぞれの質量対電荷比(m/z)は、外部標準としての検量線標準(Ciphergen Biosystems):ウシインスリン(5,733.6Da)、ヒトユビキチン(8,564.8Da)、ウシシトクロムc(12,230.9Da)、ウシスーパーオキシドジスムターゼ(15,591.4Da)、ウシα−ラクトグロブリンA(18,363.3Da)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(43,240Da)、BSA(66,410Da)及びチキンコンアルブミン(77,490Da)に従って決定された。
CSFペプチドのLC−MS−MS分析
公称分画分子量10kDaのNanosepTM(Pall Corporation)遠心限外ろ過デバイスを使用して、CSFのサンプル50μlからタンパク質を取り除いた。ろ液のアリコート(5μl)をC18 ZipTipTM(Waters)による固相マイクロ抽出によって脱塩し、ペプチドを0.1%ギ酸/50%アセトニトリル水溶液(1μl)により直接ナノスプレーチップ(Protana Engineering)中に溶離した。ナノスプレーチップを、四重極飛行時間型質量分析計(Qstar Pulsar i、Applied Biosystems−MDS Sciex)に取り付けたナノエレクトロスプレーイオンソース(Protana Engineering)に差し込み、フルスキャンTOFスペクトルをm/z範囲350〜1500原子質量単位で5〜10分間得た。MS/MSスペクトルをm/z範囲50〜1700原子質量単位で、十分なシグナル:ノイズに達するまで得た。衝突エネルギーは、データ収集中、最も広い範囲のフラグメントイオンが得られるように最適化された。
MS/MSデータは、手動で読み取り、「配列タグ」を抽出し、このタグをBioAnalystTMソフトウェア(Applied Biosystems)において使用して、NCBI NRDBデータベースを検索した。さらにMS/MSデータを手動で読み取って検索結果を確認した。
統計解析
データをPROTEINCHIPTMデータ解析ソフトウェアバージョン3.0(Ciphergen Biosystems)によって解析した。それぞれの比較のために、強度の生データを、比較される群の全てのプロファイルの総イオン電流を用いて正規化した。ピーク強度は、低分子量範囲では3,000〜25,000Da、高分子量範囲では4,000〜250,000Daのm/zの総イオン電流に正規化した。Biomarker Wizardアプリケーション(ノンパラメトリック計算;Ciphergen Biosystems)を使用して全てのスペクトルをコンパイルし、量化された質量ピークを自動検出した。0.2%のマスウインドウを有する選択された第2パスピーク(second−pass peak)を使用してピークラベルを終え、推定されたピークを追加した。各プロファイルの群(健常対象 対 障害を有する対象)においてサンプル統計を行った。タンパク質の違い(倍率変化)を様々な群間で算出した。
うつ病患者のCSFプロテオームプロファイルについてさらに具体的に、16人のうつ病患者のCSFサンプル5μlを、40人の健康なボランティアとともに、Q10陰イオン交換タンパク質チップをpH9(50mM Tris−HCl)で使用してSELDI−MSにより分析した。スペクトルをCiphergen Expressソフトウェアを使用して処理し、S/N>5のピークを出力し、SIMCA〔Umetrics(スウェーデン)〕を使用してさらに分析した。スコアプロットによって対照とうつ病患者は部分的に分離していることが示された。ローディングプロットにより、VGF23〜62及びセクレトグラニンII(529〜566)ペプチドが、群の分離に最も寄与している主要なタンパク質/ペプチドピークであることが示された。
3.96kDa(又は、ESI−MS/MSスペクトルから3.95kDa)のペプチドは、予測された分泌シグナルペプチドのすぐ隣の、天然VGFタンパク質のアミノ酸23〜62(配列番号4)にマッピングされた(InterProScan:European Bioinformatics Institute:www.ebi.ac.uk/cgibin/iprscanを使用)。この3.96kDaのペプチドは配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する。
3.96kDaペプチド及び3.69kDaペプチドの配列アライメントを行った。ES/MS−MSを用いたデノボシークエンシングによって、CSF中の3.69kDaペプチドが、3.96kDaペプチド(配列番号6)の(N末端で)アミノ酸3つ分短い形態であることが示された。これらの発現は健康なボランティアとうつ病患者のCSF(p=0.87)では異なっていない。
うつ病、OCD及びアルツハイマー病患者のCSFサンプルの分析
うつ病を有する対象のCSFサンプルは、セクレトグラニンII(529〜566)ペプチドの明らかな減少という最も顕著な特徴を有していた。対照とOCD患者に違いはみられなかった。さらに、対照とアルツハイマー病CSFサンプルに有意差はみられなかった。うつ病を有する対象のCSFはVGF23〜62ペプチド発現の増加を示した。このペプチドは健常で健康な対照のCSFよりも約50%高いレベルでみられた。また、このペプチドは、初発の、投薬を受けていない統合失調症患者において有意に発現が増加していることが確認された。この群において、VGFペプチドのレベルはうつ病患者よりも有意に高かった。

Claims (25)

  1. 配列番号1若しくはそのフラグメント、及び、配列番号4若しくはそのフラグメントを含むペプチドから選択される1つ以上のペプチドの、大うつ病性障害又はその疾病素質に対するバイオマーカーとしての使用。
  2. 大うつ病性障害又はその疾病素質を診断又はモニタリングする方法であって、試験対象から採取したサンプルにおいて請求項1に記載される1つ以上のペプチドを検出及び/又は定量することを含む方法。
  3. 大うつ病性障害を有するか、当該障害を有する疑いがあるか、又は当該障害の疾病素質を有する対象において治療効果をモニタリングする方法であって、前記対象から採取したサンプルにおいて請求項1に記載される1つ以上のペプチドを検出及び/又は定量することを含む方法。
  4. 2回以上にわたって試験対象から採取した各サンプルに対して行われる、請求項2又は請求項3に記載の方法。
  5. 2回以上にわたって採取した各サンプル中に存在する前記ペプチドバイオマーカーのレベルを比較することをさらに含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記試験サンプル中の前記1つ以上のペプチドの量を、治療開始前に前記対象から採取した1つ以上のサンプル、及び/又は、治療の初期段階で前記対象から採取した1つ以上のサンプル中に存在する量と比較することを含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 2回以上にわたって採取した各サンプル中の前記1つ以上のペプチドの量の変化を検出することをさらに含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記試験サンプル中に存在する前記1つ以上のペプチドバイオマーカーの量を1つ以上の対照と比較することを含む、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 試験サンプル中の前記1つ以上のペプチドの量を、健常対象から採取したサンプル中に存在する量の前記1つ以上のペプチドの量と比較することを含む、請求項8に記載の方法。
  10. サンプルは、抗うつ治療前、及び/又は、抗うつ治療中、及び/又は、抗うつ治療後に採取される、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. サンプルは、対象の余命期間にわたって又はその一部の期間において折々に採取される、請求項2〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記サンプル中の前記1つ以上のペプチドバイオマーカーの濃度を測定することによって定量が行われる、請求項2〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 検出及び/又は定量は、SELDI(−TOF)、MALDI(−TOF)、1−Dゲルに基づいた分析、2−Dゲルに基づいた分析、質量分析(MS)、逆相(RP)LC、サイズ透過法(ゲルろ過)、イオン交換法、アフィニティー法、HPLC、UPLC、又は、他のLC若しくはLC−MSに基づいた技術から選択される1つ以上の方法によって行われる、請求項2〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 検出及び/又は定量は免疫学的方法を用いて行われる、請求項2〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記検出及び/又は定量は、バイオセンサー、微量分析システム、マイクロ設計されたシステム、マイクロ分離システム、又は、免疫クロマトグラフィーシステムを使用して行われる、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 生物学的サンプルは、脳脊髄液、全血、血清、血漿、尿、唾液若しくは他の体液、又は、呼気、濃縮呼気、又は、その抽出物、精製物若しくは希釈物である、請求項2〜14のいずれか一項に記載の方法。
  17. 配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントから成るペプチドに特異的な抗体を含み;配列番号4のアミノ酸配列及びそのフラグメントから成るペプチドに特異的な抗体もまた含んでいてもよいバイオセンサーであって、量の存在、又は当該1つ以上のバイオマーカーの存在の検出をシグナルに変換する手段をさらに含むバイオセンサー。
  18. 前記1つ以上の抗体はモノクローナル抗体である、請求項17に記載のバイオセンサー。
  19. 前記1つ以上の抗体は検出可能なマーカーで標識される、請求項17又は請求項18に記載のバイオセンサー。
  20. 前記1つ以上の検出可能なマーカーは、発光性、蛍光性若しくは放射性マーカー、又は、アフィニティータグである、請求項19に記載のバイオセンサー。
  21. 請求項1に記載されるペプチドであるバイオマーカーを検出及び/又は定量するための、請求項17〜20のいずれか一項に記載のバイオセンサーの使用。
  22. 前記検出及び/又は定量は、請求項16に記載される生物学的サンプルにおいて行われる、請求項21に記載の使用。
  23. 対象中の、配列番号1のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーの産生を促進することが可能な物質を同定する方法であって、試験細胞を試験物質に曝露して、前記試験細胞内に存在するか、又は前記試験細胞により分泌される前記セクレトグラニンIIペプチド又はそのフラグメントのレベルをモニタリングすることを含む方法。
  24. 配列番号1又はそのフラグメントのセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーに結合することが可能なリガンドを同定する方法であって、結合に適した条件下で前記ペプチドバイオマーカーの存在の下、試験物質をインキュベートして、前記ペプチドバイオマーカーの前記試験物質への結合を検出及び/又は定量することを含む方法。
  25. 対象中の、配列番号1のセクレトグラニンIIペプチドバイオマーカーの産生を促進することが可能な物質を同定する方法であって、試験物質を対象動物に投与して、前記対象中に存在する前記セクレトグラニンIIペプチドバイオマーカー又はそのフラグメントのレベルを検出及び/又は定量することを含む方法。
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