JP4757266B2 - バイオマーカー及びその使用 - Google Patents

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Description

本発明は、統合失調症型障害及び双極性障害のためのペプチドバイオマーカー、並びに、(特に、統合失調症型障害又は双極性障害、又はその素因を診断又はモニターする方法における)該バイオマーカーの使用に関する。バイオマーカー及びそれらが使用される方法は、統合失調症型障害又は双極性障害の存在を確認するため、或いは、統合失調症型障害又は双極性障害の発症及び進行を評価するための診断を助けるために使用され得る。本発明は、また、臨床スクリーニング、予後の評価、治療の評価におけるバイオマーカーの使用、並びに、統合失調症型障害及び/又は双極性障害の分野における薬物スクリーニング及び薬物開発のためのバイオマーカーの使用に関する。
統合失調症(schizophrenia)は、人口の1%にまで冒された主要な精神医学障害である。それは、両性別において同程度の有病率でみられ、また、様々な文化及び地理的地域を通じてみられる(1;2)。世界保健機関は、統合失調症が、合計DALYs(障害調整生存年数)の1.1%及びYLDs(障害生存年数)の2.8%を占める、障害の世界第4位の主要因(3;4)であることをみいだした(4)。統合失調症の経済的コストは、1991年に190億US$を超えると見積もられ、アメリカ合衆国における全ての癌の合計コストよりも高かった。統合失調症の経過において初期に使用される効果的な治療は、予後を改善することができ、この疾病に関わるコストの削減を助けることができる。
統合失調症の臨床症候群は、陽性症状(幻覚、妄想、思考の分裂及び突飛な行動);陰性症状(意欲喪失、制限された範囲の感情的な体験及び表現、快楽能の減少);並びに、個人間で広いバリエーションを有する認知障害を含む、ばらばらな(discrete)臨床学的特徴を有する(5)。統合失調症に特有である及び/又は全ての症例において存在する単一の症状は存在しない。臨床症状の一様性の欠如にも拘らず、統合失調症の現在の診断及び分類は、依然として、患者により示される臨床症状に基づく(6)。これは、主に、統合失調症の病因が未知であり(実際、ほとんどの精神病の病因は未知のままである)、病因に基づく分類がまだ実行できないからである。しかしながら、統合失調症の臨床症状は、しばしば、他の神経精神障害において観察される症状に似ており、正確な診断を困難にしている。
統合失調症型障害を患う患者によって示される複合スペクトル及びそれらの他の精神障害との類似性に起因して、統合失調症の現在の診断は、患者の家族の病歴、個人の病歴、現在の症状(精神状態の検査)及び他の障害の存在/非存在(鑑別診断;第一表)の複雑な臨床検査/インタビューに基づき行なわれる。この評価は、「最も可能性が高い」診断の確立を可能にし、最初の治療プランを導く。統合失調症と診断されるには、患者(少しの例外もある)は、精神病の「現実喪失」症状を少なくとも6ヶ月間有し(DSM IV)、且つ、正常に機能することにおける困難性の増大を示す。
1992年に世界保健機関によって発行されたICD−10 Classification of Mental and Behavioural Disordersは、統合失調症及び双極性障害を含む精神健康状態を診断するために欧州の精神科医によって最もよく使用されるマニュアルである。このマニュアルは、詳細な診断ガイドラインを提供し、統合失調症の様々な形態を定義する:統合失調症、妄想型統合失調症(paranoid schizophrenia)、破瓜型統合失調症(hebrephrenic schizophrenia)、緊張型統合失調症(catatonic schizophrenia)、未分化統合失調症(undifferentiated schizophrenia)、分裂病後統合失調症(post−schizophrenic schizophrenia)、残遺統合失調症(residual schizophrenia)、並びに、単純統合失調症(simple schizophrenia)。
1994年にアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)(ワシントンD.C.)によって発行されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders fourth edition (DSM IV)は、精神的健康の問題の分類及び診断において、英国及びアメリカ合衆国の両方の健康専門家にとって権威のある参考ハンドブックと認められた。これは、統合失調症及び双極性障害を含む精神健康障害の診断基準、サブタイプ、関連する特徴及び鑑別診断のための基準を記載する。
統合失調症のためのDSM IV診断基準
A.特徴的症状:以下の2つ(又は、それより多い)、各々が1ヶ月間(治療が成功すれば、これより短い)の大部分の時間現れる:妄想(delusions)、幻覚(hallucinations)、混乱した言語(disorganized speech)(例えば、頻繁な脱線又は支離滅裂(frequent derailment or incoherence))、著しく混乱した又は緊張性昏迷行動(grossly disorganized or catatonic behavior)、陰性症状(即ち、情動の平坦化(affective flattening)、アロギー(alogia)又は意欲喪失(avolition))。妄想が奇怪である場合、或いは、幻覚が人の行動又は思想に対して連続的な実況を続ける声或いは互いに会話する2以上の声からなる場合には、1つの基準A症状のみが必要とされる。
B.社会的/職業的障害:障害の発症から大部分の時間、仕事、個人的関係又はセルフケアのような役目の1以上の重要な領域(areas)が、発症前に達成されていたレベルよりも著しく低い(或いは、発症が小児期又は青年期である場合、対人的、学問的又は職業的な成果の期待されるレベルへの未到達)。
C.継続期間:障害の連続的徴候は、少なくとも6ヶ月間続く。この6ヶ月間は、基準Aを満たす症状(即ち、活動期の症状)の少なくとも1ヶ月間(治療が成功すれば、これより短い)を含まなければならず、また、前徴又は残遺症状の期間を含んでもよい。これら前徴期又は残遺期の間、障害の徴候は、陰性症状のみによって現れるかもしれないし、弱められた形態で存在する基準Aに列挙される2以上の症状(例えば、異常な信念(odd beliefs)、異常な知覚体験(unusual perceptual experiences)によって表れるかもしれない)。
D.分裂情動及び気分障害の除外:(1)大うつ病エピソード(Major Depressive Episode)、躁病エピソード(Manic Episode)又は混合エピソード(Mixed Episode)が活動期の症状とともに起こらなかった;或いは(2)気分エピソードが活動期の症状の間に起こったとしても、それらの合計時間が活動期及び残遺期の時間よりも短かった、といったいずれかの理由のため、分裂情動障害(Schizoaffective Disorder)及び精神病的特徴を有する気分障害(Mood Disorder With Psychotic Features)は除外する。
E.物質/一般医学的状態の除外:障害は、物質(例えば、薬物乱用、投薬)又は一般医学的状態の直接的な生理学的影響に起因しない。
F.広汎発達障害(Pervasive Developmental Disorder)に対する関係:自閉症(Autistic Disorder)又は別の広汎発達障害がある場合、顕著な妄想又は幻想が、また、少なくとも1ヶ月間(治療が成功すれば、これより短い)存在しているときのみ、統合失調症の更なる診断が行なわれる。
統合失調症のサブタイプ
1.妄想タイプ(Paranoid Type):以下の基準が満たされている統合失調症タイプが該当する:1以上の妄想又は頻繁な幻聴を伴う没頭状態(preoccupation)。以下のいずれも顕著でない:混乱した言語、混乱した又は緊張性昏迷の行動(disorganized or catatonic behavior)、或いは、平坦な又は不相応な情動(flat or inappropriate affect)。
2.緊張性昏迷タイプ(Catatonic Type):臨床像が以下の少なくとも2つによって支配されている統合失調症のタイプ:カタレプシーによって証明される運動固定(ろう様撓屈(waxy flexibility)を含む)又は昏迷(stupor)、過剰な運動活動(明らかに目的がなく且つ外部刺激による影響を受けていない)、極度の拒絶症(extreme negativism)(全ての指示に対する明らかに動機のない抵抗、或いは、動かそうとする試みに対する硬直姿勢の維持)又は無言症(mutism)、うわべだけの言動(posturing)によって証明される自発行動癖(不適当又は奇怪な姿勢の自発的思い上がり(voluntary assumption))、常同行動(stereotyped movements)、顕著な衒奇(prominent mannerisms)、又は、顕著なしかめ面(prominent grimacing)、反響言語(echolalia)又は反響動作(echopraxia)。
3.混乱タイプ(Disorganized Type):以下の基準が満たされている統合失調症タイプ:以下の全てが顕著である:混乱した言語、混乱した行動、平坦な又は不相応な情動。この基準は、緊張性昏迷タイプ(Catatonic Type)について満たされない。
4.未分化タイプ(Undifferentiated Type):基準Aを満たすが、その基準が妄想、混乱又は緊張性昏迷タイプについて満たされていない症状が存在する統合失調症のタイプ。
5.残遺タイプ(Residual Type):以下の基準が満たされている統合失調症のタイプ:顕著な妄想、幻覚、混乱した言語及び著しく混乱した又は緊張性昏迷行動。陰性症状、或いは、弱められた形態で存在する統合失調症についての基準Aに列挙される2以上の症状(例えば、異常な信頼、異常な知覚体験)の存在によって示されるような障害の連続的な証拠が存在する。
統合失調症に関連する特徴
統合失調症に関連する特徴として、次のものが挙げられる:学習問題(learning problems)、活動低下(hypoactivity)、精神病(psychosis)、幸福な気分(euphoric mood)、憂鬱な気分(depressed mood)、身体的な又は性的な機能不全(somatic or sexual dysfunction)、機能亢進(hyperactivity)、罪悪感(guilt)又は強迫観念(obsession)、性的異常行動(sexually deviant behavior)、変わった/偏奇性の又は疑い深い人格(odd/eccentric or suspicious personality)、不安が強い又は恐怖心が強い又は依存性の人格(anxious or fearful or dependent personality)、大仰な又は偏心の又は反社会的な人格(antisocial personality)。
統合失調症の鑑別診断
多くの障害が、統合失調症と類似する又は同じ症状を有する。それゆえ、臨床医は、彼/彼女の診断の試みにおいて、彼/彼女が除外する必要がある以下の障害に対して区別し、正確な診断を確立しなければならない:一般医学的状態に起因する精神病障害、せん妄(delirium)又は痴呆(dementia);物質誘導精神病障害(substance−induced psychotic disorder);物質誘導性せん妄(substance−induced delirium);物質誘導性持続性痴呆(substance−induced persisting dementia);物質関連性障害(substance−related disorders);精神病の特徴を有する気分障害; 分裂情動障害;他に特定されない抑うつ性障害(depressive disorder);他に特定されない双極性障害;緊張性昏迷の特徴を有する気分障害;分裂病様障害(schizophreniform disorder);短い精神病障害(brief psychotic disorder);妄想性障害;他に特定されない精神病障害;広汎発達障害(例えば、自閉症);(コミュニケーション障害からの)混乱した言語を組み合わせた小児期プレゼンテーション(childhood presentations combining disorganized speech (from a communication disorder))並びに注意欠陥/過活動性障害からの混乱した行動(disorganized behavior(from attention−deficit/hyperactivity disorder);分裂病型障害(schizotypal disorder);分裂病質人格障害(schizoid personality disorder)及び妄想性人格障害。
躁鬱病(manic depression)/双極性情動障害(BD)のためのDSM IV診断カテゴリー
双極性疾病の2つのサブタイプのみが、それら特有のDSMカテゴリー(双極性I及び双極性II)を与えるのに十分なほど明確に定義された。
双極性I:この障害は、躁のエピソード;躁鬱サイクルの「ハイ(high)」を特徴とする。一般的に、幾らかの双極性Iの個体は、重大な鬱のエピソードを経験しないかも知れないが、この躁の期間の後に鬱が起こる。躁又は軽躁症状と鬱症状の両方が同時に起こる混合状態も、双極性Iの患者にしばしば起こる(例えば、躁の疾走する思考を伴う鬱)。また、不快な躁病もよく知られており、これは怒り及び短気を特徴とする。
双極性II:この障害は、軽躁(より軽い種類の躁病)のエピソードと交互に起こる重い鬱エピソードを特徴とする。軽躁エピソードは、より破壊的でない種類の躁病であり得、躁病の低レベルの非精神病的症状(例えば、エネルギーの高まり又は通常よりも高揚した気分)を特徴とし得る。これは、日々働く個人の能力に影響を与えないかも知れない。軽躁のための基準は、より短い時間(1週間の代わりに少なくとも4日)及びより軽い重症度(機能の顕著な欠陥、入院又は精神病的特性を伴わない)によってのみ、躁病の基準から区別される。
鬱及び躁の症状が2年間続き且つ重度の鬱又は躁のエピソードについての基準を満たさない場合、診断は循環病(Cyclothymic disorder)(これは、より軽度な種類の双極性情動障害である)として分類される。循環病は、2年間に渡って診断され、軽躁及び鬱の症状の頻繁な短い期間が安定期によって隔てられていることを特徴とする。
個体の気分が、間がほとんど無く又は全く無く続けざまに鬱から軽躁又は躁へ変動する場合、ラピッドサイクルが起こっている。人が、ある1年に重度の鬱、躁、混合又は軽躁エピソードのための基準を満たす4以上のエピソードを有する場合、ラピッドサイクルを体験していると言われる。ラピッドサイクルを毎月、毎週又は毎日経験する人々は、極性(時々、ウルトララピッドサイクリングとも呼ばれる)にシフトしている。
躁、鬱、混合気分又は軽躁の症状が、医学的障害(例えば、甲状腺疾患又は脳卒中(stroke))によって直接的に引き起こされる場合、現在の診断は一般医学的状態に起因する気分障害である。
躁の気分が、抗鬱薬ECTを介して又は個人が使用するストリートドラッグを介してもたらされる場合、診断は、躁の特徴を有する物質誘導性気分障害である。
双極性IIIの診断が使用され、自発的に起こるのではなく、抗鬱薬物療法を受けた結果として起こる躁エピソードを分類してきた。混乱させるが、それは、また、個体が重度の鬱を伴わない軽躁又は循環気質(即ち、より軽度の躁病)を経験する場合に使用されてきた。
躁病
躁鬱は、気分の2つの異なり且つ反対の状態からなり、それにより鬱が躁と交互に起こる。DSM IVは、障害が躁として分類される前に満たさなければならない多くの基準を与える。最初の1つは、個体の気分が高められるか、誇大妄想的であるか又は短気である。その気分は、安定期の間の個体の通常の情動状態と異なるものでなければならない。相当な時間に渡って顕著な変化が起こらなければならない。その人は、非常に意欲的になり(elevated)、壮大なアイデアを持つはずである。彼らは、また、非常に短気になり、態度が「傲慢」に見えるかもしれない。躁病についての第二の主要な基準は、以下の症状の少なくとも3つが相当な程度にまで存在したはずであることを重視する:自尊心肥大(inflated sense of self importance)、睡眠要求の減少(decreased need for sleep)、多弁(increased talkativeness)、観念奔逸又は疾走する思考(flight of ideas or racing thoughts)、容易に乱される高められた目標思考活動(easily distracted, increased goal−directed activity)、悲惨な結果をもたらすかも知れないが喜びをもたらし得る活動への過剰な関与(例えば、性的行動及び過剰消耗)。 DSM IVにおける躁病についての第三の基準は、気分の変化が、個人の仕事効率や普通の社会活動又は他人との関係に加わる能力に影響するほど著しいことを重視する。この第三の基準が使用され、躁と軽躁との間の差がはっきりする。
鬱病
DSM IVは、重度の鬱病を臨床的に定義する多くの基準が存在していると述べている。その状態は、少なくとも2週間明らか(evident)であったはずであり且つ以下の症状の5つを有さなければならない:その日の大半の憂鬱な気分(ほぼ毎日)、ほぼ全ての活動における興味又は喜びの欠如(ほぼ毎日)、体重及び食欲における変化、睡眠障害、身体活動の減少、疲労及びエネルギーの喪失、無気力(feelings of worthlessness)又は過剰な罪悪感、乏しい集中レベル、自殺願望。
憂鬱な気分及び毎日の活動における興味の喪失の両方が、重度の鬱病を特徴づける5つの症状のうちの2つとして顕性であるに違いない。躁鬱病の憂鬱な気分に苦しむ個人の症状と、重度の鬱病にかかった人の症状を区別するのは困難である。気分変調(Dysthymia)は、双極性鬱病よりも低い重症度の鬱病であるが、それは、より持続性であり得る。
精神病
精神病は、基本的な知覚、認識、情動及び判断のプロセスにおける障害を特徴とする。例えば、人は、妄想、幻覚、混乱した言語、混乱した行動などを経験し得る。双極性情動障害の診断は、個体が必ず精神病を経験することを意味しない。精神病の症状は、幾つかの異なる脳障害(頭部外傷、脳卒中、腫瘍、感染、違法薬物の使用の結果もたらされる傷害を含む)と関連している。精神病の症状は、深刻な鬱に発展するかも知れない。
分裂情動障害(Schizoaffective Disorder)
分裂情動障害は、統合失調症及び双極性障害の両方の要素によって特徴付けられ、「モードコンポーネントを伴う統合失調症」と称されてきた。分裂情動障害は、疾病の所定のエピソードにおいて同程度に至る統合失調症及び双極性障害の両方の随伴症状によって特徴付けられ、それゆえ、分裂情動障害を双極性障害又は統合失調症と区別することは非常に困難であり、また、異なる症候群としての分裂情動障害の存在は、この分野における議論の的となる主題である。疾病の複合的な性質ゆえに、しばしば、分裂情動障害の診断ができない。分裂情動障害を患う多くの個体は、初め、躁鬱と診断される。
分裂性人格(Schizoid personality)、精神分裂病様障害、分裂型人格(schizotypal personality)及び双極性障害(躁鬱)は、しばしば、混同され、誤診される。従って、鑑別診断は、同様の症状を示す他の状態(例えば、分裂情動障害及び短い分裂障害)から統合失調症及び双極性障害を区別することを必要とする(6)。
双極性障害を有する個人は、症例の20〜30%において、統合失調症についての全ての診断基準を満たす。双極性障害を有する人は、躁相又は鬱相のいずれか一方に常に存在しているわけではない;実際は症状が無いように見え、思考、妄想、声又はそれ自体が精神障害を特徴とする他の症状を示さない長い時間が存在し得る。双極性障害において、個人は、常には症候性でないかも知れないが、エピソードの間、精神病性の統合失調症様症状が躁又は鬱の状態において見られ、これらの症状としては、誇大妄想(delusions of grandeur)、幻覚(hallucinations)、激しい楽観主義(wild optimism)、誇大行動(grandiose behaviour)、並びに、睡眠要求の減少、食欲、性欲及び一般的要求並びにモチベーションの高まりにおける生理学的異常が挙げられる。双極性障害と重い臨床的鬱病との間の主な顕著な差異は、双極性障害において、躁エピソードが起こることである。1つの躁エピソード(DSM IV基準を満たす)の存在は、双極性障害の診断を行なうのに十分である。双極性障害と鬱病とを区別することは、治療を決めるのに必須である;鬱病は、主に、抗鬱剤を用いて治療される一方、双極性障害は、リチウム又はバルプロエート(valproate)のような気分安定剤を必要とする。双極性障害における抗鬱剤の使用は、時々、躁エピソードを誘発し得る。
症状が顕性であるとしても、その症状が、何らかの他の神経精神病(neuropsychiatric)、神経変性(neurodegenerative)又は神経発達(neurodevelopmental)の障害によって引き起こされているか否かを確かめることがしばしば困難であるので、双極性障害、統合失調症又は他の精神病の最終的な診断を下すには、6ヶ月以上かかり得る。
分裂病の状態及び双極性障害を、同様の症状を示す他の障害と区別することができる診断方法及びツールが必要である。鑑別診断は、また、神経変性及び神経発達の障害並びに精神病の器質的原因の関係における精神病(癲癇性(epileptic)及び薬物誘導性精神病のような)を排除するのに必要である。
正確な診断を達成するために一般的に必要な長期のプロセスは、適切な治療の遅延を引き起こし得、これは、中長期的疾患の結果への重大な意味を持つ傾向にある(5;7;8)。類似する臨床症状を伴う精神医学疾患間での区別を助けるため、目的の診断方法、試験及びツールの開発が早急に求められている。統合失調症及び/又は双極性障害のための目的の診断方法、試験は、疾病の経過(治療応答、コンプライアンス等)に渡って個人をモニターするのに役立つであろうし、また、予後を決定する並びに薬物スクリーニング及び薬物開発のためのツールを提供するのにも役立ち得る。
あいにく、現在のところ、統合失調症又は双極性障害のための標準的で高感度で特異的な試験が存在しない。
統合失調症診断のための現在開発中の1つの生化学試験は、異常なアラキドン酸代謝に起因して幾らかの統合失調症患者でナイアシンスキンテストへの応答がないことを観察することに基づく(10)、ナイアシンスキンフラッシュテストである(9−11)。しかしながら、この試験の特異性及び感度は、研究の間で極めて一貫性がなく(23%〜87%の範囲で)(12−15)、この試験の信頼性及び妥当性が確かめられる必要があることを示している。
国際特許出願公報第WO 01/63294は、これらの状態における治療の有効性をモニターするため及び薬剤開発における使用のため、神経精神病学的又は精神学的状態(BAD(双極性情動障害)、統合失調症及び血管性痴呆を含む)のスクリーニング、診断及び予後決定のための方法及び組成物を提供する。
前頭葉、側頭葉及び脳幹神経節の微細な変化に基づく磁気共鳴映像法又はポジトロン断層撮影のような他の技術は、統合失調症に罹っている個体と正常な比較被験体との間のこれらの報告されている差違の絶対サイズが一般的に小さく、2群間で著しくオーバーラップしているため、個々の患者における分裂障害の診断、治療又は予後のためにはほとんど価値がない(16)。これらの神経画像技術の役割は、主に、統合失調症症候群を伴う可能性がある別の状態(例えば、脳腫瘍又は出血)の除外に制限されている。
それゆえ、生きている被験体において、統合失調症型障害、双極性障害或いは統合失調症又は双極性障害への素因に対する鑑別診断又はモニタリングのための高感度及び特異的バイオマーカーを同定する必要がある。さらに、これらの状態のための存在する及び新たな治療剤の同定及び評価のための方法、モデル、テスト及びツールも明らかに必要である。
VGF遺伝子は、中枢及び末梢神経系におけるニューロンのサブセット、並びに、腺下垂体(adenohypophysis)、副腎髄質(adrenal medulla)、胃腸管及び膵臓中でみられる内分泌細胞の特定の集団において発現する、ニューロペプチド前駆体をコードする。VGFの発現は、ニューロトロフィンにより応答性ニューロン中でアップレギュレートされる。VGFは神経成長因子として認識され、エネルギーホメオスタシスの調節において必須の役割を果たしている。ヒトVGFタンパク質は615アミノ酸長であり、マウス及びラットにおけるVGFタンパク質は617アミノ酸長である。ヒトとラットのVGFタンパク質の間には、約85%のホモロジーが存在する。VGFニューロペプチド前駆体は、小胞体への位置の移動を促進する22アミノ酸の分泌リーダー(「シグナル」)配列が存在する。VGFニューロペプチド前駆体及びその前駆体から開裂した成熟全長VGFペプチドにおいて、塩基性アミノ酸残基の多くの短い領域(stretches)(これらは、より短いVGFペプチドの生成をもたらすペプチダーゼ開裂のための潜在的な標的部位である)が存在する。VGFペプチドは、ラット及びヒトにおいて同定されている;Stark et al(2001)(17)は、既知の神経学的障害をもたない被験体から得られたヒト脳脊髄液(CSF)におけるVGFの3つのN末端フラグメント(アミノ酸23〜62、26〜62(ペプチド23〜62のN末端切断)、23〜59(ペプチド23〜62のC末端切断))を同定した。
VGFペプチドバイオマーカーは、慢性痴呆病と関係した。国際特許出願No.PCT/DE02/01376(WO 02/082075)は、種々のVGF由来ペプチド(VGF23〜62及びVGF26〜62を含む)の検出を包含する、慢性痴呆病(特に、アルツハイマー病)を検出するための方法について記載する。これらの疾患は、器官障害である。慢性痴呆病(例えば、WO 02/082075に記載されるもの)の診断は、自動的に、統合失調症又は双極性障害の診断を除外する。今まで、統合失調症型障害、双極性障害又はそれらの素因に関連するVGFペプチドの報告は無い。
本発明の要旨
本発明は、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因に対するバイオマーカーとしての、VGFペプチド(好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸、又はそのフラグメントからなる)の使用を提供する。
本発明は、さらに、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因に対するVGFペプチドバイオマーカー(好ましくは、配列番号1に示されるアミノ酸配列、又はそのフラグメントからなる)をさらに提供する。
用語「バイオマーカー」は、プロセス、事象又は状態の特有の生物学的又は生物学的由来の指標を意味する。バイオマーカーペプチドは、診断(例えば、臨床スクリーニング)及び予後評価の方法において;並びに、治療結果のモニタリング、特定の治療処置に最もよく応答する患者を同定すること、薬物のスクリーニング及び開発において使用され得る。バイオマーカー及びその使用は、新規薬物治療の同定並びに薬物治療のための新規ターゲットの発見に価値がある。
用語「VGFペプチドバイオマーカー」は、ヒトVGFニューロペプチド前駆体からのシグナル配列の開裂によって生成される成熟全長ヒトVGFペプチドが挙げられる。好ましいVGFペプチドバイオマーカーは、ヒトVGFニューロペプチド前駆体の推定分泌リーダー「シグナル」配列のタンパク質分解開裂によってN末端が生成されるペプチドである。特に好ましいVGFペプチドバイオマーカー(配列番号1)は、ヒトVGFに由来し、ヒトVGFのアミノ酸23〜62からなる。このバイオマーカーアミノ酸配列は、ヒトVGFタンパク質における推定シグナルペプチドのカルボキシル末端の直ぐ後にみられる(図3)。配列番号1(図2)に示されるバイオマーカーペプチドは、統合失調症又は双極性障害の特徴である第一発症精神病(first onset psychosis)に罹患した個体において、高められたレベルで存在することが見出されており、それゆえ、それは、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因を診断及びモニターするためのマーカーとして有用である。
さらなる局面において、本発明は、被験体からの生物学的サンプル中に存在するVGFペプチドバイオマーカー(好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)を検出及び/又は定量することを包含する、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因を診断又はモニターする方法を提供する。
本発明のモニタリング方法は、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因の発症、進行、安定化、改善及び/又は寛解をモニターするために使用され得る。
本発明に従う診断又はモニタリングの方法において、試験被験体からの生物学的サンプル中のバイオマーカーペプチドを検出及び/又は定量することは、2以上の時期(occasions)に行なわれてもよい。2以上の時期に採取されたサンプル中のバイオマーカーレベル間で、比較が行なわれてもよい。2以上の時期に採取されたサンプル中のバイオマーカーペプチドのレベルにおける何らかの変化の評価が行なわれてもよい。バイオマーカーペプチドレベルの調節は、統合失調症又は双極性障害又はその素因の状態の指標として有用である。時間に伴うバイオマーカーペプチドのレベルの増大は、発症又は進行(即ち、この障害の悪化)の指標となるのに対し、バイオマーカーペプチドのレベルの減少は、この障害の改善又は寛解の指標となる。
本発明に従う診断又はモニタリングの方法は、試験被験体からの試験生物学的サンプル中のVGFペプチドバイオマーカー(好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)を定量すること、並びに、該試験サンプル中に存在するペプチドのレベルを1以上のコントロールと比較することを包含し得る。
本発明の方法において使用されるコントロールは、正常な被験体からの正常なコントロールサンプル中にみられるバイオマーカーのレベル(正常バイオマーカーレベル);正常なバイオマーカー範囲;統合失調症型障害又は双極性障害又はその診断された素因を有する被験体からのサンプル中のレベル、又は統合失調症型障害マーカーレベル、又は双極性障害マーカーレベル;統合失調症型障害マーカー範囲及び双極性障害マーカー範囲、からなる群より選択される1以上のコントロールであり得る。
統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因を診断する好ましい方法は、以下を包含する:
(a)試験生物学的サンプル中で、VGFペプチドバイオマーカー(好ましくは、配列番号1又はそのフラグメントからなる)の量を定量すること、
(b)前記試験サンプル中の前記ペプチドの量を、正常な被験体からの正常なコントロール生物学的サンプル中に存在する量と比較すること。
正常なコントロールと比べたときの試験サンプル中のVGFバイオマーカーペプチドのより高いレベルは、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因の指標となる。正常なコントロールと比べたときの試験サンプル中の前記ペプチドの等しい又はより低いレベルは、統合失調症型障害の非存在、双極性障害の非存在、及び/又はその素因の非存在の指標となる。
本書において使用される用語「診断」は、統合失調症型障害、双極性障害、又は統合失調症型障害に対する素因、又は双極性障害に対する素因の同定、確認及び/又は特徴づけを包含する。素因とは、被験体が、現在は障害を示していないが、いずれ障害に罹患しやすいことを意味する。本発明に従うモニタリング及び診断の方法は、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因の存在を確認する;発症及び進行を評価することによって障害の展開をモニターする、或いは、改善又は寛解を評価するのに有用である。モニタリング及び診断の方法は、また、統合失調症型障害、双極性障害、或いは統合失調症型障害又は双極性障害に対する素因の分野における、臨床スクリーニングの評価、予後、治療の選択、治療利益の評価(即ち、薬物スクリーニング)及び薬物開発のための方法において有用である。
効率的な診断及びモニタリング方法は、正確な診断、最も適切な治療の迅速な同定を可能にすること(それゆえ、有害薬物の副作用に対する不必要な暴露を減らすこと)、「中断時間(down−time)」及び再発率を低下させることによる、改善された予後の可能性をもつ非常に力強い「患者の解決法」である。
被験体からの生物学的サンプル中のVGFペプチド(好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)を検出及び/又は定量することを包含する、統合失調症又は双極性障害を有する被験体、統合失調症又は双極性障害を有すると推測される被験体、或いは統合失調症又は双極性障害に罹患しやすい被験体において、統合失調症又は双極性障害のための治療有効性をモニターする方法が、また、提供される。モニタリング法において、試験サンプルは、2以上の時期に採取されてもよい。この方法は、試験サンプル中に存在するバイオマーカーのレベルを、1以上のコントロール、並びに/或いは、同じ試験被験体から以前に(例えば、治療の開始より前に)採取された及び/又は同じ試験被験体から治療の初期段階で採取された1以上の以前の試験サンプル(previous test samples)と比較することをさらに包含し得る。この方法は、異なる時期に採取された試験サンプルにおけるバイオマーカーのレベルにおける変化を検出することを包含し得る。
それゆえ、本発明は、以下の工程を包含する、被験体の統合失調症又は双極性障害の治療の有効性をモニターする方法を提供する:
(a)前記被験体から採取された試験生物学的サンプル中のVGFペプチドバイオマーカー(好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)の量を定量する工程、
(b)前記試験サンプル中の前記ペプチドの量を、1以上のコントロール並びに/或いは同じ被験体から以前に採取された1以上の以前の試験サンプル中に存在する量と比較する工程。
同じ試験被験体から以前に採取された前の試験サンプルと比べたときの試験サンプル中のバイオマーカーペプチドのレベルの減少は、障害、推測される障害又はその素因への治療の有利な効果(例えば、安定化又は改善)の指標となる。
治療の有効性をモニターする方法は、ヒト被験体及び非ヒト動物(例えば、動物モデル)における現存する治療と新たな治療の治療有効性をモニターするために使用され得る。これらのモニタリング方法は、新規薬物物質及び物質の組み合わせに対するスクリーニングへ組み込まれ得る。
好適には、診断又はモニタリングを受ける被験体からサンプルを採取する間に経過する時間は、3日間、5日間、1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6又は12ヶ月である。サンプルは、抗統合失調症又は抗双極性障害治療より前、及び/又は該治療の間、及び/又は該治療の後に採取されてもよい。サンプルは、被験体の余命又はその一部に渡って間隔をおいて採取され得る。
本書において使用される用語「検出する」は、サンプル中に存在するVGFバイオマーカーペプチド(好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)の存在を確認することを意味する。サンプル中に存在するバイオマーカーの量を定量することは、サンプル中に存在するバイオマーカーペプチドの濃度を決定することを包含し得る。検出及び/又は定量は、サンプルに直接的に行なわれてもよいし、それからの抽出物に又はその希釈物に間接的に行なわれてもよい。
本発明の代替的な局面において、バイオマーカーペプチドの存在は、ペプチドに応答して被験体の身体により生成され、それゆえ統合失調症又は双極性障害を有する被験体からの生物学的サンプル中に存在する、バイオマーカーに特異的に結合し得る抗体又はそのフラグメントを検出及び/又は定量することによって評価される。
検出及び/又は定量は、患者からの生物学的サンプル、或いは生物学的サンプルの抽出物の精製物又はその希釈物に中の特定のタンパク質の存在及び/又は量を同定するのに適した任意の方法によって行なわれ得る。本発明の方法において、定量は、サンプル(単数又は複数)におけるVGFバイオマーカーペプチドの濃度を測定することによって行なわれ得る。本発明の方法において試験され得る生物学的サンプルとしては、脳脊髄液(CSF)、全血、血清、尿、唾液、又は他の体液(便、涙液、滑液、唾液)、呼気(例えば、濃縮された呼気)、又はそれからの抽出物又は精製物、又はその希釈物)が挙げられる。生物学的サンプルは、また、生きている被験体からの又は死後に採取された組織ホモジェネート、組織切片及び生検標本が挙げられる。サンプルは、例えば、通常方法で調製され(例えば、適当に希釈又は濃縮され)且つ保存される。
VGFバイオマーカーペプチドの検出及び/又は定量は、バイオマーカーペプチド又はそのフラグメント(例えば、C末端切断又はN末端切断を伴うフラグメント)の検出によって行なわれ得る。フラグメントは、好適には、4アミノ酸長より大きい。
バイオマーカーは、例えば、SELDI、MALDI−TOFによって、直接的に検出され得る。或いは、バイオマーカーは、リガンド(単数又は複数)(例えば、抗体又はそのバイオマーカー結合フラグメント)、又は他のペプチド、又はバイオマーカーを特異的に結合し得る他のリガンド(例えば、アプタマー又はオリゴヌクレオチド)との相互作用を介して直接的又は間接的に検出され得る。リガンドは、検出可能な標識(例えば、発光性、蛍光性又は放射性標識、或いはアフィニティータグ)を有し得る。
例えば、検出及び/又は定量は、以下からなる群より選択される1以上の方法によって行なわれ得る:SELDI(−TOF)及び/又はMALDI(−TOF)、1−Dゲルベース分析、2−Dゲルベース分析、マススペクトル(MS)及びLC−MSベース技術。適当なLC MS技術としては、ICAT(登録商標)(Applied Biosystems, CA, USA)、又はiTRAQ(登録商標)(Applied Biosystems, CA, USA)が挙げられる。液体クロマトグラフィー(例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)又は低圧液体クロマトグラフィー(LPLC))、薄層クロマトグラフィー、NMR(核磁気共鳴)スペクトロスコピーが、また、使用され得る。
本発明に従う診断又はモニタリングの方法は、脳脊髄液(CSF)のサンプルをSELDI TOF又はMALDI TOFによって分析し、配列番号1のバイオマーカーペプチド(3.96kDa、キャリブレーション関連誤差=2%)(図1)の存在又はレベルを検出することを包含し得る。これらの方法は、また、臨床スクリーニング、予後、治療の結果のモニタリング、特定の治療処置に最もよく応答する患者を同定すること、薬物のスクリーニング及び開発、薬物治療のための新規ターゲットの同定に適している。
VGFペプチドバイオマーカーの検出及び/又は定量は、抗体、又はVGFペプチドバイオマーカー(例えば、配列番号1に示されるアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)に特異的に結合し得るそのフラグメントを必要とする免疫学的方法を用いて行なわれ得る。適当な免疫学的方法としては、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、バイオマーカーペプチドの検出が、バイオマーカーペプチド上の異なるエピトープを認識する2の抗体を用いて行なわれるサンドイッチELISA;ラジオイムノアッセイ(RIA)、(直接又は競合酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ウェスタンブロッティング、免疫沈降法及び任意の粒子ベースのイムノアッセイ(例えば、金、銀又はラテックス粒子、磁気粒子、又はQ−ドットを用いた)が挙げられる。免疫学的方法は、例えば、マイクロタイタープレート又はストリップフォーマットにおいて行なわれ得る。
本書において使用される用語「抗体」は、特に限定されないが、ポリクローナル、モノクローナル、二重特異的、ヒト化又はキメラ抗体、単一鎖抗体、Fabフラグメント及びF(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって製造されたフラグメント、抗イディオタイプ(抗−ld)抗体、並びに、上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられる。本書において使用される用語「抗体」は、イムノグロブリン分子及びイムノグロブリン分子の免疫学的に活性な部分(即ち、抗原を特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)をいう。本発明のイムノグロブリン分子は、イムノグロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)又はサブクラスを有し得る。
疾患に特異的である重要なバイオマーカーの同定は、診断手順と治療レジメとの統合の中核をなす。したがって、本発明の方法及び使用において、予測されたバイオマーカーが使用され、適当な診断ツール(例えば、バイオセンサー)が開発され得、バイオセンサーを用いて検出及び定量が行なわれ得る。バイオセンサーは、バイオマーカーの検出のための免疫学的方法、電気的、熱的、磁気的、光学的(例えば、ホログラム)又は音波的技術を組み込み得る。このようなバイオセンサーを用いて、生物学的サンプル中にみられる予期された濃縮物に標的バイオマーカーを検出することができる。
本発明のバイオマーカーは、「スマート」ホログラム又は高周波音波システム(このようなシステムは、特に、「バーコード」又はアレイ配置に適用できる)に基づく技術を組み込んだバイオセンサーを用いて検出され得る。
スマートホログラムセンサー(Smart Holograms Ltd, Cambridge, UK)において、ホログラフ画像は、バイオマーカーと特異的に反応するように増感された薄いポリマーフィルム中に蓄えられる。露出させると、バイオマーカーは、ホログラムによって表示された画像中の変化を導くポリマーと反応する。読み出される試験結果は、光学的明度、画像、色、及び/又は画像の位置における変化になり得る。定質的及び半定量的アプリケーションについては、センサーホログラムが目によって読まれ得るため、検出装置の必要性がない。シンプルなカラーセンサーが使用され、定量的測定が求められるときのシグナルが読まれる。サンプルの不透明度又は色は、センサーの操作を妨げない。センサーのフォーマットは、幾つかの物質の同時検出のための多重変換(multiplexing)を可能にする。可逆的又は不可逆的センサーは、異なる要求を満たすようデザインされ、興味のある特定のバイオマーカーの連続的モニタリングが実行できる。
好適には、本発明のバイオマーカーの検出のためのバイオセンサーは、生体分子認識を、サンプル中のバイオマーカーの存在の検出又は定量をシグナルに変換するための適当な手段とを組み合わせる。バイオセンサーは、「代替地(alternate site)」診断試験(例えば、病棟、外来、手術室、家庭、野外及び職場における)に適し得る。
本発明のバイオマーカーを検出するためのバイオセンサーとしては、音波、プラズモン共鳴、ホログラフセンサー及びマイクロ工学センサーが挙げられる。刷り込まれた識別エレメント(imprinted recognition elements)、薄膜トランジスタ技術、磁気音波共鳴器デバイス及び他の新規な音波−電気システムが、本発明のバイオマーカーの検出のためのバイオセンサーにおいて使用され得る。
本発明のバイオマーカーペプチドの検出及び/又は定量を包含する方法は、卓上装置で行なわれ得るか、或いは、非実験室環境(例えば、臨床医のオフィス又は患者のベッドサイド)において使用され得るディスポーザブルの診断又はモニタリングプラットフォームに組み込まれ得る。本発明の方法を行なうための適当なバイオセンサーは、光学又は音波リーダーを備えた「クレジット」カードを含む。バイオセンサーは、収集されたデータが、解釈のために医者に電子送信されるよう構成され得、e−神経医療(e−neuromedicine)のための基盤が形成され得る。
試験被験体からの試験サンプル中に存在する配列番号1又はそのフラグメントのVGFバイオマーカーペプチドの量が測定される本発明の方法及び使用において、正常な個体からの正常なコントロールサンプルにおいて見られるレベルと比べたときの試験サンプル中のバイオマーカーペプチドのより高いレベルの検出は、試験被験体における統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因の指標となる。例えば、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因を有する試験被験体からのサンプル中に検出される配列番号1のペプチドのレベルは、概して、正常コントロールサンプル中に見られるペプチドの量よりも2.5倍以上(例えば、約2.8倍以上)大きくなるだろう。比として表現すると、正常コントロールと比較された試験サンプル中の配列番号1のペプチドの量の比が1:2.5以上(例えば、1:2.8以上)であるとき、統合失調症型障害、双極性障害、又はその素因の指標となる配列番号1のペプチドのより高いレベルが存在する。
本発明の更なる局面は、VGFペプチドバイオマーカーに特異的に結合し得るリガンド(例えば、天然に存在する又は化学合成された化合物)を提供する。本発明に従うリガンドは、VGFペプチドバイオマーカーに特異的に結合し得るペプチド、抗体又はそのフラグメント、或いはアプタマー又はオリゴヌクレオチドであり得る。抗体は、VGFペプチドバイオマーカーに特異的に結合し得るモノクローナル抗体又はそのフラグメントであり得る。本発明に従うリガンドは、検出可能なマーカー(例えば、発光性、蛍光性又は放射性マーカー)で標識されてもよく;代替的に又は付加的に、本発明に従うリガンドは、アフィニティータグで標識されてもよい。
本発明に従うバイオセンサーは、VGFペプチドバイオマーカーに特異的に結合し得る本書に記載されるようなリガンド(単数又は複数)を含み得る。このようなバイオセンサーは、本発明のペプチドを検出及び/又は定量するのに有用である。
本発明に従うバイオセンサーは、VGFペプチドバイオマーカー、又はVGFペプチドバイオマーカーに対する抗体に特異的に結合し得るその構造/形状模倣物を含み得る。
VGFペプチドバイオマーカーに特異的に結合し得る本書に記載されるようなリガンドを含むアレイ、或いはVGFペプチドマーカー又はその構造/形状模倣物を含むアレイも、提供される。
本発明の方法を行なうための、診断又はモニタリングキットが提供される。このようなキットは、好適には、VGFペプチドバイオマーカーの検出又は定量のための本発明に従うリガンド、及び/又はバイオセンサー、及び/又は本書に記載されるようなアレイを含み、必要に応じて、キットの使用のための指示書を備える。
本発明は、本書で記載されるようなリガンド(これは、天然に存在するか又は化学合成され得、好適にはペプチド、抗体又はそのフラグメント、アプタマー又はオリゴヌクレオチドである)の使用、或いは、VGFペプチドバイオマーカー又はそのフラグメントを検出及び/又は定量するための、本発明のバイオセンサー、又は本発明のアレイ、又は本発明のキットの使用も提供する。この使用において、検出及び/又は定量は、CSF、全血、血清、尿、唾液、又は他の体液、呼気(例えば、濃縮された呼気)、或いは、そこからの抽出物又は精製物、又はその希釈物からなる群からの生物学的サンプルについて行なわれ得る。
統合失調症型障害又は双極性情動障害のためのバイオマーカーは、疾患の進行を遅らせる又は停止させる新規ターゲット及び薬物分子の発見に必須のターゲットである。VGFバイオマーカーペプチドのレベルが障害及び薬物応答の指標となる場合、バイオマーカーは、in vitro及び/又はin vivoアッセイにおける新規治療化合物の同定に有用である。本発明のバイオマーカーは、本発明に従うVGFペプチドバイオマーカーの活性を調節する(又は、該VGFペプチドバイオマーカーの生成を抑制する)化合物のスクリーニングのための方法において使用され得る。
従って、本発明のさらなる局面において、本発明に従うペプチド、抗体又はそのフラグメント又はアプタマー又はオリゴヌクレオチドであり得る上記のリガンドの使用;或いは、本発明に従うバイオセンサー又は本発明に従うアレイの使用;或いは、VGFペプチドバイオマーカーの生成を抑制し得る物質を同定するための、本発明に従うキットが提供される。
従って、被験動物へ試験物質を投与すること、並びに/或いは該被験体からの試験サンプル中に存在するペプチドのレベルを検出及び/又は定量することを包含する、被験体中のVGFペプチドバイオマーカー(該VGFペプチドバイオマーカーは、好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)の生成を抑制し得る物質を同定する方法が提供される。
任意の適当な動物が、被験非ヒト動物として使用され得、例えば、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、げっ歯類(例えば、テンジクネズミ、ラット、マウス);昆虫(例えば、Drosophila)、両生類(例えば、Xenopus)又はC.Elegansである。
試験物質は、既知の化学又は医薬物質(例えば、特に限定されないが、抗統合失調症型障害又は抗双極性障害治療薬(例えば、既知の抗精神病薬));或いは、新規の合成又は天然化学物質であり得る試験物質、又は前記物質の2以上の組み合わせであり得る。
試験細胞を試験物質に暴露すること、並びに、該試験細胞内の又は該試験細胞によって分泌されたVGFペプチドバイオマーカーのレベルをモニターすることを包含する、VGFバイオマーカーペプチド(好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列又はそのフラグメントからなる)の生成を抑制し得る物質を同定する方法が提供される。試験細胞は、原核生物であり得るが、真核細胞が細胞ベースの試験方法において使用されることが好ましい。好適には、真核細胞は、酵母細胞、昆虫細胞、Drosophila細胞、両生類細胞(例えば、Xenopus由来)、C.Elegans細胞であるか、或いは、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、げっ歯類又はネズミ起源の細胞である。
可能性のある治療的使用の物質を同定するための方法において、ヒトVGFポリペプチド及びタンパク質分解酵素(好ましくは、ヒトVGFポリペプチドを開裂し得るヒト蛋白分解酵素)から成る群より選択される1以上のポリペプチドを発現し得る、非ヒト動物又は細胞が使用され得る。
スクリーニング方法は、また、結合に適した条件下でバイオマーカーペプチドの存在下において試験物質をインキュベートすること、並びに該試験物質へのペプチドの結合を検出及び/又は定量することを包含する、本発明に従うVGFバイオマーカーペプチドに結合し得るリガンドを同定する方法を包含する。
VGFバイオマーカーペプチドが配列番号1(ヒトVGFアミノ酸23〜62)又はそのフラグメントの配列からなるペプチドである場合、試験物質がヒトVGFタンパク質又はヒトVGFのアミノ酸26〜62からなるタンパク質(N末端3ペプチドが切断された配列)に結合しない場合、特異的結合が示される。
例えばアレイフォーマットに配置された、本発明のバイオマーカー、使用及び方法に基づく高スループットなスクリーニング技術は、可能性のある有用治療化合物(例えば、バイオマーカーと結合し得る天然化合物、合成化学化合物(例えば、コンビナトリアルライブラリーからの)、ペプチド、モノクローナル又はポリクローナル抗体又はそのフラグメントのようなリガンド)の同定のためのバイオマーカーシグネチャーをモニターするのに適している。
本発明の方法は、アレイフォーマットにおいて(例えば、チップ上で)又はマルチウェルアレイとして行なわれ得る。方法は、シングルテスト、又はマルチプルアイデンティカルテスト又はマルチプルノン−アイデンティカルテストのためのプラットフォームに適用され、高スループットフォーマットで実行され得る。本発明の方法は、診断を確認又は除外するため、並びに/或いは症状をさらに特徴付けるため、1以上の更なる異なる試験を行なうことを包含し得る。
本発明は、さらに、本発明の同定方法又はスクリーニング方法又は使用によって同定される又は同定可能な物質(例えば、リガンド)を提供する。このような物質は、VGFバイオマーカーペプチドの活性を直接的又は間接的に阻害する、或いは、VGFバイオマーカーペプチドの生成を抑制することが可能であるかもしれない。用語「物質」は、直接的にVGFバイオマーカーペプチドに結合せず且つ直接的に機能を阻害しない代わりに、間接的にVGFバイオマーカーペプチドの機能を阻害する阻害物質を包含する。リガンドも用語「物質」に包含され、本発明のリガンド(例えば、天然又は合成化学化合物、ペプチド、アプタマー、オリゴヌクレオチド、抗体又は抗体フラグメント)は、VGFバイオマーカーペプチドに結合(好ましくは、特異的結合)し得る。
本発明は、さらに、統合失調症型障害、双極性障害又はその素因の治療における本発明に従う物質又はリガンドの使用を提供する。
本発明に従う物質の薬剤としての使用も提供される。
なお、さらに、統合失調症型障害、双極性障害又はその素因の治療のための薬剤の製造における本発明に従う物質の使用が提供される。
統合失調症型障害、双極性障害又はその素因を診断又はモニターするためのキットが提供される。好適には、本発明に従うキットは、以下からなる群より選択される1以上のコンポーネントを含む:VGFペプチドバイオマーカーに特異的なリガンド、VGFペプチドバイオマーカー又はVGFペプチドバイオマーカーの構造/形状模倣物、コントロール、試薬及び消耗品;必要に応じて、キットの使用のための指示書を備える。
統合失調症型障害及び双極性障害のためのバイオマーカーの同定は、診断手順及び治療レジメの統合を可能にする。現在、効果的な治療の決定に著しい遅れがあり、それゆえ、薬物応答の迅速な評価を行なうことが今までできなかった。伝統的に、多くの抗統合失調症及び双極性障害治療が、所定の治療アプローチについて、数週間から数ヶ月続く治療トライアルを必要としてきた。本発明のVGFバイオマーカーの検出は、被験体が臨床トライアルに参加する前に、被験体をスクリーニングするために使用される。バイオマーカーは、治療応答、無応答(failure to respond)、好ましくない副作用プロフィール、投薬コンプライアンス及び十分な血清薬物レベルを示す手段を提供する。バイオマーカーが使用され、不利な薬物応答(全ての精神作用薬が遭遇する主な問題)の警告が提供され得る。応答の評価が、用量を微調整するため、規定薬剤の数を最小限にするため、効果的な治療の達成の遅延を減らすため及び不利な薬物反応を避けるために使用され得るので、バイオマーカーは、個別の脳治療の開発において有用である。このように本発明のバイオマーカーをモニターすることによって、患者のケアが、障害及び患者の薬理ゲノム学的プロフィールによって決定されるニーズに適合するように正確に仕立てられ得(tailored)、従ってバイオマーカーが、最適な用量を滴定するため、陽性の治療応答を予測するため、及び重い副作用の高いリスクのある患者を同定するために使用され得る。
バイオマーカーベースのテストは、現在の主観的な測定法を用いて達成することができない時間枠及び正確性を有しつつ、「新規」患者の第一線の評価を提供し、正確且つ迅速な診断のための客観的手段を提供する。本発明のバイオマーカーは、類似する又は重複する症状を示す他の障害及び状態に対して、統合失調症及び双極性障害の鑑別診断を可能にする。
さらに、診断バイオマーカーテストは、「前徴段階(prodromal phase)」(即ち、明らかな統合失調症又は双極性障害を発症する高いリスクのある人々)における家族又は患者を同定するのに有用である。これは、適当な治療(例えば、低用量抗精神薬、或いは予防処置(例えば、ストレス、違法薬物の使用又はウイルス感染などの危険因子の管理))の開始を可能にする。これらのアプローチは、結果を改善し、障害の明らかな発症を予防し得ると考えられる。
バイオマーカーモニタリング法、バイオセンサー及びキットは、また、再発が真のブレークスルー又は疾患の悪化、患者の乏しいコンプライアンス又は物質の乱用に起因するものであるか否かを医者が決定することを可能にするため、患者のモニタリングツールとして非常に重要である。バイオマーカーは障害の状態に対して敏感であるため、薬物療法の影響又は物質乱用の指標を提供する。薬理学的治療が不十分であると評価される場合、治療は再度行なわれるか、強化される。真のブレイクスルー疾患(genuine breakthrough disease)について、適切な場合、治療の変更が行なわれ得る。本発明のバイオマーカーテストは、物質乱用によって誘導された精神エピソードを、統合失調症又は双極性障害の再発と区別することができる。現在の評価技術を用いると、診断は不正確である可能性があり、短期症状の抗精神病薬の使用による治療(これは、薬物誘導性精神病(自己制限的であり、違法物質を洗浄すると静まる症状)において不適当である)を提案するかも知れない。本発明のバイオマーカーは、従って、統合失調症型障害、双極性障害及びその素因における正確な診断及び治療介入のための手段を提供する。
実施例
材料
年齢を適合させたCSFサンプルを、健康な個体(n=40)並びに統合失調症/双極性障害の顕著な症状を伴う第一発症精神病を有する患者(薬物フリー)(n=40)から得た。全ての化学物質をSigmaから入手した。プロテインチップとマトリックスは、Ciphergen(Guildford, UK)から入手した。
SELDI分析のためのCSFサンプルの調製
CSFサンプルの5μlのアリコートを、製造元のプロトコールに従って、強力なアニオン交換(Q10)チップ上でプロセッシングした(Ciphergen Biosystems)。簡単には、アレイスポットを、シェーカー(周波数=5Hz)上で、10分間、室温にて、バインディングバッファー(100mM Tris−HCl、pH9.0)で2回予備活性化した。次いで、バインディングバッファーの50μlを、5μlCSFサンプルの添加より前に、各プロテインスポット中に添加した。プロテインチップを、室温にて30分間シェーカー上でインキュベートした。チップを、バインディングバッファーで2回、HPLCグレードのHOで1回洗浄し、次いで空気乾燥させた。次に、チップを、50%アセトニトリル及び0.5%トリフルオロ酢酸中の100%飽和シナピン酸(sinapic acid)(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸)の1μlで2回連続処理した。チップをCiphergen ProteinChipTM Reader(model PBSII)で分析した。各サンプルを2回分析し、差異的に発現したタンパク質の同定において、再現性を確認した。
Ciphergen Protein Chip TM SELDI−TOF−MS分析
アレイをCiphergen ProteinChip Reader (model PBSII)で分析した。タンパク質のマススペクトルを、230−280任意単位(arbitrary unit)のレーザー強度で平均65レーザーショットを用いることによって生成した。低分子量タンパク質のデータ取得のため、検出サイズ範囲は3〜20kDaであり、25kDaの最大サイズを用いた。レーザーの焦点を10kDaに合わせた。検出器の感度を8にセットし、レーザー強度を190に設定した。高分子量タンパク質については、検出サイズ範囲が20〜150kDaであり、250kDaの最大サイズを用いた。レーザーの焦点を85kDaに合わせた。検出器の感度を9に設定し、レーザー強度を1:4希釈については260及び280に設定した。アレイ表面で捉えられる各タンパク質の質量対電荷比(m/z)を、外部目盛り測定標準(Ciphergen Biosystems)に従って決定した;ウシインシュリン(5,733.6 Da)、ヒトユビキチン(8,564.8 Da)、ウシシトクロムc(12,230.9 Da)、ウシスーパーオキシドジスムターゼ(15,591.4 Da)、ウシα−ラクトグロブリンA(18,363.3 Da)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(43,240 Da)、BSA(66,410 Da)及びトリコンアルブミン(77,490 Da)。
CSFペプチドのLC−MS−MS分析
10kDa公称分子量カットオフを有するNanosepTM (Pall Corporation)遠心限外濾過装置を用いて、CSFの50μlサンプルからタンパク質を取除いた。濾液のアリコート(5μl)をC18 ZipTipTM (Waters)での固相マイクロ抽出によって脱塩し、ペプチドを、0.1%蟻酸/50%水性アセトニトリル(1μl)でナノスプレーチップ(Protana Engineering)中に直接溶出した。ナノスプレーチップを、4重極飛行時間マススペクトロメーター(Qstar Pulsar i, Applied Biosystems−MDS Sciex)に取り付けられたナノエレクトロスプレーイオンソース(Protana Engineering)中に挿入し、m/z範囲350−1500原子質量単位に渡って5〜10分間フルスキャンTOFスペクトルを取得した。MS/MSスペクトルを、十分なシグナル:ノイズが達成されるまで、m/z範囲50〜1700原子質量単位にわたって取得した。フラグメントイオンの最も幅広い範囲を与えるよう、データ取得の間、衝突エネルギーを最適化した。
NCBI NRDBデータベースをサーチするため、BioAnalystTM software(Applied Biosystems)を用いて、MS/MSデータを手動で読み取り、「配列タグ」を抽出した。サーチ結果を、MS/MSデータのさらなる手動読み取りによって確認した。
統計分析
データをPROTEINCHIPTM data analysis software version 3.0 (Ciphergen Biosystems)を用いて分析した。各比較のため、生の強度データを、比較される群における全てのプロフィールの全イオン電流を用いて標準化した。低分子量範囲については3,000〜25,000Da、高分子量範囲については4,000から250,000Daのm/zの全イオン電流に、ピーク強度を標準化した。Biomarker Wizard application (nonparametric calculations; Ciphergen Biosystems)を用いて、全スペクトルをコンパイルし、定量された質量ピークを自動検出した。マスウィンドウの0.2%を用いたセカンドパスピーク選択を使用することによって、ピークラベリングを完成させ、推定されるピークを加えた。プロフィールの群について、サンプル統計を行なった(正常対第一発症精神病)。様々な群の間で、タンパク質の相違(倍変化(fold changes))を計算した。
VGFペプチドは統合失調症に罹患している患者の前前頭皮質においてアップレギュレートされる
8つの統合失調症脳及び8つのコントロール脳(人口統計学的変数に合わせられた前前頭皮質)をランダムに選択した。ポリクローナル抗体を用いて、前前頭皮質からの死後の脳組織の抽出物について、ウェスタン分析を行なった (Santa Cruz Biotechnology Inc., (VGF R−15): sc−10383;ラット起源のVGFのカルボキシ末端に対して惹起されたアフィニティー精製ヤギポリクローナル抗体)。VGFペプチドバイオマーカー(成人VGF、シグナルペプチドなし、図3A)は、コントロールと比べて、確立された統合失調症を患う4人の患者(8人の患者のうち)において有意にアップレギュレートされていることが見出された(図4)。同様の結果が、更なる実験において得られた(10のコントロール及び統合失調症の10の診断症例、データは示さない)。この結果は、SELDIマススペクトルからのデータとともに、成熟VGFペプチドバイオマーカーが、統合失調症の病因と関係しており、それゆえ統合失調症のための診断/予後マーカー並びに/或いは治療ターゲットとして使用され得ることを示唆している。
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3.96kDaのCSFにおける統合失調症特異的バイオマーカー(配列番号1のペプチド)。40人の健康なボランティア及び第一発症精神病(first onset psychosis)(これは、統合失調症又は双極性障害に進行し得る)を伴う40人の未処置被験体からの脳脊髄液(CSF)サンプルをこの研究に含めた。各CSFサンプルの5μlのアリコートを、種々のpH条件にて試験されたタンパク質チップの各々(各々は、異なる化学特性を有する)にアプライした。最良の条件が強力なアニオン交換体Q10チップについてpH9.0であることを見いだし、これらのパラメータの選択を、分解されたピークの数及び分離に基づき行なった。次に、チップ表面に結合するタンパク質/ペプチドを、SELDIマススペクトロメトリーによって分析した。健康なボランティアからのスペクトルの例を図1Aに示す。各スペクトルにおけるピークの強度を収集し、ProteinChipTMソフトウェア(Ciphergen, Fremont, USA)を用いて分析した。3.96kDaでのピークにおける増大が観察された(図1Bに示される)。3.69kDaピーク、3.96kDaピークを構成するペプチドの3アミノ酸短い形態(N末端にて)では、差がみられなかった(図3Bを参照のこと、配列決定のデータは示さない)。図1Cは、健康なボランティア及び第一発症精神病に罹っている患者における3.96kDaピークの相対強度を示す。 VGFペプチドフラグメントとしての、配列番号1の3.96kDaペプチドの同定。3.96kDaピークの最も高い発現を伴うCSFsの50μlのサンプルを、10kDaカットオフカラムを用いてプロセッシングし、大きいタンパク質を取除いた。次いで、C18 Ziptip(Millipore, Billericak, USA)を用いて、そのフロースルーを脱塩し、ペプチドを0.1%蟻酸/50%水性アセトニトリルで溶出した。溶出液の1μlのアリコートを、ESI−MS/MS(de novoシークエンシングのため)及びSELDIマススペクトロメーター(濃縮3.96kDaピークの確認のため)のためのナノスプレーチップに、直接ロードした。SELDIスペクトルにおける3.96kDaピークは、6+チャージ状態において、3.95ペプチド(m/z659.9(およその質量))にマッチしていた。このペプチドのMS/MSスペクトルを図2B−Dに示す。それぞれの電荷状態とともに割り当てられた突出したイオン(assigned prominent ion)を標識した。ダブルフラグメンテーションから生じるイオン(byイオンとして標識された)に加え、これらは大部分y及びbシリーズのイオンである。明確にするために、水又はアンモニアの損失から生じる第二フラグメントイオンは、標識されていない。図2Aは、MS/MSスペクトルに由来するアミノ酸配列を示す。 VGFタンパク質へのバイオマーカーペプチドのマッピング。
A.3.96kDa(又はESI−MS/MSスペクトルからの3.95kDa)のペプチドは、予測される分泌シグナルペプチドの直ぐ隣のネイティブなVGFタンパク質のアミノ酸23〜62(配列番号1)(太字の下線)にマッピングした(interProScan: European Bioinformatics Institute: www.ebi.ac.uk/cgibin/iprscanを用いた)。この3.96kDaペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有している。
B.3.96kDaペプチド及び3.69kDaペプチドの配列アラインメント。ES/MS−MSを用いたde novoシークエンシングは、CSF中の3.69kDaペプチドが、3.96kDaペプチドの3アミノ酸(N末端における)短い形態であることを示し(データは示さない)、これは、健康なボランティア及び第一発症精神病を患う患者からのCSF(p=0.87)において、差異的に発現しない。これは、3.96kDaVGFペプチドが、第一発症精神病を示す条件(即ち、統合失調症及び/又は双極性障害)に対して非常に特異的であることを示唆している。
年齢を適合させたコントロール及び統合失調症患者の前前頭皮質における成熟全長ヒトVGFペプチドバイオマーカーのウェスタンブロッティング分析。

Claims (17)

  1. 統合失調症型障害(schizophrenic disorder)、双極性障害、又はその素因に対するバイオマーカーとしての、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるVGFペプチドの使用。
  2. 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、統合失調症型障害、双極性障害又はその素因に対するVGFペプチドバイオマーカー。
  3. (a)試験被験体からの生物学的サンプル中に存在する、配列番号1のアミノ酸配列からなるVGFペプチドの量を定量すること、
    (b)前記試験生物学的サンプル中の前記VGFペプチドの量を、正常な被験体からの正常なコントロール生物学的サンプル中に存在する量と比較すること、及び、
    (c)前記試験生物学的サンプル中の前記VGFペプチドの量が前記正常な被験体からの正常なコントロール生物学的サンプル中に存在する量よりも高いとき、統合失調症型障害、双極性障害又はその素因が存在するとし、または、前記試験生物学的サンプル中の前記VGFペプチドの量が前記正常な被験体からの正常なコントロール生物学的サンプル中に存在する量と等しい又はより低いとき、統合失調症型障害、双極性障害、及び/又はその素因が非存在であるとすることを包含する、統合失調症型障害、双極性障害又はその素因を確認又は観察する方法。
  4. (a)被験体からの生物学的サンプル中に存在する配列番号1のアミノ酸配列からなるVGFペプチドの量を定量すること、
    (b)前記生物学的サンプル中の前記VGFペプチドの量を、1以上のコントロール並びに/或いは同じ被検体から以前に採取された1以上の以前の試験サンプル中に存在する量を比較すること、及び、
    (c)前記生物学的サンプル中の前記VGFペプチドの量が、前記1以上のコントロール並びに/或いは同じ被検体から以前に採取された1以上の以前の試験サンプル中に存在する量よりも減少しているとき、統合失調症型、双極性障害、又はその素因への治療に有利な効果があるとすることを包含する、統合失調症型又は双極性障害を有する被験体、有すると推測される被験体、或いは、統合失調症型障害又は双極性障害に罹患しやすい被験体における治療の有効性を確認又は観察する方法。
  5. 試験被験体から2以上の時期に採取された生物学的サンプル中に存在する配列番号1のアミノ酸配列からなるVGFペプチドバイオマーカーを検出及び/又は定量することを包含する、請求項3又は請求項4に記載の方法。
  6. 2以上の時期に採取されたサンプル中に存在するVGFペプチドバイオマーカーのレベルを比較することをさらに包含する、請求項4又は請求項5に記載の方法。
  7. 前記試験サンプル中のペプチドバイオマーカーの量と、治療の開始前に前記被験体から採取された1以上のサンプル及び/又は治療の初期ステージにおいて前記被験体から採取された1以上のサンプル中に存在する量とを比較することを包含する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 2以上の時期に採取されたサンプル中のペプチドバイオマーカーの量における変化を検出することをさらに包含する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記試験サンプル中に存在するペプチドバイオマーカーの量を1以上のコントロールと比較することを包含する、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 定量が、前記サンプル中のVGFバイオマーカーペプチドの濃度を測定することによって行なわれる、請求項3〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 検出及び/定量が、SELDI(−TOF)及び/又はMALDI(−TOF)、1−Dゲルベース分析、2−Dゲルベース分析、マススペクトル(MS)及びLC−MSベース技術から成る群より選択される1以上の方法によって行なわれる、請求項3〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 検出及び/定量が、免疫学的方法を用いて行なわれる、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 生物学的サンプルが、CSF、全血、血清、尿、唾液、又は他の体液、或いは呼気、濃縮された呼気、又はそこからの抽出物又は精製物、又はその希釈物である、請求項3〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 試験細胞を試験物質に暴露する工程、並びに、該試験細胞内の又は該試験細胞によって分泌された配列番号1のペプチドのレベルをモニターする工程を包含する、被験体において配列番号1のアミノ酸配列からなるVGFペプチドバイオマーカーの生成を抑制し得る物質を同定する方法。
  15. 試験細胞が真核細胞である、請求項14に記載の方法。
  16. 真核細胞が酵母細胞、昆虫細胞、Drosophila細胞、C.elegans細胞、或いは、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ、魚類、げっ歯類又はネズミ起源の細胞である、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 前記動物又は細胞が、ヒトVGFペプチド及びヒトVGFポリペプチドを開裂し得るヒトタンパク質分解酵素からなる群より選択される1以上のポリペプチドを発現し得る非ヒト動物又は細胞である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
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