JP2005124487A - キク科植物の形質転換方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キク科植物の多くの品種で効率的に形質転換体を作製させる、キク科植物の形質転換方法を提供すること。
【解決手段】次の(a)〜(e)の各工程からなることを特徴とする、キク科植物の形質転換方法。
(a)キク科植物の組織片を、植物ホルモンを含んだ培地で前培養する工程、
(b)当該組織片をウイスカとともに液体中に分散させた後、遠心処理により当該組織片にウイスカを付着させる工程、
(c)ウイスカが付着した当該組織片を超音波処理することにより損傷させる工程、
(d)当該組織片と外来遺伝子を有するアグロバクテリウム細菌とを共存培養する工程、
(e)共存培養した当該組織片を培養して形質転換植物を再生させる工程。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なキク科植物の形質転換方法に関し、より詳しくは、効率のよい汎用性のあるキク科植物の形質転換方法に関する。
近年、植物に種々の性質を付与する目的で、外来遺伝子を導入した形質転換植物体が作成されているが。その場合には対象となる植物への効率的な遺伝子導入方法を確立する必要がある。本発明で対象とするキク科植物へ外来遺伝子を導入する方法として、アグロバクテリウム細菌を用いる生物的な形質転換法が利用されている(例えば、非特許文献1参照)。
アグロバクテリウム細菌を用いる形質転換法は、植物において最も広く用いられている遺伝子導入技術である。この技術は、土壌生息細菌であるアグロバクテリウム・ツメファシエンス( Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rizogenesis)の病原性を利用するもので、アグロバクテリウムが保有するT−DNAの一部を目的とする外来遺伝子で置換して、該細菌を植物組織に感染させることにより外来遺伝子が植物細胞内に導入、形質転換されることが知られている。例えば、タバコにおいては、葉片にアグロバクテリウム・ツメファシエンスを感染することにより、容易に形質転換植物体を得ることができる(例えば非特許文献2参照)。
近年、物理的な遺伝子導入方法としてウイスカ法が利用されている(特許文献1参照)。これは、微細な針状の構造を持った単結晶、DNA溶液および細胞を、同一容器内で混合することにより、外来遺伝子を植物細胞に導入する方法である。しかしながら、ウイスカを用いたキク科キク属植物の形質転換の報告は見られない。
遺伝子組換えによって、有用遺伝子を導入した形質転換植物体を作成する際、個体ごとに遺伝子の発現量などが異なるため、多くの独立した個体を作成し、その中から導入した形質の安定した個体を選抜する必要がある。
キク科植物への形質転換においては、効率および汎用性の高い形質転換方法はまだ確立されていない。例えば、キク科キク属の品種を用いた形質転換においては、葉片にアグロバクテリウム・ツメファシエンスを感染させることにより、遺伝子が導入された形質転換植物体が得られている。しかしながら、感染に用いた組織片から再生する形質転換植物体数は少なく、その形質転換率は低い。また品種間にも効率の大きな差が認められる(例えば、非特許文献1、3,4,5参照)。
特許第3312867号公報 「育種学研究」、2002年、第4巻、別冊第1号、p.171 「サイエンス(Science)」1985年、第227巻、P.129〜131 「育種学雑誌」、1998年、第48巻、別冊第1号、p.191 「園芸学雑誌」、1998年、第67巻、第6号、p.958〜964 「ブリーディングサイエンス(Breeding Science)」、2002年、 第52巻、p.43〜50
本発明の目的は、キク科植物の多くの品種で形質転換に必要な種々の遺伝子を容易に導入し、効率的に形質転換体を作製させうる、キク科植物の形質転換方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、キク科植物の組織片を特定の期間前培養した後、ウイスカとともに液体中に分散させた状態において、遠心処理ならびに超音波処理を行うことにより組織片を損傷させた後、アグロバクテリウム法による遺伝子導入に用い、形質転換させた組織片から植物体を再生させることにより、効率的で新規なキク科植物の形質転換方法を見出した。
したがって、第1の本発明の要旨するところは、次の(a)〜(e)の各工程を含むことを特徴とするキク科植物の形質転換方法にある。
(a)キク科植物の組織片を、植物ホルモンを含んだ培地で前培養する工程、
(b)当該組織片をウイスカとともに液体中に分散させた後、遠心処理により当該組織片にウイスカを付着させる工程、
(c)ウイスカが付着した当該組織片を超音波処理することにより損傷させる工程、
(d)当該組織片と外来遺伝子を有するアグロバクテリウムとを共存培養する工程、
(e)形質転換された組織片を培養して形質転換植物を再生させる工程。
また、第2の本発明の要旨するところは、組織片が、茎、花茎、葉、根または花器であることを特徴とする、請求項1に記載のキク科植物の形質転換方法にある。
また、第3の本発明の要旨するところは、キク科植物の組織片を、植物ホルモンを含んだ培地で2〜8日間前培養したのち、アグロバクテリウム遺伝子導入法に用いることを特徴とする請求項1に記載のキク科植物の形質転換方法にある。
また、第4には、上記の各工程(a)〜(e)により、形質転換されたキク科植物にある。
本発明により、キク科植物の多くの品種で、花色改良遺伝子、耐虫性遺伝子、耐病性遺伝子、耐寒性遺伝子、耐暑性遺伝子、耐塩性遺伝子、環境浄化遺伝子、形態形成関連遺伝子、エチレン生成抑制遺伝子などの有用遺伝子を導入することが容易となり、効率的に形質転換体を作製させる、キク科植物の形質転換方法が提供される。
次に本発明の方法について具体的に説明する。本発明に係るキク科植物の形質転換方法は、上記(a)〜(e)の各工程からなる。以下に(a)、(b)、(c)、(d)、(e)各工程を詳細に説明する。
(1)工程(a)(前培養工程)
(イ)本発明の工程(a)で用いられるキク科植物の組織片の前培養は次のように実施される。
まず、第1に、本発明に用いられるキク科植物としては、次のものが挙げられる。
キク属(Dendranthema)、
シオン属(Aster)、
キンセンカ属(Calendula)、
エゾギク属(Callistephus)、
ベニバナ属(Carthamus)、
コスモス属(Cosmos)、
ダリア属(Dahlia)、
ガザニア属(Gazania)、
ガーベラ属(Gerbera)、
ヒマワリ属(Helianthus)、
セネシオ属(Senecio)、
ジニア属(Zinnia)、
ノコギリソウ属(Achillea)、
アゲラタム属(Ageratum)、
カイザイク属(Ammobium)、
ヒナギク属(Bellis)、
ヤグルマソウ属(Centaurea)、
アザミ属(Cirsium)、
コレオプシス属(Coreopsis)、
ディモルフォセオ属(Dimorphotheca)、
エキノプス属(Echinops)、
フェリシア属(Felicia)、
ガイラルディア属(Gaillardia)、
ミヤコワスレ属(Gymnaster)、
ムギワラギク属(Helichrysum)、
ローダンセ属(Helipterum)、
リアトリス属(Liatris)、
ルドベキア属(Rudbeckia)、
ストケシア属(Stokesia)、
タゲテス属(Tagetes)。
上記に例示したキク科植物の中で、好ましくは、キク属に含まれるキク品種である。
(ロ)次に、このようなキク科植物の組織片を植物ホルモンを用いて前培養するには、まず、キク科植物の植物体の茎または花茎などから組織片を採取し、これを有効塩素濃度0.1〜1%、好ましくは0.2〜0.6%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10〜60分間、好ましくは15〜45分間浸漬し、殺菌処理する。
次いで、組織片を取り出して、滅菌水で3〜5回洗浄し、表面に付着した次亜塩素酸ナトリウム水溶液を取り除く。これを、無菌条件下で所望の大きさ、例えば茎組織を用いる場合は、3mm〜10mm、好ましくは5mm〜7mm長の小片に切断して調製される。
これを例えばムラシゲ・スクーグ培地(以下「MS培地」という。)にショ糖10g/l(リットル.培地1リットル当りの量を示す。以下同じ。)〜60g/l、好ましくは20g/l〜40g/l、植物ホルモンとして、オーキシン類を0.01mg/l〜10mg/l、好ましくは0.1mg/l〜5mg/lとサイトカイニン類を0.01mg/l〜10mg/l、好ましくは0.1mg/l〜5mg/lをそれぞれ加え、pH4〜7、好ましくはpH5〜6とし、寒天6g/l〜10g/l、好ましくは7g/l〜8g/lを加えた固体培地に置床する。これを、12℃〜22℃、好ましくは15℃〜20℃の恒温室に入れて明所下に培養すると、置床2〜8日後に組織片の切断面にカルスの形成が認められる。
上記した前培養工程に用いる培地としては、MS培地のほかに、B5培地、ニッチ(Nitsh)培地、ホワイト(White)培地などをMS培地に準じて用いることができる。
また、本発明の組織片の前培養工程では、培地に加えられる植物ホルモンとして、オーキシン類としてナフタレン酢酸(以下、「NAA」という。)またはインドール酢酸(以下、「IAA」という。)と、サイトカイニン類としてベンジルアデニン(以下、「BA」という。)またはカイネチンまたはチジアズロンなどを挙げることができる。
このような植物ホルモンはその種類に応じて、適宜その添加量を選択して用いられる。例えば、NAAとBAを組み合わせて用いる場合は、NAAおよびBAは、ともに0.01mg/l〜10mg/l、好ましくは0.1mg/l〜5mg/lの量で用いられる。
また、組織片の培養を行う場合の明所条件は、照度が500〜10000ルクス、好ましくは500〜2000ルクスであり、光照射時間が1日に5〜24時間、好ましくは14〜18時間である。
(2)工程(b)(組織片にウイスカを付着させる工程)
本工程は、前記工程(a)によって前培養されたキク科植物の組織片をウイスカとともに液体中に均一に分散し、懸濁させた状態にさせた後、混合物を遠心処理することによりウイスカを植物組織片ヘ付着させる工程である。
本発明に用いるウイスカとは、微細な針状の構造を持った単結晶をいう。本発明に用いるウイスカとしては、細胞に刺さり、細胞を損傷させうることができるものであればなんら限定されるものではないが、寸法が細胞の大きさと比較して、大きすぎるものであってはならない。具体的には、直径が0.01〜10μm、好ましくは、0.5〜1μm、長さが、1〜100μm、好ましくは3〜40μmである。ウイスカの材質は、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、窒化ケイ素、酸化亜鉛、塩基性硫酸マグネシウム、マグネシア、ホウ酸マグネシウム、二ホウ化チタン、カーボングラファイト、硫酸カルシウム、サファイア、シリコンカーバイドなどが挙げられ、好ましくはチタン酸カリウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウムである。
次に、組織片およびウイスカを分散させる液体としては、蒸留水、等張液、緩衝液、組織培養用培地などが挙げられる。その際の等張液としては、例えばKCl、NaCl、CaCl2、MgCl2などの無機塩を添加して0.01〜7M、好ましくは、0.5〜2Mにした液体が挙げられる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、MES緩衝液などが挙げられる。
組織培養用培地としては、例えばMS培地、B5培地、ホワイト培地、ニッチ培地などが挙げられる。等張液または組織培養用培地を用いる場合は糖類を添加して用いるのがよく、その際の糖類としては、例えばショ糖、果糖、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられ、糖類の濃度は0.01〜7M、好ましくは0.5〜2Mで使用される。
本発明に用いる液体のpHは、pH4〜8、好ましくはpH5〜7である。本発明に用いる液体の容量は、特に限定されるものではないが、組織片の容量1mlに対して、10μl〜2ml、好ましくは、300〜700μlになるよう調整して用いる。
本発明に用いる組織片の容量は、特に限定されるものではないが、組織片と共に液体中に混合されるウイスカの量は組織片の容量に伴い調整され、組織片容量1ml当たり、ウイスカ1〜100mg、好ましくは、4〜40mgになるように添加される。このようにして得られた上記組織片およびウイスカは液体と一緒に同一容器に加えて混合する。
本発明で使用する容器は、例えば、遠心管、ガラス試験管、ポリプロピレン製試験管、シャーレ、フラスコなどが使用できるが、無菌で取り扱える容器であれば、これらに限定されるものではない。
組織片およびウイスカは、液体中で均一に混合され、分散されるよう容器を振って撹拌するが、特に激しく撹拌する必要はない。
このようにして、液体中に分散させた組織片およびウイスカの混合物(以下、「混合物」と略す)を得ることができる。
本発明における遠心処理は、遠心加速度が3,000〜50,000×g、好ましくは、10,000〜30,000×gで、遠心時間が、10秒〜40分、好ましくは5〜10分間行う。
また、組織片へのウイスカの付着量を高めるために同様の遠心処理を1〜20回、好ましくは3回繰り返して行うのがよい。
(3)工程(c)(組織片を超音波処理で損傷させる工程)
本工程は、工程(b)で遠心処理を行った後に組織片とウイスカを含む混合物に超音波照射することによりウイスカを振動させ、ウイスカにより細胞を穿孔し、細胞を損傷させる工程である。
本発明に用いる超音波処理は、周波数が1k〜1MHz、好ましくは10〜60kHzで、照射時間が0.2秒〜20分間、好ましくは30秒〜2分間で、強度は、0.01〜10W/cm2、好ましくは0.1〜1W/cm2で照射を行うのがよい。
(4)工程(d)(組織片と外来遺伝子を有するアグロバクテリウム細菌を共存培養し、外来遺伝子を導入する工程)
上記の工程(c)で超音波処理され、細胞が穿孔た混合物は、そのままアグロバクテリウムの感染に用いることもできるが、好ましくは、混合物からウイスカを取り除くために洗浄を行った後にアグロバクテリウムの感染に用いた方がよい。その際に用いる洗浄液は、蒸留水、等張液、緩衝液、培地などが挙げられるが、好ましくは、前述の等張液または培地を用いることである。
このようにして得られた組織片を、アグロバクテリウム・ツメファシエンス菌と共存培養し、遺伝子導入を行う。すなわち、アグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LBA4404)をLB培地で1昼夜培養した培養液に、上記に記載の方法により損傷させられたキク花茎組織片を5〜60分間、好ましくは10〜30分間浸漬処理する。浸漬処理後、これを例えばMS培地にショ糖10g/l〜60g/l、好ましくは20g/l〜40g/l、植物ホルモンとして、オーキシン類を0.01mg/l〜10mg/l、好ましくは0.1mg/l〜5mg/lとサイトカイニン類を0.01mg/l〜10mg/l、好ましくは0.1mg/l〜5mg/l、寒天6g/l〜10g/l、好ましくは7g/l〜8g/l、カサミノ酸を0.5g/l〜3g/l、好ましくは1g/l〜2g/l、アセトシリンゴン5mg/l〜50mg/l、好ましくは10mg/l〜30mg/lをそれぞれ加え、pH4〜7、好ましくはpH5〜6とした固体培地に置床する。これを、12℃〜22℃、好ましくは15℃〜20℃の暗所下に、1日間〜7日間、好ましくは2日間〜4日間培養することにより、共存培養を行いアグロバクテリウムの感染を行う。
2)本発明で形質転換させるために導入される遺伝子の種類は特定のものに限定されることはない。そのような例としては、次のものが挙げられる。
(1)花色改良遺伝子
(2)耐虫性遺伝子
(3)耐病性遺伝子
(4)耐寒性遺伝子
(5)耐暑性遺伝子
(6)耐塩性遺伝子
(7)環境浄化遺伝子
(8)形態形成関連遺伝子
(9)エチレン生成抑制遺伝子
(5)工程(e)(外来遺伝子を導入された組織片を培養して形質転換キク科植物を再生する工程)
上記のようにしてアグロバクテリウムに感染した組織片を、次のようにして調製した培地、すなわち、例えばMS培地に、ショ糖10g/l〜60g/l、好ましくは20g/l〜40g/l、植物ホルモンとして、オーキシン類を0.01mg/l〜10mg/l、好ましくは0.1mg/l〜5mg/lとサイトカイニン類を0.01mg/l〜10mg/l、好ましくは0.1mg/l〜5mg/lをそれぞれ加え、pH4〜7、好ましくはpH5〜6とし、寒天6g/l〜10g/l、好ましくは7g/l〜8g/l、選抜薬剤としてジェネテシンを5mg/l〜50mg/l、好ましくは10mg/l〜30mg/l、除菌薬剤としてカルベニシリンを50mg/l〜500mg/l、好ましくは100mg/l〜300mg/lをそれぞれ加えた固体培地、に置床する。
これを、12℃〜22℃、好ましくは15℃〜20℃の明所下に培養すると、約3か月後に組織片から不定芽が形成される。
形成された不定芽を、メスを用いて組織片から切除して分離・採取し、これをMS培地に、ショ糖10g/l〜60g/l、好ましくは20g/l〜40g/l、カルベニシリンを50mg/l〜500mg/l、好ましくは100mg/l〜300mg/l、オーキシン類を0.01mg/l〜5mg/l、好ましくは0.1mg/l〜1mg/lをそれぞれ加え、pH4〜7、好ましくはpH5〜6とし、寒天6g/l〜10g/l、好ましくは7g/l〜8g/lを加えた固体培地、に置床した。これを15℃〜30℃、好ましくは20℃〜25℃の明所下に培養すると、培養約30日後に発根したキク形質転換植物体が得られる。
ここに明所条件は、工程(a)と同様でよく、照度が500〜10,000ルクス、好ましくは500〜2,000ルクスであり、光照射時間は1日5〜24時間、好ましくは14〜18時間である。
以下に、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの例示のみに限定されるものではない。
(1)工程(a)キク科植物の組織片の前培養
キク属(Dendranthema grandiflorum)のスプレイギク品種「アイーダ」の花茎を、有効塩素濃度が0.5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に20分間浸漬し、殺菌処理した後、滅菌水で3回洗浄した。滅菌処理した花茎をメスで7mm長に切断して小片とし、試験組織片として用いた。
1試験区あたり100本の組織片を、MS培地に、ショ糖30g/l、植物ホルモンとして、NAAを2.0mg/lとBAを1mg/lをそれぞれ加え、pH5.8とし、寒天8g/lを加えた固体培地に置床した。
この培養に用いられる容器は、滅菌したフタ付きのプラスチック製シャーレ(直径9cm×高さ1.5cm)であり、シャーレ1枚あたり組織片10本を置床している。これを、20℃で明所(照度500ルクス、光照射16時間/日)にて4日間培養することにより組織片の切断面からカルスが形成された。
(2)工程(b)分散工程
1)ウイスカの調製
市販のチタン酸カリウム製ウイスカ(チタン工業株式会社の製品「LS20」)5mgを1.5ml容のチューブ(内径10mm、長さ38mm)(エッペンドルフ社製)に入れ、エタノールを0.5ml加えて、一晩放置後、エタノールを完全に蒸発させて、殺菌されたウイスカを得た。
このウイスカの入ったチューブに減菌水1mlを入れ、よく撹拌した後、これを3000rpm/分、5分間遠心分離し、上清の水を捨てウイスカを洗浄した。この洗浄操作を3回行った後、同チューブ内に、MS培地の無機成分組成にショ糖30g/lを加えたMS液体培地(pH5.8)を0.5ml加えてウイスカ懸濁液を得た。
2)組織片とウイスカの混合
上記1)で得られたウイスカ懸濁液の入ったチューブに、上記(1)において前培養された花茎組織片を100個入れて撹拌し、組織片とウイスカの混合物を得た。
3)遠心処理
次に、この混合物の入ったチューブを18,000xgで5分間遠心分離し、遠心後、再度振り混ぜた。この遠心分離と再度振り混ぜる操作を3回行った。
(3)工程(c)超音波処理
このようにして得た混合物の入ったチューブを超音波発生機(浴槽型:媒体として水を使用)の浴槽にチューブが十分浸かるように設置し、周波数40kHz、強度0.25W/cm2で1分間超音波を照射し、照射後、30分間、4℃で放置した。
このように超音波処理した混合物を40μm孔のナイロンメッシュで濾過し、さらに、MS液体培地5mlを加えて洗浄する操作を3回くりかえし、ウイスカにより損傷した花茎組織片を得た。
(4)工程(d)アグロバクテリウムの感染
1)アグロバクテリウムの調製
β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子を保持する、公知の植物細胞形質転換用ベクターpIG121−Hm(「プラント・アンド・セル・フィジオロジー(Plant
and Cell Physiology)」、1990年、第31巻、p.805−813)をアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LBA4404)(Clontech社)に公知の凍結融解法(例えば、「植物細胞工学」、1992年、第4巻、第3号、p.193−203)により移行させた。
2)キクへの組換えベクターの導入
上記1)に記載のベクターpIG121−Hmを保持したアグロバクテリウム・ツメファシエンス菌(LBA4404)をLB培地で1昼夜培養した培養液に上記に記載の方法により損傷させられたキク花茎組織片100個を30分間浸漬処理した。浸漬処理後、共存培養培地(MS培地にショ糖30g/l、植物ホルモンとして、NAAを2.0mg/lとBAを1mg/l、カサミノ酸を1g/l、アセトシリンゴン20mg/lをそれぞれ加えpH5.2とし、寒天8g/lを加えた固体培地)に置床した。20℃の温度条件下で暗所にて3日間共存培養を行った。
(5)工程(e)形質転換植物の再生
共存培養後の花茎組織片100個を、50ml容の無菌の遠心管(内径27mm、長さ115mm)に移し入れ、洗浄液(MS液体培地にカルベニシリン300mg/lを加えたもの)30mlを加えて洗浄した。さらにこの操作を2回繰り返した後、無菌のろ紙を用いて余分な水分を取り除いた。
洗浄された花茎組織片は、選抜培地(MS培地にショ糖30g/l、植物ホルモンとして、NAAを2.0mg/lとBAを1mg/l、ジェネテシンを20mg/l、カルベニシリン300mg/lをそれぞれ加えpH5.8とし、寒天8g/lを加えた固体培地)で培養を行い、2週間おきに5回にわたり新しい選抜培地に移植した。
この培養に用いられる容器は、滅菌したフタ付きのプラスチック製シャーレ(直径9cm×高さ1.5cm)であり、シャーレ1枚あたり組織片10個を置床した。これを、20℃で明所(照度500ルクス、光照射16時間/日)にて約3か月間培養することにより組織片から不定芽が形成された。形成された不定芽を、メスを用いて組織片から切除して分離・採取し、これをMS培地にショ糖30g/l、カルベニシリン300mg/l、植物ホルモンとして、IAAを0.2mg/lを加え、pH5.8とし、寒天8g/lを加えた固体培地に置床した。これを、25℃の明所(照度3000ルクス、光照射16時間/日)で培養した。培養30日後に発根したキク形質転換植物体が得られた。
(6)形質転換体の確認(GUS活性の測定)
上記の工程(a)〜(e)を経て形成された形質転換植物体数を調査した。その調査のため、キク形質転換植物体におけるGUS遺伝子の発現の確認を、公知の染色方法(下記*参照)に準じて行った。
すなわち、形質転換キク植物体の葉(5mm角)を採取し、15ml容の遠心管(内径15mm、長さ)120mm)に入れ、染色用バッファー(2mM X−Gluc(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β―D−グルクロン酸)、50mM NaPO,pH7.0)を2ml添加して浸漬した。37℃で一晩保温した後、染色バッファーを取り除き、70%エタノールを10mlずつ添加して洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した。その結果、表1に示すとおり、いずれの植物体の葉においても青色の発色が認められ、GUS遺伝子が導入され、形質転換体であることが証明された。
このように、アグロバクテリウムに感染する前にウイスカにより組織片を損傷させることにより形質転換率が高まり、本発明による形質転換方法が、効率的なキク組織片への遺伝子導入方法であることが示された。
Figure 2005124487
(注1)組織片100個に対する形成された植物体数の割合を形質転換率(%)として算定した。
(注2)比較例1は、ウイスカ処理をしない点を除けば、実施例1と同様に実施した。
*「Plant Genetic Transformation and Gene Expression A
laboratory manual」 、p.324−327、Blackwell Scientific Publications LTD
本発明の方法を用いれば、例えば、花色改変遺伝子、耐虫性遺伝子などの有用遺伝子を導入した形質転換キク植物体が効率的に作出でき、種々のキク科植物に導入遺伝子の種類により新規な形質転換キク科植物を作製することができる。

Claims (4)

  1. 次の(a)〜(e)の各工程を含むことを特徴とするキク科植物の形質転換方法。
    (a)キク科植物の組織片を、植物ホルモンを含んだ培地で前培養する工程、
    (b)当該組織片をウイスカとともに液体中に分散させた後、遠心処理により当該組織片にウイスカを付着させる工程、
    (c)ウイスカが付着した当該組織片を超音波処理することにより損傷させる工程、
    (d)当該組織片と外来遺伝子を有するアグロバクテリウム細菌とを共存培養する工程、
    (e)共存培養した当該組織片を培養して形質転換植物を再生させる工程。
  2. キク科植物の組織片を、植物ホルモンを含んだ培地で前培養する期間が2〜8日であることを特徴とする、請求項1に記載のキク科植物の形質転換方法。
  3. 組織片が、茎、花茎、葉、根または花器であることを特徴とする、請求項1に記載のキク科植物の形質転換方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法により形質転換されたキク科植物。
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