JP2005120444A - 冷間打抜き加工用鋼、それを用いた部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鋼靭性で、かつ冷間打抜き時の打抜き面の面性状が良好な冷間打抜き加工用鋼を提供する。
【解決手段】 C:0.6〜0.9質量%と、Si:0.01〜1.0質量%と、Mn:0.01〜2.0質量%と、Cr:0.60〜8.00質量%、Nb:0.005〜0.060質量%、V:0.05〜0.50質量%、Al:0.03〜0.10質量%およびN:0.008〜0.050質量%の群から選ばれる少なくとも1種(ただし、Alを含む場合は、同時に、Nを含む)と、残部が不可避的不純物とFeから成り、かつ、各元素の含有量(質量%表示)の間では、次式:
a:149+17×C+13×Si+6×Mn+1×Cr≦178
b:19−4×C+6×Si−1×Mn+9×Cr+6×(Al×N)−0.25×調質硬さ(HRC表示)≧5
で示される関係が成立している冷間打抜き加工用鋼。
【選択図】 図1

Description

本発明は冷間打抜き用鋼とそれを用いた部材に関し、更に詳しくは、冷間での打抜き加工時の打抜き面の性状が良好であり、同時に高靭性でもある冷間打抜き加工用鋼と、その鋼を用いた高硬度・高靭性の部材に関する。
理想的な変速機といわれているCVT(Continuously Variable Transmission)は、基本的には、入力側プーリと出力側プーリの外周に金属ベルトを懸架した構造になっている。
そして、上記した金属ベルトは、数百のエレメントと2束のリングで構成されている。その1例を図4と図4のV−V線に沿う断面図である図5に示す。
まず、図4において、エレメント1は、下面がプーリシャフト(図示しない)に対向するボデー(body)1aと、これにネック(neck)1bを介して一体化している傘状のイアー(ear)1cとから成る板状体であり、そのエレメント1の両側には、それぞれスロット(slot)1dが形成されていて、このスロットに、複数枚の金属薄葉帯を積層して成るリング2,2が配置されている。そして、図2で示したように、複数枚のエレメント1が、互いの背と腹に微小間隔を置き、それぞれの突起1fとくぼみ1gが噛みあった状態で、リング2の長手方向に隣接して配列されている。
この金属ベルトは、そのエレメントボデー1aの側端が入力側プーリと出力側プーリの溝壁に接触した状態でプーリ間に懸架され、入力側プーリの動力で両プーリ間を高速で周回する。そして、その過程で、プーリの間隔を変化させることにより、変速比を連続的に変化させる。
なお、この周回過程で、周回方向に隣接して配列するそれぞれのエレメント1は、プーリシャフトの周面ではその周面に沿って次々と半円運動をするので、その運動を円滑に行わせるために、ボデー1aの一方の面には、所定の角度で傾斜する傾斜面1eが形成されている。
ところで、プーリは、材料として通常肌焼鋼が用いられ、その表面に浸炭処理を施したのち焼入れ・焼戻しして製造されており、その表面の硬度は非常に高い。
したがって、このプーリと組合わさるエレメントも、高硬度で耐摩耗性に優れていることが要求される。このようなことから、エレメントの材料としては、高炭素工具鋼、具体的にはJIS SKS95が使用されている。
そして、この鋼種を用いることにより、次のようにしてエレメントが製造されている。
まず、例えばJIS SKS95の鋼材を球状化焼鈍後、冷間圧延して所定厚みの帯鋼にする。ついで、低温焼鈍を行って、鋼を軟質化する。
ついで、軟質化した帯鋼に冷間打抜き加工を行って、図4で示したような平面視形状のエレメントを打ち抜く。このときの打抜き加工には、ファインブランキング(精密打抜き)が適用され、前記した傾斜面1eおよび突起/へこみ1f,1gも同時に加工される。
また、冷間圧延時に前記した傾斜面1eを付けた異形鋼帯を作製し、ついで、低温焼鈍を行って軟質化したのち、冷間打抜き加工を行って、図4で示したような平面視形状のエレメントを打ち抜くという工程でも作られる。このときの打抜き加工でもファインブランキングが適用され、突起/へこみ1f,1gも同時に加工される。
得られたエレメントに対しては、ついで焼入れと焼戻しを順次行って高硬度にする。
なお、上記した一連の製造工程において、冷間打抜きで加工されたエレメント前駆体の打抜き面、とりわけリングと接触するスロット面が大きく粗面化することがある。その場合には、当該粗面に研削加工を施して面粗度を小さくすることが行われるが、その作業は、精度確保の点から焼戻し後に行われている。
ところで、エレメント用鋼は、主として急加速時に発生する衝撃的な加重を受けても破損しないような高靱性の鋼であることが必要とされる。仮に、大きな衝撃荷重を受けて、数百個のエレメントのうち1個でも破損すると、金属ベルトの全体が分解して使用不能になるからである。
しかしながら、JIS SKS95鋼でエレメントを製造する場合、焼入れ時にその結晶粒が粗大化して靭性の低下が引き起こされるという問題がある。
また、このJIS SKS95鋼の場合、冷間打抜き後の打抜き面の面性状は概して良好とはいえない。そのため、面粗度が小さいことが必要であるスロットル面は、打抜き面を更に研削する必要がある場合が多い。
そして、この研削加工は、エレメントの寸法精度を確保するために、焼入れ−焼戻しが終了してから行われる。
しかしながら、焼入れ、焼戻しが終了した時点では、この鋼種は高硬度になっている。そのため、研削工具、研削時間などの点で研削加工におけるコスト負担は極めて大きいものになる。
このように、JIS SKS95鋼の場合、冷間打抜きで製造するエレメントの材料としてみた場合、靭性の点、打抜き面の面性状の点で問題があり、その改善が求められる。
なお、鋼の靭性低下を抑制するためには、例えば所定量のMoを配合して結晶粒間の粒界強度を高めたり、またNiを配合して結晶粒の粒内強度を高める方法が公知である。
しかしながら、この方法をエレメント用鋼に適用すると、確かに靭性向上にとっては効果的ではあるが、他方では前記した低温焼鈍時の加熱処理で処理後の鋼の硬度が上昇し、冷間打抜き後の打抜き面の面性状は劣化し、結局、高コストの研削加工を行わざるを得なくなるという問題がある。
本発明は、これらの問題を踏まえて開発された冷間打抜き加工用鋼であって、冷間打抜き前に充分軟質化しているので、冷間打抜き後の打抜き面の面性状も良好になる新規な冷間打抜き加工用鋼の提供を目的とする。
また、本発明は、この冷間打抜き加工用鋼を用いた高靭性で高硬度の部材、特に、CVT金属ベルトのエレメントとして好適な部材の提供を目的とする。
なお、この部材は、同様の工法で製作されるCVT用もしくは通常のチェーンのリンクプレートや、丸鋸、帯鋸などにも使用することができる。
上記した目的を達成するために、本発明においては、C:0.6〜0.9質量%と、Si:0.01〜1.0質量%と、Mn:0.01〜2.0質量%と、Cr:0.60〜8.00質量%、Nb:0.005〜0.060質量%、V:0.05〜0.50質量%、Al:0.03〜0.10質量%およびN:0.008〜0.050質量%の群から選ばれる少なくとも1種(ただし、Alを含む場合は、同時に、Nを含む)と、残部が不可避的不純物とFeから成り、かつ、各元素の含有量(質量%表示)の間では、次式:
a:149+17×C+13×Si+6×Mn+1×Cr≦178
b:19−4×C+6×Si−1×Mn+9×Cr+6×(Al×N)−0.25×調質硬さ(HRC表示)≧5
で示される関係が成立していることを特徴とする冷間打抜き加工用鋼が提供される。
その場合、Ni:0.10〜1.5質量%、または/およびMo:0.05〜0.4質量%が含有されていてもよく、また、Pまたは/およびSの含有量がP:0.025質量%以下、S:0.010質量%以下に規制されていることを好適とし、更には、前記各元素の含有量(質量%表示)の間では、次式:
a’:149+17×C+13×Si+6×Mn+250×P+5×Ni+1×Cr+16×Mo≦178
b’:19−14×C+6×Si−1×Mn−11×P+5×Ni+9×Cr+14×Mo+8×Nb+6×[Al×N]+13×Nb−0.25×調質硬さ(HRC表示)≧5
で示される関係が成立していることを好適とする。
また、本発明においては、上記した冷間打抜き加工用鋼を用いて製造された部材であって、硬さがHRC55以上で、かつ、JIS G0551で規定する方法で測定された結晶粒度番号が9以上であることを特徴とする部材が提供される。
本発明の鋼は、a(a’)式とb(b’)式が同時に成立するように設計されているので、冷間打抜き後の打抜き面の最大粗さ(Rmax)はJIS値のRyで8μm以下となり、しかも、図6で示した試験片を用いて測定したシャルピー衝撃値は50J/cm2以上となる。
したがって、この鋼は、CVT金属ベルトのエレメント用素材として使用したときに、コスト負担の大きい研削工程を省略することもでき、従来に比べて安価に高靱性で高硬度のエレメントを製造することが可能となる。
本発明の鋼を開発するに当たり、以下の特性項目が目標値として設定されている。
(1)冷間打抜き加工後の打抜き面の最大粗さが、JIS B0601で規定するRyで8μm以下であること。
その理由は、打抜き面の面粗度が上記値を満たしていれば、現時点においては、研削加工不要と評価することができるからである。
(2)冷間打抜き加工の前段において、温度680〜740℃で3時間以上の加熱後に、30℃/hr以下の速度で冷却する球状化焼鈍処理後の鋼の硬度がHRB値で89以下であること。
その理由は、鋼のHRB値が上記した値を満たしていれば、冷間圧延−低温焼鈍後も充分軟質であり、冷間打抜き後の打抜き面の面粗度を(1)で示した目標値にすることが容易であるからである。
(3)靭性は、焼入れ−焼戻し後の材料のL方向において、図6で示した試験片を用いて試験したときのシャルピー衝撃値で50J/cm2以上であること。
その理由は、例えばエレメントとして使用した場合、図6で示した試験片を用いて試験したときのシャルピー衝撃値が50J/cm2以上であれば、充分に靭性に関する要求特性を充足すると考えられるからである。
本発明の鋼は、上記した目標値を充足させるために、組成が設計され、また各成分の含有量(質量%表示)の関係が規定されている。
その場合、前記したa(a’)式は、打抜き面の最大粗さを8μm以下にするために、各元素が寄与する度合を示す回帰式である。そして、このa(a’)式の左辺の計算値が大きくなればなるほど、鋼の球状化焼鈍後における硬度が高くなり、ひいては打抜き面の面性状は劣化することを意味している。
また、b(b’)式は、シャルピー衝撃値を50J/cm2以上にするために、各元素が寄与する度合を示す回帰式であって、このb(b’)式の左辺の計算値が大きくなればなるほど、鋼の靭性も高くなることを意味している。
なお、b(b’)式における調質硬さとは、鋼の冷間打ち抜き加工後に焼き入れ−焼き戻しを行った時点における硬度であり、ロックウエル硬さ(HRC)で表示されている。
最初に、各成分とその含有量について説明する。
Cは、焼入れ後の硬さ、耐摩耗性を確保するために0.6質量%以上は必要である。また0.9質量%より多い場合は、後述するa(a’)式の左辺の計算値を大きくして打抜き面の面性状を劣化させ、またb(b’)式の左辺の計算値を小さくして鋼の靭性を低下させるようになる。
このようなことから、その含有量は0.6〜0.9質量%に設定される。
Siは脱酸剤として配合され、その含有量は0.01〜1.0質量%に設定される。含有量が0.01質量%より少ない場合は、脱酸が充分でなくなり、1.0質量%より多くなると、a(a’)式左辺の計算値を大きくして打抜き面の面性状を劣化させる。
Mnは焼入れを確保するために配合され、その含有量は0.01〜2.0質量%に設定される。
含有量が0.01質量%より少ない場合は、充分な焼入れ性を確保できないという問題が生じ、また2.0質量%より多くすると、a(a’)式左辺の計算値を大きくして打抜き面の面性状に悪影響を与え、またb(b’)式左辺の計算値を小さくして鋼の靭性低下を招くようになる。
本発明の鋼は、上記した成分に加えて、Cr、Nb、V、Al、Nの1種または2種以上の元素を必須成分として含有している。ただし、Alが含有されている場合は、同時にNも含有されていなければならない。
上記した元素のうち、Cr、Nb、Vは、いずれも、主として鋼の成分であるCとの間で、またNが含有されている場合はNとの間で鋼の結晶粒界に微細な炭化物や窒化物を析出させてピンニング効果を発揮することにより、球状化焼鈍後における鋼の硬度を高めることなく、焼入れの過程で進行する結晶粒の粗大化を抑制して結晶粒の微細化を確保し、鋼の靭性向上に資する成分である。
また、Alは、同時に含有されるNと結合して微細なAl窒化物となり、これが析出することにより、Cr、Nb、Vと同様に、球状化焼鈍後における鋼の硬度を高めることなく、鋼の靭性向上に資する。
上記した元素の少なくとも1種が含有されていることにより、本発明の鋼は、球状化焼鈍後にあっても軟質であるため、冷間打抜き加工を円滑に進めることができ、打抜き面の面性状は良好になる。
そして、Crを含有させる場合、その含有量は0.06〜8.00質量%に設定される。含有量が0.06質量%より少ない場合は、炭化物や窒化物の析出量が少なくなって、b(b’)式左辺の計算値は小さくなり、鋼の靭性低下が引き起こされるようになる。また、8.00質量%より多くすると、球状化焼鈍後の硬度が上昇し、a(a’)式左辺の計算値も大きくなって、打抜き面の面性状は悪化し、その最大粗さを8μm以下という目標値にすることができなくなる。
また、Nbを含有させる場合には、その含有量は0.005〜0.060質量%に設定される。含有量が0.005質量%より少なく、また0.060質量%より多くすると、Crの場合と同じ理由で、それぞれ、靭性低下、打抜き面の面性状の悪化が引き起こされる。
更に、Vを含有させる場合、その含有量は0.05〜0.50質量%に設定される。上記数値限定の理由は、CrまたはNbの場合と同じである。
これらCr、Nb、Vは、それぞれ単独で含有させてもよく、また2種以上を適宜組み合わせて含有させてもよい。ただし、2種以上を含有させる場合であっても、それぞれの元素の含有量は、上記した範囲内に設定されることが必要である。
Alを含有させる場合には、同時にNを含有させることが必要である。ピンニング効果を発揮する微細なAl窒化物(AlN)を析出させるためである。
その場合、Alの含有量は0.003〜0.10質量%、Nの含有量は0.008〜0.050質量%に設定される。
両者の含有量がそれぞれ、上記した下限値より少ない場合は、微細なAl窒化物の析出量が少なくなり、b(b’)式左辺の計算値は小さくなり、鋼の靭性低下が引き起こされる。また、上記した上限値より多くすると、Alの場合は、結晶粒の粗大化を防止する効果が飽和してコストアップになり、Nの場合は、鋳造時に溶けきれなくなったN2が気泡をつくり、鋳片の欠陥になる。
本発明の鋼は、更に、Ni,Moの1種または2種が含有されていると、Niの粒界強化、Moの粒界強化の効果が発現して鋼の靭性向上にとっては好適である。
その場合、打抜き面の最大粗さ(Ry)を8μm以下にするための各元素の寄与度に関する回帰式は、前記したa’式で表され、また靭性の目標値との関係における回帰式は、前記したb’式で表される。
Ni,Moの含有量が少なすぎると、b’式左辺の計算値は小さくなり、靭性の向上効果が不充分であり、また含有量が多すぎると、a’式左辺の計算値が大きくなって、打抜き面の面性状は悪化するので、Niの場合は0.10〜1.5質量%,Moの場合は0.05〜0.4質量%に設定されることが好ましい。
また、不可避的不純物のうち、Pの含有量が多くなると、a’式左辺の計算値が大きくなって打抜き面の面性状は悪化するので、その含有量は0.025質量%以下に規制されることが好ましい。
不純物であるSの含有量が多くなると、必須成分であるMnとの間でMnSを生成し、このMnSが圧延時に圧延方向(L方向)に延伸することになるので、得られた鋼のT方向(L方向と直交する方向)における靭性が極度に低下する。そのため、その含有量は0.010質量%以下に規制することが好ましい。
本発明の鋼は、以上の設計思想で製造されているので、まず、
(1)例えば、温度750℃で4時間の加熱後に炉冷する球状化焼鈍を行ったときに、そのビッカース硬さ(HRB)が89以下になる。
(2)また、(1)の条件で球状化焼鈍を行った厚み1.5mmの板を、クリアランス0.035mm、カウンタパンチ荷重15tonの条件で縦30mm、横30mmの正方形の板に冷間打抜き加工した場合、その打抜き面の面粗度は8μm以下になる。
(3)そして、温度840℃のソルトバスで0.5時間の加熱後に油冷して焼入れ、ついで温度180℃のオイルバスで1時間の焼戻し後に空冷する焼入れ−焼戻し後において、そのロックウェル硬さ(HRC)は55以上で、かつ、JIS G0551で規定する結晶粒度番号は9以上の微細な結晶粒度を示す。
そのため、鋼の靭性は、シャルピー衝撃値で50J/cm2以上になっている。
本発明の部材は、上記した鋼を球状化焼鈍し、所定形状に打抜き加工し、焼入れ−焼戻ししたものであるため、その打抜き面の最大粗さは8μm以下、HRCは55以上、結晶粒度番号は9以下で、シャルピー衝撃値が50J/cm2以上と高靭性になっている。
実施例1〜6、比較例1〜11
(1)鋼の調製
50kg真空溶解炉を用いて、表1に示す組成の各種の鋼を溶製し、それぞれにつき、50kgインゴットを鋳造した。なお、表1には、各鋼につき、a(a’)式とb(b’)式の左辺の計算値も示した。
なお、表1で、b(b’)式左辺の計算値における調質硬さの値は、後述するシャルピー衝撃値の測定時に用いた各試験片について測定した値(表2に表示)が用いられている。
Figure 2005120444
(2)冷間打抜き
表1で示したインゴットを、温度1150℃で5時間加熱後に熱間鍛造を行って、断面寸法が縦35mm、横35mmである直方体の鍛造品を製造した。
ついで、この鍛造品に、温度900℃で1時間の熱処理−空冷の焼ならしを行ったのち、温度750℃で4時間の熱処理−炉冷の球状化焼鈍を行った。球状化焼鈍後には、それぞれ、HRB値を測定した。
ついで、冷間圧延して、幅80mm、厚み1.5mmの帯鋼にしたのち、温度720℃で4時間の熱処理−炉冷の焼なましを行った。
ついで、焼なまし後の帯鋼に対し、下記の条件で冷間打抜き加工を行って、縦30mm、幅30mm、厚み1.5mmの試片を製造した。
条件:板厚1.5mm、打抜き寸法;縦30mm、横30mm、カウンタパンチの荷重15ton、クリアランス0.035mm。
得られた試片各3枚につき、打抜き面(4面)の面粗度(Ry)を測定し、L方向とT方向のそれぞれにおける平均値を求めた。
(3)シャルピー衝撃値、HRC値、結晶粒度の測定
各試片に、温度840℃で5時間−油冷の焼入れを行い、試片中央部を切断して樹脂に埋め込み、切断面の研磨−腐食を行い、当該中央切断面につき、JIS G0551に準拠して結晶粒度を測定した。
一方、シャルピー衝撃値と硬さ(HRC値)は次のようにして測定した。
まず、各インゴットにつき、温度1150℃で5時間加熱後に、L方向衝撃値調査材では断面寸法が縦35mm、横35mm、T方向衝撃値調査材では断面寸法が幅80mm、厚み15mmとなるように行って試片を製造した。
ついで、試片を横6mm、縦11mm、長さ55mmに粗加工した。L方向衝撃値調査材の場合は、長さ55mmがL方向に、T方向衝撃値調査材の場合は、長さ55mmがT方向になるように加工した。それに、前記した条件の焼入れ−焼戻しを行ったのち、精加工を行い、縦5mm、横10mm、長さ55mmで、中央部に、最高深さが2mmであるR10ノッチを有する図6で示したシャルピー衝撃試験片を製造した。
そして、この試験片を用いてシャルピー衝撃試験を行い、各試験片のシャルピー衝撃値を求めた(n=3の平均値)。
ついで、試験済みの試験片を用いて、調質硬さ(HRC値)を測定した。各試験片3本につきそれぞれ4点測定し、その平均値を求めた。
Figure 2005120444
(4)結果の解析
まず、表1と表2のデータに基づいて、球状化焼鈍後の硬度(HRB)と打抜き面の最大粗さの関係を図1に示す。
また、a(a’)式と打抜き面の最大粗さの関係を図2に示す。
図1と図2から明らかなように、試片a1〜a6、すなわち実施例1〜6と、試片b1(比較例1)、試片b7(比較例7)、試片b11(比較例11)は、いずれも、球状化焼鈍後の硬度(HRB)は89以下であり、そして打抜き面の最大粗さが8μmより小さくなっていて、目標値を満たしている。そして、目標値を満たしているこれら試片の場合、いずれも、a(a’)式左辺の計算値は178より小さくなっている。
次に、表1と表2に基づいて、シャルピー衝撃値(L方向)とb(b’)式左辺の計算値との関係を図3に示す。
図3から明らかなように、試片a1〜a6(実施例1〜6)と、試片b3(比較例3)、試片b4(比較例4)、試片b7(比較例7)、試片b8(比較例8)、試片b10(比較例10)は、いずれも、シャルピー衝撃値が50J/cm2以上であって目標値を満たしている。
そして、目標値を満たしているこれらの試片の場合、b(b’)式左辺の計算値は5より大きい値になっている。
したがって、打抜き面の最大粗さの目標値とシャルピー衝撃値の目標値の双方を満たしているのは、試片a1〜a6(実施例1〜6)と試片b7(比較例7)である。
しかしながら、比較例7は、S含有量が多いのでMnSがL方向に延伸していて、T方向のシャルピー衝撃値は30J/cm2と低い値になっている。
このようなことから、本発明で規定した組成で、かつ、a(a’)式とb(b’)式が成立している鋼は、冷間打抜き加工時の打抜き面の良好な面性状と鋼靭性を両立させる鋼になっている。
本発明の鋼は、高靭性であり、しかも冷間打抜き加工時の打抜き面の最大粗さも8μm以下となっているので、例えばCVT用金属ベルトのエレメント、CVT用もしくは通常のチェーンのリンクプレート、丸鋸、帯鋸の材料として利用することができる。
球状化焼鈍後の硬さと冷間打抜き面の最大粗さとの関係を示すグラフである。 a(a’)式左辺の計算値と冷間打抜き面の最大粗さとの関係を示すグラフである。 b(b’)式左辺の計算値とシャルピー衝撃値の最大粗さとの関係を示すグラフである。 CVT金属ベルトのエレメントを示す平面図である。 図4のV−V線に沿う断面図である。 シャルピー衝撃試験を行うときの試験片の形状を示す斜視図である。
符号の説明
1 エレメント
1a ボデー
1b ネック
1c イアー
1d スロット
1e 傾斜面
1f 突起
1g へこみ
2 リング

Claims (5)

  1. C:0.6〜0.9質量%と、Si:0.01〜1.0質量%と、Mn:0.01〜2.0質量%と、Cr:0.60〜8.00質量%、Nb:0.005〜0.060質量%、V:0.05〜0.50質量%、Al:0.03〜0.10質量%およびN:0.008〜0.050質量%の群から選ばれる少なくとも1種(ただし、Alを含む場合は、同時に、Nを含む)と、残部が不可避的不純物とFeから成り、かつ、各元素の含有量(質量%表示)の間では、次式:
    a:149+17×C+13×Si+6×Mn+1×Cr≦178
    b:19−4×C+6×Si−1×Mn+9×Cr+6×(Al×N)−0.25×調質硬さ(HRC表示)≧5
    で示される関係が成立していることを特徴とする冷間打抜き加工用鋼。
  2. Ni:0.10〜1.5質量%、または/およびMo:0.05〜0.4質量%が含まれている請求項1の冷間打抜き加工用鋼。
  3. Pまたは/およびSの含有量が、P:0.025質量%以下、S:0.010質量%以下に規制されている請求項1または2の冷間打抜き加工用鋼。
  4. 前記各元素の含有量(質量%表示)の間では、次式:
    a’:149+17×C+13×Si+6×Mn+250×P+5×Ni+1×Cr+16×Mo≦178
    b’:19−14×C+6×Si−1×Mn−11×P+5×Ni+9×Cr+14×Mo+8×Nb+6×[Al×N]+13×Nb−0.25×調質硬さ(HRC表示)≧5
    で示される関係が成立している請求項2または3の冷間打抜き加工用鋼。
  5. 請求項1〜4のいずれかの鋼を用いて製造された部材であって、硬さがHRC55以上で、かつ、JIS G0551で規定する方法で測定された結晶粒度番号が9以上であることを特徴とする部材。
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