JP2005120200A - 回転成形用熱可塑性樹脂組成物および回転成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴム状重合体粒子の表面にグラフトしているビニル系単量体を主成分とするグラフト重合体層の平均厚さが80〜120Åのグラフト共重合体(A)20〜60重量部に、還元粘度(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)が0.2〜0.6dl/gである共重合体(B)40〜80重量部〔成分(A)、(B)の合計100重量部〕を配合した回転成形用熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
ゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリレート系単量体のうち少なくとも1種類以上の単量体をグラフト重合したグラフト共重合体(A)20〜60重量部と、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリレート系単量体のうち少なくとも1種類以上の単量体を重合してなる還元粘度(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)が0.2〜0.6dl/gである共重合体(B)40〜80重量部〔成分(A)、(B)の合計100重量部〕である熱可塑性樹脂組成物において、該グラフト重合体中に分散しているゴム状重合体粒子の表面にグラフトしているビニル系単量体を主成分とするグラフト重合体層の平均厚さが80〜120Åであることを特徴とする回転成形用熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
本発明において使用されるグラフト共重合体(A)は、ゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリレート系単量体のうち少なくとも1種類以上の単量体をグラフト重合して得られるものである。これらゴム状重合体と単量体との構成割合については特に制限はないが、好ましくはゴム状重合体20〜80重量%および単量体(合計)80〜20重量%である。
また、これらゴム状重合体の重量平均粒子径については特に制限はないが、0.05〜1.0μmであることが好ましい。
上記グラフト重合体(A)において、ゴム粒子表面にグラフトしているビニル系単量体を主成分とするグラフト重合体層の平均厚さは80〜120Åである。この平均厚さが80Å未満のグラフト層のゴム粒子では、耐衝撃性に劣り好ましくない。一方、平均厚さが120Åを超えると、未溶融の部分が発生し易く、平滑性に劣り好ましくない。
なお、滑剤(C)の使用割合については特に制限はないが、上記熱可塑性樹脂組成物100重量部当たり0.01〜10重量部である。
〔グラフト重合体層の平均厚さの測定法〕
樹脂組成物をアセトンに溶かし、その溶解液を遠心分離処理する。上澄み液を除去し、沈殿したゲル分を再度アセトン中に分散させ、市販のエポキシ系接着剤(ここでは、セメダイン株式会社の商品、ハイスーパー30を使用)の主剤にこの分散液を数滴加えてよく混合した後、真空乾燥でアセトンを除去する。その後、硬化剤を加え加熱処理する事で、ゲル分がよく分散した試験片が得られる。
上記の方法で作成した試験片を、四酸化オスミウム(OsO4)で染色した後、クライオミクロトームを用いて−60℃で低温切削し超薄切片を切り出す。さらに、得られた超薄切片を四酸化ルテニウム(RuO4)で再染色し、透過型電子顕微鏡で観察及び写真撮影した。四酸化オスミウムでは、エポキシ樹脂部分が染色され、さらに、四酸化ルテニウムでゴム部分とグラフト重合体層が染め分けられるため、ゴム粒子表面でリング状の形態を持つグラフト重合体層の観察が可能となる。
グラフト重合体層の厚み計測は、画像解析装置(旭化成工業(株)製 IP−1000PC)を用いて以下の手順で行った。個々のゴム粒子について、表面のグラフト重合体層を含む面積の計測からその円相当径(半径)を求め、さらに表面のグラフト重合体層を除くゴム部分についても同様に円相当径(半径)を求めた。両者の差がグラフト重合体層の厚みを示す。本発明では、グラフト重合体層の平均厚みとはゴム粒子15個以上について測定した平均値である。
本発明をさらに具体的に説明するために以下に実施例及び比較例を挙げて説明する。しかし、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
グラフト共重合体(A−1):窒素置換した反応器にポリブタジエンラテックス(数平均粒子径0.35μm、ゲル含有量85%)50部(固形分)、水150部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.1部、硫酸第2鉄0.001部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部を入れ、70℃に加熱後、スチレン35部、アクリロニトリル15部およびキュメンハイドロパーオキサイド0.2部からなる混合物を4時間に亘り連続的に添加し、更に70℃で2時間重合した。その後、塩析・脱水・乾燥後、グラフト重合体層の平均厚さ100Åのグラフト共重合体(A−1)を得た。
共重合体(B−1):窒素置換した反応器に、純水130部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、アクリロニトリル30部およびスチレン70部、t-ドデシルメルカプタン 0.4部からなる混合モノマー溶液およびオレイン酸カリウム1部を含む乳化剤水溶液30部を各々4時間に亘って連続添加し、更に65℃で2時間重合した。塩析、脱水、乾燥後、還元粘度(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)が0.30dl/gの共重合体(B−1)を得た。
0.05部からなる混合モノマー溶液およびオレイン酸カリウム1部を含む乳化剤水溶液30部を各々4時間に亘って連続添加し、更に65℃で2時間重合した。塩析、脱水、乾燥後、還元粘度(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)が0.80dl/gの共重合体(B−i)を得た。
C−1:エチレンビスステアリン酸アミド(カオーワックスEB−FF 花王株式会社製)
上記各成分につき、表1に示された配合割合で各成分を混合し、押出機にて溶融・混合・ペレット化した後、冷凍粉砕機にて粉末状にした。得られた粉末状熱可塑性樹脂組成物につき、回転成形機(江南特殊産業社製)を用いて、成形温度340℃の条件で500mm角の正方形の製品を作成した。この成形品を用いて、以下の評価を実施した。結果を表1に示す。
○:平滑であり良好
△:若干未溶融の部分が見られるが実用上問題無し
×:未溶融部分が多く実用上問題あり
肉厚分布:マイクロメーターを用いてコーナー部および中央部それぞれ計3点の断面部肉厚を測定し、最大肉厚部と最小肉厚部の厚みの差を求めた。
衝撃強度:高さ2mより製品を自由落下させ、製品のヒビあるいは割れの状態を確認した。
○:異常なし
△:微細なひび割れ有り
×:大きなひび割れ、あるいは破壊発生
Claims (5)
- ゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリレート系単量体のうち少なくとも1種類以上の単量体をグラフト重合したグラフト共重合体(A)20〜60重量部と、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリレート系単量体のうち少なくとも1種類以上の単量体を重合してなる還元粘度(N,N−ジメチルホルムアミド0.3%溶液、30℃)が0.2〜0.6dl/gである共重合体(B)40〜80重量部〔成分(A)、(B)の合計100重量部〕である熱可塑性樹脂組成物において、該グラフト重合体中に分散しているゴム状重合体粒子の表面にグラフトしているビニル系単量体を主成分とするグラフト重合体層の平均厚さが80〜120Åであることを特徴とする回転成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 該熱可塑性樹脂組成物100重量部当たり、さらに滑剤(C)を0.01〜5重量部添加したことを特徴とする請求項1記載の回転成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 滑剤(C)が、脂肪酸アミド、高級脂肪酸(金属塩)、炭化水素系ワックスの少なくとも1種である請求項1記載の回転成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融・混合・ペレット化した後、粉砕機により紛末状に加工した回転成形用熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3何れかに記載の回転成形用熱可塑性樹脂組成物を回転成形して製造された回転成形品。
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