JP2005119982A - 珪素化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 薄膜形成用プレカーサに適した珪素化合物、該珪素化合物を含有する薄膜形成用原料、及び該薄膜形成用原料を用いた薄膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】 下記一般式(I)で表される珪素化合物。
【化1】
Figure 2005119982

【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の有機酸及び特定のエーテルアルコールを配位子とする新規な珪素化合物、該珪素化合物を含有してなる薄膜形成用原料及び該薄膜形成用原料を用いた珪素含有薄膜の製造方法に関する。本発明の新規な珪素化合物は、薄膜形成用材料、特に、MOD法、及びALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単にCVDと記載することもある)法に用いられる薄膜形成用原料に有用である。
珪素を含有する酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の薄膜は、層下や層間絶縁膜、高誘電体キャパシタ、強誘電体キャパシタ、ゲート絶縁膜、拡散防止バリア膜等の電子部品の部材や、レーザ発信器、光ファイバ、光導波路、光増幅器、光スイッチ等の光学ガラスを用いた光通信デバイスの部材として用いられている。
上記の薄膜の製造法としては、火焔堆積法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられるが、組成制御性及び段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能であること等の多くの長所を有しているので、ALD法を含む化学気相成長法が最適な製造プロセスである。
MOD法やCVD法において用いられるプレカーサには、揮発させて使用するのに充分な蒸気圧を有すること、液体であること、及び薄膜形成に適する分解特性を有することが求められている。薄膜に珪素を供給する珪素プレカーサとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等に代表されるアルコールを配位子とするアルコキシド化合物が知られている。しかし、これらのアルコキシド化合物は、上記要求をすべて満足できるものではなく、特に、分解特性については、熱分解、酸化分解、加水分解しにくいという特性がある。そのため、多成分系薄膜作成のため珪素プレカーサよりも分解しやすい他のプレカーサを併用する場合や、ALD法やゾルゲル法等の加水分解を伴う場合に、薄膜形成が困難であった。とりわけ熱分解のみにより薄膜を作成する場合には、この問題が顕著になり、薄膜にほとんど珪素成分を導入することができない。
また、下記特許文献1には、珪素プレカーサとして、本発明の珪素化合物の配位子に使用されているエーテルアルコールを用いたアルコキシド化合物を使用することが報告されており、下記特許文献2には、本発明の珪素化合物の配位子に使用されている有機酸を用いた酢酸珪素及びジアセトキシジ第三ブトキシシランが報告されているが、これらも上記問題を充分に解決できるものではなかった。
特開平6−321824号公報 特表2002−514004号公報
解決しようとする問題点は、上述したように、薄膜形成用プレカーサとして適する特性を有する珪素化合物がいままでなかったということである。
従って、本発明の目的は、薄膜形成用プレカーサに適した珪素化合物、該珪素化合物を含有する薄膜形成用原料、及び該薄膜形成用原料を用いた薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の有機酸及び特定のエーテルアルコールを配位子とする珪素化合物が、上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される珪素化合物、該珪素化合物を含有してなる薄膜形成用原料、及び該薄膜形成用原料を用いて珪素含有薄膜を形成する薄膜の製造方法を提供するものである。
Figure 2005119982
本発明によれば、薄膜形成用プレカーサとして適した特性を有する珪素化合物を提供することができ、該珪素化合物は、熱分解のみにより薄膜に酸化珪素成分を供給するプレカーサとして特に有用である。また、該珪素化合物を含有してなる薄膜形成用原料を用いると、所望量の珪素成分が導入された薄膜を製造することができる。
本発明の珪素化合物を表す上記一般式(I)において、R1で表されるフッ素原子で置換されてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオルエチル、ヘプタフルオロプロピル、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル等が挙げられる。R2で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチルが挙げられる。
また、上記一般式(I)において、Aで表されるアルカンジイル基は、炭素数の合計が2〜8のものであれば、直鎖でもよく、任意の位置に1以上の分岐を有していてもよい。Aで表される該アルカンジイル基としては、例えば、下記一般式(II)で表される基が挙げられる。
Figure 2005119982
上記一般式(II)において、R3〜R8で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、上記R1で例示の基が挙げられる。
本発明の珪素化合物は、従来の珪素化合物に比べて熱分解性が良好なので、MOD法、CVD法及びALD法に用いられる薄膜形成用原料に含有させるプレカーサとして有用である。
CVD法やALD法においては、珪素化合物は、揮発させて用いられるので、使用に適する揮発性を有していることが必要であるが、分子量があまり大きいと充分な揮発性が得られない。そのため、CVD法やALD法に用いられる薄膜形成用原料におけるプレカーサとしては、上記一般式(I)において、R1がメチル基のものが好ましく、更には−O−A−O−R2で表されるエーテルアルコール中のトータルの炭素数が8以下のものが好ましい。本発明の珪素化合物の好ましい具体例としては、下記化合物No.1〜18が挙げられる。
Figure 2005119982
Figure 2005119982
Figure 2005119982
本発明の珪素化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造することができる。その製造方法としては、例えば、珪素のハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩と、該当するアルコール化合物とを、ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート、アンモニア、アミン、ピリジン等の塩基の存在下で反応させ、m個のアルコールが配位し、4−m個のハロゲン又は硝酸残基を有する中間体を合成してから、該当する有機酸化合物と該中間体とを反応させる方法;珪素のハロゲン化物、硝酸塩等の無機塩と、該当するアルコール化合物のナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシドとを反応させて、m個のアルコールが配位し、4−m個のハロゲン又は硝酸残基を有する中間体を合成してから、該当する有機酸化合物と該中間体とを反応させる方法;上記のアルコキシド化反応を用いて、該当するテトラアルコキシドを合成してから、4−m個のアルコキシ基を有機酸残基に交換する方法が挙げられる。
本発明の薄膜形成用原料は、以上説明した本発明の珪素化合物を薄膜形成のプレカーサとして含有するものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される薄膜の製造方法(例えば、火焔堆積法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、ALD法を含む化学気相成長法)によって異なる。
例えば、本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長(CVD)用原料である場合、その形態は、使用されるCVD法の輸送供給方法等の手法により、適宜選択されるものである。
上記の輸送供給方法としては、CVD用原料を原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に堆積反応部へと導入する気体輸送法、CVD用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、堆積反応部へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(I)で表される本発明の珪素化合物そのものがCVD用原料となり、液体輸送法の場合は、上記一般式(I)で表される本発明の珪素化合物そのもの又は該珪素化合物を有機溶剤に溶かした溶液がCVD用原料となる。
また、多成分系のCVD法においては、CVD用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、本発明の珪素化合物と他の成分のプレカーサとの混合物或いは混合溶液がCVD用原料である。
上記のCVD用原料に使用する有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることが出来る。該有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類;フラン、ピラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、エチルメチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、ジメチシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;アセトニトリル、1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類;ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ルチジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリドン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン等の窒素含有環状化合物類等が挙げられ、これらは、溶質である化合物の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、1種類又は2種類以上の混合物で用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中における本発明の珪素化合物及び他の成分のプレカーサの合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
また、多成分系のCVD法の場合において本発明の珪素化合物と共に用いられる他の成分のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを、所望の薄膜組成を与える量で用いることができる。
上記の他の成分のプレカーサとしては、例えば、薄膜にリン、ホウ素又は金属原子を供給することができる化合物が挙げられる。金属原子を供給することができる化合物は、金属原子及び配位子から構成される。該金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1族元素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2族元素、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド元素(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、アクチノイド元素等の3族元素、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムの4族元素、バナジウム、ニオブ、タンタルの5族元素、クロム、モリブデン、タングステンの6族元素、マンガン、テクネチウム、レニウムの7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウムの8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムの9族元素、ニッケル、パラジウム、白金の10族元素、銅、銀、金の11族元素、亜鉛、カドミウム、水銀の12族元素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの13族元素、ゲルマニウム、錫、鉛の14族元素、砒素、アンチモン、ビスマスの15族元素、ポロニウムの16族元素が挙げられる。
また、上記の他の成分のプレカーサを構成する配位子としては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン化物;メタン、エタン、プロパン、2−プロパン、ブタン等のアルカン類;モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン等のモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ第三ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリメチルシリルアミン、トリエチルシリルアミン等のシリルアミン;メタンイミン、エタンイミン、プロパンイミン、2−プロパンイミン、ブタンイミン、2−ブタンイミン、イソブタンイミン、第三ブタンイミン、ペンタンイミン、第三ペンタンイミン等のアルカンイミン類;シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第三ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン等のシクロペンタジエン類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第三ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第三アミルアルコール、2−メトキシエチルアルコール、1,1−ジメチル−2−メトキシエチルアルコール、2−(N,N’−ジメチル)エチルアルコール、1,1−ジメチル−2−(N,N’−ジメチル)エチルアルコール等のモノアルコール類;1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のジオール類;β−ジケトン類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸−2メトキシエチル等のβ−ケトエステル等が挙げられ、これらの配位子は、1種類が金属原子に結合してもよく、2種類以上が金属原子に結合していてもよく、また、ダブルアルコキシドのように1分子中に2種類以上の金属原子を有する複核化合物でもよい。
また、上記のCVD用原料には、必要に応じて、本発明の珪素化合物及び必要に応じて用いられる上記の他のプレカーサに安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はβ−ジケトン類等が挙げられ、安定剤としてのこれらの求核性試薬の使用量は、本発明の珪素化合物及び必要に応じて用いられる他のプレカーサの合計量1モルに対して、通常0.1〜10モルの範囲で使用され、好ましくは1〜4モルで使用される。
本発明の珪素化合物を用いて製造される珪素を含有する多成分薄膜は、薄膜成分中に珪素原子を主成分として含有するものでもよく、ドーパントとして含有するものでもよい。その薄膜組成は、特に制限されるものではなく、薄膜の用途等に応じて適宜選択される。例えば、近年注目される多成分の珪素含有薄膜としては、(A)チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを含有する珪素含有薄膜、(B)ビスマスを含有する珪素含有薄膜、(C)アルミニウムを含有する珪素含有薄膜、及び(D)希土類原子を含有する珪素含有薄膜が挙げられる。
上記の(A)チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを含有する珪素含有薄膜としては、例えば、その組成がTiSixy、ZrSixy又はHfSixyで表される複合酸化物薄膜が挙げられる。x及びyの値は、特に制限を受けず所望の値を選択でき、例えば、ゲート絶縁膜に好適な複合酸化物薄膜の組成としては、TiSi14410、ZrSi14410及びHfSi14410が挙げられる。
上記の(A)チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムを含有する珪素含有薄膜の製造に使用されるプレカーサとしては、下記の式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005119982
上記のプレカーサにおいて、Ra及びRbで表されるハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第二アミル、第三アミル、ヘキシル、1−エチルペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、パーフルオロヘキシル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、1−メトキシ−1,1−ジメチルメチル、2−メトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−エトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエチル、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエチル、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエチル等が挙げられる。また、Rcで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第二アミル、第三アミル、ヘキシル、1−エチルペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシルが挙げられる。また、Rdで表される炭素数2〜18のアルキレン基は、グリコールにより与えられる基であり、該グリコールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−メチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。Rgで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、前記一般式(I)のR1で例示のものが挙げられる。
また、前記の(B)ビスマスを含有する珪素含有薄膜の組成としては、例えば、キャパシタ膜に好適な組成であるBi2SiO5及びBi4(TiSi)312が挙げられる。
上記の(B)ビスマスを含有する珪素含有薄膜(シリケート系薄膜)の製造に使用することができるビスマスのプレカーサとしては、トリフェニルビスマス、トリ(o−メチルフェニル)ビスマス、トリ(m−メチルフェニル)ビスマス、トリ(p−メチルフェニル)ビスマス等のトリアリールビスマス系化合物、トリメチルビスマス等のトリアルキルビスマス系化合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)ビスマス等のβ−ジケトン系錯体、トリス(シクロペンタジエニル)ビスマス、トリス(メチルシクロペンタジエニル)ビスマス等のシクロペンタジエニル系錯体、トリ第三ブトキシビスマス、トリ第三ペントキシビスマス、トリエトキシビスマス等の低分子アルコールとのアルコキシド、本発明の珪素化合物と同一のエーテルアルコールから得られるトリアルコキシド等が挙げられる。
また、前記の(C)アルミニウムを含有する珪素含有薄膜としては、例えば、その組成がAlSixy、ZrAlxSiOy、TiAlxSiOy又はHfAlxSiOyで表される複合酸化物薄膜が挙げられる。x及びyの値は特に制限を受けず所望の値を選択でき、上記複合酸化物薄膜の組成として、例えば、AlSi0.81.23.13.9、ZrAl2SiO7、TiAl2SiO7、HfAl2SiO7が挙げられる。
上記の(C)アルミニウムを含有する珪素含有薄膜の製造に使用することができるアルミニウムのプレカーサとしては、下記の式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005119982
上記のアルミニウムのプレカーサにおいて、Ra及びRhで表されるハロゲン原子で置換されてもよく、鎖中に酸素原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び、Rcで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、それぞれ、前記のチタニウム、ジルコニウム又はハフニウムのプレカーサで例示した基が挙げられ、Rhで表される炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第二アミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、1−エチルペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、1−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシが挙げられ、Rg及びRiで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、前記一般式(I)のR1で例示のものが挙げられる。
また、前記の(D)希土類原子を含有する珪素含有薄膜としては、例えば、その組成がM2Sixyで表される複合酸化物薄膜が挙げられる。x及びyの値は、特に制限を受けず所望の値を選択でき、例えば、ゲート絶縁膜として好適な複合酸化物薄膜の組成としては、YSi0.81.23.13.9及びLaSi0.81.23.13.9が挙げられる。
上記の(D)希土類原子を含有する珪素含有薄膜の製造に使用される希土類のプレカーサとしては、下記の式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005119982
上記の希土類のプレカーサおいて、M2で表される希土類原子としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられ、Ra、Rb、Rc及びRgで表される基としては、前記のチタニウム、ジルコニウム又はハフニウムのプレカーサで例示した基が挙げられ、Rjで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、前記一般式(I)のR1で例示のものが挙げられる。
本発明の薄膜の製造方法は、以上に説明した本発明の薄膜形成用原料をCVD用原料として用いた化学気相成長(CVD)法によるものである。CVD法とは、気化させた原料と必要に応じて用いられる反応性ガスを基板上に導入し、次いで、原料を基板上で分解及び/又は反応させて薄膜を基板上に成長、堆積させる方法を指す。本発明の薄膜の製造方法は、原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法等を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては、酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素等が挙げられ、還元性のものとしては、水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられる。
また、上記の輸送供給方法としては、前記の気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスとを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD,熱及びプラズマを使用するプラズマCVD、熱及び光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALD(Atomic Layer Deposition)が挙げられる。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基板温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度は、本発明の珪素化合物が充分に反応する温度である150℃以上が好ましく、200〜800℃がより好ましい。また、反応圧力は、熱CVD又は光CVDの場合は、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、10〜2000Paが好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度及び反応圧力によりコントロールすることが出来る。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.5〜5000nm/分が好ましく、1〜1000nm/分がより好ましい。また、ALDの場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るためにアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、通常600〜1200℃であり、700〜1000℃が好ましい。
以下、実施例及び評価例をもって、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]化合物No.3の製造
乾燥アルゴン置換した反応フラスコに、四塩化珪素1.2モル及び水分含量を5ppm以下に乾燥させたシクロヘキサン800gを仕込み、系内の温度を5℃以下に保ちながらピリジン3.7モルを1時間で滴下した。これに1,1−ジメチル−2−メトキシエタノールを3.6モル加え45℃で2時間攪拌した後、徐々に加熱しバス温度100℃で2時間還流させた。系内を30℃まで冷却してから、ピリジン1.3モルを1時間で滴下し、さらに酢酸を1.2モル加え、1.5時間還流した。固相を除去し、脱溶媒を行った後、減圧蒸留を行い、塔頂温度81〜90℃、減圧度16〜25Paのフラクションから無色液体を223.7g(収率47%)得た。得られた液体について分析を行ったところ、該液体は目的物である化合物No.3と同定された。分析値を以下に示す。
(分析値)
(1)元素分析(CH:CHNアナライザー、金属分析:ICP−MS)
炭素;50.7質量%(理論値51.5%)、水素;8.98質量%(理論値9.15%)、珪素;6.97質量%(理論値7.08%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト;多重度;H数)
(1.50;s;18)(1.77;s;3)(3.17;s;9)(3.32;s;6)
(3)不純物元素分析(塩素:蛍光X線)
塩素;100ppm以下
(4)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量8.872mg)
50質量%減少温度;195.7℃
[実施例2]化合物No.9の製造
乾燥アルゴン置換した反応フラスコに、四塩化珪素1.2モル及び水分含量を5ppm以下に乾燥させたシクロヘキサン800gを仕込み、系内の温度を5℃以下に保ちながらピリジン2.5モルを1時間で滴下した。これに1,1−ジメチル−2−メトキシエタノールを2.4モル加え45℃で2時間攪拌した後、徐々に加熱しバス温度100℃で2時間還流させた。系内を30℃まで冷却してから、ピリジン2.5モルを1時間で滴下し、さらに酢酸を2.4モル加え、1.5時間還流した。固相を除去し、脱溶媒を行った後、減圧蒸留を行い、塔頂温度73〜80℃、減圧度16〜12Paのフラクションから無色液体を304.5g(収率72%)得た。得られた液体について分析を行ったところ、該液体は目的物である化合物No.9と同定された。分析値を以下に示す。
(分析値)
(1)元素分析(CH:CHNアナライザー、金属分析:ICP−MS)
炭素;47.0質量%(理論値47.7%)、水素;7.88質量%(理論値8.01%)、珪素;7.53質量%(理論値7.97%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト;多重度;H数)
(1.45;s;12)(1.74;s;6)(3.13;s;6)(3.24;s;4)
(3)不純物元素分析(塩素:蛍光X線)
塩素;100ppm以下
(4)TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量9.635mg)
50質量%減少温度;194℃
[評価例]
上記の実施例1及び2それぞれで得た珪素化合物(化合物No.3及び9)並びに下記〔化9〕の比較化合物1及び2について、熱分解性の評価を行った。熱分解性は、アルゴン封入したサンプルを一定温度(150、180又は200℃)で1時間保存した場合の化合物の残存率(モル%)で評価した。残存率が大きいものほど、分解し難いものである。結果を表1に示す。
Figure 2005119982
Figure 2005119982
[実施例3]酸化珪素薄膜の製造
上記実施例2で得た化合物No.9を用いて図1に示すCVD装置により、以下の製造条件で、シリコンウエハ上に酸化珪素薄膜を製造した。得られた薄膜について、膜厚をエリプソメトリで測定した。その結果を以下に示す。
(製造条件)
珪素原料:化合物No.9(原料温度;140℃、圧力;400〜450Pa;キャリアガス;アルゴン20sccm)、反応性ガス:未使用、反応圧力:250〜600Pa、反応温度:400℃、成膜時間:4分
(結果)
膜厚:20nm
[実施例4]ハフニウムシリケート薄膜の製造
図2に示すCVD装置を用いて、以下の製造条件及び工程により、シリコンウエハ上にハフニウム珪素複合酸化物薄膜を製造した。製造した薄膜について、膜厚をエリプソメトリで、組成をXPSで、それぞれ測定した。これらの結果を以下に示す。
(製造条件)
反応温度(基板温度);400℃、反応性ガス;未使用
(工程)
下記(1)〜(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、150サイクル繰り返し、最後に600℃で3分間アニール処理を行った。
(1)ハフニウム原料としてのテトラキス(1,1−ジメチル−2−メトキシエトキシ)ハフニウムを、原料温度140℃、圧力80〜100Paの条件で気化させて、原料の蒸気を導入し、系圧力267Paで1秒間堆積させる。
(2)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)珪素原料としての化合物No.9を、原料温度140℃、圧力200〜300Paの条件で気化させて、原料の蒸気を導入し、系圧力267Paで1秒間堆積させる。
(4)2秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(結果)
膜厚;10nm、組成比(モル);Hf/Si=4.00/0.98
[実施例5]ビスマスシリケート薄膜の製造
テトラヒドロフランを金属ナトリウム線で乾燥した後、アルゴン気流下で、前留分10質量%及び釜残分10質量%をカットし、蒸留精製を行い、水分量1ppm未満の溶媒を得た。この溶媒500mlに、化合物No.9を0.1mol及びトリス(1,1−ジメチル−2−メトキシエトキシ)ビスマスを0.18molアルゴン気流下で配合して珪素−ビスマスのカクテルソースを得た。図3に示すCVD装置により、シリコンウエハ上に以下の条件で、上記カクテルソースを用いて薄膜を製造した。製造した薄膜について、実施例4と同様にして膜厚及び組成の測定を行った。
(条件)
気化室温度:170℃、原料流量:20mg/分、酸素ガス流量:100sccm、反応圧力:667Pa、反応時間:30分、基板温度:450℃、キャリアAr:200sccm
(結果)
膜厚:88nm、組成比(モル):Si/Bi=1.00/2.10
上記評価例から明らかなように、本発明の珪素化合物は熱分解性に優れており、実施例3〜5においては、本発明の珪素化合物を含有する薄膜形成用材料を用いると、良好な組成制御性で珪素含有薄膜を製造できることが確認された。
図1は、本発明の珪素含有薄膜の製造方法に用いられるCVD装置の一例を示す概要図である。 図2は、本発明の珪素含有薄膜の製造方法に用いられるCVD装置の一例を示す概要図である。 図3は、本発明の珪素含有薄膜の製造方法に用いられるCVD装置の一例を示す概要図である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表される珪素化合物。
    Figure 2005119982
  2. 上記一般式(I)において、Aで表されるアルカンジイル基が、下記一般式(II)で表される基である請求項1に記載の珪素化合物。
    Figure 2005119982
  3. 上記一般式(I)において、R1で表されるアルキル基が、メチル基である請求項1又は2に記載の珪素化合物。
  4. 上記一般式(I)において、Aで表されるアルカンジイル基の炭素数とR2で表されるアルキル基の炭素数との合計が、8以下である請求項1〜3のいずれかに記載の珪素化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の珪素化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
  6. 請求項5に記載の薄膜形成用原料を気化させて得た珪素化合物を含有する蒸気を基体上に導入し、これを分解及び/又は化学反応させて基体上に珪素含有薄膜を形成する薄膜の製造方法。
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