JP2015074786A - 薄膜形成用原料、薄膜の製造方法及び新規リン化合物 - Google Patents

薄膜形成用原料、薄膜の製造方法及び新規リン化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的に高いリン濃度の薄膜を製造することができる薄膜形成用原料を提供する。また、反応性ガスとの反応性に優れ、段差被覆性に優れる薄膜を得る方法であるALD法に適用することができる薄膜形成用原料を提供する。
【解決手段】本発明の薄膜形成用原料は、下記一般式(1)で表されるリン化合物を含有してなる。
Figure 2015074786

(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2およびR3は各々独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1または2の数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有するリン化合物を含有してなる薄膜形成用原料、該原料を用いたリンを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法及び新規なリン化合物に関する。
リンを含有する薄膜材料は電子材料等の様々な用途に用いられており、なかでもケイ素とリンを含有する薄膜材料は半導体装置等の電子デバイスにおける絶縁膜やアイソレーション溝の埋封などに用いられている材料である。該電子デバイスの高速化、高集積化を実現すべく、様々な方法によってケイ素及びリンを含有する薄膜材料を製造する方法が検討されている。
上記の薄膜の製造法としては、塗布熱分解法やゾルゲル法等のMOD法、化学気相成長法等が挙げられる。組成制御性、段差被覆性に優れること、量産化に適すること、ハイブリッド集積が可能である等多くの長所を有しているので、ALD(Atomic Layer Deposition)法を含む化学気相成長(以下、単にCVDと記載することもある)法が好ましい製造プロセスであり、特に段差被覆性に優れることからALD法が最適なプロセスである。
ケイ素及びリンを含有する薄膜材料を製造するために用いられるCVD法用原料としては、従来、様々なCVD法用原料が知られている。例えば、酸化剤として酸素、ケイ素原料としてモノシラン、リン原料としてホスフィンを用いる方法が知られているが、得られる膜の段差被覆性が悪いという問題があった。なかでも、ホスフィンは自然発火性があり、極めて毒性が強いという物性を持つ化合物であることから、ホスフィンを用いない方法が望まれていた。特許文献1には、現在、実用化されている方法として、オゾン、ケイ素原料としてアルコキシシランおよびリン原料としてトリアルキルホスファイトまたはトリアルキルホスフェートを用いる方法が開示されている。しかし、この方法は高密度化、高集積化に対応できるほどの段差被覆性に優れた薄膜を形成することはできないばかりか、薄膜中に高い濃度でリンを含有させたい場合に、大過剰のリン原料を使用する必要があり生産性も非常に悪かった。
特開平10−310447号公報
CVD法によってケイ素及びリンを含有する薄膜を製造する方法としては、上述した公知技術のようにケイ素原料とリン原料を各々用意して行う方法が知られている。しかし、従来知られたリン原料を用いて該方法で薄膜を製造しようとした場合、所望の組成のリン濃度の薄膜を製造するためには、所望の組成に対して大過剰のリン原料を供給する必要があり、生産性が非常に悪いという問題点があった。よって、効率的に高いリン濃度の薄膜を製造することができる薄膜形成用原料が望まれていた。
本発明者は、検討を重ねた結果、特定の構造を有するリン化合物を含有してなる薄膜形成用原料が上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるリン化合物を含有してなる薄膜形成用原料を提供するものである。
Figure 2015074786
(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2およびR3は各々独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1または2の数を表す。)
また本発明は、上記薄膜形成用原料を気化させて得た、上記リン化合物を含有する蒸気を、基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、該リン化合物を分解及び/又は化学反応させて該基体の表面にリンを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法を提供するものである。
また本発明は、下記一般式(2)で表される新規なリン化合物を提供するものである。
Figure 2015074786
(式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは1または2の数を表す。)
本発明によれば、効率的に高いリン濃度の薄膜を製造することができる薄膜形成用原料を提供することができる。また、本発明の薄膜形成用原料は反応性ガスとの反応性に優れ、段差被覆性に優れる薄膜を得る方法であるALD法に適用することができる。
図1は、本発明に係るリンを含有する薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の一例を示す概要図である。 図2は、本発明に係るリンを含有する薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。 図3は、本発明に係るリンを含有する薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。 図4は、本発明に係るリンを含有する薄膜の製造方法に用いられる化学気相成長用装置の別の例を示す概要図である。
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の薄膜形成用原料に用いられるリン化合物は、上記一般式(1)で表されるものであり、CVD法等の気化工程を有する薄膜製造方法の薄膜形成用原料として好適なものである。なかでも、ALD法に用いることができることからALD用の薄膜形成用原料としても好適なものである。また、本発明の薄膜形成用原料はケイ素及びリンを含有する薄膜を製造する場合に、効率的に高いリン濃度の薄膜を製造することができるという効果を奏する本発明の薄膜形成用原料である。
本発明の上記一般式(1)において、R1〜R3で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。プロピル基としてはn-プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、ブチル基としては、n-ブチル基、イソブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基が挙げられる。
上記一般式(1)において、R1〜R3及びnは、該一般式(1)で表される化合物を気化させる工程を有する薄膜の製造方法に用いる場合に、該化合物が常温常圧下において液体状態であり、蒸気圧が大きいものが好ましい。R2がメチル基であり、R3がエチル基である化合物は液体状態を保つことが容易であることから好ましく、なかでも、R1がブチル基であり、R2がメチル基であり、R3がエチル基であり、nが1である化合物は、これをリン原料としてCVD法によってケイ素及びリンを含有する薄膜を製造する場合に、ケイ素原料とリン原料をモル比1:1で供給した場合であってもケイ素及びリンを含有する薄膜中に5質量%以上のリンを取り込ませることができることから特に好ましい。また、気化工程を伴わないMOD法による薄膜の製造方法の場合は、R1〜R3は、使用される溶媒に対する溶解性、薄膜形成反応等によって、任意に選択することができる。
本発明の薄膜形成用原料に用いられるリン化合物の好ましい具体例としては、下記化合物No.1〜No.60が挙げられる。なお、下記化学式中の「Me」はメチル基を表し、「Et」はエチル基を表し、「iPr」はイソプロピル基を表し、「nBu」はn-ブチル基を表し、「tBu」は第3ブチル基を表す。
Figure 2015074786
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Figure 2015074786
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本発明の上記一般式(1)において、R2とR3の炭素数の和が4以下である化合物は、液体であり、蒸気圧が高く、酸素やオゾンに代表される反応性ガスとの反応性が非常に良好であり、さらにALD法用原料としても適用することができることから好ましい。なかでも、R2がメチル基であり、R3がエチル基であり、nが1である化合物は、これをリン原料としてケイ素及びリンを含有する薄膜を製造する場合に、CVD原料として、ケイ素原料とリン原料をモル比1:1で供給した場合に、1〜10質量%のリン濃度の薄膜を製造することができることから好ましい。R2がメチル基であり、R3がエチル基であり、nが1であり、R1がブチル基である場合は、これをリン原料としてケイ素及びリンを含有する薄膜を製造する場合に、CVD原料として、ケイ素原料とリン原料をモル比1:1で供給した場合に、ケイ素及びリンを含有する薄膜として5質量%以上のリン濃度の薄膜を製造することができることから特に好ましい。
本発明の薄膜形成用原料に用いられる上記一般式(1)で表されるリン化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造される。例えば、R1が一級または二級アルキル基である場合は、対応する構造のトリハロゲン化リンにジアルキルアミンを反応させ、さらにアルキルリチウムまたはハロゲン化アルキルマグネシウムを反応させ、得られた成分を蒸留することで得ることができる。また、例えば、R1が三級アルキル基である場合は、ジアルキルアミノリチウムとジハイドロアルキルホスフィン又はジハロゲン化アルキルホスフィンとを反応させ、得られた成分を蒸留することで得ることができる。また、例えば、R2及びR3が水素原子である場合は、ジハイドロアルキルホスフィンとアンモニアとを反応させ、得られた成分を蒸留することで得ることができる。
本発明の薄膜形成用原料とは、上記説明のリン化合物を薄膜のプレカーサとしたものであり、その形態は、該薄膜形成用原料が適用される製造プロセスによって異なる。リン及び、金属及び/又は半金属を含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記説明のリン化合物に加えて、上記金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物(以下、他のプレカーサともいう)を含有する。本発明の薄膜形成用原料が、他のプレカーサを含有する場合、他のプレカーサの含有量は、上記説明の一般式(1)で表されるリン化合物1モルに対して、好ましくは0.01モル〜10モルであり、より好ましくは0.1〜5モルである。本発明の薄膜形成用原料は、後述するように、更に、有機溶剤及び/又は求核性試薬を含有してもよい。
例えば、リンとケイ素を含有してなる薄膜として代表的なリン珪酸ガラス薄膜を製造する場合のリン原料としては、上記説明の一般式(1)で表されるリン化合物のみを用いればよい。またこの場合、他のプレカーサとしてのケイ素原料としては、後述する有機アミン化合物を有機配位子としたケイ素化合物を用いることが好ましく、このうち特に、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(N−エチルメチルアミノ)シラン、ジイソプロピルアミノシランまたはトリス(ジエチルアミノ)シランが好ましく用いられる。
本発明の薄膜形成用原料が化学気相成長用原料である場合、その形態は使用されるCVD法の輸送供給方法等の手法により適宜選択されるものである。
上記の輸送供給方法としては、CVD用原料を、原料容器中で加熱及び/又は減圧することにより気化させ、必要に応じて用いられるアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に、該基体が設置された成膜チャンバー内(以下、堆積反応部と記載することもある)へと導入する気体輸送法、CVD用原料を、液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて、成膜チャンバー内へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合は、上記一般式(1)で表されるリン化合物そのものがCVD原料となり、液体輸送法の場合は、上記一般式(1)で表されるリン化合物そのもの又は該化合物を有機溶剤に溶かした溶液をCVD用原料となる。
また、多成分系のCVD法においては、CVD用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、シングルソース法と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、カクテルソース法と記載することもある)がある。カクテルソース法の場合、上記一般式(1)で表されるリン化合物からなる混合物若しくは混合溶液、又は上記一般式(1)で表されるリン化合物と他のプレカーサとの混合物若しくは混合溶液がCVD用原料である。
上記の有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることが出来る。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1−シアノプロパン、1−シアノブタン、1−シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3−ジシアノプロパン、1,4−ジシアノブタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,4−ジシアノシクロヘキサン、1,4−ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジン等が挙げられ、これらは、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独又は二種類以上の混合溶媒として用いられる。これらの有機溶剤を使用する場合、該有機溶剤中における上記一般式(1)で表されるリン化合物及び他のプレカーサの合計量が0.01〜2.0モル/リットル、特に0.05〜1.0モル/リットルとなるようにするのが好ましい。
また、多成分系のCVD法の場合において、本発明の薄膜形成用原料と共に用いられる他のプレカーサとしては、特に制限を受けず、CVD用原料に用いられている周知一般のプレカーサを用いることができる。
上記の他のプレカーサとしては、アルコール化合物、グリコール化合物、β−ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物、有機アミン化合物等の有機配位子として用いられる化合物からなる群から選択される一種類又は二種類以上と珪素や金属との化合物が挙げられる。また、プレカーサの金属種としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、アルミニウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムが挙げられる。
上記の他のプレカーサの有機配位子として用いられるアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、第2ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、第3ペンチルアルコール等のアルキルアルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−メトキシ−1−メチルエタノール、2−メトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−エトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−イソプロポキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−ブトキシ−1,1−ジメチルエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)−1,1−ジメチルエタノール、2−プロポキシ−1,1−ジエチルエタノール、2−s−ブトキシ−1,1−ジエチルエタノール、3−メトキシ−1,1−ジメチルプロパノール等のエーテルアルコール類等が挙げられる。
上記グリコール化合物としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
また、上記β−ジケトン化合物としては、アセチルアセトン、ヘキサン−2,4−ジオン、5−メチルヘキサン−2,4−ジオン、ヘプタン−2,4−ジオン、2−メチルヘプタン−3,5−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン等のアルキル置換β−ジケトン類;1,1,1−トリフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチルヘキサン−2,4−ジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオン、1,3−ジパーフルオロヘキシルプロパン−1,3−ジオン等のフッ素置換アルキルβ−ジケトン類;1,1,5,5−テトラメチル−1−メトキシヘキサン−2,4−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−メトキシヘプタン−3,5−ジオン、2,2,6,6−テトラメチル−1−(2−メトキシエトキシ)ヘプタン−3,5−ジオン等のエーテル置換β−ジケトン類等が挙げられる。
また、上記シクロペンタジエン化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、n−プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、n−ブチルシクロペンタジエン、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、第3ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられる。
上記有機アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、第2ブチルアミン、第3ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、n−プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン等が挙げられる。
上記の他のプレカーサは、シングルソース法の場合は、本発明の薄膜形成用原料に用いられるリン化合物と、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似している化合物が好ましく、カクテルソース法の場合は、本発明の薄膜形成用原料に用いられるリン化合物と、熱及び/又は酸化分解の挙動が類似していることに加え、混合時に化学反応による変質を起こさないものが好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料には、必要に応じて、本発明の薄膜形成用原料に用いられるリン化合物及び他のプレカーサの安定性を付与するため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、24−クラウン−8、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、ジベンゾ−24−クラウン−8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−2−メトキシエチル等のβ−ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン等のβ−ジケトン類が挙げられ、これら求核性試薬の使用量は、プレカーサ1モルに対して通常0.1モル〜10モルの範囲で使用され、好ましくは1〜4モルで使用される。
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素等の不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まれないようにする。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では、1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、LSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層として用いる場合は、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、及び同属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下が更に好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下が更に好ましい。また、水分は、化学気相成長用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成中におけるパーティクル発生の原因となるので、金属化合物、有機溶剤、及び、求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際にあらかじめできる限り水分を取り除いた方がよい。金属及び/又は半金属化合物、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下が更に好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に1000個以下であることがより好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが更に好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する本発明の薄膜の製造方法としては、本発明の薄膜形成用原料、必要に応じて用いられる他のプレカーサを気化させた蒸気と、必要に応じて用いられる反応性ガスを、基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、次いで、プレカーサを基体上で分解及び/又は化学反応させて薄膜を基体表面に成長、堆積させるCVD法によるものである。原料の輸送供給方法、堆積方法、製造条件、製造装置等については、特に制限を受けるものではなく、周知一般の条件、方法を用いることができる。
上記の必要に応じて用いられる反応性ガスとしては、例えば、酸化性のものとしては酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等が挙げられ、還元性のものとしては水素が挙げられ、また、窒化物を製造するものとしては、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上使用することができる。なかでも、本発明の薄膜形成用原料は酸素及びオゾンとの反応性が特に良好である。
また、上記の輸送供給方法としては、前記に記載の気体輸送法、液体輸送法、シングルソース法、カクテルソース法等が挙げられる。
また、上記の堆積方法としては、原料ガス又は原料ガスと反応性ガスを熱のみにより反応させ薄膜を堆積させる熱CVD,熱とプラズマを使用するプラズマCVD、熱と光を使用する光CVD、熱、光及びプラズマを使用する光プラズマCVD、CVDの堆積反応を素過程に分け、分子レベルで段階的に堆積を行うALDが挙げられる。
また、上記の製造条件としては、反応温度(基体温度)、反応圧力、堆積速度等が挙げられる。反応温度については、本発明の薄膜形成用原料等が充分に反応する温度である100℃以上が好ましく150℃〜400℃がより好ましい。また、反応圧力は、熱CVD、光CVDの場合、大気圧〜10Paが好ましく、プラズマを使用する場合は、2000Pa〜10Paが好ましい。また、堆積速度は、原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力によりコントロールすることが出来る。堆積速度は、大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.01〜100nm/分が好ましく、1〜50nm/分がより好ましい。また、ALD法の場合は、所望の膜厚が得られるようにサイクルの回数でコントロールされる。
例えば、リン珪酸薄膜をALD法により形成する場合は、まず前記で説明した原料導入工程を行う。この場合ケイ素原料とリン原料はシングルソース法及びカクテルソース法のいずれで供給しても良い。またシングルソース法で供給する場合は、ケイ素原料とリン原料のいずれを先に成膜チャンバー(堆積反応部)に導入しても良く、同時でもよい。次に、堆積反応部に導入した本発明の薄膜形成用原料により、基体表面に前駆体薄膜を成膜させる(前駆体薄膜成膜工程)。このときに、基体を加熱するか、堆積反応部を加熱して、熱を加えてもよい。この工程で成膜される前駆体薄膜は、リン珪酸薄膜、又は、本発明の薄膜形成用原料の一部が分解及び/又は反応して生成した薄膜であり、目的のリン珪酸薄膜とは異なる組成を有する。本工程が行われる際の基体温度は、室温〜500℃が好ましい。
次に、堆積反応部から、本発明の薄膜形成用原料ガスや副生したガスを排気する(排気工程)。未反応の本発明の薄膜形成用原料ガスや副生したガスは、堆積反応部から完全に排気されるのが理想的であるが、必ずしも完全に排気される必要はない。排気方法としては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスにより系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01〜300Paが好ましく、0.01〜100Paがより好ましい。
次に、堆積反応部に酸化性ガスを導入し、該酸化性ガス又は酸化性ガス及び熱の作用により、先の前駆体薄膜成膜工程で得た前駆体薄膜からリン珪酸薄膜を形成する(リン珪酸薄膜形成工程)。本工程において熱を作用させる場合の温度は、室温〜500℃が好ましく、150〜450℃がより好ましい。本発明の薄膜形成用原料は、オゾンに代表される酸化性ガスとの反応性が良好であり、効率よくリン珪酸薄膜を製造することができる。
本発明の薄膜の製造方法において、上記のようにALD法を採用した場合、上記の原料導入工程、前駆体薄膜成膜工程、排気工程、及びリン珪酸薄膜形成工程からなる一連の操作による薄膜堆積を1サイクルとし、このサイクルを必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返してもよい。この場合、1サイクル行った後、上記排気工程と同様にして、堆積反応部から未反応の本発明の薄膜形成用原料ガス及び酸化性ガス、更に副成したガスを排気した後、次の1サイクルを行うことが好ましい。
また、リン珪酸薄膜のALD法による形成においては、プラズマ、光、電圧等のエネルギーを印加してもよい。これらのエネルギーを印加する時期は、特には限定されず、例えば、原料導入工程における本発明の薄膜形成用原料ガス導入時、前駆体薄膜成膜工程又はリン珪酸薄膜形成工程における加温時、排気工程における系内の排気時、リン珪酸薄膜形成工程における酸化性ガス導入時でもよく、上記の各工程の間でもよい。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜堆積の後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、通常200〜1000℃であり、250〜500℃が好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造する装置としては、周知な化学気相成長法用装置を用いることができる。具体的な装置の例としては図1のようなプレカーサをバブリング供給で行うことのできる装置や、図2のように気化室を有する装置や、図3又は図4のように反応性ガスに対してプラズマ処理を行うことのできる装置等が挙げられる。また、図1、図2、図3及び図4のような枚葉式装置に限らず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置を用いることもできる。
本発明の薄膜形成用原料を用いて製造される薄膜は、他のプレカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、メタル、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の所望の種類の薄膜とすることができる。製造される薄膜の組成としては、リンを含有するケイ素薄膜が挙げられる。なかでも、リン珪酸ガラス薄膜が特に好ましく製造される。リン珪酸ガラス薄膜は、電子材料の表面安定化膜、層間絶縁膜、配線保護膜として用いられている。
本発明の新規なリン化合物は、上記一般式(2)で表される化合物であり、熱安定性が高く、蒸気圧が高いことからCVD法等の気化工程を有する薄膜製造方法の薄膜形成用原料として特に好適なものである。なかでも、ALD法に用いることができることからALD用の薄膜形成用原料としても好適なものである。
本発明の上記一般式(2)において、R4で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基が挙げられる。
本発明の上記一般式(2)で表される新規なリン化合物としては、例えば、上述の化合物No.1〜No.10が挙げられる。
本発明の新規なリン化合物は、その製造方法により特に制限されることはなく、周知の反応を応用して製造される。例えば、R4が一級または二級アルキル基である場合は、対応する構造のトリハロゲン化リンにエチルメチルアミンを反応させ、さらにアルキルリチウムまたはハロゲン化アルキルマグネシウムを反応させ、得られた成分を蒸留することで得ることができる。また、例えば、R4が三級アルキル基である場合は、エチルメチルアミノリチウムとジハイドロアルキルホスフィン又はジハロゲン化アルキルホスフィンとを反応させ、得られた成分を蒸留することで得ることができる。
本発明の上記一般式(2)において、nが1である化合物は、ケイ素及びリンを含有する薄膜を製造する場合に、CVD原料として、ケイ素原料とリン原料をモル比1:1で供給した場合に、1〜10%のリン濃度の薄膜を製造することができることから好ましい。nが1であり、R4がブチル基である化合物は、ケイ素及びリンを含有する薄膜を製造する場合に、CVD原料として、ケイ素原料とリン原料をモル比1:1で供給した場合に、ケイ素及びリンを含有する薄膜中に5質量%以上のリン濃度の薄膜を製造することができることから特に好ましい。
本発明の新規なリン化合物は、上述の薄膜形成用原料の他に化学肥料、飼料、農薬、殺虫剤、洗浄剤、研磨剤、不凍液、繊維製品の難燃加工用の添加剤、消泡剤、潤滑剤、摩擦防止剤、酸化防止剤、腐食防止剤などに用いることができる。本発明の新規なリン化合物はその特異的に優れた物性から、CVDやALD法等に代表される薄膜形成方法用の原料として好適に用いることができる。
以下、実施例並びに評価例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]化合物No.1の製造
アルゴンガス雰囲気下で、500mL四つ口反応フラスコにおいて三塩化リン20.08gを脱水処理したヘキサン170.0gに溶解させた。ドライアイスとイソプロパノールにより反応溶液を−30℃以下に冷却維持しながら、N−エチルメチルアミン34.7gを滴下して反応させた。滴下終了後、反応溶液を室温に戻して約1時間反応を継続させた。続いて、G3ガラスボールフィルターにて濾過後、濾液を再びドライアイスとイソプロパノールにより−30℃以下に冷却し、メチルリチウム(1.13mol/L)ジエチルエーテル溶液129.73gを滴下して反応させた。0℃まで昇温していくと反応溶液は、黄色に着色した。この反応溶液についてG4ガラスボールフィルターにて濾過を行った。フラスコ内の固形分を脱水処理したヘキサン27.2gでリンスし、得られた濾液からジエチルエーテルおよびヘキサンを除去し、液体残渣を得た。その液体残渣を、20Torrの減圧下、バス75℃で蒸留し、塔頂温度68℃にて留出した化合物を得た。この精製による回収率は44%であった。得られた化合物は常温常圧(25℃、1atm、以下同様)にて無色透明の液体であった。元素分析及び1H−NMR分析の結果、得られた化合物は、化合物No.1と同定された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの測定結果及びDSCの測定結果も併せて示す。なお、DSCの測定は発熱ピークが観測された温度を測定した。
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES)
P:19.0質量%、C:50.5質量%、H:11.3質量%、N:16.2質量%(理論値;P:19.09質量%、C:51.88質量%、H:11.81質量%、N:17.27質量%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
(0.98:t:6.0)(1.19:d:3.16)(2.47:d:5.85)(2.95:m:4.22)
(3)TG−DTA
TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量11.486mg)
50質量%減少温度111℃
(4)DSC 360℃
[実施例2]化合物No.3の製造
アルゴンガス雰囲気下で、300mL四つ口反応フラスコにおいて三塩化リン15.01gを脱水処理したヘプタン119.0gに溶解させた。ドライアイスとイソプロパノールにより反応溶液を−30℃以下に冷却を維持しながら、N−エチルメチルアミン27.58gを滴下して反応させた。滴下終了後、反応溶液を室温に戻して約2時間反応を継続させ、クロロビス(N−エチルメチルアミノ)ホスフィン溶液を得た。
また、続いて別の300mL四つ口反応フラスコにアルゴンガス雰囲気下で、金属マグネシウム3.18g、脱水処理したテトラヒドロフラン113.6g中に臭化イソプロピル16.15gを室温下で滴下し、Grignard試薬を調製し、G4ガラスボールフィルターにて残留固形分を濾過により除去した。先ほどのクロロビス(N−エチルメチルアミノ)ホスフィン溶液をドライアイスとイソプロピルアルコールで再び−30℃以下に冷却し、そこへ前記で得られたGrignard溶液を約40分かけて滴下して反応させた。滴下終了後、室温まで自然昇温し、G4ガラスボールフィルターにて濾過を行った。フラスコ内の固形分を脱水処理したヘキサンでリンスし、得られた濾液からヘキサンおよびヘプタンを除去し、液体残渣を得た。その液体残渣を、23Torrの減圧下、バス120℃で蒸留し、塔頂温度94℃にて留出した化合物を得た。この精製による回収率は39%であった。得られた化合物は常温常圧にて無色透明の液体であった。元素分析及び1H−NMR分析の結果、得られた化合物は、化合物No.3と同定された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの測定結果及びDSCの測定結果も併せて示す。なお、DSCの測定は発熱ピークが観測された温度を測定した。
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES)
P:16.1質量%、C:56.4質量%、H:12.4質量%、N:15.3質量%(理論値;P:16.28質量%、C:56.81質量%、H:12.18質量%、N:14.72質量%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
(1.00:t:6.03)(1.05:q:6.283)(1.94:m:0.958)(2.46:d:6.0)(2.94:m:4.138)
(3)TG−DTA
TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量10.182mg)
50質量%減少温度127℃
(4)DSC 365℃
[実施例3]化合物No.5の製造
アルゴンガス雰囲気下で、300mL四つ口反応フラスコにおいてあらかじめ調製したN−エチルメチルアミノリチウム8.78gを脱水処理したヘキサン92.07gへ懸濁させた溶液を、氷水により冷却し、5〜10℃を維持しながらジクロロt−ブチルホスフィン10.1gの脱水処理したヘキサン16.42g黄色溶液を滴下しながら反応させた。滴下終了後、反応溶液を室温に戻して約2時間反応を継続させた。0.5μmのメンブレンフィルターにより濾過を行い、得られた濾液からヘキサンを除去し、液体残渣を得た。その液体残渣を、3Torrの減圧下、バス110℃で蒸留し、塔頂温度73℃にて留出した化合物を得た。この精製による回収率は51%であった。得られた化合物は常温常圧にて無色透明の液体であった。元素分析及び1H−NMR分析の結果、得られた化合物は、化合物No.5と同定された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの測定結果及びDSCの測定結果も併せて示す。なお、DSCの測定は発熱ピークが観測された温度を測定した。
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES)
P:15.5質量%、C:58.6質量%、H:12.1質量%、N:13.9質量%(理論値;P:15.16質量%、C:58.79質量%、H:12.33質量%、N:13.71質量%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
(1.02:s:6.00)(1.16:d:9.51)(2.54:d:5.68)(3.02:m:4.00)
(3)TG−DTA
TG−DTA(Ar100ml/min、10℃/min昇温、サンプル量9.602mg)
50質量%減少温度134℃
(4)DSC 340℃
[実施例4]化合物No.9の製造
アルゴンガス雰囲気下で、500mL四つ口反応フラスコにおいて三塩化リン30.07gを脱水処理したヘキサン225.9gに溶解させた。ドライアイスとイソプロパノールにより反応溶液を−5℃以下に冷却を維持しながら、N−エチルメチルアミン26.53gを滴下して反応させた。滴下終了後、反応溶液を室温に戻して約4時間反応を継続させた。0.5μmのメンブレンフィルターにより濾過を行い、得られた濾液からヘキサンを除去し、ジクロロ(N−エチルメチルアミノ)ホスフィンを得た。
別の1000mL四つ口反応フラスコにアルゴンガス雰囲気下で、先程得たジクロロ(N−エチルメチルアミノ)ホスフィン30.0gと脱水処理したヘキサン145.74gの溶液をドライアイスとイソプロピルアルコールで−5℃以下に冷却し、ノルマルブチルリチウムの(1.6mol/L)ヘキサン溶液234mLを約100分かけて滴下して反応させた。滴下終了後、反応溶液を室温に戻して約4時間反応を継続させた。得られた反応物について0.5μmのメンブレンフィルターにより濾過を行い、得られた濾液からヘキサンを除去し、液体残渣を得た。その液体残渣を、1Torrの減圧下、バス125℃で蒸留し、塔頂温度79℃にて留出した化合物を得た。この精製による回収率は64%であった。得られた化合物は常温常圧にて無色透明の液体であった。元素分析及び1H−NMR分析の結果、得られた化合物は、化合物No.9と同定された。これらの分析結果を以下に示す。以下には、TG−DTAの測定結果及びDSCの測定結果も併せて示す。なお、DSCの測定は発熱ピークが観測された温度を測定した。
(分析値)
(1)元素分析(金属分析:ICP−AES)
P: 15.4質量%、C: 65.0質量%、H:12.7 質量%、N: 6.9質量%(理論値;P:15.23 質量%、C:64.99 質量%、H:12.89 質量%、N:6.89 質量%)
(2)1H−NMR(溶媒:重ベンゼン)(ケミカルシフト:多重度:H数)
(0.91:t:6.00)(0.98:t:3.14)(1.13:m:2.12)(1.44:m:8.30)(1.50:m:2.11)(2.38:d:3.05)(2.91:m:2.06)
(3)TG−DTA
TG−DTA(Ar 100ml/min、 10℃/min昇温、サンプル量 8.910mg)
50質量%減少温度 149℃
(4)DSC 390℃
[実施例5]ALD法によるリン珪酸ガラス薄膜の製造
リン原料として化合物No.5、ケイ素原料としてビス(ジエチルアミノ)シランを化学気相成長用原料とし、原料容器を2つにした以外は図1と同様の装置を用いて各々の原料をモル比1:1で供給しながら、以下の条件のALD法により、シリコンウエハ上にリン珪酸ガラス薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、得られた薄膜はリン珪酸ガラス薄膜であった。1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.01〜0.1nmであった。また得られた薄膜中のリン濃度を表1に示した。
(条件)
反応温度(基体温度):200〜350℃、反応性ガス:オゾンガス
(工程)
下記(1)〜(8)からなる一連の工程を1サイクルとして、96サイクル繰り返した。
(1)ビス(ジエチルアミノ)シラン原料容器温度:23℃、原料容器内圧力100Paの条件で気化させた化学気相成長用原料の蒸気を導入し、系圧100Paで20秒間堆積させる。
(2)25秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(3)反応性ガスを導入し、系圧力100Paで20秒間反応させる。
(4)20秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(5)化合物No.5原料容器温度:23℃、原料容器内圧力100Paの条件で気化させた化学気相成長用原料の蒸気を導入し、系圧100Paで5秒間堆積させる。
(6)25秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
(7)反応性ガスを導入し、系圧力100Paで20秒間反応させる。
(8)20秒間のアルゴンパージにより、未反応原料を除去する。
[比較例1]ALD法によるリン珪酸ガラス薄膜の製造
リン原料としてヘキサメチルリン酸トリアミドを用いた他は実施例5と同じ条件でシリコンウエハ上にリン珪酸ガラス薄膜を製造した。得られた薄膜について、X線反射率法による膜厚測定、X線光電子分光法による薄膜構造及び薄膜組成の確認を行ったところ、得られた薄膜は全てリン珪酸ガラス薄膜であった。1サイクル当たりに得られる膜厚は、0.01〜0.1nmであった。また得られた薄膜中のリン濃度を表1に示した。
Figure 2015074786
表1の結果より、比較例1に対して、評価例1は、薄膜中の濃度が3倍以上も高い薄膜が得られていることがわかった。以上より、本発明の薄膜形成用原料を用いてリン珪酸ガラス薄膜を製造した場合、効率的に高いリン濃度の薄膜を製造することができるということがわかった。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるリン化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
    Figure 2015074786
    (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2およびR3は各々独立に水素または炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1または2の数を表す。)
  2. 上記一般式(1)において、R2がメチル基であり、R3がエチル基であり、R1がブチル基であり、nが1である請求項1に記載のリン化合物を含有してなる薄膜形成用原料。
  3. 請求項1または2に記載の薄膜形成用原料を気化させて得た、上記リン素化合物を含有する蒸気を、基体が設置された成膜チャンバー内に導入し、該リン素化合物を分解及び/又は化学反応させて該基体の表面にリンを含有する薄膜を形成する薄膜の製造方法。
  4. 下記一般式(2)で表されるリン化合物。
    Figure 2015074786
    (式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、mは1または2の数を表す。)
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