JP2005117709A - 同期機 - Google Patents

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Abstract

【課題】実質的な体積増加を伴わず、しかも低コストで効率の高い放熱機能を有する同期機を提供する。
【解決手段】同期機(1)は、鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心(12)の外側表面に、多数の突起(50)を形成してある。外周縁の所定部位に突片(35)が形成された鋼板(30B)を、突片(35)どうしを重ね合わせて所定枚数積層することで突起(50)を形成する。また、所定部位に突片が形成されない鋼板(30A)を所定枚数積層することで、突起(50)と積層方向に隣接するつぎの突起(50)との間隔を形成した。
【選択図】図2

Description

この発明は同期機に関するものである。
一般に、同期機例えば同期電動機は、運転にともなって自己発熱する。この発熱による同期電動機の温度上昇は損失をもたらし効率を低下させる原因となるため、積極的に放熱を促して温度上昇を抑制することが望まれている。
そのため、従来は、同期電動機の固定子鉄心の外側表面に、例えばアルミニウム製の放熱器をヒートシンクを介して固着することで、同期電動機の放熱を促して温度上昇を抑制する方法が考えられている。
特開2001−119874号公報
しかしながら、このような従来の方法は、アルミニウム製の放熱器およびヒートシンクが必要となるため、大きな体積増加を要するだけでなく、それらの部品コストに加えて製造コストも高価になってしまうという問題があった。
この発明の課題は、上記従来のもののもつ問題点を排除して、実質的な体積増加を伴わず、しかも低コストで効率の高い放熱機能を有する同期機を提供することにある。
この発明は上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心を備えた同期機において、前記固定子鉄心の外側表面に多数の突起を形成した同期機である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、外周縁の所定部位に突片が形成された鋼板を当該突片どうしを重ね合わせて所定枚数積層することで前記突起を形成し、前記所定部位に突片が形成されない鋼板を所定枚数積層することで、前記突起と積層方向に隣接するつぎの突起との間隔を形成した同期機である。
請求項3に係る発明は、鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心を備えた同期機において、外周縁に複数の突片が間隔を保って形成された鋼板と、外周縁に突片が形成されない鋼板とを所定枚数ずつ交互に積層することで、重ね合わされた所定枚数分の前記突片により構成される所要厚さの突起を、前記固定子鉄心の外側表面に多数形成した同期機である。
請求項4に係る発明は、鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心を備えた同期機において、前記固定子鉄心の中心から等距離の位置に互いに直交する4辺の外周縁を有する鋼板の平行な2辺に複数の突片を間隔を保って形成し、前記鋼板を所定枚数ごとに90°向きを変えて積層することで、重ね合わされた所定枚数分の前記突片により構成される所要厚さの突起を、前記固定子鉄心の外側表面に多数形成した同期機である。
請求項5に係る発明は、請求項2〜4のいずれかに記載の発明において、前記鋼板を前記固定子鉄心の中心まわり方向に沿って複数の鋼板片に分割し、各鋼板片どうしの接合部を、先端に向かってテーパ状に広がる係止突片と、入口から奥に向かってテーパ状に広がる係止溝とによる接合構造とした同期機である。
この発明は以上のように、鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心の外側表面に多数の突起を形成したので、これら多数の突起によって固定子鉄心の外側表面積を大幅に拡大することができ、それにより、実質的な体積増加を伴わずに高い放熱効率を達成することができ、しかも、鋼板以外に新たな部品を必要としないため、その高い放熱効率を低コストで実現することができる効果がある。
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明による同期機の一実施の形態を回転子を省略して示す概略的断面図、図2は、図1の同期機を一部破断にして示す側面図(平面図も同様)である。この同期機(例えば同期電動機)1は、固定子10の外側表面、すなわち固定子鉄心(磁気回路コア)12の外側表面に多数の突起50を形成したものである。
図1に示すように、固定子10は、四隅に切り欠きのある実質的に正方形の断面形状を有し、その中心部に図示しない回転子を回転自在に収容する円筒形の空洞11を有している。また、固定子10は、固定子鉄心12と固定子コイル(電機子コイル)16とで構成されている。
図1、図3に示すように、固定子鉄心12は、継鉄(ヨーク)13とその内側にある多数の歯(ティース)14Tとで構成され、これらの歯(ティース)14Tと歯(ティース)14Tの間に形成される多数のスロット15内に固定子コイル16が収容されるものである。
固定子鉄心12は、図4〜図6に示すような鋼板30,40を多数枚積層して構成されるものであり、この鋼板30,40を、継鉄(ヨーク)13となる継鉄部鋼板30と、歯(ティース)14Tとなる歯部鋼板40とに分割して構成してある。
図4に示すように、継鉄部鋼板30は、固定子鉄心12の中心Oから等距離の位置に互いに直交する4辺の外周縁31を有し、固定子鉄心12の中心Oを中心とする実質的に円形の内周縁を有する概略形状をしたものである。また、四隅の切り欠き部付近には、固定子10を構成する際にボルトを通す通し孔18(図1参照)となる孔38が形成されている。
また、継鉄部鋼板30は2種類の継鉄部鋼板30A,30Bで構成される。継鉄部鋼板30Aは、図4(a)に示すように、4辺の外周縁31がいずれも平坦な直線状のものである。一方、継鉄部鋼板30Bは、図4(b)に示すように、継鉄部鋼板30Aの4辺の外周縁31に相当する位置から複数の突片35が形成されたものである。継鉄部鋼板30Bは、各突片35の幅が一定で、隣り合う突片35どうしの間隔が突片35の幅とほぼ等しく形成されている。
そのため、このような継鉄部鋼板30Bを任意枚数積層すると、重ね合わされた枚数分の突片35により所要厚さD1の突起50(図2参照)が構成される。また、このような任意枚数の継鉄部鋼板30Bと、同様な任意枚数の継鉄部鋼板30Bとの間に、継鉄部鋼板30Aを任意枚数積層してサンドイッチにすると、継鉄部鋼板30Bの突片35による所要厚さD1の突起50と、同様な継鉄部鋼板30Bの突片35による所要厚さD1の突起50との間に、突片35のない間隔D2(図2参照)が形成されることとなる。
そして、このような継鉄部鋼板30A,30Bを所定枚数ずつ交互に積層して、外周縁31の各辺ごとに適宜数選んだ箇所に全枚数を通じて溶接を施すことで、継鉄部鋼板30全体を一体化する。これにより、重ね合わされた所定枚数分の突片35により構成される所要厚さD1の突起50が外側表面に多数形成された継鉄(ヨーク)13が完成することとなる。
このとき、継鉄(ヨーク)13の外側表面に形成された多数の突起50が、溶接の熱を逃がして溶接歪みを抑えることができる利点がある。
図5、図6(b)に示すように、歯部鋼板40は、多数の歯(ティース)14Tとなる各鋼板歯41の隣り合う歯先43どうしが連結部44を介して円形に連なる1枚の鋼板で形成されている。また、鋼板歯41と鋼板歯41との間には、スロット15となる切り欠き45が形成されている。
そして、各鋼板歯41の歯元42は、両側縁を歯元端に向かって(すなわち歯部鋼板40の半径方向外方に向かって)広がるテーパ状に形成してある。
一方、図4、図6(a)に示すように、継鉄部鋼板30の内周縁には、歯部鋼板40の各鋼板歯41の歯元42形状と対応する係止溝32が多数形成されている。すなわち、各係止溝32の両側縁は、入口から奥に向かって(すなわち継鉄部鋼板30の半径方向外方に向かって)広がるテーパ状に形成してある。
このような歯部鋼板40を芯出ししながら、かつ、各鋼板歯41および各切り欠き45が通るように角度調整しながら所要枚数積層したうえ、例えば円周方向に数カ所選んだ切り欠き45内に全枚数を通じて溶接を施すことで、歯部鋼板40全体を一体化する。これにより、すべての歯(ティース)14Tが一体化された一体歯(ティース)14が構成される。
そして、この一体歯(ティース)14の各スロット15に固定子コイル16を巻きながら収容し、適宜の仕上げ処理をすることで、固定子コイル付き歯(ティース)14Cが完成することとなる(図7参照)。
このとき、積層されて列状に構成される各歯(ティース)14Tは、円形の連結部44から放射状に形成されるから、各スロット15は底部(歯先43側)に比べて入口部(歯元42側)の方が断面積が広い。そのため、固定子コイル16を各スロット15に挿入する際、断面積の広い入口部(歯元42側)から作業が行えるので、固定子コイル16の挿入・組立が容易である利点がある。
また、各歯(ティース)14Tの歯元42はテーパ状に広がっているため、各スロット15に挿入された固定子コイル16がスロット15から外方へ浮いてくることを抑制することができる利点がある。
さらに、例えば図7に示すように、テーパ状の押え部材49を各歯(ティース)14Tの適宜箇所に嵌合しておくことで、継鉄(ヨーク)13に組み付けられるまでの間、固定子コイル付き歯(ティース)14Cのすべてのスロット15内の固定子コイル16が半径方向外方へ浮いてくることを確実に防止できる利点がある。この押え部材49の長さは、積層されて列状に構成される各歯(ティース)14Tの長さ(図7で紙面と直交する方向の長さ)に比べて遙かに短いものでよい。
そのため、上記のようにして一体化した継鉄(ヨーク)13に、上記のようにして一体化した固定子コイル付き歯(ティース)14Cを、軸心を揃えて組み付けたうえ、両端に押え板17を配し、通し孔18に図示しないボルトを通して一体化することで、固定子10が構成されることとなる(図2参照)。
このとき、継鉄(ヨーク)13の内周縁に形成された多数のテーパ状の係止溝32に、固定子コイル付き歯(ティース)14Cの外周縁に形成された多数のテーパ状の歯元42が、固定子鉄心12の軸線に沿って嵌め込まれていくことで、それまで固定子コイル16の浮き上がりを抑えていた押え部材49は、継鉄(ヨーク)13に押されて歯元42に沿って摺動していき、最後に歯元42から抜け落ちる。
そのため、継鉄(ヨーク)13への固定子コイル付き歯(ティース)14Cの組み付けが終了する瞬間まで、押え部材49による固定子コイル16の浮き上がり抑止機能は持続する。
このようにして組み立て終わった固定子10に、図示しない回転子を組み込んで同期機(同期電動機)1を作製すると、各歯(ティース)14Tが、回転子の周面に固着した永久磁石に吸引されて継鉄(ヨーク)13に対して半径方向内側へ変位しようとする。
しかし、継鉄(ヨーク)13の内周縁に形成された多数のテーパ状の係止溝32に、各歯(ティース)14Tのテーパ状に形成された歯元42が嵌合しているため、また、各歯(ティース)14Tが歯部鋼板40ごとに連結部44を介して円形に連なっているため、このような半径方向内側への変位を確実に防止することができる利点がある。
上記のようにして構成された同期機(同期電動機)1は、運転にともなって自己発熱する。しかし、固定子鉄心12の外側表面に多数の突起50が形成されているため、これら多数の突起50によって固定子鉄心12の外側表面積を大幅に拡大することができる。これにより、実質的な体積増加を伴わずに高い放熱効率を達成することができる。
図8は、継鉄部鋼板の他の例を示す図であり、この継鉄部鋼板130は、互いに平行な2辺にのみ複数の突片135が形成され、他の2辺は外周縁131のままであるため、これ1種類だけで足りるものである。
すなわち、継鉄部鋼板130を所定枚数ごとに90°向きを変えて積層することで、重ね合わされた所定枚数分の突片135により構成される所要厚さの突起50を、固定子鉄心12の外側表面に多数形成することができる。
図9は、継鉄部鋼板のさらに他の例を示す図であり、この継鉄部鋼板230は、比較的大型の同期機(同期電動機)1に対応するため、1枚ではなく複数(図示の例では4枚)の鋼板片230Pに分割したものである。
なお、図4(b)に示す継鉄部鋼板30Bを例にして図示してあるが、図4(a)に示す継鉄部鋼板30Aおよび図8に示す継鉄部鋼板130についても、比較的大型の同期機(同期電動機)1に対応させる場合は、1枚ではなく複数(例えば4枚または2枚)の鋼板片に分割することができる。
この鋼板片230Pは、4枚を組み合わせて1枚の継鉄部鋼板230を構成するものであり、各鋼板片230Pどうしの接合部を、先端に向かってテーパ状に広がる係止突片237と、入口から奥に向かってテーパ状に広がる係止溝238とによる接合構造としてある。
このように複数に分割された鋼板片230Pを1枚の継鉄部鋼板230として組み付けるには、例えば、継鉄部鋼板230の内接円と同径のドラムと、継鉄部鋼板230の孔238に通すポストとを直立させて備えた組み付け治具を用いて、ポストに鋼板片230Pの孔238を通して内接円をドラムの周面に沿わせながら落とし入れることで、容易に組み付けることが可能である。
しかも、この組み付け治具を用いることで、継鉄部鋼板230の積層も容易に実現することができる。
図10は、この発明による同期機の他の実施の形態に用いる継鉄部鋼板を示す一部省略した平面図、図11は、図10の継鉄部鋼板を用いた同期機を一部破断にして示す側面図(平面図も同様)である。
図10に示すように、この継鉄部鋼板330は、互いに平行な2辺Aに形成された複数の突片335および突片335間の間隔と、これと直交する2辺Bに形成された突片335間の間隔および複数の突片335とが、それぞれ対応する位置に配置されたものである。
そのため、このような継鉄部鋼板330を所定枚数ごとに、図10(a)に示す角度と図10(b)に示す角度とに90°ずつ向きを変えて積層することで、重ね合わされた所定枚数分の突片335により構成される所要厚さの突起350を、図11に示すように、固定子鉄心312(固定子310)の外側表面に、千鳥格子状に配置することができる。
このように配置された突起350の場合は、図1、図2に示すように配置された突起50に比べて表面積が増えるため、放熱効率の一層の向上を図ることができる。
この発明による同期機の一実施の形態を回転子を省略して示す概略的断面図である。 図1の同期機を一部破断にして示す側面図である。 図1の要部の拡大図である。 2種類の継鉄部鋼板を示す一部省略した平面図である。 歯部鋼板を示す一部省略した平面図である。 継鉄部鋼板と歯部鋼板の要部の拡大図である。 押え部材による固定子コイルの浮き上がりを防止する説明図である。 継鉄部鋼板の他の例を示す一部省略した平面図である。 継鉄部鋼板のさらに他の例を展開して示す一部省略した平面図である。 この発明による同期機の他の実施の形態に用いる継鉄部鋼板を示す一部省略した平面図である。 図10の継鉄部鋼板を用いた同期機を一部破断にして示す側面図である。
符号の説明
1,301 同期機(同期電動機)
10,310 固定子
11 空洞
12,312 固定子鉄心(磁気回路コア)
13 継鉄(ヨーク)
14 一体歯(ティース)
14T 歯(ティース)
14C 固定子コイル付き歯(ティース)
15 スロット
16 固定子コイル(電機子コイル)
17 押え板
18 通し孔
30(30A,30B),130,230,330 継鉄部鋼板
32,132,232,332 係止溝
35,135,235,335 突片
40 歯部鋼板
41 鋼板歯
42 歯元
43 歯先
44 連結部
45 切り欠き
49 押え部材
50,350 突起
230P 鋼板片
237 係止突片
238 係止溝

Claims (5)

  1. 鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心を備えた同期機において、
    前記固定子鉄心の外側表面に多数の突起を形成したことを特徴とする同期機。
  2. 外周縁の所定部位に突片が形成された鋼板を当該突片どうしを重ね合わせて所定枚数積層することで前記突起を形成し、前記所定部位に突片が形成されない鋼板を所定枚数積層することで、前記突起と積層方向に隣接するつぎの突起との間隔を形成したことを特徴とする請求項1記載の同期機。
  3. 鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心を備えた同期機において、
    外周縁に複数の突片が間隔を保って形成された鋼板と、外周縁に突片が形成されない鋼板とを所定枚数ずつ交互に積層することで、重ね合わされた所定枚数分の前記突片により構成される所要厚さの突起を、前記固定子鉄心の外側表面に多数形成したことを特徴とする同期機。
  4. 鋼板を多数枚積層して構成される固定子鉄心を備えた同期機において、
    前記固定子鉄心の中心から等距離の位置に互いに直交する4辺の外周縁を有する鋼板の平行な2辺に複数の突片を間隔を保って形成し、前記鋼板を所定枚数ごとに90°向きを変えて積層することで、重ね合わされた所定枚数分の前記突片により構成される所要厚さの突起を、前記固定子鉄心の外側表面に多数形成したことを特徴とする同期機。
  5. 前記鋼板を前記固定子鉄心の中心まわり方向に沿って複数の鋼板片に分割し、各鋼板片どうしの接合部を、先端に向かってテーパ状に広がる係止突片と、入口から奥に向かってテーパ状に広がる係止溝とによる接合構造としたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の同期機。
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