JP2005116946A - 放熱シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐屈曲性に優れた放熱シートを提供する。
【解決手段】 本発明の放熱シート1は、熱伝導性粒子20が高分子バインダ10中に分散されたものであり、熱伝導性粒子20は、一面11および他面12近傍が中央部より低濃度となるように分散されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐屈曲性に優れた放熱シートおよびその製造方法に関するものである。
情報家電、通信系ネットワーク、コンピューターやその周辺機器等には、発生した熱を放散させるために、アルミニウム等の金属からなる放熱板や、高分子バインダ中にアルミナや窒化ボロン等の熱伝導性に優れたセラミック粒子を分散した放熱シートが搭載されている。後者の放熱シートは、特に耐電圧性や絶縁性を要する用途等で利用されている。
高分子バインダとしては、シリコーンゴムやポリイミド樹脂、アクリル樹脂等が、用途に応じて適宜選択され用いられている。例えば、柔軟性や可撓性が要求される場合、シリコーンゴムが広く使用されている。しかしながら、シリコーンゴム系放熱シートは可撓性があるが故に、延伸や押圧等によって部分的に薄化することがあり、高電圧がかかる用途ではこの薄化した部位に高電圧が集中する恐れがある。そのため、かかる用途では、柔軟性の低いポリイミド樹脂やアクリル樹脂等が使用されている(特許文献1参照)。
特開2003−105299号公報
放熱シートでは、高分子バインダ中に熱伝導性粒子を60〜80体積%と高密度で充填させることが一般的であり、バインダ量が多いものに比して、耐屈曲性等の機械的特性が相対的に低い傾向にあった。これは特に、柔軟性の低いポリイミド樹脂等を高分子バインダとする場合に顕著であり、実装時に、耐屈曲性が不十分なことに起因してひび割れが生じることがあった。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、耐屈曲性に優れた放熱シート、およびその製造方法を提供することを目的とする。
従来、放熱シートは、基材上に高分子バインダと溶剤と熱伝導性粒子とを含む溶液を塗布し、塗膜を形成した後、塗膜に含まれる溶剤を乾燥除去することにより、製造されている。この従来の製造方法では、塗膜の乾燥工程において、空気に触れる基材と反対側の面側から溶剤が揮発していくため、乾燥の進行と共に、高分子バインダは溶剤乾燥が遅い基材側に移行し濃縮されることになる。その結果、空気側は高分子バインダ濃度が低く(粒子濃度が高く)、基材側は高分子バインダ濃度が高い(粒子濃度が低い)非対称構造となる。かかる膜では、高分子バインダ濃度の高い基材側の機械的強度が高くなる一方、高分子バインダ濃度の低い空気側の機械的強度が低下し、耐屈曲性の低下を招いてしまう。
本発明者は、従来の放熱シートにおけるかかる熱伝導性粒子の濃度分布と耐屈曲性の関係に着目して鋭意検討した結果、以下の本発明を完成した。
本発明の放熱シートは、熱伝導性粒子が高分子バインダ中に分散された放熱シートにおいて、熱伝導性粒子は、一面および他面近傍が中央部より低濃度となるように分散されていることを特徴とする。なお、本明細書における「一面および他面近傍」並びに「中央部」の定義については、後記する。
本発明の放熱シートの好適な態様としては、熱伝導性粒子が、中央部から離れるに従って低濃度となるように分散されたものが挙げられ、さらに、一面および他面近傍には、高分子バインダのみからなるスキン層が形成されたものが特に好ましい。
また、高分子バインダ中に、表面から裏面に向かうに従って低濃度となるように熱伝導性粒子が分散されたシートが、表面同士が互いに対向するように積層され一体化されたものが好ましい。
本発明の放熱シートにおいて、高分子バインダとしては、ポリフッ化ビニリデンおよび/またはポリウレタン系エラストマーを主成分とするものが好適である。なお、本明細書では、高分子バインダの「主成分」を、含有量が70質量%の成分と定義する。
本発明の放熱シートは、以下の本発明の放熱シートの製造方法によって好適に製造することができる。
本発明の第1の放熱シートの製造方法は、高分子バインダ中に、表面から裏面に向かうに従って低濃度となるように熱伝導性粒子が分散されたシートを調製するシート調製工程と、前記シートを表面同士が互いに対向するように積層し、これを一体化する積層一体化工程とを有することを特徴とする。
前記積層一体化工程においては、前記シートの積層体を圧縮加熱により一体化することが好ましい。
また、前記シート調製工程が、基材上に、高分子バインダと溶剤と熱伝導性粒子とを含む溶液を塗布し、塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜に含まれる溶剤を乾燥除去する乾燥工程とを含むと共に、前記積層一体化工程において、前記シートの基材接合面と反対側の面を接合させて積層することが好ましい。
本発明の第2の放熱シートの製造方法は、基材上に、高分子バインダと溶剤と熱伝導性粒子とを含む溶液を塗布し、塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜に含まれる溶剤を乾燥除去し、高分子バインダ中に熱伝導性粒子が分散されたシートを調製する乾燥工程と、前記シートを表面同士が互いに対向するように積層し、これを一体化する積層一体化工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、耐屈曲性に優れた放熱シート、およびその製造方法を提供することができる。
「放熱シートの構造」
図1に基づいて、本発明に係る実施形態の放熱シートの構造について説明する。図1は、放熱シートの断面構造を模式的に示したもので、縮尺等については実際のものと異ならせてある。
本実施形態の放熱シート1は、多数の熱伝導性粒子20が高分子バインダ10中に分散されたもので、熱伝導性粒子20の断面方向(厚み方向)の分布が特徴的なものとなっている。
詳細には、熱伝導性粒子20は、放熱シート1の一面11および他面12近傍が中央部より低濃度となるように分散されている。本実施形態ではさらに、熱伝導性粒子20が、中央部から離れるに従って低濃度となるように分散されている。換言すれば、本実施形態では、一面11および他面12近傍が、中央部に比して、高分子バインダ10に富むように構成されている。
本実施形態では、かかる構成を採用しているので、シート全体が、一面11および他面12近傍に相対的に多く存在する高分子バインダ10によって保護され、機械的強度が高く耐屈曲性に優れたものとなる。
本明細書においては、放熱シートの厚みをtとした時、「一面(11)および他面(12)近傍」は一面(11)からの深度が0〜0.1tおよび0.9t〜1.0tの範囲内、「中央部」は一面(11)からの深度が0.4t〜0.6tの範囲内と定義する。(図1参照。なお、図1においては中心線を符号13で示してある。)
放熱シート1の厚さtは特に限定されないが、0.01〜1.0mmが好ましく、0.05〜0.3mmがより好ましい。シート厚が0.01mm未満では、放熱性が不充分となる恐れがあり、1.0mm超では製造が困難となり、好ましくない。
熱伝導性粒子20の具体的な濃度分布については限定されないが、高分子バインダ10の種類によらず、優れた耐屈曲性を呈し、実装時のひび割れ等を防止するには、一面11および他面12近傍の熱伝導性粒子濃度が0〜50体積%であることが好ましく、0〜30体積%であることがより好ましい。
特に、一面11および他面12近傍には、高分子バインダ10のみからなるスキン層が形成されていることが好ましい。スキン層の厚さは限定されないが、厚くなるに従って、耐屈曲性向上効果は増すが放熱性は低下する傾向にあるので、例えばシート全体の厚さ(t)に対して2〜15%程度が好ましい。
また、十分な放熱特性を確保するには、中央部の熱伝導性粒子濃度が60体積%以上であることが好ましい。
(熱伝導性粒子)
熱伝導性粒子20は熱伝導性を有する粒子であれば特に限定されない。但し、放熱シート1が良好な放熱特性を呈するためには、室温(23±2℃)における熱伝導率が100W・m−1・K−1以上のものが望ましい。
かかる熱伝導率を有する粒子としては、亜鉛、アルミニウム、銅、銅系合金、金、銀、タングステン、モリブデン等の金属や、黒鉛、アルミナ、シリカ、窒化ボロン、蛍石等が挙げられる。これらは用途に応じて適宜選択され、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、絶縁性もしくは耐電圧性が要求される用途では、アルミナ、窒化ボロン、蛍石等が好適である。
熱伝導性粒子20の平均粒子径は特に限定されないが、0.1μm以上シート厚(t)以下であることが好ましく、0.5μm以上シート厚の1/2(0.5t)以下であることがより好ましい。
熱伝導性粒子20の平均粒子径が0.1μm未満では、放熱シート1の製造に際し、高分子バインダ溶液中への熱伝導性粒子20の分散が困難となる上、熱伝導効率が低下するため、好ましくない。熱伝導効率の観点からは熱伝導性粒子20の平均粒子径は大きい方が良いが、シート厚を超えるものは当然ながら使用できない。また、面平滑性の観点から、熱伝導性粒子20の平均粒子径はシート厚の1/2以下であることが好ましい。
熱伝導性粒子20の形状や粒径分布は特に限定されず、任意のものを用いることができる。
(高分子バインダ)
高分子バインダ10としては、何らかの液剤に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されないが、優れた耐屈曲性を呈するには、破断強度が30MPa以上かつ破断伸度が250%以上の高分子バインダを用いることが好ましい。
破断強度が10MPa未満で破断伸度が250%未満の高分子バインダを選択した場合、熱伝導性粒子を50体積%以上添加すると、得られる放熱シート1の強度が著しく低下し、取り扱い性が著しく悪化する恐れがある。
破断伸度が250%以上であっても破断強度が30MPa未満の高分子バインダを選択した場合、熱伝導性粒子を50〜70体積%添加しても取り扱い上の問題はないが、耐屈曲性が不充分となり、実装時にひび割れが発生する恐れがある。
なお、破断強度が30MPa以上且つ破断伸度が250%以上の高分子バインダはショア−A硬度が70°以上あり、熱伝導性粒子を50〜75体積%添加した場合、押圧によって変形しにくい硬い風合いを呈する放熱シート1が得られる。このように、本発明によれば、硬い風合いを呈しつつ、耐屈曲性に優れた放熱シートを提供し得る。従来の放熱シートでは、硬度と耐屈曲性は互いに背反する特性であり(段落[0002]、[0003]参照)、これら双方の特性を併せ持つ本発明の放熱シートの工業的価値は極めて高く、高電圧がかかる用途等に好適に用いることができる。
上記物性を有する高分子バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリウレタン系エラストマー等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリフッ化ビニリデンは、絶縁性や耐電圧性に優れているので、アルミナ、窒化ボロン、蛍石等の熱伝導性粒子を60〜70体積%添加することで、絶縁性や耐電圧性に優れた放熱シート1が得られる。なお、ポリフッ化ビニリデンは、分子量や分岐等によって物性が変化するが、任意のものを選定することができる。
ポリウレタン系エラストマーは、アジペート系、ラクトン系、エーテル系、カーボーネート系など、いかなるタイプのものを用いても良く、2種以上を併用することもできるが、アジペート系やラクトン系のポリウレタン系エラストマーは、特に機械的物性に優れ、破断強度が30MPa以上且つ破断伸度が250%を満たすものが市販されているので、これを選択することが好ましい。
(他の成分)
本実施形態の放熱シート1は、高分子バインダ10と熱伝導性粒子20とを主体として構成されるが、必要に応じて他の成分を含むものであっても良い。
例えば、各種物性の向上を目的として、ガラス繊維、アルミナ繊維、ウォルストナイト、チタン酸カリウム等の補強性フィラー、燐系、ハロゲン系等の難燃剤、アジピン酸ポリエステル、燐酸エステル等の可塑剤、シラン系やチタネート系等のカップリング剤、ヒンダートアミン、ビスフェノール等の安定剤などの各種添加剤を配合することができる。
「放熱シートの製造方法」
次に、図2に基づいて、本発明に係る実施形態の放熱シートの製造方法について説明する。
(A)シート調製工程
(A−1)塗膜形成工程
(a)分散溶液調製工程
放熱シート1を製造するにあたっては、まず、高分子バインダ10と熱伝導性粒子20とを含む熱伝導性粒子分散溶液を調製する。かかる分散溶液は、高分子バインダ10を溶剤に溶解し、これに熱伝導性粒子20を分散させることによって調製できる。なお、熱伝導性粒子20としてアルミナ等の硬度の高い熱伝導性粒子を選択した場合には、粒子を分散させる際に用いる装置(混練装置等)の磨耗に注意を払う必要がある。
溶剤は高分子バインダの種類に応じて適宜選定される。その濃度は特に限定されないが、次の塗布工程の簡便性を考慮すると、高分子バインダと熱伝導性粒子の総量に対して、60〜90質量%とすることが好ましい。
高分子バインダと熱伝導性粒子の配合比も特に限定されないが、本発明者は、例えば、高分子バインダと熱伝導性粒子を体積比20〜30:80〜70で配合すれば、シート全体の厚さに対して2〜15%程度の厚さのスキン層が形成されることを確認している。
(b)塗布工程
続いて、図2(a)に示すように、先に調製した分散溶液を基材40上に塗布し、未乾燥の塗膜30Aを形成する。なお、同図では、乾燥前の高分子バインダ溶液に符号10Aを付してある。
塗布方法としては特に限定されず、コンマコーター、グラビアコート、スクリーン印刷、ダイコート等の従来公知の方法を適宜採用することができる。
基材40は最終的に放熱シートから剥離されるものであるので、高分子バインダからの剥離性を考慮して選定される。例えば、ポリエステルフイルム、ポリイミドフイルム、ポリオレフィンフイルム、離型紙等の樹脂又は紙製の基材や、金属ベルト、金属ロール等の金属製の基材等を適宜選定して用いることができる。なお、樹脂又は紙製の基材では、基材と塗膜が一体化した状態を維持しつつ後工程の処理を行うことができるのに対し、金属製の基材は一時的に塗膜を支持するものである。
また、基材40としては、塗膜形成面の形状が塗膜に転写されるので、特に、塗膜形成面の平滑性に優れた基材を用いることが好ましい。これによって、最終的に、発熱体との密着性に優れ、放熱性に優れた放熱シート1が得られる(段落[0021]参照)。
(A−2)乾燥工程
以上のように、未乾燥の塗膜30Aを形成した後、該膜中に含まれる溶剤を乾燥除去する。
この工程は従来の放熱シートの製造方法における乾燥工程と同様であり、「課題を解決するための手段」の項で詳細に述べたように、空気に触れる側から溶剤が揮発していく結果、図2(b)に示すように、熱伝導性粒子20が、表面31から裏面32に向かうに従って低い濃度で分散した非対称構造のシート30が得られる。
なお、塗布工程、乾燥工程を経て得られるシート30の表面は、基材40側に比して平滑性の低いものであるので、図面ではこれを誇張して記載している。また、本明細書では、便宜上、シート30の基材接合面を「裏面」、その反対側の面を「表面」と定義する。
乾燥方法は特に限定されず、加熱ロール上を走行させたり、熱風を吹き付けるなどの方法が挙げられる。
最終的に面近傍に高分子バインダのみからなるスキン層を具備する放熱シート1を得るには、この工程で、基材40側に高分子バインダを含まないスキン層が形成される必要がある。基材40側にスキン層を形成するには、基材40側の乾燥を適度に遅くする必要があり、これには、熱風を用いた加熱乾燥等が適している。
(B)積層一体化工程
次に、上記で調製したシート30を一対用意し、これらを接合する。この時、図2(c)に示すように、表面(基材接合面と反対側の面)31同士が互いに対向するように接合し、積層体(図示略)とする。さらに、この積層体を圧縮しながら加熱することで、一対のシート30の境界を融合させ一体化する。その後、基材40を剥離する。
なお、一対のシート30を用いてこれらを積層する代わりに、1枚のシート30を折り曲げて積層しても構わない。また、圧縮加熱処理後のシートをプレス機から剥離することができれば、基材40を剥離してから圧縮加熱処理を施しても良い。
この工程においては、積層したシート30を隙間なく一体化するために、加熱温度を高分子バインダの軟化点もしくは融点以上とすることが好ましい。
積層体を圧縮する方法は特に限定されないが、例えばロールプレス、盤プレス、ベルトプレス等を用いた方法が挙げられる。ロールプレス、ベルトプレスを用いる場合、長尺シートの形態で連続的に処理を行うことが好ましく、盤プレスを用いる場合には、所定寸法に裁断してからプレスを行うことが好ましい。放熱シート1の厚さは、ロールもしくはベルトのクリアランスを調整したり、盤の間にスペーサを挿入するなどして、制御することができる。
熱伝導性粒子濃度が60〜75体積%と高濃度の場合には、流動性が乏しいので、盤プレスを採用することが好ましい。なお、このように熱伝導性粒子を高濃度で配合する場合には、スペーサを用いず直にプレスしても、所望の厚さを確保することができる。
また、加熱プレスの後、加圧したまま冷却すると、熱伝導性粒子20同士が互いに密集して熱伝導性を高めることができることから、盤プレスを採用し、あらかじめ加熱した盤で加圧を行い、一定時間経過後、加圧状態を維持したまま盤に冷却水を送るなどして80℃以下の温度に冷却し、処理後のシートを取り出すことが特に好ましい。
以上のようにして、熱伝導性粒子20を中央部から離れるに従って低い濃度となるように分布させることができ、上記の放熱シート1を製造することができる。
本実施形態の製造方法によれば、乾燥工程までは従来の製造プロセスと同様であるので、製造設備や製造方法を大きく変えることなく、放熱シート1を製造することができ、好適である。
さらに、本実施形態によれば、双方の面において平滑性に優れる基材接合面(32)が露出することになるので、発熱体との密着性に優れ、放熱性に優れた放熱シート1を提供できるという効果も得られる。これは、特に、塗膜形成面の平滑性に優れた基材を用いた場合に顕著である。
(その他の製造方法)
本実施形態の製造方法はかかる優れた効果を奏するものであるが、放熱シート1は他の製造方法によっても製造することができる。他の製造方法としては、例えば、従来の放熱シートの両面に、ラミネート法またはコーティング法等により、熱伝導性粒子の濃度が相対的に低い、もしくは熱伝導性粒子を含まない層を積層する方法等が挙げられる。
次に、本発明に係る実施例および従来例について説明する。
以下の例において、シートの断面構造観察は、1cm角にカットしたシートをエポキシ樹脂に埋没させ硬化したものを、スライサーで切断し、露出した断面を走査型プローブ顕微鏡(AFM:東洋テクニカ(株)製「ナノスコープ」)にて撮像することにより行った。
(実施例1)
ポリフッ化ビニリデン(アトケム ジャパン(株)製 1000LD、破断強度54MPa、破断伸度280%)200gを、N−メチルピドリドン(NMP)800gに溶解させてから、アルミナ粉末(住友化学(株)製 AL−33)1000g加えて攪拌機にて混練し、アルミナ分散溶液を得た。
一方、基材として、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)を12cm×25cmに裁断したものを用意し、この上に、卓上コンマコーターを用いて、上記分散溶液を塗布した。これを、150℃に調温された乾燥炉にてNMPを乾燥除去し、厚さ30μmの塗膜を有する基材付きシートを数枚得た。この基材付きシートの塗膜全体のアルミナ濃度は、68.9体積%である。
得られたシートの断面観察を行ったところ、アルミナ粒子が表面(基材と反対側)から裏面(基材側)に向かうに従って低い濃度で分散した内部構造を有することが明らかとなった。
得られた基材付きシートから任意の2枚を選定し、これらを表面(基材接合面と反対側の面)同士が互いに対向するように積層した後、得られた積層体を200℃に調温された油圧式プレス盤にて80kgf/cmの圧力で加圧した。3分経過後、盤に冷却水を流したところ、5分後に65℃まで降温したので、盤を開けてシートを取り出した。最後に、両面に存在する基材を剥離し、厚さ50μmの本発明の放熱シートを得た。
得られた放熱シートは、双方の面が良好な光沢を呈する平滑性に優れたものであった。また、断面観察を行ったところ、アルミナ粒子は中央部から離れるに従って低い濃度で分散しており、かつ双方の面近傍にアルミナ粒子が含まれないスキン層が形成されていた。
得られた放熱シートを二つ折りにしたところ、わずかに白化が認められたが、ひび割れは生じなかった。その後さらに反対方向にも二つ折りにしたが、同様にひび割れは生じなかった。このように、本実施例の放熱シートは、実装時よりも過酷な条件にて折り曲げても、ひび割れの生じない耐屈曲性に優れたものであった。なお、本発明者は、通常の実装条件レベルであれば、白化も生じないことを確認している。
(実施例2)
一対のシートを積層させる代わりに、1枚のシートを折り曲げて積層した以外は実施例1と同様にして、本発明の放熱シートを得た。該シートについて実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同様の構造および物性を備えていた。
(従来例1)
実施例1と同様にして厚さ50μmの塗膜を有する基材付きシートを調製した後、積層処理および圧縮加熱処理を施さず、そのまま基材を剥離し、従来の放熱シートを得た。
この放熱シートは、基材接合面は光沢があり平滑性が良好であったが、他方の面は光沢がなく微細な凹凸を有する粗面であった。断面観察を行ったところ、基材接合面側の粒子濃度が低く、他方の面側の粒子濃度が高い非対称構造を有していた。
この放熱シートを光沢を有する面が外側になるように二つ折りにしたところ、わずかに白化が認められたものの、ひび割れは生じなかった。しかしながら、その後さらに反対方向に二つ折りにしたところ、ひび割れが生じた。これは、高分子バインダ濃度の低い面側が脆く屈曲に耐えることができなかったためである。
(従来例2)
実施例1と同様にして厚さ60μmの塗膜を有する基材付きシートを調製した後、積層はしなかったが、実施例1と同様の圧縮加熱処理を施してから基材を剥離し、厚さ50μmの従来の放熱シートを得た。該シートについて実施例1と同様に評価したところ、従来例1と同様の構造および物性を備えていた。
(実施例3)
分散溶液の組成を、ポリウレタンエラストマー(ディーアイシィーバイエルポリマー(株)製 T−2198、破断強度55MPa、破断伸度450% )100g、NMP1000g、アルミナ粉末(住友化学(株)製 AL−33)900gとした以外は、実施例1と同様にして、厚さ30μmの塗膜を有する基材付きシートを数枚得た。この基材付きシートの塗膜全体のアルミナ濃度は、73.0体積%である。
この基材付きシートを用い、実施例1と同様にして、厚さ50μmの本発明の放熱シートを得た。該シートについて実施例1と同様に評価したところ、実施例1と同様の構造および物性を備えていた。
また、断面観察により得られた画像に対して演算処理を施し、異なる深度におけるアルミナ濃度を測定したところ、一面からの深度が2.5μmでは3.55体積%、深度が25.0μmでは77.20体積%、深度が47.5μmでは2.58体積%であった。
以上の実施例、従来例の評価結果から、本発明の放熱シートは、双方の面近傍に高分子バインダに富む層を備え、耐屈曲性に優れたものであることが明らかとなった。
本発明の放熱シートは、情報家電、通信系ネットワーク、コンピューターやその周辺機器など、放熱を要する用途に用いられる。本発明の放熱シートは、特に耐屈曲性を要する用途に用いて好適である。
図1は、本発明に係る実施形態の放熱シートの概略断面図である。 図2(a)〜(c)は、本発明に係る実施形態の放熱シートの製造方法を示す工程図である。
符号の説明
1 放熱シート
10 高分子バインダ
20 熱伝導性粒子
11 一面
12 他面
30 シート
31 表面
32 裏面
40 基材

Claims (9)

  1. 熱伝導性粒子が高分子バインダ中に分散された放熱シートにおいて、
    熱伝導性粒子は、一面および他面近傍が中央部より低濃度となるように分散されていることを特徴とする放熱シート。
  2. 熱伝導性粒子は、中央部から離れるに従って低濃度となるように分散されていることを特徴とする請求項1に記載の放熱シート。
  3. 一面および他面近傍には、高分子バインダのみからなるスキン層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放熱シート。
  4. 高分子バインダ中に、表面から裏面に向かうに従って低濃度となるように熱伝導性粒子が分散されたシートが、表面同士が互いに対向するように積層され一体化されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱シート。
  5. 高分子バインダが、ポリフッ化ビニリデンおよび/またはポリウレタン系エラストマーを主成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放熱シート。
  6. 高分子バインダ中に、表面から裏面に向かうに従って低濃度となるように熱伝導性粒子が分散されたシートを調製するシート調製工程と、
    前記シートを表面同士が互いに対向するように積層し、これを一体化する積層一体化工程とを有することを特徴とする放熱シートの製造方法。
  7. 前記積層一体化工程において、前記シートの積層体を圧縮加熱により一体化することを特徴とする請求項6に記載の放熱シートの製造方法。
  8. 前記シート調製工程が、基材上に、高分子バインダと溶剤と熱伝導性粒子とを含む溶液を塗布し、塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜に含まれる溶剤を乾燥除去する乾燥工程とを含むと共に、
    前記積層一体化工程において、前記シートの基材接合面と反対側の面を接合させて積層することを特徴とする請求項6または7に記載の放熱シートの製造方法。
  9. 基材上に、高分子バインダと溶剤と熱伝導性粒子とを含む溶液を塗布し、塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜に含まれる溶剤を乾燥除去し、高分子バインダ中に熱伝導性粒子が分散されたシートを調製する乾燥工程と、
    前記シートを表面同士が互いに対向するように積層し、これを一体化する積層一体化工程とを有することを特徴とする放熱シートの製造方法。
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