JP2005116303A - 光源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放電ランプ10は0.15mg/mm3以上の水銀が封入され、反射鏡20の首部には冷却排風穴31を有するとともに、前面開口には冷却送風穴41を有し、この冷却送風穴41は、放電ランプ10の発光部11に直接当たることなく、その上部を通過して凹面反射鏡20の鏡面に直射する上側通風用開口41aと、放電ランプの発光部に直接当たることなく、その下部を通過して凹面反射鏡の鏡面に直射する下側通風用開口41bを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
具体的には、放電ランプの発光部や封止部が必要以上に高温になり、発光管は失透を起し、封止部内の金属箔は酸化、膨張によりクラックを発生させたりする。また、反射鏡の鏡面温度が必要以上に高温になると、蒸着膜の耐熱温度を超えたり、あるいは反射鏡の内面と外面の間で大きな温度差を生じた場合に蒸着膜のヒビ割れ等の熱劣化や反射鏡が熱により大きなクラックを起こすことがある。
このような構造を開示したものに、例えば、特開平10−223023号、特開平10−326520号、特開平11−39934号などがある。
しかし、放電ランプを水平に配置した場合は、放電ランプ、および凹面反射鏡は下部に対して相対的に上部が高温になる。特に、前記凹面反射鏡内は略密閉構造であるため、一部の開口から冷却風が流通しているとしても上部の高温化は避けられない。
このため、送風穴は、凹面反射鏡や放電ランプに対して均等に冷却風を直射するというよりは、主に上部に焦点をあてて温度の均一化を図る構造が一般的である。また、放電ランプは、発光部や封止部など、個々に強調して冷却しなければならない箇所を有することもあり、このような場合は当該箇所に向けて指向する冷却風送風穴が設計される。
従って、高温化する放電ランプや凹面反射鏡の上部位置も反転することになる。つまり、据え置き使用において、放電ランプや凹面反射鏡の上部位置を強調的に冷却する構造は、天井吊り下げ使用においては、放電ランプや凹面反射鏡の下部位置を強調冷却することになってしまい、上部の高温化をより助長することになりかねない。
この構造は、据え置き使用、天井吊り下げ使用のいずれにおいても側部から冷却するだけであるため、使用形態を切り替えることによる上記不具合を避けることができる。
しかし、この構造は、放電ランプや凹面反射鏡は、本来上部が下部よりも相対的に高温化するという問題を解決するものではなく、すなわち、据え置き使用、天井吊り下げ使用のいずれかの使用においても、放電ランプや凹面反射鏡の上部が相対的に高温化してしまうという問題を有している。
特に、近年、プロジェクター装置が、より小型化しており、これにより装置内部に各種部品が密集している。また、放電ランプ自体も明るさの向上が要求される。つまり、装置全体が小型化して内部の部品が密集化するにも関わらず、最大の発熱源である光源はより高温化の傾向にあるわけである。
しかし、上記のようにプロジェクター装置全体が小型化するとともに、内部に収納する部品の密集化する中で、このような機械的な構造を取り付けることは望ましいことではない。
また、送風穴は、前記凹面反射鏡の前面開口の縁部に適合する通風部材よりなることを特徴とする。
光源装置は、ショートアーク型超高圧放電ランプ10(以後、単に「放電ランプ」ともいう)と、この放電ランプ10を取り囲む凹面反射鏡20より構成され、凹面反射鏡20の光軸Lと放電ランプ10のアーク方向がほぼ一致するとともに、放電ランプ10のアーク輝点が凹面反射鏡20の第一焦点に一致するように配置されている。
凹面反射鏡20の前面開口には、筒状の枠部材25が装着されている。この枠部材25は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの耐熱性樹脂よりなり、ガラス保持部23において光透過性ガラス24を保持するとともに、遮光とガラスを保持する部分の保護のために設けられる。光透過性ガラス24は、例えば、ホウ珪酸ガラスなどであり、放電ランプ10からの直射光あるいは、凹面反射鏡20の反射部22からの反射光を透過する。なお、枠部材25の内面には放電ランプ10からの放射光の直射を避けるために、例えばステンレス薄板などを施している。
また、光透過性ガラス24を設けることで、後述する送風穴や排風穴を除き、凹面反射鏡20の内部空間はほぼ密閉構造になる。このため、万一、放電ランプ10が破損などした場合において、破片が散乱することを防止できる。さらに、破損時に生じる音を消音あるいは低下することができる。なお、光透過性ガラス24は、図示のよう平面ガラスでもよいし、凹面反射鏡20による反射光を平行光にする凹面レンズであってもよい。
また、図1には示されていないが、枠部材25に他方の側部には冷却風の排風穴42が取り付けられる。
従って、通風部材40の送風穴41から導入された冷却風は、凹面反射鏡20の反射部22に直射して、その後、排風穴42からは排出されることになる。
なお、枠部材25(特に筒部分)は必須ではない。例えば、凹面反射鏡20の前面開口に光透過性ガラスを直接取り付ける構成や、光透過性ガラスを保持する程度に枠部材を設けて筒部材を省略することも可能である。この場合、通部部材40は凹面反射鏡20の切り欠きに取り付けるなどする。
本発明において、通風部材40は凹面反射鏡20の前面開口縁部に適合するとは、凹面反射鏡20の前面開口に枠部材25を装着したときは枠部材25の縁部に適合する場合を含んである。
送風ファン50の吹出口にはダクト51を介して通風部材40が装着しており、この通風部材40が枠部材25の一方の側部に取り付けられる。また、排風穴42は枠部材25の他方の側部に設けられる。通風部材40は枠部材25に設けられた切り欠きに適合するように設けられる。一方、排風穴42は枠部材25に開口を設けることで形成される。
送風ファン50は、例えばシロッコ型のファンであり、ダクト51を介して通風部材40から凹面反射鏡20内を通風する。送風ファン50は、図示の形態に限定されるものではない。ただし、図示のように細長いダクトを有することで狭く密集したプロジェクター装置内部で効率的に冷却風を凹面反射鏡内に導くことができる。
なお、送風穴41から吹出す冷却風は、実際には、多少の広がりを有するため厳密には発光部11に直射する成分を有するかもしれない。しかし、本発明においては、送風穴41(41a、41b)の仮想延長線が放電ランプ10の発光部に当たらないことを意味している。この仮想延長線は、送風穴が風の流れる方向に対して、ある程度の奥行きを有する場合などに、当該奥行きを延長することで形成できる。
なお、送風穴41の仮想延長線は、放電ランプの発光部11に衝突しなければよいのであり、発光部11に衝突しないギリギリの延長線である必要はない。すなわち、上側通風用開口41aと下側通風用開口41bは光軸Lに対して大きめの角度を有していてもよい。
通風部材40の送風穴から導入された冷却風は、一部が放電ランプの発光部上部を通過して反射鏡内面に直射して(図においてW1で示す)、もう一部は放電ランプの発光部下部を通過して反射鏡内面に直射する(図においてW2で示す)。その後に発光部11と封止部12aの付け根近傍に集められる。あるいは、送風穴から導入された冷却風は反射鏡内面の曲面に沿って首部近辺で集められる。
そして、発光部11の中心部(封止部12の付け根)を冷却することで、発光部11の上部を熱伝導で冷却させて発光部11の中心部の温度に近づける。同様に、発光部11の下部も熱伝導により発光部11の中心部の温度に近づける。図では発光部11、封止部12は図示していない。図1を参照。
さらに、発光部11の中心部に集まった冷却風は、その後、発光部11の中央側部を通り排風穴から排出される。このときいくつかの成分は発光部11の上部に拡散して上部を下部に比較してより冷却することができる。
この冷却風の流れは、まず、冷却風W1,W2が放電ランプの発光部11に直射しないため、放電ランプの上下部を局所的に冷却することはない。また、冷却風は発光部11の下部へ分流する成分が小さく、発光部11は拡散による対流で冷却できるようにしている。
このため、発光部11の上部と下部での温度差が小さくなり、また、据え置き、天吊りのいずれの使用においても、温度差は小さいばかりか、両使用形態による変化量も小さくできる。
もちろん、冷却風のうち多少の成分は上記流れに沿わないかもしれないが、本発明では後述の実験結果からも明らかなように、上記冷却風の流れが支配的となって上記効果を奏しているといえる。
このため、凹面反射鏡20の首部21側に位置する封止部、図1においては封止部12aの過冷却を防止できる。そして、水銀の未蒸発を防止して放電ランプのフリッカーや照度不安定という問題も防止できる。
また、本発明は送風穴と排風穴が凹面反射鏡の側部に形成されることを特徴としている。
上記特徴により、本発明は放電ランプや凹面反射鏡内の温度差を極力小さくできるとともに、据え置き使用と天吊り使用で光源装置を180°反転させたとしても同様に放電ランプや凹面反射鏡内の温度差を小さくすることができる。
(a)において、通風部材40は、例えば、ステアタイトからなる一塊の部品であり、6つの側面(43a、43b、43c、43d、43e、43f)を有する8面体である。側面43aは枠部材25に接して配置しており、上側通風用開口41aと下側通風用開口41bが形成される。側面43b、側面43fはダクト51の端部に適合しており、側面43bには入射口41c、入射口41dが形成される。側面43cは側面43aと平行している。すなわち、凹面反射鏡20と送風ファン50の配置関係により、ダクト51を流れる冷却風は通風部材40おいて屈曲して、凹面反射鏡20内部に流入しているわけである。側面43d、側面43eは、ダクト51内を流れる冷却風とは垂直な関係にある。
そして、入射口41cから上側通風用開口41aに向けて通風孔が形成され、同様に入射口41dから下側通風用開口41bに向けて通風孔が形成される。この通風孔の角度こそが、凹面反射鏡20の反射部22に対する指向性を形成している。
このように中央部用送風穴41eを設けることで、凹面反射鏡20の前面開口側に位置する封止部、図1においては陰極側封止部12bを好適に冷却できる。
しかし、中央部用送風穴41eを設ける場合は、凹面反射鏡20内の上記冷却風の流れを乱さぬように注意しなければならない。
通風部材40は、枠部材25に装着することに限定されず、凹面反射鏡20の前面開口縁の切り欠き、もしくは光透過性ガラス24に設けた切り欠きに適合して構成してもよい。
また、通風部材40は、図示のように一塊の部材で構成することに限定されず、枠部材25と一体的にあるいは枠部材25の一部として形成することができ、また、凹面反射鏡と一体的にあるいは凹面反射鏡25の一部として形成することもできる。これら場合は、通風部材40は物理的に1部材となっているわけではない。
しかし、通風部材40は、送風すべき冷却風を放電ランプの発光部に直射することなく反射部に直射するための指向性が必要となる。従って、指向性を精度良く設計できるとするという意味で物理的に別部材として採用することは望ましい。
上側通風用開口41a、あるいは下側通風用開口41bの開口面積は、発光部11の断面積の15%〜40%であり、数値で言えば24mm2程度である。また、上側通風用開口41a、あるいは下側通風用開口41bと放電ランプのアーク軸Lとの角度は35°〜60°の範囲から選択され、例えば50°である。このような角度範囲にすることで凹面反射鏡20の中心部(首部)まで好適に冷却することができる。
放電ランプ10は、石英ガラスからなる放電容器によって形成された大略球形の発光部11を有し、この発光部11内には、陽極2と陰極3が互いに対向するよう配置している。また、発光部11の両端部から伸びるよう各々封止部12(12a、12b)が形成され、これらの封止部12には、通常モリブデンよりなる導電用金属箔4が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されている。金属箔4の一端は陽極2あるいは陰極3が接合しており、金属箔4の他端は外部リード16が接合している。
陰極3の先端にはコイル31が巻きつけられる。このコイル31はタングステンからなり、強固に巻き付けるかあるいは溶着させて構成する。コイル31点灯始動時は表面の凹凸効果により始動の種(始動開始位置)として機能するとともに、点灯後は表面の凹凸効果と熱容量によって放熱機能を担っている。
なお、図1においては、陽極側の封止部12aが凹面反射鏡20の首部21に取り付けられていたが、陰極側の封止部12bを凹面反射鏡20の首部21に取り付けてもかまわない。
水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜780nmという放射光を得るためのもので、0.15mg/mm3以上、好ましくは0.25mg/mm3以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時150気圧以上で極めて高い蒸気圧となる。また、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧200気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の放電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクター装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入され、点灯始動性を改善する。
ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入する。ハロゲンの封入量は、例えば、10−6〜10−2μmol/mm3の範囲から選択できるものであって、その機能はハロゲンサイクルを利用した長寿命化であるが、本発明の放電ランプのように極めて小型で高い内圧を有するものは、このようなハロゲンを封入することは放電容器の破損、失透の防止という作用があると考えられる。
また、この放電ランプは、小型化するプロジェクター装置などに内蔵されるものであり、全体構造が極めて小型化される一方で高い光量が要求される。したがって、発光部内の熱的条件は極めて厳しいものとなる。
そして、放電ランプは、プロジェクター装置やオーバーヘッドプロジェクターのようなプレゼンテーション用機器に搭載され、演色性の良い放射光を提供する。
前面ガラス24の数値例を示すと、厚さが3〜5mmの範囲から選択されて、例えば4mmである。
(a)(b)に示されるプロジェクター装置60は同一のものであり、プロジェクター装置60を180°反転させるとともに、投射画像も反転するようにすることで、据え置きと天吊りの兼用が可能になる。
そして、本発明の光源装置は、放電ランプの発光部に対して冷却風を直射しないことにより、据え置きと天吊りのいずれの使用形態においても、放電ランプの発光部を局所的に冷却することがない。
本発明の光源装置として、図1、図2、図3に示す形態の光源装置を使い、比較用に通風部材の送風穴と排風穴のみが異なる光源装置を採用した。比較用の光源装置は放電ランプの発光部の中心に直射する送風穴が枠部材の側部に1つ設けられること、および凹面反射鏡の首部に排風穴がある点を除いて本発明の光源装置と同じである。
通風部材は、本発明の光源装置が、高さ6mm×幅4mmの送風穴を2つ有しており(図4(a)の41a、41bに相当)、従来の光源装置は高さ6mm×幅10mmの送風穴を1つ有している。また、送風ファンは、シロッコファンを使い、通風部材に送風穴において4m/秒の風を送風させた。
放電ランプは、図1、および[0033][0034]に示すものを採用した。
下記に実験結果を示す。
一方、比較例の光源装置は、据え置き使用の場合、発光部上部温度は1000℃、発光部下部温度は834℃であり、両者の温度差は166℃であり、また、天吊り使用の場合は発光部上部温度は988℃、発光部下部温度は848℃であり、両者の温度差は122℃になった。
上記測定値は、放電ランプを点灯させると同時に送風ファンを始動させて、その後に温度が安定したときの値を測定している。この安定値は始動から概ね10分経過の値であり、若干の変動はあるものの温度は概ね一定の数値といえる。
つまり、本発明の光源装置は、放電ランプの発光部の温度差そのものを小さくできるとともに、天吊り使用と据え置き使用の両方において低い温度差を保つこともできる。このため、天吊り使用と据え置き使用のいずれの使用形態においても、放電ランプや凹面反射鏡内部の局所的な高温化を防止することができる。
なお、本発明の光源装置は送風穴、および/または排風穴には網部材を被せることもできる。
これにより、万一、放電ランプが破損した場合に、破損に伴う破片を凹面反射鏡内に捕獲することができ、冷却ファンやプロジェクター装置内部に散乱することを防止できる点で有用である。
20 凹面反射鏡
30 ランプ保持部材
40 通風部材
50 送風ファン
60 プロジェクター装置
Claims (2)
- 前面開口が光透過性ガラスで覆われた凹面反射鏡の首部に光軸が一致するように固定されて水平に配置される放電ランプを有する天吊・据置兼用プロジェクター装置の光源装置において、
前記放電ランプは0.15mg/mm3以上の水銀が封入され、
前記凹面反射鏡の前面開口における一方の側部には送風穴を有するとともに、他方の側部には排風穴を有し、
この送風穴は、放電ランプの発光部に直接当たることなく、その上部を通過して凹面反射鏡の鏡面に直射する上側通風用開口と、放電ランプの発光部に直接当たることなく、その下部を通過して凹面反射鏡の鏡面に直射する下側通風用開口を有することを特徴とする光源装置。 - 前記送風穴は、前記凹面反射鏡の前面開口の縁部に適合する通風部材よりなることを特徴とする請求項1の光源装置。
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