JP2005292421A - 超高圧ランプユニット - Google Patents

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富彦 池田
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Abstract

【課題】 密閉型リフレクタ付きランプにおいて、ランプの局部加熱を解消し、ランプの温度分布を出来るだけ均一にして、ユーザー対応可能なプロジェタに適したランプユニットを提供することにある。
【解決手段】
請求項1は、本発明に係る超高圧ランプユニットの第1実施例A1で、「高圧放電灯1と、前記高圧放電灯1が固着されている金属リフレクタ4と、金属リフレクタ4の前面開口を閉塞する前面ガラス3とで構成された密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプa及び前記リフレクタ付きランプaの前方に配置され、金属リフレクタ4からの照射光Lの内、紫外線L2及び赤外線L3を金属リフレクタ4側に反射し且つ可視光線L1を透過させるフィルタFとで構成された光学ユニットA1において、
そのフィルタFが平板状で、金属リフレクタ4の光軸CLに対して傾斜して配置されている」ことを特徴とする。

【選択図】 図1

Description

この発明は、LCDのような映像素子を照射し、その映像素子に表示された情報を投影光学系によって投射するプロジェタに使用される直流点灯ショートアーク放電灯と凹面反射鏡を組み合わせたランプユニットに関する。
近年、会議におけるプレゼンテーションの多用化により、投射型プロジェタが急速に普及した。また、このようなビジネスユースに止まらず、ホームシアタとして一般家庭での投射型プロジェタの使用も増えている。加えて、テレビにおいては、大画面の要求が多くなり、リアプロジェクションテレビの普及も現在目覚ましいものがある。これらの製品の主管部品の一つである光源には超高圧放電灯をリフレクタに固着したランプユニットが使用されている。ここに来て、これらの製品に対するユーザー要求には、画面の明るさ向上、長寿命、再点灯時間の短縮(消灯後、再度点灯できるまでの待ち時間)が強くなってきた。明るさ要求に関してはランプ自体の高圧化(0.20mg/mm3以上の水銀封入)による明るさ対応や、DCランプ採用による点光源化及び光学系の進歩により対応している。
ランプの長寿命化、再点灯時間の短縮についてはランプ温度に対する温度依存性が高く、最適なランプ温度で超高圧ランプを使用しなければ超高圧ランプ本来の性能は発揮できない。発明者らの測定(熱電対による接触測定)においては、図9にようにランプ100を水平に配置した場合、ランプ上部102の温度は950℃以下にしなければ比較的短い時間で、ガラスの失透、変形が発生すると共に、封体、特に球状の発光部101を構成する石英ガラスの過熱異常に伴って発光部101内に発生する不純物ガスによる電極変形が加速され、照度低下や早期のランプ破裂、早期不点灯、すなわち短寿命となり、ユーザー要求の長寿命化に対して要求とは逆の結果となってしまう。特に、家庭用としてのリアプロジェクションテレビや、同じく家庭用のシアタプロジェタにおいては、6,000〜8,000時間の寿命要求に対し、これでは前記長寿命を求める客先要求に応えられない結果となる。
更に条件の悪い事に安全性の向上の意味でランプ破裂の対策のため、前面ガラス103をリフレクタ104の前面開口に配設することによるリフレクタ104の密閉(これによりリフレクタ104内外の空気の通流が阻害される)や、更にはプロジェタ内部構造による密閉構造が一般的であり、超高圧放電灯100がリフレクタ104内に密閉されることによって発生する高いランプ温度は深刻な問題となっている。
また、再点灯時間の短縮化について言えば、消灯後のランプ温度を速やかに低下させなければ再点灯時間の短縮は出来ず、冷却については工夫が必要である。この対策として硝子リフレクタより熱伝導率が高い金属リフレクタ104を使用する方法が実用化され、ランプ温度低下と消灯後の温度低下に効果を発揮している。
金属リフレクタ104は、アルミ材を絞り加工にて成型した後、シリコン系のアンダーコートを行い、然る後、アルミコートを施したもので、金属リフレクタ104の中央に配置した高圧放電灯100の一端をアルミナのベース105に取り付け、アルミナのベース105を介して金属リフレクタ104に熱を伝達し、ランプ100の急速冷却を行っている。なお、リフレクタ104の開口部は前面ガラス103にて密閉されている。
この金属リフレクタ付ランプBはプロジェタの光学エンジンに装着されるが、ランプ100から出た光の内、可視光線L1以外の、光学部品にとって有害な紫外線L2と赤外線L3を光学エンジン側に到達させないため、紫外線L2と赤外線L3を反射する透過材質によるフィルタ(UV-IRカットフィルタ)106が配置されている。ところがこの場合、金属リフレクタ104ならではの大きな問題が生じた。
通常のガラスリフレクタの内面には可視光のみを反射する多層膜コートが施してあるため、紫外線及び赤外線の多くはガラスリフレクタを突き抜けて背方に放射されてしまい、その結果、リフレクタ開口部から出る光線には紫外線及び赤外線が少なく、従ってUV-IRカットフィルタからの反射光は量的に少ない。それ故、UV-IRカットフィルタからの反射光によるランプ温度の過度な上昇は見られず、反射光については殆ど問題視されなかった(特開平2001−183764号公報)。
特開平2001−183764号公報 ところが、金属リフレクタ104を採用した場合、ガラスリフレクタと異なり、可視光線L1のみならず、赤外線L3及び紫外線L2も全て反射され、リフレクタ開口部から出る光線L1,2,3には、ランプ100から発生する紫外線L2、赤外線L3が多量に含まれる。そして、この全反射光線からUV-IRカットフィルタ106によって選択的に反射された多くの紫外線L2と赤外線L3(従って、殆どの可視光線はUV-IRカットフィルタ106を通過する)がランプ100に向かってそのまま直接集まり、これがランプ100の異常な高温化を招いている。(図9 従来配置例及びその拡大図参照;過熱部分を網目で表示) 換言すれば、前述のような反射光L2,3の直接加熱により、発光部101の過熱異常が発生し、前述のような電極変形の加速、照度低下や早期のランプ破裂、早期不点灯、すなわち短寿命化という問題が発生する。
また、このように水平に配置されたランプ100には前述のようにランプ上部102の温度が高いだけでなく、ランプ上部102に比べて温度の低い低温部Loが存在し、温度分布が不均一となる。このような低温部Loの存在は、以下のような不具合を招く。即ち、低温部Loは主にバルブ下部107に形成されるが、ランプ100によっては陰極側下部108や陽極側下部109に形成される場合もある。低温部Loは発明者らの測定(熱電対による接触測定)においては、700℃以上にしなければランプ内部に封入されたハロゲン(臭素等)が十分に働かず(ハロゲンサイクル)、タングステン電極110,111から蒸発したタングステンがバルブ内壁に付着し黒化現象がおこる。
また、低温部Loが存在する場合は、ランプ内部に封入された水銀の量が多い場合、その未蒸発水銀が未蒸発と蒸発を不定期に繰り返し、その影響による画面のちらつきが発生するという不具合もおこる。従って、これら不具合を解消するためにはランプ全体、特に、発光部101全体において均一な温度分布を得ることが出来るようにしなければならない。
然しながら、密閉構造でないランプユニット(図示せず)の場合はバルブに送る空冷の方向を調整することによりランプ温度を調整することができるが、密閉構造の場合は空冷によるランプ温度の調整もできず、前述のランプ温度の不均一を解消できない。
この発明が解決しようとする課題は、密閉型リフレクタ付きランプにおいて、ランプの局部加熱を解消し、ランプの温度分布を出来るだけ均一にして、ユーザー対応可能なプロジェタに適したランプユニットを提供することにある。
請求項1は、本発明に係る超高圧ランプユニットの第1実施例A1で、「高圧放電灯1と、前記高圧放電灯1が固着されている金属リフレクタ4と、金属リフレクタ4の前面開口を閉塞する前面ガラス3とで構成された密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプa及び前記リフレクタ付きランプaの前方に配置され、金属リフレクタ4からの照射光Lの内、紫外線L2及び赤外線L3を金属リフレクタ4側に反射し且つ可視光線L1を透過させるフィルタFとで構成された光学ユニットA1において、
そのフィルタFが平板状で、金属リフレクタ4の光軸CLに対して傾斜して配置されている」ことを特徴とする。
請求項2は、本発明に係る超高圧ランプユニットの第2実施例A2で、「高圧放電灯1と、前記高圧放電灯1が固着されている金属リフレクタ4と、金属リフレクタ4の前面開口を閉塞する前面ガラス3とで構成され且つ密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプa及び前記リフレクタ付きランプaの前方に配置され、金属リフレクタ4からの照射光Lの内、紫外線L2及び赤外線L3を金属リフレクタ4側に反射し且つ可視光線L1を透過させるフィルタFとで構成された光学ユニットA2において、
前記金属リフレクタ4に対してフィルタFが湾曲するように形成されている」ことを特徴とする。
請求項3は、本発明に係る超高圧ランプユニットの第2実施例A2の更なる限定で、「高圧放電灯1と、前記高圧放電灯1が固着されている金属リフレクタ4と、金属リフレクタ4の前面開口を閉塞する前面ガラス3とで構成され且つ密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプa及び前記リフレクタ付きランプaの前方に配置され、金属リフレクタ4からの照射光Lの内、紫外線L2及び赤外線L3を金属リフレクタ4側に反射し且つ可視光線L2を透過させるフィルタFとで構成された光学ユニットA2において、
フィルタFの少なくとも上部F1或いは下部F3がリフレクタ4に対して湾曲するように形成されている」ことを特徴とする。
請求項4は、本発明に係る超高圧ランプユニットの第3実施例A3で、「高圧放電灯1と、前記高圧放電灯1が固着されている金属リフレクタ4と、金属リフレクタ4の前面開口を閉塞する前面ガラス3とで構成され且つ密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプa及び前記リフレクタ付きランプaの前方に配置され、金属リフレクタ4からの照射光Lの内、紫外線L2及び赤外線L3を金属リフレクタ4側に反射し且つ可視光線L1を透過させるフィルタFとで構成された光学ユニットA3において、
前記フィルタFの少なくとも上部F2或いは下部F3が折れ曲がりリフレクタ4に対してリフレクタ4側に或はその反対側に傾斜して倒れ込んでいる」ことを特徴とする。
請求項5は超高圧ランプユニットA1,2,3に用いられる高圧放電灯1に関し「高圧放電灯1が両端封止の直流点灯ショートアーク放電ランプである」ことを特徴とする。
請求項6は高圧放電灯1に充填される水銀量に関し「直流点灯ショートアーク放電ランプに少なくとも、0.2mg/mm3以上の水銀が封入されている」ことを特徴とする。
請求項1(=実施例1)のように、平板状フィルタFが、金属リフレクタ4の光軸CLに対して傾斜して配置されている場合には、平板状フィルタFにて反射された紫外線L2及び赤外線L3は金属リフレクタ4のいずれか一方に偏って入射し、その結果、金属リフレクタ4によって再反射された光L2,L3は発光部1A以外の部分、例えば、図1のように発光部1Aから突設された自由端側の封止部10の上面10a、図2のように発光部1Aの下面1bから自由端側の封止部10の下面10bにかけての部分、図3及び4に示すように発光部1Aの下面1bに入射してこの部分を加熱する。なお、反射光L2,3による被加熱部分を網掛けで示す。なお、本発明の超高圧ランプユニットA1は必ずしも水平状態に配置される必要なく、場合によっては光軸CLを斜め上或いは斜め下に傾斜させて配置される場合もある。
このようにすることで、光軸CLに対して傾斜配置された平板状フィルタFから反射された反射光L2,3は従来例のように高圧放電灯1に向かって集中的に戻されず、金属リフレクタ4の一部に偏って反射された後、高圧放電灯1に向かう。この時、反射光L2,3は前述のように金属リフレクタ4の一部に偏って反射されるので、高圧放電灯1に向かう反射光L2,3は発光部1A以外の部分に集められ、発光部1A以外の部分を加熱する。その結果、発光部1Aへの反射光L2,3による発光部1Aの過熱が解消され、前述の発光部1Aの過熱による問題点が解消される。そして、低温部Loに反射光L2,3が集められた場合には、低温部Loの解消が図られ、水銀封入量が過剰であっても全量蒸発が可能となり、前述の水銀蒸発の不完全による問題点を解消することができるだけでなくハロゲンサイクルの正常活動も可能とする。
この点は、金属リフレクタ4に対してフィルタFが湾曲するように形成されている場合(実施例2)も、部分的に折り曲げられている場合(実施例3)も同様で、重要な点は反射光L2,3が少なくとも発光部1Aの上面1aに集光しないようにフィルタFを湾曲させることである。この場合、湾曲の曲率を全体にわたって均一にする必要はなく、上部F2に対して下部F3の曲率を大きく(或いは小さく)してもよい。なお、フィルタFの上部F2、下部F3と言う場合は、本明細書を通じて光軸CLとフィルタFとの交差点(正確には交差点を通る水平面とフィルタFとの交線)を境にする。
また、超高圧ランプユニットA2,3が水平状態或いは傾斜状態で配設された状態において、請求項3(=実施例2の更なる限定)では、フィルタFの上部F1が金属リフレクタ4側に凹湾曲するように形成され(勿論これに限られず仮想線で示すように、フィルタFの上部F1を反対側に湾曲させたり、或いはフィルタFの下部F3を金属リフレクタ4側に凹湾曲させたり或いはその逆、又は、上下全体を金属リフレクタ4側に凹湾曲或いは逆に凸湾曲させ)、また、請求項4ではフィルタFの上部F2が金属リフレクタ4側に傾斜して倒れ込んでいるように形成(勿論これに限られず仮想線で示すように、フィルタFの上部F2を反対側に屈曲させたり、或いはフィルタFの下部F3を金属リフレクタ4側に屈曲させたり或いはその逆、又は、上下全体を金属リフレクタ4側に浅いく字状に屈曲)させて、反射光L2,3を少なくとも発光部1Aの上部1aに集光させないように設計しておけば、前記同様発光部1Aの過度な過熱を防止することが出来る。
この場合において、フィルタFの上部F1、F2だけを図の実線のようにリフレクタ4側に湾曲或いは屈曲させておけば、上部F1、F2で反射された光L2,3はいずれも金属リフレクタ4の下半分に再入射され、フィルタFの下部F3で反射された光L2,3と共に金属リフレクタ4の下半分で再反射され、図5、7のように高圧放電灯1の下面全体、図6のように発光部1Aの下面1b、図8のように発光部1Aの下面1bと自由端側の封止部10の上面10aを再加熱する。
換言すればこのようにすることで、過熱しやすい発光部1Aの上面1a以外の部分を再加熱して低温部Loを解消すると同時に前記過熱しやすい発光部1Aの上面1aへの反射光L2,3の再入光を防止して上面1aにおける過熱を解消し、これにより温度分布の均一化を達成するものである(この点は実施例1においても同じ)。その結果、金属リフレクタ4を使用した際に受ける発光部1Aの上面1aにおける過熱に起因する前述の不具合を解消することができた。
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。図1は請求項1の実施例1の第1例である。本発明にかかるリフレクタ付きランプaは、大略、回転楕円体或は半球状またはパラボラ状の凹面反射面(勿論、形状は特に限定されない)を有する金属リフレクタ4、前記金属リフレクタ4の内部中央に配設された超高圧放電灯1(或は単にランプ1という。)、金属リフレクタ4の前面開口を全面にわたって閉塞する前面ガラス3とで構成されている。
そして、前記の前面ガラス3の前方に、金属リフレクタ4から出た光L、即ち、光(L1,2,3)の内、原則的に可視光線L1のみを通過させ、紫外線L2と赤外線L3を反射する透過材質によるフィルタF(UV-IRカットフィルタ)が配置されており、更にその前方に凹レンズ20、第1フライアイ21、第2フライアイ22、内部光学系23、LCD24、投射レンズ25の順で配置されており、前記凹レンズ20から投射レンズ25に至る光学系により、主として可視光線L1による映像がスクリーン26に投射されるようになっている。この点は凹面反射面の形状が回転楕円体で共通している図1,2,5,7において共通する。
なお、金属リフレクタ4の凹面反射面の形状により、反射された光の進行方向が相違するため、金属リフレクタ4の凹面反射面の形状により、凹レンズ20から投射レンズ25に至る光学系の構成が若干変わる。すなわち、図3,4,68に示すようにパラボラ金属リフレクタ4を使用する場合には、パラボラ金属リフレクタ4が凹レンズ20の性能を兼ね備えているため凹レンズ20が省略される。
高圧放電灯1は本明細書全体を通じて例えば直流点灯ショートアーク放電ランプ(勿論、これには限定されない)が使用されており、その水銀封入量は明るさ要求に応じる場合には0.2mg/mm3以上が採用される。ただ、水銀封入量が0.2mg/mm3以上の場合、低温部Loが発光部1Aに形成されると、従来例で述べた原因によりちらつきが発生するので、低温部Loの解消が不可欠である。
また、高圧放電灯1は本明細書全体を通じて例えば両端封止タイプのものが採用されているが、勿論、これに限られるものではない。片口タイプの高圧放電灯(図示せず)の採用も可能である。
金属リフレクタ4は、その用途によりさまざまな形状のものが使用可能であるが、ここでは従来例と同様、アルミ材を絞り加工にて成型した後、シリコン系のアンダーコートを行い、然る後、アルミコートを施したものである。そして、金属リフレクタ4の中央に配置した高圧放電灯1の一端をアルミナのベース5に取り付けている。金属リフレクタ4への高圧放電灯1の封止部11の取り付け及び前記封止部11へのベース5の取り付けは、無機接着剤6によって行われる。
この金属リフレクタ付ランプA1(A2,3も同様)はプロジェタの光学エンジンに装着され、水平にて使用されるが、高圧放電灯1から出た光の内、可視光線L1以外の、光学部品にとって有害な紫外線L2と赤外線L3を光学エンジンの光学系側に到達させないため、紫外線L2と赤外線L3を反射する透過材質によるフィルタ(UV-IRカットフィルタ)Fが高圧放電灯1の前方に配置されている。
図1〜4(実施例1、2)の場合、フィルタFを前面ガラス3に対して傾けて配置したものである。フィルタFの傾け方は、図1のようにフィルタFの上端側が下端より前面ガラス3から離間し、反射された赤外線L3や紫外線L2が金属リフレクタ4の上面側に集まるようにする場合(傾き角度をα、βで示す)、逆に図3、4のように下向きにフィルタFを傾け、反射された赤外線L3や紫外線L2が金属リフレクタ4の下面側に集まるようにする場合(傾き角度をγ,δ示す)、或は図示されていないが、UV-IRカットフィルタを若干横向きに傾け、反射された赤外線や紫外線がリフレクタの側面側に集まるようにする場合がある。いずれの場合も、反射された光L2,3は図1〜4の拡大図に示すように発光部1Aの上面1aを外れた処、即ち、図1にあっては、発光部1Aから突設された自由端側の封止部10の上面10a、図2のように発光部1Aの下面1bから自由端側の封止部10の下面10bにかけての部分、図3、4に示すように発光部1Aの下面1bに入射してこの部分を加熱する。通常、これらの部分は低温部Loを形成しやすく、反射光L2,3の集光により再加熱することによりこの低温部Loを解消することができる。
換言すれば、過熱されやすい発光部1Aの上面1aに反射光L2,3が入射せず、低温部Loを発生しやすい発光部1Aの下面1b、熱が金属リフレクタ4側に移動して低温になりやすい金属リフレクタ4側の封止部11の発光部1Aに接する部分1c(特にその下面1d)、或は反対側の封止部10の下面10bなどに反射光L2,3を再投入してこれらの部分を加熱し、低温部Loの解消と発光部1Aの上面1aの昇温の抑制により、少なくとも発光部1A全体の均熱化を図る。その結果、低温部Loの発生が解消され、封入されたハロゲン(臭素等)が十分に作用して十分なハロゲンサイクルを生起させ、タングステン電極7,8から蒸発したタングステンのバルブ内壁への付着を防止して黒化現象の発生を防ぐ。
加えて、水銀量が0.2mg/mm3以上と非常に封入量は多い場合でも、低温部Loが存在しないため、ランプ内部に封入された水銀全量が完全に蒸発してしまい、前述のような水銀の不蒸発と蒸発を不定期に繰り返し、画面にちらつきを発生させるというような問題も確実に解消される。なお、水銀量が0.2mg/mm3以下の場合、低温部Loが発生したとしても、封入水銀はすべて蒸発してしまうので、前述のようちらつきを生ずるようなことがない。
また、過熱部分が発生しないので、石英封体(特に、発光部1Aの上面1a)における熱分解が抑制され、ランプ破裂を防止することができるだけでなく、これに起因する不純物の発光部1A内への混入が防止され、ランプ寿命の大幅長期延長も可能となる。
この点は請求項2以降の場合でも同じで、フィルタFを傾斜させる場合と同じような効果を得るために、フィルタFを金属リフレクタ4に対して湾曲させることで対応することが出来る。この場合で重要なのは、前述の場合と同じで反射光L2,3を少なくとも発光部1Aの上面1aに集めないようにフィルタFを設計することである。
フィルタFの湾曲方法は特に限定されないが、図のようにフィルタFの上部F1を金属リフレクタ4側に凹湾曲(或いは反対方向に凹湾曲)するように形成、又はフィルタFの下部F3を金属リフレクタ4側に凹湾曲(或いは反対方向に凹湾曲)するように形成、又は両方を凹湾曲(或いは反対方向に凹湾曲)するようにしてもよい。いずれにせよ、前述の場合と同じで反射光L2,3を少なくとも発光部1Aの上面1aに集めないようにフィルタFを設計することである。なお、ここで湾曲とは平面を曲げた場合と椀状のような場合の両方を含む概念である。
他の方法として、フィルタFの上部F2(或いは下部F3又はその両方)が金属リフレクタ4側に傾斜して倒れ込んでいるよう(或いは反対方向に倒れこんでいるよう)に形成した。屈曲ライン及び湾曲ラインは通常光軸CLに一致する部分である。なお、非折曲部分、非湾曲部分は平板状である。ここで、フィルタFの面が金属リフレクタ4の前面開口に対して外側に向いている場合は、外側に反射光L2,3が向かい放散させ易い。上部F2,3が金属リフレクタ4の前面開口側に倒れこんでいる場合は、上部の反射光L2,3 が金属リフレクタ4の下部に集まりやすく、その反射光L2,3は発光部1Aの下部1bとその近傍1d(低温部Loになりやすい)を集中的に加熱することになり、低温部Loの解消、ひいては発光部1A全体に均熱に効果があり好ましい。
次に、実際に行った実施例1の第1,2例(図1,2)に付いて説明する。従来例(図9のようにフィルタ106をリフレクタ104に正対させた場合)では楕円リフレクタの場合もパラボラリフレクタの場合も反射光が高圧放電灯に集中するためランプトップ温度(発光部101の上面102の温度)は1,000℃を越え、ランプ寿命の低下の原因となっていた。これに対して、150WのDCランプを楕円リフレクタに組み込んだ例(実施例1-1〜1-3の左欄の3例で図1の状態)とパラボラリフレクタに組み込んだ例(実施例1-1〜1-3の右欄の3例で図2の状態)の場合は、UV-IRカットフィルタを図1、2に示すように斜め上に向けて傾けて配置したもので、こうすることによりランプトップ温度(発光部1Aの上面1aの温度)が低下し、且つランプボトム温度(発光部1Aの下面1bの温度)も700℃以上に保持することが出来た。このことから、フィルタをリフレクタに正対させず、若干傾けることにより反射光の高圧放電灯への集中を避けることにより、第1にランプトップ温度の低下、第2にランプボトム温度の700℃以上の保持が可能となり、下記表2に示すように寿命の大幅延長を達成することが出来ることが分る。
Figure 2005292421
この温度対策により寿命(初期の明るさに対し50%の明るさになるまでの時間)は下記の通り3〜4倍程度改良できた。
Figure 2005292421
実施例1の第3,4例(図3,4)は第1,2例より低ワットである120WのDCランプを楕円リフレクタに組み込んだ例(第3例)とパラボラリフレクタに組み込んだ例(第4例)を示している。このランプを第1,2例と同じ位置にUV−IRカットフィルタを配置し、フィルタを斜め下に向けて配置した。温度データは下記(表3)の通り。この場合、第1,2例より低ワットである120WのDCランプを使用したので、ランプトップ温度は第1,2例より従来例及び実施例1-4〜1-6とも下がっているが、従来例ではなお1,000℃近くであり、ランプ寿命を大きく損なう。ランプボトム温度はいずれも700℃を超えており、ハロゲンサイクルを阻害しない。このことから、150WDCランプを使用したとしても第1,2例に比べて反射光がランプトップに集中せず、ランプボトムに集中する第3,4例にあっては、ランプトップ温度は第1,2例より低く、ランプボトム温度はより高く、結果として温度不均一についてより解消される方向にある、換言すれば、150W以上の高圧放電灯でも使用可能といえる。また、最も条件の厳しい第1,2例でもランプトップ温度を900℃近くに落とすことが出来たのであるから、フィルタをリフレクタに対して若干横向けたとしても同様のことが言えると考えられる。
Figure 2005292421
この温度対策により寿命(寿命とは初期の明るさに対し50%の明るさになる時間)は下記(表4)の通り改良できた。
Figure 2005292421
図5,6は実施例2を示す。ここでは、150WのDCランプを楕円リフレクタに組み込んだ例とパラボラリフレクタに組み込んだ例を示している。この実施例2は、ランプ上部の温度を低下させるため、UV-IRカットフィルタの約上半分を凹曲面状にしたものである。この構造によりランプ上部には反射光が戻らず、凹曲面の設計によってランプ下部の温度を上げることが出来る。
Figure 2005292421
なお、この実施例では平面と曲面を合わせているが、全体が擂鉢状であっても、前方に凸状(或は凹状)であっても同等の効果が得られる。
図7,8は実施例3を示す。ここでは、150WのDCランプを楕円リフレクタに組み込んだ例とパラボラリフレクタに組み込んだ例を示している。この実施例3は、ランプ上部の温度を低下させるため、UV-IRカットフィルタの約上半分に角度を付けたものである。ここで金属リフレクタ側への倒れ角度をX,Yとする。この構造によりランプ上部には反射光が戻らず、角度の設計によってランプ下部の温度を上げることが出来る。
Figure 2005292421
なお、この実施例3では上下2面の平面で構成されているが、複数数カ所で折り曲げてもよく、面の構成数に制限は無い。
以上のように、本発明はフィルタの形状、位置あるいはその配置角度を工夫することにより、高圧放電灯、特に全反射の金属リフレクタと、少なくとも0.2mg/mm3以上の水銀を封入したDCランプを密閉状態で使用するという特殊状態において、バルブ温度対策を適切に行うことにより、ランプ寿命を約2倍から4倍に延長することができる画期的なものであり、リアプロジェクションテレビのような長寿命を要求される一般民生光学機器用光源への高圧放電灯の適用の道を初めて開いたという画期的なものである。
本発明の第1実施例の第1例の配置図とその要部拡大図。 本発明の第1実施例の第2例の配置図とその要部拡大図。 本発明の第1実施例の第3例の配置図とその要部拡大図。 本発明の第1実施例の第4例の配置図とその要部拡大図。 本発明の第2実施例の第1例の配置図とその要部拡大図。 本発明の第2実施例の第2例の配置図とその要部拡大図。 本発明の第3実施例の第1例の配置図とその要部拡大図。 本発明の第3実施例の第2例の配置図とその要部拡大図。 従来例の配置図とその要部拡大図。
符号の説明
A1,2,3,4 本発明に係る超高圧ランプユニット
a リフレクタ付きランプ
L 照射光
L1 可視光線
L2 紫外線
L3 赤外線
CL 光軸
1 高圧放電灯
3 前面ガラス
4 金属リフレクタ

Claims (6)

  1. 高圧放電灯と、前記高圧放電灯が固着されている金属リフレクタと、金属リフレクタの前面開口を閉塞する前面ガラスとで構成され且つ密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプ及び前記リフレクタ付きランプの前方に配置され、金属リフレクタからの照射光の内、紫外線及び赤外線を金属リフレクタ側に反射し且つ可視光線を透過させるフィルタとで構成された光学ユニットにおいて、
    そのフィルタが平板状で、金属リフレクタの光軸に対して傾斜して配置されていることを特徴とする超高圧ランプユニット。
  2. 高圧放電灯と、前記高圧放電灯が固着されている金属リフレクタと、金属リフレクタの前面開口を閉塞する前面ガラスとで構成され且つ密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプ及び前記リフレクタ付きランプの前方に配置され、金属リフレクタからの照射光の内、紫外線及び赤外線を金属リフレクタ側に反射し且つ可視光線を透過させるフィルタとで構成された光学ユニットにおいて、
    前記金属リフレクタに対してフィルタが湾曲するように形成されていることを特徴とする超高圧ランプユニット。
  3. 高圧放電灯と、前記高圧放電灯が固着されている金属リフレクタと、金属リフレクタの前面開口を閉塞する前面ガラスとで構成され且つ密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプ及び前記リフレクタ付きランプの前方に配置され、金属リフレクタからの照射光の内、紫外線及び赤外線を金属リフレクタ側に反射し且つ可視光線を透過させるフィルタとで構成された光学ユニットにおいて、
    フィルタの少なくとも上部或いは下部がリフレクタに対して湾曲するように形成されていることを特徴とする超高圧ランプユニット。
  4. 高圧放電灯と、前記高圧放電灯が固着されている金属リフレクタと、金属リフレクタの前面開口を閉塞する前面ガラスとで構成され且つ密閉状態で使用されるリフレクタ付きランプ及び前記リフレクタ付きランプの前方に配置され、金属リフレクタからの照射光の内、紫外線及び赤外線を金属リフレクタ側に反射し且つ可視光線を透過させるフィルタとで構成された光学ユニットにおいて、
    フィルタの少なくとも上部或いは下部が折れ曲がり、リフレクタに対してリフレクタ側に或はその反対側に傾斜して倒れ込んでいるように形成されていることを特徴とする超高圧ランプユニット。
  5. 高圧放電灯が両端封止の直流点灯ショートアーク放電ランプであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の超高圧ランプユニット。
  6. 直流点灯ショートアーク放電ランプに少なくとも、0.2mg/mm3以上の水銀が封入されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の超高圧ランプユニット。
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