JP2005114763A - プロジェクタシステムとその駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 映像光を投射するプロジェクタと、この映像光の被投射体としてのスクリーンとを備えたプロジェクタシステムにおいて、映像の明るさに応じて上記スクリーン40を制御することにより、直接スクリーン上で映像光の反射光量を調節する。具体的には、スクリーン40を反射型或いは散乱型の液晶パネルとして構成し、液晶分子の配向を制御することで、パネルの透過率或いは散乱強度を調節する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、明るい部屋でもコントラストの高い表示を行なえるようにした、プロジェクタシステムを提供することを目的とする。
本発明のプロジェクタシステムは、映像情報に基づいて表示映像の明るさを調節する適応型の制御を可能とするものである。本システムでは、例えば映像シーンが明るい場面であれば表示映像の輝度を大きくし、暗い場面であれば表示の輝度を小さくすることによって映像の迫力を高めたり、このような光量調節に加えて更に映像信号に伸長を行なうことで、ダイナミックレンジを広げたりすることができる。
この構成によれば、液晶パネルに印加する電圧により液晶分子の配向状態を変化させることにより、スクリーンの反射率を高速且つ高精度に調節することができる。このため、1フレームの映像信号に基づいて映像の明るさを微細にコントロールすることが可能となる。なお、本明細書において、「反射」には、金属反射膜面による鏡面反射や拡散反射の他に、屈折率の異なる異種材料間の散乱によって入射光の一部が観察者側に戻されるものも含まれるものとする。
この構成において、上記プロジェクタから出力される映像光が直線偏光からなる場合には、上記液晶パネルの液晶分子と高分子とが電圧無印加状態において略1方向に揃って配向されるとともに、上記液晶分子の配向変化が、上記映像光の偏光方向とこの映像光の伝播方向とを含む平面内で行なわれることが好ましい。
この構成において、上記プロジェクタから出力される映像光が直線偏光からなる場合には、上記液晶パネルの液晶分子と2色性色素とが電圧無印加状態において略1方向に揃って配向されるとともに、上記液晶分子と2色性色素の配向変化が、上記映像光の偏光方向とこの映像光の伝播方向とを含む平面内で行なわれることが好ましい。
この構成では、液晶分子及び2色性色素の配向変化が、入射光の偏光方向とこの入射光の伝播方向とを含む平面内で生じるため、2色性色素による光の吸収特性は最も大きくなる。
上記構成では、映像光の光吸収特性は高められるものの、これに垂直な偏光は吸収されないので、無秩序光(即ち、直交する2種類の偏光成分を有する光)である外光のうち、映像光の偏光方向に垂直な偏光成分は、2色性色素に吸収されずにそのまま観察者側に反射される。これに対して、本構成では映像光の偏光方向に垂直な偏光成分は偏光層によって吸収されるので、外光によるコントラストの低下を十分に抑えることができる。
この構成によれば、まず制御信号決定手段において映像を構成する単位時間(例えば1フレーム)あたりの映像信号に基づいてスクリーンを制御するための制御信号が決定され、スクリーン制御手段がこの制御信号に基づいてスクリーンを制御することにより映像内容に応じて明るさが変化する映像光をスクリーンに投射する一方、映像信号伸張手段が制御信号に基づいて映像信号を伸張する。この動作によって、投射映像のダイナミックレンジを拡張することができ、映像表現力や使用環境への順応性に優れたプロジェクタシステムを実現することができる。
この構成によれば、投射映像のダイナミックレンジを拡張することができ、映像表現力が高い映像を得ることができる。
まず最初に、本発明のプロジェクタシステムの一例である液晶プロジェクタシステムについて図6〜図10を用いて説明する。
本実施の形態のプロジェクタ30は、R(赤)、G(緑)、B(青)の異なる色毎に透過型液晶ライトバルブを備えた3板式のカラー液晶プロジェクタである。図6はこの液晶プロジェクタを示す概略構成図であって、図中、符号1は照明装置、2は光源、3,4はフライアイレンズ(均一照明手段)、13,14はダイクロイックミラー、15,16,17は反射ミラー、22,23,24は液晶ライトバルブ(光変調手段)、25はクロスダイクロイックプリズム、26は投射レンズ(投射手段)を示している。また、符号40は、プロジェクタ30から投射される映像光の被投射体としてのスクリーンを示している。そして、このプロジェクタ30及びスクリーン40によって、本発明のプロジェクタシステムが構成されている。
青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー13は、光源2からの光束のうちの赤色光LRを透過させるとともに、青色光LBと緑色光LGとを反射させるものである。ダイクロイックミラー13を透過した赤色光LRは反射ミラー17で反射されて赤色光用液晶ライトバルブ22に入射される。一方、ダイクロイックミラー13で反射した色光のうち、緑色光LGは緑色光反射用のダイクロイックミラー14によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ23に入射される。一方、青色光LBはダイクロイックミラー14も透過し、リレーレンズ18、反射ミラー15、リレーレンズ19、反射ミラー16、リレーレンズ20からなるリレー系21を経て青色光用液晶ライトバルブ24に入射される。
本実施形態の場合、スクリーン40は反射型の液晶パネルからなり、スクリーン40の反射光量は外部からの情報、例えば、ある瞬間の映像の明るさに同期させて可変に調節できるようになっている。なお、スクリーン40の構成については後述する。
図7は本実施の形態のプロジェクタシステムの駆動回路の構成を示すブロック図である。調光機能を持たないプロジェクタシステムの場合、プロジェクタから投射された映像光は、反射率を固定されたスクリーンによってそのままの輝度で反射されるが、スクリーン自体に調光機能が備えられ、且つ、それを映像信号に基づいて制御する本実施の形態の場合、基本的な構成として、以下に説明するようにデジタル信号処理ブロックであるDSP(1)〜DSP(3)などの回路が必要となる。
[1]表示映像適応型の制御
まず、表示映像適応型の制御、すなわち明るい映像シーンでは光量が多くなり、暗いシーンでは光量が少なくなるような表示映像に適応した明るさ制御を行う場合について考える。この場合、上記で説明したように、DSP(1)32で映像信号に基づいて明るさ制御信号が決定されるが、その方法には例えば次の3通りが考えられる。
例えば0〜255の256ステップの階調数を含む映像信号を想定する。連続した映像を構成する任意の1フレームに着目した場合、そのフレームに含まれる画素データの階調数毎の出現数分布(ヒストグラム)が、図8(a)のようになったとする。この図の場合、ヒストグラムに含まれる最も明るい階調数が190であるので、この階調数190を明るさ制御信号とする。この方法は、入力される映像信号に対し、最も忠実に明るさを表現できる方法である。
例えば映像信号の出現数分布が図9のようであった場合、ヒストグラムより明るい側から10%の領域をとる。10%に相当するところの階調数が230であったとすると、この階調数230を明るさ制御信号とする。図9に示したヒストグラムのように、階調数255の近傍に突発的なピークがあった場合、上記(a)の方法を採用すれば、階調数255が明るさ制御信号となる。しかしながら、この突発的なピーク部分は画面全体における情報としてはあまり意味をなしていない。これに対して、階調数230を明るさ制御信号とする本方法は、画面全体の中で情報として意味を持つ領域によって判定する方法と言うことができる。なお、上記の割合は2〜50%程度の範囲で変化させてもよい。
例えば図10に示すように、画面をm×n個のブロックに分割し、それぞれのブロックA11,…,Amn毎の明るさ(階調数)の平均値を算出し、そのうちで最大のものを明るさ制御信号とする。なお、画面の分割数は6〜200程度とすることが望ましい。この方法は、画面全体の雰囲気を損なうことなく、明るさを制御できる方法である。
上記(a)〜(c)の方法について、明るさ制御信号の判定を、表示領域全体に対して行う他に、例えば表示領域の中央部分など、特定の部分だけに上記方法を適用することもできる。この場合、視聴者が注目している部分から明るさを決定するような制御の仕方が可能となる。
この場合はDSP(1)32から出力された明るさ制御信号をそのままスクリーンドライバ34に供給すればよいため、DSP(2)33での信号処理は不要となる。この方法は映像の明るさに完全に追従する点で理想的ではあるが、映像の内容により画面の明暗が短い周期で変化することもあり、鑑賞時に余計なストレスを感じるなどの問題が発生する恐れがある。
例えばLPFによって1〜30秒以下の明るさ制御信号の変化分をカットし、その出力によって制御する。この方法によれば、細かい時間の変化分はカットされるため、上記のような短い周期での明暗の変化を避けることができる。
明るさ制御信号に所定の大きさ以上(例えば60階調以上)の変化があった場合にのみスクリーンドライバ34を制御する。この方法によれば、シーンの切り替わりなどのみに応じた制御を行うことができる。
投射レンズ26のズーミングに対応させて制御する。通常はプロジェクタ30からの投射光量は一定であるから、拡大側では画面が暗くなり、縮小側で明るくなる傾向にある。したがって、これを補正するように、拡大側に変化させた場合には反射光量が増えるように、縮小側に変化させた場合には反射光量が減るようにスクリーン40を制御する。
使用者が好みに応じてスクリーン40を制御できるようにする。例えば暗い鑑賞環境においては反射光量が少なく、明るい鑑賞環境においては反射光量が多くなるようにスクリーン40を制御する。この場合、使用者がコントローラを用いて、もしくはスクリーン40を直接操作するなどして調節する構成としてもよいし、明るさセンサなどを設けて自動的に制御される構成としてもよい。ただし、これら[2]、[3]の制御を行うためには、図7でDSP(1)32〜DSP(3)36のような回路は不要であるが、それ以外の回路構成が必要になる。
次に、図1〜図3を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るスクリーンについて説明する。図1は、本実施形態のスクリーンの概略構成を示す断面図、図2は当該スクリーンに備えられる液晶の配向状態を、このスクリーンに入射される映像光の偏光状態と共に示す概略斜視図、図3はスクリーンの作用を説明するための図である。
液晶層47には、液晶中に互いにネットワーク状に連鎖された高分子分散体が混在されており、これらの高分子47b及び液晶分子47aは、図2に示すように、初期配向状態(電圧無印加状態における配向状態)において互いに略揃った状態で1方向に配向されている。また、液晶分子47aは、液晶層47に電圧を印加することによって、映像光の偏光方向とこの映像光の伝播方向とを含む平面内で配向状態が変化されるようになっている。なお、本実施形態では、入射映像光に垂直な偏光方向の光が液晶層47をそのまま透過して光吸収層48に吸収されるように、上記方向における液晶分子47aと高分子47bの屈折率は等しく構成されている。
まず、液晶中に、上記高分子47bの材料である高分子前駆体を均一に混合させた混合物を作成し、この混合物を配向膜43,46の形成された基材41と基材44の間に充填する。この際、高分子前駆体としては液晶性を有する材料、例えば、液晶性紫外線硬化型モノマー或いはそれらのオリゴマー等を用いる。これにより、基材間に配置された液晶分子47aや高分子前駆体は、配向膜43,46の作用により、互いに揃った状態で1方向に配向される。次に、上記混合物の充填されたパネルに対して紫外線等を照射し、上述のような配向状態を維持したまま高分子前駆体を重合させる。以上により、液晶分子47aと高分子47bの配向が揃った高分子分散型液晶層47が形成される。
(1)初期配向状態において、液晶分子47aと高分子47bとが基板41,44に略平行で且つ互いに揃った状態で1方向に配向しており(ホモジニアス配向)、電圧印加状態において、液晶分子47aが基板41,44に略垂直に立った状態となる(ホメオトロピック配向)。
この場合、上述の液晶分子47aとしては誘電異方性が正のネマチック液晶が用いられ、配向膜43、46にはラビング等の水平配向処理が施される。この際、各配向膜43,46の配向方向は互いに平行であり、これらの配向方向は入射映像光の偏光方向と略平行な方向とされる。
この場合、上述の液晶分子47aとしては誘電異方性が負のネマチック液晶が用いられ、配向膜43,46は共に垂直配向膜とされる。なお、配向膜43,46には、電圧印加時における液晶分子47aの配向方向を1方向に規定するために、ラビング等のプレチルト角付与処理が施される。この際、各配向膜43,46のプレチルト方向は互いに平行であり、これらのプレチルト方向は入射映像光の偏光方向と略平行な方向とされる。
なお、これらの配向形態において、高分子の形状や配向状態等は固定されたものであり、電圧印加によって液晶分子の配向状態を変化させても、高分子の配向状態等は影響を受けない。
このように本実施形態では、パネルの散乱状態(光反射率)を広い範囲で調節できるため、更に高品質な映像表示が可能となる。
次に、図4,図5を参照しながら、本発明の第2実施形態に係るスクリーンについて説明する。図4は、本実施形態のスクリーンの概略構成を示す断面図、図5は当該スクリーンに備えられる液晶の配向状態を、このスクリーンに入射される映像光の偏光状態と共に示す概略斜視図である。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、その説明を省略する。
(1)電圧無印加状態において、液晶分子57aと2色性色素57bが基板41,44に平行で且つ互いに揃った状態(ホモジニアス配向)であり、電圧印加状態において、液晶分子57aと2色性色素57bとが共に基板41,44に略垂直に立った状態で1方向に配向する(ホメオトロピック配向)。
この場合、上述の液晶分子57aとしては誘電異方性が正のネマチック液晶が用いられ、配向膜43、46にはラビング等の水平配向処理が施される。この際、各配向膜43,46の配向方向は互いに平行であり、これらの配向方向は入射映像光の偏光方向と略平行な方向とされる。
この場合、上述の液晶分子57aとしては誘電異方性が負のネマチック液晶が用いられ、配向膜43,46は共に垂直配向膜とされる。なお、配向膜43,46には、電圧印加時における液晶分子57aの配向方向を1方向に規定するために、ラビング等のプレチルト角付与処理が施される。この際、各配向膜43,46のプレチルト方向は互いに平行であり、これらのプレチルト方向は入射映像光の偏光方向と略平行な方向とされる。
また、本実施形態では、液晶層57内の液晶分子と2色性色素の配向変化が、映像光の偏光方向とこの映像光の伝播方向とを含む平面内で行なわれるため、2色性色素による光の吸収特性は最も高くなる。このため、本実施形態のように映像光が直線偏光として出力されるものでは、映像光の光量調節幅を大きくとることができ、ダイナミックレンジの広い高品質な映像表示が可能となる。
また、本実施形態では、パネル前面に設けた偏光層58によって、映像光に対して垂直な偏光方向を有する光を吸収しているため、映像の明るさを損なうことなく、外光の影響を更に小さくすることができる。
例えば、上記実施形態ではスクリーンを反射型の液晶パネルとしたが、本発明はこれに限定されず、スクリーンを電気泳動パネル等の光反射を調節可能な種々のパネルによって構成することができる。
Claims (9)
- 映像光を投射するプロジェクタと、該映像光の被投射体としてのスクリーンとを備え、
上記映像の明るさに応じて上記スクリーンを制御することにより、上記映像光の反射光量を調節可能としたことを特徴とする、プロジェクタシステム。 - 上記スクリーンは上記映像光の入射面に反射型の液晶パネルを備え、この液晶パネルの液晶分子の配向変化により、上記映像光の反射光量が調節可能とされたことを特徴とする、請求項1記載のプロジェクタシステム。
- 上記液晶パネルが、液晶分子と高分子とが相分離した状態で分散された高分子分散型の液晶層と、この液晶層を透過した光を吸収する光吸収層とを備えたことを特徴とする、請求項2記載のプロジェクタシステム。
- 上記プロジェクタから出力される映像光が直線偏光からなり、
上記液晶パネルの液晶分子と高分子とが電圧無印加状態において略1方向に揃って配向されるとともに、上記液晶分子の配向変化が、上記映像光の偏光方向とこの映像光の伝播方向とを含む平面内で行なわれることを特徴とする、請求項3記載のプロジェクタシステム。 - 上記液晶パネルが、液晶分子と2色性色素とが混合されたゲストホスト型の液晶層と、この液晶層を透過した光を反射する反射層とを備えたことを特徴とする、請求項2記載のプロジェクタシステム。
- 上記プロジェクタから出力される映像光が直線偏光からなり、
上記液晶パネルの液晶分子と2色性色素とが電圧無印加状態において略1方向に揃って配向されるとともに、上記液晶分子と2色性色素の配向変化が、上記映像光の偏光方向とこの映像光の伝播方向とを含む平面内で行なわれることを特徴とする、請求項5記載のプロジェクタシステム。 - 上記液晶パネルの上記映像光の入射面側に、上記映像光の偏光方向と略平行な透過軸を有する吸収型の偏光層が設けられたことを特徴とする、請求項6記載のプロジェクタシステム。
- 映像を構成する単位時間当たりの映像信号に基づいて、上記スクリーンを制御する制御信号を決定する制御信号決定手段と、上記制御信号に基づいて上記スクリーンを制御するスクリーン制御手段と、上記映像信号を上記制御信号に基づいて伸長する映像信号伸長手段とを備えたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項に記載のプロジェクタシステム。
- 請求項7記載のプロジェクタシステムの駆動方法であって、
映像を構成する単位時間当たりの映像信号に基づいて上記スクリーンを制御する制御信号を決定し、上記制御信号に基づいて上記スクリーンを制御することにより上記スクリーンに入射される光の反射光量を調節するとともに、上記映像信号を上記制御信号に基づいて伸長し、この伸長した映像信号を上記プロジェクタに供給することによって映像を生成することを特徴とする、プロジェクタシステムの駆動方法。
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