JP2005113221A - 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置 - Google Patents

気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005113221A
JP2005113221A JP2003349748A JP2003349748A JP2005113221A JP 2005113221 A JP2005113221 A JP 2005113221A JP 2003349748 A JP2003349748 A JP 2003349748A JP 2003349748 A JP2003349748 A JP 2003349748A JP 2005113221 A JP2005113221 A JP 2005113221A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
liquid
liquid raw
vaporization chamber
carrier gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003349748A
Other languages
English (en)
Inventor
Masami Tanioku
正巳 谷奥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lintec Corp filed Critical Lintec Corp
Priority to JP2003349748A priority Critical patent/JP2005113221A/ja
Publication of JP2005113221A publication Critical patent/JP2005113221A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】 気化室内における残渣の発生を防止するとともに、不安定な原料でも安定的に気化配給する気化器、およびこれを用いた気化供給装置を提供する。
【解決手段】 液体原料配給口42の先端から、液体原料配給口42と対向する気化室30の底面30aまでの距離Hが十分に長く設定され、液体原料配給口42の周囲からキャリアガスCGが噴射される。したがって、気化室30の底面30aにおける温度低下は認められず、また、液体原料Lが気化室30の底面30aに衝突する面積を十分に大きくとることができる。また、気化室30を加熱する加熱手段が上部ヒータ10と下部ヒータ11とで構成されているので、気化室上部30Aと気化室下部30Bとを個別に温度設定できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法による薄膜堆積装置などに用いられる、液体原料を気化配給する気化器並びに該気化器を用いた液体気化供給装置に関するものである。
薄膜堆積法のひとつであるCVD法において、薄膜原料の配給方法として、液体原料もしくは、固体/液体原料を溶媒液に希釈したものを気化器にて直接気化配給する手法がある。液体原料の例としては、シリコン酸化絶縁膜用のTEOS(Tetraethoxysilane)が知られており、半導体デバイスの製造においてよく普及している。固体原料を溶媒に希釈して配給するのは、固体原料の定量安定配給のために行うが、液体原料を溶媒に希釈することもある。後者の場合、液体原料の粘性が大きい、非常に分解しやすくて扱いにくい或いは必要流量が極めて少なく微量配給が難しいなどの理由から溶媒に希釈して配給される。
従来、液体原料(L)を直接気化配給する手段として図8に示すような気化器(200)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この従来の気化器(200)は、内部に気化室(500)が設けられている気化部(600)と、前記気化室(500)の上部に配置されているノズル部(300)とで構成されている。ノズル部(300)の上端にはアクチュエータやダイヤフラム、あるいは制御弁などを具備する液体質量流量制御部(図示せず)が接続されており、ノズル部(300)の下端には気化室(500)に向けて開口するノズル(400)が設けられている。前記ノズル(400)の中心には気化室(500)に開口する液体原料配給口(401)が設けられており、その周囲にキャリアガス配給口(402)が設けられている。この従来の気化器(200)の使用時には、図示しない液体原料配給口から供給された液体原料(L)が液体原料配給口(401)から気化室(500)に向けて噴射され、その周囲を包むようにキャリアガス(CG)が噴射される。そして、気化室(500)内で液体原料(L)が気化され、キャリアガス(CG)と共に気化ガス(VG+CG)となって次工程に供給されるようになっている。
しかしながら、液体原料(L)が極端に不安定で分解しやすい性質のものである場合、原料配給形態が単体液体或いは希釈液体によらずいずれの場合においても、気化器(200)内においてしばしば問題を起こす。このような原料としては、例えば、テトラ−t−ブトキシハフニウム[Hf(O−t−C494;以下、「HTB」と呼ぶ。]などがある。HTBは、極めて短い時間内に分解して白色固体粉末状に変化し、短時間でノズル(400)に蓄積してひどい場合には詰まりを生じさせる。
ノズル(400)から気化室(500)の底面(500a)までの距離が不十分な場合、気化室(500)の底面(500a)にHTBが付着し、熱分解により発生した分解生成物(残渣)が底面(500a)に堆積する。即ち、ノズル(400)から噴射されたキャリアガス(CG)は、気化室(500)の底面(500a)に向かってまっすぐに非常に速い気流を形成するのであるが、ノズル(400)から気化室(500)の底面(500a)までの距離が不十分であると、断熱膨張した低温のキャリアガス(CG)が気化室(500)内にて十分に散逸拡散することができずガス温度が回復しないまま底面(500a)に直接衝突する。すると、底面(500a)が必要以上に冷却されて底面(500a)に付着した液体原料(L)の気化能力が格段に低下し、蒸発できなかった一部のHTBは底面(500a)に付着したままの状態となり、熱分解して底面(500a)に白い粉状の残渣の堆積を発生させる。また、液体原料配給口(401)から噴射されたHTBはこのキャリアガス(CG)の流れに乗って移動するのであるが、HTBの進路はキャリアガス(CG)の速い気流に依存するため、気化室(500)内で十分に拡散することができず、底面(500a)の狭い範囲内に多量の液体原料(L)が集中的に衝突する。底面(500a)におけるHTBの単位面積当たりの付着量は、HTBが底面(500a)から熱を受けて蒸発できる量に比べて部分的に過大となることも気化能力を低下させ残渣の堆積を発生させる原因となる。かかる問題を解消するためには、気化室(500)の底面(500a)の温度を必要以上に高く設定する必要があるが、この場合には、気化室(500)全体の温度が高くなりすぎてしまい、次工程との温度バランスが悪くなるという問題がある。
このように、液体原料配給口(401)や底面(500a)にて発生した残渣は、パーティクル源となって次工程であるCVD反応室(図示せず)に設置された被処理材である基板の被堆積表面に飛来して不良の発生原因となるだけでなく、気化器(200)内部での堆積量が増加していくと最後には気化器(200)そのものを詰まらせる恐れがある。
特開2002−105646号公報(図2)
本発明は気化室内において残渣の発生が少なく、不安定な原料でも安定的に気化配給出来る気化器の提供をその第1の課題とするもので、前記気化器を用いた液体気化供給装置の提供をその第2の課題とするものである。
請求項1に記載した発明は、「(a) 質量流量制御されて供給された液体原料(L)を気化するための気化室(30)と、(b) 気化室(30)内に向けて液体原料(L)を噴射する液体原料配給口(42)と、(c) 液体原料配給口(42)の周囲に配設され、気化室(30)内に向けてキャリアガス(CG)を噴射するキャリアガス配給口(44)と、(d) 気化室(30)内に供給された液体原料(L)を気化するための加熱手段(10),(11)とを備える気化器(1)において、(e) 液体原料配給口(42)の先端から、液体原料配給口(42)と対向する気化室(30)の底面(30a)までの距離(H)は、少なくともキャリアガス配給口(44)から噴射されたキャリアガス(CG)が気化室(30)の底面(30a)に直接衝突することにより底面(30a)の表面温度が設定温度以下に冷却し始める距離よりも長く設定されている」ことを特徴とするものであり、多様な条件に対応できるよう考慮して具体的には「液体原料配給口(42)の先端から液体原料配給口(42)と対向する気化室(30)の底面(30a)までの距離は、少なくとも70mm以上である」ことを特徴とする。
これらの発明によれば、液体原料配給口(42)の先端から液体原料配給口(42)と対向する気化室(30)の底面(30a)までの距離(H)が、少なくとも気化室(30)の底面(30a)の表面の温度がキャリアガス(CG)が衝突することによって設定温度以下に冷却し始める距離よりも長く設定されているので、気化室(30)の底面(30a)の温度が設定温度以下に低下することはなく、しかも、当該距離が短い場合のように底面(30a)の温度を必要以上に高い温度設定とする必要に迫られることはない。また、液体原料配給口(42)から噴射された液体原料(L)が十分に拡散して気化室(30)の底面(30a)に当たることとなり、その衝突面積を十分に大きくとることができる。換言すれば、気化室(30)の底面(30a)に衝突した単位面積当たりの液体原料(L)が十分少ないので、底面(30a)からの熱によりこれが分解することなく速やかに気化することとなり、気化室(30)内、特に底面(30a)における残渣の発生を防止できる。
請求項3に記載した発明は、液体原料配給口(42)の形状を限定したものであり、「液体原料配給口(42)の先端部分は、先端に向って次第に細くなるようなテーパ状に形成されている」ことを特徴とするものであり、このようにすることで液体原料配給口(42)の先端部分はキャリアガス(CG)の速い流れにさらされることになる。したがって、液体原料配給口(42)の先端部に回り込んで付着しようとする液体原料(L)の飛散が促され、当該部分への液体原料(L)の付着が抑制されることになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の発明において「キャリアガス(CG)が予熱されている」ことを特徴とする。
キャリアガス配給口(44)から噴射されるキャリアガス(CG)の噴出過程はほぼ断熱的であり、キャリアガス(CG)が気化室(30)内を対流中に最終的に壁から受けとる熱量はキャリアガス配給口(44)噴出前の内部エネルギーすなわち温度が高いほど少ない。気化室(30)内壁がキャリアガスに与える熱量が少ないほど液体原料(L)に対して多くの熱量を与えることができ、気化が促進される。あらかじめキャリアガス(CG)が予熱されていることで、キャリアガス配給口(44)からの噴出前の温度を高めることができる。
請求項5に記載した発明は、気化室(30)の形状を限定したものであり、「気化室(30)の底面(30a)は、凹湾曲状に形成されている」ことを特徴とするものである。この発明によれば、気化室(30)内に噴射された液体原料(L)が気化室(30)の底面(30a)にある程度均質に付着することになり、液体原料(L)の気化が特に底面(30a)全体にわたってムラ無く行われることとなる。したがって、気化効率がより向上し、気化室(30)内における残渣の発生をより確実に防止できる。
請求項6に記載した発明は、請求項1〜4における加熱手段を限定したものであり、「加熱手段は、液体原料配給口(42)およびキャリアガス配給口(44)が設けられている気化室上部(30A)を加熱する上部ヒータ(10)と、液体原料配給口(42)およびキャリアガス配給口(44)と対向する位置に配置され、液体原料配給口(42)およびキャリアガス配給口(44)と対向する気化室下部(30B)を加熱する下部ヒータ(11)とで構成されており、上部ヒータ(10)は液体原料配給口(42)及びその周辺の温度が液体原料(L)の露点以上となるように設定されており、下部ヒータ(11)は気化室下部(30B)の温度が気化室上部(30A)の温度と同じ、あるいは、それ以上となるように設定されている」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、気化室(30)内は液体原料(L)の露点以上に設定されているので、一旦気化した液体原料(L)が再凝縮して付着することはない。また、液体原料配給口(42)から排出された液体原料(L)は集中して気化室下部(30B)に当たるため、前記部分直下に下部ヒータ(11)を配置することで効率的に液体原料(L)を気化することができる。
また、気化室下部(30B)にあっては、気化室上部(30A)と同じ温度に設定した場合には、一旦気化した気化液体原料(VG)が再度結露して分解するのを防止できるのは勿論、気化室下部(30B)で液体原料(L)がそのまま効率よく蒸発し、気化室上部(30A)よりも高い温度に設定した場合には、気化室下部(30B)においてより多くの熱量を供給できることになるので、蒸気圧が低く気化しにくい液体原料(L)や極めて短時間に気化をしなければ分解してしまう液体原料(L)を使用する場合であってもその気化が容易となり、種々の液体原料(L)に対応でき、しかも気化室(30)内での残渣の発生を抑止できる。さらにまた、下部ヒータ(11)が液体原料配給口(42)およびキャリアガス配給口(44)から最も遠い位置に配設されることになるので、液体原料配給口(42)が下部ヒータ(11)の影響を受けにくく、液体原料配給口(42)付近の温度を上部ヒータ(10)で制御するのが容易となる。
請求項7に記載した発明は、「気化室上部(30A)が形成されている気化室上部ブロック(1B)と前記気化室下部(30B)が形成されている気化室下部ブロック(1C)とは、熱抵抗を生ぜしめる手段を介して接続されている」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、気化室下部(30B)の温度を気化室上部(30A)よりも高い温度に設定したとしても、気化室下部(30B)の熱が熱抵抗を生ぜしめる手段により遮断されるので、気化室上部(30A)の温度が気化室下部(30B)の温度の影響を受けにくい。
請求項8に記載した発明は、「気化室上部ブロック(1B)が気化室下部ブロック(1C)と等しい温度或いはこれより低い温度で且つ液体原料(L)の露点以上に保持されており、加えて気化室上部ブロック(1B)に気化ガス排出路(40)が形成されている」ことを特徴とするものである。
気化室(30)内にて気化した気化液体原料(VG)を次工程であるリアクター(14)へ供給する際には、気化器(1)とリアクター(14)とを接続しているガス管(22f)内の温度を気化器(1)からリアクター(14)へ向うに連れて上昇させることが好ましい。気化液体原料(VG)がガス管(22f)内にて万が一結露するのを防止するためである。
リアクター(14)内温度を液体原料(L)の気化温度よりも高く設定できる場合には問題ないが、リアクター(14)内での気化液体原料(VG)の熱化学反応あるいは、成膜対象物である基板への付着特性などの理由によりリアクター(14)内の温度を露点温度に近い温度設定とせざるを得ない場合がある。しかしながら、液体原料(L)の配給量が多い場合、或いは液体原料(L)が不安定で瞬間的に気化させる必要がある場合などでは、液体原料(L)の気化温度を露点温度より大幅に高い温度設定とせざるを得なくなる。
この点、本発明においては気化に主として関与するのは気化室下部(30B)であり、下部ヒータ(11)を露点より大幅に高い温度設定とすることになるが、露点温度付近に設定された気化室上部ブロック(1B)内に気化ガス排出路(40)が形成されているので、気化器(1)とリアクター(14)とを接続するガス管(22f)の温度をリアクター(14)に向かうにつれて上昇するように設定することができ、リアクター(14)に近いガス管(22f)内での結露を確実に防止できる。
請求項9に記載した発明は、「気化ガス排出路(40)の出口側には、未気化の液体原料を気化させるための熱交換器(21)が配設されている」ことを特徴とするものである。
通常の使用状態において、液体原料(L)は気化室(30)内で完全に気化するのであるが、たとえば大量の液体原料(L)を気化する場合、もしくは悪い気化条件を余儀なくされる場合には、気化ガス排出路(40)内を流れる気化ガス(VG+CG)中にミスト化した未気化の液体原料(L)がわずかに混ざる可能性がある。この発明によれば、当該ミスト化した未気化の液体原料(L)が気化ガス排出路(40)の出口側に配設された熱交換器(21)を通過して完全に気化することができる。
請求項10に記載した発明は、「液体原料配給口(42)には、液体原料(L)が通流する液体原料流路(8)が設けられており、液体原料流路(8)には、液体原料流路内径を可変とする液体原料流路内径調整手段(46)が交換可能に取り付けられている」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、液体原料(L)の物性や流量及び液体原料流路(8)の温度に応じた内径を有する液体原料流路内径調整手段(46)を選定し、これを前記液体原料流路(8)に嵌めこむ事で、液体原料流路(8)内を通流する液体原料(L)の通流速度を制御する。すなわち、液体原料(L)が液体原料流路内径調整手段(46)の流路全体を満たし、かつ、液体原料(L)が液体原料流路(8)全体を通流する間液体状態を保持できる速度となるように液体原料流路内径調整手段(46)の内径を調整することにより、液体原料(L)が液体原料流路(8)内を迅速に通流できるようになるので、液体原料流路(8)内で液体原料(L)が分解して残渣が発生することがなく、分解しやすい不安定な液体原料(L)であっても液体原料(L)を気化室(30)に安定的に配給することができ、液体原料流路(8)が残渣によって閉塞されることもない。
なお、液体原料(L)の流量に対する液体原料流路(8)の内径が大きい場合、液体原料(L)は表面張力によって液体原料流路(8)の内壁面を伝う流れになり、液体原料流路内径調整手段(46)の流路全体を満たしながら通流することができず、その流下速度は低下することになり、前述の場合と比べて液体原料流路内径調整手段(46)を短時間で通流することができなくなる。
請求項11に記載した発明は、「液体原料流路(8)には、液体原料流路(8)にパージガス(PgG)を導入するパージガス導入路(28)が接続されている」ことを特徴とするものである。
液体原料(L)によっては液体原料流路(8)の表面に付着してわずかに残るおそれがある。この発明によれば、一日の作業を終えたり、液体原料(L)の種類を交換するために気化器(1)の操業を停止させる必要が生じた場合に、液体原料流路(8)にパージガス(PgG)を導入することで液体原料流路(8)内から液体原料(L)を確実に除去できる。
請求項12に記載した発明は、「液体原料(L)を貯留するタンク(16)と、タンク(16)に接続され、タンク(16)から取り出される液体原料(L)の質量流量を測定する液体質量流量計(18)と、気化液体原料(VG)を混合して搬送するキャリアガス(CG)の質量流量を測定するマスフローコントローラ(20)と、液体質量流量計(18)及びマスフローコントローラ(20)に接続され、液体原料(L)を気化させると共に気化した気化液体原料(VG)をキャリアガス(CG)にてリアクター(14)に向けて送り出す気化器(1)とを備える液体気化供給装置(12)において、気化器(1)は、請求項1〜11のいずれかに記載の気化器(1)である」ことを特徴とするものである。
この発明によれば、成膜用の液体原料(L)が非常に不安定で、分解反応が容易に進行するようなものであっても、薄膜の原料となる気化後の液体原料(L)を安定して供給することができる。
請求項1、2に記載した発明によれば、気化室の底面の表面温度が設定温度以下に低下しないので、液体原料の気化効率が低下することはない。また、液体原料配給口の周囲からキャリアガスが噴射されているので、液体原料配給口から噴射された液体原料が底面に向かって落下すると同時に気化室内にて飛散し、気化室の底面に当たる時にはその衝突面積を十分に大きくとることができる。
請求項3に記載した発明によれば、液体原料配給口(42)の先端部分がキャリアガス(CG)の速い流れにさらされることになるので、液体原料配給口(42)の先端部に回り込んで付着しようとする液体原料(L)の飛散が促され、当該部分への液体原料(L)の付着が抑制される。
請求項4に記載した発明によれば、キャリアガスが予熱されているので、キャリアガス配給口から噴射されたキャリアガスが気化室内を対流する際に気化室壁面から受け取る熱量は予熱していない場合に比べて少ない。したがって、その分より多くの熱量を液体原料が気化する際の気化エネルギーとして使用することができ、気化効率が向上する。
請求項5に記載した発明によれば、液体原料の気化が特に気化室の底面全体にわたってムラ無く行われるので、気化効率がより向上し、気化室内における残渣の発生をより確実に防止できる。
請求項6に記載した発明によれば、一旦気化した液体原料が再凝縮して付着することはない。また、気化室下部にあっては、気化室上部と同じ温度に設定することで一旦気化した気化液体原料が再度結露して分解されるのを防止できるのは勿論、気化室上部よりも高い温度に設定することで、蒸気圧が低く気化しにくい液体原料や極めて短時間に気化をしなければ分解してしまう液体原料を使用する場合であってもその気化が容易となる。
請求項7に記載した発明によれば、気化室上部の温度が気化室下部の温度の影響を受けにくいので、気化室上部と気化室下部とを異なる温度設定にすることが容易である。
請求項8に記載した発明によれば、気化器とリアクターとを接続するガス管の温度をリアクターに向かうにつれて上昇するように設定することができるので、リアクターに近いガス管内での結露を確実に防止できる。
請求項9に記載した発明によれば、ミスト化した液体原料が気化ガス中に含まれた場合であっても、当該ミスト化した液体原料が熱交換器内にて気化できるので、パーティクルの原因となるミスト化した液体原料が後工程であるリアクターに混入することがない。
請求項10に記載した発明によれば、液体原料が液体原料流路内径調整手段の液体原料流路内を液体状態を保持したままでしかも短時間で通流することになるので、液体原料流路内で液体原料が分解して残渣を発生させ、液体原料流路内を閉塞させることもない。
請求項11に記載した発明によれば、気化器の操業を停止させる必要が生じた場合に液体原料流路内から液体原料を確実に除去できるので、液体原料流路内に液体原料がわずかに付着残留している場合のように、周囲の熱により液体原料流路内の液体原料が分解して残渣を発生させ、徐々に液体原料流路内を閉塞させるという問題が生じることはない。
請求項12に記載した発明によれば、成膜用の液体原料が非常に不安定で、分解反応が容易に進行するようなものであっても、薄膜の原料となる気化後の液体原料を安定して供給できる。
以下、本発明を図示実施例にしたがって説明する。図1は本発明の気化器(1)が組み込まれた液体気化供給装置(12)の一例である。ここで、液体気化供給装置(12)は液体原料(L)を気化させるとともに、気化後の気化液体原料(VG)を次工程であるリアクター(14)などの製造装置へ供給するためのものであり、気化器(1)、液体質量流量計(18)及びマスフローコントローラ(20)等を備え、これらの機器が原料供給管(22a)及びガス管(22c)を介して互いに連結されている。また、気化器(1)と液体質量流量計(18)とは制御用導電線(22g)により接続されている。
図2は、一例として本発明による手法を具現化した気化器(1)の断面図である。気化器(1)は、質量流量制御部(1A)と気化部(2A)とから構成されており、前記気化部(2A)は、本実施例では上下2分割されて気化室上部ブロック(1B)及び気化室下部ブロック(1C)から構成され、気化室上部ブロック(1B)から気化室下部ブロック(1C)にかけてその内部に回転楕円体に近い気化室(30)が穿設されている。勿論、気化室(30)は回転楕円体あるいはその類似形状に限られるものでなく、円筒状、角ブロック状、円錐台などその目的に応じた最適の形状を選択することが可能である。なお、気化室上部ブロック(1B)及び気化室下部ブロック(1C)に形成されている気化室(30)の上半分を気化室上部(30A)、下半分を気化室下部(30B)とする。
質量流量制御部(1A)は流量制御ブロック(1a)とその上に立設されたアクチュエータ(2)とで構成されており、流量制御ブロック(1a)は前記気化室上部ブロック(1B)上に気密的に取着されている。そして、この流量制御ブロック(1a)内には弁室(24)が形成されており、弁室(24)の上面に設けられた通孔(24a)は流量制御ブロック(1a)の上面に開口し、後述するアクチュエータ(2)の質量流量制御弁体(50)が進退するようになっている。また、弁室(24)の下面に設けられた開口には弁座(3)が設けられ、弁室(24)内に配置されたダイヤフラム(4)が弁座(3)にアクチュエータ(2)の変化に追随して移動する質量流量制御弁体(50)により接離し、ノーマリクローズ(=不使用時、質量流量制御弁体(50)がダイヤフラム(4)を押圧することにより弁座(3)が常時閉じられる)方式で開度制御がなされるようになっている。
流量制御ブロック(1a)の内部には、液体原料導入口(5)、前記液体原料導入口(5)から延びて弁室(24)の底部へ液体原料(L)を導入する液体原料導入路(26)、パージガス導入口(6)、および前記パージガス導入口(6)から延びて後述する液体原料流路(8)の拡径部分(8a)の上部へパージガス(PgG)を導入するパージガス導入路(28)が設けられており、液体原料流路(8)の拡径部分(8a)の上端が弁室(24)の底部に連通され、この開口には前述のように弁座(3)が設けられる。なお、パージガス導入口(6)およびパージガス導入路(28)は必要に応じて設けられるものであり、省略することも可能である。
流量制御ブロック(1a)の上面にはアクチュエータ(2)が設けられている。アクチュエータ(2)は流量制御ブロック(1a)の上面に立設されている筒状のハウジング(1d)を有し、後述する質量流量制御素子(36)が内部に収納された構造となっている。
一方、弁室(24)の内部には、弾性材料からなる膜状のダイヤフラム(4)が設けられており、前記ダイヤフラム(4)を押圧して弁座(3)との開度を制御する質量流量制御弁体(50)がアクチュエータ(2)の下端に設けられている。
質量流量制御素子(36)は、印加電圧の大きさに応じて長さが変化するもの或いは移動量が変化するものであり、印加電圧に対する応答速度が非常に速く、質量流量制御素子(36)に印加する電圧を微小時間間隔に設定した場合であっても印加電圧に応じて変化量を瞬時に変化させることができる。
質量流量制御素子(36)として、本実施例では電圧印加により上方に移動するよう構成されたソレノイド素子が使用されており、使用時には印加電圧を制御して質量流量制御弁体(50)の移動量を制御し、弁座(3)の開度が調整されるようになっている。なお、質量流量制御素子(36)としてピエゾ素子を用いる場合には単独ではノーマリクローズ方式として機能しないため、反転機構(図示せず)を介して使用する。
気化部(2A)は前述のように気化室上部ブロック(1B)と気化室下部ブロック(1C)と、両者(1B)(1C)の間に介装された真空シール材(48)とで大略構成されており、本実施例における回転楕円体類似形状の気化室(30)の底面(30a)は、凹状に窪んだ形状をなしており、気化室(30)を水平方向に切断したときの内周形状は略円形状をなしている(図3参照)。気化室(30)における液体原料(L)の噴射方向[図の実施例では上下方向]の長さ(H)は、キャリアガス配給口(44)から噴射されたキャリアガス(CG)が気化室(30)の底面(30a)に直接衝突して底面(30a)の表面温度が設定温度以下に低下しない程度に十分な長さに設定されることが好ましい。上記気化室(30)の長さ(H)は、キャリアガス(CG)の噴射口のコンダクタンスやキャリアガス(CG)の流量、或いは気化室(30)の形状等に応じて適宜設定すればよく、本実施例においては70mmの長さに設定されている。この長さは、後述するノズル(38)が請求項3に記載の発明の効果を発揮するよう考慮した上で、通常使用されるキャリアガス(CG)流量を網羅するようにシミュレーション等によって得たもので、キャリアガス(CG)がノズルから噴出直後に断熱膨張して温度低下した状態から粘性による散逸拡散を受けながら噴出前の温度程度に回復するまでに進む距離のことである。なお、気化室(30)の長さ(H)が前述した長さに設定されている場合、キャリアガス配給口(44)から噴射されたキャリアガス(CG)は気化室(30)の底面(30a)付近において十分に拡散した状態となっている。
真空シール材(48)は、気化室上部ブロック(1B)と気化室下部ブロック(1C)とを気密的に接続するためのリング状部材である。真空シール材(48)の材質としては、金、白金、銅、アルミニウムなどの金属あるいは種々のゴムが用いられ、使用する液体原料等の種類に応じて適宜選定される。なお、本実施例においては、真空シール材(48)が熱抵抗を生ぜしめるための手段として機能する。
気化室上部ブロック(1B)には、気化室上部(30A)の他に、ノズル(38)、キャリアガス導入口(7)、キャリアガス導入口(7)から延びてノズル(38)にキャリアガス(CG)を配給するためのキャリアガス導入路(32)、気化室(30)の側面(30c)に設けられた気化ガス排出口(9)、気化ガス排出口(9)から延びて外部と連接し気化室(30)内にて気化した気化液体原料(VG)をキャリアガス(CG)と共に外部に排出する気化ガス排出路(40)、および気化室上部ブロック(1B)を加熱する加熱手段としての上部ヒータ(10)が設けられ、更に図示しない熱電対が配置されており、図示しない温度コントローラなどを用いて気化室上部ブロック(1B)の加熱温度の設定と制御を行うことができるようになっている。また、キャリアガス導入口(7)(キャリアガス導入路(32)の入り口側)には、キャリアガス導入路(32)に供給されるキャリアガス(CG)を予熱するための加熱手段を備えるキャリアガス予熱手段(19)が配設されており、気化ガス排出路(40)の出口側には、熱交換器(21)が配設されている。熱交換器(21)は、気化ガス(VG+CG)中にミスト状の液体原料(L)が存在する場合に前記ミスト状の液体原料(L)を完全に気化させるためのものであり、熱交換器(21)の内部空間(21a)には、内部空間(21a)を狭く区切り乱流を発生しやすい空間に変形させる空間変形手段(21b)、より具体的には、表面に凹凸が形成された複数の襞が設けられている。なお、上記目的を達成することが出来ればその構成および形状が特に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
ノズル(38)の構造は図4〜図5に示すとおりで、円形の液体原料配給口(42)と、その周囲に同心円状に配置されたキャリアガス配給口(44)とで構成されており、これらが気化室(30)の上面(30b)中央部分に設けられている。(つまり、キャリアガス配給口(44)は液体原料配給口(42)の周囲を囲繞するように設定される。)
液体原料配給口(42)は液体原料噴射ノズルとして機能するもので、気化室(30)の中心に向けて突出された円筒状部分であり、その端面或いは先端部分が先端に向って[図の実施例では下方に向って]次第に細くなるようなテーパ状に形成されている。また、この円筒状部分である液体原料配給口(42)から上に向かって弁座(3)に至る、気化室上部(30A)から流量制御ブロック(1a)に跨って軸方向に設けられた通孔が液体原料流路(8)であり、この液体原料流路(8)内部を液体原料(L)が通流することになる。
液体原料流路(8)の内径は前述の理由により、液体原料(L)の特性及び質量流量に依存させることが好ましく、特に液体原料流路(8)の一部は筒状の液体原料流路内径調整手段(46)により構成され、この筒状の液体原料流路内径調整手段(46)の交換によって液体原料流路(8)の内径を自由に変えることができ、液体原料流路(8)内の内径を適切に設定することができるようになっている。すなわち、本実施例では液体原料流路(8)の上段部分が拡径されており、この拡径部分(8a)に内径の異なる筒状の液体原料流路内径調整手段(46)を挿入できるようになっている。
なお、液体原料流路内径調整手段(46)は、前記液体原料流路(8)の拡径部分(8a)に交換可能に取り付けられ、液体原料流路(8)内を通流する液体原料(L)の通流速度を調整するための筒状部材である。液体原料流路内径調整手段(46)の軸方向に形成されている通孔は原料導入路(46a)であり、その内径は液体原料流路(8)の内径と異なって(すなわち、目的とする液体原料(L)の物性(粘度など)に応じて液体原料流路(8)の下段部分の内径よりも大径あるいは小径に)適宜設定される。
キャリアガス配給口(44)はキャリアガス噴射ノズルとして機能するもので、キャリアガス導入路(32)によりキャリアガス導入口(7)と接続され、外部からキャリアガス(CG)を供給できるようになっている。なお、キャリアガス(CG)は、前述したキャリアガス予熱手段(19)内を通過することにより予熱され、キャリアガス配給口(44)から気化室(30)内に噴射されることになる。キャリアガス(CG)の予熱温度は高いほど有効であり、後述する上部ヒーター(10)の加熱温度と同程度、或いはそれ以上に設定することが好ましい。
キャリアガス導入路(32)は、液体原料流路(8)に対して同心円状にて全周に亘って連続して(もちろん、同心円状に多数の通孔を不連続に形成し、これをキャリアガス導入路(32)としてもよい)、且つ、気化室(30)方向に向うにつれて液体原料流路(8)に次第に近接するように液体原料流路(8)に対して傾斜して形成され、本実施例ではその出口部分であるキャリアガス配給口(44)付近が液体原料流路(8)に沿って平行に形成されている(図4〜図5参照)。勿論、キャリアガス配給口(44)に至るまで液体原料流路(8)に対して傾斜するように形成してもよい(図6参照)。
気化室下部ブロック(1C)には、加熱手段としての下部ヒータ(11)と図示しない熱電対が配置されており、上部ヒータ(10)用の温度コントローラとは別の温度コントローラを用いて気化室上部ブロック(1B)同様に、しかし気化室上部ブロック(1B)とは別個に気化室下部ブロック(1C)の加熱温度の設定と制御を行うことができるようになっている。なお、下部ヒータ(11)は、気化室下部ブロック(1C)の底部であって液体原料配給口(42)と対向する位置に設けられている。
この点を詳述すると、本実施例では、気化室上部ブロック(1B)と気化室下部ブロック(1C)とが別部品から構成され、両者(1B)(1C)は前述したように熱抵抗を生ぜしめる手段としての真空シール材(48)を介して接続されている。このため、この接続部位において熱抵抗が存在し、かつまた気化室下部ブロック(1C)の底部に下部ヒータ(11)を配置しているため、気化室上部ブロック(1B)は下部ヒータ(11)の影響を受けにくく、気化室上部ブロック(1B)と気化室下部ブロック(1C)との間において異なる温度設定が可能である。本実施例では、液体原料(L)の結露しない温度(即ち、露点温度)よりも若干高い温度となるように気化室上部ブロック(1B)の上部ヒータ(10)の温度が設定され、気化室下部ブロック(1C)が気化室上部ブロック(1B)よりも高い温度となるように下部ヒータ(11)の温度が設定されている。なお、真空シール材(48)は断熱材でもよい。
液体気化供給装置(12)の構成については最初に簡単に説明したが、図1に基いて更に説明すると、気化器(1)の液体原料導入口(5)には原料供給管(22a)を介して液体質量流量計(18)が接続され、液体質量流量計(18)には原料供給管(22h)を介してタンク(16)が接続され、タンク(16)にはプッシュガス(PsG)を導入するガス管(22b)が接続される。また、気化器(1)のパージガス導入口(6)にはパージガス(PgG)を導入するガス管(22e)が接続される。また、気化器(1)のキャリアガス導入口(7)(キャリアガス導入路(32)の入り口側)に配設されたキャリアガス予熱手段(19)にはガス管(22c)を介してマスフローコントローラ(20)が接続され、マスフローコントローラ(20)にはキャリアガス(CG)を導入するガス管(22d)が接続される。さらに、気化器(1)のアクチュエータ(2)には制御用導電線(22g)を介して液体質量流量計(18)が接続され、気化ガス排出口(9)に連接された気化ガス排出路(40)の出口側に設けられた熱交換器(21)には、気化ガス(VG+CG)を送出するガス管(22f)を介してリアクター(14)が接続される。なお、ガス管(22f)は、その内部の温度が気化器(1)側からリアクター(14)側に向うにしたがって上昇するように設定してもよい。
タンク(16)は、薄膜の原料となる液体原料(L)を貯留するものであり、液体質量流量計(18)は、原料供給管(22a)を流れる液体原料(L)の質量流量(単位時間当りに流れる液体原料(L)の質量)を測定し、測定結果に基づいて気化器(1)における質量流量制御素子(36)に電圧を印加するものであり、マスフローコントローラ(20)は、気化器(1)に対するキャリアガス(CG)の供給量を調整するものである。また、リアクター(14)は、「成膜手段」として機能するものであり、加熱あるいはプラズマ、気化液体原料(VG)と反応するガス等によって、配給された気化液体原料(VG)を分解しウエハの表面に薄膜を形成するものである。なお、液体質量流量計(18)においては、内部を流れる液体原料(L)の質量流量に応じて質量流量制御素子(36)に電圧が印加され、これによって、弁座(3)の開口度が調整されて気化室(30)へ与えられる液体原料(L)の量が均一化されることになる。
次に液体原料(L)の気化配給過程について説明する。まず、タンク(16)内に所望の液体原料(L)を貯留する。本実施例では、液体原料(L)としてHTBをオクタン溶媒に0.2モル希釈した溶液を使用した。液体原料(L)を配給するにはタンク(16)内の圧力と気化室(30)における圧力との間に差圧があればよく、タンク(16)内にプッシュガス(PsG)を供給して、前記差圧が所定の値となるようにタンク(16)内の圧力を設定する。本実施例において、タンク(16)内に供給するプッシュガス(PsG)の圧力はゲージ圧で0.1〜0.2MPaとした。
なお、本実施例ではプッシュガス(PsG)としてヘリウムを使用したが、液体原料(L)との接触により液体原料(L)が分解等することがなければこれに限られるものではなく、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが用いられてもよい。
タンク(16)内圧力と気化室(30)における圧力との圧力差により液体原料(L)が原料供給管(22h)内を流れると、液体質量流量計(18)、原料供給管(22a)を順に通過し、気化器(1)の質量流量制御部(1A)内に導入される。質量流量制御部(1A)内に導入された液体原料(L)は、液体原料導入口(5)から液体原料導入路(26)を通って弁室(24)へ与えられる。
このとき、液体質量流量計(18)では、内部を流れる液体原料(L)の質量流量が測定され、測定された質量流量信号に基づいて気化器(1)の質量流量制御素子(36)に電圧が印加される。そして、これによりダイヤフラム(4)と弁座(3)との間の距離(開口度)が調整され、所望の質量流量(この実施例では、0.07〜1.0g/min)の液体原料(L)が液体原料流路(8)を通り、減圧状態の気化室(30)内に噴出される。同時に、液体原料配給口(42)の周囲のキャリアガス配給口(44)から加熱手段(10),(11)によって気化室上部(30A)と同温度、もしくはそれ以上に予熱されたキャリアガス(CG)が液体原料(L)の周囲を包むように噴出し、液体原料(L)を底面(30a)に向けて略円錐状に飛散させる。
この時、液体原料配給口(42)から気化室(30)内に噴出した液体原料(L)は、その一部が表面張力によって液体原料配給口(42)の先端部に回り込んで付着しようとする。液体原料配給口(42)の先端部に回り込んで付着する液体原料(L)は、この部分において一定時間滞在し、分解反応による残渣が発生することになるが、本発明においては液体原料配給口(42)の先端部分が気化室(30)に向うにつれて次第に縮径するようにテーパ状に形成されているので、前記付着が最小限に抑制される。
即ち、キャリアガス配給口(44)から噴出したキャリアガス(CG)はテーパ状に形成された液体原料配給口(42)に沿って通過するため、液体原料配給口(42)の先端部分はキャリアガス(CG)の速い流れにさらされることになる。したがって、前述したように液体原料配給口(42)の先端部に回り込んで付着しようとする液体原料(L)の飛散が促され、当該部分への液体原料(L)の付着が抑制されることになる。
なお、本実施例においては、液体原料流路(8)に嵌め込まれた液体原料流路内径調整手段(46)の内径を0.1〜0.3mmに設定し、ノズル(38)における液体原料配給口(42)の内径を0.1〜0.2mmに設定した。液体原料流路内径調整手段(46)の内径を0.3mm以上に設定した場合には、液体原料流路内径調整手段(46)内を流れる液体原料(L)の通流速度が遅すぎるために液体原料流路内径調整手段(46)内にて残渣が次第に蓄積することを確認した。また、キャリアガス配給口(44)のギャップは0.05mm〜0.2mmとした。
前述したように、気化室(30)の長さ(H)は、キャリアガス配給口(44)から噴射されたキャリアガス(CG)が気化室(30)の底面(30a)に直接衝突して底面(30a)の表面温度を設定温度以下に冷却し始める距離よりも長く設定されているので、キャリアガス(CG)は底面(30a)付近において十分に拡散した状態となっている。すると、キャリアガス(CG)とともに底面(30a)に向けて略円錐状に飛散した液体原料(L)は気化室下部ブロック(1C)に到達するあたりでは拡散が進んで広い範囲で底面(30a)に接触することになる。ここで、底面(30a)は凹湾曲状に凹設されているので、飛散した液体原料(L)は広い範囲で高温に保持されている気化室下部ブロック(1C)の底面(30a)にある程度ムラなく、単位面積当たりの液体原料(L)が小さい状態で接触し、接触した瞬間にその全量が蒸発する。そして、気化室(30)内の気流と共に上昇し、前記気化液体原料(VG)とキャリアガス(CG)とが気化ガス(VG+CG)として気化ガス排出口(9)からリアクター(14)へ向けて送出される。なお、気化ガス(VG+CG)中にミスト化した液体原料(L)が混入していた場合、これが次工程のリアクター(14)に供給されるとパーティクルの原因となるため問題となるが、前述したように気化ガス排出路(40)の出口側には熱交換器(21)が設けられているので、上記ミスト化した液体原料(L)を確実に気化させることができ、このような問題が生じることはない。
気化室上部ブロック(1B)の温度を80〜100℃に設定し、気化室下部ブロック(1C)は120℃以上に設定した。N2ガスはキャリアガス配給口(44)から300sccm〜1500sccmの質量流量で配給し、気化室(30)内は5〜15Torrになるように設定した。また、液体原料流路(8)からノズル(38)にかけての温度は、上部ヒータ(10)の加熱による気化室上部ブロック(1B)の温度とほぼ同じかやや低い温度になるため、上部ヒータ(10)は液体原料流路(8)の加熱をも兼ねさせた。勿論、気化室上部ブロック(1B)と液体原料流路(8)からノズル(38)にかけての部分の温度を別々のヒータで温度制御するようにしてもよい。
本実施例では、この温度が80℃以下ではノズル(38)の温度としては低過ぎる設定温度であったためノズル(38)の先端(出口付近)に残渣が発生した。また、100℃を大きく越えるとHTBあるいは溶媒であるオクタンがノズル(38)内で気化し始めるため、ノズル(38)出口付近にて詰まりの兆候や残渣の発生が認められ、さらに温度を上げると液体原料流路(8)の内部で詰まりを生じさせた。
液体原料(L)が主として当たる気化室(30)の底面(30a)の加熱温度は可能な限り短時間に気化できるだけの熱を与える必要があり、気化室上部ブロック(1B)の加熱温度より高くするのが好ましい。
次に、液体原料配給口(42)とノズル対向位置にある気化室(30)の底面(30a)との距離(H)に付いてであるが、この距離(H)を5,23,70mmと順に変化させ、底面(30a)に残渣が付着するかどうかの実験を行ったところ、表1に示すように、距離(H)が70mm以上あればノズル(38)から排出された液体原料(L)が十分に広がり、底面(30a)での残渣の発生がなく、気化室(30)の底面(30a)における温度低下も認められなかった。なお、気化室(30)の内径は20〜30mmとし、気化室上部ブロック(1B)及び気化室下部ブロック(1C)温度は100℃とした。
Figure 2005113221
最後に、気化器(1)の運転を終了する際には、パージガス(PgG)を用いて気化器(1)をパージする。そしてこれにより、液体原料流路(8)の内壁面にわずかに付着して残っている液体原料(L)を外部に確実に排出でき、液体原料流路(8)の詰まりを予防する。また、液体原料(L)の種類によってはパージガス導入口(6)から流量制御されたパージガス(PgG)(He、Ar、N2など)と混合させて噴射させることもあるが、本実施例の場合、パージガス導入口(6)からのパージガス(PgG)の混合は行わなかった。
図7は前記HTB希釈オクタン溶液を本発明の適用された気化器(1)にて1時間気化配給したときの記録である。実線1は前記HTB希釈オクタン溶液の質量流量を、実線2はキャリアガス配給口(44)から排出されるN2ガスの質量流量を、実線3は気化ガス排出口(9)付近の圧力値をそれぞれモニタしたものである。本発明の適用された気化器(1)によれば、実線1に示すように試験開始(左側)の立ち上がり直後から試験終了(右側)の立ち下がり直後まで安定した気化配給が行われることがわかった。
本発明の適用された気化器を含む液体気化供給装置を示すブロック図である。 本発明の適用された気化器を示す断面図である。 図1実施例におけるA−A断面図である。 図1実施例におけるノズル部分を示す部分拡大縦断面図である。 図1実施例におけるノズル部分を示す部分拡大横断面図である。 第2実施例における部分拡大断面図である。 経過時間と液体原料の供給量の関係を表したグラフである。 従来例を示す断面図である。
符号の説明
(1)…気化器
(1A)…質量流量制御部
(2A)…気化部
(2)…アクチュエータ
(5)…液体原料導入口
(6)…パージガス導入口
(7)…キャリアガス導入口
(8)…液体原料流路
(9)…気化ガス排出口
(10)…上部ヒータ
(11)…下部ヒータ
(24)…弁室
(26)…液体原料導入路
(28)…パージガス導入路
(30)…気化室
(32)…キャリアガス導入路
(38)…ノズル
(40)…気化ガス排出路
(42)…液体原料配給口
(44)…キャリアガス配給口

Claims (12)

  1. (a) 質量流量制御されて供給された液体原料を気化するための気化室と、
    (b) 前記気化室内に向けて液体原料を噴射する液体原料配給口と、
    (c) 前記液体原料配給口の周囲に配設され、前記気化室内に向けてキャリアガスを噴射するキャリアガス配給口と、
    (d) 前記気化室内に供給された液体原料を気化させるための加熱手段とを備える気化器において、
    (e) 前記液体原料配給口の先端から前記液体原料配給口と対向する前記気化室の底面までの距離は、少なくとも前記キャリアガス配給口から噴射されたキャリアガスが前記気化室の底面に直接衝突することにより前記底面の表面温度が設定温度以下に冷却し始める距離よりも長く設定されていることを特徴とする気化器。
  2. 前記液体原料配給口の先端から前記液体原料配給口と対向する前記気化室の底面までの距離は、少なくとも70mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の気化器。
  3. 前記液体原料配給口の先端部分は、先端に向って次第に細くなるようなテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気化器。
  4. 前記キャリアガスが予熱されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の気化器。
  5. 前記気化室の底面は、凹湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の気化器。
  6. (a) 前記加熱手段は、前記液体原料配給口および前記キャリアガス配給口が設けられている気化室上部を加熱する上部ヒータと、前記液体原料配給口および前記キャリアガス配給口と対向する位置に配置され、前記液体原料配給口および前記キャリアガス配給口と対向する側の気化室下部を加熱する下部ヒータとで構成されており、
    (b) 前記上部ヒータは前記液体原料配給口及びその周囲の温度が液体原料の露点以上となるように設定されており、
    (c) 前記下部ヒータは前記気化室下部の温度が前記気化室上部の温度と同じ、あるいは、それ以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の気化器。
  7. 前記気化室上部が形成されている気化室上部ブロックと前記気化室下部が形成されている気化室下部ブロックとは、熱抵抗を生ぜしめる手段を介して接続されていることを特徴とする請求項6に記載の気化器。
  8. 前記気化室上部ブロックが前記気化室下部ブロックと等しい温度或いはこれより低い温度で且つ液体原料の露点以上に保持されており、加えて前記気化室上部ブロックに気化ガス排出路が形成されていることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の気化器。
  9. 前記気化ガス排出路の出口側には、未気化の液体原料を気化させるための熱交換器が配設されていることを特徴とする請求項8に記載の気化器。
  10. (a) 前記液体原料配給口には、液体原料が通流する液体原料流路が設けられており、
    (b) 前記液体原料流路には、液体原料流路内径を可変とする液体原料流路内径調整手段が交換可能に取り付けられることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の気化器。
  11. 前記液体原料流路には、前記液体原料流路にパージガスを導入するパージガス導入路が接続されていることを特徴とする請求項10に記載の気化器。
  12. (a) 液体原料を貯留するタンクと、
    (b) 前記タンクに接続され、タンクから取り出される液体原料の質量流量を測定する液体質量流量計と、
    (c) 気化液体原料を混合して搬送するキャリアガスの質量流量を測定するマスフローコントローラと、
    (d) 液体質量流量計及びマスフローコントローラに接続され、液体原料を気化させると共に気化した気化液体原料をキャリアガスにてリアクタに向けて送り出す気化器とを備える液体気化供給装置において、
    (e) 前記気化器は、請求項1〜11のいずれかに記載の気化器であることを特徴とする液体気化供給装置。

JP2003349748A 2003-10-08 2003-10-08 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置 Pending JP2005113221A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003349748A JP2005113221A (ja) 2003-10-08 2003-10-08 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003349748A JP2005113221A (ja) 2003-10-08 2003-10-08 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005113221A true JP2005113221A (ja) 2005-04-28

Family

ID=34541533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003349748A Pending JP2005113221A (ja) 2003-10-08 2003-10-08 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005113221A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005228889A (ja) * 2004-02-12 2005-08-25 Tokyo Electron Ltd 成膜装置
JP2007046084A (ja) * 2005-08-08 2007-02-22 Lintec Co Ltd 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置
JP2007129152A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Nec Electronics Corp 気化器及び気相成長装置
JP2013518990A (ja) * 2010-02-05 2013-05-23 エムエスピー コーポレーション 液体前躯体を気化するための微細液滴噴霧器
JP2013210095A (ja) * 2012-03-12 2013-10-10 Msp Corp 膜蒸着のための液体流量制御
KR101415664B1 (ko) * 2008-01-15 2014-07-07 주성엔지니어링(주) 기화기 및 기화기를 가지는 증착장치
KR101538152B1 (ko) * 2013-06-13 2015-07-22 민치훈 다양한 가열 온도 조정을 통한 기상 폴리머의 유연 기판 증착 장치
CN114705789A (zh) * 2022-06-06 2022-07-05 中科阿斯迈(江苏)检验检测有限公司 一种实验室检测用气相色谱装置

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005078781A1 (ja) * 2004-02-12 2005-08-25 Tokyo Electron Limited 成膜装置
JP4607474B2 (ja) * 2004-02-12 2011-01-05 東京エレクトロン株式会社 成膜装置
JP2005228889A (ja) * 2004-02-12 2005-08-25 Tokyo Electron Ltd 成膜装置
JP2007046084A (ja) * 2005-08-08 2007-02-22 Lintec Co Ltd 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置
JP2007129152A (ja) * 2005-11-07 2007-05-24 Nec Electronics Corp 気化器及び気相成長装置
KR101415664B1 (ko) * 2008-01-15 2014-07-07 주성엔지니어링(주) 기화기 및 기화기를 가지는 증착장치
US8986784B2 (en) 2010-02-05 2015-03-24 Msp Corporation Fine droplet atomization for liquid precursor vaporization
JP2013518990A (ja) * 2010-02-05 2013-05-23 エムエスピー コーポレーション 液体前躯体を気化するための微細液滴噴霧器
JP2013210095A (ja) * 2012-03-12 2013-10-10 Msp Corp 膜蒸着のための液体流量制御
EP2639483A3 (en) * 2012-03-12 2015-01-07 Msp Corporation Liquid flow control for film deposition
EP3040591A1 (en) * 2012-03-12 2016-07-06 Msp Corporation Liquid flow control for film deposition
KR101538152B1 (ko) * 2013-06-13 2015-07-22 민치훈 다양한 가열 온도 조정을 통한 기상 폴리머의 유연 기판 증착 장치
CN114705789A (zh) * 2022-06-06 2022-07-05 中科阿斯迈(江苏)检验检测有限公司 一种实验室检测用气相色谱装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5732025B2 (ja) 基板処理システムにおける材料蒸着方法及び装置
JP4451975B2 (ja) 気化器及びこれを用いた半導体製造システム
JP2010087169A (ja) 気化器およびそれを用いた成膜装置
WO2009122966A1 (ja) 液体原料気化器及びそれを用いた成膜装置
KR20180016563A (ko) 기판 처리 장치, 반도체 장치의 제조 방법 및 기화 시스템
WO2005078781A1 (ja) 成膜装置
JP4972657B2 (ja) 気化器及び成膜装置
JP2005113221A (ja) 気化器並びにこれを用いた液体気化供給装置
WO2008047506A1 (fr) Vaporisateur et appareil de formation de film
US20100044461A1 (en) Liquid material vaporizer
TWI261872B (en) Method of depositing CVD thin film
TW201303971A (zh) 氣化裝置、氣體供給裝置及成膜裝置
JP4316341B2 (ja) 気化器及び成膜装置
JP2002502465A (ja) 蒸気発生および膜析出のための方法及び装置
JP2005026599A (ja) 液体気化供給器及びこれを用いた液体気化供給装置
JP5426616B2 (ja) 気化器及び該気化器を備えた液体原料気化供給装置
JPH0936108A (ja) 半導体の製造方法および装置、並びに半導体ウェハおよび半導体素子
CN112585298B (zh) 气化器
JP2006303534A5 (ja)
JP2005051006A (ja) 気化器
JP2002110546A (ja) 気化器および気化器の気化性能評価方法
JP2010067906A (ja) 気化器及びそれを用いた成膜装置
JP2004273873A (ja) 半導体製造装置
JPH07106254A (ja) 液体原料用気化供給器とその供給方法
US11274367B2 (en) Vaporizer