JP2004273873A - 半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高性能の薄膜を成膜することができる半導体製造装置を提供する。
【解決手段】チャンバと、前記チャンバ内に設置され、成膜対象物が載置される載置部と、前記チャンバ内に原料を供給する原料供給部と、を有し、前記原料供給部は、原料液が溜められる原料液タンクと、前記原料液タンクから供給された前記原料が吐出される原料液吐出部と、前記原料液吐出部で吐出された原料液滴が気化される気化部と、を備え、前記原料液吐出部はピエゾ素子を備えることを特徴とする半導体製造装置である。
【選択図】図1
【解決手段】チャンバと、前記チャンバ内に設置され、成膜対象物が載置される載置部と、前記チャンバ内に原料を供給する原料供給部と、を有し、前記原料供給部は、原料液が溜められる原料液タンクと、前記原料液タンクから供給された前記原料が吐出される原料液吐出部と、前記原料液吐出部で吐出された原料液滴が気化される気化部と、を備え、前記原料液吐出部はピエゾ素子を備えることを特徴とする半導体製造装置である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化、微細化が進展するにつれて、これまでは電界効果型(例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor))トランジスタのゲート絶縁膜であるシリコン酸化膜の厚さを薄くしてきた。しかしながら、ゲート絶縁膜の厚さが薄くなるに従い、トンネル効果や膜の欠陥等により、ゲート絶縁膜を突き抜けてリーク電流が流れてしまい、要求されるデバイス性能を発揮することができなくなる。そこで、膜厚を薄くすることなくデバイス性能を確保し、リーク電流の発生を抑制するために、シリコン酸化膜より誘電率の高い膜(以下、高誘電体膜と記す。)がゲート絶縁膜として用いられ始めている。
【0003】
高誘電体膜を製造する方法としては、有機金属化合物の熱分解を利用した化学気相蒸着法であるMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が多用されている。
【0004】
従来、MOCVD法による成膜工程では、有機金属化合物である液体原料を供給して、その後気化器により液体原料を気化させ、気化したガスを成膜装置の成膜チャンバ内部へ導入する。
【0005】
例えば、特開2000−58528号公報、特開2000−273639号公報には、液体原料を用いた製膜装置が開示されている。
【特許文献1】
特開2000−58528号公報
【特許文献2】
特開2000−273639号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記公知文献では、液体原料を用いて精膜する装置について開示されているに過ぎず、具体的に品質の優れた膜質を実現する効果的な半導体製造装置について十分検討されたとは言えない。本発明者は、高性能の膜を形成するためには、前記成膜の際に、液体金属原料を効果的に微量制御して供給して成膜する必要があることを本発明者らは見出した。
【0007】
そこで、本発明は、前記課題を抑制することができる半導体製造装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、例えば以下の形態を有することができる。
【0009】
(1)ピエゾ式による液体原料吐出用ノズルヘッドを使用した液体原料供給装置により、原料の液滴を真空中へ吐出させてその後気化させ、気化した原料ガスにより成膜する半導体製造装置である。
具体的には、例えば、チャンバと、前記チャンバ内に設置され、成膜対象物が載置される載置部と、前記チャンバ内に原料を供給する原料供給部と、を有し、前記原料供給部は、原料液が溜められる原料液タンクと、前記原料液タンクから供給された前記原料が吐出される原料液吐出部と、前記原料液吐出部で吐出された原料液滴が気化される気化部と、を備え、前記原料液吐出部はピエゾ素子を備えることを特徴とする半導体製造装置である。
これにより、有機金属化合物である液体原料の流量を効果的に微量制御できる。また、有機金属化合物などの液体原料の流量を高速に切り替えることができる。
【0010】
(2)また、前記原料液タンクが、前記液体原料部と前記液体原料液面上に空間部とを有し、前記空間部と前記原料がチャンバに至る流路のうち前記原料液吐出部より下流側の領域とを連絡する連絡経路を有することを特徴とする半導体製造装置である。なお、下流側とは、例えば前記原料が液滴として吐出された以降の流路領域である。このように、原料液タンクの液体原料液面上空間部と吐出された前記原料液が流下する領域とを連絡する連絡経路を有するので、圧力差を低減して液滴の吐出性能向上させることができる。
例えば、液体原料流量の微量制御ならびに間欠成膜時の原料高速切り替えを行なうために、ピエゾ式による液体原料吐出用ノズルヘッド(以下、ノズルヘッドと記す。)を使用した液体原料の供給装置を用いることができる。ノズルヘッドを用いた液体原料の供給装置により、吐出液滴の重量(数ng/dot〜数十ng/dot)、吐出周波数を様々に変更して液滴を吐出することができる。このため、高精度に液体原料を微量制御することが可能であると共に、液滴を間欠的に吐出させるため、原料切替えを高速で行なう間欠成膜にも対応することができる。また、本発明により、原料の液滴を真空中(減圧中)へ効果的に制度よく吐出させて、薄膜を成膜することが可能となる。
【0011】
このように、前記例示した形態を備えることにより、効果的に液体原料流量の微量制御を行って高性能の薄膜を成膜することができる半導体製造装置を提供することができる。このため、品質の優れた膜質を実現でき、品質の優れた半導体デバイス、特にゲート絶縁膜として高誘電体膜を有するMOSトランジスタを製造することが可能となる。
【0012】
なお、本発明者は、関連技術調査により、液晶装置の製造方法に関して特開2002−49031号公報に、インクジェット用ヘッドを用いる形態が開示され、ヘッドから液滴を基板に噴射して凹凸を作ることが記載されているが、本発明の成膜に用いて高品質の膜を形成することはできないものであった。また、特開2002−202061号公報には、圧電素子を用いる冷却ポンプに関する形態例、特開2001−04109号公報にはその他、が開示されているが、液体原料から高品質の膜を形成することができるものではなかった。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面に基づいて、本発明の実施形態の一例を説明する。
図1はピエゾ式ノズルヘッドを使用した液体原料の微量供給装置の概略図である。真空容器3内部に、液体原料吐出用のノズルヘッド1が設置され、吐出された液体原料を気化する気化器4が設置される。具体的に例えばノズルヘッド1のおよびピエゾ2がノズル(オリフィス)面を鉛直下方に向けて設置されており、真空容器3の鉛直下部に液体原料気化用の気化器4が接続されている。ここで、ピエゾ式ノズルヘッドは、例えば、オンデマンド方式のインクジェット方式を用いることができる。ここでオンデマンド方式とは、成膜を行なうときに必要な原料液滴を飛翔させる方式である。なお、状況によっては、成膜しないときには原料液滴を飛翔させないようにしてもよい。ピエゾ式とは、電圧を加えることにより変形する素子(ピエゾ素子)を用い、その変形によりノズルヘッド内部の液体原料を収納している空間を減少させ、このときの圧力により液体原料を吐出させる方式である。ピエゾ2にパルス状の波形信号(電圧)を入力することで、ノズルから液滴が吐出し、波形信号をコントロールすることにより液滴の吐出条件を様々に変更することが可能である。ノズル(穴径は100μm以下で、例えば数十μm程度)は、複数備える。ノズルヘッド1の長手方向に数個から数十個ほど並んでおり、ピエゾ2は各ノズルに対して各々個別に接続されている。よって、ノズルからの吐出を各ノズル間で独立に作動させることが可能であり、吐出したいノズルを選択できると共に、同時に幾つものノズルから吐出させることもできる。これにより、液体原料の供給量を微量調節することができる。
【0014】
真空容器3と気化器4の間を接続する箇所は、ノズル位置に合わせたスリット6状になっており、全ノズルから液滴を吐出し気化させることもできる。また、ノズルから液滴が吐出する空間19(以下、吐出空間と記す。)および液滴が気化する空間23(以下、気化空間と記す。)と真空容器3は、仕切り板20で仕切られており、吐出空間19および気化空間23は、密閉状態が保たれている。こうすることで、吐出空間19および気化空間23内に、大気中の水分ならびにその他異物が混入することはない。
【0015】
成膜用の液体原料は原料タンク14内に貯められており、例えば窒素ガスを圧送ライン22に微量流すことにより液体原料を圧送する。こうすることで液体原料は、原料供給ライン9を介してノズルヘッド1内部に充填され、さらにノズルヘッド下流ライン12へ達する。液溜タンク13は、ノズルヘッド下流ライン12へ流入した液体原料が、吐出空間19へ流出しないように液体原料を貯めておくためのものである。ここで、ノズルヘッド1への充填時に、原料タンク14内部の気相空間18(圧力はP1)、吐出空間19(圧力はP2)およびノズルヘッド下流ライン12(圧力はP3)に圧力のばらつきがあると、ピエゾにより液滴を吐出しない時にもノズルから液が垂れ落ちたり、圧力差によりノズルを介してノズルヘッド1内に気体が入り込むことにより、液体原料内に気泡が発生してしまう。
【0016】
そこで、原料タンク気層空間18と原料がチャンバに至る流路のうち前記原料液吐出部より下流側の領域とを連絡する連絡ラインを設けている。この下流側とは、例えば前記原料が液滴として吐出された以降の流路領域である。例えば、原料液タンクの液体原料液面上空間部と吐出された前記原料液が流下する領域とを連絡するように、原料タンク気相空間18を連結ライン11により吐出空間19へと連結させる連結経路を設けることにより、吐出空間19およびノズルヘッド下流ライン12の圧力差が小さくなるようにしている。また、ノズル下流ライン12を吐出空間19へ繋ぐ連結経路を設ける。これにより原料タンク14内部の気相空間18、吐出空間19の圧力差を小さくする。より好ましくは、両方の連結経路を備えて、原料タンク14内部の気相空間18、吐出空間19およびノズルヘッド下流ライン12を圧力差が小さくなるようにしている。
【0017】
原料液が流下する領域とは、例えば、液が吐出される空間である吐出空間19の例を示したが、両者の圧力差を緩和するようにする観点で、ヒータを備えた気化部の原料液滴が流下する空間に連絡することも考えられる。
真空引き用の減圧ポンプ16は、原料タンク14上部に接続されており、連結ライン11、ノズルヘッド下流ライン12を介して、原料タンク気相空間18、吐出空間19、ノズルヘッド下流ライン12、原料供給ライン9、エタノール供給ライン10(配管、ノズルヘッド洗浄用)、液溜タンク13内部を真空引きする。真空引き用ポンプ16を原料タンク14上部に接続することで、原料タンク14内部で蒸発した原料が、吐出空間19、気化空間23に拡散することを防いでいる。一方、吐出空間19、原料タンク気相空間18、ノズルヘッド下流ライン12、連結ライン11の窒素パージについては、窒素パージライン21により窒素を流すことで行なう。液体原料の補給については、補給用原料タンク17からバルブV8を介して原料タンク14へ圧送することにより行なう。
【0018】
ノズルヘッド1に液体原料の充填が完了すると、前述したようにピエゾ2にパルス状の波形信号を入力することで、ノズルから液滴を吐出させる。このとき、ピエゾ印加電圧、パルス波形形状、周波数等を変更することで、液滴量を調整する。例えば、ピエゾ印加電圧を数Vから数十V、周波数を数Hzから数十kHzにする。また、ノズルヘッド1には、ノズルヘッド1の温度コントロール用のヒータ25および熱電対26が装着されており、粘度の高い液体原料を吐出させる場合には、ノズルヘッド1温度を上昇させ粘度を下げることにより液滴吐出が可能となる。図2にノズルヘッド温度を変化させた場合の吐出液滴重量の測定結果を、液体原料の粘度の測定結果と合わせて示す。横軸がノズルヘッド温度(℃)であり、左側縦軸が液滴重量(ng/dot)、右側縦軸が粘度(cps)である。ここで、液体原料としてはテトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ハフニウム(Hf(OC(CH3)2CH2OCH3)4)を使用しており、ピエゾ印加電圧は35V、周波数は2kHzとしている。ノズルヘッド温度を上げることにより液体原料の粘度が低下するために、吐出液滴重量が増加しているのが分かる。
【0019】
ノズル1から鉛直下方に吐出された液滴は、真空容器3と気化器4の間を接続するスリット部6を通って気化器4に導入され、ヒータ5からの熱を受けることにより気化する。気化した原料ガスはバルブV10を介して成膜チャンバへ導入され、成膜チャンバ内部に設置された加熱したウエハ上で成膜が行われる。ノズルからの液滴吐出を確認する方法としては、吐出空間19中へ半導体レーザ光を飛ばし、液滴とレーザ光の散乱光を散乱光検知器8で検知する。また、ノズルからの液だれを防ぐためには、原料タンク14液面位置とノズル位置を調整する必要があり、成膜により液体原料の量が減少するに従い、原料タンク14を鉛直上方に移動させて、常に液面位置とノズル位置の相対位置を一定に保つようにする。原料タンク14の液面位置の確認には液面計15を使用する。上記の形態が効率的であるが、相対的に差を小さくする機構を備えるものである。移動するのはこれに限るものではない。
【0020】
成膜後に配管内部、ノズルヘッド1内部を洗浄する際は、エタノール供給ライン10にエタノールを流すことにより行う。このときバルブV4を開き、V1、V2を閉じた状態でノズルヘッド1にエタノールを強制的に圧送する。こうすることによりノズルからエタノールが吐出するので、吐出したエタノールを気化器4により気化させる。そして、バルブV10を閉じてV9を開くことにより、気化したガスをベントラインへと導き、排出させる。この操作を数回繰り返すことにより、十分な洗浄が可能となる。
なお、以上説明した液体原料の微量供給装置では、液滴の吐出方向を鉛直下方とすることが、液を効率的に吐出できるが、これは設置等のレイアウトの都合で水平方向であってもよい。
【0021】
例えば、MOCVD法による成膜工程などでは、有機金属化合物である液体原料流量を制御して、その後気化器により液体原料を気化させ、気化したガスを成膜装置の成膜チャンバ内部へ導入する際、液体質量流量計(液体マスフローコントローラ)により制御する場合に使用しうる液体原料供給装置として、液体マスフローコントローラを用いた比較例を図6に示す。これは、毛細管に接するペルチェ素子と複数の温度検出素子(温度センサー)から構成されており、毛細管内部を液体が流れると、その流量に応じた温度上昇(ΔT)を検出して流量として表示するものである。もしくは、毛細管を温めておいて、毛細管内部を液体が流れると、その流量に応じた温度低下(ΔT)を検出して流量として表示するものであってもよい。
【0022】
MOCVD法において、成膜用の液体原料として有機金属化合物を用いて成膜をするために、有機金属化合物に元々含まれている炭素などが、膜の中に不純物として混入してしまう。膜中に混入した炭素などの不純物は、膜中の酸素を拡散させ易くするので、膜の下地であるシリコンとの界面に誘電率の低いシリコン酸化膜(以下、界面層と記す。)を作り、実質的にゲート絶縁膜の誘電率を下げてしまう。また、MOCVD法による成膜プロセスにおいては、膜表面の平滑性が成膜条件によっては悪化し、リーク電流が増大してしまう。これらの問題を抑制するために、液体原料の流量を微量に制御して供給する場合や、高誘電体膜に不純物を微量に添加することにより膜質が大幅に改善する場合において、前記比較例の液体マスフローコントローラなどでは、このような液体原料流量の微量制御を行なうことは困難であり、本実施例の形態の原料供給装置を備えた成膜装置を用いることにより、効果的に液体原料流量の微量制御を行うことができ、液体原料の切り替えを素早く行って状態のよい薄膜を成膜することができる。
【0023】
図3に、本発明において用いられる成膜装置であるCVD装置の一例として、枚葉式MOCVD装置の概要を示す。円筒形の成膜チャンバ27内は、真空ポンプにより低圧状態にされており、成膜チャンバ27内の中央には、内部にヒータ28を有する円筒形のヒータステージ29を設置しており、その上に円板形状のサセプタ30を取り付けている。図示してはいないが、自動搬送機構によりウエハ31をサセプタ30上に載置し、ウエハ31をヒータステージ29に内蔵したヒータ28により加熱する。液体原料の供給装置32には、図1により説明した液体原料の供給装置32を用いる。原料供給装置32にに液体原料を導入し、液体原料は微量に制御されて気化する。気化した原料ガスは、ガス取り入れ口33よりガス導入部34に送り込まれ、複数のガス噴出孔35を設けたガスノズルであるシャワーヘッド36を通して成膜チャンバ27内に供給される。そして、成膜チャンバ27内に供給した原料ガスにより、加熱したウエハ31上で成膜が行われる。これにより薄膜が成膜できる。図示してはいないが、成膜後のガスは成膜チャンバ27下方に位置する排気口より排気される。ここで、ウエハ31温度ならびに原料の流量は、それぞれヒータ28のパワー、原料供給装置32に与えるパルス波形信号を制御することで調整する。なお、ここでは一例として枚葉式MOCVD装置の構造を概略説明したが、これはその他の方式の熱CVD装置であってもよい。
【0024】
次に、前記液体原料の微量供給装置32の作動手順の概略を以下に示す。図4に作動手順のフローチャートを示す。
1. 液体原料を、補給用原料タンク17から原料タンク14へ圧送により導入する。
2. 原料タンク14内の液体原料の液面位置をノズル面位置に対して若干低くする。(液面位置は液面計15で確認する。)
3. 原料タンク気相空間18、吐出空間19、気化空間23、連結ライン11、ノズルヘッド下流ライン12、原料供給ライン9、エタノール供給ライン10、液溜タンク13内部を、真空ポンプ16により真空引きする。(このとき、バルブV1開、V2開、V3開、V4閉、V5閉、V6閉、V7開、V8閉、V9閉、V10閉)
4. 原料タンク気相空間18、吐出空間19、気化空間23、連結ライン11、ノズルヘッド下流ライン12、原料供給ライン9、エタノール供給ライン10、液溜タンク13内部を、窒素パージにより大気圧に戻す。(このとき、バルブV1開、V2開、V3開、V4閉、V5開、V6閉、V7開、V8閉、V9閉、V10閉)
5. 上記項目3(真空引き)と上記項目4(窒素パージ)を数回繰り返した後、再び上記項目3により真空引きを行なう。こうすることで、チャンバ内部、配管内部に吸着している水分を除去する。
6. ヒータ25によりノズルヘッド1の温度を、吐出可能な温度に調整する。
7. 圧送によりノズルヘッド1内部に液体原料を充填する。ニードルバルブV6を徐々に開くことにより、液体原料を少しずつ圧送する。このときバルブV1、V3が開いているために、原料タンク気相空間18の圧力(P1)、吐出空間19の圧力(P2)およびノズルヘッド下流ライン12の圧力(P3)はほぼ同圧になっている。こうすることで、ノズルからノズルヘッド1内に圧力差により気体が入り込まなくなり、液体原料内に気泡が発生することはない。(このとき、バルブV1開、V2開、V3開、V4閉、V5閉、V6徐々に開、V7開、V8閉、V9閉、V10閉)
8. 上記項目7の状態でバルブV1およびV6を閉じる。これにより液体原料は完全にノズルヘッド1内部に充填する。
9. ピエゾ2にパルス状の波形信号を入力することによりノズルから液滴を吐出させ、ヒータ5により液滴を気化させた後、原料ガスを成膜チャンバへ導入し、成膜を実施する。このとき、ピエゾ印加電圧、パルス波形形状、周波数等を変更することで、液滴量を調整する。(バルブV1閉、V2開、V3開、V4閉、V5閉、V6閉、V7開、V8閉、V9閉、V10開)
成膜用の液体原料は、大気中の水分と反応して酸化物を形成してしまう場合が多い。水分と反応して酸化物を形成してしまうと、ノズルが詰まる原因となる。そこで、原料供給部では非成膜時に成膜時よりも少ない液滴を供給する機構を有することが好ましい。このように、成膜時以外にも液滴吐出部へ原料を供給する。
【0025】
例えば、成膜を実施しない場合は、ノズルヘッド1から液滴を成膜時より低い周波数(例えば数Hz程度)で吐出するよう制御する。成膜時以外でも吐出することにより、ノズルが詰まることを抑制できる。このとき、バルブV10を閉じてV9を開くことにより、気化した原料ガスをベントラインへ流すようにしてもよい。
【0026】
また、ノズルから液体原料を吐出するに従って、ノズル表面には液膜が形成されてしまう場合がある。ノズル表面に液膜が形成されると、ピエゾの力では液膜を貫いて液滴を吐出させることが困難になるため、定期的にノズル表面に生じた液膜を拭き取る機構を備えることが好ましい。そこで、図5に示しているようにゴム製等のワイパー38を設けて、ノズル表面を拭き取る際にこれをノズル下方に移動させて拭き取ることもできる。
【0027】
以上のように本発明により液体原料を微量制御させて供給することが可能であるが、本発明によれば、微量供給のみではなく、例えば成膜と真空引きを交互に且つ高速に繰り返して、間欠的に成膜を実施する場合の液体原料の供給装置としても活用することができる。
【0028】
このように、本発明により、MOCVD法によって例えば高誘電体膜を成膜する際に、液体原料を微量に制御して供給することができる。このため、膜中の不純物濃度の低減、下地シリコン界面のシリコン酸化膜の膜厚低減による高誘電率の確保、膜表面の平滑性の向上を達成させることができる。また、間欠的に成膜する場合にも本発明による原料供給装置を適用することができる。したがって、品質の優れた半導体デバイス、特にゲート絶縁膜として高誘電体膜を有するMOSトランジスタを製造することが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
これにより、効果的に液体原料流量の微量制御を行って高性能の薄膜を成膜することができる半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置により吐出した液滴重量を計測した結果である。
【図3】本発明の一実施形態で用いられるMOCVD装置の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置の作動手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置の概略図である。
【図6】比較例の液体原料の供給装置(液体マスフローコントローラ)の概略図である。
【符号の説明】
1…ノズルヘッド、2…ピエゾ、3…真空容器、4…気化器、5…ヒータ、6…スリット部、7…半導体レーザ光、8…散乱光検知器、9…原料供給ライン、10…エタノール供給ライン、11…連結ライン、12…ノズルヘッド下流ライン、13…液溜タンク、14…原料タンク、15…液面計、16…真空ポンプ、17…補給用原料タンク、18…原料タンク気相空間、19…吐出空間、20…仕切り板、21…窒素パージライン、22…圧送ライン、23…気化空間、24…半導体レーザ光発生器、25…ヒータ、26…熱電対、27…成膜チャンバ、28…ヒータ、29…ヒータステージ、30…サセプタ、31…ウエハ、32…液体原料微量供給装置、33…ガス取り入れ口、34…ガス導入部、35…ガス噴出孔、36…シャワーヘッド、37…制御器、38…ワイパー。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化、微細化が進展するにつれて、これまでは電界効果型(例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor))トランジスタのゲート絶縁膜であるシリコン酸化膜の厚さを薄くしてきた。しかしながら、ゲート絶縁膜の厚さが薄くなるに従い、トンネル効果や膜の欠陥等により、ゲート絶縁膜を突き抜けてリーク電流が流れてしまい、要求されるデバイス性能を発揮することができなくなる。そこで、膜厚を薄くすることなくデバイス性能を確保し、リーク電流の発生を抑制するために、シリコン酸化膜より誘電率の高い膜(以下、高誘電体膜と記す。)がゲート絶縁膜として用いられ始めている。
【0003】
高誘電体膜を製造する方法としては、有機金属化合物の熱分解を利用した化学気相蒸着法であるMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法が多用されている。
【0004】
従来、MOCVD法による成膜工程では、有機金属化合物である液体原料を供給して、その後気化器により液体原料を気化させ、気化したガスを成膜装置の成膜チャンバ内部へ導入する。
【0005】
例えば、特開2000−58528号公報、特開2000−273639号公報には、液体原料を用いた製膜装置が開示されている。
【特許文献1】
特開2000−58528号公報
【特許文献2】
特開2000−273639号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記公知文献では、液体原料を用いて精膜する装置について開示されているに過ぎず、具体的に品質の優れた膜質を実現する効果的な半導体製造装置について十分検討されたとは言えない。本発明者は、高性能の膜を形成するためには、前記成膜の際に、液体金属原料を効果的に微量制御して供給して成膜する必要があることを本発明者らは見出した。
【0007】
そこで、本発明は、前記課題を抑制することができる半導体製造装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、例えば以下の形態を有することができる。
【0009】
(1)ピエゾ式による液体原料吐出用ノズルヘッドを使用した液体原料供給装置により、原料の液滴を真空中へ吐出させてその後気化させ、気化した原料ガスにより成膜する半導体製造装置である。
具体的には、例えば、チャンバと、前記チャンバ内に設置され、成膜対象物が載置される載置部と、前記チャンバ内に原料を供給する原料供給部と、を有し、前記原料供給部は、原料液が溜められる原料液タンクと、前記原料液タンクから供給された前記原料が吐出される原料液吐出部と、前記原料液吐出部で吐出された原料液滴が気化される気化部と、を備え、前記原料液吐出部はピエゾ素子を備えることを特徴とする半導体製造装置である。
これにより、有機金属化合物である液体原料の流量を効果的に微量制御できる。また、有機金属化合物などの液体原料の流量を高速に切り替えることができる。
【0010】
(2)また、前記原料液タンクが、前記液体原料部と前記液体原料液面上に空間部とを有し、前記空間部と前記原料がチャンバに至る流路のうち前記原料液吐出部より下流側の領域とを連絡する連絡経路を有することを特徴とする半導体製造装置である。なお、下流側とは、例えば前記原料が液滴として吐出された以降の流路領域である。このように、原料液タンクの液体原料液面上空間部と吐出された前記原料液が流下する領域とを連絡する連絡経路を有するので、圧力差を低減して液滴の吐出性能向上させることができる。
例えば、液体原料流量の微量制御ならびに間欠成膜時の原料高速切り替えを行なうために、ピエゾ式による液体原料吐出用ノズルヘッド(以下、ノズルヘッドと記す。)を使用した液体原料の供給装置を用いることができる。ノズルヘッドを用いた液体原料の供給装置により、吐出液滴の重量(数ng/dot〜数十ng/dot)、吐出周波数を様々に変更して液滴を吐出することができる。このため、高精度に液体原料を微量制御することが可能であると共に、液滴を間欠的に吐出させるため、原料切替えを高速で行なう間欠成膜にも対応することができる。また、本発明により、原料の液滴を真空中(減圧中)へ効果的に制度よく吐出させて、薄膜を成膜することが可能となる。
【0011】
このように、前記例示した形態を備えることにより、効果的に液体原料流量の微量制御を行って高性能の薄膜を成膜することができる半導体製造装置を提供することができる。このため、品質の優れた膜質を実現でき、品質の優れた半導体デバイス、特にゲート絶縁膜として高誘電体膜を有するMOSトランジスタを製造することが可能となる。
【0012】
なお、本発明者は、関連技術調査により、液晶装置の製造方法に関して特開2002−49031号公報に、インクジェット用ヘッドを用いる形態が開示され、ヘッドから液滴を基板に噴射して凹凸を作ることが記載されているが、本発明の成膜に用いて高品質の膜を形成することはできないものであった。また、特開2002−202061号公報には、圧電素子を用いる冷却ポンプに関する形態例、特開2001−04109号公報にはその他、が開示されているが、液体原料から高品質の膜を形成することができるものではなかった。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に図面に基づいて、本発明の実施形態の一例を説明する。
図1はピエゾ式ノズルヘッドを使用した液体原料の微量供給装置の概略図である。真空容器3内部に、液体原料吐出用のノズルヘッド1が設置され、吐出された液体原料を気化する気化器4が設置される。具体的に例えばノズルヘッド1のおよびピエゾ2がノズル(オリフィス)面を鉛直下方に向けて設置されており、真空容器3の鉛直下部に液体原料気化用の気化器4が接続されている。ここで、ピエゾ式ノズルヘッドは、例えば、オンデマンド方式のインクジェット方式を用いることができる。ここでオンデマンド方式とは、成膜を行なうときに必要な原料液滴を飛翔させる方式である。なお、状況によっては、成膜しないときには原料液滴を飛翔させないようにしてもよい。ピエゾ式とは、電圧を加えることにより変形する素子(ピエゾ素子)を用い、その変形によりノズルヘッド内部の液体原料を収納している空間を減少させ、このときの圧力により液体原料を吐出させる方式である。ピエゾ2にパルス状の波形信号(電圧)を入力することで、ノズルから液滴が吐出し、波形信号をコントロールすることにより液滴の吐出条件を様々に変更することが可能である。ノズル(穴径は100μm以下で、例えば数十μm程度)は、複数備える。ノズルヘッド1の長手方向に数個から数十個ほど並んでおり、ピエゾ2は各ノズルに対して各々個別に接続されている。よって、ノズルからの吐出を各ノズル間で独立に作動させることが可能であり、吐出したいノズルを選択できると共に、同時に幾つものノズルから吐出させることもできる。これにより、液体原料の供給量を微量調節することができる。
【0014】
真空容器3と気化器4の間を接続する箇所は、ノズル位置に合わせたスリット6状になっており、全ノズルから液滴を吐出し気化させることもできる。また、ノズルから液滴が吐出する空間19(以下、吐出空間と記す。)および液滴が気化する空間23(以下、気化空間と記す。)と真空容器3は、仕切り板20で仕切られており、吐出空間19および気化空間23は、密閉状態が保たれている。こうすることで、吐出空間19および気化空間23内に、大気中の水分ならびにその他異物が混入することはない。
【0015】
成膜用の液体原料は原料タンク14内に貯められており、例えば窒素ガスを圧送ライン22に微量流すことにより液体原料を圧送する。こうすることで液体原料は、原料供給ライン9を介してノズルヘッド1内部に充填され、さらにノズルヘッド下流ライン12へ達する。液溜タンク13は、ノズルヘッド下流ライン12へ流入した液体原料が、吐出空間19へ流出しないように液体原料を貯めておくためのものである。ここで、ノズルヘッド1への充填時に、原料タンク14内部の気相空間18(圧力はP1)、吐出空間19(圧力はP2)およびノズルヘッド下流ライン12(圧力はP3)に圧力のばらつきがあると、ピエゾにより液滴を吐出しない時にもノズルから液が垂れ落ちたり、圧力差によりノズルを介してノズルヘッド1内に気体が入り込むことにより、液体原料内に気泡が発生してしまう。
【0016】
そこで、原料タンク気層空間18と原料がチャンバに至る流路のうち前記原料液吐出部より下流側の領域とを連絡する連絡ラインを設けている。この下流側とは、例えば前記原料が液滴として吐出された以降の流路領域である。例えば、原料液タンクの液体原料液面上空間部と吐出された前記原料液が流下する領域とを連絡するように、原料タンク気相空間18を連結ライン11により吐出空間19へと連結させる連結経路を設けることにより、吐出空間19およびノズルヘッド下流ライン12の圧力差が小さくなるようにしている。また、ノズル下流ライン12を吐出空間19へ繋ぐ連結経路を設ける。これにより原料タンク14内部の気相空間18、吐出空間19の圧力差を小さくする。より好ましくは、両方の連結経路を備えて、原料タンク14内部の気相空間18、吐出空間19およびノズルヘッド下流ライン12を圧力差が小さくなるようにしている。
【0017】
原料液が流下する領域とは、例えば、液が吐出される空間である吐出空間19の例を示したが、両者の圧力差を緩和するようにする観点で、ヒータを備えた気化部の原料液滴が流下する空間に連絡することも考えられる。
真空引き用の減圧ポンプ16は、原料タンク14上部に接続されており、連結ライン11、ノズルヘッド下流ライン12を介して、原料タンク気相空間18、吐出空間19、ノズルヘッド下流ライン12、原料供給ライン9、エタノール供給ライン10(配管、ノズルヘッド洗浄用)、液溜タンク13内部を真空引きする。真空引き用ポンプ16を原料タンク14上部に接続することで、原料タンク14内部で蒸発した原料が、吐出空間19、気化空間23に拡散することを防いでいる。一方、吐出空間19、原料タンク気相空間18、ノズルヘッド下流ライン12、連結ライン11の窒素パージについては、窒素パージライン21により窒素を流すことで行なう。液体原料の補給については、補給用原料タンク17からバルブV8を介して原料タンク14へ圧送することにより行なう。
【0018】
ノズルヘッド1に液体原料の充填が完了すると、前述したようにピエゾ2にパルス状の波形信号を入力することで、ノズルから液滴を吐出させる。このとき、ピエゾ印加電圧、パルス波形形状、周波数等を変更することで、液滴量を調整する。例えば、ピエゾ印加電圧を数Vから数十V、周波数を数Hzから数十kHzにする。また、ノズルヘッド1には、ノズルヘッド1の温度コントロール用のヒータ25および熱電対26が装着されており、粘度の高い液体原料を吐出させる場合には、ノズルヘッド1温度を上昇させ粘度を下げることにより液滴吐出が可能となる。図2にノズルヘッド温度を変化させた場合の吐出液滴重量の測定結果を、液体原料の粘度の測定結果と合わせて示す。横軸がノズルヘッド温度(℃)であり、左側縦軸が液滴重量(ng/dot)、右側縦軸が粘度(cps)である。ここで、液体原料としてはテトラキス(1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシ)ハフニウム(Hf(OC(CH3)2CH2OCH3)4)を使用しており、ピエゾ印加電圧は35V、周波数は2kHzとしている。ノズルヘッド温度を上げることにより液体原料の粘度が低下するために、吐出液滴重量が増加しているのが分かる。
【0019】
ノズル1から鉛直下方に吐出された液滴は、真空容器3と気化器4の間を接続するスリット部6を通って気化器4に導入され、ヒータ5からの熱を受けることにより気化する。気化した原料ガスはバルブV10を介して成膜チャンバへ導入され、成膜チャンバ内部に設置された加熱したウエハ上で成膜が行われる。ノズルからの液滴吐出を確認する方法としては、吐出空間19中へ半導体レーザ光を飛ばし、液滴とレーザ光の散乱光を散乱光検知器8で検知する。また、ノズルからの液だれを防ぐためには、原料タンク14液面位置とノズル位置を調整する必要があり、成膜により液体原料の量が減少するに従い、原料タンク14を鉛直上方に移動させて、常に液面位置とノズル位置の相対位置を一定に保つようにする。原料タンク14の液面位置の確認には液面計15を使用する。上記の形態が効率的であるが、相対的に差を小さくする機構を備えるものである。移動するのはこれに限るものではない。
【0020】
成膜後に配管内部、ノズルヘッド1内部を洗浄する際は、エタノール供給ライン10にエタノールを流すことにより行う。このときバルブV4を開き、V1、V2を閉じた状態でノズルヘッド1にエタノールを強制的に圧送する。こうすることによりノズルからエタノールが吐出するので、吐出したエタノールを気化器4により気化させる。そして、バルブV10を閉じてV9を開くことにより、気化したガスをベントラインへと導き、排出させる。この操作を数回繰り返すことにより、十分な洗浄が可能となる。
なお、以上説明した液体原料の微量供給装置では、液滴の吐出方向を鉛直下方とすることが、液を効率的に吐出できるが、これは設置等のレイアウトの都合で水平方向であってもよい。
【0021】
例えば、MOCVD法による成膜工程などでは、有機金属化合物である液体原料流量を制御して、その後気化器により液体原料を気化させ、気化したガスを成膜装置の成膜チャンバ内部へ導入する際、液体質量流量計(液体マスフローコントローラ)により制御する場合に使用しうる液体原料供給装置として、液体マスフローコントローラを用いた比較例を図6に示す。これは、毛細管に接するペルチェ素子と複数の温度検出素子(温度センサー)から構成されており、毛細管内部を液体が流れると、その流量に応じた温度上昇(ΔT)を検出して流量として表示するものである。もしくは、毛細管を温めておいて、毛細管内部を液体が流れると、その流量に応じた温度低下(ΔT)を検出して流量として表示するものであってもよい。
【0022】
MOCVD法において、成膜用の液体原料として有機金属化合物を用いて成膜をするために、有機金属化合物に元々含まれている炭素などが、膜の中に不純物として混入してしまう。膜中に混入した炭素などの不純物は、膜中の酸素を拡散させ易くするので、膜の下地であるシリコンとの界面に誘電率の低いシリコン酸化膜(以下、界面層と記す。)を作り、実質的にゲート絶縁膜の誘電率を下げてしまう。また、MOCVD法による成膜プロセスにおいては、膜表面の平滑性が成膜条件によっては悪化し、リーク電流が増大してしまう。これらの問題を抑制するために、液体原料の流量を微量に制御して供給する場合や、高誘電体膜に不純物を微量に添加することにより膜質が大幅に改善する場合において、前記比較例の液体マスフローコントローラなどでは、このような液体原料流量の微量制御を行なうことは困難であり、本実施例の形態の原料供給装置を備えた成膜装置を用いることにより、効果的に液体原料流量の微量制御を行うことができ、液体原料の切り替えを素早く行って状態のよい薄膜を成膜することができる。
【0023】
図3に、本発明において用いられる成膜装置であるCVD装置の一例として、枚葉式MOCVD装置の概要を示す。円筒形の成膜チャンバ27内は、真空ポンプにより低圧状態にされており、成膜チャンバ27内の中央には、内部にヒータ28を有する円筒形のヒータステージ29を設置しており、その上に円板形状のサセプタ30を取り付けている。図示してはいないが、自動搬送機構によりウエハ31をサセプタ30上に載置し、ウエハ31をヒータステージ29に内蔵したヒータ28により加熱する。液体原料の供給装置32には、図1により説明した液体原料の供給装置32を用いる。原料供給装置32にに液体原料を導入し、液体原料は微量に制御されて気化する。気化した原料ガスは、ガス取り入れ口33よりガス導入部34に送り込まれ、複数のガス噴出孔35を設けたガスノズルであるシャワーヘッド36を通して成膜チャンバ27内に供給される。そして、成膜チャンバ27内に供給した原料ガスにより、加熱したウエハ31上で成膜が行われる。これにより薄膜が成膜できる。図示してはいないが、成膜後のガスは成膜チャンバ27下方に位置する排気口より排気される。ここで、ウエハ31温度ならびに原料の流量は、それぞれヒータ28のパワー、原料供給装置32に与えるパルス波形信号を制御することで調整する。なお、ここでは一例として枚葉式MOCVD装置の構造を概略説明したが、これはその他の方式の熱CVD装置であってもよい。
【0024】
次に、前記液体原料の微量供給装置32の作動手順の概略を以下に示す。図4に作動手順のフローチャートを示す。
1. 液体原料を、補給用原料タンク17から原料タンク14へ圧送により導入する。
2. 原料タンク14内の液体原料の液面位置をノズル面位置に対して若干低くする。(液面位置は液面計15で確認する。)
3. 原料タンク気相空間18、吐出空間19、気化空間23、連結ライン11、ノズルヘッド下流ライン12、原料供給ライン9、エタノール供給ライン10、液溜タンク13内部を、真空ポンプ16により真空引きする。(このとき、バルブV1開、V2開、V3開、V4閉、V5閉、V6閉、V7開、V8閉、V9閉、V10閉)
4. 原料タンク気相空間18、吐出空間19、気化空間23、連結ライン11、ノズルヘッド下流ライン12、原料供給ライン9、エタノール供給ライン10、液溜タンク13内部を、窒素パージにより大気圧に戻す。(このとき、バルブV1開、V2開、V3開、V4閉、V5開、V6閉、V7開、V8閉、V9閉、V10閉)
5. 上記項目3(真空引き)と上記項目4(窒素パージ)を数回繰り返した後、再び上記項目3により真空引きを行なう。こうすることで、チャンバ内部、配管内部に吸着している水分を除去する。
6. ヒータ25によりノズルヘッド1の温度を、吐出可能な温度に調整する。
7. 圧送によりノズルヘッド1内部に液体原料を充填する。ニードルバルブV6を徐々に開くことにより、液体原料を少しずつ圧送する。このときバルブV1、V3が開いているために、原料タンク気相空間18の圧力(P1)、吐出空間19の圧力(P2)およびノズルヘッド下流ライン12の圧力(P3)はほぼ同圧になっている。こうすることで、ノズルからノズルヘッド1内に圧力差により気体が入り込まなくなり、液体原料内に気泡が発生することはない。(このとき、バルブV1開、V2開、V3開、V4閉、V5閉、V6徐々に開、V7開、V8閉、V9閉、V10閉)
8. 上記項目7の状態でバルブV1およびV6を閉じる。これにより液体原料は完全にノズルヘッド1内部に充填する。
9. ピエゾ2にパルス状の波形信号を入力することによりノズルから液滴を吐出させ、ヒータ5により液滴を気化させた後、原料ガスを成膜チャンバへ導入し、成膜を実施する。このとき、ピエゾ印加電圧、パルス波形形状、周波数等を変更することで、液滴量を調整する。(バルブV1閉、V2開、V3開、V4閉、V5閉、V6閉、V7開、V8閉、V9閉、V10開)
成膜用の液体原料は、大気中の水分と反応して酸化物を形成してしまう場合が多い。水分と反応して酸化物を形成してしまうと、ノズルが詰まる原因となる。そこで、原料供給部では非成膜時に成膜時よりも少ない液滴を供給する機構を有することが好ましい。このように、成膜時以外にも液滴吐出部へ原料を供給する。
【0025】
例えば、成膜を実施しない場合は、ノズルヘッド1から液滴を成膜時より低い周波数(例えば数Hz程度)で吐出するよう制御する。成膜時以外でも吐出することにより、ノズルが詰まることを抑制できる。このとき、バルブV10を閉じてV9を開くことにより、気化した原料ガスをベントラインへ流すようにしてもよい。
【0026】
また、ノズルから液体原料を吐出するに従って、ノズル表面には液膜が形成されてしまう場合がある。ノズル表面に液膜が形成されると、ピエゾの力では液膜を貫いて液滴を吐出させることが困難になるため、定期的にノズル表面に生じた液膜を拭き取る機構を備えることが好ましい。そこで、図5に示しているようにゴム製等のワイパー38を設けて、ノズル表面を拭き取る際にこれをノズル下方に移動させて拭き取ることもできる。
【0027】
以上のように本発明により液体原料を微量制御させて供給することが可能であるが、本発明によれば、微量供給のみではなく、例えば成膜と真空引きを交互に且つ高速に繰り返して、間欠的に成膜を実施する場合の液体原料の供給装置としても活用することができる。
【0028】
このように、本発明により、MOCVD法によって例えば高誘電体膜を成膜する際に、液体原料を微量に制御して供給することができる。このため、膜中の不純物濃度の低減、下地シリコン界面のシリコン酸化膜の膜厚低減による高誘電率の確保、膜表面の平滑性の向上を達成させることができる。また、間欠的に成膜する場合にも本発明による原料供給装置を適用することができる。したがって、品質の優れた半導体デバイス、特にゲート絶縁膜として高誘電体膜を有するMOSトランジスタを製造することが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
これにより、効果的に液体原料流量の微量制御を行って高性能の薄膜を成膜することができる半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置により吐出した液滴重量を計測した結果である。
【図3】本発明の一実施形態で用いられるMOCVD装置の概略図である。
【図4】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置の作動手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態である液体原料の供給装置の概略図である。
【図6】比較例の液体原料の供給装置(液体マスフローコントローラ)の概略図である。
【符号の説明】
1…ノズルヘッド、2…ピエゾ、3…真空容器、4…気化器、5…ヒータ、6…スリット部、7…半導体レーザ光、8…散乱光検知器、9…原料供給ライン、10…エタノール供給ライン、11…連結ライン、12…ノズルヘッド下流ライン、13…液溜タンク、14…原料タンク、15…液面計、16…真空ポンプ、17…補給用原料タンク、18…原料タンク気相空間、19…吐出空間、20…仕切り板、21…窒素パージライン、22…圧送ライン、23…気化空間、24…半導体レーザ光発生器、25…ヒータ、26…熱電対、27…成膜チャンバ、28…ヒータ、29…ヒータステージ、30…サセプタ、31…ウエハ、32…液体原料微量供給装置、33…ガス取り入れ口、34…ガス導入部、35…ガス噴出孔、36…シャワーヘッド、37…制御器、38…ワイパー。
Claims (9)
- チャンバと、
前記チャンバ内に設置され、成膜対象物が載置される載置部と、
前記チャンバ内に原料を供給する原料供給部と、を有し、
前記原料供給部は、
原料液が溜められる原料液タンクと、前記原料液タンクから供給された前記原料が吐出される原料液吐出部と、前記原料液吐出部で吐出された原料液滴が気化される気化部と、を備え、
前記原料液吐出部はピエゾ素子を備えることを特徴とする半導体製造装置。 - チャンバと、
前記チャンバ内に設置され、成膜対象物が載置される載置部と、
前記チャンバ内に原料を供給する原料供給部と、を有し、
前記原料供給部は、
原料液が溜められる原料液タンクと、前記原料液タンクから供給された前記原料が吐出される原料液吐出部と、前記原料液吐出部で吐出された原料液滴が気化される気化部と、を備え、
前記原料液タンクは、前記液体原料部と前記液体原料液面上に空間部とを有し、前記空間部と前記原料がチャンバに至る流路のうち前記原料液吐出部より下流側の領域とを連絡する連絡経路を有することを特徴とする半導体製造装置。 - チャンバと、
前記チャンバ内に設置され、半導体ウエハが載置される載置部と、
前記チャンバ内に原料を供給する原料供給部と、を有し、
前記原料供給部は、
原料液が溜められる原料液タンクと、前記原料液タンクから供給された前記原料が吐出される原料液吐出部と、前記吐出部に供給された前記原料液が下流経路を経て溜められる液溜タンクと、前記原料液吐出部で吐出された原料液滴が気化される気化部と、を備え、
前記原料液タンクは、前記液体原料部と前記液体原料液面上に空間部とを有し、前記空間部と吐出された前記原料液が流下する領域とを連絡する連絡経路を有することを特徴とする半導体製造装置。 - 請求項1において、前記液溜タンクは前記液体原料部と前記液体原料液面上に空間部とを有し、前記空間部と吐出された前記原料液が流下する領域とを連絡する連絡経路を有することを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項1において、前記原料液タンクの前記空間部に連絡する減圧ポンプを備えることを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項2において、前記原料液吐出部は、ピエゾ素子を備えることを特徴とすることを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項1において、前記液体原料吐出部は、温度制御機構を備えることを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項1において、前記原料供給部は非成膜時に成膜時よりも少ない液滴を供給する機構を有することを特徴とする半導体製造装置。
- 請求項1において、前記液体原料吐出部は、前記付着した前記吐出原料を除去するワイピング機構を備えることを特徴とする半導体製造装置。
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