JP2005112703A - 低摩擦低摩耗窒化ケイ素基複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低摩擦性と低摩耗性とが両立している窒化ケイ素系セラミックス及びその製造方法等を提供する。
【解決手段】 原料として引っ張り弾性率が550GPaを上回り、グラファイト結合含有量が85%を上回る炭素繊維を配合し、混合・粉砕し、炭素繊維を均一に分散させ、次いで、焼結したことを特徴とする、窒化ケイ素−炭素繊維複合材料、その製造方法、及び該複合材料からなる摺動部材。
【効果】 無潤滑下での摩擦係数を0.25以下に維持することができ、また、分散している炭素繊維の引き抜け効果で、材料自体の破壊靭性値が向上し、脆性破壊に起因する摩耗が抑制される窒化ケイ素−炭素繊維複合材料、その製造方法、及び摺動部材を提供することができる。水中下においても、その低摩擦性は発揮され、水中用メカニカルシール等の摺動部材を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、窒化ケイ素基複合材料等に関するものであり、更に詳しくは、窒化ケイ素を母相として特定の炭素繊維を複合した、低摩擦性、低摩耗性及び高破壊靱性を兼ね備えた窒化ケイ素−炭素繊維複合材料、その製造方法及び摺動部材に関するものである。本発明は、無潤滑剤下及び水中での摺動材料としての利用が期待されている窒化ケイ素系セラミックス及びその応用技術の分野において、自己潤滑性で、低摩擦性と低摩耗性とが両立している摺動材料、特に、無潤滑剤下で使用するボールベアリング及び水中で使用するポンプ等に用いるメカニカルシールなどとして用いることが可能な新規摺動材料を提供するものとして有用である。
一般に、セラミックス材料は、多方面での工業的応用を可能にする特性を有している。例えば、機械工業分野では、これまで、セラミックス材料は、過酷なトライボロジー環境下での使用が期待されており、特に、無潤滑剤下での摺動材料としての利用が期待されている。なかでも、窒化ケイ素セラミックスは、他の工業用セラミックスと比べても、破壊強度、破壊靭性などの機械的特性が優れているため、潤滑下で使用するボールベアリング等の摺動材料として用いられている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、従来の窒化ケイ素セラミックスでは、それ同士の、無潤滑剤下での摺動状態では、滑り摩擦係数が大きく、セラミックス特有の脆性のため、摩耗が速いという問題があった。例えば、金属からなる従来の摺動材料と比較して、従来の窒化ケイ素セラミックスには、一旦摩耗が始まると、摩耗の進行が速い、という問題があった。また、窒化ケイ素セラミックスは、水中での使用に関しては、炭化ケイ素等の他のセラミックスと比較して、摺動条件に対してその摩擦係数及び摩耗の進行する速度が敏感であり、限られた領域でしか、その低摩擦低摩耗性を発現することができないという問題を有していた。
そこで、窒化ケイ素セラミックス中に固体潤滑剤粒子を分散させ、低摩擦性にする試みも多くなされてきたが、低摩擦性が得られたとしても、機械的特性、特に破壊靭性値が低下する傾向が生じてしまうという問題が起きていた。また、固体潤滑剤粒子としてグラファイト粉末を用いた場合、その疎水性及び混合粉砕装置への付着性などのために、窒化ケイ素原料などとの混合工程で種々の問題が生ずる。更に、窒化ケイ素−炭素繊維複合体とステンレススチールとの無潤滑剤下の摺動について検討することもなされたが、有利な潤滑効果は得られなかった(非特許文献2参照)。このように、従来、窒化ケイ素セラミックスについて、摺動材料、特に、無潤滑剤下での滑り型の摺動材料としての応用が種々検討されているが、充分な低摩擦性と低摩耗性とが両立している窒化ケイ素系セラミックスは、未だ報告されていないのが実情である。
K.Tanimoto et al.,「Hybrid ceramic ball bearings for Turbochargers」,presented at the Society of Automotive Engineers International Off−Highway&Powerplant Congress&Exhibition,Milwaukee,WI,2000(paper No.200−01−1339) P.J.Blau et al.,「Reciprocating Friction and Wear Behaviour of a Ceramic−Matrix Graphite Composite for Possible Use in Diesel Engine Valve Guides」,Wear,225−229,1338−1349(1999)
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、無潤滑下で使用可能な窒化ケイ素基材料を開発することを目標として、鋭意研究を続けた結果、窒化ケイ素系セラミックスに、引っ張り弾性率が550GPaを上回り、グラファイト結合含有量が85%を上回る特定の炭素繊維を分散させると、上記課題を解決でき、所期の目的を達成し得ることを見出し、更に研究を重ねて本発明を完成するに至った。
本発明は、低摩擦性と低摩耗性とが両立しており、無潤滑剤下で使用する場合でも、摩擦係数が小さく、滑り型の摩擦形態のときも、脆化し摩耗することが少ない、即ち、無潤滑剤下でも、充分な低摩擦性(0.25以下)と低摩耗性とが両立している、また、水中においても、従来の窒化ケイ素が大きく摩耗するような摺動条件及び現在利用されている炭化ケイ素セラミックスの摩擦係数変動が大きい摺動条件においても、低摩擦低摩耗を発現する、高破壊靱性の窒化ケイ素系セラミックス複合材料、その製造方法、及び摺動部材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)窒化ケイ素を母相として炭素繊維を複合した、低摩擦性、低摩耗性及び高破壊靱性を兼ね備えた窒化ケイ素複合材料であって、原料として引っ張り弾性率が550GPaを上回り、グラファイト結合含有量が85%を上回る炭素繊維を配合し、混合・粉砕し、炭素繊維を均一に分散させ、次いで、焼結したことを特徴とする、窒化ケイ素−炭素繊維複合材料。
(2)炭素繊維の長さが、50〜300μmであることを特徴とする、前記(1)に記載の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料。
(3)炭素繊維の配合量が、2.5〜10vol.%であることを特徴とする、前記(1)に記載の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料。
(4)窒化ケイ素粉末に、焼結助剤を添加し、引っ張り弾性率が550GPaを上回り、グラファイト結合含有量が85%を上回る炭素繊維を配合し、混合・粉砕し、炭素繊維を均一に分散させ、次いで、焼結することを特徴とする、低摩擦低摩耗窒化ケイ素−炭素繊維複合材料の製造方法。
(5)炭素繊維の長さが50〜300μmであることを特徴とする、前記(4)に記載の複合材料の製造方法。
(6)炭素繊維の配合量が、2.5〜10vol.%であることを特徴とする、前記(4)に記載の複合材料の製造方法。
(7)不活性雰囲気下でホットプレス焼結することを特徴とする、前記(4)に記載の複合材料の製造方法。
(8)前記(4)から(7)のいずれか1項に記載の方法で作製した窒化ケイ素−炭素繊維複合材料からなる、無潤滑剤下で用いることが可能な摺動部材。
(9)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料からなる、水中下で用いることが可能な摺動部材。
(10)前記(4)から(7)のいずれか1項に記載の方法で作製した窒化ケイ素−炭素繊維複合材料からなる、水中下で用いることが可能な摺動部材。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、窒化ケイ素を母相とする窒化ケイ素−炭素繊維複合材料、特に、低摩擦係数を有し、低摩耗性である窒化ケイ素−炭素繊維複合材料、その製造方法、及び摺動部材に係るものであり、具体的には、本発明は、窒化ケイ素セラミックス中に、原料として配合するときの引っ張り弾性率が550GPaを上回り、グラファイト結合量が85%を上回る特定の炭素繊維を、短繊維として分散させ、焼結することにより、炭素繊維内のグラファイト結晶構造により、低摩擦性及び高靭性を共存させた、低摩耗性の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料を作製することを特徴とするものである。
本発明に係る窒化ケイ素−炭素繊維複合材料は、それ自体、強度及び靭性が高く、構造部材を構成する窒化ケイ素セラミックスを母相として炭素繊維を配合した窒化ケイ素セラミックスと炭素繊維との複合体である。そして、本発明に係る窒化ケイ素−炭素繊維複合材料においては、上記窒化ケイ素セラミックス中に、グラファイト結合を含有する炭素繊維が配向分散しているため、摺動時に、摺動面にその炭素繊維が供給され、摩擦係数を大幅に低減し、摺動特性を向上させることができる。
前記グラファイト結合含有量は、炭素繊維の引っ張り弾性率と関係があり、弾性率が高い場合には、炭素繊維に含まれるグラファイト結合の量が多い。本発明において、グラファイト結合含有量とは、ラマンスペクトルにおける1580cm-1に起因するピークの積分値を、ラマンスペクトルにおける1360cm-1に起因するピークの積分値で除した値を意味するものとして定義される。
また、炭素繊維におけるグラファイト結晶構造(グラファイト結合)は、本発明に係る窒化ケイ素−炭素繊維複合材料の製造過程における焼結中に劣化する。原料材料としての、炭素繊維自体の弾性率が低い場合には、焼結中にグラファイト結晶構造が劣化して、焼結体中の炭素繊維のグラファイト結晶構造が減少し、低摩擦にはならない。しかしながら、原料材料としての、炭素繊維自体の弾性率が高い場合には、焼結中に炭素繊維のグラファイト結晶構造が多少劣化しても、焼結体中に多くのグラファイト結晶構造が残っているため、弾性率の低い繊維を同体積添加する場合に比し、グラファイトが摺動面に効果的に供給され、低摩擦を維持する。
本発明では、窒化ケイ素セラミックス中に分散・含有せしめる、原料としての炭素繊維の引っ張り弾性率は、550GPaを上回ること、好ましくは900GPa以上であることが重要である。即ち、炭素繊維のグラファイト結晶構造は焼結中に劣化することから、原料としての炭素繊維の弾性率が550GPa以下では、焼結体中の炭素繊維のグラファイト構造が少なくなり過ぎて、低摩擦にならない。
窒化ケイ素セラミックス中に分散・含有させる炭素繊維の好適な割合は、原料として配合する時点で、2.5−10vol.%の範囲にすることが重要である。即ち、炭素繊維の含有量が2.5vol.%よりも少ないと、摺動面に存在する炭素繊維量が少なくなり、炭素繊維に含有されるグラファイト結合が有する潤滑効果が発揮されることも少なく、その結果、摩擦係数の低減も充分になされない。他方、炭素繊維の含有量が10vol.%よりも多いと、複合セラミックス自体の強度が大幅に低下すると共に、摺動時に炭素繊維が基材より除去されてしまうため、摩耗量が著しく増大する。
本発明の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料は、好適には、例えば、窒化ケイ素粉末に、焼結助剤を添加し、引っ張り弾性率が900GPa以上の炭素繊維を混合し、それらを混合・粉砕し、得られた混合粉末を乾燥した後、焼結することによって製造される。焼結助剤としては、例えば、A123 、CeO2 、MgO、Yb23 、Y23 等が例示されるが、これらに限定されない。また、焼結は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下でホットプレス焼結することが好ましい。
更に、本発明において、炭素繊維は、窒化ケイ素−炭素繊維複合材料中で均一に分散していることが望ましい。炭素繊維が均一に分散していると、摺動面全体に効率よく炭素繊維が供給される、即ち、グラファイト成分が供給されるために、摩擦係数を低減させることができる。しかし、炭素繊維が不均一に分散していると、炭素繊維の凝集が生じ、潤滑効果に充分寄与しないまま窒化ケイ素−炭素繊維複合材料から除去されてしまうため、摩擦係数及び摩耗量は、ともに増大してしまう。
炭素繊維の長さは、50−500μm、より好ましくは50−300μmの範囲であり、100μm程度が最も好適である。炭素繊維の長さが上記の長さを超えると、炭素繊維が凝集してしまい、前述の理由と同様の理由によって、摩擦係数及び摩耗量は、ともに増加してしまう。また、炭素繊維の長さが50μm未満になると、摩擦係数及び摩耗量は、ともに低い値を示すが、破壊靭性値が大きく低下してしまう。
本発明において、窒化ケイ素系セラミックスの原料に、原料として配合するときの引っ張り弾性率が550GPaを上回る特定の炭素繊維を、短繊維として混合し、窒化ケイ素を母相とし炭素繊維を分散させ複合させた窒化ケイ素−炭素繊維複合セラミックスとすると、配向分散している炭素繊維の引き抜け効果で、必要充分量の炭素繊維が固体潤滑剤として常時摺動面に供給され、摩擦係数を0.25以下に維持することができ、また、配向分散している炭素繊維の引き抜け効果で、材料自体の破壊靭性値が向上し、脆性破壊に起因する摩耗が抑制される。更に、炭素繊維の短繊維を用いる場合は、長繊維を用いる場合よりも、窒化ケイ素−炭素繊維複合材料の製造が容易であり、前述のように、強度低下を最小限に抑制し、かつ、炭素繊維の固体潤滑機能を充分に発揮させることが可能になる。
本発明により、(1)窒化ケイ素セラミックス中に、グラファイト結合を含有する炭素繊維が配向分散しているため、摺動時に、摺動面にその炭素繊維が供給され、摩擦係数を大幅に低減し、摺動特性を向上させることができる、(2)摩擦係数及び摩耗量が共に小さく、無潤滑剤下でも使用可能な、窒化ケイ素−炭素繊維複合材料及びその製造方法を提供することができる、(3)高いグラファイト含有量を有する炭素繊維を添加することで低摩擦及び高靱性を両立させた複合材料を製造し、提供することができる、(4)また、本発明の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料は、無潤滑剤下での、低摩擦性及び低摩耗性に優れていることから、例えば、無潤滑剤下で用いるボールベアリング等の摺動部材の材料として利用することができる、という効果が奏される。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例等によって何ら限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜4
弾性率の異なる4種類の炭素繊維を、分散用の原料として使用した。その際、炭素繊維の結晶化度(グラファイト率)は、ラマン分光高度計で測定されるラマンシフトピーク積分値により算出した。グラファイト面構造の存在を示す1580cm-1のピークと炭素非晶質構造の度合いを表す1360cm-1のピークにより、それぞれの積分値を算出した後、その総量に対するグラファイト結晶構造の割合を、グラファイト結合含有量として算出した。その割合を表1に示す。
また、炭素繊維の弾性率は、炭素繊維自体の微構造を反映している。図1に示した、実施例乃至は比較例で用いる炭素繊維の断面の電子顕微鏡(SEM)写真から判るように、弾性率の低い炭素繊維の場合は、切断面は微細粒子の集合体のように見えるのに対して、弾性率の高い炭素繊維の場合は、内部のグラファイト結晶が配向していることが判る。
窒化ケイ素粉末(α−相95%以上、宇部工業製)に、焼結助剤として2mass%のA123 及び5mass%のY23 を添加し、ボールミルによって混合・粉砕を行った後、乾燥させた。次いで、前述のようにグラファイト結合含有率を測定した炭素繊維(3〜5mm)を5vol.%加えた後、遊星ボールミルによって1時間混合・粉砕を行った。配合を表2に示す。
こうして得られた混合粉末を乾燥した後、窒素中10atm中、1950℃、圧力30MPaで2時間ホットプレス焼結を行った。得られた焼結体を30φに加工を行い、窒化ケイ素ボールφ10を相手材として、無潤滑下、25℃、摺速0.18m/s、荷重5N、及び摺動半径10mmでボールオンディスク試験を行った。該試験で、そのときの焼結体の摩擦係数及び比摩耗量を測定した。ここで謂う比摩耗量は、摩耗量を、荷重と摺動距離で除した値であり、単位距離及び単位荷重当りの摩耗量を表している。
また、得られた焼結体の破壊靭性値及び破壊強度は、それぞれJISR1607及びJISR1601に準じて測定した。
図2に、研磨後の試料表面の顕微鏡写真を示す。弾性率1000GPaの繊維を用いた場合に、その繊維の表面は、研磨後に鏡面にらず明らかに異なる表面であることが確認される。図3、4に、摺動試験時の焼結体の平均摩擦係数と比摩耗量及び破壊靭性値の関係を示す。弾性率1000GPaの炭素繊維を添加した実施例1〜5の複合体では、2.5vol.%以上の添加量で、摩擦係数が0.1−0.3の値が得られる。また、図4に示すように、その場合の比摩耗量は、炭素繊維の添加量が10vol.%までは、10-5mm3 /Nm以下であった。即ち、炭素繊維の添加量が、2.5vol.%〜10vol.%の範囲において、低摩擦と低摩耗とが両立した材料となっていた。
また、破壊靭性値は、炭素繊維の添加量が5vol.%以上で、11〜13MPa・m1/2 の値を示した(図3)。以上の結果から、窒化ケイ素−炭素繊維複合セラミックス材料において、炭素繊維の添加量が2.5vol.%〜10vol.%の範囲であると、低摩擦性及び低摩耗性に加えて、高破壊靭性といった特長を兼ね備えることができることが確かめられた。
図5に、炭素繊維の弾性率と焼結体の摩擦係数との関係を示す。また、比較例2及び3の弾性率が、350GPa及び550GPaの炭素繊維を分散含有した窒化ケイ素−炭素繊維複合材料において、比較例2の場合の焼結体の摩擦係数は、350GPaの炭素繊維を5vol.%添加したにも拘わらず、比較例1の場合の、炭素繊維無添加の窒化ケイ素セラミックスの摩擦係数(図3又は図4参照)と比べて、ほぼ同等の値を示した。
窒化ケイ素−炭素繊維複合体の摩擦係数は、添加した炭素繊維の弾性率に大きく依存しており、炭素繊維の弾性率が大きくなるに従って、摩擦係数は低下している。本発明の実施例である、弾性率が900GPaの炭素繊維を複合した実施例6の場合及び弾性率が1000GPaの炭素繊維を複合した実施例1〜5の場合には、焼結体の摩擦係数が0.25以下となっており、低摩擦性であることが確認された。
図6に、炭素繊維の長さと、焼結体の摩擦係数との関係を示す。実施例3の試料について、粉砕時間を変えることで炭素繊維の平均長さを変えた場合、焼結体の摩擦係数は、炭素繊維の平均長さが1000μmを超えるまでは、0.2程度の低摩擦性を示し、摩耗量も同じ傾向を示した(図5)。しかしながら、炭素繊維の長さが50μm以下になると焼結体の破壊靱性値が低くなる。
図7に、水中での摩擦係数変化を示す。本開発材(実施例3)では、荷重を変化させた場合の摩擦係数変化が試験終了条件である1000Nまで、大きな変化が確認できないのに対して、通常の窒化ケイ素セラミックス(比較例1)では、200N程度で明らかに摩擦係数の大きな変動が確認できる。また、現在メカニカルシール材として使用されている炭化ケイ素(比較例5)でも、また、本開発材よりも明らかに摩擦係数の変動が大きいことが確認できる。つまり、本開発材は、従来のメカニカルシール材と比較してもその動作安定性に明らかな優位性を有することが確認された。
以上詳述したように、本発明は、低摩擦低摩耗窒化ケイ素基複合材料、その製造方法、及び摺動部材に係るものであり、本発明により、機械工業、特に、摺動部材などのトライボロジー分野で有用な、新規な低摩擦低摩耗窒化ケイ素基複合材料、その製造方法、及び摺動部材を提供することができる。
本発明に係る窒化ケイ素−炭素繊維複合材料は、例えば、ボールベアリング及び水中用のメカニカルシール及びチルティングパッドなどの摺動部材の材料として有用である。
炭素繊維の切断面の微構造(SEM)である。 研磨後の試料表面の微構造(SEM)である。 炭素繊維の添加量と、焼結体の摩擦係数及び破壊靭性値との関係を示す。 炭素繊維の添加量と、焼結体の摩擦係数と比摩耗量との関係を示す。 炭素繊維の弾性率と、焼結体の摩擦係数との関係を示す。 炭素繊維の長さと、焼結体の摩擦係数及び破壊靭性値との関係を示す。 水中での摩擦係数と荷重の関係を示す。

Claims (10)

  1. 窒化ケイ素を母相として炭素繊維を複合した、低摩擦性、低摩耗性及び高破壊靱性を兼ね備えた窒化ケイ素複合材料であって、原料として引っ張り弾性率が550GPaを上回り、グラファイト結合含有量が85%を上回る炭素繊維を配合し、混合・粉砕し、炭素繊維を均一に分散させ、次いで、焼結したことを特徴とする、窒化ケイ素−炭素繊維複合材料。
  2. 炭素繊維の長さが、50〜300μmであることを特徴とする、請求項1に記載の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料。
  3. 炭素繊維の配合量が、2.5〜10vol.%であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料。
  4. 窒化ケイ素粉末に、焼結助剤を添加し、引っ張り弾性率が550GPaを上回り、グラファイト結合含有量が85%を上回る炭素繊維を配合し、混合・粉砕し、炭素繊維を均一に分散させ、次いで、焼結することを特徴とする、低摩擦低摩耗窒化ケイ素−炭素繊維複合材料の製造方法。
  5. 炭素繊維の長さが50〜300μmであることを特徴とする、請求項4に記載の複合材料の製造方法。
  6. 炭素繊維の配合量が、2.5〜10vol.%であることを特徴とする、請求項4に記載の複合材料の製造方法。
  7. 不活性雰囲気下でホットプレス焼結することを特徴とする、請求項4に記載の複合材料の製造方法。
  8. 請求項4から7のいずれか1項に記載の方法で作製した窒化ケイ素−炭素繊維複合材料からなる、無潤滑剤下で用いることが可能な摺動部材。
  9. 請求項1から3のいずれか1項に記載の窒化ケイ素−炭素繊維複合材料からなる、水中下で用いることが可能なメカニカルシール等の摺動部材。
  10. 請求項4から7のいずれか1項に記載の方法で作製した窒化ケイ素−炭素繊維複合材料からなる、水中下で用いることが可能なメカニカルシール等の摺動部材。


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