JP2005109210A - 磁性基材およびその位置調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の磁性基材は、溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層を形成した磁性基材であって、耐熱性熱可塑性樹脂層の表面粗さRaが0.3μmであり、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における前記溶剤の含有量が0.5質量%以下であることを特徴としている。また、本発明の磁性基材の位置調整方法は、前記溶剤の沸点以上且つ前記耐熱性熱可塑性樹脂のTg未満の温度で磁性基材を加熱処理し、加熱処理を行った複数枚の磁性基材を重ね、隣接する磁性基材同士を摺動させながら磁性基材間の相対位置を調整することを特徴としている。
【選択図】 なし
Description
耐熱性熱可塑性樹脂層のJISB0601に規定される表面粗さRaが0.3μm以下であり
、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における前記溶剤の含有量が該樹脂に対して0.5質量%以下であることを特徴としている。
前記溶剤の沸点以上且つ前記耐熱性熱可塑性樹脂のTg未満の温度で磁性基材を加熱処理し、
加熱処理を行った複数枚の磁性基材を重ね、
隣接する磁性基材同士を摺動させながら磁性基材間の相対位置を調整することを特徴としている。
本発明において磁性金属薄帯として用いられる金属磁性材料には、高透磁率の材料が用いられ、非晶質金属磁性材料とナノ結晶金属磁性材料のいずれを用いてもよい。
MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti、V、C
r、Mn、Y、Pd、Ru、Ga、Ge、C、Pから選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、cは原子%を示し、それぞれ0≦x<1、0≦a≦24、4≦b≦30、0≦c≦10を満たすものとする)を挙げることができる。特に高透磁率が要求される用途においては、Coを主成分とする非晶質金属を用いることが好ましい。また磁気シールドなど、高密度の磁束を遮蔽する用途においては、飽和磁束密度の高いFeを主成分とする非晶質金属を用いることが好ましい。
r2(at%)、Fe66Co18Si1B15(at%)、Fe74Ni4Si2B17Mo3(at
%)などが挙げることができる。中でもFe78Si9B13(at%)、Fe77Si5B16Cr2(at%)が好ましく用いられ、特に好ましくはFe78Si9B13(at%)である。
,C,Geから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を表し、YはZr,Nb,Ti,Hf,Ta,W,Cr,Mo,V,Ni,P,Al,Pt,Ph,Ru,Sn,Sb,Cu,Mn,希土類元素から選ばれる少なくとも1種類以上の元素で表される。cは原子比を、a,bは原子%を示し、それぞれ0≦c≦0.2、10<a≦35、0≦b≦30を満たすことが好ましい。)で表される組成が好ましい。この組成を有する非晶質金属薄帯のCoをFeへ置換することは、非晶質合金の飽和磁化の増加に寄与する傾向にある。このため、置換量cは0≦c≦0.2であることが好ましく、より好ましくは0≦c≦0.1である。X元素は本発明に用いる非晶質金属薄帯を製造する上で、非晶質化のために結晶化速度を低減するために有効な元素である。X元素が10原子%以下であると、非晶質化が低下して一部結晶質が混在し、また、35原子%を超えると、非晶質構造は得られるものの合金薄帯の機械的強度が低下し、連続的な薄帯が得られなくなる。したがって、X元素の量aは、10<a≦35であることが好ましく、さらに好ましくは、12≦a≦30である。Y元素は、得られる非晶質金属薄帯の耐食性の向上に効果がある。Y元素として特に有効な元素は、Zr,Nb,Mn,W,Mo,Cr,V,Ni,P,Al,Pt,Ph,Ru元素である。Y元素の添加量は30%以上になると、耐食性の効果はあるが、薄帯の機械的強度が脆弱になるため、0≦b≦30であることが好ましい。さらに好ましい範囲は、0≦b≦20である。
(1)一般式(Fe1-xMx)100-a-b-c-dSiaAlbBcM'd
(式中のMはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ge、C、P、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、c、dは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、0≦a≦24、0.1<b≦20、4≦c≦30、0≦d≦20を満たすものとする)で表わされる組成。
(2)一般式(Fe1-xMx)100-a-b-c-dCuaSibBcM'd
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd,Ru,Ge,C,P、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、c、dは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.4、0.1≦a≦3、0≦b≦19、5≦c≦25、0<d≦20、15≦b+c≦30を満たすものとする)で表わされる組成。
(3)一般式(Fe1-xMx)100-a-bBaM'b
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ga、Ge、C、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、bは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、0<a≦20、2≦b≦20を満たすものとする)で表わされる組成。
(4)一般式(Fe1-xMx)100-a-b-cPaM'bCuc
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ga、Ge、Al、C、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、c、dは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、0<a≦20、2≦b≦20、0≦c≦3を満たすものとする)で表わされる組成。
(5)一般式(Fe1-xMx)100-a-bMaM'b
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はTa、Zr、Hf、Ti,Nb、Mo、W
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ga、Ge、Si、Al、P、Cu、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。M'はC、N、Oから選ばれる1種類以上の元素を表
わす。xは原子比を、a、bは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、2<a≦30、4≦b≦30を満たすものとする)で表わされる組成。
特に金属磁性材料の良好な磁気特性を発現させるなど、磁気特性向上のために熱処理が必要であり、このため本発明では、弾性率の低い耐熱樹脂を用いている。本発明に用いられる磁性金属薄帯の良好な磁気特性を発現させるための熱処理温度は、好ましくは300℃〜600℃の範囲である。
(1)窒素雰囲気下350℃、2時間の熱履歴を経た後の引っ張り強度が30MPa以上であること
(2)ガラス転移温度が120℃〜250℃であること
(3)溶融粘度が1000Pa・sである温度が、250℃以上400℃以下であること(4)400℃から120℃まで0.5℃/分の一定速度で降温した後、樹脂中の結晶物による融解熱が10J/g以下であること
このような耐熱性樹脂として具体的には、ポリイミド系樹脂、ケイ素含有樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、チオエ−テル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アリレ−ト系樹脂、サルホン系樹脂、イミド系樹脂、アミドイミド系樹脂を挙げることができる。これらのうちポリイミド系樹脂、スルホン系樹脂、アミドイミド系樹脂を用いるのが好ましい。
たとえば、磁性金属薄帯の原反にロールコータなどのコーティング装置により、薄帯上に有機溶剤に樹脂を溶解させた樹脂ワニスを塗工して塗膜を作り、これを乾燥させて非晶質金属薄帯へ耐熱性熱可塑性樹脂を付与することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層が形成された、磁性金属薄帯および耐熱性熱可塑性樹脂からなる磁性基材を得る。
えると、高粘度のため、薄帯上に薄い塗膜を形成するための膜厚の制御が極めて難しくなる。
上述のようにして得られた磁性基材から、次のようにしてその積層体が形成される。先ず、磁性金属薄帯へ樹脂を付与した際の樹脂溶剤の沸点以上且つ耐熱性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度で磁性基材を加熱処理する。これによって、耐熱性熱可塑性樹脂層の表面粗さRaを0.3μm以下とすることが望ましく、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における溶剤の含有量が該樹脂に対して0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下となるようにすることが望ましい。この加熱前処理の時間は、通常30〜120分である。この加熱前処理によって、磁性基材表面の摺動性を向上させることができる。
本発明では、磁性金属薄帯を、耐熱性熱可塑性樹脂を用いて接着しているため、非晶質金属などの優れた磁気特性を最大限に発現するために、磁気特性向上に必要な上述した温
度範囲における熱処理が可能であり、熱処理後の極めて高い透磁率を発現した磁性金属薄帯を具備した積層体を得ることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
ラカルボン酸二無水物を1 :0 .98 の割合でジメチルアセトアミド溶媒中で室温に
て縮重合し、このジメチルアセトアミドに溶解した粘度0.3Pa・sの溶液をロールコータにて薄帯上に塗工し、150℃で加熱を行い溶剤を除去して、薄帯上に樹脂層が形成された磁性基材を得た。次いで、この磁性基材を250℃で60分加熱前処理した。加熱処理後における樹脂層の溶剤含有量は、残存する有機溶媒の量をFID型ガスクロマトグラフィー(島津GC−8A)を用いて測定した(サンプルをガスクロマトグラフィーに内蔵された加熱器にて、400℃で加熱して有機溶媒を分離し、予め作成しておいた種々の有機溶媒の検量線を用いて定量した。)値で0.05質量%だった。また、樹脂層の表面粗さRaは、東京精密株式会社製の3次元表面粗さ形状測定機サーフコム570Aにより測定した値で0.1μmであった。
加熱前処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして磁性基材を重ねて積層物を得た。加熱処理を行わなかった樹脂層の溶剤含有量は、上記と同じ方法により測定した値で0.8質量%であった。また、樹脂層の表面粗さRaは、上記と同じ方法により測定した値で2μmであった。基材端部を手で支持しながら隣接する磁性基材同士を摺動させる際に、基材が曲がって変形してしまい、基材間の位置ずれを容易に修正できず、基材端部が揃った積層物を得るまでに時間を要した。
Claims (2)
- 溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層を形成した磁性基材であって、
耐熱性熱可塑性樹脂層のJISB0601に規定される表面粗さRaが0.3μm以下であり
、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における前記溶剤の含有量が該樹脂に対して0.5質量%以下であることを特徴とする磁性基材。 - 溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層が形成された磁性基材を複数枚重ね、この複数枚重ねられた磁性基材間の位置を調整する磁性基材の位置調整方法であって、
前記溶剤の沸点以上且つ前記耐熱性熱可塑性樹脂のTg未満の温度で磁性基材を加熱処理し、
加熱処理を行った複数枚の磁性基材を重ね、
隣接する磁性基材同士を摺動させながら磁性基材間の相対位置を調整することを特徴とする磁性基材の位置調整方法。
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- 2003-09-30 JP JP2003341774A patent/JP2005109210A/ja active Pending
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