JP2005109210A - 磁性基材およびその位置調整方法 - Google Patents

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Hiroshi Watanabe
辺 洋 渡
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Abstract

【課題】 磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂が付与された磁性基材から積層体を得る際に、複数枚重ねられた磁性基材を摺動させて、これらの相対位置を容易に調整可能な磁性基材およびその位置調整方法を提供する。
【解決手段】 本発明の磁性基材は、溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層を形成した磁性基材であって、耐熱性熱可塑性樹脂層の表面粗さRaが0.3μmであり、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における前記溶剤の含有量が0.5質量%以下であることを特徴としている。また、本発明の磁性基材の位置調整方法は、前記溶剤の沸点以上且つ前記耐熱性熱可塑性樹脂のTg未満の温度で磁性基材を加熱処理し、加熱処理を行った複数枚の磁性基材を重ね、隣接する磁性基材同士を摺動させながら磁性基材間の相対位置を調整することを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、磁性金属薄帯の少なくとも片面に耐熱性熱可塑性樹脂層が形成された磁性基材および複数枚重ねられた磁性基材間の位置調整方法に関する。
近年、磁性材料を使用する多くの電気、電子部品および製品において、さらなる高磁気性能化(高透磁率、小型化)が要求されており、これらを構成する磁性材料においても高磁気特性(低損失、高透磁率、高磁束密度)および薄型化が要求されている。
こうした市場要求に対して、非晶質金属などの高い磁気特性を有する磁性金属材料をバルク体として使用する場合には、磁性金属薄板を積層して用いられてきた。たとえば、磁性金属材料として非晶質金属薄帯を用いるような場合には、その厚さが20〜50μm程度の厚さであるため、非晶質金属薄帯の表面に特定の接着剤を均一に塗布し、これを積層することが行われている。特開昭58−175654号公報(特許文献1)には、高耐熱性高分子化合物を主成分とする接着剤を塗布した非晶質金属薄帯を積み重ね、圧下ロールで圧着し、加熱接着することを特徴とする積層体の製造方法について記載されている。
特開昭62−256498号公報(特許文献2)には、高透磁率を有する薄帯の少なくとも片面または該薄帯の間に、電気伝導率の高い金属箔の接着接合層を備えて成る、電磁波シールド効果に優れた複合金属薄帯について記載されている。ここで接着に用いられている接着剤としては、エポキシ系、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ウレタン系、ポリエステル系、ポリビニルブチラート系などが提案されている。当該文献によれば、「高透磁率を有する磁性非晶質金属薄帯と、高導電率の金属箔とを接着接合させることによって、電界、磁界両モードでのシールド効果に優れた電磁シールド材料を得ることができる」としているが、非晶質金属薄帯と金属箔を接着剤で積層した後に、非晶質金属の磁気特性向上に必要な300℃〜600℃の熱処理を施すと、前記接着剤が熱分解し、非晶質金属薄帯と金属箔との接着を維持することが困難となる。
そこで、このような熱処理に対して耐熱性を有する熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性熱可塑性樹脂を非晶質金属薄帯の表面に付与し、この磁性基材を重ねて熱処理を行うことで、熱処理後の極めて高い透磁率を発現した非晶質金属薄帯を具備した積層体を得ることができる。
特開昭58−175654号公報 特開昭62−256498号公報
しかしながら、非晶質金属薄帯のような磁性金属薄帯は非常に薄いために、この薄帯上に耐熱性樹脂を付与した磁性基材から積層体を得る際に、これらを複数枚重ね、基材の端部を支えながら基材間の位置を揃える際に基材が変形し易い。すなわち、隣接する基材の各表面間の摺動性が基材間の位置調整に大きな影響を与え、この摺動性が悪いと磁性基材が変形して良好な積層体が得られない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために為されたものであり、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂が付与された磁性基材から積層体を得る際に、複数枚重ねられた磁性基材を摺動させて、これらの相対位置を容易に調整可能な磁性基材およびその位置調整方法を提供することを目的としている。
本発明の磁性基材は、溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層を形成した磁性基材であって、
耐熱性熱可塑性樹脂層のJISB0601に規定される表面粗さRaが0.3μm以下であり
、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における前記溶剤の含有量が該樹脂に対して0.5質量%以下であることを特徴としている。
本発明の磁性基材の位置調整方法は、溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層が形成された磁性基材を複数枚重ね、この複数枚重ねられた磁性基材間の位置を調整する磁性基材の位置調整方法であって、
前記溶剤の沸点以上且つ前記耐熱性熱可塑性樹脂のTg未満の温度で磁性基材を加熱処理し、
加熱処理を行った複数枚の磁性基材を重ね、
隣接する磁性基材同士を摺動させながら磁性基材間の相対位置を調整することを特徴としている。
本発明によれば、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂が付与された磁性基材から積層体を得る際に、複数枚重ねられた磁性基材を摺動させて、これらの相対位置を容易に調整可能である。
以下、本発明を具体的に説明する。
(磁性金属薄帯)
本発明において磁性金属薄帯として用いられる金属磁性材料には、高透磁率の材料が用いられ、非晶質金属磁性材料とナノ結晶金属磁性材料のいずれを用いてもよい。
非晶質金属磁性材料としては、Fe系、Co系の非晶質金属薄帯が用いられる。これらの非晶質金属薄帯は通常、溶融金属を急冷ロールを用いて急冷して得られる。これらの非晶質金属薄帯は、通常は10〜50μmの厚さであり、好ましくは10〜30μmの厚さの薄帯が用いられる。
非晶質金属磁性材料としては、一般式(Fe1-xx100-a-b-cSiabM'c(式中、
MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti、V、C
r、Mn、Y、Pd、Ru、Ga、Ge、C、Pから選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、cは原子%を示し、それぞれ0≦x<1、0≦a≦24、4≦b≦30、0≦c≦10を満たすものとする)を挙げることができる。特に高透磁率が要求される用途においては、Coを主成分とする非晶質金属を用いることが好ましい。また磁気シールドなど、高密度の磁束を遮蔽する用途においては、飽和磁束密度の高いFeを主成分とする非晶質金属を用いることが好ましい。
本発明に用いるFe系非晶質金属材料としては、Fe−B−Si系、Fe−B系、Fe−P−C系などのFe−半金属系非晶質金属材料や、Fe−Zr系、Fe−Hf系、Fe−Ti系などのFe−遷移金属系非晶質金属材料を挙げることができる。例えばFe−Si−B系においては、Fe78Si913(at%)、Fe78Si1012(at%)、Fe81Si13.513.5(at%)、Fe81Si13.513.52(at%)、Fe77Si516
2(at%)、Fe66Co18Si115(at%)、Fe74Ni4Si217Mo3(at
%)などが挙げることができる。中でもFe78Si913(at%)、Fe77Si516Cr2(at%)が好ましく用いられ、特に好ましくはFe78Si913(at%)である。
Co系非晶質金属材料の組成系としては、Co−Si−B系、Co−B系などが例示できる。これらの中でも、一般式(Co1-cFec100-a-bab(式中のXは、Si,B
,C,Geから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を表し、YはZr,Nb,Ti,Hf,Ta,W,Cr,Mo,V,Ni,P,Al,Pt,Ph,Ru,Sn,Sb,Cu,Mn,希土類元素から選ばれる少なくとも1種類以上の元素で表される。cは原子比を、a,bは原子%を示し、それぞれ0≦c≦0.2、10<a≦35、0≦b≦30を満たすことが好ましい。)で表される組成が好ましい。この組成を有する非晶質金属薄帯のCoをFeへ置換することは、非晶質合金の飽和磁化の増加に寄与する傾向にある。このため、置換量cは0≦c≦0.2であることが好ましく、より好ましくは0≦c≦0.1である。X元素は本発明に用いる非晶質金属薄帯を製造する上で、非晶質化のために結晶化速度を低減するために有効な元素である。X元素が10原子%以下であると、非晶質化が低下して一部結晶質が混在し、また、35原子%を超えると、非晶質構造は得られるものの合金薄帯の機械的強度が低下し、連続的な薄帯が得られなくなる。したがって、X元素の量aは、10<a≦35であることが好ましく、さらに好ましくは、12≦a≦30である。Y元素は、得られる非晶質金属薄帯の耐食性の向上に効果がある。Y元素として特に有効な元素は、Zr,Nb,Mn,W,Mo,Cr,V,Ni,P,Al,Pt,Ph,Ru元素である。Y元素の添加量は30%以上になると、耐食性の効果はあるが、薄帯の機械的強度が脆弱になるため、0≦b≦30であることが好ましい。さらに好ましい範囲は、0≦b≦20である。
ナノ結晶性金属磁性材料としては、次のような組成の材料を挙げることができる。
(1)一般式(Fe1-xx100-a-b-c-dSiaAlbcM'd
(式中のMはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ge、C、P、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、c、dは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、0≦a≦24、0.1<b≦20、4≦c≦30、0≦d≦20を満たすものとする)で表わされる組成。
(2)一般式(Fe1-xx100-a-b-c-dCuaSibcM'd
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd,Ru,Ge,C,P、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、c、dは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.4、0.1≦a≦3、0≦b≦19、5≦c≦25、0<d≦20、15≦b+c≦30を満たすものとする)で表わされる組成。
(3)一般式(Fe1-xx100-a-baM'b
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ga、Ge、C、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、bは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、0<a≦20、2≦b≦20を満たすものとする)で表わされる組成。
(4)一般式(Fe1-xx100-a-b-caM'bCuc
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はNb、Mo、Zr、W、Ta、Hf、Ti
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ga、Ge、Al、C、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。xは原子比を、a、b、c、dは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、0<a≦20、2≦b≦20、0≦c≦3を満たすものとする)で表わされる組成。
(5)一般式(Fe1-xx100-a-baM'b
(式中、MはCoおよび/またはNi、M'はTa、Zr、Hf、Ti,Nb、Mo、W
、V、Cr、Mn、Pd、Ru、Ga、Ge、Si、Al、P、Cu、希土類元素から選ばれる1種類以上の元素を表わす。M'はC、N、Oから選ばれる1種類以上の元素を表
わす。xは原子比を、a、bは原子%を示し、それぞれ0≦x≦0.5、2<a≦30、4≦b≦30を満たすものとする)で表わされる組成。
これらの組成を有する磁性材料は、公知の方法による加熱処理によりナノ結晶材料とすることができる。
(耐熱性熱可塑性樹脂)
特に金属磁性材料の良好な磁気特性を発現させるなど、磁気特性向上のために熱処理が必要であり、このため本発明では、弾性率の低い耐熱樹脂を用いている。本発明に用いられる磁性金属薄帯の良好な磁気特性を発現させるための熱処理温度は、好ましくは300℃〜600℃の範囲である。
本発明において耐熱性樹脂とは、前処理として120℃で4時間乾燥を施し、その後、窒素雰囲気下、300℃で2時間保持した際のDTA−TGを用いて測定した重量減少率が5質量%以下のものであり、通常は1%以下、好ましくは0.3%以下であるものが用いられる。さらに、以下の特性を1つ以上有していることが好ましい。
(1)窒素雰囲気下350℃、2時間の熱履歴を経た後の引っ張り強度が30MPa以上であること
(2)ガラス転移温度が120℃〜250℃であること
(3)溶融粘度が1000Pa・sである温度が、250℃以上400℃以下であること(4)400℃から120℃まで0.5℃/分の一定速度で降温した後、樹脂中の結晶物による融解熱が10J/g以下であること
このような耐熱性樹脂として具体的には、ポリイミド系樹脂、ケイ素含有樹脂、ケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、液晶ポリマー、ニトリル系樹脂、チオエ−テル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アリレ−ト系樹脂、サルホン系樹脂、イミド系樹脂、アミドイミド系樹脂を挙げることができる。これらのうちポリイミド系樹脂、スルホン系樹脂、アミドイミド系樹脂を用いるのが好ましい。
また、本発明に用いられる耐熱性樹脂は熱可塑性である。これは、上記の磁性金属薄帯にかかる応力を最小限にするためである。
本発明の磁性基材において、上述した耐熱性樹脂による樹脂層の厚みは0.1μm〜1mmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜100μmであり、さらに好ましくは1μm〜10μmである。
(磁性基材)
たとえば、磁性金属薄帯の原反にロールコータなどのコーティング装置により、薄帯上に有機溶剤に樹脂を溶解させた樹脂ワニスを塗工して塗膜を作り、これを乾燥させて非晶質金属薄帯へ耐熱性熱可塑性樹脂を付与することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層が形成された、磁性金属薄帯および耐熱性熱可塑性樹脂からなる磁性基材を得る。
磁性金属薄帯へ付与する樹脂を溶剤に溶解させた溶液の粘度は、通常0.005〜200Pa・sの濃度範囲であり、好ましくは0.01〜50Pa・sであり、より好ましくは0.05〜5Pa・sの範囲である。0.005Pa・s未満の粘度では、粘性が低くなり過ぎるため薄帯上から流れてしまい十分な塗膜量が得られず、極めて薄い塗膜になってしまう。また、膜厚を厚くするために付与速度を極めて遅くすると、何度も重ね塗りが必要になるため生産効率の低下が生じ実用的ではない。一方、粘度が200Pa・sを超
えると、高粘度のため、薄帯上に薄い塗膜を形成するための膜厚の制御が極めて難しくなる。
液状樹脂の付与方法としては、コータを用いた方法、例えばロールコータ法、グラビアコータ法、エアドクタコータ法、ブレードコータ法、ナイフコータ法、ロッドコータ法、キスコータ法、ビードコ−タ法、キャストコータ法、ロータリースクリーン法や、液状樹脂中に薄帯を浸漬しながらコーティングする浸漬コーティング方法、液状樹脂を薄帯にオリフィスから落下させコーティングするスロットオリフィスコータ法などで行うことができる。
樹脂を溶解させる溶剤としては、特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クロロフェーノール、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。また、これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
ポリイミドなどを薄帯に付与する際には、前駆体のポリイミドで付与しても良い。耐熱性熱可塑性樹脂またはその前駆体を上述した方法で磁性金属薄帯に塗布し、必要に応じて加熱して溶剤を揮発することにより耐熱性熱可塑性樹脂層を形成することができる。
(積層体の形成)
上述のようにして得られた磁性基材から、次のようにしてその積層体が形成される。先ず、磁性金属薄帯へ樹脂を付与した際の樹脂溶剤の沸点以上且つ耐熱性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度で磁性基材を加熱処理する。これによって、耐熱性熱可塑性樹脂層の表面粗さRaを0.3μm以下とすることが望ましく、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における溶剤の含有量が該樹脂に対して0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下となるようにすることが望ましい。この加熱前処理の時間は、通常30〜120分である。この加熱前処理によって、磁性基材表面の摺動性を向上させることができる。
次いで、この加熱処理を行った複数枚の磁性基材を重ね、基材端部を支持しながら隣接する磁性基材同士を摺動させ、磁性基材間の位置を調整し、基材端部が揃った積層物を得る。磁性基材の層数は、用途に応じて適切な数とする。各層は、同一種類の磁性基材であってもよく、異なる種類の磁性基材であってもよい。望ましくは、上記の加熱前処理か、あるいは別途の加熱処理により樹脂の含水量が低下している間に磁性基材を重ねて位置調整する。
次いで、この磁性基材を重ねた積層物を、たとえば圧力0.01〜500MPa、温度200〜350℃、時間1〜300分の条件で接着し、次いで圧力0〜100MPa、温度300〜600℃、時間1〜300分の条件で磁気特性を向上させるための熱処理を行う。あるいは、磁気特性を向上させるための熱処理を接着と同時に行ってもよい。
(用途)
本発明では、磁性金属薄帯を、耐熱性熱可塑性樹脂を用いて接着しているため、非晶質金属などの優れた磁気特性を最大限に発現するために、磁気特性向上に必要な上述した温
度範囲における熱処理が可能であり、熱処理後の極めて高い透磁率を発現した磁性金属薄帯を具備した積層体を得ることができる。
本発明の磁性基材およびその積層体は、軟磁性材料が用いられる多くの用途に適用することが可能である。例えば、インダクタンス、チョークコイル、高周波トランス、低周波トランス、リアクトル、パルストランス、昇圧トランス、ノイズフィルター、変圧器用トランス、磁気インピーダンス素子、磁歪振動子、磁気センサ、磁気ヘッド、電磁気シールド、シールドコネクタ、シールドパッケージ、電波吸収体、モータ、発電器用コア、アンテナ用コア、磁気ディスク、磁気応用搬送システム、マグネット、電磁ソレノイド、アクチュエータ用コア、プリント配線基板などに用いられる磁気コアなどの様々な電子機器や電子部品の機能を支える材料として用いられる。
[実施例]
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
磁性金属薄帯として、ハネウェル社製、Metglas:2714A(商品名)、幅約50mm、厚み約15μmであるCo66Fe4Ni1(BSi)29(原子%)の組成を持つ非晶質金属薄帯を使用した。
3 ,3 ’−ジアミノジフェニルエーテルと3 ,3 ’,4,4 ’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物を1 :0 .98 の割合でジメチルアセトアミド溶媒中で室温に
て縮重合し、このジメチルアセトアミドに溶解した粘度0.3Pa・sの溶液をロールコータにて薄帯上に塗工し、150℃で加熱を行い溶剤を除去して、薄帯上に樹脂層が形成された磁性基材を得た。次いで、この磁性基材を250℃で60分加熱前処理した。加熱処理後における樹脂層の溶剤含有量は、残存する有機溶媒の量をFID型ガスクロマトグラフィー(島津GC−8A)を用いて測定した(サンプルをガスクロマトグラフィーに内蔵された加熱器にて、400℃で加熱して有機溶媒を分離し、予め作成しておいた種々の有機溶媒の検量線を用いて定量した。)値で0.05質量%だった。また、樹脂層の表面粗さRaは、東京精密株式会社製の3次元表面粗さ形状測定機サーフコム570Aにより測定した値で0.1μmであった。
この加熱処理を行った200枚の磁性基材を重ね、基材端部を手で支持しながら隣接する磁性基材同士を摺動させ、磁性基材間の位置を調整し、基材端部が揃った積層物を得た。基材間の位置ずれは容易に修正でき、基材の変形を生じることもなかった。この積層物は、熱ロールと加圧ロールで圧力2MPa、250℃、30分の条件で接着するとともに磁気特性を向上させるための熱処理を行った。得られた積層体は、変形や位置ずれのない良好な積層体であった。
[比較例1]
加熱前処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして磁性基材を重ねて積層物を得た。加熱処理を行わなかった樹脂層の溶剤含有量は、上記と同じ方法により測定した値で0.8質量%であった。また、樹脂層の表面粗さRaは、上記と同じ方法により測定した値で2μmであった。基材端部を手で支持しながら隣接する磁性基材同士を摺動させる際に、基材が曲がって変形してしまい、基材間の位置ずれを容易に修正できず、基材端部が揃った積層物を得るまでに時間を要した。

Claims (2)

  1. 溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層を形成した磁性基材であって、
    耐熱性熱可塑性樹脂層のJISB0601に規定される表面粗さRaが0.3μm以下であり
    、当該耐熱性熱可塑性樹脂層における前記溶剤の含有量が該樹脂に対して0.5質量%以下であることを特徴とする磁性基材。
  2. 溶剤に溶解した耐熱性熱可塑性樹脂もしくはその前駆体を、磁性金属薄帯の少なくとも片面に適用することにより、磁性金属薄帯の表面に耐熱性熱可塑性樹脂層が形成された磁性基材を複数枚重ね、この複数枚重ねられた磁性基材間の位置を調整する磁性基材の位置調整方法であって、
    前記溶剤の沸点以上且つ前記耐熱性熱可塑性樹脂のTg未満の温度で磁性基材を加熱処理し、
    加熱処理を行った複数枚の磁性基材を重ね、
    隣接する磁性基材同士を摺動させながら磁性基材間の相対位置を調整することを特徴とする磁性基材の位置調整方法。
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