JP2005108201A - ヒンジ機構及びそれを備える上扉開閉式パーソナルコンピュータ - Google Patents

ヒンジ機構及びそれを備える上扉開閉式パーソナルコンピュータ Download PDF

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Abstract

【課題】 ノートパソコンの上扉の開け閉めの抵抗感が少なく、見やすい角度にて上扉を確実に停止でき、開け始めから150°〜160°の角度でも上扉が自重落下しないようにできるヒンジ機構を提供する。
【解決手段】 上扉3に固定され、軸周りに回動可能にパソコン本体2に保持された回動軸21と、回動軸21に外挿されたワッシャー16、17を備える。ワッシャー16は回動軸に対し回動可能な状態で本体2に固定し、ワッシャー17は回動軸21に対して軸方向には移動可能とし軸周りには回動不能とした。ワッシャー16,17には、互いの方向に向け突出し上扉3を90°〜165°開いた時に互いに重なる凸部32,33,43,47を形成した。ワッシャー17をワッシャー16に対し付勢する皿バネ29を備え、上扉3を90°〜165°開いた時に凸部32,33と凸部43,47の摩擦力で上扉3の角度を維持する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ヒンジ機構及びそれを備える上扉開閉式パーソナルコンピュータに関する。
従来、ノートパソコンなどにおいて、本体に対し開閉可能な上扉液晶画面ユニットを開動作時にできるだけ軽く持ち上げることが可能で、且つ、所望の角度で該上扉液晶画面ユニットの回動停止力を生じさせて所望角度での開状態を維持させる機構が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
図7は、特許文献1に記載された開閉機構付きのノートパソコン100を示す斜視図である。
図7に示すように、ノートパソコン100の上扉液晶画面ユニット101は、その左右両端部にて本体102に対し軸支され、開閉可能とされている。
そのうち一方の軸支部103は、特許文献1中の図3及び図4に示される抵抗ヒンジ104を備えて構成され、上扉液晶画面ユニット101の回動停止力を生じさせる。
また、他方の軸支部105は、特許文献1中の図5及び図6に示される捻りコイルバネ106を備えて構成され、上扉液晶画面ユニット101の開動作を軽くさせる効果と、閉動作時のダンパー効果とを奏する。
特願2002−329996号(特開2004−3594号公報)
従来のノートパソコン100などでは、上扉液晶画面ユニット101の回動停止力は上扉液晶画面ユニット101の重さにより変更され、例えば、上扉液晶画面ユニット101の自重が850gある場合には6kgf/cm位の抵抗感のある抵抗ヒンジ104を片側1個使用し、上扉液晶画面ユニット101の倒れ重力を補正するための捻りコイルバネ106を2個使用し上扉液晶画面ユニット101が自重落下しないよう、又、任意の角度で使用者の見やすい角度(一般的には80°から160°)にて停止できるよう設計がなされているが、抵抗ヒンジ104の6kgf/cmの抵抗感には上扉液晶画面ユニット101の自重倒れ重力が最大時5.8kgf/cm程度加わるため、開閉するとき開き始めから150°以上では停止力が弱くなり画面が自重落下するという難点があり、一方、抵抗ヒンジ104の抵抗感を大きくすると自重落下は無くなるが開閉時に重くなるという問題点があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、第1の部分(例えばノートパソコンの本体)と第2の部分(例えば上扉液晶画面ユニット)とを相互に開閉可能に軸支するヒンジ機構において、開け閉めの抵抗感が少なく、子供から年配者まで、及び、ハンディキャップを持つ人が開閉しても、スムース且つ簡単に第1及び第2の部分を開閉できるとともに、例えばノートパソコンなどの使用時では使用者の見やすい角度(一般的には開け始めから90°〜145°位)にて抵抗感を持たせて上扉液晶画面ユニットを確実に停止でき、しかも、開け始めから150°〜160°の角度(好ましくは180°以上の角度)でも上扉液晶画面ユニットが自重落下しないようにできるヒンジ機構及びそれを備える上扉開閉式パーソナルコンピュータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のヒンジ機構は、第1の部分と第2の部分とを相互に開閉可能に軸支するヒンジ機構において、前記第2の部分に固定されているとともに、前記第1の部分に対して軸周りに回動可能となるように該第1の部分に保持された回動軸と、前記回動軸に外挿された第1及び第2の外挿部と、を備え、前記第1及び第2の外挿部のうちの一方は、前記回動軸に対して相対的に軸周りに回動可能な状態で、前記第1の部分に固定された固定外挿部であり、前記第1及び第2の外挿部のうちの他方は、前記回動軸に対して軸方向には移動可能とされ且つ軸周りには回動不能とされ、前記回動軸が前記第1の部分に対して軸周りに回動する際には該回動軸に伴って回動する可動外挿部であり、前記第1及び第2の外挿部には、互いの方向に向けて突出し、前記第1及び第2の部分をそれらの相対角度が所定角度範囲内の任意の角度となるよう開いた状態時に前記回動軸の軸方向において互いに重なる凸部がそれぞれ形成され、当該ヒンジ機構は、更に、前記可動外挿部を前記固定外挿部に対して付勢するための付勢手段を備え、前記第1及び第2の部分を前記所定角度範囲内の任意の角度となるよう開いた状態時に、前記固定外挿部の凸部と前記可動外挿部の凸部との摩擦力により前記第1及び第2の部分を当該状態時の角度に維持可能としたことを特徴としている。
本発明のヒンジ機構においては、前記付勢手段は、前記可動外挿部の前記固定外挿部側の面に対する裏面に当接する弾性体と、該弾性体が前記可動外挿部に押されて前記固定外挿部から遠ざかる方向に移動するのを規制する移動規制部と、を備えて構成されていることが好ましい。
本発明のヒンジ機構においては、前記弾性体は、前記移動規制部と前記前記可動外挿部との間において前記回動軸に外挿された皿ばねであることが好ましい。
本発明のヒンジ機構においては、前記第1の外挿部における前記第2の外挿部側の面には、当該第1の外挿部の前記凸部よりも低く形成された低段部と、該低段部から当該第1の外挿部の前記凸部の高さまで上り傾斜する上り傾斜部と、当該第1の外挿部の前記凸部と、が前記回動軸の軸周り方向においてこの順番で形成されていることが好ましい。
本発明のヒンジ機構においては、前記第1及び第2の外挿部には、前記回動軸の軸周りにおいて相互に離間して、前記凸部が2つずつ形成され、前記第1の外挿部の一方の凸部は前記第2の外挿部の一方の凸部と、前記第1の外挿部の他方の凸部は前記第2の外挿部の他方の凸部と、それぞれ当接状態となって、それらの摩擦力により前記第1及び第2の部分の角度を維持させることが好ましい。
この場合、前記第1の外挿部における前記第2の外挿部側の面には、前記第1の外挿部の2つの凸部のうちの一方である第1の凸部よりも低く形成された第1の低段部と、前記第1の低段部から前記第1の凸部の高さまで上り傾斜する第1の上り傾斜部と、前記第1の凸部と、前記第1の凸部から下る第1の下り傾斜部又は第1の下り段差部と、前記第2の外挿部の2つの凸部のうちの他方である第2の凸部よりも低く形成された第2の低段部と、前記第2の低段部から前記第2の凸部の高さまで上り傾斜する第2の上り傾斜部と、前記第2の凸部と、前記第2の凸部から下る第2の下り傾斜部又は第2の下り段差部と、が前記回動軸の軸周り方向においてこの順番で形成されていることが好ましい。
本発明のヒンジ機構においては、前記第2の外挿部の前記2つの凸部のうち、一方は前記回動軸の軸周りにおいて内回りに位置し内回りで移動する内回り凸部であり、他方は外回りに位置し外回りで移動する外回り凸部であることが好ましい。
本発明のヒンジ機構においては、前記第1の外挿部の前記第2の外挿部側の面において、該第2の外挿部の前記内回り凸部が当接して移動可能な第1の領域が延在する角度範囲と、該第2の外挿部の前記外回り凸部が当接して移動可能な第2の領域が延在する角度範囲とは、それぞれ180度以上に設定され、前記第1及び第2の領域の角度範囲は、相互に内外周で一部重複しあっていることが好ましい。
本発明のヒンジ機構においては、前記第1の外挿部の前記2つの凸部のうち、前記内回り凸部と対応する凸部において、前記回動軸の軸周りにおける内回りに位置し前記内回り凸部が当接して移動可能な部分は、外回りの部分よりも軸周りにおいて広い角度範囲に延在し、前記第1の外挿部の前記2つの凸部のうち、前記外回り凸部と対応する凸部において、前記回動軸の軸周りにおける外回りに位置し前記外回り凸部が当接して移動可能な部分は、内回りの部分よりも軸周りにおいて広い角度範囲に延在していることが好ましい。
本発明の上扉開閉式パーソナルコンピュータは、本発明のヒンジ機構を備えるパーソナルコンピュータであって、前記第1及び第2の部分のうちの何れか一方である本体部と、表示部を備え、前記第1及び第2の部分のうちの何れか他方である上扉と、を備えることを特徴としている。
本発明によれば、第1の部分(例えばノートパソコンの本体)と第2の部分(例えば上扉液晶画面ユニット)とを所定角度範囲内の任意の角度となるよう開いた状態時に、固定外挿部の凸部と可動外挿部の凸部とが回動軸の軸方向において重なるので、可動外挿部が固定外挿部に押されて該固定外挿部から遠ざかる方向に移動して、付勢手段による可動外挿部に対する付勢力が高まる結果、固定外挿部の凸部と可動外挿部の凸部との摩擦力が強まるので、その摩擦力により第1及び第2の部分を当該状態時の角度に維持可能となる。
また、第1及び第2の部分の角度が、それらを閉じた状態と上記所定角度範囲との中間の角度である状態では、固定外挿部の凸部と可動外挿部の凸部とが回動軸の軸方向において重なることがないので、固定外挿部と可動外挿部との摩擦力を比較的小さくでき、開け閉めの抵抗感を小さくできる。よって、子供から年配者まで、及び、ハンディキャップを持つ人が開閉しても、スムース且つ簡単に第1及び第2の部分を開閉できる。
加えて、その所定角度範囲を適宜の範囲に設定することにより、例えばノートパソコンなどの使用時では使用者の見やすい角度(一般的には開け始めから90°の角度〜145°位までの角度範囲)にて抵抗感を持たせて上扉液晶画面ユニットを確実に停止でき、しかも、開け始めから150°〜160°の角度(好ましくは180°以上の角度)でも上扉液晶画面ユニットが自重落下しないようにできる。
すなわち、特許文献1の技術では、抵抗ヒンジの抵抗力は上扉液晶画面ユニットの開角度に関わらず一定であるため、開け始めの抵抗感を抑制すると、開け始めから150°〜160°の角度では上扉の自重落下を生じてしまうが、本発明の場合には、開け始めの際にはヒンジ機構による抵抗感を抑制することができるとともに、例えば上扉液晶画面ユニットを停止させたい角度範囲のみにおいてヒンジ機構による抵抗感を増加させ、確実に停止させることができるので、開け始めから150°〜160°の角度(好ましくは180°以上の角度)でも上扉液晶画面ユニットが自重落下しないようにできる。
なお、本発明によれば、第1及び第2の部分の開け閉めに抵抗感の出る角度範囲は、可動外挿部及び固定外挿部の凸部の配置や、該凸部が延在する角度範囲を適宜に設定することにより、任意に変更することができる。
また、第1及び第2の部分の開け閉めに対する抵抗力は、可動外挿部及び固定外挿部の凸部の高さを適宜に設定することにより、任意に変更することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は本実施形態に係るノートパソコン(上扉開閉式パーソナルコンピュータ)1を示す斜視図である。
図1に示すように、ノートパソコン1は、薄い箱型形状の本体(第1の部分)2と、このパソコン本体2の後端部における上縁に軸支され該パソコン本体2に対し開閉可能とされた上扉ユニット(第2の部分)3と、を備え、後述するように、上扉ユニット3をパソコン本体2に対し所定角度範囲内の任意の角度となるように開いた状態で、その開状態を維持できるように構成されている。
パソコン本体2において、上扉ユニット3を閉じた際に内側に位置する上面4には、キーボード5と、その他の各種操作ボタン6と、トラックパッド7と、が設けられ、パソコン本体2の側面にはCD−ROMドライブ8やFDドライブ(図示略)、各種の端子(図示略)などが設けられている。
更に、パソコン本体2の所定の端子には接続コードを介してマウス9が接続されている。
また、上扉ユニット3は、例えば液晶表示装置からなる表示部を備え、該表示部の表示画面10は、上扉ユニット3を閉じた際に内側に位置する面に配されている。
従って、上扉ユニット3を開くと、表示画面10を見ながらキーボード5やマウス9などを操作できる使用可能な状態になり、上扉ユニット3を閉じれば、該上扉ユニット3によりパソコン本体2の上面4を覆うことができ、保管や携帯に適した状態となる。
なお、本実施形態の場合、ノートパソコン1は、上扉ユニット3がパソコン本体2に対して、例えば165度程度までしか開かないように構成されている。すなわち、例えば、上扉ユニット3をパソコン本体2に対して165度程度開いたところで、上扉ユニット3の背面部がパソコン本体2の後端部に接触し、該上扉ユニット3の開動作が規制されるようになっている。
上扉ユニット3の回動先端部にはロック爪11が設けられている一方で、このロック爪11と係合する係止部12がパソコン本体2の上面4の前部に形成され、上扉ユニット3を閉じると該係止部12に対しロック爪11が自動的に係合し、上扉ユニット3が閉状態に維持される。
更に、ロック爪11と係止部12との係合状態を解除するためのロック解除操作部13が、例えば上扉ユニット2の回動先端面に設けられている。
このロック解除操作部13は、例えばスライド操作可能に構成され、該ロック解除操作部13を一方向ヘスライドすることにより、ロック爪11と係止部12との係合状態を解除することができ、上扉ユニット3を開くことが可能な状態となる。
ロック解除操作部13は、スライド操作方向に対し反対方向に付勢されており、ロック解除操作部13に対するスライド操作を解除すると、該ロック解除操作部13は再び元の位置へ自動的に復帰する。
パソコン本体2に対する上扉ユニット3の軸支は、左右一対の軸支部(ヒンジ機構)14、15によりなされ、これにより、上扉ユニット3はパソコン本体2に対し図1の矢印A方向に開いたり矢印B方向に閉じたりすることができるようになっている。
なお、本実施形態の場合、左右の軸支部14,15は、互いに同様の構成をなしており、例えば左右対称な構造となっているため、以下ではこのうち一方(例えば、図1において左側)の軸支部14について詳細な説明を行う。
図2は軸支部14の近傍の内部機構を示す要部拡大の正面図である。
軸支部14は、以下に詳細に説明するように、例えばパソコン本体2に固定された固定ワッシャー(固定外挿部、例えば第1の外挿部)16と、この固定ワッシャー16に対し片面同士で接するように設けられ該固定ワッシャー16に対し軸周りに回動可能な可動ワッシャー(可動外挿部、例えば第2の外挿部)17と、を備えて構成され、これら可動ワッシャー17と固定ワッシャー16との相互間に生ずる摩擦力により、上扉ユニット3をパソコン本体2に対し所望の角度で停止(所望の角度に維持)させるようになっている。
図2に示すように、軸支部14は、例えば固定プレート18を介してパソコン本体2に固定された本体側支持ブラケット19と、上扉ユニット3に固定された上扉側支持ブラケット20と、上扉ユニット3とパソコン本体2との開閉動作の軸として機能する回動軸21と、を備えている。
このうち回動軸21は、上扉側支持ブラケット20を介して上扉ユニット3に固定されている。
更に、回動軸21は、本体側支持ブラケット19に挿通されることにより該本体側支持ブラケット19を介してパソコン本体2に保持され、パソコン本体2に対し、上扉ユニット3と一体的に、該回動軸21の軸周りに回動自在となっている。
ここで、回動軸21はその大径部21aと小径部21bとの段差部が本体側支持ブラケット19の片面(図2の左側の面)に接しており、図2の右側への移動が本体側支持ブラケット19により規制されている。
軸支部14は、更に、それぞれ回動軸21に外挿された捻りコイルバネ22を備えている。
この捻りコイルバネ22は、巻線部23と、この巻線部から延びる一対の延伸部24、25と、を備えて構成され、巻線部23内に回動軸21の小径部26が通されることにより、該回動軸21に回動自在且つ脱落防止されて保持されている。
捻りコイルバネ22の一方の延伸部25の先端部は固定具27及び固定プレート18を介してパソコン本体2に固定され、他方の延伸部24の先端部は固定具28及び上扉側支持ブラケット20を介して上扉ユニット3に固定されている。
これにより、捻りコイルバネ22は、その捻り反発力によって回動軸21を中心として上扉ユニット3をパソコン本体2に対して開く向きに付勢する付勢手段を構成している。
ここで、本実施形態の場合、捻りコイルバネ22の一対の延伸部24,25のなす角度(巻線部23の軸心に対して直交する面内においてなす角度)は、例えば、90°となっている。
従って、捻りコイルバネ22は上扉ユニット3をパソコン本体2に対して90°に開こうとする向きの回転モーメントを上扉ユニット3に付与する。
なお、上扉ユニット3がパソコン本体2に対して90°を超えて開いた際には、捻りコイルバネ22は、上扉ユニット3とパソコン本体2のなす角度を90°に戻そうとする向きの回転モーメントを上扉ユニット3に付与する。
更に、軸支部14は、回動軸21において、本体側支持ブラケット19を境として、捻りコイルバネ22が外挿されているのとは反対側の部分にそれぞれ外挿された固定ワッシャー16、可動ワッシャー17及び皿バネ29と、このうち可動ワッシャー17及び皿バネ29が回動軸21から脱落するのを防止するナット30と、を備えている。
ここで、図3及び図4を参照して、固定ワッシャー16及び可動ワッシャー17の構造について詳細に説明する。
図3は固定ワッシャー16を示す図であり、このうち(a)は可動ワッシャー17に当接する側の面を示す側面図、(b)は図2における奥側から見た背面図である。
また、図4は可動ワッシャー17を示す図であり、このうち(a)は固定ワッシャーに当接する側の面を示す側面図、(b)は図2における正面側から見た正面図である。
先ず、図4に示すように、可動ワッシャー17は、例えば円環状の本体部31を備え、該本体部31の表裏の面は、互いに平行、且つ、各々が平らとなっている。
可動ワッシャー17の本体部31の片側の面、すなわち固定ワッシャー16に対し当接する側の面には、該固定ワッシャー16側に向けて突出した凸部32,33が設けられている。
本実施形態の場合、可動ワッシャー17には、例えば、第1の凸部32及び第2の凸部33の2つの凸部が、回動軸21の軸周り方向において相互に離間(例えば180°離間)して形成されている。
更に、可動ワッシャー17には、回動軸21が挿通される挿通孔34が、その本体部31の中央部を表裏貫通して形成されている。
ここで、回動軸21において、可動ワッシャー17及び皿バネ29を保持する部位は、これら可動ワッシャー17及び皿バネ29を該回動軸21の軸周りに回動不能とさせるために、その断面形状が真円ではないように加工されている。具体的には、回動軸21において、可動ワッシャー17及び皿バネ29を保持する部位は、断面D型形状に形成(Dカット加工)されている。
これに対応して、可動ワッシャー17の挿通孔34における内空断面、並びに、皿バネ29に形成され回動軸21が挿通される挿通孔(図示略)における内空断面は、それぞれD型形状とされている。
これにより、回動軸21がその軸周りに回動すると、該回動軸21に外挿された可動ワッシャー17及び皿バネ29は、該回動軸21に伴って、その軸周りに回動する。
ただし、可動ワッシャー17及び皿バネ29は、回動軸21に対し、その軸方向には移動自在である。
他方、図3に示すように、固定ワッシャー16は、例えば可動ワッシャー17の本体部31とほぼ同一の外径の円環状の本体部35と、この本体部と一体形成された、例えば矩形状で本体側支持ブラケット19に固定される被固定部36と、を備えている。
このうち被固定部36には、その表裏を貫通する固定用孔37が形成され、固定ワッシャー16は、図2に示すように、該固定用孔37を介して、例えばビスなどの止着部材38を本体側支持ブラケット19に通すことにより、該本体側支持ブラケット19に固定されている。
また、固定ワッシャー16の本体部35には、回動軸21が挿通される挿通孔39が、該本体部35の中央部を表裏貫通して形成されている。ここで、この挿通孔39は、内空断面がほぼ真円となっていて、固定ワッシャー16は、回動軸21に対してその軸周りに回動自在となっている。逆に言えば、回動軸21は、固定ワッシャー16に対してその軸周りに回動自在となっている。
更に、本体部35の片側の面、すなわち可動ワッシャー17に対し当接する側の面には、可動ワッシャー17側に向けて突出した第1及び第2の凸面(凸部)43,47と、第1及び第2の凸面43,47よりも低く形成され、可動ワッシャー17側に向けて突出していない第1及び第2の低段面(低段部)41,45と、第1の低段面41から第1の凸面43の高さまで上り傾斜する第1の上り傾斜面(上り傾斜部)42と、第2の低段面45から第2の凸面47の高さまで上り傾斜する第2の上り傾斜面46と、第1の凸面43から第2の低段面45にかけて下り傾斜する第1の下り傾斜面(下り傾斜部)44と、第2の凸面47から第1の低段面41にかけて下り傾斜する第2の下り傾斜面48と、が形成されている。
すなわち、固定ワッシャー16における可動ワッシャー17側の面には、第1の低段面(第1の低段部)41と、第1の上り傾斜面(第1の上り傾斜部)42と、第1の凸面(第1の凸部)43と、第1の下り傾斜面(第1の下り傾斜部)44と、第2の低段面(第2の低段部)45と、第2の上り傾斜面(第2の上り傾斜部)46と、第2の凸面(第2の凸部)47と、第2の下り傾斜面(第2の下り傾斜部)48と、が回動軸21の軸周り方向においてこの順番で連続的に形成されている。
ここで、本体部35において、第1の低段面41、第1の上り傾斜面42、第1の凸面43及び第1の下り傾斜面44を有する部分と、第2の低段面45、第2の上り傾斜面46、第2の凸面47及び第2の下り傾斜面48を有する部分とは、互いに線対称に形成されている。
また、第1及び第2の凸面43,47は、例えば相互に同一の突出高さに設定され、互いに平行に形成されている。第1及び第2の低段面41,45も、例えば相互に同一の突出高さに設定され、互いに平行に形成されている。
更に、第1及び第2の凸面43,47と、第1及び第2の低段面41,45も、互いに平行とされている。
加えて、第1及び第2の凸面43,47、第1及び第2の低段面41,45は、それぞれ平らに形成されている。
そして、本体部35において、第1及び第2の凸面43,47が形成された部位では表裏方向の肉厚が比較的厚く且つ一定となり、第1及び第2の低段面41,45が形成された部位では表裏方向の肉厚が比較的薄く且つ一定となり、第1及び第2の上り傾斜面42,46が形成された部位では低段面41,45から凸面43,47にかけて肉厚が次第に増加し、第1及び第2の下り傾斜面44,48が形成された部位では凸面43,47から低段面45、41にかけて肉厚が次第に(但し上り傾斜面42,46よりも急激に)減少している。
なお、本体部35において低段部41,45が形成された部位の表裏方向の肉厚は、例えば、固定部36における表裏方向の肉厚と同一となっている。
ここで、上扉ユニット3をパソコン本体2に対し、例えば、90度〜165度程度の間(所定角度範囲)の任意の角度となるように開いた状態時に、固定ワッシャー16の第1の凸面43と可動ワッシャー17の第1の凸部32とが回動軸21の軸方向において互いに重なるとともに、固定ワッシャー16の第2の凸面47と可動ワッシャー17の第2の凸部33とが回動軸21の軸方向において互いに重なるように、固定ワッシャー16の第1及び第2の凸面43,47の位置及び角度範囲と、可動ワッシャー17の挿通孔34におけるDカット形状の向きと、が設定されている。
次に、固定ワッシャー16、可動ワッシャー17、皿バネ29及びナット30の組み付け手順の一例について説明する。
先ず、上記のように本体側支持ブラケット19に対し回動可能に保持された回動軸21に対し、図2における右側先端部から固定ワッシャー16を外挿する。この際、凸面43,47などが形成された方の面が図2における右側を向くようにする。
次に、固定ワッシャー16の固定部36を本体側支持ブラケット19に対し例えばビスなどの止着部材38により止着し固定する。なお、ここでは、固定ワッシャー16を止着部材38により固定する例を示したが、この例に限らず、例えばスポット溶接により固定しても良い。
次に、回動軸21に対し、図2における右側先端部から可動ワッシャー17を外挿する。この際、凸部32,33が形成された方の面が図2における左側、すなわち固定ワッシャー16側を向くようにする。
次に、回動軸21に対し、図2における右側先端部から皿バネ29を例えば4枚、交互に向きを違えて外挿する。
次に、回動軸21に対し、図2における右側先端部からナット30をねじ込み固定し、回動軸21から皿バネ29及び可動ワッシャー17が脱落しないようにする。
ここで、ナット30のねじ込み量を調節することによって、固定ワッシャー16に対する可動ワッシャー17の摩擦力、すなわち上扉ユニット3の開閉動作における必要抵抗感(トルク)を調整する。
トルクとしては、例えば2kgf/cmから4kgf/cmが妥当であるが、それ以上必要であれば適宜調整すればよい。
必要トルクが出たところで回動軸21の先端にカシメ40を施し、ナット30の緩みを防止する。
なお、皿バネ(弾性体)29、ナット(移動規制部)30及びカシメ(移動規制部)40により、可動ワッシャー17を固定ワッシャー16に対して付勢するための付勢手段が構成されている。
トルクの大きさは、皿バネ29をそのスプリング強度が異なるものに交換したり、皿バネ29の数を変更したり、可動ワッシャー17をその凸部32,33の高さが異なるものに交換したり、固定ワッシャー16をその凸面43,47の高さが異なるものに交換したりすることによっても、簡単に調整することができる。
次に、動作を説明する。
上扉ユニット3とパソコン本体2との相対角度を0度から165度までの間で変化させる過程では、その相対角度に応じて、可動ワッシャー17の第1の凸部32が、固定ワッシャー16の第1の低段面41、第1の上り傾斜面42及び第1の凸面43のうちの何れかの面に当接する一方で、可動ワッシャー17の第2の凸部33が、固定ワッシャー16の第2の低段面45、第2の上り傾斜面46及び第2の凸面47のうちの何れかの面に当接する。
すなわち、上扉ユニット3の開閉動作は、該上扉ユニット3をパソコン本体2に対し回動させて行うが、その回動に伴い、回動軸21も一体的に回動し、該回動軸21の回動に伴い、可動ワッシャー17も回動軸21の軸周りに回動するが、可動ワッシャー17の第1の凸部32は、上扉ユニット3をパソコン本体2に対し閉じた状態(角度が0度)では第1の低段面41におけるスタート位置41a(図3参照)に当接し、閉状態から上扉ユニット3とパソコン本体2との角度を例えば70度程度まで変換させる開動作の際には、第1の低段面41上を回動軸21の軸周り(図3の矢印C方向)に移動し、更に70度程度から90度程度まで変換させる開動作の際には第1の上り傾斜面42上を回動軸21の軸周りに移動し、更に90度程度から165度程度まで変換させる開動作の際には第1の凸面43上を回動軸21の軸周りに移動する。
同様に、可動ワッシャー17の第2の凸部33は、上扉ユニット3をパソコン本体2に対し閉じた状態では第2の低段面45におけるスタート位置45a(図3参照)に当接し、その閉状態から上扉ユニット3とパソコン本体2との角度を例えば70度程度まで変換させる開動作の際には、第2の低段面45を回動軸21の軸周りに移動し、更に70度程度から90度程度まで変換させる開動作の際には第2の上り傾斜面46上を回動軸21の軸周りに移動し、更に90度程度から165度程度まで変換させる開動作の際には第2の凸面47上を回動軸21の軸周りに移動する。
そのような開動作の過程で、可動ワッシャー17の凸部32,33が固定ワッシャー16の低段面41,45に当接した状態、すなわち、上扉ユニット3とパソコン本体2との角度が例えば0度〜70度程度の範囲では、可動ワッシャー17とナット30に挟まれた皿バネ29の圧縮量が比較的小さいため、この皿バネ29からの反力に基づく可動ワッシャー17と固定ワッシャー16との摩擦力も比較的小さくなるのに加え、捻りコイルバネ22により上扉ユニット3が起きあがる方向に付勢されているので、上扉ユニット3の開動作を軽い力でスムーズに行うことができる。
また、開動作の過程で、可動ワッシャー17の凸部32,33が固定ワッシャー16の上り傾斜部42,46に当接した状態、すなわち、上扉ユニット3とパソコン本体2との角度が例えば70度〜90度程度の範囲では、可動ワッシャー17が固定ワッシャー16に押されてナット30側に次第に移動することにより皿バネ29の圧縮量が次第に増加するため、この皿バネ29からの反力に基づく可動ワッシャー17と固定ワッシャー16との摩擦力も次第に増加するのに加え、上扉ユニット3を開方向に付勢する捻りコイルバネ22の反発力が次第に弱まるので、次第に上扉ユニット3の開動作に抵抗感が生じてくる。
そして、上扉ユニット3とパソコン本体2との角度が例えば90度近くまで開いた状態での可動ワッシャー17と固定ワッシャー16との摩擦力は、開動作を止めて上扉ユニット3から手を離した角度で上扉ユニット3の姿勢を十分に保持できる程度の摩擦力となる。つまり、上扉ユニット3の回動停止力が十分に得られる。
更に、開動作の過程で、可動ワッシャー17の凸部32,33が固定ワッシャー16の凸面43,47に当接した状態、すなわち、上扉ユニット3とパソコン本体2との角度が例えば90度〜165度程度の範囲では、何れの角度でも、開動作を止めて上扉ユニット3から手を離した角度で上扉ユニット3の姿勢を十分に保持できる程度に、可動ワッシャー17と固定ワッシャー16との摩擦力が得られる。
なお、上扉ユニット3には、その自重により、回動軸21を支点とした回転モーメントが加わり、その回転モーメントは上扉ユニット3をパソコン本体2に対し垂直に立てた状態で最も小さく、そこからの倒れ角度が大きくなるほど該回転モーメントも次第に大きくなるが、上記のように捻りコイルバネ22が上扉ユニット3をパソコン本体2に対し垂直状態にさせる方向に上扉ユニット3を付勢しているので、この回転モーメントを減じる効果を奏する。
すなわち、上扉ユニット3とパソコン本体2との角度が90度を超えた際に、上扉ユニット3に加わる回転モーメントが次第に増加しても、この回転モーメントは捻りコイルバネ22による付勢力により一部相殺される。
このため、90度〜165度程度の範囲での可動ワッシャー17と固定ワッシャー16との摩擦力が一定であっても、上扉ユニット3の回動停止力はほぼ一定に保たれる。
従って、例えばノートパソコン1の使用時に、使用者の見やすい角度(一般的には開け始めから90°の角度〜145°位までの角度範囲)にて抵抗感を持たせて上扉ユニット3を確実に停止でき、しかも、開け始めから150°〜165°の角度でも上扉ユニット3が自重落下しないようにできる。
ここで、特許文献1の技術では、抵抗ヒンジの抵抗力は上扉ユニット3の開角度に関わらず一定である。このため、抵抗ヒンジの抵抗力を強くしすぎると、開け始めの抵抗感が強まり、開動作がしにくくなってしまうので、抵抗ヒンジの抵抗力をある程度抑制する必要があり、開け始めから150°〜160°の角度では十分な抵抗力が得られず、上扉ユニット3の自重落下を生じてしまう虞がある。
これに対し、本実施形態の場合には、開け始めの際(例えば0°〜70°程度)には、可動ワッシャー17の凸部32,33が固定ワッシャー16の低段面41,45に当接した状態となるため、ヒンジ機構、すなわち軸支部14,15による抵抗力を抑制できるとともに、上扉ユニット3を停止させたい角度範囲(例えば90°〜165°程度)のみにおいて可動ワッシャー17の凸部32,33が固定ワッシャー16の凸面43,47に当接し、軸支部14,15による抵抗力を増加させることができるので、上扉ユニット3を停止させたい角度範囲で十分な抵抗力を得ることができ、開け始めから150°〜160°の角度でも上扉ユニット3が自重落下しないようにできる。
なお、上扉ユニット3を閉める際には、上扉ユニット3とパソコン本体2との角度が70度程度未満の範囲では可動ワッシャー17と固定ワッシャー16との摩擦力に基づく抵抗感がなくなり、軽い操作力で閉動作を行うことができるが、その抵抗感がなくなる代わりに捻りコイルバネ22の反発力が次第に高まるので、閉じる瞬間の衝撃を和らげることができる。つまり、捻りコイルバネ22は、上扉ユニット3の閉動作の際におけるダンパー効果を奏する。
以上のような第1の実施形態によれば、今まで固く、重いという感覚にてノートパソコン1などの上扉(上扉ユニット2)を開閉していたのを必要最小限の抵抗感にて開閉可能とすることができる。
また、例えば新幹線や自動車の車内などでの使用時には、車両の揺れなどで表示部、すなわち上扉ユニット3がぐらぐらと揺れて画面が見にくい現象が出ていたものが解消される。
更に、ヒンジ機構の小型化及び高耐久性化が可能となるとともに、安価でトラブルが皆無になり高級感が有り生産性の向上が図られる。
なお、上扉ユニット3のパソコン本体2に対する開け閉めに抵抗感の出る角度範囲は、可動ワッシャー17の凸部32,33及び固定ワッシャー16の凸面43,47の配置や、これら凸部32,33及び凸面43,47が延在する角度範囲を適宜に設定することにより、任意に変更することができる。具体的には、例えば、開け始めから80°〜90°程度で十分な抵抗感が得られるように設計するのが好ましい。
また、上扉ユニット3の開け閉めに対する抵抗力は、可動ワッシャー17の凸部32,33及び固定ワッシャー16の凸面43,47の高さを適宜に設定することにより、任意に変更することができる。
〔第2の実施形態〕
上記の第1の実施形態では、固定ワッシャー16及び可動ワッシャー17の構造上、上扉ユニット3の回動停止力を発揮できるのは例えば約165度程度までであり、下り傾斜部44,48の幅を如何に切りつめても、180度以上の範囲において回動停止力を発揮することは不可能である。
そこで、第2の実施形態では、上記の第1の実施形態で説明した固定ワッシャー16及び可動ワッシャー17に代えて、回動停止力を発揮できる角度範囲をより広範囲に設定することが可能な構造の固定ワッシャー50(図5)及び可動ワッシャー70(図6)を備える例について説明する。
なお、第2の実施形態においては、固定ワッシャー50及び可動ワッシャー70の構造が上記の第1の実施形態における固定ワッシャー16及び可動ワッシャー17と一部異なる点の他は、上記の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5は本実施形態の場合の固定ワッシャー50を示す斜視図であり、図6は本実施形態の場合の可動ワッシャー70を示す斜視図である。
ただし、図5及び図6に示す固定ワッシャー50及び可動ワッシャー70は、図1における右側の軸支部15が備えるものであり、左側の軸支部14が備える固定ワッシャー及び可動ワッシャーは、図5及び図6に示すものとは左右対称に構成されている。
先ず、図6に示すように、本実施形態の場合の可動ワッシャー70においては、凸部71,72の配置が、上記の第1の実施形態の場合の可動ワッシャー17と異なる。
すなわち、本実施形態の場合の可動ワッシャー70の凸部71,72のうちの一方は、回動軸21の軸周りにおいて内回りに位置し内回りで移動する内回り凸部72であり、他方は外回りに位置し外回りで移動する外回り凸部71である。
なお、外回り凸部71と内回り凸部72とは、回動軸21の軸周り方向において相互に離間(例えば180°離間)して形成されている。
また、図5に示すように、本実施形態の場合の固定ワッシャー50の片側の面、すなわち可動ワッシャー70側の面には、可動ワッシャー70側に向けて突出した第1及び第2の凸面(凸部)54,64と、第1及び第2の凸面54,64よりも低く形成され、可動ワッシャー70側に向けて突出していない第1及び第2の低段面(低段部)52,62と、第1の低段面52から第1の凸面54の高さまで上り傾斜する第1の上り傾斜面(上り傾斜部)53と、第2の低段面62から第2の凸面64の高さまで上り傾斜する第2の上り傾斜面63と、第1の凸面54から第2の低段面62の高さまで下る第1の下り段差部57と、第2の凸面64から第1の低段面52の高さまで下る第2の下り段差部67と、が形成されている。
すなわち、固定ワッシャー50における可動ワッシャー70側の面には、第1の低段面52と、第1の上り傾斜面53と、第1の凸面54と、第1の下り段差部57と、第2の低段面62と、第2の上り傾斜面63と、第2の凸面64と、第2の下り段差部67と、が回動軸21の軸周り方向においてこの順番で連続的に形成されている。
また、第1及び第2の凸面54,64は、例えば相互に同一の突出高さに設定され、互いに平行に形成されている。第1及び第2の低段面52,62も、例えば相互に同一の突出高さに設定され、互いに平行に形成されている。
更に、第1及び第2の凸面54,64と、第1及び第2の低段面52,62も、互いに平行とされている。
加えて、第1及び第2の凸面54,64、第1及び第2の低段面52,62は、それぞれ平らに形成されている。
そして、本体部35において、第1及び第2の凸面54,64が形成された部位では表裏方向の肉厚が比較的厚く且つ一定となり、第1及び第2の低段面52,62が形成された部位では表裏方向の肉厚が比較的薄く且つ一定となり、第1及び第2の上り傾斜面53,63が形成された部位では低段面52,62から凸面54,64にかけて肉厚が次第に増加している。
固定ワッシャー50の第1の低段面52、第1の上り傾斜面53及び第1の凸面54において、回動軸21の軸周り方向における外周側部分を第1の領域と称すると、可動ワッシャー70の外回り凸部71は、該第1の領域に当接し、パソコン本体2に対する上扉ユニット3の開角度に応じて、該第1の領域上を移動する。なお、可動ワッシャー70の外回り凸部71は、上扉ユニット3をパソコン本体2に対し閉じた状態(角度が0度)では第1の低段面52におけるスタート位置51に当接する。
同様に、固定ワッシャー50の第2の低段面62、第2の上り傾斜面63及び第2の凸面64において、回動軸21の軸周り方向における内周側部分を第2の領域と称すると、可動ワッシャー70の内回り凸部72は、該第2の領域に当接し、パソコン本体2に対する上扉ユニット3の開角度に応じて、該第2の領域上を移動する。なお、可動ワッシャー70の内回り凸部72は、上扉ユニット3をパソコン本体2に対し閉じた状態(角度が0度)では第2の低段面62におけるスタート位置61に当接する。
ここで、第2の本実施形態の場合、図5に示すように、回動軸21の軸周り方向において、第1の領域が延在する角度範囲と、第2の領域が延在する角度範囲とは、それぞれ180度以上に設定され、第1及び第2の領域の角度範囲は、相互に内外周で一部重複しあっている。
また、第1の凸面54において、回動軸21の軸周りにおける外回りに位置し外回り凸部71が当接して移動可能な部分55は、該第1の凸面54における内回りの部分よりも、軸周りにおいて広い角度範囲に延在し、第2の凸面64において、回動軸21の軸周りにおける内回りに位置し内回り凸部72が当接して移動可能な部分65は、該第2の凸面64における外回りの部分よりも軸周りにおいて広い角度範囲に延在している。つまり、部分55、65は、上記第1の実施形態の場合では低段面となっている位置にまで延在している。
これにより、第2の実施形態の場合には、上扉ユニット3をパソコン本体2に対して180°以上(例えば200°程度まで)開いても、可動ワッシャー70の凸部71,72と固定ワッシャーの凸面54,64とを相互に当接状態にさせることができ、それらの摩擦力により上扉ユニット3の回動停止力を得ることができる。
更に、第2の実施形態の場合には、第1の実施形態における下り傾斜部44,48の代わりに、軸周り方向における寸法が実質的に不要な下り段差部57,67を備えているので、固定ワッシャー50における軸周り方向の領域をより効率的に利用でき、上扉ユニット3の回動停止力を発揮できる角度範囲をより広角度に設定しやすくなる。
なお、上記の各実施形態では、本発明に係るヒンジ機構を一対設けて第1の部分(例えばパソコン本体2)と第2の部分(例えば上扉ユニット3)とを軸支した例について説明したが、本発明に係るヒンジ機構は、そのような装置における一対の軸支部のうちの何れか一方のみに適用しても良い。
すなわち、例えば、一方の軸支部は特許文献1の抵抗ヒンジとしても良く、この場合にも、特許文献1の場合と比べると広角度範囲にて好適に回動停止力を得ることができる。
また、特許文献1には、例えばモータ駆動などにより自動的に上扉ユニット3を開閉させる構成が記載されているが、そのような自動開閉機構を備える場合にも、本発明に係るヒンジ機構を適用しても良いのは勿論である。この場合、使用頻度の多大さからギアーなどの摩耗により発生する少量の空転現象(バックラッシュ)を抑制することもできる。
また、第1の実施形態では、固定ワッシャー16が下り傾斜部44,48を備える例について説明したが、この下り傾斜部44,48に代えて、第2の実施形態で説明したような下り段差部57,67を設けることにより、回動軸21の軸周り方向における凸面43,47の延在範囲をより広く確保することができ、より広角度範囲にて回動停止力を得ることができるようになる。
また、上記の各実施形態では、固定ワッシャー16,50が第1の外挿部であり可動ワッシャー17,70が第2の外挿部である例について説明したが、それとは反対に、固定ワッシャーが第2の外挿部で可動ワッシャーが第1の外挿部(低段部、上り傾斜部及び凸部などを備える)であっても良い。
更に、上記の各実施形態では、パソコン本体2が第1の部分であり上扉ユニット3が第2の部分である例を説明したが、それとは反対に、パソコン本体2が第2の部分であり上扉ユニット3が第1の部分であっても良い。
更に、上記の各実施形態では、本体側支持ブラケット19とは別体の固定ワッシャー(固定外挿部)16、50を用いる例について説明したが、固定ワッシャー16、50における可動ワッシャー17,70側の面に備わる全ての構成要素を例えば本体側支持ブラケット19における可動ワッシャー17,70側の面に形成することにより、固定ワッシャー16、50を不要とすることができる。この場合、例えば本体側支持ブラケット19が固定外挿部を構成する。
また、本発明に係るヒンジ機構は、ノートパソコン1に限らず、開閉機構を備えるその他の如何なる装置の軸支部としても適用することができる。具体的には、例えば、熱湯を貯留する本体部と、この本体部の上部に開閉可能に軸支された蓋体と、を備える電気ポットや、電気炊飯器などに好適に適用できる。
本発明の実施形態に係るノートパソコンを示す斜視図である。 図1のノートパソコンの一対の軸支部(ヒンジ機構)のうちの一方及びその近傍を示す拡大正面図である。 第1の実施形態の場合の軸支部(ヒンジ機構)が備える固定ワッシャー(固定外挿部)を示す図である。 第1の実施形態の場合の軸支部(ヒンジ機構)が備える可動ワッシャー(可動外挿部)を示す図である。 第2の実施形態の場合の軸支部(ヒンジ機構)が備える固定ワッシャー(固定外挿部)を示す図である。 第2の実施形態の場合の軸支部(ヒンジ機構)が備える可動ワッシャー(可動外挿部)を示す図である。 特許文献1に記載されたノートパソコンを示す斜視図である。
符号の説明
1 ノートパソコン(上扉開閉式パーソナルコンピュータ)
2 パソコン本体(第1の部分)
3 上扉ユニット(第2の部分)
16 固定ワッシャー(固定外挿部、例えば第1の外挿部)
17 可動ワッシャー(可動外挿部、例えば第2の外挿部)
21 回動軸
29 皿バネ(付勢手段、弾性体)
30 ナット(付勢手段、移動規制部)
32 第1の凸部(凸部)
33 第2の凸部(凸部)
40 カシメ(付勢手段、移動規制部)
41 第1の低段面(第1の低段部)
42 第1の上り傾斜面(第1の上り傾斜部)
43 第1の凸面(第1の凸部)
44 第1の下り傾斜面(第1の下り傾斜部)
45 第2の低段面(第2の低段部)
46 第2の上り傾斜面(第2の上り傾斜部)
47 第2の凸面(第2の凸部)
48 第2の下り傾斜面(第2の下り傾斜部)
50 固定ワッシャー(固定外挿部、例えば第1の外挿部)
51 スタート位置
52 第1の低段面(第1の低段部)
53 第1の上り傾斜面(第1の上り傾斜部)
54 第1の凸面(第1の凸部)
57 第1の下り段差部
61 スタート位置
62 第2の低段面(第2の低段部)
63 第2の上り傾斜面(第2の上り傾斜部)
64 第2の凸面(第2の凸部)
67 第2の下り段差部
70 可動ワッシャー(可動外挿部、例えば第2の外挿部)
71 外回り凸部(凸部)
72 内回り凸部(凸部)

Claims (10)

  1. 第1の部分と第2の部分とを相互に開閉可能に軸支するヒンジ機構において、
    前記第2の部分に固定されているとともに、前記第1の部分に対して軸周りに回動可能となるように該第1の部分に保持された回動軸と、
    前記回動軸に外挿された第1及び第2の外挿部と、
    を備え、
    前記第1及び第2の外挿部のうちの一方は、前記回動軸に対して相対的に軸周りに回動可能な状態で、前記第1の部分に固定された固定外挿部であり、
    前記第1及び第2の外挿部のうちの他方は、前記回動軸に対して軸方向には移動可能とされ且つ軸周りには回動不能とされ、前記回動軸が前記第1の部分に対して軸周りに回動する際には該回動軸に伴って回動する可動外挿部であり、
    前記第1及び第2の外挿部には、互いの方向に向けて突出し、前記第1及び第2の部分をそれらの相対角度が所定角度範囲内の任意の角度となるよう開いた状態時に前記回動軸の軸方向において互いに重なる凸部がそれぞれ形成され、
    当該ヒンジ機構は、更に、前記可動外挿部を前記固定外挿部に対して付勢するための付勢手段を備え、
    前記第1及び第2の部分を前記所定角度範囲内の任意の角度となるよう開いた状態時に、前記固定外挿部の凸部と前記可動外挿部の凸部との摩擦力により前記第1及び第2の部分を当該状態時の角度に維持可能としたことを特徴とするヒンジ機構。
  2. 前記付勢手段は、前記可動外挿部の前記固定外挿部側の面に対する裏面に当接する弾性体と、該弾性体が前記可動外挿部に押されて前記固定外挿部から遠ざかる方向に移動するのを規制する移動規制部と、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ機構。
  3. 前記弾性体は、前記移動規制部と前記前記可動外挿部との間において前記回動軸に外挿された皿ばねであることを特徴とする請求項2に記載のヒンジ機構。
  4. 前記第1の外挿部における前記第2の外挿部側の面には、
    当該第1の外挿部の前記凸部よりも低く形成された低段部と、該低段部から当該第1の外挿部の前記凸部の高さまで上り傾斜する上り傾斜部と、当該第1の外挿部の前記凸部と、が前記回動軸の軸周り方向においてこの順番で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のヒンジ機構。
  5. 前記第1及び第2の外挿部には、前記回動軸の軸周りにおいて相互に離間して、前記凸部が2つずつ形成され、
    前記第1の外挿部の一方の凸部は前記第2の外挿部の一方の凸部と、前記第1の外挿部の他方の凸部は前記第2の外挿部の他方の凸部と、それぞれ当接状態となって、それらの摩擦力により前記第1及び第2の部分の角度を維持させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のヒンジ機構。
  6. 前記第1の外挿部における前記第2の外挿部側の面には、
    前記第1の外挿部の2つの凸部のうちの一方である第1の凸部よりも低く形成された第1の低段部と、
    前記第1の低段部から前記第1の凸部の高さまで上り傾斜する第1の上り傾斜部と、
    前記第1の凸部と、
    前記第1の凸部から下る第1の下り傾斜部又は第1の下り段差部と、
    前記第2の外挿部の2つの凸部のうちの他方である第2の凸部よりも低く形成された第2の低段部と、
    前記第2の低段部から前記第2の凸部の高さまで上り傾斜する第2の上り傾斜部と、
    前記第2の凸部と、
    前記第2の凸部から下る第2の下り傾斜部又は第2の下り段差部と、
    が前記回動軸の軸周り方向においてこの順番で形成されていることを特徴とする請求項5に記載のヒンジ機構。
  7. 前記第2の外挿部の前記2つの凸部のうち、一方は前記回動軸の軸周りにおいて内回りに位置し内回りで移動する内回り凸部であり、他方は外回りに位置し外回りで移動する外回り凸部であることを特徴とする請求項5又は6に記載のヒンジ機構。
  8. 前記第1の外挿部の前記第2の外挿部側の面において、該第2の外挿部の前記内回り凸部が当接して移動可能な第1の領域が延在する角度範囲と、該第2の外挿部の前記外回り凸部が当接して移動可能な第2の領域が延在する角度範囲とは、それぞれ180度以上に設定され、前記第1及び第2の領域の角度範囲は、相互に内外周で一部重複しあっていることを特徴とする請求項7に記載のヒンジ機構。
  9. 前記第1の外挿部の前記2つの凸部のうち、前記内回り凸部と対応する凸部において、前記回動軸の軸周りにおける内回りに位置し前記内回り凸部が当接して移動可能な部分は、外回りの部分よりも軸周りにおいて広い角度範囲に延在し、
    前記第1の外挿部の前記2つの凸部のうち、前記外回り凸部と対応する凸部において、前記回動軸の軸周りにおける外回りに位置し前記外回り凸部が当接して移動可能な部分は、内回りの部分よりも軸周りにおいて広い角度範囲に延在していることを特徴とする請求項7又は8に記載のヒンジ機構。
  10. 請求項1乃至9の何れか一項に記載のヒンジ機構を備えるパーソナルコンピュータであって、
    前記第1及び第2の部分のうちの何れか一方である本体部と、
    表示部を備え、前記第1及び第2の部分のうちの何れか他方である上扉と、
    を備えることを特徴とする上扉開閉式パーソナルコンピュータ。

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