JP4383307B2 - ヒンジ装置 - Google Patents
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ディスプレイ装置11が天井12に収納されている0°の位置から略30°の間(T1の間)は、周方向凹部で制動部材の凸起の摺接が回避される低トルクの領域であり、ディスプレイ装置11は、ロックを解除するとディスプレイ装置11の自重により略30°程度まで落下(開く)する。次の略30°〜105°の間(T2の間)は、制動部材の凸起が固定部材に摺接する高トルクの領域であり、手で作動させる領域となり、フリーストップする。ディスプレイ装置11を鑑賞する常用の位置(T3の位置)は、固定部材の穴に制動部材の凸起が嵌合、非嵌合(嵌合から乗り上げ)することで最も大きなトルクを発生させる領域であり、車の振動などで位置ズレが発生しない。
また、従来のヒンジ装置では、耐久性を向上させるためにグリスを使用するものがあるが、このヒンジ装置では低温時等において、グリスの粘性がアップし、収納状態でロック解除してもディスプレイ装置が開かなくなる(自重落下しない)課題があり、初期の跳ね出しが要望されていた。
前記シャフトに挿着され前記ブラケットの他方側面に押圧当接してブラケットを制動部材に押し付ける板ばね部材と、前記シャフトに巻回した状態で嵌装され前記シャフトに回転力を付与する捩りばねとより成り、
前記制動部材のブラケットとの摺接面には凸起が設けられ、前記ブラケットの制動部材との摺接面には、前記制動部材の凸起が摺接するテーパ溝又は開口幅が徐々に拡大する
凹溝と、制動部材の凸起が落ち込む穴が設けられ、前記シャフトには捩りばねにより初期トルクが初期設定されていることを特徴とする。
即ち、前記低トルクの領域では、テーパ溝の場合は徐々に深くなるテーパとなっているので、制動部材の凸起の摺接がテーパ溝で徐々に回避されるため、徐々に低トルクとなり、開口幅が徐々に拡大する凹溝の場合は、制動部材の凸起が徐々に凹溝内に嵌入するため凸起の摺接も徐々に回避され、徐々に低トルクとなる。
また、シャフトには捩りばねにより初期トルクが設定してあるので、このシャフトに固定されているディスプレイ装置は自動車室内の天井に収納されている位置(0°の位置)からロックを解除すると、前記初期トルクにより跳ね出すこととなるから、ディスプレイ装置が自重落下しない(開かない)ことが防止でき、確実に自重落下することが保証される。このディスプレイ装置の自重落下によるトルクは、0°の位置が最大で90°付近までは徐々に低下するが、ヒンジ装置のトルクも前記のように徐々に低トルクとなるので、両者のトルクがバランスを保持し、ディスプレイ装置の開きはダンパー的な作動となり、品位の向上を図ることができる。
自動車室内の天井に収納されている位置(0°の位置)からロックを解除すると、前記ディスプレイ装置は捩りばねによる初期トルクにより跳ね出し、その後90°付近までディスプレイ装置は、ダンパー的作動で緩やかに開き、制動部材の凸起がブラケットのテーパ溝又は凹溝の端部段差に制止されて止まる。そこから手動で移動させると制動部材の凸起がブラケットの摺接面に乗り上げるので、高トルクが発生しフリーストップの領域となり、更に移動させると制動部材の凸起がブラケットの穴に落ち込み最大トルクが生じ、ディスプレイ装置鑑賞用の位置となる。この鑑賞用の位置は、本例ではブラケットに2個の穴が設けられているので、2カ所の位置で選択できる。
(1)ブラケットにテーパ溝又は開口幅が徐々に拡大する凹溝を設け、このテーパ溝又は凹溝に制動部材の凸起を摺接するようにしたので、この発生するトルクは徐々に低トルクとなるので、ディスプレイ装置の自重モーメントに沿ったトルクが得られる。従って、自動車室内の天井にディスプレイ装置を開閉可能に取付けるヒンジ装置として採用すると、ディスプレイ装置の自重落下の作動を、ダンパー的作動とすることが可能となり品位が向上する。
(2)自動車室内の天井に収納されている位置(0°の位置)からロックを解除すると、ディスプレイ装置は捩りばねによる初期トルクで跳ね出すので、ディスプレイ装置が自重落下しない(開かない)ことが防止できる。
(3)部品点数が少なく、構造も簡単なので組み付けに手間もかからず容易となると共に、精度の良い組み付けが可能となり、品質も向上する。また、簡単な構造で部品点数が少なく主要部が板体で構成されているので、より軽量、小型化が可能となる。
図1はこの発明の実施の形態を示すヒンジ装置を右方より見た斜視図、図2はこの発明の実施の形態を示すヒンジ装置を左方より見た斜視図、図3はこの発明の実施の形態を示すヒンジ装置の側面図、図4はこの発明の実施の形態を示すヒンジ装置の分解斜視図である。
即ち、シャフト1はブラケット3に対し回転自由であり、制動部材4と板ばね部材5はシャフト1に回転不可であるので、シャフト1と一緒に回転する。
従って、ブラケット3は一方の部材に固定されているので、シャフト1が回転すると制動部材4と板ばね部材5はブラケット3に摺接して回動し、互いに相対回転することになる。
図7は他のブラケットを示す斜視図(a)及び正面図(b)である。このブラケット3は、前記ブラケット3のテーパ溝3aに代えて開口幅が徐々に拡大する凹溝3fとしたものであり、他は前記実施の形態と同様であるので、同一符号を付して詳細な説明は省略する。この凹溝3fは、深さは同一であるが開口幅が徐々に拡大するものである。従って、テーパ溝3aでは、制動部材4の凸起4aの摺接がテーパ面により徐々に回避されるに対し、凹溝3fでは制動部材4の凸起4aが、開口幅の拡大により徐々に凹溝3f内に入り込み徐々に回避されるようになる。
図9は制動部材の斜視図(a)及び断面図である。この制動部材4は、前記ブラケット3と摺接して回転トルクを変化させるものであり、板状であってブラケット3との摺接面に凸起4aが設けられている。本例の制動部材4はアーム部4bを備え、このアーム部4bに凸起4aが設けられている。この制動部材4は、前記シャフト1の主軸部1aの非円形断面形状(W−D形状)に対応する非円形穴4cが設けられ、前記シャフト1の主軸部1aに回転不可で軸方向移動自在に挿着される。
図11は他の板ばね部材を示す斜視図(a)及び正面図(b)である。本例の板ばね部材5B(5)は、板ばね材で円形に形成され、中心に前記シャフト1の主軸部1aの非円形断面形状に対応する非円形穴5aが設けられると共に湾曲形成(円錐形状ではない)されたスプリングワッシャーとなっている。
図10に示す板ばね部材5Aは、折曲げ部5bを有するためばね力(ばね定数)が強くなり、図11に示す板ばね部材5Bは湾曲だけなのでばね力は弱くなる。前記板ばね部材5A、5Bは板ばね部材5としての例示であって、これに制限されるものではない。使用する開閉部材のトルク特性に対応して好ましいものを選択すればよい。
図12は平座金を示す斜視図(a)及び正面図(b)である。この平座金6は中心に前記シャフト1の主軸部1aの非円形断面形状(W−D形状)に対応する非円形穴6aが設けられており、シャフト1の主軸部1aに回転不可で軸方向移動自由に挿着される。
次に、シャフト1の支持軸部1bに巻回した格好で捩りばね2を装着し、この捩りばね2の一端側のフック2aは、ブラケット3の穴3cに挿入して取り付け、他端部のフック2bは、支持軸部1bに設けたピン7に自由状態で係止させてある。ヒンジ装置10の取り付けの時は、シャフト1にディスプレイ装置跳ね出し分の初期トルクを付与して設定する。捩りばね2のフック2bは、シャフト1のピン7に自由状態で係止させてあるので、初期トルクを付与した後は、捩りばね2のフック2bはシャフト1のピン7と離れてしまうので、捩りばね2のばね力はそれ以上は作用しない。つまり、初期トルクだけが作用することになる。
そこで、このヒンジ装置10では、ディスプレイ装置11を開閉するとシャフト1も回動するが、制動部材4はシャフト1に回転不可で軸方向移動自在に挿着されているので、制動部材4もシャフト1と一緒に回転する。この時、制動部材4と板ばね部材5はブラケット3に押圧当接されているので、制動部材4及び板ばね部材5はブラケット3に摺接して回転する。従って、ヒンジ装置10では、この摺接回動時に、制動部材4の凸起4aがブラケット3のテーパ溝3a又は開口幅が徐々に拡大する凹溝3fに位置するときは、制動部材4の凸起4aの摺接が、テーパ溝3a又は凹溝3fで徐々に回避されるため、徐々に低トルクとなり、制動部材4の凸起4aがテーパ溝3a又は凹溝3fの端部にくると段差3gによる制止力により高トルクが生じ、制動部材4の凸起4aが、段差3gを乗り上げたブラケット3の摺接面の位置では、高トルクが発生し、制動部材4の凸起4aが、ブラケット3の穴3bに落ち込んだ(嵌入)位置は、最大トルクとなる。この回転トルクによりディスプレイ装置11の開閉・停止及び保持を行うことができる。また、制動部材4の凸起4aが、テーパ溝3a又は凹溝3fの端部の段差3gを乗り越えるとき、及び制動部材4の凸起4aがブラケット3の穴3bに落ち込んだり、復帰するときに、回転トルクが変化し、クリック感が生ずる。
図13は制動部材4の凸起4aが、ブラケット3のテーパ溝3aの始端に位置する状態であり、図14は制動部材4の凸起4aが、ブラケット3のテーパ溝3aの終端に位置する状態であり、図15は制動部材4の凸起4aが、ブラケット3の穴3bに位置する状態である。
さらに、この発明では、例えば、ヒンジ装置を左右に使用する場合、左右のヒンジ装置で板ばね部材5のばね定数の異なるものを使用し、2つのヒンジ装置で役割を分担させてもよい。例えば、一方のヒンジ装置は、ばね定数の低い板ばね部材5を使用し、ディスプレイ装置11の自重落下(自重開き)時の停止状態を滑らかにし、他方のヒンジ装置は、ばね定数の高い板ばね部材5を使用し、フリーストップ領域での回転トルクを高くし停止状態を確実とすることにより、フリーストップ領域での鑑賞も可能とする。
構成の一例を説明する。一方のばね定数の低い板ばね部材5を使用したヒンジ装置は、ブラケット3のテーパ溝3aのテーパ角度を緩やかにし、他方のばね定数の高い板ばね部材5を使用したヒンジ装置は、ブラケット3のテーパ溝3aのテーパ角度を急にし、ばね定数の高い板ばね部材5を使用したヒンジ装置では、ブラケット3のテーパ溝3aのテーパ角度が急なため、徐々に低トルクとなるのが一方ののヒンジ装置より速いので、ばね定数の高い板ばね部材5を使用しても、両者のヒンジ装置での徐々に低トルクとなる度合いはバランスしてディスプレイ装置の作動はダンパー的作動となる。ところが制動部材4の凸起4aがブラケット3の摺接面に乗り上げたフリーストップの領域では、ばね定数の高い板ばね部材5を使用したヒンジ装置により高トルクが発生し、停止状態を確実に保持できるようになる。従って、制動部材4の凸起4aがブラケット3の穴3bに落ち込んだ時ばかりでなく、このフリーストップ領域でのディスプレイ装置の鑑賞が可能となる。
また、例えば、レイアウトをフラットにしたい場合は、ディスプレイ装置のロックを解除すると、開き方向に力が作用し、開く(跳ね出す)ため有効である。
1a 主軸部
1b 支持軸部
1d ピンの取り付け穴
2 捩りばね
2a、2b フック
3 ブラケット
3a テーパ溝
3b 穴
3c 取付穴
3f 開口幅が徐々に拡大する凹溝
3g 段差
4 制動部材
4a 凸起
5 板ばね部材
6 平座金
7 ピン
Claims (2)
- 一方の部材と他方の部材を開閉可能に連結するヒンジ装置であって、一方の部材に固定されるブラケットと、該ブラケットに回転自由に挿着され他方の部材に固定されるシャフトと、このシャフトに回転不可で軸方向には移動可能に装着され前記ブラケットの一方側面である摺接面と摺接して互いに相対回転する制動部材と、前記シャフトに挿着され前記ブラケットの他方側面に押圧当接してブラケットを制動部材に押し付ける板ばね部材と、前記シャフトに巻回した状態で嵌装され前記シャフトに回転力を付与する捩りばねとより成り、
前記制動部材のブラケットとの摺接面には凸起が設けられ、前記ブラケットの制動部材との摺接面には、前記制動部材の凸起が摺接するテーパ溝と、制動部材の凸起が落ち込む穴が設けられ、前記シャフトには捩りばねにより初期トルクが設定されており、
前記テーパ溝は、始端から終端に向かって徐々に深くなる下りテーパ面となり、終端が段部となっていることを特徴とするヒンジ装置。 - 一方の部材と他方の部材を開閉可能に連結するヒンジ装置であって、一方の部材に固定されるブラケットと、該ブラケットに回転自由に挿着され他方の部材に固定されるシャフトと、このシャフトに回転不可で軸方向には移動可能に装着され前記ブラケットの一方側面である摺接面と摺接して互いに相対回転する制動部材と、前記シャフトに挿着され前記ブラケットの他方側面に押圧当接してブラケットを制動部材に押し付ける板ばね部材と、前記シャフトに巻回した状態で嵌装され前記シャフトに回転力を付与する捩りばねとより成り、
前記制動部材のブラケットとの摺接面には凸起が設けられ、前記ブラケットの制動部材との摺接面には、前記制動部材の凸起が摺接する凹溝と、制動部材の凸起が落ち込む穴が設けられ、前記シャフトには捩りばねにより初期トルクが設定されており、
前記凹溝は、始端から終端に向かって開口幅が徐々に拡大し、制動部材の凸起が始端から終端に向かって徐々に凹溝内に陥入し、終端で凹溝内に落ち込む開口幅となっていることを特徴とするヒンジ装置。
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