JP2005105488A - 表面塗工剤及び塗工紙の製造方法 - Google Patents

表面塗工剤及び塗工紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【構成】アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]と不飽和ジカルボン酸類(a)とアクリルアミド類(b)を反応して得られるアクリルアミド系樹脂[B]を含有することを特徴とする表面塗工剤及びこの表面塗工剤を塗工する塗工紙の製造方法。。好ましくは、前記のアクリルアミド系樹脂[B]に用いる不飽和ジカルボン酸類(a)がイタコン酸及び/又はその塩であり、その表面塗工剤を接触角が90°以下である中性新聞用塗工原紙に塗工する塗工紙の製造方法。
【効果】本発明の表面塗工剤を塗工原紙に塗工することで紙の表面強度を向上し、優れたサイズ性と高い接触角を付与することができる。

Description

本発明は紙の表面強度を向上させ、優れたサイズ性と高い接触角を付与することができる表面塗工剤及びそれを用いた塗工紙の製造方法に関する。
近年、印刷の高速化、多色化に伴い印刷用紙に対して高度な印刷適性が求められるようになってきた。特に新聞用紙ではオフセット印刷が主流になってきており、それに伴い湿し水に対する耐水性が新聞用紙にとって重要な品質として要求されるようになってきている。
一般に製紙工程においては紙に強度、耐水性(サイズ性)や印刷適性などを付与するために、パルプの水性スラリーにロジンやアルキルケテンダイマー、アルケニルコハク酸無水物などからなるサイズ剤、デンプン、硫酸バンド、アクリルアミド系樹脂などの製紙用薬品を添加(内添)したり、抄紙工程の紙の乾燥途中で酸化デンプン等の変性デンプン、ポリビニルアルコール、アクリルアミド系樹脂等を紙の表面に塗工(外添)することが行われている。
これらのうち内添用薬品は紙への歩留りが十分ではなく、紙に歩留らなかった薬品が白水に残存して循環するため抄紙系で汚れを引き起こしたり、抄紙系内のイオンバランスの変動により紙力強度やサイズ効果が変動したりする。一方、外添用薬品は歩留りが100%であり、紙の表面に直接作用することから、より効果的であることが知られており、その経済性と簡便性から近年広く行われるようになってきている。
サイズ効果を向上させる目的で、アルミニウム塩類を含有せしめた原紙をアルケニルコハク酸塩とポリアクリルアミド系処理剤との混合水溶液で処理する紙の加工処理法が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、特にアルミニウム塩類をあまり使用しない場合には効果が不十分であった。
特開昭52−046111号公報
紙の表面強度、サイズ性を向上させ、印刷適性を向上させることを目的とする表面塗工剤としては、従来よりスチレン系ポリマーとポリアクリルアミド系物質との混合物(例えば、特許文献2参照)が知られているが、表面強度、サイズ性と接触角のバランスが十分ではなかった。
特開平9−13295号公報
また、紙に耐水性を付与する置換コハク酸無水物を有効成分とする塗工剤(例えば、特許文献3参照)が知られているが、置換コハク酸無水物が開環して金属塩等になっている場合にはパルプとの反応性が低く十分なサイズ効果を発現しないため、置換コハク酸は無水物であることが必須とされている。
特開平7−138898号公報
最近では古紙や機械パルプの使用量の増加や内添薬品の添加量の低減により、従来のアニオン性表面サイズ剤を使用した従来の表面塗工剤の組み合わせではサイズ効果が発現し難い状況になっている。
従って、外添で効果的なサイズ度を付与するためには多量のアニオン性表面サイズ剤を使用しなければならないので経済的でなく、表面強度も顕著に低下するので好ましくない。このため、低添加量のアニオン性表面サイズ剤で優れたサイズ性と高い接触角を発現する表面塗工剤が強く望まれていた。本発明は上記課題を解決するための表面塗工剤を提供するものである。
本発明者等はその要望に答えるべく鋭意研究を重ねた結果、
(1)アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]と、不飽和ジカルボン酸類(a)とアクリルアミド類(b)を反応して得られるアクリルアミド系樹脂[B]を含有することを特徴とする表面塗工剤、
(2)不飽和ジカルボン酸類(a)がイタコン酸及び/又はその塩であることを特徴とする前記(1)の表面塗工剤、
(3)アクリルアミド系樹脂[B]が架橋剤(c)を使用していることを特徴とする(1)または(2)の表面塗工剤、
(4)前記(1)ないし(3)の何れかの表面塗工剤を塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法、
(5)接触角が90°以下である原紙に前記(1)ないし(4)の何れかに記載の表面塗工剤を塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法、
(6)塗工紙が中性新聞用紙であることを特徴とする(4)又は(5)の塗工紙の製造方法
を提供するものである。
本発明の表面塗工剤を塗工原紙に表面塗工することで表面強度とサイズ性が優れ、接触角が高い塗工紙を得ることができ、特に新聞用塗工原紙のときに顕著である。
次に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩[A]としては従来サイズ剤として公知のアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩、またはアルキルもしくはアルケニルコハク酸誘導体の塩が使用できる。具体的には炭素数8以上、好ましくは炭素数12〜36のアルキル基またはアルケニル基を有する置換コハク酸のアルカリ金属塩、アンモニアまたは有機アミン類の塩が使用される。また、アルキルもしくはアルケニルコハク酸誘導体としてはアルコール類とアルケニルコハク酸またはアルケニルコハク酸無水物とのハーフエステルを使用することができる。
本発明で使用するアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩[A]としてはアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩が好ましく、アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩以外にスチレン系やオレフィン系などの他の表面サイズ剤を含有していてもかまわない。
スチレン系やオレフィン系としてはスチレン−アクリル酸樹脂、スチレン―アクリル酸―アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸―マレイン酸半エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸樹脂、(ジ)イソブチレン―マレイン酸樹脂、(ジ)イソブチレン―マレイン酸―マレイン酸半エステル樹脂等が挙げられ、これらを一種以上併用して使用することができ、これらの組成比、分子量についてはアクリルアミド系樹脂[B]との相溶性を阻害しない範囲内であれば特に限定しない。
次に本発明で使用するアクリルアミド系樹脂[B]について説明する。アクリルアミド系樹脂[B]に使用する(a)成分としては不飽和ジカルボン酸類が使用できる。
不飽和ジカルボン酸類としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられ、これらのうち特にイタコン酸及びその塩類が好ましい。
また、不飽和ジカルボン酸類(a)以外にも不飽和モノカルボン酸、不飽和トリカルボン酸、不飽和テトラカルボン酸、不飽和スルホン酸、不飽和ホスホン酸及びそれらの塩類などのアニオン性ビニルモノマーを一種以上併用して使用することができる。
不飽和モノカルボン酸及びそれらの塩類としては、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和トリカルボン酸及びそれらの塩類としては、アコニット酸、3―ブテン―1,2,3―トリカルボン酸、4−ペンテン−1,2,4−トリカルボン酸及びそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和テトラカルボン酸及びそれらの塩類としては、1−ペンテン−1,1,4,4―テトラカルボン酸、1−ペンテン−1,2,3,4―テトラカルボン酸、3−ヘキセン−1,1,6,6―テトラカルボン酸及びそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和スルホン酸及びそれらの塩類としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
不飽和ホスホン酸及びそれらの塩類としては、ビニルホスホン酸、α−フェニルビニルホスホン酸及びそれらのナトリウム、カリウム塩等のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等が挙げられる。
また、アクリルアミド系樹脂[B]に使用するアクリルアミド類(b)としては、アクリルアミド、メタクリルアミドである。
また、アクリルアミド、メタクリルアミドの一部をN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN置換アクリルアミド等に置換して一種以上併用することもできる。
本発明で使用する架橋剤(c)としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン・エチレンオキサイド付加物トリアクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N'−ビスアクリルアミド酢酸、N,N'−ビスアクリルアミド酢酸メチル、N,N−ベンジリデンビスアクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルサクシネート、ジアリルアクリルアミド、ジビニルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、N,N−ジアリルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルクロレンデート、グリシジル(メタ)アクリレート等の2官能性ビニルモノマー、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、N,N−ジアリルアクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート等の3官能性ビニルモノマー、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N',N'−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等の4官能性ビニルモノマー、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオンエート、4,4’−ビス(エチレンイミンカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等の水溶性アジリジニル化合物、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル等の水溶性の多官能エポキシ化合物、及び3−(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリアセトキシシラン,3−(メタ)アクリロキシ−2,5−ジメチルヘキシルジアセトキシメチルシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミドエチルトリメトキシシラン、1−(メタ)アクリルアミドメチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミドイソプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミドエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)オキシプロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチル(メタ)アクリルアミド)プロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)トリメトキシシラン、ジメチル−3−(メタ)アクリルアミド−プロピル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアンモニウムクロライド、ジメチル−2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアンモニウムクロライド、3−(メタ)アクリルアミドプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルイソブチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミドプロピルイソブチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルモノクロロジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルハイドロジエンジメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルベンジルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミドエチルトリアセトキシシラン、4−(メタ)アクリルアミドブチルトリアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリアセトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミドエチル)アミノプロピルトリアセトキシシラン、2−(N−エチル(メタ)アクリルアミド)エチルトリアセトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルオクチルジアセトキシシラン、1−(メタ)アクリルアミドメチルフェニルジアセトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリプロピオニロキシシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリ(N−メチルアミノエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルメチルフェニルクロロシラン、ビニルジフェニルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−ビニルベンジルアミノプロピルトリエトキシシランビニルメチルジエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメチルイソブトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチル(3−アミノフェノキシ)シラン、ビニルジメチル(4−アミノフェノキシ)シラン、ビニルジメチル(3−メチル−4−クロロフェノキシ)シラン、ビニルジメチル(2−メチル−4−クロロフェノキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシラン等のシリコン系化合物が例示できる。
本発明で使用する架橋剤(c)を不飽和ジカルボン酸類(a)及びアクリルアミド類(b)に加えてさらに重合したアクリルアミド系樹脂[B]することが、サイズ性、接触角の向上おいて好ましい。
さらには不飽和ジカルボン酸類(a)及びアクリルアミド類(b)成分以外にジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びその4級化合物などの共重合可能なカチオン性ビニルモノマー、あるいはノニオン性ビニルモノマーも得られたアクリルアミド系樹脂[B]の相溶性、水溶性を阻害しない程度の量が使用できる。
カチオン性ビニルモノマーとしては、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アルキルジアリルアミン、ジアルキルアリルアミン、ジアリルアミン、アリルアミン等の3級アミノ基、2級アミノ基、1級アミノ基を有するビニルモノマーまたは、それらの塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸などの無機酸ないしは有機酸の塩類、または該3級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、メチルブロマイド等のアルキルハライド、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド等のアラルキルハライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エピクロロヒドリン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルトリアルキルアンモニウムクロライド等の4級化剤との反応によって得られる4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー例えば2−ヒドロキシN,N,N,N',N'−ペンタメチル−N'−[3−{(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ}プロピル]−1,3−プロパンジアミニウムジクロライド等が例示され、これらの一種を単独でまたは二種以上を併用して使用することができる。
ノニオン性ビニルモノマーとしてはアクリロニトリル、メタアクリロニトリル、スチレン、メチルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、2−ヒドロキシエステルまたはグリシジルエステル等が例示され、これらの一種を単独でまたは二種以上を併用して使用することができる。
また、本発明で使用するアクリルアミド系樹脂[B]に重合の前後で尿素類や無機塩などの添加剤を配合することができるけれども、尿素類の存在下で重合することが好ましい。
本発明で用いるアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩[A]の使用量はアクリルアミド系樹脂[B]100重量部に対して0.5〜80重量部であり、5〜30重量部が好ましい。
アクリルアミド系樹脂[B]の反応は適当な重合開始剤を使用し、20〜100℃の温度で、1〜10時間の反応を行う。アクリルアミド類(b)100部に対して、各成分の重量比は、次の通りである。
不飽和ジカルボン酸類(a)の重量比は0.5〜80部、好ましくは5〜30部である。架橋剤(c)の重量比は使用する場合、0.005〜10部、好ましくは0.01〜2部である。
前記アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩[A]とアクリルアミド系樹脂[B]の重量比、並びに前記不飽和ジカルボン酸類(a)、アクリルアミド類(b)および架橋剤(c)の重量比がこの範囲以外の場合は、表面強度及びサイズ性と接触角を十分に向上させることができない場合がある。
本発明において使用する重合開始剤は、特に限定されるものではなく、ラジカル重合開始剤としては過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸水素、第二セリウム塩などの水溶性触媒を全モノマー重量に対して0.01〜5重量%使用することが好ましい。また、ジメチルアミン、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元剤を用いてレドックス重合することも可能である。
また必要に応じて公知慣用の連鎖移動剤を使用してもよい。その種類としてはアリルアルコール、アリルアミン、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムなどのアリル化合物、メルカプトエタノール、チオグリコール酸またはそのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、イソプロピルアルコール、次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の表面塗工剤を含有する塗工液はサイズプレス、ゲートロールコーター、シムサイザーサイズプレス、ブレードコーターあるいはキャレンダー等で紙や板紙に塗工することが好ましい。また、バーコーター、エアーナイフコーター、ナイフコーターなどによっても塗工することができる。
本発明の表面塗工剤を含有する塗工液はあらゆる酸性あるいは中性紙に塗工することができる。酸性あるいは中性紙の種類としては新聞用紙、コート原紙、PCC用紙、インクジェット用紙、フォーム用紙、上質紙、中質紙、コートボール、ライナー、感熱紙等の各種原紙が挙げられ、その中でも新聞用紙原紙、特に中性新聞用紙原紙が好ましい。
原紙の接触角は90°以下が望ましく、原紙の接触角が低いほど本発明の効果が顕著である。なお、本発明でいう接触角はFACE自動・動的接触角計(協和界面科学(株)製)を用いて、2.5μlのイオン交換水を滴下し、1秒後の接触角をいう。
塗工液の吸着量と浸透を調整するために、原紙に内添サイズ剤を適宜使用することが望ましいが、内添サイズ剤は使用しなくても十分なサイズ性を得ることができる。
本発明の表面塗工剤を含有する塗工液に(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)グリセリンなどの粘着防止剤を適宜使用することもできる。
本発明の表面塗工剤を含有する塗工液に離型剤、ネッパリ防止剤、防腐剤、防滑剤、表面サイズ剤、消泡剤、粘度調整剤、防錆剤、染料、撥水剤等の添加剤を加えてもかまわない。また、澱粉類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの高分子化合物と併用すること、他の表面紙質向上または改質剤と併用することも制限されるものではない。
塗工液の固形分濃度は通常0.1〜20%である。
以下に実施例並びに比較例により本発明を具体的に説明する。尚、本発明はこれら各実施例に限定されるものではない。また、以下の各例において、特に断らない限りは部、%は重量部、重量%を意味する。
<アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]の調整例1>
炭素数16で且つ5位以内の位置に二重結合を有する内部オレフィンに無水マレイン酸を付加して得たアルケニルコハク酸無水物100部に水酸化カリウム31.3部を水172部に溶解した溶液を加え、90℃に加温し、酸無水物を溶解させた後、更に水で希釈して濃度40%のアルケニルコハク酸ナトリウム水溶液を得た。これをA−1とする。
<アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]の調整例2>
炭素数8のオレフィンに無水マレイン酸を付加して得たアルケニルコハク酸無水物を使用し、アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]の調整例1と同様に行い40%のアルケニルコハク酸ナトリウム水溶液を得た。これをA−2とする。
<アクリルアミド系樹脂の合成例1>
攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入間をつけた1リットルの四つ口フラスコに水240部50%アクリルアミド水溶液274部、イタコン酸13部、イソプロピルアルコール50部を仕込み60℃に昇温した。次いで、窒素ガス導入下で5%過硫酸アンモニウム水溶液3.8部を添加し、80℃に昇温し、2時間反応させた。得られた生成物に水19部を加え、固形分25.2%、粘度4800mPa・sのアクリルアミド系樹脂を得た。これをB−1とする。
<アクリルアミド系樹脂の合成例2>
アクリルアミド系樹脂(B−1)の調整と同様の装置に水250部50%アクリルアミド水溶液264部、イタコン酸13部、尿素5部、イソプロピルアルコール45部を仕込み60℃に昇温した。次いで、窒素ガス導入下で5%過硫酸アンモニウム水溶液3.8部を添加し、80℃に昇温し、2時間反応させた。得られた生成物に水19部を加え、固形分25.1%、粘度5100mPa・sのアクリルアミド系樹脂を得た。これをB−2とする。
<アクリルアミド系樹脂の合成例3〜7>
アニオン性のビニルモノマーの使用量及び種類を表1の通り適宜変えること以外は合成例1と同様に行いアクリルアミド系樹脂を得た。これをB−3〜B−5、b−1、b−2とする。
Figure 2005105488
表1中の略号
IA :イタコン酸
FA :フマル酸
AA :アクリル酸
AAm :アクリルアミド
MBAAm:メチレンビスアクリルアミド
<アニオン性高分子化合物のアルカリ塩の合成例1>
攪拌器、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、水697重量部、47%ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム水溶液1.9重量部、スチレン51重量部、ノルマルブチルアクリレート51重量部、80%メタアクリル酸水溶液84重量部、α−メチルスチレンダイマー3.4部及び過硫酸カリウム8重量部を加え、窒素気流下で混合攪拌しながら80℃に昇温した後、2時間保持して反応を完結させた。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液106.7重量部(メタアクリル酸に対して100モル%)を加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるスチレン−ノルマルブチルアクリレート−メタアクリル酸共重合体のナトリウム塩水溶液を得た。これをアニオン性高分子化合物のアルカリ塩a−1とする。
<アニオン性高分子化合物のアルカリ塩の合成例2>
アニオン性高分子化合物のアルカリ塩(a−1)の調整と同様の装置に、水100部、95%イソプロピルアルコール75部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を80℃にまで上昇させた。これに、スチレン45部及びアクリル酸55部を混合した単量体混合液と、過硫酸カリウム5部を水120部に溶解した重合開始剤溶液とを3時間で全量滴下させ、その後に2時間熟成させ反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に48%水酸化カリウム水溶液89.2部(アクリル酸に対して100モル%)を加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるスチレン−アクリル酸共重合体の水酸化カリウム水溶液(S−1)を得た。更に、上記調整で得たアニオン性高分子化合物のアルカリ塩(S−1)153部(疎水性モノマー100重量部に対して15重量部)に、水586部、ニューコールN210(日本乳化剤(株)製、アルキルベンゼンスルホン酸塩)8部(2重量部)スチレン102部(疎水性モノマー50重量部)、ノルマルブチルアクリレート102部(疎水性モノマー50重量部)、及び過硫酸アンモニウム0.5部をアニオン性高分子化合物のアルカリ塩(a−1)の調整と同様の装置に加え、窒素気流下で混合攪拌しながら80℃に昇温した後、2時間保持して25%のエマルジョン液を得た。これをアニオン性高分子化合物のa−2とする。
<アニオン性高分子化合物のアルカリ塩の合成例3>
アニオン性高分子化合物のアルカリ塩(a−1)と同様の装置に、トルエン44重量部、ジイソブチレン50重量部、無水マレイン酸50重量部及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.3重量部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を80℃にまで上昇させた。その後3時間保持して反応を完結させた。その後、48%水酸化カリウム水溶液82重量部(無水マレイン酸に対して50モル%)、水251重量部を加え、トルエンを留去した。その後48%水酸化カリウム水溶液を無水マレイン酸に対して合計で100モル%となるように加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のカリウム塩水溶液を得た。これをアニオン性高分子化合物のアルカリ塩a−3とする。
実施例1
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1を100部とアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩[A]の調整例1のA−1を9部混合し、水を加えて合成例1のアクリルアミド系樹脂の固形分濃度が2%の表面塗工剤1を調整した。
実施例2
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1を50部、濃度が10%の蒸煮した酸化デンプン[日本食品化工(株)製、商品名MS−3800]125部とアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]の調整例1のA−1を9部混合し、アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1と酸化デンプンの固形分濃度の総和が2%の表面塗工剤2を調整した。
実施例3
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1を100部、アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]の調整例1のA−1を4.5部と前記アニオン性高分子化合物のアルカリ塩のa−1を9部混合し、水を加えてアクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1の固形分濃度が2%の表面塗工剤3を調整した。
実施例4〜7
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1の代わりにアクリルアミド系樹脂の合成例2〜5で調整したB−2〜B−5を使用した他は実施例1と同様にして固形分濃度が2%の表面塗工剤4〜7を調整した。
実施例8
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1を100部とアルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩[A]の調整例2のA−2を9部混合し、水を加えてアクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1の固形分濃度が2%の塗工液を調整した。
比較例1〜2
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1の代わりにアクリルアミド系樹脂の合成例6〜7で調整したb−1〜b−2を使用した他は実施例1と同様にして固形分濃度が2%の比較例用表面塗工剤1〜2を調整した。
比較例3
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1を100部と前記アニオン性高分子化合物のアルカリ塩のa−2を14.4部混合し、水を加えてアクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1の固形分濃度が2%の比較例用表面塗工剤3を調整した。
比較例4
アクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1を100部と前記アニオン性高分子化合物のアルカリ塩のa−3を18部混合し、水を加えてアクリルアミド系樹脂の合成例1のB−1の固形分濃度が2%の比較例用表面塗工剤4を調整した。
Figure 2005105488
実施例9
上記で調整した表面塗工剤1を未塗工中性新聞用紙(接触角46.6°、坪量45[g/m])にブレードを用いて片面塗工し、回転ドラムドライヤーで90℃、1分にて乾燥を行った。乾燥後、23℃、相対湿度50%RHの恒温恒湿環境下で24時間調湿し、その後各種評価試験を行った。結果を表3に示す。
実施例10〜16、比較例5〜9
表面塗工剤1の代わりに表3のように表面塗工剤2〜8、比較例用表面塗工剤1〜4、水を用いた以外は実施例9と同様に行い、各種評価試験を行った。結果を表3に示す。
<塗工量>
塗工直後の重量を測定し、塗工直後の重量から塗工前の重量を差し引いた単位面積あたりで表示した。
評価試験は以下の方法で行った。
<表面強度の評価試験>
ドライピック;RI印刷試験機、ニップ幅10mm、FINE INK(大日本インキ化学工業(株)製)インキT.V=20を用いて印刷後の紙剥け状態を肉眼で観察し、5を優、1を劣として5段階評価を行った。
<サイズ度の評価試験>
(1)ドロップテスト(秒);J.TAPPI 33(1μl)に準じて行った。
(2)接触角:FACE自動・動的接触角計を用いて、2.5μlのイオン交換水を滴下し、1秒後の接触角を測定した。
(3)コブサイズ度:JIS P−8140(120秒)に準じて行った。
Figure 2005105488
表3の試験結果からも明らかなように、実施例はいずれも、表面強度に優れ、且つ優れたサイズ性と高い接触角を示した。
実施例17
表2で調整した塗工液を接触角97.7°の中性原紙(坪量64[g/m])にサイズプレスを用いて両面塗工し、回転ドラムドライヤーで90℃、1分にて乾燥を行った。乾燥後、23℃、相対湿度50%RHの恒温恒湿環境下で24時間調湿し、その後各種評価試験を供した。結果を表4に示す。
実施例18、比較例10〜12
表面塗工剤1の代わりに表4のように表面塗工剤5、比較例用表面塗工剤2,3、水を用いた以外は実施例17と同様に行い、各種評価試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 2005105488
表4の試験結果からも明らかなように、実施例はいずれも、表面強度に優れ、且つ優れたサイズ性と高い接触角を示した。

Claims (6)

  1. アルキルもしくはアルケニル置換コハク酸塩 [A]と、不飽和ジカルボン酸類(a)とアクリルアミド類(b)を反応して得られるアクリルアミド系樹脂[B]を含有することを特徴とする表面塗工剤。
  2. 不飽和ジカルボン酸類(a)がイタコン酸及び/又はその塩であることを特徴とする請求項1の表面塗工剤。
  3. アクリルアミド系樹脂[B]が架橋剤(c)を使用していることを特徴とする請求項1または2記載の表面塗工剤。
  4. 前記請求項1ないし3の何れか一項に記載の表面塗工剤を塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
  5. 接触角が90°以下である原紙に前記請求項1ないし3の何れか一項に記載の表面塗工剤を塗工することを特徴とする塗工紙の製造方法。
  6. 塗工紙が中性新聞用紙であることを特徴とする請求項4又は5の塗工紙の製造方法。
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