JP2005105239A - 耐水・耐熱性接着剤 - Google Patents

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敬 菅井
Joji Sato
襄二 佐藤
Takashi Imada
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MARUHI KK
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Abstract

【目的】 木質系建築部材を製造する為に使用される接着剤の製造方法を提供する。
【構成】
ゴム・ラテックス(a)と加硫剤(加硫促進剤を含む)(b)および有機ポリイソシアネート化合物(c)の三成分から成り立つ接着剤を混合して使用するにあたり、(a)/(b)/(c)の重量比率は100/0.1〜10/10〜40の範囲内である事か望ましい。(a)100を基準にすると(c)は10より少ないと接着力が落ちる。40より多いと接着剤の粘度やポットライフに影響が出る。
【選択図】 なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の属する技術分野]
建築部材に使用されている「合板」(俗称ベニヤ板、プライウッド)、単板積層板(LVLと略す)、パーテイクルボード(以下PBと表す)および繊維板(フアイバーボードの事、以下FBと表す)等を製造する時、使用される接着剤はそれらの性能によって日本農林規格(JASと表す)および日本工業規格(JISと表す)で決められている。
それ等の接着剤の性能の中で特に重要なのは
1 接着剤の中に含まれている遊離ホルムアルデヒドの含有量
2 木材引張せん断接着
本発明は、1 接着剤の中に含まれている遊離ホルムアルデヒドの含有量をゼロとした事である。遊離ホルムアルデヒドの含有量は2の木材引張せん断接着と深い関係があり、特に「煮沸繰り返し」項目では優れた性能を示した。
[従来の技術]
従来より、合板、LVL、PBおよびFBを製造する為に使用される接着剤はユリア樹脂系、メラミン・ユリア共縮合樹脂系、フエノール樹脂系や有機ポリイソシアネート系接着剤が主体であった。
これら接着剤のうち有機ポリイソシアネート系接着剤以外の接着剤は原料としてホルムアルデヒドを使用しており、厚生労働省は平成15年7月末時点で(所謂、VOC規制)0.08ppm(室内濃度指針値)以下になるように接着剤中のホルムアルデヒド含有量を規定している。
この為、接着剤中のホルムアルデヒド含有量を出来るだけ少なくする様にすると接着剤の粘度が変わってしまうばかりでなく、接着力も所定の数値が得られにくくなり、保存性も悪くなり接着剤メーカーばかりか、それ等の接着剤を使うユーザーも困っている。
また、VOC規制で室内濃度指針値(0.08ppm)以下と言っても接着剤中の遊離ホルムアルデヒド含有量との関係は一定の相関関係はない。その恐れを排除する為、接着剤中の遊離ホルムアルデヒド含有量は多少多くても製造した合板、LVL、PBおよびFB等に二次加工(ヒドラジン系のホルマリン吸収剤等を含侵したり塗布する)してVOC規制をクリヤーしている。
もうひとつの有機ポリイソシアネート系接着剤はその中にイソシアネート基(〜NCO基)基と言う極めて活性水素と化合し易い反応基を持っており、活性水素を持つ水分、木材中のセルローズや蛋白質等と容易に化学反応する。
この性質を利用して木材の接着剤として利用するが空気中の湿分とも容易に反応してしまうので、その取扱には十分に注意しないと有機ポリイソシアネート系接着剤の性能を十分に引き出せない。
[発明が解決しようとする課題]
本発明は、建築部材に使用されている合板、LVL、PBおよびFB等を製造する時、使用される接着剤構成に関する事である。
接着剤構成は
1 ジエン系ゴムラテックスおよび変性体
天然ゴム(NR)系は主に東南アジアから輸入される。通常、不揮発分は約60%前後のアンモニア性エマルジョンとして輸入されている。
合成ゴム系にはクロロプレン(CR)系、スチレン・ブタジエン(SBR)系、ニトリル・ブタジエン(NBR)系やブタジエン(BU)系ラテックスがある。通常不揮発分は約40〜60%ぐらいの製品である。
これ等ジエン糸ゴムラテックスを単独で使用する以外に分子中に存在する不飽和結合部分(−C=C−)にMMAを0〜50phr(ゴム分100重量部に対する重量比率)、好ましくは10〜40phr付加重合させた「MMA変性ゴムラッテクス」
2 硫黄系、その他の加硫剤(加硫促進剤を含む。)
上記1のジエン系ゴムラテックスおよび変性体の耐熱性、対熱水性および耐久性を向上させる為に、その中に添加する物質である。
具体的には
硫黄(粉末硫黄:200〜600メッシ。沈降硫黄:平均粒子径が1〜5μの為混ざりやすい。高分散性硫黄(コロイド硫黄):平均粒子径が1〜3μの沈降性が小さくラッテクスと混合し易い。)を普通はゴム・ラテックスに1〜4phr添加で良い。
チウラム類(テトラメチルチウラム・ジサルフアイド、テトラエチルチウラム・ジサルフアイド、テトラブチルチウラム・ジサルフアイド類)も2〜5phr添加する事によって接着剤の性能を改善できる。
モルフオリン・ジサルフアイド、使用前には毒性がややあるが塩化硫黄は加硫速度が速いので使える。促進剤としてはチアゾール類が一般的で加硫中に酸性を示すから、塩基性化合物(例えば、ヘキサメチレン・テトラミン、ジフエニール・グアニジン、トリエタノールアミン等)を添加する事により活性化され、加硫が早くなり引張り強さ、引張り応力、硬度の大きい接着層が出来る。
天然ゴム(NR)系ラッテクスには0.8〜1.2phr、合成ゴム系ラッテクスにはそれより30〜50%多く添加する。尚、NRラテックス等に炭酸カルシウム、カーボンブラック、亜鉛華やクレー等の補強剤や充填剤を加えると反応性が変わってくる。
促進剤としてジチオカルバミン酸塩類、スルフエンアミド類も使う事が出来る。チアゾール類よりも加硫の速度が早いので、加硫物性も良く耐久性、永久伸びも良い。
3有機ポリイソシア化合物
工業的にTDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフエニルメタン4.4’−ジイソシアネート)やHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)の複合物であるTDI三量体、ポリメリックMDIやHDI三量体。およびこれらの化合物とポリエーテル、ポリエステル、アルコールと反応させて合成した化合物の一分子中にイソシアネート基(〜NCO基)を1〜4以上含有している有機ポリイソシア化合物
の三種類からなる。
[課題を解決するための手段]
即ち、本発明は[0003]で説明した接着剤構成物(1、2および3)を組合せて製造した接着剤を使って製造される合板、LVL、PBおよびFBは遊離ホルムアルデヒドを全く含まない。JIS規格およびJAS規格が定めた耐熱水性、その他の諸物性値をクリヤーする事が出来た。
[発明の実施の影響]
本発明を実施するにあたり合板、LVL、PBおよびFBを製造する諸設備のうち、従来設備(接着剤各成分を混合、攪拌する釜等、接着剤を単板、合板、木屑や繊維等に塗布、含侵させる装置)をそのまま転用出来る。
その他、後工程に使用されるプレス機、乾燥機等は従来の設備をそのまま使用出来るので、新たな設備投資は必要ない。
[発明の効果]
請求項目1、2に基づいた実施例を上げてみる。
実施例 I
REB−107S
(株)レヂテックス製の20%MMAグラフト重合したNRゴム・ラッテクスでコロイド硫黄を1重量%をあらかじめ分散させてある。
外 観 乳白色液体
不揮発分(wt%) 50±2
粘 度(mP’ s/20℃) 20〜80rpm
P H 9.0〜10.5
接着剤の配合 重量部
REB−107S 90
添 加 水 10
JL−05E(25%水溶液) 0.5(日本酢ビ・ポバール(株)製のポバール水溶液。粘度調整剤)
炭酸カルシウム(50%水分散体) 20 (水に分散させる。増量剤。)
ミリオネートMR−200 10 (日本ポリウレタン工業(株)製のMDI。接着硬化剤。)
上記の攪拌混合物の粘度は3,200〜3,700mPa’s/30℃(混合直後〜60分後)と合板やLVLを製造するのに適してあった。
試験片の作り方
樹種:広葉樹(メランチ) 表:0.7mm 裏:0.7mm 芯:2.6mm
合板の厚さ:4.0mm(3プライ:三枚貼り合わせ)
接着剤塗布量:芯材に片面:15g/尺 両面で30g/尺塗布した。
プレス条件
冷圧条件 :20分×10kg/cm
熱圧条件
プレス時間 :1分20秒
プレス盤表面温度:120℃(設定温度)
試験法はJIS K6805に規定された「煮沸繰り返し」試験法に基づく。
試験は試験片作製後、一週間後に行った。
試験結果は表1に掲げた。
実施例 II
REB−108S
(株)レヂテックス製の30%MMAグラフト重合したNRゴム・ラッテクス▲1▼とコロイド硫黄を0.5重量%をあらかじめ分散▲2▼させてある。
外 観 乳白色液体
不揮発分(wt%) 50±2
粘 度(mPa’ s/20℃) 3〜60rpm
P H 9.0〜10.5
接着剤の配合 重量部 重量部
▲1▼ ▲2▼
REB−108S 90 90
添 加 水 10 10
高分散性硫黄(平均粒子径:1〜3μ) 0 0.5
JL−05E(25%水溶液) 0.5 0.5
炭酸カルシウム(50%水分散体) 20 20
ミリオネートMR−200 10 10
上記の攪拌混合物の粘度は3,200〜3,700mPa’ s/30℃(混合直後〜60分後)と合板やLVLを製造するのに適してあった。
試験片の作り方
樹種:針葉樹(ラジアータパイン)
表:2.0mm 裏:2.0mm 芯:3.2mm
合板の厚さ:7.2mm(3プライ:三枚貼り合わせ)
接着剤塗布量:芯材片面:15g/尺 両面で30g/尺塗布した。
プレス条件
プレス時間:2分20秒
プレス盤表面温度:120℃(設定温度)
試験法はJIS K6805に規定された「煮沸繰り返し」試験法に基づく。
試験は試験片作製後、一週間後に行った。
Figure 2005105239
Figure 2005105239
[発明の効果]
本発明のゴム系のラッテクス類と加硫物および有機ポリイソシアネート化合物の併用による木質系建築資材を製造するための接着剤は表1および表2に示すように耐水・耐熱性等の耐久性に貢献した。

Claims (2)

  1. 1 使用する接着剤の主成分である天然ゴム、合成ゴム等のラテックス・エマルジョンと
    2 天然ゴム、合成ゴム中の不飽和結合部分(たとえば−C=C−、−N=N−等)と付加反応し易い硫黄およびまたは硫黄を含む化合物や混合物を配合してなる接着剤組成物を
    3 有機ポリイソシアネート化合物と混合し加熱する事により、接着硬化させる接着剤
  2. 1 使用する接着剤の主成分である天然ゴム、合成ゴム等のラテックス・エマルジョンにMMA(メチールメタアクリレート)を0〜50重量%、望ましくは10〜40重量%付加重合させた天然ゴム、合成ゴム等のラテックス・エマルジョンと
    2 上記の天然ゴム、合成ゴム中の不飽和結合部分(たとえば−C=C−、−N=N−等)と付加反応し易い硫黄およびまたは硫黄を含む化合物や混合物を配合してなる接着剤組成物を
    3 有機ポリイソシアネート化合物と混合し加熱する事により、接着硬化させる接着剤
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