JP2005105101A - 多孔質ポリオレフィン、その製造方法 - Google Patents

多孔質ポリオレフィン、その製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 機能性成分に対する含有能力の優れる多孔質ポリオレフィン、機能性成分を高含有率で含有する多孔質ポリオレフィン、及び多孔質ポリオレフィンの製造方法を提供する。
【解決手段】 室温で固体のポリオレフィンと液体のポリブテンとの分散液を加熱して、ポリブテンをポリオレフィンに含浸した後、該ポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去することにより得られる多孔質ポリオレフィン。多孔質ポリオレフィンに機能性成分を含有させた機能性成分含有ポリオレフィン。
【選択図】 なし

Description

本発明は、機能性成分に対する含有能力の優れる多孔質ポリオレフィン、機能性成分を高含有率で含有する多孔質ポリオレフィン、及び多孔質ポリオレフィンの製造方法に関する。
ポリオレフィンは、機械的強度や耐熱性などの優れた特性を持つ材料であり、また、製品形状において、固形品、中空品、フィルム、テープ、紡糸や粒子など幅広く成形可能であるため、家庭用品、電子材料、自動車関連部品や包材など多方面に使用されている。
ポリオレフィン粒子に機能性成分を含有できると、さらに用途が広がる。しかし、ポリオレフィンは官能基を持たないため、他の材料を含有させる場合には抜本的な改良が必要となる。改良法の一例としては、例えば、無水マレイン酸のような単量体をグラフト化することにより極性を持たせる方法が知られている。しかしながら、他の材料あるいはその反応物が材料中に残存することが多く、ポリオレフィンそのものの劣化やそのリサイクルの面で問題があった。
一方、ポリオレフィンを表面処理し多孔質にすると、機能性成分の含有量を増やすことができる。各種の表面処理による方法としては、固体ポリマーの表面を研磨によって粗面化する方法、酸化炎で火炎処理する方法、コロナ放電により処理する方法や加熱下で溶剤に浸漬する方法などが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
しかしながら、これらの表面処理法は改質できる範囲がポリマーの表面近くに限定されているため、他の成分を含有できる量は十分ではなく、また、溶剤を使用する場合、残存溶媒の安全性などの付随した問題があった。
また、多孔質ポリマ−の製造方法として、熱可塑性プラスチックと相溶性の液体とを200℃付近まで加熱して完全な均一溶液状態にしてから冷却することにより多孔質ポリマ−を製造する方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、高沸点の酸、アルコール、アミン、エステルや、芳香族炭化水素などの極性溶剤を用いて高温まで昇温させるため、溶剤の劣化の問題や残留溶剤の除去といった処理が必要である上に、多孔質ポリマ−の形状はフィルムやブロック形状のポリマーに限定されている。
米国特許第4247498号明細書(29〜30欄) 高木謙行、佐々木平三編著「ポリプロピレン樹脂」日刊工業新聞社、昭和44年11月30日発行、P216
本発明の目的は、機能性成分に対する含有能力の優れる多孔質ポリオレフィン、機能性成分を高含有率で含有する多孔質ポリオレフィン、及び多孔質ポリオレフィンの製造方法を提供することにある。
第1の発明は、室温で固体のポリオレフィンと液体のポリブテンとの分散液を加熱して、ポリブテンをポリオレフィンに含浸した後、該ポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去することにより得られる多孔質ポリオレフィンである。
第2の発明は、ポリブテンの含浸量がポリオレフィン100重量部に対して20〜300重量部である第1の発明の多孔質ポリオレフィンである。
第3の発明は、ポリブテンの数平均分子量が100〜3000の範囲である第1又は2の発明の多孔質ポリオレフィンである。
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明の多孔質ポリオレフィンに機能性成分を含有させた機能性成分含有ポリオレフィンである。
第5の発明は、機能性成分が有機過酸化物である第4の発明の機能性成分含有ポリオレフィンである。
第6の発明は、機能性成分が60℃以上の10時間半減期温度を有する有機過酸化物である第4の発明の機能性成分含有ポリオレフィンである。
第7の発明は、下記の1〜3工程を順次行うことを特徴とする多孔質ポリオレフィンの製造方法である。
工程1:室温で固体のポリオレフィンを液体のポリブテンに分散し分散液を製造する工程。
工程2:工程1で製造した分散液を加熱してポリオレフィンにポリブテンを含浸させポリブテン含浸ポリオレフィンを製造する工程。
工程3:工程2で製造したポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去して多孔質ポリオレフィンを製造する工程。
第1の発明により、機能性成分に対する含有能力の優れた多孔質ポリオレフィンを提供できる。
第2の発明は、第1の発明におけるポリブテンの含浸量を特定の範囲とするので、機能性成分に対する含有能力がより優れた多孔質ポリオレフィンを提供できる。
第3の発明では、第1又は第2の発明におけるポリブテンの分子量を特定の範囲とするので、機能性成分に対する含有能力がより優れた多孔質ポリオレフィンを提供できる。
第4の発明により、高含有率で機能性成分が含有された多孔質ポリオレフィンを提供できる。
第5の発明により、有機過酸化物が高含有率で含有された多孔質ポリオレフィンを提供できる。この多孔質ポリオレフィンはポリオレフィンへの有機過酸化物の添加時のマスターバッチとして使用できる。
第6の発明により、60℃以上の10時間半減期温度を有する有機過酸化物が高含有率で含有された多孔質ポリオレフィンを提供できる。この多孔質ポリオレフィンはポリオレフィンへの有機過酸化物の添加時のマスターバッチとして使用できる。
第7の発明により、機能性成分に対する含有能力の優れた多孔質ポリオレフィンの製造方法を提供できる。
本発明の多孔質ポリオレフィンは、原料である室温で固体のポリオレフィンを液体のポリブテンに分散し、これを加熱してポリブテンをポリオレフィンに含浸した後、このポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去することにより得られる多孔質ポリオレフィンである。
具体的には、下記の1〜3工程を順次行うことを特徴とする多孔質ポリオレフィンの製造方法から得られる多孔質ポリオレフィンである。
工程1:室温で固体のポリオレフィンを液体のポリブテンに分散し分散液を製造する工程。
工程2:工程1で製造した分散液を加熱してポリオレフィンにポリブテンを含浸させポリブテン含浸ポリオレフィンを製造する工程。
工程3:工程2で製造したポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去して多孔質ポリオレフィンを製造する工程。
本発明において、原料に使用するポリオレフィンは室温で固体であり、形態は、例えば、粉体、粒状、チューブやフィルム状のものでもよい。ポリオレフィンは室温で固体であれば特に限定されないが、紛体あるいは粒状が好ましい。ポリオレフィンの融点は、60℃以上のものが好ましく、100℃以上のものが特に好ましい。融点が低いと、製造される多孔質ポリオレフィンが固着し易くなる傾向にある。ポリオレフィンの粒径は0.1〜5000μmが適している。その粒径が、0.1μm未満では得られる多孔質ポリオレフィンが固着し易くなる傾向にあり、5000μmを超えるとポリブテンの含浸に長時間を要してしまう。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレンとエチレンとの共重合体、エチレンと長鎖オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、ポリ4−メチルペンテン、ポリイソブチレンゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられ、これらの単独ないし2種以上の混合物として使用される。
これらの中では、加熱時における熱安定性の点から、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で他のポリマーや無機物を配合した混合物を原料とすることもできる。
本発明おいて、ポリオレフィンに含浸するため、使用できるポリブテンは室温で液体であるポリブテンである。ポリブテンは、分子量によって低粘性から高粘性までの幅広い特性をもった液体材料であり、広範囲な用途に使用されている。例えば、溶剤、潤滑剤、絶縁剤、粘着剤、離型剤、可塑剤だけではなく、その高い安全性に帰因して、化粧料、医薬部外品、食品添加物にも使用されている。
具体的には、例えば、低分子量のイソブチレン単独重合体、イソブチレンとその異性体との共重合体、イソブチレンと他のオレフィンとの共重合体である。ここで、他のオレフィンとしては1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンなどが挙げられる。
なお、これらのポリブテンは、水素添加されて飽和化されていることが好ましい。水素添加された水添ポリブテンは熱や光による酸化劣化を受けにくいため、多孔質ポリオレフィンの製造工程において安定であり、本発明の使用に好ましい。
ポリブテンの数平均分子量は、通常100〜3000、好ましくは110〜2500である。数平均分子量が100未満の場合は沸点が低いため加熱処理に適しておらず、数平均分子量が3000を超える場合には原料に使用するポリオレフィンへの含浸性が低下することになる。
ポリブテンの分子量は、例えば、重合触媒として塩化アルミニウムを用いる製造方法の場合、塩化アルミニウムの添加量や反応温度を調整することにより低粘度の軽質ポリブテンから高粘度の液体ポリブテンまで製造できるので、適宜、選択できる。
本発明において、多孔質ポリオレフィンを製造する際に、原料である室温で固体のポリオレフィンを液体のポリブテンに分散するが、ポリブテン100重量部に対するポリオレフィンの添加量は、通常2〜200重量部、好ましくは5〜100重量部である。
ポリオレフィンの添加量が2重量部未満の場合にはポリブテンが過剰となり、生産効率上、それに見合う効果は得られず、添加量が200重量部を超える場合にはポリブテンのポリオレフィンへの含浸効果が充分でなく、目的の多孔質ポリオレフィンの製造に適さなくなる。
分散は、室温で攪拌機で混合する方法、ロールやニーダー等で混練法して行う。
なお、本発明ではポリブテンを使用する点に特徴を有するが、必要に応じて他の溶媒を併用することもできる。
他の溶媒としては、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられ、これらは単独または2種以上の混合系で使用することができる。
他の溶媒の使用量は、溶媒の種類にもよるが、ポリブテン100重量部に対して5〜500重量部の範囲が適している。
本発明において、多孔質ポリオレフィンを製造する際に、前述した室温で固体のポリオレフィンと液体のポリブテンとの分散液を加熱するが、加熱時の温度は、ポリオレフィンが固体状態を維持して、固液分散状態を保つような温度範囲であればよく、通常40〜200℃、好ましくは70〜150℃である。加熱時の温度が40℃より低いと、製造される多孔質ポリオレフィンの機能性成分の含有量が低下してしまい、200℃を超えると製造される多孔質ポリオレフィンが固着状態になり易くなる。
加熱時間は、30分〜24時間の範囲であることが好ましい。30分より短かい場合ば、製造される多孔質ポリオレフィンの機能性成分の含有量は低下し、24時間を超えても製造される多孔質ポリオレフィンの性状に影響はない。
加熱により、ポリブテンはポリオレフィンに含浸されるが、ポリブテンの含浸量はポリオレフィン100重量部に対して20〜300重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜250重量部である。20重量部未満では、製造される多孔質ポリオレフィンの機能性成分の含有量が低下し、300重量部を超えると製造される多孔質ポリオレフィンは固着状態になり易くなる。
なお、ポリブテンの含浸量は、原料ポリオレフィンの含浸前後の重量変化により容易に測定できる。
本発明において、多孔質ポリオレフィンを製造する際に、ポリオレフィンからポリブテンを除去する。除去方法としては特に限定されないが、例えば、濾過分離する方法、真空乾燥により除去する方法、溶剤で洗浄する方法がある。
洗浄溶剤としては、アセトン、トルエン、ヘキサン等が使用できるが、アセトンは揮発性が高く、使用に適している。
なお、例えば、機能成分がポリブテンの場合などポリブテンを除去する必要がない場合もあり、除去の程度は多孔質ポリオレフィンの使用目的に応じて適宜選択することができる。多孔質ポリオレフィンにポリブテンが残留していても、ポリブテンの安全性が高いため、化粧料などの用途において使用することができる。
本発明で得られる多孔質ポリオレフィンは粉体ないし粒状の形態であれば、優れた含油性を有しているため、機能性成分をより高含有率に含有させることができる。
粉体の粒子径の範囲は、通常0.1〜5000μm、好ましくは1〜3000μmである。粒子径の範囲が0.1μm未満の場合、機能性成分を含有後の濾別分離作業が困難となり、粒子径の範囲が5000μmを超える場合には加熱処理に多大な時間が必要となったり、原料のポリオレフィンの粒径が大きくなるため、ポリブテンの含浸が十分行なうことができず機能性成分の含有率が低くなる。
前記機能性成分は、多孔質ポリオレフィンに機能を付与する成分であり、油性成分であり、例えば、炭化水素類、アルコール類、芳香族化合物、有機過酸化物、ハロゲン化物、エステル化合物、有機酸、酸無水物、エーテル化合物、シリコーン油などの石油化学工業薬品;植物性油脂、動物性油脂、ロウ、パラフィン、ワセリン、脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコールなどの天然由来の油性材料;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロック共重合体、シリコン、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルとの共重合体などの他の高分子、そしてその他にも紫外線吸収剤、酸化安定剤、防腐・殺菌剤、着色剤、香料、薬剤又はこれらの混合物などを挙げることができる。
また、本発明の機能性成分含有多孔質ポリオレフィンは、作業性に課題のある機能性成分を取扱う場合に有効である。例えば、危険性の高い有機過酸化物や刺激性の強い樹脂添加剤をポリオレフィンなどのベースポリマーに添加するような作業において、これを本発明の多孔質ポリオレフィンに含浸させてこれに含有させると、マスターバッチの形態でベースポリマーに添加することができる。
このような目的に使われる機能性成分としては有機過酸化物や反応型単量体が挙げられる。
前者の有機過酸化物の例としては、例えば、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−n−ブチルカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどのペルオキシカーボネート類;t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5トリメチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシベンゾエート、t−ヘキシルペルオキシベンソエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサネート、t−アミルペルオキシイソブチレート、t−ヘキシルペルオキシイソブチレートなどのペルオキシエステル類;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;α、α´−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパ−オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3などのジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−イソプロピルベンセンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類が挙げられる。なかでも、10時間半減期温度が60℃以上である有機過酸化物は、多孔質ポリオレフィンに含浸させた場合より安定で使用に好ましい。
また、後者の反応型単量体の例としては、例えば、無水マレイン酸、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
その他の使用方法としては、保湿成分、エモリエント成分、油性成分や紫外線吸収成分を本発明の多孔質ポリオレフィンの微粒子に含有させた化粧品材料としても使用することができるし、香料などを含有させれば芳香剤などに使用することもできる。
多孔質ポリオレフィンに対する機能性成分の含有量は、用途によって異なるが、通常、多孔質ポリオレフィン100重量部に対して200重量%以下であり、好ましくは0.001〜100重量部である。含有量が200重量%を超えるように機能性成分を含有させることは困難な場合が多い。
本発明において、多孔質ポリオレフィンに機能性成分を含有させて機能成分含有多孔質ポリオレフィンを得る方法は、含浸、攪拌、混練などの通常の方法によって行なわれ、特に限定されない。ここで、含浸させる温度は、通常−20〜250℃、好ましくは20〜200℃である。
また、機能性成分を含有した多孔質ポリオレフィンは、必要に応じて濾過などの分離する方法により含有されなかった余分な機能性成分を除去することができる。
実施例および比較例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
ポリプロピレン(商品名:MA5Q、日本ポリケム(株)製、融点162℃(JIS K 6921−2にて測定)、粒子径の範囲:1〜2000μm)100gおよびポリブテン(商品名:NAS−3、日本油脂(株)製、数平均分子量:172)200gを、攪拌機およびコンデンサーを備えた500ミリリットルのフラスコに入れ、撹拌(攪拌速度:500rpm)した。固液分散状態を保ちながら加熱し、温度を150℃とし、1時間、この状態を維持した。
処理後、含浸されなかった余分なポリブテンを濾別した。ポリブテンの含浸量をポリオレフィンの重量増加量より算出したところ、53g(ポリオレフィン100重量部に対して53重量部)であった。
その後、アセトンでポリブテンを洗浄しこれを除去した後、60℃で12時間をかけて真空乾燥することにより多孔質ポリプロピレンを得た。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:1〜2000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ、38.3重量%であった。
実施例2
原料のポリプロピレンに、ポリプロピレン(商品名:NP055、三井化学(株)製、融点136℃、粒子径の範囲:0.5〜1000μm)100gを用いた以外、実施例1と同様にして多孔質ポリプロピレンを得た。
ポリブテンの含浸量は、173g(ポリオレフィン100重量部に対して173重量部)であった。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ43.8重量%であった。
実施例3
含浸させるポリブテンにポリブテン(商品名:パールリーム−4、日本油脂(株)製、数平均分子量:230)200gを用いた以外、実施例1と同様にして多孔質ポリプロピレンを得た。
ポリブテンの含浸量は、45g(ポリオレフィン100重量部に対して45重量部)であった。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:1〜2000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ
34.1重量%であった。
実施例4
含浸させるポリブテンにポリブテン(商品名:パールリーム−4、日本油脂(株)製、数平均分子量:230)200gを用いた以外、実施例2と同様にして多孔質ポリプロピレンを得た。
ポリブテンの含浸量は、153g(ポリオレフィン100重量部に対して153重量部)であった。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したとこる
44.3重量%であった。
実施例5
原料のポリオレフィンとしてポリエチレン(商品名:三菱ポリエチ−HY330、三菱化学(株)製、融点133℃、粒子径の範囲:1000〜3000μm)を用いた以外、実施例1と同様にして多孔質ポリエチレンを得た。
ポリブテンの含浸量は、40.1g(ポリオレフィン100重量部に対して40.1重量部)であった。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリエチレン(粒子径の範囲:1000〜3000μm)を得た。
多孔質ポリエチレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ、38.6重量%であった。
実施例6
実施例1で得られた多孔質ポリプロピレン50gに対して機能性成分としての有機過酸化物(商品名:パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3)30gを加え、20℃で10分間、撹拌し有機過酸化物を含浸させた後、濾別し有機過酸化物含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:1〜2000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対する有機過酸化物の含有率を重量増加率より算出したところ、32.3重量%であった。
ポリプロピレン(三井化学(株)製JHH)100gをラボプラストミル(東洋精機(株)製)で押出し温度190℃、回転数100rpmの条件下MFRを測定した。その結果、MFR[(g/10分間)は4.7であった。そこで、ポリプロピレンの流動性を過酸化物で改質するため、前記パーヘキシン25B含有ポリプロピレンを0.1gをさらに添加してMFRを調べた。その結果、MFRは25.3と流動性が向上したことが確認された。
実施例7
実施例7で得られた多孔質ポリプロピレン50gに対して機能性成分としての有機過酸化物(商品名:パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3)30gを加え、20℃で10分間、撹拌し有機過酸化物を含浸させた後、濾別し有機過酸化物含有ポリポリピレン(粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対する有機過酸化物の含有率を重量増加率より算出したところ、47.2重量%であった。
三井化学(株)製EPDMゴムに、前記パーヘキシン25B含有ポリプロピレン3重量%、カーボンブラック30重量%、ステアリン酸0.5重量%、及び酸化亜鉛5重量%を加えて、180℃で30分間プレス架橋した。その後、JISK6251に準拠し、引張試験を行った。その結果、破断強度17.5MPa、破断伸び280%であった。一方、過酸化物を添加しない場合は、各々9.3MPa、530%と柔軟性の高いゴム材であった。
実施例8
実施例1で得られた多孔質ポリプロピレン50gに対して機能性成分としてのポリエチレングリコール(商品名:PEG600、日本油脂(株)製)100gを加え、20℃で10分間、撹拌しポリエチレングリコールを含浸させた後、濾別し有機過酸化物含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:1〜2000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対するポリエチレングリコールの含有率を重量増加率より算出したところ、27.6重量%であった。
実施例9
実施例2で得られた多孔質ポリプロピレン50gに対して機能性成分としてのポリエチレングリコール(商品名:PEG600、日本油脂(株)製)100gを加え、20℃で10分間、撹拌しポリエチレングリコールを含浸させた後、濾別し有機過酸化物含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を得た。
多孔質ポリプロピレンに対するポリエチレングリコールの含有率を重量増加率より算出したところ、38.5重量%であった。
比較例1
ポリプロピレン(商品名:MA5Q、日本ポリケム(株)製、融点162℃(JIS K 6921−2にて測定)、粒子径の範囲:1〜2000μm)50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを含浸(温度:室温、攪拌時間:30分間)させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:1〜2000μm)を得た。
ポリプロピレンに対するシリコン油の含有率を重量増加率より算出したところ、1.1重量%であった。
比較例2
ポリプロピレン(商品名:NP055、三井化学(株)製、融点136℃、粒子径の範囲:0.5〜1000μm)50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を得た。
ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ、1.5重量%であった。
比較例3
ポリブテンのかわりにアセトンを使用した以外、実施例1と同様にしてポリプロピレン(商品名:MA5Q、日本ポリケム(株)製、融点162℃(JIS K 6921−2にて測定)、粒子径の範囲:1〜2000μm)を処理した。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:1〜2000μm)を得た。
ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ、0.7重量%であった。
比較例4
ポリブテンのかわりにアセトンを使用した以外、実施例2と同様にしてポリプロピレン(商品名:NP055、三井化学(株)製、融点136℃、粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を処理した。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を得た。
ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ、0.5重量%であった。
比較例5
ポリブテンのかわりにキシレンを使用した以外、実施例1と同様にしてポリプロピレン(商品名:MA5Q、日本ポリケム(株)製、融点162℃(JIS K 6921−2にて測定)、粒子径の範囲:1〜2000μm)を処理した。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコーン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:1〜2000μm)を得た。
ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ、17.6重量%であった。
比較例6
ポリブテンのかわりにアセトンを使用した以外、実施例2と同様にしてポリプロピレン(商品名:NP055、三井化学(株)製、融点136℃、粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を処理した。
その50gに対して機能性成分としてのシリコーン油(商品名:KF96、信越化学(株)製)100gを加え、室温で30分間、撹拌しシリコーン油を含浸させた後、濾別しシリコン油含有ポリプロピレン(粒子径の範囲:0.5〜1000μm)を得た。
ポリプロピレンに対するシリコーン油の含有率を重量増加率より算出したところ、28.5重量%であった。
以上、実施例および比較例の結果より、本発明の製造方法で得られる多孔質ポリオレフィンは、シリコーン油、有機過酸化物、ポリエチレングリコールなどの機能性成分を高含有率で含有できることがわかった。
有機過酸化物であるパーヘキシン25Bを含有した多孔質ポリオレフィンを、マスターバッチの形態でポリプロピレンに添加すると、ポリプロピレンを改質できることがわかった。

Claims (7)

  1. 室温で固体のポリオレフィンと液体のポリブテンとの分散液を加熱して、ポリブテンをポリオレフィンに含浸した後、該ポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去することにより得られる多孔質ポリオレフィン。
  2. ポリブテンの含浸量がポリオレフィン100重量部に対して20〜300重量部である請求項1記載の多孔質ポリオレフィン。
  3. ポリブテンの数平均分子量が100〜3000の範囲である請求項1又は2に記載の多孔質ポリオレフィン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質ポリオレフィンに機能性成分を含有させた機能性成分含有ポリオレフィン。
  5. 機能性成分が有機過酸化物である請求項4記載の機能性成分含有ポリオレフィン。
  6. 機能性成分が60℃以上の10時間半減期温度を有する有機過酸化物である請求項4記載の機能性成分含有ポリオレフィン。
  7. 下記の1〜3工程を順次行うことを特徴とする多孔質ポリオレフィンの製造方法。
    工程1:室温で固体のポリオレフィンを液体のポリブテンに分散し分散液を製造する工程。
    工程2:工程1で製造した分散液を加熱してポリオレフィンにポリブテンを含浸させポリブテン含浸ポリオレフィンを製造する工程。
    工程3:工程2で製造したポリブテン含浸ポリオレフィンからポリブテンを除去して多孔質ポリオレフィンを製造する工程。
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