JP2005103894A - 熱転写シート - Google Patents

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JP2005103894A JP2003339572A JP2003339572A JP2005103894A JP 2005103894 A JP2005103894 A JP 2005103894A JP 2003339572 A JP2003339572 A JP 2003339572A JP 2003339572 A JP2003339572 A JP 2003339572A JP 2005103894 A JP2005103894 A JP 2005103894A
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、保存性、鮮鋭性や保護層の耐擦過性、接着性に優れ、かつ帯電防止効果(さばき性)が向上した熱転写シートを提供することである。
【解決手段】 基材シートの一方の面の少なくとも一部に、非転写性離型層を介して保護転写層を剥離可能に備え、該保護転写層が多層構造である熱転写シートにおいて、該保護転写層の非転写性離型層に隣接する層を除く少なくとも1層が、コロイド状の金属酸化物、イオン性架橋性ポリマー微粒子及び粒状結晶性酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも1種の導電剤を含有し、かつ導電剤を含有する層の主たるバインダー樹脂のTgが50℃以下であることを特徴とする熱転写シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、転写受像シートに感熱転写により画像を形成した後、基材シートの一方の面の少なくとも一部に設けた剥離可能な保護転写層を熱転写シートを用いて、転写される感熱転写方式に用いる熱転写シートに関し、詳しくは、保存性や保護層耐久性などを損なうことなく、帯電防止性に優れた印画物を形成するのに用いられる熱転写シートに関する。
従来、カラーまたはモノクロの画像の形成技術として、加熱により拡散移行する性質を有する熱拡散性染料を含有するインクシートを、受像シートの受像層と対向させて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱印字手段を用いて、受像層に熱拡散性染料を画像様に転写して画像を形成する画像形成方法が知られている。このような感熱転写方式は、デジタルデータで画像形成を可能とし、現像液等の処理液を使わず、しかも銀塩写真に匹敵する高画質を形成できる方法として定評がある。
しかしながら、形成された画像の保存性や耐久性に関しては、銀塩写真に比較して未だその品質までには到達していないのが現状である。
得られた画像の安定性、特に定着性や耐光性を改良する目的で、キレート化可能な熱拡散性染料(以下、後キレート色素ともいう)を用いる感熱転写材料及びその画像形成方法(ポストキレート技術)が、例えば、特開昭59−78893号、同59−109349号、同60−2398号公報等に開示されている。
また、染料熱転写方式で形成された画像の機械的な耐久性(耐擦過性、耐皮脂性等)を向上させる技術として画像形成後、画像上に透明な保護層を熱転写方式で形成する技術が提案されており、ポストキレート技術で得られる画像に関しても、それを用いた方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
感熱昇華転写方式による画像形成時には、熱転写シートと熱転写受像シートとが重ね合わされ、加熱されながらプリンター内を搬送されるため、静電気が発生して搬送に支障をきたしたり、熱転写受像シートの染料受容層面に埃等が付着し、色抜け等が発生するという問題がある。更に、上記のような保護層の形成手段として、予め転写層が設けられた熱転写シートを用いて形成された画像上に保護層を転写する方法があるが、このような保護層の転写は感熱プリンターを用いて行われるが、熱転写シートからの保護層の剥離時に静電気が多量に発生し、これが原因となって感熱プリンター内での被転写体や熱転写シートの搬送不良が生じるという問題があった。
加えて、印画後に複数の画像形成物を重ねると、静電気により受像シートが密着し、画像形成物をコンパクトに束ねることができない、いわゆるさばき性不良が発生することがある。
このような問題を解決するために、転写体(リボン)に帯電防止層を設けたり帯電防止剤を含有させて、静電気発生を抑える方法が、例えば、特開平9−52454号、同7−179071号、同7−179072号、同6−55868号、同6−99670号、同10−81078号、同10−118565号、同10−119444号、同8−300842号、同9−156244号、同9−295465号等で提案されており、更に、最近でも、帯電防止技術の提案がなされている(例えば、特許文献2〜5参照。)。しかしながら、上記提案がなされている方法では、被転写体(受像紙)の帯電を十分に防止するまでには至っていなかった。
また、被転写体(受像紙)の裏面に帯電防止層を設けたり帯電防止剤を含有させて、静電気発生を抑える方法が、例えば、特開平4−366688号、同5−58064号、同7−1845号、同8−175035号、同9−207462号、同10−35116号、同10−44624号、同10−58846号、同11−157226号、同11−165469号等に開示されている。しかしながら、これれ提案されている裏面に導電層を設ける方法では、受像面側で発生した静電気に対する除去効果としては不十分であった。
また、特開平5−64979号、同6−155949号、同7−32754号、同7−290845号、同8−52945号、同10−324072号、同10−329432号、同11−78255号、同11−321125号等には、受像面側に導電層を設ける方法が開示されているが、これらの技術においても、保護転写層有する画像形成物においては、その帯電防止効果が不十分であった。保護層を剥離転写しない画像形成方法に比べて、保護層を剥離転写する方法においては、多くの電荷が発生することや保護層転写時の熱等で導電層の破壊が生じたりするため、その効果が十分に発揮されていないものと推察している。
更に、この様な保護転写層有する画像形成物の帯電防止をとして、保護層に帯電防止剤を含有させる方法が開示されている(例えば、特許文献6,7参照。)。これら提案されている方法では、保護転写層を有する画像形成物の帯電防止には有効な手段であるが、保護転写層の非転写性離型層に隣接する層(転写後の最表層)に帯電防止剤を含有させた場合、保存性や保護層本来の性質である耐久性が低下したりすることがあった。また、転写性の接着層等に帯電防止剤を含有させた場合、転写性保護層の受像シートに対する接着性が大きく劣化することがあった。特に、特許文献7で開示されているような針状の結晶性無機導電剤を添加した場合、接着性の低下も顕著であった。また、針状の結晶性無機導電剤を添加した場合には、鮮鋭性の低下も認められた。
特開2001−168244号公報 特開2000−103175号公報 特開2000−103178号公報 特開2000−272254号公報 特開2001−1653号公報 特開平11−105437号公報 特開2003−145946号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、保存性、鮮鋭性や保護層の耐擦過性、接着性に優れ、かつ帯電防止効果、静電気の発生に対するさばき性が改良された熱転写シートを提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
基材シートの一方の面の少なくとも一部に、非転写性離型層を介して保護転写層を剥離可能に備え、該保護転写層が多層構造である熱転写シートにおいて、該保護転写層の非転写性離型層に隣接する層を除く少なくとも1層が、コロイド状の金属酸化物、イオン性架橋性ポリマー微粒子及び粒状結晶性酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも1種の導電剤を含有し、かつ導電剤を含有する層の主たるバインダー樹脂のTgが50℃以下であることを特徴とする熱転写シート。
(請求項2)
前記コロイド状の金属酸化物が、アルミナゾルまたは酸化スズゾルであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
(請求項3)
前記導電剤を含有する層の主たるバインダー樹脂が、アクリル系樹脂あることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シート。
本発明によれば、保存性、鮮鋭性や保護層の耐擦過性、接着性に優れ、かつ帯電防止効果、静電気の発生に対するさばき性が改良された熱転写シートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討を行った結果、保護転写層の非転写性離型層に隣接する層(転写後の最表層)を除く少なくとも1層に導電剤を含有することにより、基材シートの一方の面の少なくとも一部に非転写性の離型層を介して保護転写層を剥離可能に備え、該保護転写層が多層構造である熱転写シートにおいて、保存性、鮮鋭性や保護層の耐久性を劣化させることなく、帯電防止することができることを見出した。更に、導電剤としてコロイド状の金属酸化物、イオン性架橋性ポリマー微粒子及び粒状結晶性酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも1種を用い、また、導電剤を含有する層の主たるバインダー樹脂として、Tgが50℃以下の樹脂を選択することにより、接着性、および鮮鋭性を改良できることを見いだし、本発明に至った次第である。
導電剤を含む保護層の接着性低下に関しては、導電剤を添加することにより導電剤含有層の弾性率が上昇することで、導電剤含有層に応力が集中すること、更には導電剤が層界面にも存在し、層間のバインダー同士の接合面積を低下させることで接着を低下させていることが原因と推定される。この低下は、特に針状の導電剤を用いた場合に顕著であり、これは、弾性率の高い導電剤が導電層に網目状に配向するため、見かけ上導電層の弾性率が導電剤の弾性率と同じになり、変位に対して大きな応力が発生するためだと考えている。これに対して、導電剤をコロイド状の金属酸化物、イオン性架橋性ポリマー微粒子、粒状結晶性酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも1種とすることで、導電層の弾性率上昇を最小限にし、加えてTgが50℃以下のバインダー樹脂を選択することにより、導電剤含有層の弾性率が低下し、更に、保護層転写時、転写時の熱でバインダーが軟化し、隣接層との密着が向上することにより、接着性が改善できたと考えている。
更に、これらの導電剤が微粒子で、かつ、導電性膜としての透明性が高いこと、また、バインダーのTgが低いことで造膜性が良好となり導電粒子とバインダー界面の密着が向上すことで光の散乱が抑えられる結果、鮮鋭性低下が改良できたと考えている。
以下、本発明の詳細について説明する。
《熱転写シート》
〔転写性保護層ユニット〕
はじめに、本発明の熱転写シートに設ける保護転写層を含む多層構造の転写性保護層ユニットについてその概要を説明する。
図1は、本発明の熱転写シートに設ける転写性保護層ユニットの構成の一例を示す断面図である。
図1において、本発明の熱転写シート1は、基材シート2の一方の面に非転写性の離型層3を介して保護転写層群4を剥離可能に備え、基材シート2の他の面に背面層7を備えており、保護転写層群4は保護層5と接着層6との積層体で構成されている。保護層5と接着層6は、それぞれ必要に応じて複数の層が積層された構成であっても良い。そして、本発明の熱転写シート1は、接着層6のいずれかの層あるいは保護層5が複数層の場合は非転写性離型層3に隣接する層を除くいずれかの層に、本発明に係る導電剤(以下、帯電防止剤ともいう)を含有することを特徴とする。
(導電剤)
本発明の熱転写シートで用いることのできる導電剤は、コロイド状の金属酸化物、イオン性架橋性ポリマー微粒子及び粒状結晶性酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも1種である。これらの導電剤を使用することで、帯電特性を改良すると共に、鮮鋭性、接着性の低下を抑制することができる
コロイド状金属酸化物ゾルとしては、例えば、特公昭35−6616号公報に開示されているような無定型の酸化第二錫ゾル、特開昭55−5982号公報に記載された無定型の五酸化バナジウム、特公昭57−12979号に開示されているような電解質を有するアルミナゾルが挙げられる。
イオン性架橋性ポリマー導電性微粒子は、例えば、特公昭60−45231号公報に記載されている架橋性の第4級アンモニウム基を有するポリマー、例えば、コポリマー[N,N,N−トリメチル−N−ビニルベンジルアンモニウムクロライド−コ−ジビニルベンゼン]、特開平7−28194号公報に記載の架橋型アイオネンポリマーを挙げることができ、いずれも本発明に対して有用である。ここでいうアイオネンポリマーとは、ジアミンとアンモニウム基を生成するジクロライドのような化合物との4級化反応により主鎖にアンモニウム基を持つポリマーで、架橋型アイオネンポリマーはアイオネン型の単位、あるいはポリマーが架橋鎖になったり、他のモノマーあるいはポリマーが架橋鎖を形成しかつアイオネン型の部分を含む架橋型ポリマーをいう。
また、米国特許第4,237,174号、同第4,308,332号及び同第4,526,706号の各明細書には、カチオンによって安定化されたラテックス粒子がポリアニリン酸付加物塩半導体と結合したものなどの導電性ポリマー粒子があり、このものも有用に本発明に使用できる。これらのポリマーの合成方法については上記各明細書に記載されており、これらに従って合成することができる。
粒状結晶性酸化スズ微粒子については、例えば、特開昭56−143430号公報に記載されている方法で得ることができる。なお、結晶性酸化スズ微粒子については、導電性の観点から、アンチモンがドープさていることが好ましい。アンチモン等の添加量(ドーピング量)は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。粒状結晶性酸化スズ微粒子の一次平均粒径は100nm以下であることが好ましい。100nmを越えると鮮鋭性や接着性に悪影響をおよぼすことがある。
(基材シート)
本発明の熱転写シートに使用される基材シートとしては、従来より熱転写シートの基材シートとして公知の材料を用いることができる。好ましい基材シ−トの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シ−トの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
また、基材シートの表面に形成する染料層との密着が乏しい場合には、その表面にプライマー処理や、コロナ処理を施すことが好ましい。
(離型層)
本発明に係る剥離可能な保護転写層は、基材シート上に非転写性の離型層を介して設けることが好ましい。
非転写性の離型層は、基材シートと非転写性離型層との間の接着力を、非転写性離型層と保護転写層との間に接着力よりも常に充分高くし、且つ、熱を印加する前の非転写性離型層と保護転写層との間の接着力が、熱印加後のそれに対し高くなるようにする目的で、(1)樹脂バインダーと共に、平均粒子径が40nm以下の無機微粒子を30〜80質量%含有しているか、(2)アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物を合計20質量%以上の割合で含有しているか、或いは(3)アイオノマーを20質量%以上の割合で含有している、ことが好ましい。非転写性離型層には、必要に応じて他の添加物が含有されていてもよい。
無機微粒子としては、例えば、無水シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子や、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物を使用することが出来る。無機微粒子の粒子径は、40nm以下とすることが好ましい。40nmを越えると、離型層表面の凹凸に起因して保護転写層の表面の凹凸も大きくなり、その結果保護転写層の透明性が低下してしまい好ましくない。
無機微粒子と混合する樹脂バインダーは特に制限されず、混合可能なあらゆる樹脂を用いることが出来る。例えば、各種ケン化度のポリビニルアルコール樹脂(PVA);ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;酢酸セルロース、アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
無機微粒子と樹脂バインダーを主体とする他の配合成分との配合比(無機微粒子/他の配合成分)は、質量比で30/70以上、80/20以下の範囲とすることが好ましい。配合比が30/70未満になると、無機微粒子の効果が不十分となり、一方80/20を越えると離型層が完全な膜とならず、基材シートと保護転写層が直接触れる部分が生じてしまう。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体としては、例えば、アルキルビニルエーテル部分のアルキル基がメチル基或いはエチル基であるもの、無水マレイン酸部分が部分的にまたは完全にアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等)とのハーフエステルとなったものを用いることができる。
離型層は、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物だけで形成しても良いが、離型層と保護転写層の間の剥離力を調整する目的で、他の樹脂または微粒子をさらに加えても良い。その場合、離型層には、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物が20質量%以上含有されているのが望ましい。含有量が20質量%未満になると、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体の効果が十分に得られなくなる。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体に配合される樹脂または微粒子としては、混合可能で、被膜形成時に高い膜透明性が得られるもので有れば特に限定されず、あらゆる材料を用いることが出来る。例えば、前述の無機微粒子及び無機微粒子と混合可能な樹脂バインダーは好ましく用いられる。
アイオノマーとしては、例えば、サーリンA(デュポン社製)や、ケミパールSシリーズ(三井石油化学社製)等を使用することができる。また、アイオノマーには、例えば、前述の無機微粒子、無機微粒子と混合可能な樹脂バインダー、或いはその他の樹脂や微粒子をさらに加えることが出来る。
非転写性離型層を形成するには、上記(1)〜(3)のいずれかの成分を所定の配合割合で含有する塗布液を調製し、かかる塗布液を、グラビアコート法、グラビアリバースコート法のような公知の技術で基材シート上に塗布し、塗布層を乾燥させる。非転写性離型層の厚みは、通常、乾燥後の厚みで0.1〜2μm程度とする。なお、熱転写シートにおいて、基材シートが保護層に対して適度の接着性と剥離性を有する場合には、離型層を設けなくてもよい。
(保護層)
本発明の熱転写シートにおいては、剥離可能な保護層は、受像シート上に熱転写して形成された画像の表面を覆う保護層となり、主に透明なバインダー樹脂層から構成されている。
保護層を形成するバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、これらの各樹脂のエポキシ変性樹脂、これらの樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ変性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ジオール成分および酸成分が一種類以上の脂環族化合物を有する脂環族ポリエステル樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、特開平11−151867号に記載された芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
本発明に使用されるエポキシ変性樹脂としては、エポキシ変性ウレタン、エポキシ変性ポリエチレン、エポキシ変性ポリエチレンテレフタレート、エポキシ変性ポリフェニルサルファイト、エポキシ変性セルロース、エポキシ変性ポリプロピレン、エポキシ変性ポリ塩化ビニル、エポキシ変性ポリカーボネート、エポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーン、エポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体が挙げられ、好ましくはエポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーンであり、更に好ましくはエポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体である。
〈電離放射線硬化性樹脂〉
保護転写層として電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
〈紫外線遮断性樹脂〉
紫外線遮断性樹脂を含有する保護転写層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
本発明において、基材シート上に保護転写層を形成する方法としては、バインダー樹脂に必要に応じて帯電防止剤、ワックス等の添加剤を添加した塗布液を調製し、この塗布液を基材シート上に既に形成されている離型層上に、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段を用いて塗布、乾燥する方法が挙げられる。形成する保護転写層の厚みは0.5〜5μm程度、好ましくは1〜2μm程度とする。
保護層に使用するワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。上記のワックスの使用量は、樹脂100質量部当り0.5〜10質量部の範囲が好ましい。
また、保護層には、実質的に透明な無機または有機の微粒子を含有させることができる。このような微粒子を含有させることによって、保護層の転写時の膜切れが向上し、さらに、保護層の耐擦過性等を向上させることができるとともに、保護層の表面光沢を抑えてマット調の表面を得ることができる。上記の微粒子としては、シリカ、テフロン(R)パウダー、ナイロンパウダー等の比較的透明性の高いものが挙げられる。微粒子の使用量はバインダー樹脂に対して0.1〜10質量%が好ましく、使用量が10質量%を超えると、保護層の透明性および耐久性が低下してしまう。
また、保護層に紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有させることによって、転写された後の保護転写層で覆われる画像等の光沢、耐光性、耐候性、白色度等を向上させることができる。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が挙げられ、例えば具体的にはTinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 320、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 328、Tinuvin 312、Tinuvin 315(以上、チバガイギー社製)、Sumisorb−110、Sumisorb−130、Sumisorb−140、Sumisorb−200、Sumisorb−250、Sumisorb−300、Sumisorb−320、Sumisorb−340、Sumisorb−350、Sumisorb−400(以上、住友化学工業(株)製)、Mark LA−32、Mark LA−36、Mark 1413(以上、アデカアーガス化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、いずれも本発明で使用することが出来る。
また、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとがランダム共重合したTg60℃以上、好ましくは80℃以上のランダム共重合体を用いることも出来る。
上記の反応性紫外線吸収剤は、従来公知のサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール系水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。具体的には、UVA635L、UVA633L(以上、BASFジャパン(株)製)、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、何れも本発明で使用することが出来る。
以上のような反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体における反応性紫外線吸収剤の量は10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲である。また、このようなランダム共重合体の分子量は5000〜250000程度、好ましくは9000〜30000程度とすることが出来る。上述した紫外線吸収剤、及び、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体は、各々単独で含有させても良いし、両方を含有させても良い。反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体の添加量は、含有させる層に対し5〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。
更に、保護層を2層構成にして、保護転写層の非転写性離型層に隣接する層(転写後の最表層)を保護層、他方の層に紫外線吸収剤を含有させて紫外線吸収層としても良い。
基材シート上に保護層を形成する方法としては、バインダー樹脂に必要に応じて帯電防止剤、ワックス等の添加剤を添加した塗布液を調製し、この塗布液を基材シート上に既に形成されている離型層上に、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段を用いて塗布、乾燥する方法が挙げられる。形成する保護層の厚みは0.5〜5μm程度、好ましくは1〜2μm程度である。
(接着層)
保護転写層の最表面には接着層が形成されていることが好ましい。接着層は、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。また、上記樹脂に加え、上述した電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂などを必要に応じて混合してもよい。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
非転写性離型層上あるいは基材シート上に保護転写層を形成するには、例えば、保護転写層形成用樹脂を含有する保護転写層用塗布液、熱接着性樹脂を含有する接着層用塗布液、その他必要に応じて付加される層を形成するための塗布液をあらかじめ調製し、それらを所定の順序で非転写性離型層上あるいは基材シート上に塗布し、乾燥させる。各塗布液は従来公知の方法で塗布すればよい。また、各層の間には適切なプライマー層を設けても良い。接着層の形成は、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等の公知の手段により行うことができ、接着層の厚みは0.1〜5μm程度が好ましい。また、接着層には、必要に応じて、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有させてもよい。
(導電剤含有層で用いるバインダー樹脂)。
導電剤を含有させる層のバインダー樹脂(重合体あるいは共重合体)は、当業界で使用されている樹脂を制限なく用いることができるが、Tgを50℃以下にすることが重要であり、この条件を満たすバインダー樹脂を用いることにより、接着性、鮮鋭性を改良することができる。なお、Tgが低すぎると熱転写シート保存時に、表裏面の貼り付きを生じたり、転写時の熱で変形したりすることがあるため、Tgは−10℃以上、50℃以下であることが好ましく、20℃以上、50℃以下であることがより好ましい。
上記バインダー樹脂の具体例としては、アクリル酸またはアクリル酸エステル類(メタクリル酸またはメタクリル酸エステル類も含む)、ビニルエステル類、ビニルケトン類、スチレン類、ジオレフィン類、アクリルアミド類(メタクリルアミド類も含む)、塩化ビニル類(塩化ビニリデン類も含む)、活性メチレンを有する単量体類(米国特許4,215,195号に記載の一般式〔I〕で表される化合物など)、2官能単量体等の所謂ビニル単量体から共重合した共重合体類等を挙げることができる。また、重合成分を調整することでにより、所望のTg、溶解性等とする性質を付与することができる。
好ましく使用することができる共重合体の単量体としては、具体的には、アクリル酸またはアクリル酸エステル類(メタクリル酸またはメタクリル酸エステル類も含む)として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
また、アクリルアミド類またはメタクリルアミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド等を挙げることができる。
また、スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、i−プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンチルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等を、更にビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチルエステル、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
また、ジオレフィン類としては、共役ジエンとしてブタジエン、イソプレン、クロプレン、非共役ジエンとして、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、3−ビニル−1,5−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、3−メチル−1,5−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,2−ジビニルシクロブタン、1,6−ヘプタジエン、3,5−ジエチル−1,5−ヘプタジエン、4−シクロヘキシル−1,6−ヘプタジエン、3−(4−ペンテニル)−1−シクロペンテン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,9−オクタデカジエン、1−シス−9−シス−1,2−オクタデカトリエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカンジエン、1,14−ペンタデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、1,17−オクタデカジエン、1,21−ドコサジエン等を挙げることができる。
また、活性メチレンを有する単量体類としては、アセトアセトオキシエチルアクリレート、アセトアセトオキシエチルメタクリレート、N−アセトアセトオキシエチルアクリルアミド、N−アセトアセトオキシエチルメタクリルアミド、N−アセトアセトアミノエチルアクリルアミド、N−アセトアセトアミノエチルメタクリルアミド、N−アセトアセトアミノプロピルアクリルアミド、N−アセトアセトアミノプロピルメタクリルアミド、アセトアセトオキシプロピルアクリレート、アセトアセトオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
また、酢酸ビニル類としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。その他、塩化ビニル類、塩化ビニリデン、ビニルエチルケトン、ビニルイソシアナート、アリルイソシアナート、ビニルメチルエーテル;ビニルエチルエーテル等も挙げることができる。
また、カルボン酸あるいはその塩の単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸の塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩)、メタクリル酸の塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩)、不飽和ジカルボン酸類としては、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、不飽和ジカルボン酸のエステル類としては、イタコン酸メチル、イタコン酸ジメチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマール酸メチル、フマール酸ジメチルとそれらの塩として、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩を、又、スルホン酸基またはその塩を含有する単量体としては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩)、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物単量体等を挙げることができる。
更に2官能以上の単量体としては、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルフタレート、ジアリルカルビノール、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンとりアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート等を挙げることができる。
また、ポリエステル系樹脂も好ましく用いることができ、ポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等のジカルボン酸類とエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4,4′−ジ−β−ヒドロキシエチル)フルオレフィン、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール等のジオール成分と必要に応じて二官能性酸、カルボキシグリコール、多官能性アルコール、アミンおよびアミノアルコールのような改質剤から誘導されるポリエステルを使用することができる。重合成分を調整することでTg、溶解性等所望とする性質を付与することができる。
上述した各バインダー樹脂のなかでも、アクリル酸またはアクリル酸エステル(メタクリル酸またはメタクリル酸エステル類も含む)を共重合成分に含むアクリル系樹脂が好ましい。
なお、本発明でいうTgは、ブランドラップらによる「重合体ハンドブック」III,139〜179頁(1966年,ワイリー・アンド・サン社版)に記載の方法で求めたもので、共重合体のTgは下記の式でも求められる。
Tg(共重合体)(°K)=v1Tg1+v2Tg2+・・・+vnTgn
式中、v1、v2・・・vnは共重合体中の単量体の質量分率を表し、Tg1、Tg2・・・Tgnは共重合体中の各単量体から得られる単一重合体のTg(°K)を表す。上式に従って計算されたTgの精度は±5℃である。
本発明に使用できるTg50℃以下のバインダー樹脂の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、括弧内に記載の数字はP−1〜16までは、コポリマーの組成比で質量比として、またP−17と18はモル比として表されている。
P−1;ポリ(スチレン−コ−エチルアクリレート 60:40) Tg=38℃
P−2;ポリ(スチレン−コ−エチルアクリレート 40:60) Tg=14℃
P−3;ポリ(スチレン−コ−ブチルアクリレート 50:50) Tg=3℃
P−4;ポリ(メチルアクリレート−コ−(t)ブチルアクリレート−コ−メタクリル酸 45:45:10) Tg=38℃
P−5;ポリ(メチルアクリレート−コ−(t)ブチルアクリレート−コ−メタクリル酸 65:30:5) Tg=26℃
P−6;ポリ(スチレン−コ−(n)ブチルアクリレート−コ−グリシジルメタクリレート 40:30:30) Tg=21℃
P−7;ポリ(メチルアクリレート−コ−(n)ブチルアクリレート−コ−アクリル酸 40:40:20) Tg=18℃
P−8;ポリ(メチルアクリレート−コ−(n)ブチルアクリレート−コ− メタクリル酸−コ−アクリルアミド(40:40:10:10)25
P−9;ポリ(エチルアクリレート−コ−メタクリル酸 95:5) Tg=18℃
P−10;ポリ(エチルアクリレート−コ−メタクリル酸 75:25) Tg=12℃
P−11;ポリ(エチルアクリレート−コ−メタクリル酸−コ−アクリルアミド 60:10:30) Tg=22℃
P−12;ポリ(ビニリデンクロライド−コ−メチルメタクリレート 90:10) Tg=9℃
P−13;ポリ(ビニリデンクロライド−コ−(n)ブチルアクリレート 90:10) Tg=22℃
P−14;ポリ(ビニリデンクロライド−コ−アクリロニトリル−コ−メタクリル酸 60:30:10) Tg=24℃
P−15;ポリ(ビニリデンクロライド−コ−アクリロニトリル−コ−メタクリル酸 80:15:5) Tg=2℃
P−16;ポリ(ビニリデンクロライド−コ−アクリロニトリル−コ−メタクリル酸 90:5:5) Tg=7℃
P−17;コポリエステル[テレフタル酸/イソフタル酸/5−ナトリウムスルホイソフタル酸−エチレングリコール/ネオペンチルグリコール) (78:17:5):(80:20)] Tg=45℃
P−18;コポリエステル[(テレフタル酸/イソフタル酸/5−ナトリウムスルホイソフタル酸)−(エチレングリコール/ジエチレングリコール) (55:36:9):(80:20)] Tg=21℃
P−19;バイロン600(ポリエステル市販品 東洋紡社製) Tg=47℃
P−20;バイロンGK110(ポリエステル市販品 東洋紡社製) Tg=50℃
(背面層)
本発明の熱転写シートにおいて、転写性保護層ユニットとは基材シートを挟んで反対側の面に背面層を設けることが好ましい。
背面層は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シートとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行うとともに、サーマルヘッドの付着物を除去する目的で設けられる。
この背面層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリルースチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン等の天然または合成樹脂の単体または混合物が用いられる。背面層の耐熱性をより高めるために、上記の樹脂のうち、水酸基系の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。
更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与するために、背面層に固形あるいは液状の離型剤または滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤または滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸、有機カルボン酸及びその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。背面層に含有される滑剤の量は5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%程度である。このような背面層の厚みは0.1〜10μm程度、好ましくは0.3〜5μm程度とすることができる。
〔染料層〕
本発明の熱転写シートにおいては、本発明に係る剥離可能な保護転写層を有する同一支持体上に、面順次で染料層(インク層ともいう)を設けることが好ましい。
図2は、本発明の熱転写シートの1面順次に供給される形態の一例を示す斜視図である。図2において、熱転写シート11には、基材シート12の同一平面上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各染料に対応した染料層13Y、13M、13Cが形成されており、この染料層とは別の領域に、前記説明した本発明に係る剥離可能な保護転写層を含む転写性保護層ユニット14(図2では、3層構成で表示)が面順次に設けられている。また、基材シート12の他の面には、背面層18を備えている。
図2においては、各々の染料層、あるいは保護転写層ユニット14の間に僅かな隙間を持っているが、熱転写記録装置の制御方法に併せて適宜隙間を調整しても良い。また、各染料層の頭出しの精度を高めるため、検知マークを熱転写シートに設けることが好ましく、設け方については、特に限定されることはない。基材シートの同一平面上に染料層と熱転写性の保護転写層、あるいは後加熱処理を行う領域を設けたものを示したが、もちろん、別個の支持体上にそれぞれの層を設けても良いことは言うまでもない。なお、各染料層に反応型の染料を用いた場合、染料層に含有されている染料自身は反応前の化合物であり厳密にいえばY、M、C染料とは言えないが、Y、M、C画像を最終的に形成する為の層という意味で、便宜上同様に表現する。
(染料層)
本発明の熱転写シートに設ける染料層は、少なくとも染料とバインダー樹脂を含有する熱昇華性色剤層である。
〈染料〉
本発明に係る熱転写シートで用いる染料含有領域は、色相において異なる2以上の染料含有領域とすることができ、例えば、染料含有領域がイエロー染料を含有する領域、マゼンタ染料を含有する領域、及びシアン染料を含有する領域からなり、これらの染料含有領域の次に染料不含有領域が形成された態様、染料含有領域が黒色染料を含有するインク層からなり、該領域の次に染料不含有領域が形成された態様、及び染料含有領域がイエロー染料を含有する領域、マゼンタ染料を含有する領域、シアン染料を含有する領域及び黒色染料を含有する領域からなり、これらの染料含有領域の次に染料不含有領域が形成された態様等が挙げられる。
熱昇華性色剤層に用いられる染料は、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写シートに使用される、アゾ系、アゾメチン系、メチン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ナフトキノン系等のあらゆる染料を挙げることができ、特に制限はされない。具体的には、黄色染料として、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、赤色染料としてMSレッドG、マクロレックスレッドバイオレットR、セレスレッド7B、サマロンレッドHBSL、SKルビンSEGL等が挙げられ、さらに、青色染料として、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100、ダイトーブルーNo.1等が挙げられる。
また、キレート形成可能な熱拡散性色素としては、熱転写が可能であれば特に制限はなく、公知の各種の化合物を適宜に選定して使用することができ、例えば、特開昭59−78893号公報、同59−109349号公報、特開平4−94974号公報、同4−97894号公報、特許第2,856,225号明細書に記載されているシアン染料、マゼンタ染料、イエロー染料などを使用することができる。
例えば、キレートシアン色素としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005103894
上記一般式(1)において、R11及びR12は各々置換または無置換の脂肪族基を表し、R11及びR12は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、及びアダマンチル基等)、及びアルケニル基(例えば、2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば、2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えば、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、及び2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば、4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えば、N,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基等)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、N,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等)、スルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
11、R12として、非芳香族性の環状構造(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成する基も好ましい。
13は上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR13は同じでも異なっていてもよい。
14はアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R14は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R14として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R14のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
15はアルキル基であり、その例としては、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R15は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R15として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R15のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
16はアルキル基を表し、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R16として特に好ましい置換基は、炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基であり、最も好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基である。なお、R16のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
また、キレートイエロー色素としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005103894
上記一般式(2)において、R1及びR2で表される各々の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、またはアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。例えば、メチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホンアミドエチル、シクロヘキシル等の各基)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−アシルアミノフェニル、2−メトキシフェニル等の各基)、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホニル基、アシル基等が挙げられる。
3で表されるアルキル基及びアリール基としては、R1及びR2で表されるアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
1で表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的には、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR1及びR2で表される置換基と同じものを挙げることができる。
また、キレートマゼンタ色素としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005103894
上記一般式(3)において、Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、R1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子または1価の置換基を表す。nは0、1、2を表す。
Xとして特に好ましくは、下記一般式(4)で表される基である。
Figure 2005103894
上記一般式(4)において、Z2は少くとも一つのキレート化可能な窒素原子を含む基で置換された芳香族性含窒素複素環を形成するに必要な原子群を表す。該環の具体例としてはピリジン、ピリミジン、チアゾール、イミダゾール等の各環が挙げられる。これらの環は、更に他の炭素環(ベンゼン環等)や複素環(ピリジン環等)と縮合環を形成しても良い。
上記一般式(3)において、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、該環上には更に置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該環の具体例としては、3H−ピロール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、ピリジン環等が挙げられる。これらの環は更に他の炭素環(例えば、ベンゼン環)や複素環(例えば、ピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されていても良い。
1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)または1価の置換基を表すが、1価の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、一般式(3)として色素を形成できるものなら何でもよく、例えば、5−ピラゾロン、イミダゾール、ピラゾロピロール、ピラゾロピラゾール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、またはピラゾロピリドンが好ましい。
〈バインダー樹脂〉
本発明に係る染料層は、上記染料と共にバインダー樹脂を含有する。
染料層に使用するバインダー樹脂としては、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写シートに使用されるバインダー樹脂を使用することができ、例えば、セルロース付加化合物、セルロースエステル、セルロースエーテル等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、スチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系エステル、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸共重合体等のビニル系樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。
染料層のバインダー樹脂として、更に、特公平5−78437号に記載のイソシアナート類と、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールから選択される活性水素を有する化合物との反応生成物、イソシアナート類が、ジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物、及び活性水素を有する化合物100質量部に対して、10〜200質量部の量である上記反応生成物;天然及び/又は半合成水溶性高分子の分子内水酸基をエステル化及び/又はウレタン化した有機溶媒可溶性高分子、天然及び/又は半合成水溶性高分子;特開平3−264393号に記載のアセチル化度が2.4以上かつ総置換度が2.7以上の酢酸セルロース;ポリビニルアルコール(Tg=85℃)、ポリ酢酸ビニル(Tg=32℃)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(Tg=77℃)等のビニル樹脂、ポリビニルブチラール(Tg=84℃)、ポリビニルアセトアセタール(Tg=110℃)等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアクリルアミド(Tg=165℃)等のビニル系樹脂、脂肪族ポリエステル(Tg=130℃)等のポリエステル樹脂等;特開平7−52564号に記載のイソシアナート類と、含有するビニルアルコール部分の質量が15〜40%であるポリビニルブチラールとの反応生成物、上記イソシアナート類がジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物;特開平7−32742号に記載の一般式(I)のフェニルイソシア変性ポリビニルアセタール樹脂;特開平6−155935号に記載のイソシアナート反応性セルロース又はイソシアナート反応性アセタール樹脂の1種と、イソシアナート反応性アセタール樹脂、イソシアナート反応性ビニル樹脂、イソシアナート反応性アクリル樹脂、イソシアナート反応性フェノキシ樹脂及びイソシアナート反応性スチロール樹脂から選ばれる1種の樹脂及びポリイソシアナート化合物を含有する組成物の硬化物;ポリビニルブチラール樹脂(好ましくは分子量が6万以上、ガラス転移温度が60℃以上、より好ましくは70℃以上110℃以下、ビニルアルコール部分の質量%がポリビニルブチラール樹脂中10〜40%、好ましくは15〜30%のもの);アクリル変性セルロース系樹脂、セルロース系樹脂としては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース等のセルロース系樹脂(好ましくはエチルセルロース)等を用いることができる。
前記各種のバインダー樹脂は、その1種を単独で使用することもできるし、又その2種以上を併用することもできる。
また、本発明に係る染料層には、上記説明した染料とバインダー樹脂の他に、必要に応じて公知の種々の添加剤を含有することができる。染料層は、例えば、適当な溶剤中に上記の染料、バインダー樹脂、その他の添加剤を溶解または分散させて調製したインク塗布液を、グラビアコート法等の公知の手段により基材シート上に塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。本発明に係る染料層の厚みは、0.1〜3.0μm程度、好ましくは0.3〜1.5μm程度とすることができる。
《熱転写受像シート》
次いで、本発明の熱転写シートを用いた印画形成に用いる染料受容層を有する熱転写受像シートについて説明する。
(基材シート)
熱転写受像シートで用いる支持体は、染料受像層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
このような支持体の材料としては特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
また、上記支持体の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。これらの基材シートの厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度である。
より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることが出来る。また、各種基材シートの上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックフィルムまたは合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/またはポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド(空隙)形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルムまたは合成紙が好ましい。これらがポリエステル等を主体としたものの場合には、その粘弾性的あるいは熱的性質から、クッション性、及び断熱性が、ポリプロピレンを主体としたものに比較して劣るため、印字感度に劣り、濃度ムラなども生じやすい。
これらの点を考慮すると、プラスチックフィルム及び合成紙の20℃における弾性率は5×108Pa〜1×1010Paが好ましい。また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故に、これらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層で合っても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が含有しても良い。このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
微細空隙を有する層としては、基材の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或いは複数をブレンドして使用することができる。
また、必要に応じて、支持体の受像層を設ける側とは反対側の面に、カール防止の目的として、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等の樹脂や合成紙の層を設けることが出来る。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子(株)製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
上述したような、プラスチックフィルムと合成紙、或いはそれら同士、或いは各種紙とプラスチックフィルムや合成紙、等を積層する場合、接着層により貼り合わせることができる。
上記基材シートと染料受容層との接着強度を大きくする等の目的で、基材シートの表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明に係る熱転写受像シートにおいて、バインダー樹脂としては公知のものを用いることができ、その中でも染料が染着しやすいものを用いることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリウレタン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、または混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂及びセルロース誘導体が好ましい。
(離型剤)
本発明に係る染料受容層には、染料受容層との熱融着を防止する目的で、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、燐酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンをはじめ各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種でも、あるいは2種以上のものを併せて用いても良い。また、離型剤の添加量は、染料受像層形成用のバインダー樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写シートと熱転写受像シートの染料受像層との融着もしくは印画感度低下などの問題が生じる場合がある。なお、これらの離型剤は、染料受像層に添加せず、染料受容層上に別途離型層として設けても良い。
(金属イオン化合物)
本発明に係る染料受容層には、金属イオン含有化合(以下、メタルソースともいう)を含有させることが好ましい。
メタルソースとしては、金属イオンの無機または有機の塩及び金属錯体が挙げられ、中でも有機酸の塩及び錯体が好ましい。金属としては、周期律表の第I〜第VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti及びZnが好ましく、特にNi、Cu、Cr、Co及びZnが好ましい。メタルソースの具体例としては、Ni2+、Cu2+、Cr2+、Co2+及びZn2+と酢酸やステアリン酸等の脂肪族の塩、或いは安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボン酸の塩等が挙げられる。
本発明においては、メタルソースとしは下記一般式(I)で表される錯体が、バインダー樹脂中に安定に添加でき、かつ実質的に無色である為に特に好ましい。
一般式(I)
〔M(Q1X(Q2Y(Q3ZP+(L-P
上記一般式(I)において、Mは金属イオン、好ましくはNi2+、Cu2+、Cr2+、Co2+またはZn2+を表す。Q1、Q2及びQ3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。これらの配位化合物としては、例えば、キレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。L-は有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニルホウ素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等を挙げることができる。Xは1、2または3を表し、Yは1、2または0を表し、Zは1または0を表す。Pは1または2を表す。この種のメタルソースの具体例としては、米国特許第4,987,049号明細書に例示された化合物、あるいは特開平9−39423号公報に例示された化合物No.1〜99などを挙げることができる。特に好ましくは、特開平10−241410号公報に記載された下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
一般式(II)
2+(X1 -2
上記一般式(II)において、M2+は2価の遷移金属イオンを表すが、これらの中でも金属イオン供給化合物自身の色及びキレート化した色素の色調から、ニッケル及び亜鉛が好ましい。X1 -は2価の金属イオンと錯体を形成することができる配位化合物を表す。また、これらの化合物は中心金属に応じて中性の配位子を有してもよく、代表的な配位子としてはH2OあるいはNH3が挙げられる。
(中間層)
また、熱転写受像シートは、基材シートと染料受容層との間に中間層を設けても良い。本発明でいう中間層は、基材シートと染料受容層との間に存在する全ての層を指し、多層構成であってもよい。中間層の機能としては、耐溶剤性能、バリア性能、接着性能、白色付与能、隠蔽性能、帯電防止機能等が挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層全てが適用できる。
中間層に耐溶剤性能、バリア性能を付与させるためには、水溶性樹脂を用いることが好ましい。水溶性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、でんぷん等の多糖類系樹脂、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン、寒天、また、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製ベオパ)、酢酸ビニル(メタ)アクリル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、また、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。ここで言う水溶性樹脂とは、水を主体とする溶媒に、完全溶解(粒径0.01μm以下)、またはコロイダルディスパージョン(0.01〜0.1μm)、またはエマルジョン(0.1〜1μm)、またはスラリー(1μm以上)の状態になる樹脂のことである。これらの水溶性樹脂のなかで、特に好ましいのは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等の汎用溶剤により、溶解はもとより、膨潤さえしない樹脂である。この意味で、水を主体とする溶媒に完全に溶解する樹脂が最も好ましい。特に、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。
中間層に接着性能をもたせるためには、基材シートの種類やその表面処理により異なるが、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が一般的である。また、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物のような硬化剤を併用すると良好な接着性が得られる。中間層に白色付与能をもたせるためには、蛍光増白剤を用いることができる。使用する蛍光増白剤は、従来公知のいずれの化合物でも使用でき、スチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル−オキサゾール系、ピレン−オキサゾール系、クマリン系、アミノクマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、ジスチリル−ビフェニル系の蛍光増白剤等が挙げられる。白色度は、これら蛍光増白剤の種類と添加量で調整することができる。蛍光増白剤の添加方法としては、あらゆる方法を用いることができる。すなわち、水に溶解させて添加する方法、ボールミル、コロイドミルによって粉砕分散して添加する方法、高沸点溶媒に溶解して親水性コロイド溶液と混合し、水中油滴型分散物として添加する方法、高分子ラテックス中に含浸させて添加する方法等がある。
更に、基材シートのギラつき感や、ムラを隠蔽するために、中間層に酸化チタンを添加してもよい。更に、酸化チタンを用いることで基材シートの選択の自由度が広がる点で好ましい。酸化チタンには、ルチル型酸化チタンと、アナターゼ型酸化チタンの2種類があるが、白色度及び蛍光増白剤の効果を考慮すると、ルチル型よりも紫外部の吸収がより短波長側であるアナターゼ型酸化チタンが好ましい。中間層のバインダー樹脂が水系で、酸化チタンが分散しにくい場合には、表面に親水性処理を施した酸化チタンを用いるか、もしくは、界面活性剤、エチレングリコール等の既知の分散剤により分散することができる。酸化チタンの添加量は、樹脂固形分100質量部に対して酸化チタン固形分として10〜400質量部が好ましい。
中間層に帯電防止機能をもたせるためには、導電性無機フィラーや、ポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等、従来公知の導電材料を中間層バインダー樹脂に合わせて適宜選択して使用することができる。このような中間層の厚みは、0.1〜10μm程度の範囲で設定することが好ましい。
《画像形成方法》
本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置として、例えば、図3に示すような熱転写記録装置を用いることができる。図3において、21は熱転写シートの供給ロール、11は熱転写シート、22は使用された熱転写シート11を巻き取る巻取ロール、23はサーマルヘッド、24はプラテンローラ、25はサーマルヘッド23とプラテンローラ24との間に挿入された熱転写受像シートである。
図3に示す熱転写記録装置を用い、例えば、図2に示す熱転写シートを用いて画像を形成する場合のプロセスについて説明する。まず、熱転写シートの図2のイエロー染料を含有するインク層13Yと熱転写受像シート25の受像層とを重ね合わせ、サーマルヘッド23の熱印加によりインク層13Y中のイエロー染料を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いで、このイエロー画像の上に、マゼンタ染料を含有するインク層13Mから、同様にしてマゼンタ染料を画像様に移行させ、次いでこの転写画像の上にシアン染料を含有するインク層13Cから同様にしてシアン染料を画像様に移行させ、最後に、この画像の全面に転写性の保護層を含む転写性保護層ユニット14を熱転写シートより熱転写して画像の形成を完了する。
本発明に用いられる熱転写記録装置において、光沢調とマット調の制御を同一装置内で選択可能にすると、1機種で所望の表面性の印画物が得られるため好ましい。選択の方法は特に限定されない。例えば、熱転写記録装置内に本発明の光沢調とマット調に対応する制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを読み出して、そのデータに従い制御部をコントロールしてもよいし、記録装置にパソコンが接続されている場合は、パソコン側に制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを記録装置に送りだしても良い。また、熱ローラーにて加熱をする場合には、表面を変質させる材料、たとえば光沢を出すような離型シート、マット調にするための凹凸のあるシートを画像記録後の受像層表面にあてがって、シート裏面より熱ローラーにて加熱を行うことで、表面の異なった記録体を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《熱転写シートの作製》
下記の方法に従って、支持体上に、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層及び転写性保護層ユニットを面順次で有する熱転写シート1〜38を作製した。
[熱転写シートA群:熱転写シート1〜17の作製]
〔染料層の形成〕
厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ダイアホイルヘキスト社製、K−203E−6F)の一方の面側に、ウレタン系樹脂からなる厚さ0.5μmのプライマー層を設け、他方の面に、耐熱滑性層として、厚さ1.0μmのシリコーン樹脂層を設けて熱転写シート用の支持体Aを作製した。
次いで、支持体Aのプライマー層上に、下記の組成からなるイエロー染料層塗布液1、マゼンタ染料層塗布液1、シアン染料層塗布液1を、それぞれ乾燥膜厚として1μmになるように、グラビア法により塗設して、イエロー、マゼンタ、シアンの各インク層を図2に示すような面順次で形成した。
〈イエロー染料層塗布液1〉
ポストキレート色素(Y−1) 1質量部
ポリビニールブチラール(電気化学工業社製 KY−24) 5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化株製 ダイアロマーSP−2105)
1.5質量部
メチルエチルケトン 80質量部
シクロヘキサノン 10質量部
〈マゼンタ染料層塗布液1〉
ポストキレート色素(M−1) 3質量部
ポリビニールブチラール(電気化学工業社製 KY−24) 5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化株精 ダイアロマーSP−2105)
1.5質量部
メチルエチルケトン 80質量部
シクロヘキサノン 10質量部
〈シアン染料層塗布液1〉
ポストキレート色素(C−1) 3質量部
ポリビニールブチラール(電気化学工業社製 KY−24) 5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化株精社製 ダイアロマーSP−2105)
1.5質量部
メチルエチルケトン 80質量部
シクロヘキサノン 10質量部
Figure 2005103894
〔転写性保護層ユニットの形成〕
上記形成した各インク層と同一面上に、下記の組成からなる転写性保護層ユニットを形成して、熱転写シート1〜17を作製した。
(非転写性離型層の形成)
前記支持体Aのプライマー層上に、グラビアコート法により、下記の組成からなる非転写性離型層塗布液を、乾燥時の固形分量が0.5g/m2となる条件で塗布・乾燥して、非転写性離型層を形成した。
〈非転写性離型層塗布液の調製〉
コロイダルシリカ(日産化学(株)製 スノーテックス50) 1.5質量部
ポリビニルアルコール 4.0質量部
イオン交換水 3.0質量部
変性エタノール 10質量部
(保護層の形成)
次に、上記形成した非転写性離型層上に、下記の組成からなる保護層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後の固形分量が2g/m2となる条件で塗布・乾燥して、保護層を形成した。
〈保護層塗布液1の調製〉
アクリル樹脂 15質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5質量部
ポリエチレンワックス 0.3質量部
ポリエステル樹脂 0.1質量部
メチルエチルケトン 40質量部
トルエン 40質量部
(紫外線吸収層の形成)
次に、上記形成した保護層上に、下記の組成からなる紫外線吸収層塗布液1を、グラビアコート法により、乾燥後の固形分量が2g/m2となる条件で塗布・乾燥して、紫外線吸収層を形成した。
〈紫外線吸収層塗布液1の調製〉
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(BASFジャパン社製UVA−635L) 40質量部
メチルエチルケトン 30質量部
トルエン 30質量部
(接着層の形成)
次に、上記形成した紫外線吸収層上に、下記の組成からなる接着層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後の固形分量が2g/m2となる条件で塗布・乾燥して、接着層を形成した。
〈接着層塗布液1の調製〉
バインダー樹脂(表1に記載の種類) 20質量部
導電剤 表1に記載の種類と添加量
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
以上の様にして、各インク層と、非転写性離型層上に保護層、紫外線吸収層、接着層(帯電防止剤を含有)の積層体である保護転写層を剥離可能に備えた熱転写シート1〜16を作製した。
更に、上記熱転写シート12(接着層のバインダー樹脂=P−18、導電剤=ANS−2)の作製において、接着層に用いた導電剤(ANS−2)を除き、ANS−7を保護層に30質量部添加した以外は同様にして、熱転写シート17を作製した。
なお、表1に記載の各添加剤の詳細は、以下の通りである。
P−21;ポリ(メチルアクリレート−コ−(t)ブチルアクリレート−コ−メタクリル酸 20:65:15) Tg=53℃(比較のバインダー樹脂)
P−22;ポリ(スチレン−コ−(n)ブチルアクリレート 90:10) Tg=75℃(比較のバインダー樹脂)
P−23;バイロン220(東洋紡社製) Tg=53(比較のバインダー樹脂)
ANS−1;SN−100P(粒状結晶性酸化スズ微粒子 石原テクノ製 本発明)
ANS−2;AS−100(アルミナゾル (株)日産化学工業製 本発明)
ANS−3:イオン性架橋性ポリマー導電性微粒子(コポリ[N−ビニルベンジル−N,N,N−塩化トリメチルアンモニウム−コ−エチレングリコールジアクリレート] 93:7 本発明)
ANS−4;イオン性架橋性ポリマー導電性微粒子(特開平7−28194記載のP−1 本発明)
ANS−5;特公昭35−6616記載の酸化スズゾル(本発明)
ANS−6;アンチモン酸亜鉛(日産化学(株)製セルナックス 比較品)
ANS−7;SF−10P(針状結晶性酸化スズ 石原テクノ製 比較品)
[熱転写シートB群:熱転写シート18〜28の作製]
上記熱転写シートA群の作製において、前記イエロー染料層塗布液1、マゼンタ染料層塗布液1、シアン染料層塗布液1を、下記の組成からなるイエロー染料層塗布液2、マゼンタ染料層塗布液2、シアン染料層塗布液2に変更し、更に、前記接着層1におけるバインダー樹脂の種類と、導電剤の種類及び添加量を、表1に記載のように変更した以外は同様にして、熱転写シート18〜27を作製した。また、熱転写シート27の作製において、接着層に用いた導電剤(ANS−1)を除き、ANS−7を保護層に30質量部添加した以外は同様にして、熱転写シート28を作製した。
(イエロー染料層塗布液2の調製)
前記イエロー染料層塗布液1において、ポストキレート色素(Y−1)に代えて、下記に示すイエロー分散染料を5.5質量部とメチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)を90質量部を用いた以外は同様にして、イエロー染料層塗布液2を調製した。
(マゼンタ染料層塗布液2)
前記マゼンタ染料層塗布液1において、ポストキレート色素(M−1)に代えて、マゼンタ分散染料(C.I.Disperse Red60)を用いた以外は同様にして、マゼンタ染料層塗布液2を調製した。
(シアン染料層塗布液2)
前記シアン染料層塗布液1において、ポストキレート色素(C−1)に代えて、シアン分散染料(C.I.Solvent Blue63)を用いた以外は同様にして、シアン染料層塗布液2を調製した。
Figure 2005103894
[熱転写シートC群:熱転写シート29〜38の作製]
上記熱転写シートA群の作製において、転写性保護層ユニットの紫外線吸収塗布液1に代えて、下記の組成からなる紫外線吸収塗布液を使用し、接着層塗布液1から導電剤を除いた以外は同様にして、熱転写シート29〜38を作製した。
(紫外線吸収層塗布液の調製)
バインダー樹脂(表2に記載の種類) 20質量部
導電剤 表2に記載の種類と添加量
紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製 TINUVIN−P) 2質量部
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
Figure 2005103894
《熱転写受像シートの作製》
〔熱転写受像シート1の作製〕
下記の内容に従って、熱転写受像シート1を作製した。この熱転写受像シート1は、上記作製した熱転写シートA群及び熱転写シートC群との組み合わせて用いる。
(支持体の作製)
受像シートの支持体として、コート紙(米坪量157g/m2 OKトップコートS 王子製紙社製)を用い、その一方の面にコロナ放電処理を施した後、その面に裏面樹脂層として、エチレン−αオレフィン共重合体(タフマーA−4085 三井石油化学工業社製)を15質量%ブレンドした高密度ポリエチレン(ジェイレックスLZ0139−2
、密度0.952、日本ポリオレフィン(株)製 以下、これをHDPEと略す)と、ポリプロピレン(ジェイアロマーLR711−5、密度0.905、日本ポリオレフィン社製 以下、これをPPと略す)とを公知の多層Tダイによる共押し出しコート法でHDPE側がコート紙に接するように2層共押し出しして積層した。また、外側になるPP面には、コロナ放電処理を施した後、下記の組成からなる裏面層塗布液1を、乾燥固形分量が1.5g/m2となるように塗布、乾燥して、支持体Bを作製した。なお、裏面樹脂層の厚さは、エチレン−αオレフィン共重合体ブレンドのHDPE層が14μm、PP層が19μm、合計33μmとなるように加工した。
〈裏面層塗布液1の調製〉
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製 BR−85) 19.8質量部
ナイロンフィラー(神東塗料(株)製MW−330) 0.6質量部
メチルエチルケトン 39.8質量部
トルエン 39.8質量部
(熱転写受像シートの作製)
一方、微細空隙を有する樹脂層として、厚さ35μmの発泡ポリプロピレンシート(35MW846 Mobil Plastics Europe社製)を用い、その一方の面に、下記の組成からなる中間層用塗布液と染料受像層用塗布液とを、グラビアリバースコート法により、各々乾燥時の塗布膜厚が1μmと3μmとになるように、順次塗布、乾燥して、中間層と染料受容層とが積層された発泡ポリプロピレンシートを作製した。
次に、上記発泡ポリプロピレンシートの中間層及び染料受容層を設けていない側の面(発泡ポリプロピレンシート面)と、前記支持体Bの裏面樹脂層を設けていない側の面(コート紙面)とを下記組成の接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて、熱転写受像シート1を作製した。
〈中間層塗布液の調製〉
ウレタン系樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン社製) 5.7質量部
酸化チタン(TCA888、トーケム・プロダクツ社製) 11.4質量部
蛍光増白剤(ユビテックスOB、日本チバガイギー社製) 0.2質量部
イソシアネート(タケネートA−14、武田薬品工業社製) 2.0質量部
メチルエチルケトン 15.5質量部
トルエン 15.5質量部
イソプロピルアルコール 7.7質量部
〈染料受像層塗布液の調製〉
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(デンカビニル#1000A 電気化学工業社製)
7.2質量部
塩化ビニル−スチレン−アクリル共重合体(デンカラック#400 電気化学工業社製) 1.6質量部
ポリエステル(バイロン600 東洋紡績社製) 11.2質量部
金属イオン含有化合物(MS−1 *1) 3質量部
ビニル変性シリコーン(X−62−1212 信越化学工業社製) 2.0質量部
触媒:CAT PLR−5(信越化学工業社製) 1.0質量部
触媒:CAT PL−50T(信越化学工業社製) 1.2質量部
溶剤:メチルエチルケトン 39.0質量部
溶剤:トルエン 39.0質量部
*1)MS−1:Ni2+[C715COC(COOCH3)=C(CH3)O-2
〔熱転写受像シート2の作製〕
上記熱転写受像シート1の作製において、前記染料受像層塗布液から金属イオン含有化合物(MS−1)を除いた以外は同様にして、熱転写受像シート2を作製した。この熱転写受像シート2は、上記作製した熱転写シートB群との組み合わせて用いる。
《印画試料の作製》
上記作製した熱転写シート及び熱転写受像シートを表2に記載の組み合わせで、昇華熱転写プリンター(神鋼電機社製 CHC−S545)を用いて、255階調値及び20階調ごとの階調値にて、イエロー、マゼンタ、シアンの各染料層の転写と、引き続いて、転写性保護層ユニットを、支持体の背面側から加熱して各形成画像上に透明保護層を転写させた印画試料1〜38を作製した。
《印画試料の評価》
〔画像保存性の評価〕
各印画試料を、60℃、80%RHの環境下で3ヶ月間保存した後、マゼンタ画像の濃度1.0部分の保存前後の濃度を測定し、未処理印画画像の濃度に対する保存後の濃度残存率を測定し、下記の評価基準に従って画像保存性の評価を行った。なお、画像の濃度は、X−rite社の濃度計X−rite310を用いて測定した。
◎:マゼンタ濃度残存率が90%以上
○:マゼンタ濃度残存率が、70%以上、90%未満
△:マゼンタ濃度残存率が、50%以上、70%未満
×:マゼンタ濃度残存率が、50%未満
〔耐擦過性の評価〕
保護転写層を転写した部分の表面を、プラスチック消しゴムにて10秒間擦り続け、擦過前後における画像濃度残存率を測定した。
◎:画像濃度残存率が90%以上
○:画像濃度残存率が、70%以上、90%未満
△:画像濃度残存率が、50%以上、70%未満
×:画像濃度残存率が、50%未満
〔接着性の評価〕
保護転写層表面に、メンディングテープ(住友3M社製)を貼りつけた後、それを剥がすという作業を連続して10回行った後、保護転写層、受像層、中間層等の剥離した面積を測定し、下記の基準に従い接着性の評価を行った。
◎:剥離が全く認められない
○:剥離面積が、テープを貼った総面積の20%未満
△:剥離面積が、テープを貼った総面積の20%以上、50%未満
×:剥離面積が、テープを貼った総面積の50%以上、100%未満
××:剥離面積が、テープを貼った総面積の100%以上
なお、剥離面積が100%以上とは、テープを貼った面積以上に保護転写層、受像層、中間層等が剥がれたことを意味する。
〔さばき性の評価〕
熱転写受像シートと熱転写シートとを、表2に記載の組み合わせで、昇華熱転写プリンター(神鋼電機株製 CHC−S545)を用いて、23℃、55%RHの環境下で連続10枚黒ベタ印画した。得られた画像形成物10枚をそろえる作業をして、以下の基準に従いさばき性を評価した。
◎:全くひっかかることなく、揃えることができる
○:僅かにひっかかりが認められるが、容易の揃えることができる
△:やや強いひっかかりが認められるが、なんとか揃えることができる
×:非常に強いひっかかりが認められ、揃えることができない
〔鮮鋭性の評価〕
ポートレイト画像を印画し、それを一般の10人のモニターにより形成画像の鮮鋭度、鮮明度を目視観察し、下記の判定基準に従って鮮鋭性の評価を行った。
◎:10人すべてがクリアーで鮮明な画像であると判定した
○:1〜2人がやや濁りのある画像と判定した
△:3〜4人がやや濁りのある画像と判定した
×:5〜9人がやや濁りのある画像と判定した
××:10人全てが、濁りがあり鮮鋭性に欠ける画像と判定した
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2005103894
表2の結果より明らかなように、離型層に隣接する層を除く少なくとも1層に、コロイド状の金属酸化物、イオン性架橋性ポリマー微粒子及び粒状結晶性酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも1種の導電剤を含有し、かつ導電剤を含有する層の主たるバインダー樹脂のTgが50℃以下である本発明の転写性保護層ユニットを用いて形成した印画試料は、比較例に対し、保存性、鮮鋭性や保護層の耐擦過性、接着性に優れ、かつ帯電防止効果、静電気の発生に対するさばき性が改良されていることが分かる。
本発明の熱転写シートに設ける転写性保護層ユニットの構成の一例を示す断面図である。 本発明の熱転写シートの1面順次に供給される形態の一例を示す斜視図である。 本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1、11 熱転写シート
2、12 基材シート
3 離型層
4 保護転写層群
5 保護層
6 接着層
7、18 背面層
13 染料層
14 転写性保護層ユニット
21 熱転写シートの供給ロール
22 使用された熱転写シートを巻き取る巻取ロール
23 サーマルヘッド
24 プラテンローラ
25 熱転写受像シート

Claims (3)

  1. 基材シートの一方の面の少なくとも一部に、非転写性離型層を介して保護転写層を剥離可能に備え、該保護転写層が多層構造である熱転写シートにおいて、該保護転写層の非転写性離型層に隣接する層を除く少なくとも1層が、コロイド状の金属酸化物、イオン性架橋性ポリマー微粒子及び粒状結晶性酸化スズ微粒子から選ばれる少なくとも1種の導電剤を含有し、かつ導電剤を含有する層の主たるバインダー樹脂のTgが50℃以下であることを特徴とする熱転写シート。
  2. 前記コロイド状の金属酸化物が、アルミナゾルまたは酸化スズゾルであることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記導電剤を含有する層の主たるバインダー樹脂が、アクリル系樹脂あることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シート。
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