JP2005102689A - E型肝炎ウイルス様中空粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、E型肝炎ウイルスに関し、公知のGenotype Iとは異なる遺伝子配列を有するGenotype I及び他のGenotypeについてウイルス様中空粒子を作製し、その配列を確認することを課題とする。
【解決手段】 Genotype I、Genotype III及びGenotype IVのHEV検出血清から、RNAを抽出し、E型肝炎ウイルスのORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域をクローニングし、遺伝子組換えの手法により、従来開示されたGenotype IのE型肝炎ウイルス様中空粒子とは遺伝子配列が異なるGenotype Iと、これまでに報告例のないGenotype III及びGenotype IVのウイルス様中空粒子を作製することによる。

Description

本発明は、Genotype I、Genotype III及びGenotype IV分離株由来E型肝炎ウイルス様中空粒子の製造方法及びそれをコードする遺伝子とその利用方法に関するものである。
E型肝炎はE型肝炎ウイルス(Hepatitis E Virus :以下「HEV」という場合もある。)の感染によって引き起こされる急性肝炎で、かつて経口型、水系、流行性非A非B型肝炎と呼ばれた疾患であり、慢性化すること無く一過性に経過する。この肝炎は発展途上国で常時散発的に発生している疾患であるが、時として飲料水を介して大規模な流行を引き起こす事が知られている。近年では、先進国においてHEV常在地への渡航歴のない急性肝炎患者からHEV遺伝子が検出された事やブタからも遺伝学的に極めて類似のウイルスが検出された事などから、人畜共通感染症である可能性が示唆されている。
現在までのところ、HEVには4つのGenotypeが存在する。ミャンマー、パキスタン等から分離されたGenotype I、メキシコから分離されたGenotype II、アメリカ合衆国、日本から分離されたGenotype III、中国から分離されたGenotype IVが存在し、日本では渡航歴のあるE型肝炎発症患者からはGenotype IとGenotype IV、渡航歴のないE型肝炎発症患者からはGenotype IIIが検出されている(Takahashi M, et al. : Identification of two distinct genotypes of hepatitis E virus in a Japanese patient with acute hepatitis who had not traveled abroad. J Gen Virol. 83: 1931-1940, 2002)。
HEV遺伝子はプラスセンスの1本鎖RNAから成り立つ。全長は約7200塩基で更にこの3'端にポリA配列が付着している。読み取り枠(ORF)は3つあり、ORF1、ORF3、ORF2の順に一部重複しながら配列している。ORF1は約5000塩基、ORF2は約2000塩基、ORF3は369塩基である。ORF3は、ORF1と1塩基重複し、ORF2とは328塩基重複している。ORF1は非構造蛋白質をコードし、ORF2は構造蛋白質をコードしている。一方、ORF3にコードされる蛋白質の機能は不明である。
ORF1をコードしているペプチドのアミノ酸配列を解析すると、メチルトランスフェラーゼ、パパイン様システインプロテアーゼ、ヘリカーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼの各ドメインが存在する。これら非構造蛋白質の様々な酵素活性がHEV遺伝子の複製や発現、粒子形成等に関与し、ウイルス増殖を可能にしている。ORF2から発現する蛋白質は構造蛋白質を形成するユニットになる。この構造蛋白質には少なくとも2個のB細胞エピトープ(抗原決定基)が存在する。ORF3の配列は短く、わずか123個のアミノ酸をコードするにすぎない。機能蛋白質としては短いが、患者血清中にこの蛋白質と反応する抗体が検出される事から何等かの機能を有するものと考えられる。
現在、日本でもHEVの感染例が多数報告されているので、HEVの検出法、抗体価の測定法の開発が急務となっている。
E型肝炎の診断は、現在のところ酵素抗体法(ELISA)による抗体測定法によって行われている。Reyes らはAbbott社と共同して融合発現蛋白質(Yabough PO, et al. : Hepatitis E virus: identification of typecommon epitopes. J Viol. 65: 5790-5797, 1991)、内田らは化血研と共同して合成ペプチドをそれぞれ抗原に使用した抗HEV特異抗体検出系を構築している(Uchida T, et al. : An epidemic outbreak of hepatitis E in Yangon of Myanmar : antibody assay and animal transmission of the virus. Acta Pathol Jpn. 43: 94-98, 1993)。 また、HEV構造蛋白質全長(ORF2)をバキュロウイルスで発現している例もある(Tsarev SA, et al. : ELISA for antibody to hepatitis E virus (HEV) based on complete open reading frame-2 protein expressed in insect cells : identification of HEV infection in primates. J Infect Dis. 168: 369-378, 1993) 。しかし、これらの各特異抗体検出系にはそれぞれ問題点が存在する。大腸菌による融合蛋白質を用いた抗体検出系では、偽陽性になることが多く、また、合成ペプチドを用いた特異抗体検出系は偽陰性が検出される状況にある(内田俊和:E型肝炎ウイルスの分子生物学的研究:日本臨床53巻 901-905:1995増刊号)。
近年では、HEVの構造蛋白質の一部(ORF2)をバキュロウイルスで発現することでウイルス様中空粒子を作製し、その粒子を精製し感度の優れたELISA法を確立したという報告がある(非特許文献1、非特許文献2、特許文献1)。
なお、先に報告されたHEVの構造蛋白質の一部(ORF2)の塩基配列は、岡本らの方法に従って系統解析した結果、現在公知であるHEVのGenotypeのうち、Genotype Iであることが判明している(Okamoto H, et al. : Analysis of the complete genome of indigenous swine hepatitis E virus isolated in Japan. Biochem Biophys Res Com. 289: 929-936, 2001)。
しかし、先に報告されたHEVのGenotypeとは異なるHEVについては、未だウイルス様中空粒子を作製したとする報告はなく、ウイルス様中空粒子のGenotype間における抗原性については不明なままである。
T-C Li, et al. : J virol 71 : 7207-7213 (1997) T-C Li, et al. : J med virol 62 : 327-333 (2000) 特開平10-234383号公開公報
本発明は、HEVに関し、公知のGenotype Iとは異なる遺伝子配列を有するGenotype I及び他のGenotypeについてウイルス様中空粒子を作製し、中空粒子のGenotype間における抗原性を解明することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、HEVのGenotype I、Genotype III及び Genotype IV検出株由来のRNAからそれぞれウイルス様中空粒子の作製を試み、非特許文献1,2及び特許文献1で報告されたものとは遺伝子配列が異なるGenotype Iと、これまでに報告例のないGenotype III及びGenotype IVのウイルス様中空粒子を作製することに成功し、本発明を完成した。さらに、それらのウイルス様中空粒子について、各々の抗原性を比較し、その利用方法についても検討した。
すなわち本発明は以下よりなる。
1.E型肝炎ウイルス(Genotype III)の抗原性を保持するE型肝炎ウイルス様中空粒子。
2.E型肝炎ウイルス(Genotype IV)の抗原性を保持するE型肝炎ウイルス様中空粒子。
3.以下に示すいずれかのアミノ酸配列であるE型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子;
1)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列。
2)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列。
3)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列。
4.以下に示すいずれかのアミノ酸配列であるE型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子;
1)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列。
2)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列。
3)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
5.以下に示すいずれかのアミノ酸配列であるE型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子;
1)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列。
2)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列。
3)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
6.E型肝炎ウイルス(Genotype III)の抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子をコードするDNA。
7.前記DNAが、E型肝炎ウイルス(Genotype III)をコードする遺伝子のうち、ORF2を構成するDNAから選択される前項6に記載のDNA。
8.E型肝炎ウイルス(Genotype IV)の抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子をコードするDNA。
9.前記DNAが、E型肝炎ウイルス(Genotype IV)をコードする遺伝子のうち、ORF2を構成するDNAから選択される前項8に記載のDNA。
10.E型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドをコードする以下に示すいずれかのDNA;
1)配列表の配列番号7で表される塩基配列からなるDNA及び/又はその相補鎖。
2)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
3)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
4)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
5)E型肝炎ウイルスのGenotype IのORF2から選択される領域のアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
11.E型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドをコードする以下に示すいずれかのDNA;
1)配列表の配列番号9で表される塩基配列からなるDNA及び/又はその相補鎖。
2)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
3)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
4)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
5)配列表の配列番号3及び4で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのいずれか1種又は両方をプライマーセットとして使用し、遺伝子増幅方法により増幅されたDNA及び/又はその相補鎖。
12.E型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドをコードする以下に示すいずれかのDNA;
1)配列表の配列番号11で表される塩基配列からなるDNA及び/又はその相補鎖。
2)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
3)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
4)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
5)配列表の配列番号5及び6で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのいずれか1種又は両方をプライマーセットとして使用し、遺伝子増幅方法により増幅されたDNA及び/又はその相補鎖。
13.前項6〜12の何れか1に記載のDNAを含有する組換えベクター。
14.前項13に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
15.前項14に記載の形質転換体を培養する工程を含む前項1〜5のいずれか1に記載のウイルス様中空粒子の製造方法。
16.前項1〜5のいずれか1に記載のウイルス様中空粒子又は前項6〜12のいずれか1に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を免疫原とし、E型肝炎ウイルスを免疫学的に認識する抗E型肝炎ウイルス抗体。
17.前項16に記載の抗体が、E型肝炎ウイルスのGenotype I、III又はIVを識別しうる抗体である抗E型肝炎ウイルス抗体。
18.前項16又は17に記載の抗体がポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である抗E型肝炎ウイルス抗体。
19.前項1〜5のいずれか1に記載のウイルス様中空粒子又は前項6〜12のいずれか1に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルス関連抗体の検出方法。
20.前項3に記載のウイルス様中空粒子又は前項10に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルスのGenotype I関連抗体の検出方法。
21.前項1若しくは4に記載のウイルス様中空粒子又は前項6、7若しくは11に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルスのGenotype III関連抗体の検出方法。
22.前項2若しくは5に記載のウイルス様中空粒子又は前項8、9若しくは12に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルスのGenotype IV関連抗体の検出方法。
23.前項19〜22のいずれか1に記載のE型肝炎ウイルス関連抗体の検出方法に使用するE型肝炎ウイルス関連抗体検出用試薬又は該試薬キット。
本発明のHEVのGenotype I、Genotype III及びGenotype IVのウイルス様中空粒子により、今後Genotype特異的なエピトープの存在が明らかにされ、従来よりも正確な免疫測定を行うことができるようになり、HEVをGenotype別に詳細に検出することが可能になる。また、Genotype別のウイルス様中空粒子の形成過程を明らかにすることで、感染発症時期の特定や粒子形成の抑制等が可能となり、多種多様なHEVワクチンを開発することも可能になると考えられる。
本発明のE型肝炎ウイルス(HEV)様中空粒子は、以下に示す方法により調製することができる。
(HEVのRNA抽出)
HEVは、HEVに感染したヒトを含む動物、例えばE型肝炎の患者の血液、血漿、血清、便、唾液等の体液や患者の生体組織等から分離したものを使用することができる。HEVのRNAは、公知の技術、例えばフェノール抽出法、NP-40法、セシウム−超遠心法等により抽出することができる。具体的には、市販のRNA抽出キットであるスマイテストRキット(ゲノムサイエンス研究所)やRNeasy Kit(QIAGEN社)等を用いてRNAを抽出することができる。
(HEVのRNAに相補的なcDNAの合成)
上記方法により得られたHEVのRNAに相補的なcDNAの合成は、例えば逆転写酵素を用いる公知の常法により行うことができる。具体的には、Oligo(dT)12-18をプライマーに、MMLV(インビトロジェン社製)逆転写酵素、AMV(AvianMyeloblastosis Virus)(生化学工業社製) 由来逆転写酵素等を用いてcDNAを合成することができる。
(HEV cDNAのクローニング)
本発明の目的は、HEVの抗原性を有するウイルス様中空粒子を得ることであるため、最終的には該中空粒子を構成しうる領域、例えばHEVをコードする遺伝子のORF2を構成する蛋白質のN末端から111のアミノ酸を欠損させた領域をコードするDNA(1650bp)、具体的にはGenotype Iについては、配列表の配列番号7に記載の塩基配列を含むDNAの領域、Genotype IIIについては、配列表の配列番号9に記載の塩基配列を含むDNAの領域、Genotype IVについては、配列表の配列番号11に記載の塩基配列を含むDNAの領域の蛋白質を発現することができれば良い。
さらに、本発明のウイルス様中空粒子を調製するために、HEVのGenotype Iについては、以下の1)〜3)の何れかに示すアミノ酸配列であるHEVの抗原性を保持するポリペプチドを含む領域の蛋白質を発現させることができれば良い。
1)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列。
2)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列。
3)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列。
また、HEVのGenotype IIIについては、以下の1)〜3)の何れかに示すアミノ酸配列であるHEVの抗原性を保持するポリペプチドを含む領域の蛋白質を発現させることができれば良い。
1)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列。
2)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列。
3)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
また、HEVのGenotype IVについては、以下の1)〜3)の何れかに示すアミノ酸配列であるHEVの抗原性を保持するポリペプチドを含む領域の蛋白質を発現させることができれば良い。
1)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列。
2)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列。
3)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
ポリペプチドは、例えば組換え、蛋白質分解消化又は化学合成などのいくつかの方法によって作製しうる。例えばHEVをコードする遺伝子のORF2を構成する蛋白質のN末端から111のアミノ酸を欠損させたポリペプチドや、1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加されたポリペプチドは、内部又は末端断片は、そのポリペプチドをコードする核酸の一端(末端断片に関して)又は両端(内部末端に関して)から1つ又は複数のヌクレオチドを除去することによって作製しうる。変異誘発DNAの発現によってポリペプチド断片が産生される。このため、「末端除去性(end-nibbling)」前進性エキソヌクレアーゼによる消化によって、一連の断片をコードするDNAを作製することができる。ランダム剪断、制限消化又は上記の方法の組み合わせにより、蛋白質の断片をコードするDNAも作製しうる。
本発明のウイルスcDNAのクローニングベクターとしては、大腸菌に代表される原核細胞を宿主とするプラスミド、及び、λファージ等に代表されるバクテリオファージ由来のベクター等公知のものを使用する事が出来る。この工程ではクローニングベクターとその宿主細胞とを適当に組み合わせて使用する事が望ましい。クローニングベクターの具体的な例としては、pBR322, pBR325, pBR327, pBR328, pUC7, pUC8, pUC9, pUC19等が例示される。遺伝子の挿入方法は公知の常法に従えばよい。これらのベクターの構築にあたっては、遺伝子操作を容易に行うことができる大腸菌系を使用する事が望ましい。また、使用するプラスミドベクターは特に限定されるものではない。
当該ウイルスcDNAのクローニングのために必要に応じて制限酵素サイトを付加することができる。主な制限酵素として、Alu I, BamH I, EcoR I, Hind II, Hind III, Not I 等が公知であり、これらの制限酵素が認識するように制限酵素サイトとしての塩基を付加することができる。例えばTAクローニングの場合には、プラスミドベクターにおいて3'末端にT塩基を突出させるために、Sma I等で消化してdTTPを付加する、又はXba I等で消化することができる。
クローニングベクターに挿入する遺伝子を調製するために、Genotype別に設計したプライマーセットを用いてPCR法によるウイルス遺伝子の増幅を行うことができる。具体的には配列番号1(foreword primer)及び配列番号2(reverse primer)、配列番号3(foreword primer)及び配列番号4(reverse primer)、並びに配列番号5(foreword primer)及び配列番号6(reverse primer)を各Genotypeのプライマーセットとして例示し、使用することができる。ここにおいて、各配列中下線を施した配列の部分は、特定の制限酵素を認識する配列であり、その配列の3'末端側に蛋白質の翻訳開始領域又は、蛋白質発現終止領域を認識する配列を含む配列を例示する。特定の制限酵素を認識する配列を含むプライマーは、必ずしも必要というわけではない。
(Genotype I)
HEV-D13 5'-AAGGATCCATGGCGGTCGCTCCAGCCCATGACACCCCGCCAGT-3'(配列番号1)
HEV-U14 5'-GGTCTAGACTATAACTCCCGAGTTTTACCCACCTTCATCTT-3' (配列番号2)
(Genotype III)
HEV-D110 5'-AAGGATCCATGGCTACATCACCAGCCCCTGATAC-3' (配列番号3)
HEV-U84 5'-AAGTCTCTAGATTAAGACTCCCGGGTTTTACCTACCT-3' (配列番号4)
(Genotype IV)
HEV-D99 5'-AAGGATCCATGGCTGTAGCCCCAGCTCCCGA-3' (配列番号5)
HEV-U69 5'-TCAATACTCCCGGGTTTTACCCA-3' (配列番号6)
上記プライマーセット及び耐熱性ポリメラーゼ、例えばEx taq(TaKaRa社製)を用いたPCRの公知の手法により、TAクローニングに必要な領域を増幅することができる。具体的には、例えばGeneAmp PCR System9600(PRKIN ELMER)を用い、96℃、2分保温後、95℃30秒で変性、55℃30秒でアニーリング、72℃60秒で伸長を35サイクル行うことにより所望の領域の遺伝子を増幅することができる。次に、増幅産物について1%アガロースゲル電気泳動を行い、目的のバンド(約1700bp)を切り出すことができる。該切り出したアガロースゲルをUltrafreeTM-DA(MILLIPORE)を用いて、5,000×gで10分間遠心し、ゲル中よりPCR増幅産物を抽出する。抽出したPCR増幅産物を、Microcon YM-100(MILLIPORE)を使用して1,000×gで15分遠心し、精製濃縮する。必要に応じて、TAクローニングに必要な塩基を付加することができる。
その後、クローニングベクターpCR2.1(インビトロジェン社製)にGenotype I、III及びIVに関する上記精製濃縮して得た増幅産物を組み込み、TAクローニングにより各Genotypeのプラスミドクローンを得ることができる。
(HEVのORF2遺伝子(N末端111アミノ酸欠損領域)の発現)
a) 上記クローニングで得たプラスミドクローンを、公知の情報により行われる発現系(プロモーター、シグナル配列など)を利用して発現させることができる。
例えば、BamH I及びNot IやSma I及びXba I等の制限酵素認識部位の領域を含むプライマーで増幅した産物から得られた該プラスミドクローンを、制限酵素であるBamH I及びNot IやSma I及びXba I等で消化切断し、上記と同様にアガロースゲル電気泳動を行うことで、必要な領域、例えばHEVのORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域の遺伝子を精製して得ることができる。なお、クローニングベクター作製用プライマーについて、翻訳開始及び終止領域を認識する領域が含まれていない場合には、遺伝子を発現させるために、ORF2の目的の断片の前後にフレームを予め合わせた上で、例えば遺伝子の翻訳開始及び終止領域を補充することが必要である。これらの領域の補充は、公知の通常の方法により行うことができる。
b) 上記の必要な遺伝子を発現ベクター系に導入して、発現系を構築する。発現ベクター系への遺伝子の導入は公知の手法により行うことができ、発現ベクター系の構築には、公知のベクターを用いることができるが、例えばバキュロウイルス用トランスファーベクターを用いることが好ましい。トランスファーベクターとしては、pAcYM1(J. General Virology, Vol.68, pp.1233-1250, 1987)、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(PHAMINGEN社製)などが例示され、市販のものを用いることもできる。ベクターは、具体的にはプロモーター、シグナル配列、リボソーム結合部位、転写終結配列(ターミネーター)を有する。また宿主である形質転換細胞中で表現型の選択が可能となるマーカーの配列を有していてもよい。さらに高産生系として、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を用いることもできる。必要に応じて、制限酵素、例えばBamH I及びNot IやSma I及びXba I等で消化切断したベクターを用いることができる。
c) 発現ベクター系の取得は、公知の常法により行うことができる。例えば、組換えバキュロウイルスは、必要な遺伝子を組み込んだトランスファーベクターと直鎖状バキュロウイルスDNAを、昆虫細胞にコ・トランスフェクトして得ることができる。トランスファーベクターとバキュロウイルスがコ・トランスフェクト可能である昆虫細胞を適宜使用することが望ましい。具体的には、Tn5細胞(インビトロジェン社製)又はSf9細胞(インビトロジェン社製)等を使用することができる。バキュロウイルスが導入された昆虫細胞内で、トランスファーベクターと直鎖状バキュロウイルスの相同組換えにより、組換えバキュロウイルスを作製することができる。組換えバキュロウイルスの作製に当たっては、バキュロウイルスの増殖に非必須な遺伝子領域内にHEV遺伝子のORF2の目的の断片を挿入する。
より具体的には、組換えバキュロウイルスは次のようにして作製することができるが、以下の方法に限定されないことは言うまでもない。
0.5μgの直鎖状バキュロウイルスDNA(Baculo-Gold PHAMINGEN社製)と1μgの目的の遺伝子を組込んだトランスファーベクターpVL1393を8μlの蒸留水に溶解し、2倍希釈した等量のリポフェクチン(インビトロジェン社製)と混合して室温で15分間放置する。バキュロウイルス培養可能な培養液、例えばEx cell 405(JRH社製)培養液に懸濁した1×105個の昆虫細胞、例えばSf9細胞をプラスティックシャーレ(直径3.5cm)内に26.5℃で30分間吸着後、DNA混合液を細胞に滴下し26.5℃で培養する。24時間後、培養液を10%牛胎児血清を含むTC100(GIBCO BRL社製)培地を添加し、更に3日間培養する。その後、プラスティックシャーレに培養したSf9細胞全てを25cm2のフラスコに移し、10%牛胎児血清を含むTC100培地で3日間培養し、その上清を組換えバキュロウイルスを含む種ウイルスとする。
次に、上記発現ベクター系を用いて発現系の構築を行う。この工程における形質転換体の取得は、公知の常法により行うことができる。形質転換体のための宿主細胞としては、例えば昆虫細胞、例えばTn5細胞等を使用することができる。
具体的には、次のようにして発現系を構築することができるが、以下の方法に限定されないことは言うまでもない。上記のようにして得られた発現ベクター系としての種ウイルス液を、昆虫細胞に対してMOI(Multiplicity of infection)10で感染させる。感染は、組換えウイルス液を細胞に滴下させ、静かに振とうさせながら約30分程度吸着させることにより行うことができる。その後、感染した昆虫細胞を必要に応じて2〜7日間、26.5℃で培養し、HEVのGenotype I、Genotype III又はGenotype IVのORF2遺伝子(N末端111アミノ酸欠損領域)の発現を行うことができる。
(発現蛋白質の同定)
発現して得られた蛋白質が、本発明のHEVのGenotype I、III及びIVに関するHEV抗原性を有する蛋白質であるかどうかを確認することが必要である。確認は、公知の常法により行うことができ、例えばウエスタンブロッティングやSDS-PAGEなどにより行うことができる。具体的には、次の手法により行うことができる。
上記説明した組換えウイルス感染培養細胞の培養上清、及び該培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣を経時的に採取し、これらの採取した試料をSDS-PAGEで展開させ、蛋白質をクマシーブリリアントブルー染色で検出し、予想される分子量の妥当性を検討する。本発明のHEVのGenotype I、III及びIVに関するORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域(1650bp)に係る蛋白質の場合では、分子量は約58kDaである。昆虫細胞内で58kDaの蛋白質を発現させた後、細胞内で何かしらの影響を受け発現蛋白質がC末端から切断され、約50kDaの蛋白質となる事でウイルス様中空粒子を形成する。該蛋白質をSDS-PAGEで展開させた後、ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期血清を用いてウエスタンブロッティング法で発現蛋白質を同定することができる。
さらに、培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣に関してはウラニル酢酸でネガティブ染色し、電子顕微鏡で検鏡し直接ウイルス様粒子を検出することができる。
(HEV(Genotype I、III及び IV)の各ウイルス様中空粒子の精製)
本発明のウイルス様中空粒子を得るために、上記確認した蛋白質を精製することが必要である。蛋白質の精製は、公知の常法により行うことができる。例えば次のようにして精製することができるが、以下の方法に限定されないことは言うまでもない。
組換えウイルスを感染させ培養したTn5細胞の培養液80mlを10,000×gで30分間遠心し、培養液からバキュロウイルスとTn5細胞を取り除く。前記遠心により得られた上清を、100,000×gで3時間超遠心してウイルス様中空粒子を沈渣として回収する。該沈渣を400μlのEx cell 405(JRH社製)培養液に懸濁し、100,000×gで24時間、塩化セシウム平衡密度勾配遠心法を行うことにより、HEV様中空粒子を比重約1.3g/cm3の位置で白乳色バンドとして確認することができる。該白乳色バンドは、シリンジ等を使用して回収することができる。該回収したバンドを、さらにExcell 405(JRH社製)培養液で5倍希釈した後、100,000×gで3時間超遠心してウイルス様中空粒子を沈渣として精製回収することができる。
(HEV(Genotype I、III及び IV)の各ウイルス様中空粒子による特異抗体の検出)
本発明のウイルス様中空粒子は、HEV抗原性を保持していることが特徴である。該ウイルス様中空粒子は、HEV特異的なIgG抗体及びIgM抗体に反応する。これらの抗体への反応性は、例えばELISA法等、公知の常法により確認することができる。
ELISA法として、具体的に次の手法により行うことができる。1)ウイルス様中空粒子のマイクロプレートへの固相化、2)非特異反応抑制のためのマイクロプレートのブロッキング、3)固相化ウイルス様中空粒子(抗原)とヒト抗体の反応、4)ヒト抗体と標識化抗ヒト抗体の反応、5)基質との反応、6)反応停止の後の測定による。
より具体的には、次の手法によることができる。
上記作製したウイルス様中空粒子を50mM 炭酸バッファー(pH9.5)で希釈し、ポリスチレン平型マイクロプレートに100ng/ウェルで分注し、4℃で1晩静置し、ウイルス様中空粒子を固相したマイクロプレートを作製する。次に該マイクロプレートを、最終濃度0.05%のTween 20を含むPBS(リン酸緩衝食塩水)200μl/ウェルで3〜5回洗浄後、例えば最終濃度10%スキムミルクと0.05% Tween 20を含むPBS 100μl/ウェルを加えて37℃で1〜2時間静置し、マイクロプレートをブロッキングする。次に、E型肝炎患者血清(抗体)を1%スキムミルクと0.05% Tween 20を含むPBSで200倍に希釈し、その100μlを前記ウイルス様中空粒子固相マイクロプレートの各ウェルに加え、固相したウイルス様中空粒子と抗体を37℃で1時間反応させる。反応後、0.05% Tween 20を含むPBS 200μl/ウェルで3〜5回洗浄し、次いで1%スキムミルクと0.05% Tween 20を含むPBSで約1,000〜5,000倍に希釈した抗ヒトIgGヤギぺルオキシターゼ標識抗体、若しくは抗ヒトIgMヤギぺルオキシターゼ標識抗体を100μl/ウェル加え、37℃で1時間反応させる。反応後、0.05% Tween 20を含むPBS 200μl/ウェルで5回洗浄し、0.4mg/mlのO-フェニレンジアミンを含む、0.05Mクエン酸-リン酸緩衝液(pH5.0)に、0.04%過酸化水素を加えた基質を100μl/ウェル加え、室温で約30分間反応させる。反応後、4N硫酸を50μl/ウェル加えて反応を停止させ、マイクロプレート用比色計を用いて、波長490nmで各ウェルのO.D.値を測定する。
なお、上記手法は以下に説明する実施例1−1〜2にて使用している。
あるいは、上記手法を改良した次の手法によることもできる。
上記作製したHEV様中空粒子をPBSで希釈し、ポリスチレン平型マイクロプレートに200ng/ウェルで分注し、4℃で1晩静置し、ウイルス様中空粒子固相マイクロプレートを作製する。次に、該マイクロプレートに最終濃度3%スキムミルクと0.05% Tween 20を含むPBS 300μl/ウェルを加えて37℃で1〜2時間静置し、マイクロプレートのブロッキングを行う。マイクロプレートを0.05% Tween 20を含むPBS 350μl/ウェルで3〜5回洗浄する。その後、E型肝炎患者血清(抗体)を1%スキムミルクと0.05% Tween 20を含むPBSで200倍に希釈し、その100μlをHEV様中空粒子固相マイクロプレートのウェルに加え、37℃で1時間反応させる。反応後、0.05% Tween 20を含むPBS 300μl/ウェルで5回洗浄する。次いで、1%スキムミルクと0.05% Tween 20を含むPBSで約1,000〜5,000倍に希釈した抗ヒトIgMヤギぺルオキシターゼ標識抗体、若しくは抗ヒトIgGヤギぺルオキシターゼ標識抗体を100μl/ウェル加え、37℃で1時間反応させる。反応後、0.05% Tween 20を含むPBS 300μl/ウェルで5回洗浄する。洗浄後、0.4g/Lの3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンと0.02%過酸化水素を含むクエン酸緩衝液を混合した基質を100μl/ウェル加えて、室温で約15分間反応させる。反応後、1Mリン酸を100μl/ウェル加えて反応を停止させ、マイクロプレート用比色計を用いて、波長450nmで各ウェルのO.D.値を測定する。
なお、上記手法は以下に説明する実施例2−1〜3にて使用している。
これらの手法により、得られたウイルス様中空粒子が、抗HEV IgM抗体若しくは抗HEV IgG抗体に特異的であるかを確認することができる。
(抗E型肝炎ウイルス(HEV)抗体)
本発明の抗E型肝炎ウイルス(HEV)抗体は、HEVを特異的に認識する抗体であり、好ましくはHEVのGenotype I、III及びIVを識別しうる抗体である。かかる抗体はポリクローナル抗体であっても良く、モノクローナル抗体であっても良い。本発明の抗体はIgGに限定されるものではなく、IgMなどでもよい。
本発明の抗体は、自体公知の免疫学的手法により作製することができる。免疫原としては、本発明のウイルス様中空粒子を使用することができ、より具体的にはHEVのGenotype I、III又はIVのウイルス様中空粒子を使用することができる。ポリクローナル抗体は、自体公知の方法により動物を免疫し、免疫した動物の血清などから作製することができる。また、モノクローナル抗体も、自体公知の方法により抗体を産生するハイブリドーマ動物由来のBリンパ球と各種骨髄腫細胞とを融合し、抗体を産生しうるハイブリドーマを得て作製することができる。モノクローナル抗体は、例えばケーラーとミルシュタインの方法(Kohler and Milstein, Nature 256, 495-497, 1975)にしたがって作製することができる。
なお本発明は、各ウイルス様中空粒子調製に関連する組換えベクター、形質転換体、HEV関連抗体の検出方法、検出用試薬及び検出用試薬キットにも及ぶものである。
本発明の理解を助けるために実施例を設けて詳述するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1)E型肝炎ウイルス(HEV)様中空粒子の調製(Genotype I)
E型肝炎(Genotype I)発症患者血清100μlからRNA extraction kitであるスマイテストRキット(ゲノムサイエンス研究所)を用いてRNAを抽出した。Oligo(dT)12-18をプライマーに、MMLV(インビトロジェン社製)逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。
配列番号1及び2に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用いて、PCR法により増幅させ、上記精製濃縮して得たGenotype Iに関するORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域のcDNAをクローニングベクターpCR2.1(インビトロジェン社製)に組み込み、TAクローニングによりGenotype Iのプラスミドクローンを得た。
得られたプラスミドクローンを、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393に組込み、直鎖状バキュロウイルスDNA(Baculo-Gold PHAMINGEN社製)と共に昆虫細胞Sf9へコ・トランスフェクションし、組換えバキュロウイルスを作製した。
作製した組換えバキュロウイルスを昆虫細胞Tn5にMOI(Multiplicity of infection)10で感染させて蛋白質の発現を行い、組換えバキュロウイルス感染培養細胞、培養上清及び培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣を経時的に採取した。
これらの採取した試料をSDS-PAGEにより展開した後、蛋白質をクマシーブリリアントブルー染色で検出し、予想される分子量の妥当性を検討した。
その結果、図1上に示すように、組換えウイルス感染培養細胞では2日目から58kDa付近に発現蛋白質が確認され、その後日数の経過とともに昆虫細胞内でC末端から52個アミノ酸が切断される等の修飾を受け、4日目から50kDa付近に蛋白質が確認されるようになり、経時的に50kDa付近の蛋白質へと移行するのを確認した。培養上清及び培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣にも同様に4日目頃から50kDa付近に蛋白質が確認された。
この発現蛋白質について塩化セシウム平衡密度勾配遠心法を行ったところ、比重約1.3g/cm3の白乳色バンドとして確認することができ、ウイルス様中空粒子として回収することに成功した。さらに、電子顕微鏡での検鏡においても直径約25nmのウイルス様粒子を直接検出することができた。その結果を写真図2に示した。
また、経時的に採取した試料をSDS-PAGEで展開した後、ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期血清によるウエスタンブロッティング法を実施した。
その結果、図3(a,b)各左側に示すように、組換えウイルス感染培養細胞では3日目に30kDa〜25kDa付近の複数の蛋白質と反応を示し、6日目には58及び50kDa発現蛋白質と反応するように移行するのを確認した。さらに、培養上清と培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣では6日目に50kDa発現蛋白質と反応することを確認した。
同様に塩化セシウム平衡密度勾配遠心法で回収精製したウイルス様中空粒子もE型肝炎患者急性期血清と反応し、抗原性を有していることを確認した。
このウイルス様中空粒子を抗原に使用したELISA法ではヒト血清中の抗HEV-IgG、IgM抗体の検出が可能であることを確認した(図4、5)。
組込みに使用したE型肝炎ウイルス(Genotype I)のORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域の塩基配列(翻訳開始コドンを含まない)は、配列番号7に示すとおりであり、背景技術の特許文献1に開示するウイルス様中空粒子の遺伝子の塩基配列とは下線部において相違し、相同性は95.27%であった。また、翻訳開始コドンを含まない当該領域に係る本発明のアミノ酸配列は、配列番号8に示すとおりであり、同様に特許文献1に開示するアミノ酸配列とは下線部に示す第406番目のアミノ酸が相違するアラニンであり、相同性は99.82%であった。
(HEV(Genotype I)のウイルス様中空粒子をコードするDNA)(配列番号7)
GCGGTCG CTCCAGCCCA TGACACCCCG CCAGTGCCTG ATGTCGACTC TCGCGGCGCC ATCCTGCGCC GTCAGTATAA CCTATCAACA TCTCCCCTCA CCTCTTCCGT GGCCACCGGC ACTAATCTTG TTCTTTATGC CGCCCCTCTT AGTCCGCTTT TACCCCTCCA GGACGGCACC AATACTCATA TAATGGCCAC GGAGGCTTCT AATTATGCCC AGTACCGGGT TGCCCGTGCC ACAATCCGTT ACCGCCCGCT GGTCCCAAAT GCTGTCGGCG GTTATGCCAT CTCCATCTCA TTCTGGCCGC AGACCACCAC CACCCCGACG TCCGTCGATA TGAATTCAAT AACTTCGACG GATGTTCGTA TTTTAGTCCA GCCCGGCATA GCCTCTGAGC TTGTGATTCC AAGTGAGCGC CTACACTATC GCAACCAAGG TTGGCGCTCC GTCGAGACCT CCGGGGTGGC TGAGGAGGAA GCTACCTCTG GTCTCGTTAT GCTTTGCATT CATGGTTCAC CCGTAAATTC CTACACTAAT ACACCCTATA CCGGTGCCCT CGGGCTGTTG GACTTCGCCC TCGAGCTTGA GTTCCGCAAC CTTACCCCCG GTAACACCAA TACGCGGGTC TCCCGTTATT CCAGCACTGC TCGCCACCGC CTTCGTCGCG GTGCAGACGG GACTGCCGAG CTCACCACCA CGGCTGCTAC CCGCTTTATG AAGGATCTTT ATTTTACTAG TACTAATGGC GTTGGTGAGA TCGGCCGCGG GATAGCCCTT ACCCTTTTCA ACCTCGCTGA CACTCTGCTT GGTGGCCTGC CGACAGAATT GATTTCGTCG GCTGGTGGCC AGCTGTTTTA CTCCCGCCCC GTTGTCTCAG CCAATGGCGA GCCGACTGTT AAGCTGTATA CATCTGTGGA GAACGCTCAG CAGGATAAGG GTATTGCAAT CCCGCATGAT ATTGACCTCG GAGAATCCCG TGTGGTTATT CAGGATTATG ATAATCAACA TGAACAAGAT CGGCCGACGC CTTCTCCAGC CCCGTCGCGC CCTTTCTCTG TCCTTCGAGC TAATGATGTG CTTTGGCTCT CTCTCACCGC TGCCGAGTAT GACCAGTCCAC TTACGGCTC TTCGACTGGC CCAGTTTATG TTTCTGACTC TGTGACCCTG GTTAATGTTG CGACCGGCGC GCAGGCCGTT GCTCGGTCGC TCGATTGGGC CAAGGTCACA CTTGATGGTC GCCCCCTTTC CACCATCCAG CAGTACTCGA AGACTTTCTT TGTCCTGCCG CTCCGCGGTA AGCTCTCTTT CTGGGAGGCA GGTACAACTA AGGCCGGGTA CCCCTATAAT TATAACACCA CTGCTAGTGA TCAATTGCTC GTTGAGAATG CCGCCGGGCA CCGGGTTGCT ATTTCTACTT ACACCACTAG CCTAGGTGCC GGCCCCGTTT CCATTTCTGC GGTTGCTGTT TTAGCCCCCC ACTCTGCACT AGCATTGCTT GAGGATACCT TGGACTACCC TGCCCGCGCC CATACTTTTG ATGACTTTTG CCCAGAGTGC CGCCCTCTCG GCCTCCAGGG CTGCGCTTTC CAGTCCACTG TCGCTGAGCT TCAGCGCCTT AAGATGAAGG TGGGTAAAAC TCGGGAGTTA TAG
(HEV(Genotype I)のウイルス様中空粒子を構成するポリペプチド)(配列番号8)
AVAPAHDTPP VPDVDSRGAI LRRQYNLSTS PLTSSVATGT NLVLYAAPLS PLLPLQDGTN THIMATEASN YAQYRVARAT IRYRPLVPNA VGGYAISISF WPQTTTTPTS VDMNSITSTD VRILVQPGIA SELVIPSERL HYRNQGWRSV ETSGVAEEEA TSGLVMLCIH GSPVNSYTNT PYTGALGLLD FALELEFRNL TPGNTNTRVS RYSSTARHRL RRGADGTAEL TTTAATRFMK DLYFTSTNGV GEIGRGIALT LFNLADTLLG GLPTELISSA GGQLFYSRPV VSANGEPTVK LYTSVENAQQ DKGIAIPHDI DLGESRVVIQ DYDNQHEQDR PTPSPAPSRP FSVLRANDVL WLSLTAAEYD QSTYGSSTGP VYVSDSVTLV NVATGAQAVA RSLDWAKVTL DGRPLSTIQQ YSKTFFVLPL RGKLSFWEAG TTKAGYPYNY NTTASDQLLV ENAAGHRVAI STYTTSLGAG PVSISAVAVL APHSALALLE DTLDYPARAH TFDDFCPECR PLGLQGCAFQ STVAELQRLK MKVGKTREL
(実施例1−2)E型肝炎ウイルス様中空粒子の調製(Genotype IV)
E型肝炎(Genotype IV)発症患者血清100μlからRNA extraction kitであるスマイテストRキット(ゲノムサイエンス研究所)を用いてRNAを抽出した。
配列番号5及び6に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用いて、MMLV(インビトロジェン社製) 逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。
上記精製濃縮して得たGenotype IVに関するORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域のcDNAをクローニングベクターpCR2.1(インビトロジェン社製)に組み込み、実施例1−1と同様にTAクローニングによりGenotype IVのプラスミドクローンを得た。
得られたプラスミドクローンを、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393に組込み、直鎖状バキュロウイルスDNA(Baculo-Gold PHAMINGEN社製)と共に昆虫細胞Sf9へコ・トランスフェクションし、組換えバキュロウイルスを作製した。
作製した組換えバキュロウイルスを、実施例1−1と同様に昆虫細胞Tn5にMOI(Multiplicity of infection)10で感染させて蛋白質の発現を行い、組換えウイルス感染培養細胞、培養上清及び培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣を経時的に採取した。
実施例1−1と同様に、予想される分子量の妥当性を検討したところ、図1下に示すように組換えウイルス感染培養細胞では2日目から58kDa付近に発現蛋白質が確認され、その後日数の経過とともに昆虫細胞内で修飾され、6日目には50kDa付近に蛋白質が確認されるようになり、経時的に50kDa付近の蛋白質へと移行するのを確認した。培養上清及び培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣にも同様に6日目頃から50kDa付近に蛋白質が確認された。
この発現蛋白質について塩化セシウム平衡密度勾配遠心法を行ったところ、比重約1.3g/cm3の白乳色バンドとして確認でき、ウイルス様中空粒子として回収することに成功した。さらに、電子顕微鏡での検鏡においても直径約25nmのウイルス様粒子を直接検出することができた。
また、経時的に採取した試料をSDS-PAGEで展開した後、ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期血清によるウエスタンブロッティング法を実施したところ、その結果、図3(a,b)各右側に示すように、組換えウイルス感染培養細胞では3日目に30kDa〜25kDa付近の複数の蛋白質と反応を示し、6日目には58及び50kDa発現蛋白質と反応するように移行するのを確認した。さらに、培養上清と培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣では6日目に50kDaの発現蛋白質と反応することを確認した。
同様に塩化セシウム平衡密度勾配遠心法で回収精製したウイルス様中空粒子もE型肝炎患者急性期血清と反応し、抗原性を有していることを確認した。
このウイルス様中空粒子を抗原に使用したELISA法ではヒト血清中の抗HEV-IgG、IgM抗体の検出が可能であることを確認した(図4、5)。
組込みに使用したE型肝炎ウイルス(Genotype IV)のORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域(翻訳開始コドンを含まない)の塩基配列は配列番号11に示すとおりであり、背景技術の特許文献1に開示するウイルス様中空粒子の遺伝子の塩基配列とは下線部において相違し、相同性は78.12%であった。また、翻訳開始コドンを含まない当該領域に係る本発明のウイルス様中空粒子を構成するアミノ酸配列は、配列番号12に示すとおりであり、同様に特許文献1に開示するアミノ酸配列とは下線部において相違し、相同性は94.00%であった。
(HEV(Genotype IV)のウイルス様中空粒子をコードするDNA)(配列番号11)
GCTGTAG CCCCAGCTCC CGACACTGCT CCGGTTCCTG ACGTGGACTC TCGTGGCGCT ATATTGCGCC GCCAGTACAA TTTGTCCACG TCACCGCTTA CGTCCACTAT CGCTACTGGC ACTAATCTTG TACTATATGC TGCCCCACTG AGCCCTCTGC TCCCCCTCCA GGATGGGACT AATACTCATA TTATGGCCAC TGAGGCCTCT AACTATGCTC AGTATCGTGT TGTCCGTGCC ACTATTCGGT ACCGGCCTCT GGTGCCGAAT GCGGTTGGCG GATACGCCAT ATCCATCTCC TTTTGGCCTC AGACGACAAC TACCCCGACC TCCGTCGACA TGAATTCCAT CACTTCTACC GATGTCCGTA TCCTCGTTCA GCCTGGTATA GCCTCTGAAC TTGTGATCCC TAGTGAGCGC CTGCATTATC GCAATCAGGG TTGGCGCTCG GTTGAGACTT CTGGTGTTGC GGAGGAGGAG GCTACCTCCG GCCTTGTTAT GCTCTGTATT CATGGATCTC CTGTAAATTCC TATACTAAT ACACCCTACA CTGGTGCTCT CGGCTTGCTG GATTTTGCGC TTGAGCTTGA ATTTCGTAAT TTGACACCTG GCAATACGAA TACGCGCGTC TCTCGTTATT CCAGTAGTGC GCGCCACAAG TTACGCCGAG GGCCTGATGG CACTGCCGAG TTGACCACGA CTGCTGCTAC ACGCTTCATG AAAGATCTTC ATTTCACCGG GACTAATGGT GTTGGTGAGG TCGGCCGTGG TATTGCGCTA ACTTTGTTCA ATCTTGCTGA TACGCTTCTC GGCGGGCTCC CGACAGAATT GATTTCGTCG GCTGGAGGCC AGTTGTTTTA TTCACGCCCC ATCGTCTCAG CCAATGGCGA GCCGACAGTG AAACTCTACA CCTCAGTTGA GAATGCCCAG CAGGACAAGG GTATAGCCAT TCCACATGAT ATTGATCTTG GTGAGTCCCG AGTTGTGATT CAGGATTATG ATAACCAACA CGAGCAAGAC CGTCCTACTC CCTCTCCTGC TCCCTCACGT CCCTTCTCAG TTCTTCGTGC TAACGACGTG CTTTGGCTCT CATTGACGGC TGCTGAATAT GATCAAACTA CTTATGGCTC TTCTACTAAT CCTATGTATG TTTCTGACAC TGTGACATTT GTCAATGTAG CGACCGGTGC CCAGGGGGTCT CCCGGTCCC TGGACTGGTC CAAAGTCACC CTCGATGGTC GGCCGCTTAC GACTATTCAG CAGTATCCTA AGACCTTCTT TGTTCTACCA CTTCGTGGCA AGCTTTCTTT CTGGGAGGCT GGCACTACCA AGGCTGGCTA CCCTTATAAT TACAACACTA CTGCTAGTGA TCAGATTTTA ATTGAAAATG CACCTGGTCA CCGTGTCTGT ATTTCTACCT ATACTACTAA TCTCGGTTCC GGTCCTGTTT CTATCTCTGC TGTTGGTGTC CTCGCACCTC ACTCTGCGCT GGCCGCTTTG GAGGATACCG TTGACTACCC TGCTCGTGCT CACACTTTTG ATGATTTCTG CCCTGAGTGC CGTGCGCTTG GTCTCCAGGG CTGTGCTTTT CAATCGACTG TCGCTGAGCT ACAGCGTCTT AAGATGAAGG TGGGTAAAAC CCGGGAGTAT TGA
(HEV(Genotype IV)のウイルス様中空粒子を構成するポリペプチド)(配列番号12)
AVAPAPDTAP VPDVDSRGAI LRRQYNLSTS PLTSTIATGT NLVLYAAPLS PLLPLQDGTN THIMATEASN YAQYRVVRAT IRYRPLVPNA VGGYAISISF WPQTTTTPTS VDMNSITSTD VRILVQPGIA SELVIPSERL HYRNQGWRSV ETSGVAEEEA TSGLVMLCIH GSPVNSYTNT PYTGALGLLD FALELEFRNL TPGNTNTRVS RYSSSARHKL RRGPDGTAEL TTTAATRFMK DLHFTGTNGV GEVGRGIALT LFNLADTLLG GLPTELISSA GGQLFYSRPI VSANGEPTVK LYTSVENAQQ DKGIAIPHDI DLGESRVVIQ DYDNQHEQDR PTPSPAPSRP FSVLRANDVL WLSLTAAEYD QTTYGSSTNP MYVSDTVTFV NVATGAQGVS RSLDWSKVTL DGRPLTTIQQ YPKTFFVLPL RGKLSFWEAG TTKAGYPYNY NTTASDQILI ENAPGHRVCI STYTTNLGSG PVSISAVGVL APHSALAALE DTVDYPARAH TFDDFCPECR ALGLQGCAFQ STVAELQRLK MKVGKTREY
(実施例2−1)E型肝炎ウイルス(HEV)様中空粒子の調製(Genotype I)
RT-PCRによりHEV-RNA(Genotype I)を検出したヒト血清100μlから、実施例1−1の方法と同様にして、RNAを抽出し、cDNAを合成後、Genotype Iに関するORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域のcDNAを組み込んだGenotype Iプラスミドクローンを得た。
組込みに使用したORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域は実施例1−1において使用したものと同様のものである。
該プラスミドクローンをトランスファーベクターに組込み、直鎖状バキュロウイルスDNAと共に昆虫細胞Sf9へコ・トランスフェクションし、組換えバキュロウイルスを作製した。
作製した組換えバキュロウイルスを昆虫細胞Tn5にMOI(Multiplicity of infection)10で感染させて蛋白質の発現を行い、組換えウイルス感染培養細胞、培養上清及び培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣を経時的に採取した。
これらの採取した試料に関して、SDS-PAGEで展開後、蛋白質をクマシーブリリアントブルー染色で検出した。予想される分子量の妥当性を検討したところ、図6に示すように、組換えウイルス感染培養細胞では3日目から58kDa付近に発現蛋白質が確認され、その後日数の経過とともに昆虫細胞内で修飾され、50kDa付近の蛋白質へと移行することを確認した。培養上清では日数の経過に伴い、6日目から50kDa付近に蛋白質が確認されるようになった。培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣にも同様に6日目から50kDa付近に蛋白質が確認された。
この発現蛋白質について塩化セシウム平衡密度勾配遠心法を行ったところ、比重約1.3g/cm3の白乳色バンドとして確認でき、ウイルス様中空粒子として回収することに成功した。電子顕微鏡での検鏡においても直径約25nmのウイルス様粒子を直接検出した(図9左)。
また、経時的に採取した試料をSDS-PAGEで展開後、ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期血清によるウエスタンブロッティング法を実施した。その結果、図10に示すように、組換えウイルス感染培養細胞では3日目に58kDa発現蛋白質から50kDa発現蛋白質へと移行する過程の複数の蛋白質と反応を示し、6日目には50kDa発現蛋白質と反応するように移行するのを確認した。培養上清と培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣では6日目に50kDa発現蛋白質と反応することを確認した。
同様に塩化セシウム平衡密度勾配遠心法で回収精製したウイルス様中空粒子もE型肝炎患者急性期血清と反応し、抗原性を有していることを確認した(図10、図13)。
このウイルス様中空粒子を抗原に使用した改良ELISA法ではヒト血清中の抗HEV-IgG、IgM抗体の検出が可能であることを確認した(図14、15)。
(実施例2−2)E型肝炎ウイルス(HEV)様中空粒子の調製(Genotype III)
RT-PCRによりHEV-RNA(Genotype III)を検出したブタ血清100μlからRNA extraction kitであるスマイテストRキット(ゲノムサイエンス研究所)を用いてRNAを抽出した。
配列番号3及び4に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーを用いて、MMLV(インビトロジェン社製)逆転写酵素を用いてcDNAを合成した。
上記精製濃縮して得たGenotype IIIに関するORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域のcDNAをクローニングベクターpCR2.1(インビトロジェン社製)に組み込み、実施例1−1と同様にTAクローニングによりGenotype IIIのプラスミドクローンを得た。
得られたプラスミドクローンを、バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393に組込み、直鎖状バキュロウイルスDNAと共に昆虫細胞Sf9へコ・トランスフェクションし、組換えバキュロウイルスを作製した。
作製した組換えバキュロウイルスを、実施例1−1と同様に昆虫細胞Tn5にMOI(Multiplicity of infection)10で感染させて蛋白質の発現を行い、組換えウイルス感染培養細胞、培養上清及び培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣を経時的に採取した。
実施例1−1と同様に、これらの採取した試料に関して、SDS-PAGEで展開後、蛋白質をクマシーブリリアントブルー染色で検出し、予想される分子量の妥当性を検討したところ、図7に示すように組換えウイルス感染培養細胞では3日目から58kDa付近に発現蛋白質が確認され、その後日数の経過とともに昆虫細胞内で修飾され、50kDa付近の蛋白質へと移行するのを確認した。培養上清では日数の経過に伴い、6日目から50kDa付近に蛋白質が確認されるようになった。培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣でも同様に6日目から50kDa付近に蛋白質が確認された。
この発現蛋白質について塩化セシウム平衡密度勾配遠心法を行ったところ、比重約1.3g/cm3の白乳色バンドとして確認でき、ウイルス様中空粒子として回収することに成功した。さらに、電子顕微鏡での検鏡においても直径約25nmのウイルス様粒子を直接検出した(図9中央)。
また、経時的に採取した試料をSDS-PAGEで展開後、ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期血清によるウエスタンブロッティング法を実施した。その結果、図11に示すように組換えウイルス感染培養細胞では3日目に58kDa発現蛋白質から50kDa発現蛋白質へと移行する過程の複数の蛋白質と反応を示し、6日目には50kDa発現蛋白質と反応するのを確認した。培養上清と培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣では6日目に50kDa発現蛋白質へと移行する過程の複数の蛋白質と反応するのを確認した。
同様に塩化セシウム平衡密度勾配遠心法で回収精製したウイルス様中空粒子もE型肝炎患者急性期血清と反応し、抗原性を有していることを確認した(図11、13)。
このウイルス様中空粒子を抗原に使用した改良ELISA法ではヒト血清中の抗HEV-IgG、IgM抗体の検出が可能であることを確認した(図14、15)。
これらの結果から、ブタ血清から検出・作製したウイルス様中空粒子も、ヒト血清から作製したウイルス様中空粒子と同様に、感染患者血清中のヒト抗体に対して抗原性を有していることが確認された。本実施例のブタから検出されたGenotype III株は、ヒトから検出されたGenotype III株に非常に近縁であり、HEVが人畜共通感染症であるかもしれないという点から、ブタ型とヒト型とが共通抗原を有している可能性が示唆された。
組込みに使用したE型肝炎ウイルス(Genotype III)のORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域(翻訳開始コドンを含まない)の塩基配列は配列番号9に示すとおりであり、背景技術の特許文献1に開示するウイルス様中空粒子の遺伝子の塩基配列とは下線部において相違し、相同性は78.30%であった。また、翻訳開始コドンを含まない当該領域に係る本発明のウイルス様中空粒子を構成するアミノ酸配列は、配列番号10に示すとおりであり、同様に特許文献1に開示するアミノ酸配列とは下線部において相違し、相同性は94.00%であった。
(HEV(Genotype III)のウイルス様中空粒子をコードするDNA)(配列番号9)
GCTACATCA CCAGCCCCTG ATACAGCCCC CGTACCTGAT GTTGATTCAC GTGGTGCTAT CCTGCGCCGG CAGTACAATT TGTCTACGTC CCCGCTTACA TCATCTGTCG CTTCGGGCAC CAATCTGGTT CTCTATGCTG CCCCGCTGAA CCCACTCTTG CCTCTTCAGG ATGGCACCAA TACTCATATT ATGGCTACTG AGGCATCTAA TTACGCCCAG TATCGGGTTG TCCGAGCCAC GATCCGTTAC CGCCCATTGG TGCCAAATGC TGTTGGCGGT TATGCTATTT CTATTTCTTT TTGGCCTCAA ACTACAACTA CCCCTACTTC TGTAGACATG AATTCTATTA CTTCTACTGA TGTTAGGATC TTGGTTCAGC CCGGCATTGC CTCTGAGTTA GTCATCCCTA GTGAACGCCT TCACTACCGC AATCAAGGCT GGCGTTCTGT CGAGACTACA GGTGTGGCCG AGGAGGAGGC TACTTCCGGC CTGGTAATGC TTTGTATTCA TGGCTCCCCT GTTAATTCTT ACACTAATAC ACCTTATACT GGAGCATTGG GGCTTCTTGA TTTTGCATTA GAACTTGAAT TTAGAAACTT GACACCCGGG AATACTAACA CCCGTGTTTC CCGGTACACT AGCACAGCCC GCCACAGGCT GCGTCGCGGC GCTGATGGGA CCGCTGAGCT CACCACCACA GCAGCCACAC GTTTTATGAA GGATTTGCAT TTTACTGGCA CGAACGGCGT TGGTGAGGTG GGTCGTGGTA TTGCCCTGAC ACTGTTTAAT CTTGCTGATA CGCTTCTTGG TGGCTTACCG ACAGAATTGA TTTCGTCGGC TGGGGGCCAA TTGTTTTACT CCCGCCCAGT TGTCTCGGCC AATGGCGAGC CAACAGTAAA GTTATATACA TCTGTTGAGA ATGCACAGCA GGACAAGGGC ATCACCATTC CGCACGACAT AGATTTAGGT GACTCCCGCG TGGTTATCCA GGATTATGAT AACCAGCATG AACAAGACCG TCCTACCCCG TCACCTGCCC CCTCCCGCCC TTTTTCAGTT CTTCGTGCCA ATGACGTTCT GTGGCTCTCT CTCACTGCC GCTGAGTACGA CCAGACCACG TATGGGTCGT CCACCAACCC CATGTATGTC TCTGACACGG TCACGTTTGT TAATGTGGCC ACTGGTGCTC AGGCCGTTGC CCGCTCTCTT GACTGGTCTA AAGTCACCCT GGATGGTCGT CCTCTTACCA CTATTCAGCA GTATTCTAAG ACATTTTATG TTCTCCCGCT TCGCGGGAAA CTTTCCTTCT GGGAGGCTAG CACGACTAAG GCCGGCTACC CGTATAACTA TAATACTACT GCTAGTGACC AAATTTTGAT TGAGAACGCG GCCGGTCACC GTGTCGCTAT TTCTACTTAT ACCACTAGTC TGGGTGCCGG CCCTACCTCG ATCTCTGCGG TCGGTGTGCT AGCCCCACAT TCGGCCCTTG CCGCTCTTGA GGACACCGTT GATTACCCTG CTCGTGCTCA TACTTTTGAT GATTTTTGCC CGGAGTGTCG CACCCTTGGT CTGCAGGGTT GTGCATTCCA GTCTACTATT GCTGAGCTTC AGCGTCTTAA AGTGAAGGTA GGTAAAACCC GGGAGTCTTA A
(HEV(Genotype III)のウイルス様中空粒子を構成するポリペプチド)(配列番号10)
ATSPAPDTAP VPDVDSRGAI LRRQYNLSTS PLTSSVASGT NLVLYAAPLN PLLPLQDGTN THIMATEASN YAQYRVVRAT IRYRPLVPNA VGGYAISISF WPQTTTTPTS VDMNSITSTD VRILVQPGIA SELVIPSERL HYRNQGWRSV ETTGVAEEEA TSGLVMLCIH GSPVNSYTNT PYTGALGLLD FALELEFRNL TPGNTNTRVS RYTSTARHRL RRGADGTAEL TTTAATRFMK DLHFTGTNGV GEVGRGIALT LFNLADTLLG GLPTELISSA GGQLFYSRPV VSANGEPTVK LYTSVENAQQ DKGITIPHDI DLGDSRVVIQ DYDNQHEQDR PTPSPAPSRP FSVLRANDVL WLSLTAAEYD QTTYGSSTNP MYVSDTVTFV NVATGAQAVA RSLDWSKVTL DGRPLTTIQQ YSKTFYVLPL RGKLSFWEAS TTKAGYPYNY NTTASDQILI ENAAGHRVAI STYTTSLGAG PTSISAVGVL APHSALAALE DTVDYPARAH TFDDFCPECR TLGLQGCAFQ STIAELQRLK VKVGKTRES
(実施例2−3)E型肝炎ウイルス(HEV)様中空粒子の調製(Genotype IV)
RT-PCRによりHEV-RNA(Genotype IV)を検出したヒト血清100μlから、実施例1−2の方法と同様にして、RNAを抽出し、cDNAを合成後、Genotype IVに関するORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域のcDNAを組み込んだGenotype IVプラスミドクローンを得た。
組込みに使用したORF2のN末端から111アミノ酸を欠損させた領域は実施例1−2において使用したものと同様のものである。
該プラスミドクローンをトランスファーベクターに組込み、直鎖状バキュロウイルスDNAと共に昆虫細胞Sf9へコ・トランスフェクションし、組換えバキュロウイルスを作製した。
作製した組換えバキュロウイルスを昆虫細胞Tn5に感染させて蛋白質の発現を行い、組換えウイルス感染培養細胞、培養上清及び培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣を経時的に採取した。
これらの採取した試料に関して、SDS-PAGEで展開後、蛋白質をクマシーブリリアントブルー染色で検出し、予想される分子量の妥当性を検討したところ、図8に示すように組換えウイルス感染培養細胞では3日目から58kDa付近に発現蛋白質が確認され、その後日数の経過とともに昆虫細胞内で修飾され、50kDa付近の蛋白質へと移行することを確認した。培養上清では日数の経過に伴い、6日目から50kDa付近に蛋白質が確認されるようになった。培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣にも同様に6日目から50kDa付近に蛋白質が確認された。
この発現蛋白質について塩化セシウム平衡密度勾配遠心法を行ったところ、比重約1.3g/cm3の白乳色バンドとして確認でき、ウイルス様中空粒子として回収することに成功した。電子顕微鏡での検鏡においても直径約25nmのウイルス様粒子を直接検出した(図9右)。
また、経時的に採取した試料をSDS-PAGEで展開後、ニトロセルロース膜に転写し、E型肝炎患者急性期血清によるウエスタンブロッティング法を実施した。その結果、図12に示すように、組換えウイルス感染培養細胞では3日目に58kDa発現蛋白質から50kDa発現蛋白質へと移行する過程の複数の蛋白質と反応を示し、6日目には50kDa発現蛋白質へと反応が移行するのを確認した。培養上清と培養上清を100,000×gで2時間超遠心した沈渣では6日目に58kDa発現蛋白質から50kDa発現蛋白質へと移行する過程の複数の蛋白質と反応するのを確認した。
同様に塩化セシウム平衡密度勾配遠心法で回収精製したウイルス様中空粒子もE型肝炎患者急性期血清と反応し、抗原性を有していることを確認した(図12、図13)。
このウイルス様中空粒子を抗原に使用した改良ELISA法ではヒト血清中の抗HEV-IgG、IgM抗体の検出が可能であることを確認した(図14、図15)。
これまでに日本で検出されたHEVはGenotype I、Genotype III及びGenotype IVであり、Genotype IだけではなくGenotype III及びGenotype IVのウイルス様中空粒子を作製したことはその抗原性等の比較の点から非常に意義があると考えられる。本発明により作製されたHEV Genotype I、HEV Genotype III及びHEV Genotype IVの中空粒子を抗原とし、HEV Genotype I、HEV Genotype III若しくはHEV Genotype IV検出血清とそれぞれ反応させたELISAの結果からは、異なるGenotype間の反応よりも同一Genotype間における反応の方が強く得られる傾向が確認でき、Genotype特異的エピトープの存在が示唆される。
従来は、HEV感染を検査するために、PCRの手法により患者血清中のHEVの遺伝子を検出していた。このHEVの遺伝子は、HEV感染後約2週間〜1ヶ月の限られた期間でのみ検出可能であり、検出期間を経過するとHEV感染の判断が困難であった。
HEVに感染すると、患者血液中のHEVの遺伝子出現の時期よりも遅い時期にIgMやIgG等の免疫グロブリン(抗体)が血液中に出現することが知られている。従来は、特許文献1に開示するウイルス様中空粒子により、抗HEV抗体を検出することができたが、Genotype特異的ではなかった。本発明のGenotype I、Genotype III及びGenotype IVのHEVのウイルス様中空粒子により、Genotype I、Genotype III及びGenotype IVに共通して反応するIgMやIgG等の抗HEV抗体や、Genotype特異的に反応する各抗HEV抗体を検出することも可能となる。
さらに、HEVに感染すると、患者血液中のHEVの遺伝子出現の時期よりやや遅れて、糞便中にHEV粒子が出現することが知られているが、Genotype I、Genotype III又はGenotype IVの抗HEV抗体により糞便検体中のHEV粒子(HEV抗原)を検出することも可能となる。HEV抗原はGenotype I、Genotype III及びGenotype IVに共通して検出することもできるし、Genotype特異的に検出することも可能になる。
上記説明したように、本発明のウイルス様中空粒子及びそれに対する抗体により、従来よりも正確な免疫測定が行え、HEVの感染時期の特定等、詳細に検出することが可能になる。また、本発明により、ウイルス様中空粒子の形成機構を解明することで、ウイルス粒子形成の抑制等が可能となることが予測される。
蛋白質発現によるウイルス様中空粒子形成をSDS-PAGEにより経時的に確認したものを示す図である。(実施例1−1〜2) 電子顕微鏡により観察されたウイルス様中空粒子の像を示す図である。(実施例1−1) ウイルス様中空粒子をウェスタンブロット法により確認したものを示す写真代用図面である。(実施例1−1〜2) 図3aの写真代用図面の理解を容易にするための模式図である。(実施例1−1〜2) ウイルス様中空粒子とIgG抗体との反応を示す図である。(実施例1−1〜2) ウイルス様中空粒子とIgM抗体との反応を示す図である。(実施例1−1〜2) 蛋白質発現によるHEV Genotype Iのウイルス様中空粒子形成をSDS-PAGEにより経時的に確認したものを示す図である。(実施例2−1) 蛋白質発現によるHEV Genotype IIIのウイルス様中空粒子形成をSDS-PAGEにより経時的に確認したものを示す図である。(実施例2−2) 蛋白質発現によるHEV Genotype IVのウイルス様中空粒子形成をSDS-PAGEにより経時的に確認したものを示す図である。(実施例2−3) 電子顕微鏡により観察されたウイルス様中空粒子の像を示す図である。(実施例2−1〜3) HEV Genotype Iのウイルス様中空粒子をウェスタンブロット法により確認したものを示す写真代用図面である。(実施例2−1) HEV Genotype IIIのウイルス様中空粒子をウェスタンブロット法により確認したものを示す写真代用図面である。(実施例2−2) HEV Genotype IVのウイルス様中空粒子をウェスタンブロット法により確認したものを示す写真代用図面である。(実施例2−3) HEV Genotype I、III又はIVのウイルス様中空粒子と、HEV Genotype I、III又はIV感染患者血清との反応をウェスタンブロット法で確認した結果を示す写真代用図面である。(実施例2−1〜3) ウイルス様中空粒子とIgG抗体との反応を示す図である。(実施例2−1〜3) ウイルス様中空粒子とIgM抗体との反応を示す図である。(実施例2−1〜3)

Claims (23)

  1. E型肝炎ウイルス(Genotype III)の抗原性を保持するE型肝炎ウイルス様中空粒子。
  2. E型肝炎ウイルス(Genotype IV)の抗原性を保持するE型肝炎ウイルス様中空粒子。
  3. 以下に示すいずれかのアミノ酸配列であるE型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子;
    1)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列。
    2)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列。
    3)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列。
  4. 以下に示すいずれかのアミノ酸配列であるE型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子;
    1)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列。
    2)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列。
    3)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  5. 以下に示すいずれかのアミノ酸配列であるE型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子;
    1)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列。
    2)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列。
    3)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列。
  6. E型肝炎ウイルス(Genotype III)の抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子をコードするDNA。
  7. 前記DNAが、E型肝炎ウイルス(Genotype III)をコードする遺伝子のうち、ORF2を構成するDNAから選択される請求項6に記載のDNA。
  8. E型肝炎ウイルス(Genotype IV)の抗原性を保持するポリペプチドを含むE型肝炎ウイルス様中空粒子をコードするDNA。
  9. 前記DNAが、E型肝炎ウイルス(Genotype IV)をコードする遺伝子のうち、ORF2を構成するDNAから選択される請求項8に記載のDNA。
  10. E型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドをコードする以下に示すいずれかのDNA;
    1)配列表の配列番号7で表される塩基配列からなるDNA及び/又はその相補鎖。
    2)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    3)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    4)配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、かつ配列表の配列番号8で表されるアミノ酸配列のうち第406番目のアミノ酸がアラニンであるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    5)E型肝炎ウイルスのGenotype IのORF2から選択される領域のアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
  11. E型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドをコードする以下に示すいずれかのDNA;
    1)配列表の配列番号9で表される塩基配列からなるDNA及び/又はその相補鎖。
    2)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    3)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    4)配列表の配列番号10で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    5)配列表の配列番号3及び4で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのいずれか1種又は両方をプライマーセットとして使用し、遺伝子増幅方法により増幅されたDNA及び/又はその相補鎖。
  12. E型肝炎ウイルスの抗原性を保持するポリペプチドをコードする以下に示すいずれかのDNA;
    1)配列表の配列番号11で表される塩基配列からなるDNA及び/又はその相補鎖。
    2)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    3)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列のうち1〜40個のアミノ酸が、置換、欠失、挿入又は付加された配列からなるアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    4)配列表の配列番号12で表されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNA及び/又はその相補鎖。
    5)配列表の配列番号5及び6で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーのいずれか1種又は両方をプライマーセットとして使用し、遺伝子増幅方法により増幅されたDNA及び/又はその相補鎖。
  13. 請求項6〜12の何れか1に記載のDNAを含有する組換えベクター。
  14. 請求項13に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
  15. 請求項14に記載の形質転換体を培養する工程を含む請求項1〜5のいずれか1に記載のウイルス様中空粒子の製造方法。
  16. 請求項1〜5のいずれか1に記載のウイルス様中空粒子又は請求項6〜12のいずれか1に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を免疫原とし、E型肝炎ウイルスを免疫学的に認識する抗E型肝炎ウイルス抗体。
  17. 請求項16に記載の抗体が、E型肝炎ウイルスのGenotype I、III又はIVを識別しうる抗体である抗E型肝炎ウイルス抗体。
  18. 請求項16又は17に記載の抗体がポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である抗E型肝炎ウイルス抗体。
  19. 請求項1〜5のいずれか1に記載のウイルス様中空粒子又は請求項6〜12のいずれか1に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルス関連抗体の検出方法。
  20. 請求項3に記載のウイルス様中空粒子又は請求項10に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルスのGenotype I関連抗体の検出方法。
  21. 請求項1若しくは4に記載のウイルス様中空粒子又は請求項6、7若しくは11に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルスのGenotype III関連抗体の検出方法。
  22. 請求項2若しくは5に記載のウイルス様中空粒子又は請求項8、9若しくは12に記載のDNAを利用して発現されたウイルス様中空粒子を使用するE型肝炎ウイルスのGenotype IV関連抗体の検出方法。
  23. 請求項19〜22のいずれか1に記載のE型肝炎ウイルス関連抗体の検出方法に使用するE型肝炎ウイルス関連抗体検出用試薬又は該試薬キット。
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